JP4056272B2 - 紫外線発光体および紫外線発光体用酸化亜鉛粒子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線発光体および紫外線発光体用酸化亜鉛粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、酸化亜鉛粒子は、加硫促進助剤等のゴム用添加剤、紫外線吸収剤、各種塗料、印刷インキ、絵の具、ガラス、触媒、医薬品、顔料、フェライト等の原料等に用いられ実用化されており、これら用途に応じて、乾式法あるいは湿式法により製造されている。
一方、酸化亜鉛粒子は、亜鉛と酸素の比を制御したり、異種金属を固溶化させることによって、青色〜緑色の蛍光体となることが知られている。また、酸化亜鉛は、その励起子結合エネルギーの高さゆえ、常温下で、青色〜紫外域の短波長発光をし得る材料として期待され、このような短波長発光デバイスは、光メモリーの高密度化、蛍光体励起用光源、医療応用、環境センサー等の様々な分野から次世代光情報技術に不可欠なデバイスとして強く要望されていた。さらに、特にこの波長域のLEDは、長寿命、高効率、低消費電力、小型軽量等の半導体発光デバイスの特徴を生かして、液晶ディスプレイ等の表示素子や蛍光灯等の照明用デバイスとしても強く期待されていた。しかしながら、これまで実際そのような特性をもった酸化亜鉛は得られていなかった。
【0003】
ところが、近年における単結晶成長技術の発達によって、特定の方法(MBE法)による特殊な酸化亜鉛膜の形成が可能となり、薄膜という条件下に限っては、常温下での紫外線領域の発光ならびに誘導放出するものが確認された。
しかし、上記種々の用途のみならず各種用途での利用価値の高い、粒子状の酸化亜鉛であって、常温下で紫外線励起した場合に、酸化亜鉛粒子のみで上述のような紫外線領域の短波長発光のみを選択的に可能とし得るもの(紫外線領域のみに発光スペクトルのピークトップを有するもの)は無かった。
また、常温下で紫外線励起した場合に、紫外線領域の短波長発光をし得る(紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有する)酸化亜鉛粒子を用いてなる発光体であって、発光体自体も紫外線領域の短波長発光をし得る(紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有する)発光体はこれまで全く提案されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、常温下で紫外線光で励起した場合に、紫外線領域の短波長発光をし得る(紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有する)酸化亜鉛粒子を用いてなる発光体、および、常温下で紫外線光で励起した場合に、可視光の発光を含まず紫外線領域の短波長発光のみを選択的に可能とする(可視光領域には発光スペクトルのピークトップを有さずに紫外線領域のみに発光スペクトルのピークトップを有する)紫外線発光体用酸化亜鉛粒子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、従来公知の酸化亜鉛においてよく知られている、いわゆるグリーン発光(青色〜緑色の発光)は、不純物の存在や酸素欠陥によるものではないか、また、酸化亜鉛粒子の表面には、通常、表面水酸基や配位不飽和な亜鉛原子が存在し、該粒子表面が粒子内部とはエネルギー準位の異なる表面準位を形成し得るため、無輻射遷移やグリーン発光の原因となっているのではないかと推測した。
かかる知見に基づき、本発明者は、酸化亜鉛粒子の組成、結晶性、表面準位等について上記推測にかかる問題を解消するように制御された粒子およびその合成法など検討することにより、上記課題を解決し得る酸化亜鉛粒子を得たことを確認して、本発明を完成するに至った。
【0006】
また、これまでに全く考えられていなかった新規な紫外線発光体として、常温下で紫外線励起により紫外線領域の短波長発光をし得る酸化亜鉛粒子を用いてなる紫外線発光体を得、その紫外線領域の発光特性等を確認して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる紫外線発光は、
常温下において紫外線光で励起したときに紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、アルカリ金属元素および/またはハロゲン元素を実質的に含有しない酸化亜鉛粒子を用いてなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる紫外線発光体用酸化亜鉛粒子は、
常温下において紫外線光で励起したときに紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有するが波長0.4〜0.6μm域には発光スペクトルのピークトップを有さず、かつ、アルカリ金属元素および/またはハロゲン元素を実質的に含有しないことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる紫外線発光体および紫外線発光体用酸化亜鉛粒子について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
〔紫外線発光体用酸化亜鉛粒子〕
本発明にかかる紫外線発光体用酸化亜鉛粒子(以下、本発明の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子、または、本発明の酸化亜鉛粒子と称することがある。)は、常温下で、紫外線光で励起したときに、紫外線領域に発光(蛍光)スペクトルのピークトップを有するが、可視光領域(具体的には、波長0.4〜0.6μm域)には発光(蛍光)スペクトルのピークトップを有しない酸化亜鉛粒子であり、かつ、アルカリ金属元素および/またはハロゲン元素を実質的に含有しない酸化亜鉛粒子である。なお、ピークトップとは、発光スペクトル全体において単一ピークしかない場合のピークや、ピークが複数ある場合の最大ピーク等を指していうものではなく、単一でも複数でも発光のピークと判断できるものは全て含むものとする。
【0009】
また、上記アルカリ金属元素とは、周期律表IA元素であるLi、Na、K、Rb、Cs、Frからなる群より選ばれる少なくとも1種を意味し、上記ハロゲン元素とは、周期律表VIIB族元素であるF、Cl、Br、Iのハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも1種を意味する。
これらの元素を粒子表面または内部に含有する酸化亜鉛粒子は、本発明の酸化亜鉛粒子から除くが、その理由としては、これらの元素は、発光体素子を構成する他の材料の電子物性等に悪影響を与えることがあり好ましくないということが挙げられる。
【0010】
また、実質的に含有しないとは、たとえ含有していても、酸化亜鉛粒子の発光特性に悪影響を与えない範囲で含有するという意味である。
励起源となり得る上記紫外線光としては、紫外線領域の波長光を発光する光源であれば、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ヘリウム−カドミウムレーザー(He−Cdレーザー)、キセノンアークランプ、紫外線ランプなどで波長360nm以下の発光波長を有し得る短波長紫外線発光体が好ましく、その他、CRTやFEDで励起源として使用される加速電子線、電界発光などで用いられる励起源も好ましく使用できる。
【0011】
