JP2004099358A - 金属酸化物被覆粒子の製造方法 - Google Patents

金属酸化物被覆粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物をコア粒子の表面に十分な厚みで均一に被覆することができるとともに、この被覆に際してコア粒子を凝集させることなく、個々のコア粒子に対してその表面に容易かつ均一に金属酸化物を被覆する。
【解決手段】本発明にかかる金属酸化物被覆粒子の製造方法は、コア粒子の存在下で、金属カルボン酸塩とアルコールとを含む混合物、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを含む混合物を加熱することにより、前記コア粒子の表面に金属酸化物を被覆させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア粒子の表面が金属酸化物により被覆されてなる金属酸化物被覆粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、任意の材質からなる様々な微粒子を、特定の用途分野あるいは使用場面において優れた機能を有するものにするため、本体粒子(コア粒子)となる微粒子の表面を所望の化合物等で処理することにより特定の機能性微粒子に改質等をする技術が広く一般に知られている。
具体的には、例えば、コア粒子となる金属酸化物からなる微粒子をアルコール中に分散させた懸濁体に、シリコンアルコキシド等の金属アルコキシドやシランカップリング剤等のカップリング剤などを混合して加水分解させることにより、コア粒子表面を金属アルコキシドの加水分解物や縮合物で表面処理(被覆)する方法や、コア粒子となる酸化亜鉛微粒子の水性スラリーに、水ガラスやアルミン酸ナトリウムとその中和剤となる酸成分を添加することにより、コア粒子表面をシリカ水和物や水酸化アルミニウムで被覆する方法(例えば、特許文献1参照。)などが提案されている。
【0003】
しかしながら、前者の方法では、コア粒子表面を均一な分布で均一な厚みに被覆することができないし、また、非常に薄く被覆することしかできないため例えば被覆の厚みにより様々な機能・性能を有するものを調製しようとしても限界があり、さらに、被覆原料として用いたはずの金属アルコキシドやカップリング剤の一部は被覆に供することなく遊離して存在しやすい等の問題もある。また、後者の方法では、コア粒子が単体で被覆されにくく、複数のコア粒子が含有された状態で(コア粒子が2次粒子化したような状態で)被覆されたものばかり得られるという問題がある。
【0004】
一方、近年においては、電気伝導機能、高屈折率機能、紫外線吸収機能、赤外線吸収機能、熱伝導機能、磁気機能および光触媒機能などの様々な機能・物性を有する金属酸化物により被覆された粒子が、各種機能分野において機能性の塗料、膜あるいは成形体の材料として用いられるようになってきており、関連技術レベルの高度化や産業界からの要請も相まって、より均質かつ優れた物性の金属酸化物被覆粒子を安定して容易に得られる製法が求められている。
ところが、一般的に、前述した種々の問題は、コア粒子を所望の化合物等で被覆してなる粒子を製造する場合に頻繁に生じるものであるため、上記の金属酸化物被覆粒子を製造する場合においてもそれら問題を解決し得るようにすることが強く望まれる。
【0005】
【特許文献1】
特許第2851885号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、金属酸化物をコア粒子の表面に十分な厚みで均一に被覆することができるとともに、この被覆に際してコア粒子を凝集させることなく個々のコア粒子に対して容易に均一に被覆することができる、金属酸化物被覆粒子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、金属酸化物の生成し得る特定の生成反応において、この反応系中に本体粒子となるコア粒子を存在させた状態で上記生成反応を行うようにすれば、コア粒子の表面に効率的に金属酸化物を生成させ、結果としてコア粒子表面に金属酸化物を容易に被覆させることができることを見出した。具体的には、金属カルボン酸塩とアルコールとを含む混合物、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを含む混合物を加熱することにより金属酸化物を生成し得る反応を、所望のコア粒子の存在下で行うようにすれば、該コア粒子の表面に金属酸化物を容易に被覆させることができ、上記課題を一挙に解決し得ることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明にかかる金属酸化物被覆粒子の製造方法は、コア粒子の存在下で、金属カルボン酸塩とアルコールとを含む混合物、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを含む混合物を加熱することにより、前記コア粒子の表面に金属酸化物を被覆させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる金属酸化物被覆粒子の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
本発明にかかる金属酸化物被覆粒子の製造方法は、金属カルボン酸塩とアルコールとを含む混合物を加熱することによる反応(以下、第1の反応と称することがある。)、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを含む混合物を加熱することによる反応(以下、第2の反応と称することがある。)を、本体粒子となるコア粒子の存在下で行うことにより、上記コア粒子の表面に金属酸化物を被覆させてなる金属酸化物被覆粒子を得ることを特徴としている。
【0010】
以下、本発明の製造方法を実施するにあたり、コア粒子および上記第1の反応および第2の反応でいう混合物に含まれる各成分の詳細について説明するとともに、反応条件等の詳細についても合わせて説明する。
本発明の製造方法に用いることのできるコア粒子としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、金属粒子;金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子、金属窒化物粒子、金属炭化物粒子、金属酸窒化物粒子、金属硫化物粒子等の無機系粒子;アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の有機系粒子;有機質無機質複合体粒子;等を挙げることができる。なかでも、金属酸化物による被覆が分布および厚みにおいて均一となる等の点で、金属粒子、無機系粒子が好ましい。また、金属酸化物による被覆によって、また、必要に応じさらにシランカップリング剤等で2次的表面改質も行うことにより、溶媒や塗料への分散性を制御しやすくなる点では、金属粒子、および、金属酸化物粒子以外の無機系粒子が好ましい。上記列挙した、種々のコア粒子は、従来公知の各種粒子の製造技術を適用することにより調製することができる。
