JP2004149389A - 金属酸化物粒子の製造方法 - Google Patents
金属酸化物粒子の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004149389A JP2004149389A JP2002319138A JP2002319138A JP2004149389A JP 2004149389 A JP2004149389 A JP 2004149389A JP 2002319138 A JP2002319138 A JP 2002319138A JP 2002319138 A JP2002319138 A JP 2002319138A JP 2004149389 A JP2004149389 A JP 2004149389A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal
- oxide
- containing compound
- metal oxide
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Compounds Of Iron (AREA)
- Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
Abstract
【課題】微細な粒子を分散性に優れた状態で得ることができる金属酸化物粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法は、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物粒子を生成させる方法であって、前記生成を金属元素を含有しない加水分解性有機化合物の存在下で行う、および/または、前記生成の後に前記加水分解性有機化合物を添加することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法は、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物粒子を生成させる方法であって、前記生成を金属元素を含有しない加水分解性有機化合物の存在下で行う、および/または、前記生成の後に前記加水分解性有機化合物を添加することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する術分野】
本発明は、金属酸化物粒子の製造方法に関する。詳しくは、金属カルボン酸塩とアルコール、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物といった特定の組み合わせを出発原料とする金属酸化物粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属酸化物粒子は、例えば、ゴム用加硫促進助剤、各種塗料、印刷インキ、絵の具、ガラス、触媒、医薬品、顔料、フェライト等の原料等に用いられており、粒子径が0.1μm以下で、高い分散性を有する粒子が要求されている。
従来より、金属酸化物粒子を得るための方法としては、金属塩を水溶液中で中和加水分解して得られた水酸化物や炭酸塩を乾燥後に焼成する方法や金属アルコキシ基含有化合物をアルコール中で加水分解する方法などに代表されるいわゆる湿式法、および、金属蒸気を酸素雰囲気下で高温処理する方法や金属塩の熱分解を利用する方法などに代表されるいわゆる乾式法が知られている。
【0003】
しかし、上記湿式法では、前駆体を高温で焼成する必要があるため、粒子径の小さい、特に0.1μm以下のナノサイズレベルの超微粒子を得ることは困難であった。また、上記乾式法では、粒度分布のシャープなものを得ることは困難であった。
そこで、これら湿式法、乾式法での問題を解決する金属酸化物粒子の製造方法として、例えば、▲1▼アルコール存在下で金属酢酸塩を加熱する(金属酢酸塩とアルコールとを含む混合物を加熱する)方法(例えば、特許文献1参照。)などが知られている。また、同様の問題を解決するための別の製造方法として、本発明者らは、▲2▼金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを含む混合物を加熱するという方法を提案した(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、粒子が微細であればあるほどその凝集性は高いため、上記製造方法においては、2次粒子化した金属酸化物粒子が多く生成されてしまうという問題があった。この2次粒子化においては、もともとの生成される粒子が微細であるため、非常に多くの微粒子が集まったものが多量にできやすい。調製した金属酸化物粒子を各種用途に用いる際、もともとの微粒子から見るとかなり巨大といえる粒子が、必然的に多数混在することとなっていた。このように、多数の巨大な粒子が存在してしまうと、金属酸化物粒子が本来有する優れた微粒子特性や超微粒子特性はほとんど発揮されず、逆に、例えば、樹脂や塗料などに含有させて成形用組成物とした場合には、全体の物性を低下させてしまうこと等もあった。また、個々の微粒子の表面処理する場合においても、上述の2次粒子の生成のため、一律に個々の微粒子すべてが均一に表面処理されるということは極めて考えにくい。
【0005】
金属酸化物粒子においては、もとより微細であることは言うまでもなく、近年の技術開発の成果および新規用途分野での要請もあり、ナノサイズレベルでもさらにより微細な粒子であって分散性に優れた状態ものが求められており、実際に調製も試みられているため、上述のごとき表面処理・改質は益々困難を極めたものとなる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−185916号公報
【0007】
【特許文献2】