詳しくは、例えば、本発明の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子は、常温下(300K)の温度下で、石英ガラス基板上に試料となる粒子状酸化亜鉛(酸化亜鉛粒子)を配置し、配置した酸化亜鉛粒子に紫外線光(波長340nm)を照射した、という条件のもとで、基板からの発光スペクトル以外に紫外線発光(UV発光)のピークトップのみを確認することのできる酸化亜鉛粒子をいうとする。あるいは、石英ガラス製の分光分析セルに酸化亜鉛粒子の溶媒分散体を入れ、紫外線光(波長340nm)を照射したという条件の下で、セルおよび溶媒からの発光スペクトル以外に、紫外線発光のピークトップのみを確認することのできる酸化亜鉛粒子をいうとする。
【0012】
本発明の酸化亜鉛粒子においては、常温(300K)の下で確認することのできる紫外線発光(UV発光)のピークトップの位置(エネルギー)は、400nm未満(3.1eV超)であり、好ましくは379nm以下(3.27eV以上)、より好ましくは377nm以下(3.29eV以上)である。
また、低温(液体窒素温度:77K)下で確認することのできる紫外線発光(UV発光)のピークトップの位置(エネルギー)は、400nm未満(3.1eV超)であり、好ましくは372nm以下(3.33eV以上)、より好ましくは370nm以下(3.35eV以上)である。
【0013】
本発明の酸化亜鉛粒子は、常温下で紫外線光により励起した場合の発光スペクトルが、可視光領域、特に、波長0.4〜0.6μm域には、発光ピークトップを有しない酸化亜鉛粒子であるが、400nm以上の波長域全てにおいて発光スペクトルのピークトップを全く有しないものであることが好ましい。また、より好ましくは、液体窒素温度77Kにおいて紫外線光により励起した場合の発光スペクトルが、可視光領域、特に、波長0.4〜0.6μm域には、発光ピークトップを有しないことであり、さらにより好ましくは、温度4Kにおいて紫外線光により励起した場合の発光スペクトルが、可視光領域、特に、波長0.4〜0.6μm域には、発光ピークトップを有しないことである。
【0014】
本発明の酸化亜鉛粒子は、特に限定はされないが、常温下で紫外線光により励起した場合の発光スペクトルが、実質的に単一のピークからなることが好ましく、LOフォノン放出を伴う発光ピークなどのピークを有しないことが好ましい。また、より好ましくは、液体窒素温度77Kにおいて紫外線光により励起した場合の発光スペクトルが、実質的に単一のピークからなることであり、さらにより好ましくは、温度4Kにおいて紫外線光により励起した場合の発光スペクトルが、実質的に単一のピークからなることである。
本発明の酸化亜鉛粒子は、特に限定はされないが、常温(300K)の下で確認できる波長400nm未満の発光ピークは、半値幅が50nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下、さらにより好ましくは20nm以下である。
【0015】
また、低温(77K)の下で確認できる波長400nm未満の発光ピークは、半値幅が30nm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm以下、さらにより好ましくは10nm以下である。
また、低温(4K)の下で確認できる波長400nm未満の発光ピークは、半値幅が20nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以下、さらにより好ましくは5nm以下である。
本発明の酸化亜鉛粒子は、特に限定はされないが、波長400nm未満の発光ピークの温度消光の程度が小さいことが好ましい。つまり、極低温における励起子による波長400nm未満の発光ピークの発光強度およびピークのシャープさが、常温においても可能な限り保持されることが好ましい。
【0016】
具体的には、本発明の酸化亜鉛粒子は、77Kにおける波長400nm未満の発光ピークの発光強度(I(77K))と、300Kにおける波長400nm未満の発光ピークの発光強度(I(300K))との比が、
I(300K)/I(77K)>0.1
を満足することが好ましい。上記発光強度の比I(300K)/I(77K)は、より好ましくは0.3以上である。
また、4Kにおける波長400nm未満の発光ピークの発光強度(I(4K))と、300Kにおける波長400nm未満の発光ピークの発光強度(I(300K))との比が、
I(300K)/I(4K)>0.002
を満足することが好ましい。上記発光強度の比I(300K)/I(4K)は、より好ましくは0.01以上である。
【0017】
なお、上記発光強度の比(発光強度比)を算出するにあたって、発光強度とは、発光スペクトルのピークトップの高さ(a.u.)とそのピークの半値幅(nm)との積で求まる値である。
本発明の酸化亜鉛粒子は、温度4K〜100Kにおいて、紫外線光により励起した場合に、発光スペクトルのピークトップの位置が、常に、より高エネルギー側にあることが好ましく、具体的には、3.1〜3.44eVの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは3.32eV以上、さらにより好ましくは3.35eV以上である。
【0018】
本発明の酸化亜鉛粒子は、X線回折学的に酸化亜鉛結晶性を示す酸化亜鉛粒子であることが好ましい。この酸化亜鉛粒子に対して、粉末X線回折を行い、シェラー(Scherrer)法(コーシー(Cauchy)関数近似)を用いて各格子面に対して垂直方向の結晶子の大きさDs(hkl)を求めた場合、発光強度が高い点で、Ds(002)/Ds(110)>1.0を満足することが好ましく、より好ましくはDs(002)/Ds(110)>2.0、さらにより好ましくはDs(002)/Ds(110)>3.0、特に好ましくはDs(002)/Ds(110)>5.0である。
【0019】
また、この酸化亜鉛粒子に対して、粉末X線回折を行い、シェラー(Scherrer)法(コーシー(Cauchy)関数近似)により測定したミラー指数(110)面に垂直な方向の結晶子径Ds(110)が、50nm未満であることが好ましく、より好ましくは20nm未満、さらにより好ましくは10nm未満である。
また、本発明の酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛結晶の結晶化度が高いことが好ましく、具体的には、90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上である。
【0020】
本発明にかかる酸化亜鉛粒子の結晶子形状は、特に限定されるわけではなく、例えば、球状、楕円球状、立方体状、直方体状、多面体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、(六角)板状等の薄片状や、過飽和度の高い条件下で結晶の稜や角が優先的に伸びて生成した樹枝状、骸晶状などを挙げることができるが、なかでも、紫外線の発光効率が高い点や、2次凝集が見られない発光体が得られやすい点で、非球状であることが好ましい。特に、柱状や針状が好ましく、なかでも柱状がより好ましい。また、柱状には、その両端部のうち少なくとも一端部が円錐状または角錐状などのような突出した形状になっている形態や、一端部が平面状で他端部が上記突出した形状の形態等も含まれる。格子面(002)面に垂直な方向に、選択的に成長した形態が好ましい。すなわち、C軸に平行な結晶面(110)面や(100)面の、(002)面に対する表面積比が大きい粒子が好ましい。ここで、格子面(002)の形状は任意であり、たとえば、円(粒子の形態は、円柱状になる)、六角形等の多角形(六角形の場合は、粒子の形状は六角柱状)であってもよい。
【0021】
本発明の酸化亜鉛粒子は、優れた分散性を有し、2次凝集するものでないことが好ましい、すなわち、結晶子1個で(単結晶体として)分散していることが好ましい。また、基体(基材)上や基体(基材)中で2次凝集せずに酸化亜鉛粒子が分散していることが好ましい。