【0011】
本発明では、前述のようにコア粒子として金属酸化物粒子(金属酸化物からなる粒子)を用いることができる。この場合、例えば、コア粒子とする金属酸化物粒子の表面を、該金属酸化物粒子を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物で被覆するようにすれば、実質的に、コア粒子とした金属酸化物粒子の粒子径を容易に成長させることができ好ましいが、特に限定はされず、金属酸化物粒子を構成する金属酸化物と異なる金属酸化物で被覆するようにしてもよい。
コア粒子として用い得る金属酸化物粒子としては、例えば、周期表の、2A族、3A族、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、1B族、2B族、3B族、C以外の4B族、N以外の5B族、OおよびS以外の6B族、ランタノイド元素、アクチノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の酸化物からなる粒子を挙げることができるが、なかでも、Zn、Ti、Ce、Fe、In、Snの少なくとも1種の酸化物(特に、単一酸化物)は、これら元素が有する高い光触媒活性を不活性化状態にできる点で好ましい。
なお、本明細書においては、周期表は、改訂5版「化学便覧(日本化学会編)」(丸善株式会社より出版)に掲載されている「元素の周期表(1993年)」を用い、族番号は亜族方式により表記する。
【0012】
コア粒子の形状は、特に限定はされないが、例えば、球状、板状、針状、柱状、不定形等が挙げられ、形状や大きさの揃ったものが好ましい。
コア粒子の粒子径は、得られる金属酸化物被覆粒子の用途等を考慮してほぼそれと同程度となるよう適宜調製したものを用いればよく、特に限定はされないが、0.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜20nmである。コア粒子の粒子径が、0.5μmを超える場合は、粒子表面に均一な分布、均一な厚みで被覆された粒子が得られにくくなるおそれがあり、小さすぎると、コア粒子が有する特有の機能が十分に発揮されないおそれがある。上述のように、得られる金属酸化物被覆粒子の用途を考慮した場合、例えば、UV吸収粒子や熱線吸収粒子等の用途においては、粒子径5〜20nmのコア粒子を用いることが好ましく、発光体粒子や蛍光体粒子等の用途においては、粒子径1〜10nmのコア粒子を用いることが好ましく、磁性体粒子等の用途においては、粒子径1〜10nmのコア粒子を用いることが好ましい。
【0013】
第1の反応で用いられる金属カルボン酸塩としては、特に限定はないが、従来公知の各種カルボキシル基含有化合物の金属塩を挙げることができる。これらのうちでも、金属飽和カルボン酸塩が好ましい。金属カルボン酸塩に含まれる金属(M)についても特に限定はないが、Mが、例えば、周期律表の、1A族、2A族、3A族、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、ランタノイド元素、1B族、2B族、3B族、4B族、5B族、6B族に含まれる金属原子であると好ましく、これらの中でも、例えば、Zn、Al、In、Si、Sn、Sb、Y、La、Mg、Ca、Sr、Ba等の可視域に光吸収のない酸化物となり得る金属元素が有用であり好ましい。
【0014】
第1の反応で用いられるアルコールとしては、特に限定はないが、例えば、脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アルコール(アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価アルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、メチルフェニルカルビノール等)、フェノール類(エチルフェノール、オクチルフェノール、カテコール、キシレノール、グアヤコール、p−クミルフェノール、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、ドデシルフェノール、ナフトール、ノニルフェノール、フェノール、ベンジルフェノール、p−メトキシエチルフェノール等)、複素環式1価アルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコール類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、芳香環を有する脂肪族グリコール類(ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、フタリルアルコール等)、脂環式グリコール類(シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等の上記グリコール類のモノエーテルおよびモノエステル等の誘導体;ヒドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールおよびこれらのモノエーテルおよびモノエステル;グリセリン等の3価アルコールおよびこれらのモノエーテル、モノエステル、ジエーテルおよびジエステル等を挙げることができる。
【0015】
第1の反応で用いられるアルコールの配合量については、特に限定はないが、上記金属カルボン酸塩の金属の含有量に対してモル比で1〜1000倍量とすることが好ましく、より好ましくは2〜100倍量、特に好ましくは5〜50倍量である。
第2の反応で用いられる金属アルコキシ基含有化合物としては、特に限定はないが、例えば、下記一般式(1)で示される化合物、または該化合物が(部分)加水分解・縮合してなる縮合物を挙げることができる。
M(ORn−m   (1)
(但し、Mは、金属原子;Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基から選ばれた少なくとも1種;Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基、および、OR基以外の官能基を含む有機基から選ばれた少なくとも1種;nは金属原子Mの価数;mは0〜n−1の範囲の整数である。)
一般式(1)中、Rとしては、水素原子および/またはアルコキシアルキル基の如く置換されていてもよいアルキル基が好ましい。また、Rとしては、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基、および、β−ジケトン化合物等のOR基以外の官能基を含む有機基から選ばれた少なくとも1種であるものが好ましい。
【0016】
一般式(1)中、Mとしては、上記金属カルボン酸塩に含まれる金属を挙げることができ、好ましいものについても同様である。
一般式(1)中、m=1、2または3である金属アルコキシ基含有化合物としては、例えば、各種の有機ケイ素化合物(m=1、2または3)、チタネート系カップリング剤(m=1、2または3)、アルミネート系カップリング剤(m=1または2)等が例示される。