特願2001−170134号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、微細な粒子を分散性に優れた状態で得ることができる金属酸化物粒子の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定の組み合わせの出発原料(具体的には、アルコールと金属カルボン酸塩、あるいは、カルボキシル基含有化合物と金属アルコキシ基含有化合物)を用い、これらから生成する金属酸化物粒子の製造方法に着目し、この製法において、上記金属酸化物粒子の生成反応を特定の加水分解性化合物、すなわち、金属元素を含有しない加水分解性有機化合物の存在下で行うようにする、および/または、上記金属酸化物粒子の生成後に上記特定の加水分解性化合物を添加するようにすれば、上記課題を一挙に解決できることを見出し、これを確認して本発明を完成した。
【0010】
また、驚くべきことに、上述の製造方法において、なかでも、上記金属酸化物粒子の生成反応を特定の加水分解性化合物の存在下で行うようにすれば、該生成反応が格段に進行しやすくなることを見出した。
すなわち、本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法は、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物粒子を生成させる方法であって、前記生成を金属元素を含有しない加水分解性有機化合物の存在下で行う、および/または、前記生成の後に前記加水分解性有機化合物を添加することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法(以下、本発明の製造方法と称することがある。)は、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物粒子を生成させる方法であって、上記生成を金属元素を含有しない加水分解性有機化合物(以下、特定の加水分解性化合物と称することがある。)の存在下で行う、および/または、上記生成の後に上記加水分解性有機化合物を添加するようにするようにしている。好ましくは、上記出発原料を混合すると同時かまたはその後に該混合系を高温状態にして金属酸化物粒子を生成させる方法である。
【0012】
本発明の製造方法においては、出発原料となる特定の組み合わせとして、金属カルボン酸塩とアルコール(以下、組み合わせAと称することがある。)、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物(以下、組み合わせBと称することがある。)を用いるようにしている。
組み合わせAにおける金属カルボン酸塩としては、具体的には、分子内にカルボキシル基の水素原子が金属原子で置換された結合を少なくとも1つ有する化合物であり、カルボキシル基としては、例えば、飽和モノカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、飽和多価カルボン酸、不飽和多価カルボン酸などの鎖式カルボン酸;環式飽和カルボン酸;芳香族モノカルボン酸、芳香族不飽和多価カルボン酸などの芳香族カルボン酸;さらに分子内にヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物などの金属塩;などを好ましく用いることができるが、特にこれらに限定はされるわけではない。なかでも、下記一般式(I):
M(O)(m−x−y−z)/2(OCOR1)x(OH)y(OR2)z (I)
(但し、Mはm価の金属原子;R1は、水素原子、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;R2は、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;m、x、yおよびzは、x+y+z≦m、0<x≦m、0≦y<m、0≦z<mを満たす。)
で表される化合物のように上記した金属カルボン酸塩またはカルボン酸残基の一部が水酸基やアルコキシ基で置換されたものや、後述のカルボキシル基含有化合物の金属塩や、塩基性酢酸塩などを好ましく挙げることができる。なかでも、後述のカルボキシル基含有化合物の金属塩の中の金属飽和カルボン酸塩や金属不飽和カルボン酸塩がより好ましく、さらに好ましくは上記一般式(I)で表される金属カルボン酸塩であり、最も好ましくは金属酢酸塩や金属プロピオン酸塩であり、金属(M)がZnである場合は金属酢酸塩が特に好ましい。なお、上記金属カルボン酸塩は、結晶水を含む金属カルボン酸塩の水和物であってもよいが、無水物であることが好ましい。
【0013】
上記金属カルボン酸塩に含まれる金属(M)としては(一般式(I)中の金属元素(M)も含む)、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1A族、2A族、3A族、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、ランタノイド元素、アクチノイド元素、1B族、2B族、3B族、4B族、5B族、6B族に含まれる金属元素を挙げることができ、これらの中でも、例えば、Sr、Ce、Y、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sn、SbおよびLa等の金属元素が、本発明においては好適である。これらは1種のみでも2種以上併存していてもよい。金属カルボン酸塩としては、上記列挙した以外に、シュウ酸バリウムチタニル等の複合金属カルボン酸塩等も好適である。なお、本明細書においては、周期表は、改訂5版「化学便覧(日本化学会編)」(丸善株式会社より出版)に掲載されている「元素の周期表(1993年)」を用い、族番号は亜族方式により表記する。
【0014】