本発明の酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛結晶性を損なわない範囲で有機基を含有してもよい。こここでいう有機基は、酸化亜鉛粒子空気中で10℃/minで昇温したときに、200℃以下の温度では脱離しないものをいい、具体的には、カルボン酸(残)基やアルコキシ基などを挙げられる。
【0022】
上記カルボン酸(残)基は、−COO−基を意味し、具体的には、カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート基(−COO−)、加水分解によってカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を生成するエステル基等であることが好ましい。
カルボン酸(残)基は、吸着および/または化学結合等して酸化亜鉛粒子の表面に存在することによって、酸化亜鉛粒子の2次凝集が抑えられ、その分散性が向上する。カルボン酸(残)基としては、飽和脂肪酸(残)基が好ましい。
上記アルコキシ基としては、脂肪族アルコール、グリコールエーテルに由来するアルコキシ基が好ましい。これらのアルコキシ基は、吸着および/または化学結合等して酸化亜鉛粒子の表面に存在することによって、酸化亜鉛粒子の2次凝集が抑えられ、その分散性が向上する。
【0023】
カルボン酸(残)基の含有量またはアルコキシ基の含有量は、好ましくは酸化亜鉛に対し、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
また、酸化亜鉛粒子は、炭酸基を含有してもよく、その含有量は、酸化亜鉛に対する重量比で10%以下、好ましくは3%以下である。
本発明の酸化亜鉛粒子は、発光体における基体(基材)上または基体(基材)中における分散性を向上する目的で、後述の製造方法で詳述する表面処理剤で処理されているものであってもよい。
【0024】
上記本発明の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子を容易に得させる方法として、次のような製造方法を挙げることができる。
すなわち、本発明の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子は、カルボン酸亜鉛塩とアルコールとを含む混合物を加熱することにより、酸化亜鉛結晶の生成反応を行い、得ることができる。
上記カルボン酸亜鉛塩としては、具体的には、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、飽和モノカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、飽和多価カルボン酸、不飽和多価カルボン酸などの鎖式カルボン酸;環式飽和カルボン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族不飽和多価カルボン酸などの芳香族カルボン酸;分子内にヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物などの亜鉛塩;などを好ましく用いることができるが、特にこれらに限定はされるわけではない。なかでも、下記一般式(I):
Zn(O)p(OCOR)x(OH)y(OR’)z (I)
(ただし、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;R’は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;p、x、yおよびzは、p=(2−x−y−z)/2、x+y+z≦2、0<x≦2、0≦y<2、0≦z<2を満たす。)
で示される化合物のようにカルボン酸残基の一部が水酸基で置換されたものや、後述のカルボキシル基含有化合物の亜鉛塩や、塩基性酢酸塩、など好ましく挙げることができる。なお、上記カルボン酸亜鉛塩は、結晶水を含むカルボン酸亜鉛塩の水和物であってもよいが、無水物であることが好ましい。また、上記カルボン酸亜鉛塩は、溶解性に富むものが好ましい。これらカルボン酸亜鉛塩は1種のみ用いても2種以上併用してもよい。
【0025】
上記カルボキシル基含有化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸(飽和モノカルボン酸)、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸(不飽和モノカルボン酸)、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、β,β−ジメチルグルタル酸等の飽和多価カルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸等の鎖式カルボン酸類、シクロヘキサンカルボン酸等の環式飽和カルボン酸類、安息香酸、フェニル酢酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の不飽和多価カルボン酸等の芳香族カルボン酸類、無水酢酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物、トリフルオロ酢酸、o−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、 アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、アニス酸(p−メトキシ安息香酸)、トルイル酸、乳酸、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)等の分子内にカルボキシル基以外のヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等、重合体原料として上記不飽和カルボン酸を少なくとも1つ有する重合体を挙げることができる。
【0026】
上記アルコールとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アルコール(アリルアルコール、プロパギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価アルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、メチルフェニルカルビトール等)、フェノール類(複素環式1価アルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコール類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、芳香環を有する脂肪族グリコール類(ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、フタリルアルコール等)、脂環式グリコール類(シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等の上記グリコール類のモノエーテルおよびモノエステル等の誘導体;ヒドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールおよびこれらのモノエーテルおよびモノエステル;グリセリン等の3価アルコールおよびこれらのモノエーテル、モノエステル、ジエーテルおよびジエステル等を挙げることができる。これらアルコールは1種のみ用いても2種以上併用してもよい。
【0027】
上記カルボン酸亜鉛塩とアルコールとを含む混合物については、特に限定はないが、アルコールの量を、上記カルボン酸亜鉛塩の亜鉛換算原子数に対してモル比で2〜1000とすることが好ましい。