有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン等のアミノ系シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エボキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロル系シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン系シランカップリング剤;N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等のカチオン系シランカップリング剤;メチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ヒドロキシエチルトリメトキシシラン等のアルキル系シランカップリング剤;γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0017】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、および、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等を挙げることができる。
【0018】
アルミネート系カップリング剤としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムアルキルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノメタクリレート、イソプロポキシアルミニウムアルキルアセトアセテートモノ(ジオクチルホスフェート)、および、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート等を挙げることができる。
金属アルコキシ基含有化合物は、上記で説明したもの以外であってもよく、例えば、上記一般式(1)においてm=0の場合のテトラメトキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラn−ブトキシチタン、トリn−ブトキシアルミニウム、テトライソプロポキシスズおよびインジウムトリメトキシエトキシド等の金属アルコキシド化合物や、ヘテロ金属アルコキシ基含有化合物(ヘテロ金属オキソアルコキシ基含有化合物も含む)であってもよい。なお、ヘテロ金属アルコキシ基含有化合物とは、2個以上の異なる金属原子を有し、アルコキシ基や酸素原子を介したり、金属−金属結合等によって結ばれた金属アルコキシ基含有化合物のことである。ヘテロ金属アルコキシ基含有化合物を用いた場合は、複合酸化物からなる金属酸化物を得ることができる。
【0019】
第2の反応で用いられるカルボキシル基含有化合物としては、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸(飽和モノカルボン酸)、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸(不飽和モノカルボン酸)、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、β,β−ジメチルグルタル酸等の飽和多価カルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸等の鎖式カルボン酸類、シクロヘキサンカルボン酸等の環式飽和カルボン酸類、安息香酸、フェニル酢酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の不飽和多価カルボン酸等の芳香族カルボン酸類、無水酢酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物、トリフルオロ酢酸、o−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、 アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、アニス酸(p−メトキシ安息香酸)、トルイル酸、乳酸、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)等の分子内にカルボキシル基以外のヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等、重合体原料として上記不飽和カルボン酸を少なくとも1つ有する重合体を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有化合物のうち、分散性の優れる粒子を得るためには、飽和カルボン酸が好ましく、酢酸が最も好ましい。また、カルボキシル基含有化合物が液体の場合は、後述の反応溶媒としても用いることもできる。
【0020】
第2の反応で用いられるカルボキシル基含有化合物に関し、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との配合比率(カルボキシル基含有化合物/金属アルコキシ基含有化合物)については、特に限定はないが、金属アルコキシ基含有化合物に含有されている金属原子Mの価数nを用いて、好ましくは下限が0.8n超、さらに好ましくは2n超であり、また、好ましくは上限が10n未満である。
本発明の製造方法において、第1および第2の反応における混合物は、反応溶媒等をさらに含むものでもよい。
【0021】
反応溶媒の使用量については、特に限定はないが、第1の反応では、金属カルボン酸塩とアルコールと反応溶媒との合計量に対して、金属カルボン酸塩の濃度が1〜50重量%となるように、反応溶媒の使用量が設定されると好ましい。また、第2の反応では、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物と反応溶媒との合計量に対して、金属アルコキシ基含有化合物の濃度が1〜50重量%となるように、反応溶媒の使用量が設定されると好ましい。これによって金属酸化物で被覆された粒子を経済的に得ることができる。
反応溶媒としては、水以外の溶媒、すなわち、非水溶媒が好ましい。非水溶媒としては、例えば、炭化水素;ハロゲン化炭化水素;アルコール(フェノール類や、多価アルコールおよびその誘導体で水酸基を有する化合物なども含む);エーテルおよびアセタール;ケトンおよびアルデヒド;エステル;多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物や、シリコーン油、鉱物油等を挙げることができる。
【0022】