組み合わせAにおけるアルコールとしては、特に限定はないが、例えば、脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アルコール(アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価アルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、メチルフェニルカルビノール等)、フェノール類(エチルフェノール、オクチルフェノール、カテコール、キシレノール、グアヤコール、p−クミルフェノール、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、ドデシルフェノール、ナフトール、ノニルフェノール、フェノール、ベンジルフェノール、p−メトキシエチルフェノール等)、複素環式1価アルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコール類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、脂環式グリコール(シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等)、および、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等の上記グリコール類のモノエーテルまたはモノエステル等の誘導体;グリセリンやトリメチロールエタン等の3価アルコール、エリスリトールやペンタエリスリトール等の4価アルコール、リピトールやキシリトール等の5価アルコール、ソルビトール等の6価アルコール等の3価以上の多価アルコール、ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、フタリルアルコール等の多価芳香族アルコール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等の2価フェノールや、ピロガロール、フロログルシン等の3価フェノール等の多価フェノール、および、これら多価アルコール類におけるOH基の一部(1〜(n−1)個(ただし、nは1分子当たりのOH基の数))がエステル結合またはエーテル結合となった誘導体;等を挙げることができる。
【0015】
上記アルコールとしては、なかでも、後述する金属錯体モノマーやその誘導体をより低い温度状態で得やすく且つ金属カルボン酸塩と反応して後述する予備反応物さらには金属酸化物を生成し易いアルコールが好ましく、アルコール性水酸基に関して3級、さらには2級、特に1級の水酸基を有するアルコールが、より低い温度状態で金属酸化物が得られるため、最も好ましい。同様の理由で、脂肪族アルコールも好ましい。
本発明の製造方法においては、上記出発原料となる金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系とは、該金属カルボン酸塩およびアルコールをそれぞれ少なくとも一部ずつ混ぜ合わせた段階以降の系を意味する。この混合系の内部状態としては、金属カルボン酸塩およびアルコールのいずれもが原料状態の化学構造を変化させずに存在している状態であることに限らず、例えば、金属カルボン酸塩およびアルコールの少なくとも1つが溶解状態下で特有の化学構造に変化して存在している状態であってもよいし、金属カルボン酸塩とアルコールとがこれらの予備反応物となって存在している状態であってもよく、すなわち、出発原料そのままの状態から何れの状態に変化して存在していてもよい。
【0016】
ここでいう予備反応物(以下、予備反応物aと称することがある。)は、金属カルボン酸塩とアルコールとから得られるものであって、金属カルボン酸塩とアルコールとの反応による反応物として金属酸化物(以下、金属酸化物Aと称することがある。)が生成されるまでの任意の段階の状態の反応中間体であり、生成される金属酸化物Aに対する前駆体(金属酸化物前駆体)である。すなわち、予備反応物aは、出発原料としての金属カルボン酸塩でもアルコールでもなく、両者の反応物ではあるが、生成される金属酸化物Aでもない金属酸化物前駆体である。なお、上述の金属酸化物Aが生成されるまでの任意の段階の状態とは、用いた金属カルボン酸塩のうちの50重量%以上が粒径5nm以上の粒子状の金属酸化物Aの生成が認められる前の状態をいうとする。
【0017】
また、上記予備反応物aは、例えば、アルコールまたはアルコールを含む溶媒に金属カルボン酸塩を溶解させるだけで直ちに得られる場合もあるが、好ましくは金属カルボン酸塩とアルコールとの混合と、緩やかな昇温(金属酸化物Aが得られる高温状態にするよりも緩やかな条件下での昇温)と、好ましくは加圧下の加熱とにより得られる。予備反応物aは溶液状態であることが好ましい。
予備反応物aとしては、特に限定はされないが、例えば、1)金属カルボン酸塩の金属原子に、アルコールまたはアルコキシ基が配位(吸着による配位も含む。)してなる金属錯体モノマー(この場合、カルボキシル基の一部がアルコールのアルコキシ基で置換された錯体も含まれる。)、2)金属カルボン酸塩が酸素原子を介して「金属−酸素−金属」の結合が形成されてなる縮合物に原料のカルボン酸基(−COO基)以外にさらにアルコールまたはアルコキシ基が配位(吸着による配位も含む。)してなる化合物(金属錯体モノマー誘導体)、などが好ましく挙げられる。なかでも、1)でいう金属錯体モノマーがより好ましく挙げられる。また、上記金属錯体モノマーは、上述のような方法以外によっても得ることができる。上述の方法以外によって得られた金属錯体モノマーを上記混合系にさらに加えて高温状態にすることにより金属酸化物を得ることもできる。
【0018】