上記混合物はさらに反応溶媒等を含むものであってもよい。
反応溶媒の使用量については、特に限定はないが、具体的には、全てのカルボン酸亜鉛塩とアルコールと反応溶媒との合計量に対して、全てのカルボン酸亜鉛塩の合計濃度が0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。これによって、酸化亜鉛粒子を経済的に得ることができる。
【0028】
上記反応溶媒としては、水以外の溶媒、すなわち、非水溶媒が好ましい。非水溶媒としては、例えば、炭化水素、各種ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテルおよびアセタール、ケトンおよびアルデヒド、エステル、多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物、カルボン酸およびその無水物、シリコーン油、鉱物油等を挙げることができる。
本発明の酸化亜鉛粒子を得る場合は、上記混合物中に、アミンやアンモニア等の含窒素化合物を含まないことが好ましく、より紫外線発光性に優れた酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0029】
本発明の酸化亜鉛粒子は、前述したように、カルボン亜鉛酸塩とアルコールとを含む混合物を加熱すること、すなわちカルボン亜鉛酸塩とアルコールとを加熱接触させること、により得ることができるが、結晶性の高い酸化亜鉛粒子を得るためには、加熱の温度は、100〜300℃であることが好ましい。加熱は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、反応溶媒等の沸点が反応温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行えばよい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒の臨界点以下で行うが、超臨界条件で行うこともできる。
【0030】
本発明の酸化亜鉛粒子を得る場合、上記混合物に含まれる水分が少ない方が、得られる酸化亜鉛粒子の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、上記混合物がカルボン酸亜鉛塩中の亜鉛原子に対してモル比で2未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、水分がモル比で1未満であるとさらに好ましく、0.5未満であると特に好ましい。
本発明の酸化亜鉛粒子を得る場合に、カルボン酸亜鉛塩およびアルコール等を混合して混合物を得る操作と、その加熱とを行うにあたっては、方法としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1)カルボン酸亜鉛塩とアルコールとを含む混合物を得ておいて昇温し加熱する方法、2)加熱されたアルコールに、カルボン酸亜鉛塩を添加し混合する方法、3)反応溶媒とカルボン酸亜鉛塩とを加熱しておき、これにアルコールを添加し混合する方法、4)カルボン酸亜鉛塩およびアルコール等の各成分を別々に加熱しておいて、それぞれを添加し混合する方法、などを挙げることができる。
【0031】
本発明の酸化亜鉛粒子を得るにあたっては、上述のようにカルボン酸亜鉛塩とアルコールとを含む混合物を加熱し反応させた後、熟成反応させることが好ましい。熟成させることにより、結晶性に優れ、紫外線発光性に優れた酸化亜鉛粒子を得ることができる。
熟成反応では、上記混合物の加熱反応の温度と同等の温度またはそれ以上の温度で加熱し、熟成させることが好ましい。
また、上記熟成反応終了時において、得られた反応物中の水分量が、亜鉛原子に対してモル比で1以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以下である。
【0032】
本発明の酸化亜鉛粒子を得るにあたっては、上述のようにカルボン酸亜鉛塩とアルコールとを含む混合物を加熱し反応させた後、あるいは熟成反応を行った場合は該熟成反応の後、カルボキシル基、アミノ基、4級アンモニア基、アミド基、イミド結合基、アルコール性またはフェノール性水酸基、カルボン酸エステル結合基、ウレタン基、ウレイド基、ウレイレン基、イソシアナート基、エポキシ基、リン酸基、金属(アルカリ金属を除く)水酸基、金属(アルカリ金属を除く)アルコキシ基、スルホン酸基、チオール基、チオカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む原子団を1個または2個以上有する化合物を添加することが好ましい。これにより単結晶分散性に優れた酸化亜鉛粒子とすることができる。また、上記化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
【0033】
本発明の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子は、後述する本発明にかかる発光体の材料以外に、従来公知の酸化亜鉛粒子と同様に、紫外線吸収機能に優れ、屈折率が高く、超微粒子であり、形状異方性を有する、などの特徴を活かして、化粧品、紫外線吸収膜、高屈折率膜、反射防止膜の原料や、フィルムの滑り防止材などの用途にも用いることができる。
〔紫外線発光体〕
本発明にかかる紫外線発光体(以下、本発明の紫外線発光体、または、本発明の発光体と称することがある。)は、常温下において紫外線光で励起したときに紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、アルカリ金属元素および/またはハロゲン元素を実質的に含有しない酸化亜鉛粒子を用いてなる紫外線発光体である。なお、ピークトップとは、発光スペクトル全体において単一ピークしかない場合のピークや、ピークが複数ある場合の最大ピーク等を指していうものではなく、単一でも複数でも発光のピークと判断できるものは全て含むものとする。
【0034】
また、上記アルカリ金属元素とは、周期律表IA元素であるLi、Na、K、Rb、Cs、Frからなる群より選ばれる少なくとも1種を意味し、上記ハロゲン元素とは、周期律表VIIB族元素であるF、Cl、Br、Iのハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも1種を意味する。
これらの元素を粒子表面または内部に含有する酸化亜鉛粒子は、本発明の酸化亜鉛粒子から除くが、その理由としては、これらの元素は、発光体素子を構成する他の材料の電子物性等に悪影響を与えることがあり好ましくないということが挙げられる。
【0035】
また、実質的に含有しないとは、たとえ含有していても、酸化亜鉛粒子の発光特性に悪影響を与えない範囲で含有するという意味である。
本発明の紫外線発光体に用いられる酸化亜鉛粒子としては、常温下で紫外線光で励起した場合に、少なくとも紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有するものであればよく、合わせて可視光領域に発光スペクトルのピークトップを有するものであってもよい。例えば、フランス法により得られた酸化亜鉛粒子や、上記本発明にかかる酸化亜鉛粒子などを好ましく挙げることができるが、より好ましくは、常温下で紫外線光で励起した場合に、波長0.4〜0.6μm域に発光スペクトルのピークトップを有しないもの、すなわち、常温下で紫外線光で励起した場合に、紫外線領域のみに発光スペクトルのピークトップを有するものがより好ましい。具体的には、上記本発明にかかる酸化亜鉛粒子を用いることが特に好ましい。
【0036】