上記炭化水素としては、例えば、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、オクタン、ガソリン、キシレン類、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、シクロへキセン、シクロペンタン、ジメチルナフタレン、シメン類、ショウ脳油、スチレン、石油エーテル、石油ベンジン、ソルベントナフサ、デカリン、デカン、テトラリン、テレピン油、灯油、ドデカン、ドデシルベンゼン、トルエン、ナフタレン、ノナン、パインオイル、ピネン、ビフェニル、ブタン、プロパン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、ペンタン、メシチレン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、p−メンタン、リグロイン、流動パラフィン等を挙げることができる。
【0023】
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、アリルクロリド、2−エチルへキシルクロリド、塩化アミル、塩化イソプロピル、塩化エチル、塩化ナフタレン類、塩化ブチル、塩化へキシル、塩化メチル、塩化メチレン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,5−ジクロロトルエン、ジクロロブタン類、ジクロロプロパン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ジブロモエタン、ジブロモブタン、ジブロモプロパン、ジブロモベンゼン、ジブロモペンタン、臭化アリル、臭化イソプロピル、臭化エチル、臭化オクチル、臭化ブチル、臭化プロピル、臭化メチル、臭化ラウリル、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、テトラブロモエタン、テトラメチレンクロロブロミド、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、ブロモクロロエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、ブロモナフタレン、ヘキサクロロエタン、ペンタメチレンクロロブロミド等を挙げることができる。
【0024】
上記アルコール(フェノールや、多価アルコールおよびその誘導体で水酸基を有する化合物を含む)としては、第1の製造方法で用いられるアルコールとして列挙したものと同様のものを好ましく挙げることができる。
上記エーテルおよびアセタールとしては、例えば、アニソール、エチルイソアミルエーテル、エチルt−ブチルエーテル、エチルベンジルエーテル、エピクロロヒドリン、エポキシブタン、クラウンエーテル類、クレジルメチルエーテル、酸化プロピレン、ジイソアミルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルアセタート、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジグリシジルエーテル、1,8−シネオール、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピフラン、トリオキサン、ビス(2−クロロエチル)エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、フラン、フルフラール、メチラール、メチル−t−ブチルエーテル、メチルフラン、モノクロロジエチルエーテル等を挙げることができる。
【0025】
上記ケトンおよびアルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセトフェノン、アセトン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ホロン、メシチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−ヘプチルケトン等を挙げることができる。
【0026】
上記エステルとしては、例えば、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アビエチン酸メチル、安息香酸イソアミル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、安息香酸プロピル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、ギ酸ヘキシル、ギ酸ベンジル、ギ酸メチル、クエン酸トリブチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸n−ブチル、酢酸s−ブチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸メチルシクロヘキシル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジアミル、シュウ酸ジエミル、シュウ酸ジブチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル、乳酸アミル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸メチル、ホウ酸エステル類、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジイソプロピル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、酪酸イソアミル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸メチル、リン酸エステル類等を挙げることができる。
【0027】
多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物としては、例えば、エチレンカーボナート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、両末端に水酸基を有しないポリ(オキシエチレン)誘導体、両末端に水酸基を有しないポリ(オキシプロピレン)誘導体等を挙げることができる。
【0028】
以下、第1の反応を利用して金属酸化物被覆粒子を製造する場合についてさらに詳しく説明する。
すなわち、前述のように、金属カルボン酸塩とアルコールとを含む混合物を、コア粒子の存在下で加熱して反応させる方法であり、この混合物は、非水溶媒等の反応溶媒(但し、アルコールは除く)をさらに含むものであってもよい。
第1の反応を利用して金属酸化物被覆粒子を製造する場合、金属カルボン酸塩の使用量は、コア粒子に対して、金属酸化物換算で15重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは100重量%以上である。金属カルボン酸塩の使用量を上記範囲を満たすようにすることによって、金属酸化物からなる被覆がコア粒子表面になされやすく、また、結晶性の金属酸化物により被覆されることになり、該被覆の効果を十分に得ることができる。また、上記金属カルボン酸塩の使用量が、コア粒子に対して、金属酸化物換算で15重量%未満であると、金属酸化物からなる被覆がコア粒子表面全体に均一にされにくくなるおそれがあり、全体でない場合であっても均一な分布でされないおそれがある上、結晶性の金属酸化物による被覆がされにくく好ましくない。