出発原料となる上記金属カルボン酸塩とアルコールとの使用量に関しては、特に限定はないが、金属カルボン酸塩の金属換算原子数に対するアルコール中の(アルコール由来の)水酸基の数の比が、0.8〜1000となるようにすることが好ましい。また、上記使用量に関しては、金属カルボン酸塩の有するカルボキシル基の総数に対するアルコール中の(アルコール由来の)水酸基の総数の比が、0.8〜100となるようにすることも好ましく、より好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20である。
金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系は、ペースト状、懸濁液状、溶液状などの流動性のある液状であることが好ましい。さらに、必要に応じて、後述する反応溶媒をも混合することによって、上記液状としてもよい。通常、金属カルボン酸塩は、特に限定はされないが、金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系においては、粒子状で分散した状態、溶解した状態、または、一部が溶解した状態で残りが粒子状で分散している状態、などの状態で存在する。
【0019】
組み合わせBにおける金属アルコキシ基含有化合物としては、特に限定はないが、例えば、下記一般式(II)で示される化合物、または該化合物が(部分)加水分解・縮合してなる縮合物を挙げることができる。
M’(OR3)n (II)
(但し、M’は、金属原子;R3は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基から選ばれた少なくとも1種;nは金属原子Maの価数)
一般式(II)中、R3としては、水素原子および/またはアルコキシアルキル基の如く置換されていてもよいアルキル基が好ましい。
【0020】
一般式(II)中、金属(M’)としては、上記金属カルボン酸塩に含まれる金属(M)を挙げることができ、好ましいものについても同様である。
金属アルコキシ基含有化合物は、上記で説明したもの以外であってもよく、例えば、ヘテロ金属アルコキシド(ヘテロ金属オキソアルコキシ基含有化合物も含む)であってもよい。なお、ヘテロ金属アルコキシドとは、2個以上の異なる金属原子を有し、アルコキシ基や酸素原子を介したり、金属−金属結合等によって結ばれた金属アルコキシドのことである。ヘテロ金属アルコキシ基含有化合物を用いた場合は、複合酸化物からなる金属酸化物粒子を得ることができる。
【0021】
組み合わせBにおけるカルボキシル基含有化合物としては、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸(飽和モノカルボン酸)、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸(不飽和モノカルボン酸)、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、β,β−ジメチルグルタル酸等の飽和多価カルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸等の鎖式カルボン酸類、シクロヘキサンカルボン酸等の環式飽和カルボン酸類、安息香酸、フェニル酢酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の不飽和多価カルボン酸等の芳香族カルボン酸類、無水酢酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物、トリフルオロ酢酸、o−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、 アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、アニス酸(p−メトキシ安息香酸)、トルイル酸、乳酸、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)等の分子内にカルボキシル基以外のヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等、重合体原料として上記不飽和カルボン酸を少なくとも1つ有する重合体を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有化合物のなかでも、後述する金属錯体モノマーやその誘導体を得やすく且つより低い温度状態で金属酸化物が得られ易いという点でアルコールと反応して後述する予備反応物さらには金属酸化物の形成をより低い温度で起こし易い化合物が好ましく、水中(25℃、0.1モル/L)での酸解離定数pKaが4.5〜5であるものがより好ましく、具体的には、飽和カルボン酸が好ましく、さらに、立体的にも反応性が高い点で酢酸が最も好ましい。また、カルボキシル基含有化合物が液体の場合は、後述の反応溶媒としても用いることもできる。
【0022】
本発明の製造方法においては、上記出発原料となる金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系とは、該金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物をそれぞれ少なくとも一部ずつ混ぜ合わせた段階以降の系を意味する。この混合系の内部状態としては、金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物のいずれもが原料状態の化学構造を変化させずに存在している状態であることに限らず、例えば、金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物の少なくとも1つが溶解状態下で特有の化学構造に変化して存在している状態であってもよいし、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とがこれらの予備反応物となって存在している状態であってもよく、すなわち、出発原料そのままの状態から何れの状態に変化して存在していてもよい。