本発明の紫外線発光体に用いる酸化亜鉛粒子は、粉末X線回折を行い、シェラー(Scherrer)法(コーシー(Cauchy)関数近似)により測定したミラー指数(110)面に垂直な方向の結晶子径Ds(110)が、100nm未満であることが好ましく、より好ましくは50nm未満、さらにより好ましくは20nm未満、特に好ましくは10nm未満である。また、上記本発明の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子の説明において詳述した結晶子構造(Ds(002)/Ds(100)比)、結晶化度、結晶子形状、分散性、ならびに、有機基の有無およびその種類などの点で好ましい酸化亜鉛粒子を用いることが好ましいが、特に限定されるものではない。
【0037】
励起源となり得る上記紫外線光としては、紫外線領域の波長光を発光する発光源であれば、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ヘリウム−カドミウムレーザー(He−Cdレーザー)、キセノンアークランプ、紫外線ランプなどで波長360nm以下の発光波長を有し得る短波長紫外線発光体が好ましく、その他、CRTやFEDで励起源として使用される加速電子線、電界発光などで用いられる励起源も好ましく使用できる。
本発明の紫外線発光体は、少なくとも上記酸化亜鉛粒子を用いてなるものであればよく、該酸化亜鉛粒子のみからなる形態であってもよいが、好ましくは透明な基体(基材)(アルカリハライドを除く)上に配置されてなる形態や、該基体(基材)(アルカリハライドを除く)中に分散含有されてなる形態等が好ましい。なお、酸化亜鉛粒子が、シリカやアクリル樹脂中に分散してなる膜がガラス上に形成されてなる発光体の場合は、後者の形態に含まれると考えることができる。
【0038】
上記基体としては、特に限定はされないが、紫外線領域の波長の透過率が高いものが好ましく、具体的には、分光測光機(島津製作所社製、製品名:自記分光光度計UV−3100)で測定した場合の透過率が80%以上ものが好ましい。上記基体の形態としては、液状であっても固体状であってもよく限定はされないが、固体状であることが好ましい。固体状の基体としては、特に限定はされないが、例えば、石英、パイレックス(登録商標)ガラス、テンパックスガラス等の結晶性または非品質ガラス;酸化物、窒化物、酸窒化物等のセラミクス;アクリル樹脂、フッソ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン樹脂なとの有機高分子樹脂または有機一無機複合樹脂などが挙げられる。なかでも、酸化亜鉛のバンドギャップエネルギー(3.44eV、波長360nm)よりバンドギャップエネルギーの高い基体が好ましく、例えば、石英、アルミナ(サファイア)、マグネシア、イットリアなどが挙げられる。
【0039】
上記基体が液状の場合は、酸化亜鉛粒子を分散させることのできる溶媒を用いればよく、特に限定はされない。酸化亜鉛粒子を分散させた後、分散体を紫外線透過率の高い固体セル中に保持させるなどして発光体とすることが好ましい。酸化亜鉛粒子を分散させるにあたっては、適宜分散剤を使用することもできる。上述のように固体セルを用いる場合は、該セルの材質は上記固体状の基体と同様の材質であることが好ましい。
上記酸化亜鉛粒子を分散させることのできる溶媒としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アルコール(アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価アルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、メチルフェニルカルビトール等)、フェノール類(エチルフェノール、オクチルフェノール、カテコール、キシレノール、グアヤコール、p−クミルフェノール、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、ドデシルフェノール、ナフトール、ノニルフェノール、フェノール、ベンジルフェノール、p−メトキシエチルフェノール等)、複素環式1価アルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコール類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、芳香環を有する脂肪族グリコール類(ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、フタリルアルコール等)、脂環式グリコール類(シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等の上記グリコール類のモノエーテルおよびモノエステル等の誘導体;ヒドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールおよびこれらのモノエーテルおよびモノエステル;グリセリン等の3価アルコールおよびこれらのモノエーテル、モノエステル、ジエーテルおよびジエステル等を挙げることができる。また、エチルベンゼン、オクタン、キシレン類、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、ジメチルナフタレン、スチレン、ソルベントナフサ、デカリン、デカン、テトラリン、ドデシルベンゼン、トルエン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、流動パラフィン等の炭化水素;各種ハロゲン化炭化水素;アニソール、エピクロロヒドリン、エポキシブタン、クラウンエーテル類、ジイソアミルエーテル、ジエチルアセタート、ジオキサン、ジグリシジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテルおよびアセタール;アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセトフェノン、アセトン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ホロン、メシチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘプチルケトン等のケトンおよびアルデヒド;アジピン酸ジエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、アビエチン酸メチル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、ギ酸プロピル、クエン酸トリブチル、ケイ皮酸メチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸n−ブチル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸メチルシクロヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジブチル、酒石酸ジエチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル、乳酸ブチル、乳酸メチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸メチル、ホウ酸エステル類、マレイン酸ジオクチル、マロン酸ジメチル、酪酸イソアミル、酪酸メチル、リン酸エステル類等のエステル;エチレンカーボナート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、両末端に水酸基を有しないポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)誘導体等の多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物や、シリコーン油、鉱物油等も同様に挙げることができる。