【0029】
第1の反応を利用する場合の加熱温度は、通常50℃以上であり、結晶性の高い粒子を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに結晶性の金属酸化物により被覆させるためには、100〜300℃の範囲であるのが好ましい。
第1の反応を利用する場合の具体的な操作手順については、特に限定はなく、例えば、(1a)金属カルボン酸塩とアルコールとコア粒子とを含む混合物を用意し、昇温して加熱する方法、(2a)加熱されたアルコールに金属カルボン酸塩とコア粒子とを混合する方法、(3a)加熱されたアルコールとコア粒子とに金属カルボン酸塩を混合する方法、(4a)反応溶媒と金属カルボン酸塩とを加熱しておき、これにアルコールとコア粒子とを混合する方法、(5a)反応溶媒と金属カルボン酸塩とコア粒子とを加熱しておき、これにアルコールを混合する方法、(6a)混合物を構成し得る各成分をそれぞれ加熱した状態のものとコア粒子とを混合する方法等を挙げることができる。また、上記(3a)や(5a)の方法においては、金属酸化物による被覆形成を徐々に行い、コア粒子の表面に均一な金属酸化物の被覆層を形成させるようにするため、(3a)では金属カルボン酸塩を、(5a)ではアルコールを、少量ずつパルス添加したり、ゆっくりと連続フィード添加したりすることが好ましい。
【0030】
本発明の製造方法においては、上記各操作手順のなかでも(3a)や(5a)の方法を用いることが好ましく、より好ましくは(3a)の方法であり、個々の単一のコア粒子の表面に、均一かつ効率的に金属酸化物を十分に被覆することができる。(3a)の方法を行うにあたっては、上述のように連続フィードやパルス添加により金属カルボン酸を混合(添加)することが好ましいが、金属カルボン酸の添加速度は、コア粒子1重量部に対し、金属酸化物換算で0.5部/分以下であることが好ましく、より好ましくは0.2部/分である。0.5部/分を超える場合は、コア粒子への被覆率が低下し、金属酸化物からなる微粒子が単独で生成し混在しやすくなるおそれがある。
【0031】
上記(2a)〜(6a)の方法、なかでも(3a)の方法においては、混合(添加)時(混合(添加)開始から終了まで)は反応温度を一定に保持することが好ましい。具体的には、所定の反応温度に対して±10℃の範囲に保持することが好ましく、より好ましくは±5℃、さらに好ましくは±2℃である。混合(添加)時の反応温度の変化が±10℃を超えると、コア粒子への被覆率が低下し、金属酸化物からなる微粒子が単独で生成し混在しやすくなるおそれがある。これは、特に反応温度の変化が+10℃を超えて上昇した場合に顕著となる。
第1の反応を利用する場合、前記混合物に含まれる水分が少ない方が、得られる金属酸化物被覆粒子の分散性が高まるために好ましい。具体的には、前記混合物が前記金属カルボン酸塩中の金属原子に対してモル比で1未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、水分がモル比で0.2未満であるとさらに好ましく、0.1未満であると特に好ましい。
【0032】
第1の反応における加熱反応は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、反応溶媒等の沸点が反応温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行えばよい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒の臨界点以下で行うが、超臨界条件で行うこともできる。
次に、第2の反応を利用して金属酸化物被覆粒子を製造する場合についてさらに詳しく説明する。
すなわち、前述したように、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物を含む混合物を、コア粒子の存在下で加熱して反応させる方法であり、この混合物は、非水溶媒等の反応溶媒等をさらに含むものであってもよい。
【0033】
第2の反応を利用して金属酸化物被覆粒子を製造する場合、金属アルコキシ基含有化合物の使用量は、コア粒子に対して、金属酸化物換算で15重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは100重量%以上である。金属アルコキシ基含有化合物の使用量を上記範囲を満たすようにすることによって、金属酸化物からなる被覆がコア粒子表面になされやすく、また、結晶性の金属酸化物により被覆されることになり、該被覆の効果を十分に得ることができる。また、上記金属アルコキシ基含有化合物の使用量が、コア粒子に対して、金属酸化物換算で15重量%未満であると、金属酸化物からなる被覆がコア粒子表面全体に均一にされにくくなるおそれがあり、全体でない場合であっても均一な分布でされないおそれがある上、結晶性の金属酸化物による被覆がされにくく好ましくない。
【0034】
第2の反応を利用する場合の加熱温度は、通常50℃以上であり、結晶性の高い粒子を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに分散性を向上させ得る結晶性の金属酸化物により被覆させるためには、100〜300℃の範囲であるのが好ましい。
第2の反応を利用する場合の具体的な操作手順については、特に限定はなく、例えば、(1b)金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とコア粒子とを含む混合物を用意し、昇温して加熱する方法、(2b)加熱されたカルボキシル基含有化合物に金属アルコキシ基含有化合物とコア粒子とを混合する方法、(3b)加熱されたカルボキシル基含有化合物とコア粒子とに金属アルコキシ基含有化合物を混合する方法、(4b)反応溶媒と金属アルコキシ基含有化合物とを加熱しておき、これにカルボキシル基含有化合物とコア粒子とを混合する方法、(5b)反応溶媒と金属アルコキシ基含有化合物とコア粒子とを加熱しておき、これにカルボキシル基含有化合物を混合する方法、(6b)混合物を構成し得る各成分をそれぞれ加熱した状態のものとコア粒子とを混合する方法等を挙げることができる。なかでも、(3b)や(5b)の方法においては、金属酸化物による被覆形成を徐々に行い、コア粒子の表面に均一な金属酸化物層を形成させるようにするため、(3b)では金属アルコキシ基含有化合物を、(5b)ではカルボキシル基含有化合物を、少量ずつパルス添加したり、ゆっくりと連続フィード添加したりすることが好ましい。
【0035】
本発明の製造方法においては、上記各操作手順のなかでも(3b)や(5b)の方法を用いることが好ましく、より好ましくは(3b)の方法であり、個々の単一のコア粒子の表面に、均一かつ効率的に金属酸化物を十分に被覆することができる。(3b)の方法を行うにあたっては、上述のように連続フィードやパルス添加により金属アルコキシ基含有化合物を混合(添加)することが好ましいが、金属アルコキシ基含有化合物の添加速度は、コア粒子1重量部に対し、金属酸化物換算で0.5部/分以下であることが好ましく、より好ましくは0.2部/分である。0.5部/分を超える場合は、コア粒子への被覆率が低下し、金属酸化物からなる微粒子が単独で生成し混在しやすくなるおそれがある。