【0023】
ここでいう予備反応物(以下、予備反応物bと称することがある。)は、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とから得られるものであって、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との反応による反応物として金属酸化物(以下、金属酸化物Bと称することがある。)が生成されるまでの任意の段階の状態の反応中間体であり、生成される金属酸化物Bに対する前駆体(金属酸化物前駆体)である。すなわち、予備反応物bは、出発原料としての金属アルコキシ基含有化合物でもカルボキシル基含有化合物でもなく、両者の反応物ではあるが、生成される金属酸化物Bでもない金属酸化物前駆体である。なお、上述の金属酸化物Bが生成されるまでの任意の段階の状態とは、用いた金属アルコキシ基含有化合物のうちの50重量%以上が粒径5nm以上の粒子状の金属酸化物Bの生成が認められる前の状態をいうとする。
【0024】
また、上記予備反応物bは、例えば、カルボキシル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物を含む溶媒に金属アルコキシ基含有化合物を溶解させるだけで直ちに得られる場合もあるが、好ましくは金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合と、緩やかな昇温(金属酸化物Bが得られる高温状態にするよりも緩やかな条件下での昇温)と、好ましくは加圧下での加熱とにより得られる。予備反応物bは溶液状態であることが好ましい。
予備反応物bとしては、特に限定はされないが、例えば、1)金属アルコキシ基含有化合物の金属原子に、カルボキシル基含有化合物が−COOH基または−COO基を介して配位(吸着による配位も含む。)してなる金属錯体モノマー(この場合、アルコキシ基の一部がカルボキシ基で置換された錯体も含まれる。)、2)金属アルコキシ基含有化合物が酸素原子を介して「金属−酸素−金属」の結合が形成されてなる縮合物に原料のアルコキシ基以外にさらにカルボキシル基含有化合物が配位(吸着による配位も含む。)してなる化合物(金属錯体モノマー誘導体)、などが好ましく挙げられる。なかでも、1)でいう金属錯体モノマーがより好ましく挙げられる。また、上記金属錯体モノマーは、上述のような方法以外の方法によっても得ることができる。上述の方法以外によって得られた金属錯体モノマーをさらに加熱することにより金属酸化物を得ることもできる。
【0025】
出発原料となる金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との使用量に関しては、それらの配合割合(カルボキシル基含有化合物/金属アルコキシ基含有化合物)が、特に限定はされないが、金属アルコキシ基含有化合物に含有されている金属原子Mの平均原子価数Navを用いて、好ましくは下限が0.8Nav超、さらに好ましくは1.2Nav超であり、また、好ましくは上限が10Nav未満である。ここで、平均原子価数Navは、金属アルコキシ基含有化合物として、含有金属元素の異なるp種の金属アルコキシ基含有化合物(含有金属元素がそれぞれM1、M2、M3、・・・、Mpであるp種の金属アルコキシ基含有化合物(2≦p))を併せて用いる場合、下記数式:
【0026】
【数1】
【0027】
(数式中、Niは、金属Miの原子価(価数)を表す。また、Xiは、金属アルコキシ基含有化合物として用いた金属元素Miのモル数を表す。pは2以上の整数である。)
から算出することができる。また、出発原料として用いたカルボキシル基含有化合物の総量に含まれるカルボキシル基の数が、出発原料として用いた金属アルコキシ基含有化合物の総量に含まれるアルコキシ基の数N’に対して、0.8N’超であることが好ましく、1N’〜10N’が特に好ましい。なお、数値範囲を表す際に、数値の後ろに「超」と付した場合は、その数値を含まずそれより大きい数値範囲を示すものとする。
【0028】
金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系は、ペースト状、懸濁液状、溶液状などの流動性のある液状であることが好ましい。さらに、必要に応じて、後述する反応溶媒をも混合することによって、上記液状としてもよい。通常、金属アルコキシ基含有化合物は、特に限定はされないが、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系においては、粒子状で分散した状態、溶解した状態、または、一部が溶解した状態で残りが粒子状で分散している状態、などの状態で存在する。
組み合わせAの金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料として金属酸化物Aを得るか、または、組み合わせBの金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物Bを得るにあたっては、さらに反応溶媒を用いてもよい。具体的には、これら出発原料を混合するにあたり、あるいは、これら出発原料の混合系を高温状態にするにあたり、さらに反応溶媒を加えた上で行うようにすればよい。
【0029】
反応溶媒をも用いる場合、その使用量については、特に限定はないが、金属酸化物Aを得る場合は、出発原料として用いた全ての金属カルボン酸塩およびアルコールと反応溶媒との合計使用量に対する、上記全ての金属カルボン酸塩の合計使用量の割合が0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。同様に、金属酸化物Bを得る場合は、出発原料として用いた全ての金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物と反応溶媒との合計使用量に対する、上記全ての金属アルコキシ基含有化合物の合計使用量の割合が0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。これによって、金属酸化物を経済的に得ることができる。