【0040】
上記基体が固体状の場合は、酸化亜鉛粒子が固体マトリクス中に分散されてなるものが好ましく、酸化亜鉛粒子を分散させてなる膜がさらに別の基体上に形成されてなるものや、酸化亜鉛粒子を分散させてなるシート状のもの(単独)でもよく、特に限定はされない。
上記酸化亜鉛粒子を分散させてなる膜は、好ましくは、通常、酸化亜鉛粒子とバインダーとを含む塗料を塗布して得られる。バインダーとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッソ樹脂など従来公知の有機樹脂バインダー;アルカリケイ酸塩、シリコンアルコキシド等の有機金属化合物の(部分)加水分解縮合物;ポリシラザンなどの無機樹脂バインダー;アクリルシリコン等の有機無機複合バインダー;などが使用できる。また、上記酸化亜鉛粒子を分散させてなるシートは、特に限定はされないが、具体的には、酸化亜鉛粒子を溶融混練等の方法で樹脂中に分散させてシート状に成形してなるものが好ましい。
【0041】
本発明の紫外線発光体は、その発光特性は、上記特定の酸化亜鉛粒子と同様であることが好ましい。
本発明の紫外線発光体は、紫外線励起により上記の紫外線発光をするフォトルミネッセンス素子に限らず、励起源が紫外線以外の、例えば、電子線(カソードルミネッセンス素子)、電界印加によるキャリア注入(キャリア注入発光素子)を励起源とする、各種の励起機構による紫外線発光体としても応用できるものである。
また、本発明の紫外線発光体は、発光波長が有用なRGB蛍光体の励起波長にマッチしていることから、蛍光体の2次励起源(波長変換体)としての使用も可能である。
【0042】
本発明の紫外線発光体は、例えば、DVDのピックアップ用半導体レーザー、バーコードスキャナー等の光記録材料分野、光増幅器の励起光源用半導体レーザーなどの光情報伝送分野、などにおける、短波長光源材料としてフォトルミネッセンス素子、カソードルミネッセンス素子、キャリア注入発光素子などの形態で応用できる。
また、波長変換体としては、PDP、FED、蛍光灯の励起源の波長変換体としても有用である。
本発明の紫外線発光体がフォトルミネッセンス素子の場合は、上記特定の酸化亜鉛粒子を基体となる紫外線透過性を有するマトリックス基板中に分散させたもの、上記特定の酸化亜鉛粒子を基体上に存在させたもの、および、上記特定の酸化亜鉛粒子を蛍光体層の励起光入射側に配置したものなどであればよく、励起源として所望の波長光を照射し得る光源などを用いればよい。フォト−フォトデバイスとしての各種装置として用いることができ、例えば、光ポンピングレーザーなどとして利用することができる。
【0043】
本発明の紫外線発光体が波長変換素子の場合は、上記特定の酸化亜鉛粒子を基体となる紫外線透過性を有するマトリックス基板中に分散させたもの、上記特定の酸化亜鉛粒子を基体上に存在させたもの、および、上記特定の酸化亜鉛粒子を蛍光体層の励起光入射側に配置したものなどであればよい。波長変換素子としては、好ましくは、上述の従来の短波長光源を直接に励起源として用いるよりも、本発明の発光体を励起光変換体として用いることにより、蛍光体の発光効率が高くなる場合に特に有効であり、例えば、本発明の発光体の発光ピークトップ位置の3.1〜3.44eVに励起スペクトルを有する蛍光体を励起する場合に用いることができる。このようなRGB蛍光体としては、例えば、ZnO:Cu,Al緑色蛍光体、Y2O2S:Eu3+赤色蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+青色蛍光体等が挙げられる。蛍光灯におけるHgからの紫外線(253.7nm)の変換素子、PDP用のキセノン共鳴線(147nm)の変換素子として利用することができる。
【0044】
本発明の紫外線発光体がカソードルミネッセンス素子の場合は、上記特定の酸化亜鉛粒子を基体となる紫外線透過性を有するマトリックス基板中に分散させたもの、上記特定の酸化亜鉛粒子を基体上に存在させたもの、および、上記特定の酸化亜鉛粒子を蛍光体層の励起光入射側に配置したものなどであればよく、励起源として加速電子線を放射し得るものなどを用いればよい。加速電子線を放射することで紫外線を発光させることができ、例えば、蛍光灯における紫外線発光源として、水銀の代替材料として使用することもできる。
本発明の紫外線発光体がキャリア注入発光素子の場合は、上記特定の酸化亜鉛粒子を、基体となるp型半導体の基板(裏面に電極形成してなる基板)上に配しさらに酸化亜鉛粒子表面に透明電極を備えたものなどであればよく、励起源として上記電極から電圧を印加できるものなどを用いればよい。また、酸化亜鉛粒子は、上記基板上に連続体として配されても不連続体として配されてもよい。上述の光記録材料分野や光情報伝送分野などにおける紫外線発光レーザーダイオードとして利用することが期待される。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
〔ZnO微粒子の調製〕
−調製例1−
撹拌機、温度計、留出ガス出口、添加口、窒素ガス導入口を備えた、外部より加熱し得る耐圧ハステロイ製反応器からなる反応装置を用意した。
【0046】
添加口よりメタノール384部、酢酸亜鉛220部を順次添加し、撹拌することによって混合物(1)を得た。
反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で混合物(1)を撹拌しながら昇温し、液温150℃、気相部圧1.3MPa(ゲージ圧)に達してから150℃±10℃で1時間加熱保持した。
加熱終了後、冷却し、白色の微粒子濃度16重量%の反応液(1)を得た。
得られた酸化亜鉛粒子の反応液(1)を、冷却器に直結した留出口、撹拌機、滴下槽に直結した滴下口を備えた、熱媒により外部加熱可能なステンレス製反応器に仕込み、撹拌しながら加熱昇温し、反応液の溶媒を留去することにより、粒子濃度20wt%まで濃縮した濃縮液を得た。濃縮液をさらに加熱しながら滴下口よりキシレンをフィードし、濃縮液中の溶媒をキシレンに置換することによって、酸化亜鉛粒子が12重量%で分散してなるキシレン分散体(1)を得た。なお、該酸化亜鉛粒子濃度は、キシレン分散体をアルミカップに秤量し、120℃で1時間真空乾燥したときの不揮発分重量を測定することによって求めた。
【0047】
得られたキシレン分散体(1)中の酸化亜鉛粒子に関して、以下(1)〜(3)に示す方法および基準により解析した結果を表2および表3に示す。
(1)キシレン分散体(1)を70℃で24時間、真空乾燥器で乾燥することによって、粒子粉末(1)を得た。
(2)得られた粒子粉末(1)に関し、X線回折(XRD)測定によって、結晶化度、結晶子径を求めた。同時に、異種金属含有の有無、ハロゲン含有の有無、ならびに、有機基およびその結合量を求めた。
▲1▼結晶化度、結晶子径Ds(hkl)
粉末(1)の粉末X線回折測定により評価した。
【0048】
結晶子径については、シェラー法(Cauchy関数近似による)によって得られる各回折面(hkl)に対して垂直な方向の結晶子径Ds(hkl)と、ウィルソン解析による結晶子径とを測定した。
▲2▼異種金属含有の有無
粉末試料の蛍光X線分析により測定した。
▲3▼ハロゲン含有の有無
粉末試料の蛍光X線分析により測定した。
▲4▼含有有機基の有無(カルボン酸基の有無およびその種類、ならびに、その結合量(wt%/ZnO))
粉末試料を120℃で1時間真空乾燥した後、TG−DTA解析とイオンクロマト法により求めた。
【0049】