【0036】
上記(2b)〜(6b)の方法、なかでも(3b)の方法においては、上記第1の反応を利用する場合と同様に、混合(添加)時(混合(添加)開始から終了まで)は反応温度を一定に保持することが好ましい。具体的には、所定の反応温度に対して±10℃の範囲に保持することが好ましく、より好ましくは±5℃、さらに好ましくは±2℃である。混合(添加)時の反応温度の変化が±10℃を超えると、コア粒子への被覆率が低下し、金属酸化物からなる微粒子が単独で生成し混在しやすくなるおそれがある。これは、特に反応温度の変化が+10℃を超えて上昇した場合に顕著となる。
【0037】
第2の反応を利用する場合、上記第1の反応を利用する場合と同様に、前記混合物に含まれる水分が少ない方が、得られる金属酸化物の分散性が高まるために好ましい。具体的には、前記混合物が前記金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子に対してモル比で1未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、水分がモル比で0.2未満であるとさらに好ましく、0.1未満であると特に好ましい。
第2の反応における加熱反応は、第1の反応と同様に、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、反応溶媒等の沸点が反応温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行えばよい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒の臨界点以下で行うが、超臨界状態で行うこともできる。
【0038】
第1および第2の反応を利用する場合においては、前述した混合物の加熱反応時やコア粒子の配合時は、常に撹拌していることが好ましい。撹拌しながら反応を行うことにより、個々の単一のコア粒子の表面に、均一に金属酸化物を被覆することができる。上記撹拌に関しては、撹拌所要動力を1kW/m以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5kW/m以下、さらに好ましくは0.1kW/m以下である。撹拌所要動力が、1kW/mを超える場合、得られる金属酸化物被覆粒子どうしが2次凝集してしまう、あるいは、コア粒子どうしが2次凝集したような状態で含まれた(コア粒子が複数含有された)金属酸化物被覆粒子となるおそれがある。
【0039】
第1あるいは第2の反応を利用することにより金属酸化物被覆粒子を調製した後の調製液は、そのまま、あるいは濃縮して溶媒分散体や可塑剤分散体として使用することができるほか、バインダー成分(樹脂成分)を加えて成膜用組成物(塗料組成物)とし、これを基材に塗布して微粒子分散膜を形成したり、あるいは、同様にバインダー成分(樹脂成分)などに含有させて成形用樹脂組成物などとすることができる。また、濃縮乾固や遠心分離で溶媒を除去した後、加熱や乾燥をして微粒子粉体として取り扱うこともできる。
本発明の製造方法により得られる金属酸化物被覆粒子は、本体粒子となる所望のコア粒子の表面に金属酸化物が被覆してなる、いわゆる表面改質粒子であることが好ましい。
【0040】
上記被覆は、コア粒子の表面全体になされていてもよいし、一部になされていてもよく、特に限定はされないが、表面全体になされていることが好ましい。本発明の製造方法によれば、容易に、コア粒子の表面全体を金属酸化物で被覆することができる。また、コア粒子の表面の一部が被覆されている場合は、被覆部分がコア粒子表面に平均的に散らばって存在していることが好ましい。被覆の厚みについてはどの被覆部分においてもほぼ同じであることが好ましい。本発明の製造方法によれば、容易に、金属酸化物による被覆の厚みを均一にすることができる。
【0041】
本発明において被覆に供する金属酸化物としては、ZnO、In、SiO等の化学量論組成からなる酸化物以外に、ZnO0.98などの酸素欠陥や金属欠陥などのある不定比組成の酸化物や、酸化物の内部または表面が部分的に金属水酸基、金属アルコキシ基および金属カルボン酸基などになっているものも含まれる。さらに、前述した第2の反応で用いる金属アルコキシ基含有化合物として上記一般式(1)(ただしm≠0)で表される化合物を用いた場合、被覆に供する金属酸化物にはRが結合状態で含有される粒子状又は非粒子状のメタロキサン化合物となるが、このような酸化物形態も本発明でいう金属酸化物に含まれるものとする。
【0042】
また、被覆に供する金属酸化物は、粒子状の金属酸化物が凝集した形態であっても、粒子界面の無い膜構造であってもよく、特に限定はされない。
被覆に供する金属酸化物は、結晶性あるいは非結晶性のいずれの金属酸化物であってもよいが、好ましくは結晶性の金属酸化物である。結晶性はX線回折測定または電子線回折測定により判定される。被覆に供する金属酸化物が結晶性であることによって、光学的特性や電子伝導性および磁気的特性等の各種機能が付加され得るため、より付加価値の高い粒子または金属酸化物被覆粒子となることが期待される。
【0043】
本発明の製造方法により得られる金属酸化物被覆粒子は、単一のコア粒子が金属酸化物により被覆されたものである。本発明の製造方法によれば、製造時においてコア粒子が凝集(2次凝集)等をすることにより、複数のコア粒子が含有されている金属酸化物被覆粒子が得られることを、効果的に無くすことができる。本発明の製造方法により得られる金属酸化物被覆粒子においては、金属酸化物の被覆量(被覆に供する金属酸化物の含有割合)は、特に限定はされないが、本体粒子となるコア粒子に対する重量割合で、15重量%以上であることが好ましく、より好ましくは15〜100000重量%、さらに好ましくは50〜10000重量%、特に好ましくは100〜1000重量%である。上記重量割合が、15重量%未満の場合は、結晶性の金属酸化物による被覆がされにくくなることに加え、コア粒子表面全体に均一に被覆されにくくなり、全体でない場合は均一な分布で被覆されないおそれがある。一方、上記重量割合の値が、大きすぎる場合は、得られる金属酸化物被覆粒子の単位重量あたりのコア粒子の機能が小さくなり非経済的となるおそれがある。
【0044】
本発明の製造方法により得られる金属酸化物被覆粒子の単分散度は、20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、さらにより好ましくは5以下である。上記単分散度が20を超える場合は、例えば、凝集に起因する光の散乱効果により、また、膜に含有させている場合は不均一分散の膜となることにより、金属酸化物被覆粒子の特有の機能が十分に発揮されないおそれがある。
単分散度とは、分散粒径/1次粒子径で示され、ここで、1次粒子径とはTEM像より求められる、凝集していない単一粒子の平均粒子径(測定個数:50個)である。