(3)また、TEM像とXRD測定結果より、微粒子形状については、キシレン分散体(1)中の酸化亜鉛粒子は、面指数(002)面からなる多角形の底面を有し、該底面に垂直な結晶軸(C軸)方向に異方成長したピストル弾状の超微粒子であること、また、キシレン分散体(1)中の酸化亜鉛粒子の分散性については、各粒子は単結晶からなる1次粒子が2次凝集なく分散したものであること、が確認された。結晶性は、粒子粉末(1)の粉末X線回折測定により得られた回折パターンより評価した。なお、表3では、上記分散状態は、下記基準による評価で示した。
【0050】
○:全ての粒子が1次粒子(単結晶)の状態で2次凝集なく分散。
△:一部の粒子が2次凝集しているが、その他は1次粒子(単結晶)の状態で分散。
−調製例2〜4−
調製例1と同様の反応装置および操作により、表1に示す混合物原料を用いて混合物(2)〜(4)を得、これら混合物(2)〜(4)を、表1に示す加熱温度および加熱時間にする以外は調製例1と同様の操作により、反応液(2)〜(4)を得た。
【0051】
そしてこれら反応液(2)〜(4)を調製例1と同様の操作により、それぞれ酸化亜鉛粒子が12重量%の濃度で分散してなるキシレン分散体(2)〜(4)を得た。該酸化亜鉛粒子濃度は、調製例1と同様の方法により測定した。
得られたキシレン分散体(2)〜(4)中の酸化亜鉛粒子に関して、調製例1と同様に解析した結果を表2および表3に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
〔酸化亜鉛粒子の発光特性の評価〕
−実施例1−
調製例1で得られたキシレン分散体(1)を、分光分析用石英ガラスセル中に封入することによって、キシレン溶媒中に分散する評価試料(1)を得た。
また、キシレン分散体(1)に、さらに分散剤プラクセルFM4A(ダイセル化学工業(株)製)を酸化亜鉛粒子に対して10重量%添加して得られた液を、分光分析用石英ガラスセル中に封入することによって、キシレン溶媒中に分散する評価試料(2)を得た。
【0056】
得られた評価試料(1)および(2)について、下記評価方法(A)によって評価した。
その結果、評価試料(1)および(2)において、吸収ピーク波長はそれぞれ365nm(光子エネルギー3.40eV)、369nm(3.36eV)と異なるが、発光ピーク波長はいずれの試料も378nm(光子エネルギー3.28eV)、半値幅が12nm(0.13eV)の紫外線の発光を示すものであった。波長0.4〜0.6μm域には、発光スペクトルは観測されなかった。
また、以下の測定結果を図1および図2として示す。
【0057】
室温(300K)における試料(1)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図1に示す。
室温(300K)における試料(2)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを図2に示す。
《評価方法A》
評価試料を、底面の内寸が10×10mmの石英ガラス製の分光分析セルに入れ、その吸収スペクトルを自記分光光度計V−570(日本分光(株)製)により測定し、その発光および発光励起スペクトルを分光蛍光光度計FP−6500(日本分光(株)製)により測定した。なお、励起波長340nmでは、発光スペクトルにおけるキシレンおよび容器の蛍光は、酸化亜鉛の蛍光強度に比べて無視できる。
【0058】
−比較例1−
市販の酸化亜鉛粒子粉末(フランス法により得られたZnO粒子)12部を、キシレン88部に混合し、さらに分散剤プラクセルFM4A(ダイセル化学工業(株)製)を1.2部混合することによりキシレン分散体(c1)を調製した。得られたキシレン分散体(c1)を、実施例1と同様に、分光分析用石英ガラスセル中に封入することによって、キシレン溶媒中に分散する評価試料(c1)を得た。
得られた評価試料(c1)について、上記評価方法(A)によって評価した。
【0059】
その結果、波長380nm(3.265eV)にピークトップを有する紫外線発光ピークとともに、505nm(2.45eV)にピークトップを有する可視光発光ピークを示した。
〔微粒子分散膜試料の評価〕
−実施例2−
キシレン分散体(1)45部、分散剤プラクセルFM4A(ダイセル化学工業(株)製)0.5部、ポリシラザン溶液(固形分20重量%)452部、硬化触媒、および、希釈溶媒としてのキシレンを混合し、全量を603部となるようにして分散処理することによって、ZnO粒子濃度が0.9重量%のコーティング剤(1)を得た。コーティング剤(1)を厚さ2mm、50×50mm角のパイレックス(登録商標)ガラス(以下、基板(1)と称する。)の片面にスピンコーターにより塗布し、乾燥、硬化することによって、シリカ膜中にZnO微粒子が分散した塗膜が形成されたガラスからなる試料板(1)を得た。
【0060】
得られた試料板(1)について、下記評価方法(B)によって評価した。
その結果、試料板(1)は、300〜370nmの光で励起され、340nm光で励起した場合、ピーク波長が377nm(光子エネルギー=3.29eV)、半値幅が15nm(エネルギー:0.13eV)の紫外線の発光を示すものであった。
試料板(1)および試料板(1)の膜は、低温(4K)から常温(300K)にいたるまで、単一のピークからなる紫外線発光スペクトルを示した。また、波長0.4〜0.6μm域には、発光スペクトルは観測されなかった。
【0061】
常温(300K)および低温(4K)において測定した発光スペクトルの、発光ピーク位置(エネルギー、波長)、発光ピーク半値幅、および、発光強度比(〔300Kでの発光強度〕/〔4Kでの発光強度〕)を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
また、以下の測定結果を図3〜7として示す。
室温(300K)における試料板(1)の吸収および発光スペクトル(発光スペクトルは波長340nmの励起光で励起した場合の結果であり、吸収および発光スペクトルはいずれも基板(1)からの発光および吸収スペクトルを差し引いている)を図3に示す。なお、吸収スペクトルにはZnO粒子による光散乱の効果が含まれている。
室温(300K)における励起光の波長を270〜380nmの範囲で10nmおきに変えた場合の試料板(1)の発光スペクトル(基板(1)の発光スペクトルを含む)を図4に示す。なお、340nmにピーク波長を持つ発光は基板(1)によるものである。
【0064】
励起光の波長を325nmとし、低温(4K)および常温(300K)の各温度における、基板(1)の発光スペクトルをさしひいた試料板(1)発光スペクトルおよび基板(1)の発光スペクトルを図5に示す。なお、試料板(1)の4Kにおける発光スペクトルは、1/600に縮小して示している。
低温(4K)〜常温(300K)の温度範囲における、各温度での試料板(1)の発光ピーク波長(エネルギーで表示)の変化を図6に示す。
低温(4K)〜常温(300K)の温度範囲における、各温度での試料板(1)発光強度の変化を図7に示す。なお、I0は4Kにおける発光強度であり、各測定温度での発光強度IのI0に対する比(I/I0)を対数で示している。
《評価方法B》
室温における、吸収、発光および励起スペクトルに関する評価方法は、評価方法Aと同様である。なお、ガラス基板の吸収については、試料膜のないガラス基板を同時に測定して差し引いてある。4K〜室温にいたる温度変化測定においては、試料板をオプチスタットCF−V(オックスフォード社製)の冷却部にインジウムを挟んで取り付け、真空引きの後、液体ヘリウムを導入して、温度可変の吸収、発光スペクトルの測定を行った。吸収スペクトルの測定の光源はタングステンヨウ素ランプを用い、発光スペクトルの光源はHe−CdレーザーIK5651R−G(金門電気(株)製)の325nmの発振線を用いた。スペクトルの測定は、単分散分光器SpectraPro−500(アクトンリサーチ社製)(焦点距離50cm、回折格子300本/mm)と、CCDカメラLN/CCD−1340/100(プリンストンインスツルメンツ社製)とを用いて測定した。また、ガラス基板の発光については、325nm励起の室温では問題となるので、試料膜の無いガラス基板を同時に測定して差し引いてある。
【0065】
−実施例3−
キシレン分散体(1)83部、分散剤プラクセルFM4A(ダイセル化学工業(株)製)を1部、ポリシラザン溶液(固形分20重量%)417部、硬化触媒、および、希釈溶媒としてのキシレンを混合し、全量が909部となるように分散処理することによって、ZnO粒子濃度が1.1重量%のコーティング剤(2)を得た。コーティング剤(2)を、厚さ1.1mm、50×50mm角のテンパックスガラスからなる基板(2)の片面に、スピンコーターにより塗布し、乾燥、硬化することによって、シリカ膜中にZnO微粒子が分散した塗膜が形成されたガラスからなる試料板(2)を得た。
【0066】
試料板(2)について、実施例2と同様にして、低温(77K)および常温(300K)における各温度での発光特性を評価した。その結果を表5〜7に示す。
結果として、試料板(2)については、紫外線域に単一ピークからなる紫外線発光が確認された。また、波長0.4〜0.6μm域には、発光スペクトルは観測されなかった。
−実施例4〜6−
キシレン分散体(1)の代わりにキシレン分散体(2)〜(4)を用いる以外は、実施例3と同様にして、コーティング剤(3)〜(5)を得た。
【0067】
コーティング剤(3)〜(5)を、実施例3と同様に、基板(2)の片面に、スピンコーターにより塗布し、乾燥、硬化することによって、シリカ膜中にZnO微粒子が分散した塗膜が形成されたガラスからなる試料板(3)〜(5)を得た。
試料板(3)〜(5)について、実施例3と同様にして、低温(77K)および常温(300K)における各温度での発光特性を評価した。その結果を表5〜7に示す。
結果として、試料板(3)〜(5)については、紫外線域に単一ピークからなる紫外線発光が確認された。また、波長0.4〜0.6μm域には、発光スペクトルは観測されなかった。
【0068】
−実施例7−
市販の酸化亜鉛粒子粉末(フランス法により得られたZnO粒子)25部を、キシレン75部に混合し、さらに、分散剤プラクセルFM4A(ダイセル化学工業(株)製)2.5部を混合することによりキシレン分散体(5)を調製した。キシレン分散体(1)の代わりにキシレン分散体(5)を用いる以外は、実施例3と同様にして、コーティング剤(6)を得た。
コーティング剤(6)を、実施例3と同様に、基板(2)の片面に、スピンコーターにより塗布し、乾燥、硬化することによって、シリカ膜中にZnO微粒子が分散した塗膜が形成されたガラスからなる試料板(6)を得た。
【0069】
試料板(6)について、実施例3と同様にして、低温(77K)および常温(300K)における各温度での発光特性を評価した。その結果を表5〜7に示す。
結果として、試料板(6)は、常温(300K)および低温(77K)において、紫外線領域に発光を有するとともに、波長505nm(2.45eV)にピークトップを有する可視光発光を示すものであった。
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、常温下で紫外線光で励起した場合に、紫外線領域の短波長発光をし得る(紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有する)酸化亜鉛粒子を用いてなる発光体を提供することができ、例えば、フォトルミネッセンス素子、波長変換素子、キャリア注入発光素子、カソードルミネッセンス素子などの各種発光素子に好適に用いることができる。
また、本発明によれば、常温下で紫外線光で励起した場合に、可視光の発光を含まず紫外線領域の短波長発光のみを選択的に可能とし得る(可視光領域には発光スペクトルのピークトップを有さずに紫外線領域のみに発光スペクトルのピークトップを有する)酸化亜鉛粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】室温(300K)における試料(1)の吸収および発光スペクトルを示す。
【図2】室温(300K)における試料(2)の吸収および発光スペクトルを示す。
【図3】室温(300K)における試料板(1)の吸収および発光スペクトルを示す。
【図4】(a) 室温(300K)における励起光の波長を340〜380nmの範囲で10nmおきに変えた場合の試料板(1)の発光スペクトルを示す。(b) 室温(300K)における励起光の波長を270〜330nmの範囲で10nmおきに変えた場合の試料板(1)の発光スペクトルを示す。
【図5】(a) 常温(300K)における試料板(1)発光スペクトルおよび基板(1)の発光スペクトルを示す。(b) 低温(4K)における試料板(1)発光スペクトルおよび基板(1)の発光スペクトルを示す。
【図6】低温(4K)〜常温(300K)における試料板(1)の発光ピーク波長(エネルギーで表示)の変化を示す。
【図7】低温(4K)〜常温(300K)における試料板(1)発光強度の変化を示す。
Claims (8)
- 常温下において紫外線光で励起したときに紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有し、波長0.4〜0.6μm域には発光スペクトルのピークトップを有さず、粉末X線回折を用いてシェラー法(コーシー関数近似)により測定したミラー指数(110)面に垂直な方向の結晶子径Ds(110)が50nm未満である単結晶体であり、かつ、アルカリ金属元素およびハロゲン元素を含有しない酸化亜鉛粒子を用いてなる、紫外線発光体。
- 前記酸化亜鉛粒子が、カルボン酸(残)基および/またはアルコキシ基を含有する、請求項1に記載の紫外線発光体。
- 前記酸化亜鉛粒子が、粉末X線回折を用いてシェラー法(コーシー関数近似)により測定したミラー指数(110)面に垂直方向の結晶子径Ds(110)とミラー指数(002)面に垂直方向の結晶子径Ds(002)がDs(002)/Ds(110)>1.0の関係を示す単結晶体である、請求項1または2に記載の紫外線発光体。
- 前記酸化亜鉛粒子が、格子面(002)面に垂直な方向に選択的に成長した柱状の単結晶体であり、基体上または基体中に分散している、請求項1から3のいずれかに記載の紫外線発光体。
- 常温下において紫外線光で励起したときに紫外線領域に発光スペクトルのピークトップを有し、波長0.4〜0.6μm域には発光スペクトルのピークトップを有さず、粉末X線回折を用いてシェラー法(コーシー関数近似)により測定したミラー指数(110)面に垂直な方向の結晶子径Ds(110)が50nm未満である単結晶体であり、かつ、アルカリ金属元素およびハロゲン元素を含有しない、紫外線発光体用酸化亜鉛粒子。
- カルボン酸(残)基および/またはアルコキシ基を含有する、請求項5に記載の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子。
- 粉末X線回折を用いてシェラー法(コーシー関数近似)により測定したミラー指数(110)面に垂直方向の結晶子径Ds(110)とミラー指数(002)面に垂直方向の結晶子径Ds(002)が、Ds(002)/Ds(110)>1.0の関係を示す単結晶体である、請求項5または6に記載の紫外線発光体用酸化亜鉛粒子。
- 格子面(002)面に垂直な方向に選択的に成長した柱状の単結晶体である、請求項5から7のいずれかに記載の紫外線発光体酸化亜鉛粒子。
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