【0045】
本発明の製造方法により得られる金属酸化物被覆粒子の1次粒子径(結晶子径)は、特に限定はされないが、1μm以下が好ましく、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは20nm以下である。上記1次粒子径が1μm以下であると、該粒子を含有する膜や樹脂成形体等の透明性が保たれるため好ましい。
本発明の製造方法により得られる金属酸化物被覆粒子は、被覆に供する金属酸化物の機能に応じて各種機能分野で用いる機能性の塗料、膜あるいは成形体として用いることができる。発揮されるそれぞれの機能に応じて、被覆に供する金属酸化物の種類を挙げれば、例えば、以下のとおりである。
【0046】
高屈折率機能:酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ランタンおよび酸化イットリウムや、これらの酸化物に異種金属をドープしてなるもの。
紫外線吸収機能:酸化チタン、酸化第1鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム。
赤外線吸収機能:酸化インジウムにTiやSn等の4価金属元素またはフッ素を固溶した酸化インジウム系固溶体、酸化第2スズにPやSb等の5価金属元素またはフッ素を固溶した酸化第2スズ系固溶体、酸化亜鉛にAlやIn等の3価金属元素を固溶した酸化亜鉛系固溶体。
【0047】
電気伝導機能:上記の酸化インジウム、酸化第1スズ、酸化第2スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅などのn型、p型半導体として知られる酸化物およびこれらにドーパントまたはアクセプターとなる金属元素を固溶した固溶体、亜酸化銅、チタンブラック等の如く安定な酸化物を還元処理して得られるような低原子価金属の酸化物などの電子伝導性酸化物;酸化ジルコニウム等のイオン伝導性酸化物。
熱伝導機能;アルミナ、酸化亜鉛。
磁気機能:マグネタイト、マンガンフェライト、ニッケルフェライトなどの強磁性酸化物。
【0048】
光触媒機能:酸化チタン、酸化亜鉛。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。また、「重量%」を単に「wt%」と記すことがある。
−実施例1−
1Lのステンレス(SUS316)製反応器を有する反応装置を用意した。なお、このステンレス製反応器は、撹拌機付き添加槽とそれに直結する添加口および温度計を備え、外部より加熱することができ、耐圧性能10MPaの反応器である。
【0050】
反応器内に、コア粒子とする酸化インジウム微粒子(結晶子径Dw=6nm)10部をn−ブタノール1000部に分散した分散液(1a)を仕込み、撹拌しながら200℃に昇温して、200℃±2℃で保持した。
一方、添加槽に、酢酸インジウム無水物150部、スズテトライソプロポキシド11部およびn−ブタノール159部からなる懸濁液を仕込んだ。
分散液(1a)を撹拌しながら、反応器内に、添加槽から懸濁液を20分間隔で40部ずつ8回に分けて添加した。各添加は、すべて一括添加により行った。8回目の添加終了後、200℃±2℃で5時間保持した後、冷却して、反応を終了し、微粒子を含む反応液(1)を得た。
【0051】
添加開始から反応終了までの撹拌所要動力は、0.01〜0.02kw/mであった。
得られた反応液(1)中の微粒子をTEMで観察した結果、平均粒子径(1次粒子径の数平均粒子径。以下、各実施例・比較例において同様とする。)は11nmであり、分散性に優れており、分散粒子径を動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所社製、製品名:LB−500)により測定した結果、分散粒子径は0.1μm以下であった。
得られた反応液(1)中の微粒子を遠心分離操作で分離し、80℃で真空乾燥したものをX線回折測定した結果、酸化インジウムに帰属されるシャープな回折ピークパターンが得られ、アモルファス状物質の存在に基づく低角側のブロードなピークパターンは認められなかった。
【0052】
また、反応液(1)に含まれる微粒子について、分解能1nmφのXMA装置(X線マイクロアナライザー)付帯してなるFE−TEM(電界放射型透過型電子顕微鏡)により観察しながら、該粒子を元素分析した結果、どの微粒子も、粒子表面から厚み2〜3nmの部分において、SnをInに対して5原子%含有する酸化インジウム微粒子であることが確認され、どの微粒子においても均一な分布と厚みで被覆がなされていた。
−実施例2−
実施例1と同様の反応装置を用意した。
【0053】
反応器内に、コア粒子とするInドープZnO微粒子(In含有量:In/Zn=3原子%;粉末X線回折測定(Sherrer法)により得られた結晶子径:D(100)=24nm、D(002)=10nm(ここで、D(100)は格子面(100)面に垂直な方向の結晶子径、D(002)は格子面(002)面に垂直な方向の結晶子径))10部をプロピレングリコールモノエチルエーテル1000部に分散した分散液(2a)を仕込み、撹拌しながら200℃に昇温して、200℃±2℃で保持した。
一方、添加槽に、酢酸亜鉛200部、酢酸インジウム10部、プロピレングリコールモノエチルエーテル240部からなる懸濁液を仕込んだ。
【0054】
分散液(2a)を撹拌しながら、反応器内に、添加槽から懸濁液を10分間隔で50部ずつ9回に分けて添加した。各添加は、すべて一括添加により行った。9回目の添加終了後、200℃±2℃で5時間保持した後、冷却して、反応を終了し、微粒子を含む反応液(2)を得た。
添加開始から反応終了までの撹拌所要動力は、0.001〜0.002kw/mであった。
得られた反応液(2)中の微粒子をTEMで観察した結果、微粒子形状は薄片状であると認められ、平均粒子径は70nmであり、また、コア粒子として用いたInドープZnO微粒子のTEM像との対比から、反応後まで反応前の状態のまま残存している粒子は無く、コア粒子として用いたすべてのInドープZnO微粒子において実質的に均一な結晶成長が認められた。
【0055】
また、反応液(2)に含まれる微粒子について、分解能1nmφのXMA装置(X線マイクロアナライザー)付帯してなるFE−TEM(電界放射型透過型電子顕微鏡)により観察しながら、該微粒子を元素分析した結果、どの微粒子も、In含有量がZnに対して3原子%であった。
得られた反応液(2)中の微粒子を遠心分離操作で分離し、80℃で真空乾燥したものをX線回折測定した結果、D(100)=72nm、D(002)=11nmであり、また、酸化亜鉛に帰属されるシャープな回折ピークパターンのみ得られ、アモルファス状物質の存在に基づく低角側のブロードなピークパターンは認められなかった。
【0056】
したがって、反応液(2)中の微粒子は、コア粒子として用いたInドープZnO微粒子が、格子面(002)面に選択的に結晶成長した薄片状の結晶性のInドープZnO微粒子であることが確認された。
−比較例1−
実施例1と同様の反応装置を用意した。
反応器内に、コア粒子とする酸化インジウム微粒子(結晶子径Dw=6nm)10部を、n−ブタノール1000部と水55部とを混合した分散媒に分散した分散液(1ca)を仕込み、撹拌しながら常温(約22℃)で保持した。
【0057】
一方、添加槽に、インジウムトリ(メトキシエトキシド)を175部、スズテトライソプロポキシド11部およびn−ブタノール159部からなる懸濁液を仕込んだ。
分散液(1ca)を撹拌しながら、反応器内に、添加槽から懸濁液を一定速度で1時間かけて添加した。
添加終了後、5時間保持して反応を終了し、微粒子を含む反応液(1c)を得た。
添加開始から反応終了までの撹拌所要動力は、0.01〜0.02kw/mであった。
【0058】
得られた反応液(1c)は凝集体スラリー状であり、該反応液(1c)中の微粒子をTEMで観察した結果、球状から不定形の粗大な凝集体であることが確認された。
得られた反応液(1C)中の微粒子を遠心分離操作で分離し、80℃で真空乾燥したものをX線回折測定した結果、アモルファス状物質が多く存在することに基づく低角側のブロードなピークパターンが認められた。
−実施例3−
実施例1と同様の反応装置を用意した。
【0059】
反応器内に、コア粒子とするZnO微粒子(結晶子径Dw=10nm)50部をメタノール1000部に分散した分散液(3a)を仕込み、撹拌しながら200℃に昇温して、200℃±2℃で保持した。
一方、添加槽に、酢酸ビスマス80部(金属酸化物換算した場合に、ZnO微粒子とのモル比がBi/ZnO=1/1となる)、酢酸亜鉛無水物2部およびメタノール80部からなる懸濁液を仕込んだ。
分散液(3a)を撹拌しながら、反応器内に、添加槽から懸濁液を一定速度で2時間かけて添加した。
【0060】
添加終了後、200℃±2℃で5時間保持した後、冷却して、反応を終了し、微粒子を含む反応液(3)を得た。
添加開始から反応終了までの撹拌所要動力は、0.07〜0.08kw/mであった。
得られた反応液(3)中の微粒子をTEMで観察した結果、平均粒子径は13nmであり、分散性に優れていた。
また、反応液(3)に含まれる微粒子について、分解能1nmφのXMA装置(X線マイクロアナライザー)付帯してなるFE−TEM(電界放射型透過型電子顕微鏡)により観察しながら、該粒子を元素分析した結果、どの微粒子も、粒子表面が均一な分布と厚みで酸化ビスマス(III)により被覆されているZnO微粒子であることが確認された。
【0061】
得られた微粒子は黄色であった。また、粉末拡散反射率測定装置(島津製作所社製の積分球付属装置、製品名:ISR−3100)を試料室に取り付けた自記分光光度計(島津製作所社製、製品名:UV−3100)より、420nm以下の短波長可視光ならびに紫外線を吸収する微粒子であることが確認された。
−実施例4−
実施例1と同様の反応装置を用意した。
反応器内に、コア粒子とするCu微粒子(平均粒子径:0.2μm)50部をプロピレングリコールモノメチルエーテル1000部に分散した分散液(4a)を仕込み、撹拌しながら200℃に昇温して、200℃±2℃で保持した。
【0062】
一方、添加槽に、酢酸亜鉛無水物36部(金属酸化物換算した場合に、Cu微粒子に対してZnO/Cu=32wt%となる。)およびプロピレングリコールモノメチルエーテル84部からなる懸濁液を仕込んだ。
分散液(4a)を撹拌しながら、反応器内に、添加槽から懸濁液を10分間隔で6部ずつ20回に分けて添加した。各添加は、すべて一括添加により行った。10回目の添加終了後、200℃±2℃で1時間保持した後、冷却して、反応を終了し、微粒子を含む反応液(4)を得た。
添加開始から反応終了までの撹拌所要動力は、0.2〜0.3kw/mであった。
【0063】
得られた反応液(4)中の微粒子をTEMで観察した結果、平均粒子径は0.23μmであり、分散性に優れていた。
また、反応液(4)に含まれる微粒子について、分解能1nmφのXMA装置(X線マイクロアナライザー)付帯してなるFE−TEM(電界放射型透過型電子顕微鏡)により観察しながら、該粒子を元素分析した結果、どの微粒子も、粒子表面が均一な分布と厚みで酸化亜鉛により被覆されていているCu微粒子であることが確認され、Cu微粒子に対する酸化亜鉛の重量割合は30重量%であった。また、微粒子を粉末X線回折により分析した結果、被覆は、結晶性の酸化亜鉛によりなさていることが確認された。さらに、微粒子をイオンクロマト分析ならびにTG−DTA分析した結果より、被覆は、アセトキシ基がZnに対して4モル%結合した酸化亜鉛によりなさていることが確認された。
【0064】
−実施例5−
実施例1と同様の反応装置を用意した。
反応器内に、コア粒子とするアナタース型チタニア微粒子(結晶子径Dw=6nm)30部を酢酸ブチル1000部に分散した分散液(5a)を仕込み、撹拌しながら180℃に昇温して、180℃±2℃で保持した。
一方、添加槽に、メチルトリメトキシシラン30部、酢酸54部および酢酸ブチル66部からなる懸濁液を仕込んだ。
分散液(5a)を撹拌しながら、反応器内に、添加槽から懸濁液を一定速度で80分かけて添加した。
【0065】
添加終了後、180℃±2℃で1時間保持した後、冷却して、反応を終了し、微粒子を含む反応液(5)を得た。
添加開始から反応終了までの撹拌所要動力は、0.001〜0.002kw/mであった。
得られた反応液(5)中の微粒子をTEMで観察した結果、平均粒子径は8nmであった。
また、反応液(5)に含まれる微粒子について、分解能1nmφのXMA装置(X線マイクロアナライザー)付帯してなるFE−TEM(電界放射型透過型電子顕微鏡)により観察しながら、該粒子を元素分析した結果、どの微粒子も、粒子表面が均一な分布と厚みでメチルトリメトキシシランの加水分解縮合物により被覆されているアナタース型チタニア微粒子で、アナタース型チタニア微粒子に対する上記縮合物の割合をSi/Ti(モル比)で表した場合0.58であり、ほぼ球状の微粒子であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明にかかる金属酸化物被覆粒子の製造方法によれば、金属酸化物をコア粒子の表面に十分な厚みで均一に被覆することができるとともに、この被覆に際してコア粒子を凝集させることなく、個々のコア粒子に対してその表面に容易かつ均一に金属酸化物を被覆することができる。

Claims (3)

  1. コア粒子の存在下で、金属カルボン酸塩とアルコールとを含む混合物、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを含む混合物を加熱することにより、前記コア粒子の表面に金属酸化物を被覆させる、金属酸化物被覆粒子の製造方法。
  2. 前記金属酸化物が結晶性である、請求項1に記載の金属酸化物被覆粒子の製造方法。
  3. 前記金属酸化物の前記コア粒子に対する重量割合が15重量%以上である、請求項1または2に記載の金属酸化物被覆粒子の製造方法。
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