【0030】
上記反応溶媒としては、水以外の溶媒、すなわち、非水溶媒が好ましい。非水溶媒としては、例えば、エチルベンゼン、オクタン、キシレン類、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、ジメチルナフタレン、スチレン、ソルベントナフサ、デカリン、デカン、テトラリン、ドデシルベンゼン、トルエン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、流動パラフィン等の炭化水素;各種ハロゲン化炭化水素;アルコール(フェノール類や、多価アルコールおよびその誘導体で水酸基を有する化合物なども含む);アニソール、エピクロロヒドリン、エポキシブタン、クラウンエーテル類、ジイソアミルエーテル、ジエチルアセタート、ジオキサン、ジグリシジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテルおよびアセタール;アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセトフェノン、アセトン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ホロン、メシチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘプチルケトン等のケトンおよびアルデヒド;アジピン酸ジエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、アビエチン酸メチル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、ギ酸プロピル、クエン酸トリブチル、ケイ皮酸メチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸n−ブチル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸メチルシクロヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジブチル、酒石酸ジエチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル、乳酸ブチル、乳酸メチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸メチル、ホウ酸エステル類、マレイン酸ジオクチル、マロン酸ジメチル、酪酸イソアミル、酪酸メチル、リン酸エステル類等のエステル;エチレンカーボナート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、両末端に水酸基を有しないポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)誘導体等の多価アルコール類のすべての水酸基の水素がアルキル基やアシル基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物や、シリコーン油、鉱物油等を挙げることができる。反応溶媒としては、親水性溶媒が特に好ましい。具体的には、常温(25℃)において、水を5重量%以上含み溶液状態になり得る溶媒が好ましく、任意の量の水を含み溶液状態になり得る溶媒がより好ましい。
【0031】
上記アルコール(フェノールや、多価アルコールおよびその誘導体で水酸基を有する化合物を含む。以下、アルコールと示す場合は同様とする。)としては、金属酸化物Aを得る場合に用いるアルコールとして列挙したものと同様のものを好ましく挙げることができる。
金属酸化物Bを得る場合は、反応溶媒としては、特に、非水溶媒のうちでも、アルコール性またはフェノール性水酸基を有しない非水溶媒である非アルコール性有機溶媒が好ましく、これを用いた際の反応収率が高い。非アルコール性有機溶媒としては、例えば、炭化水素;ハロゲン化炭化水素; エーテルおよびアセタール;ケトンおよびアルデヒド;エステル;多価アルコール類のすべての水酸基の水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物や、シリコーン油、鉱物油等を挙げることができる。これらの非アルコール性有機溶媒のなかでも、エーテルおよびアセタール;ケトンおよびアルデヒド;エステル;多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物等が好ましい。
【0032】
金属酸化物Aは、前述したように、出発原料を金属カルボン酸塩とアルコールとし、これらの混合系を高温状態にすることにより得られることが好ましいが、上記混合系を高温状態にするとは、上記混合系の温度を常温よりも高い温度であって金属酸化物Aが生成し得る温度、またはそれ以上の温度に昇温することである。上記高温状態の温度(金属酸化物Aが生成し得る温度)は、得ようとする金属酸化物の種類等によって異なるが、通常50℃以上であり、結晶性の高い金属酸化物を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに100〜300℃の範囲であるのが好ましい。
【0033】
上記混合系を高温状態にする際の具体的な昇温手段(予備反応物aを得る場合に緩やかな高温状態にする際の昇温手段も含む)としては、ヒーター、温風や熱風による加熱が一般的であるが、これに制限されるものではなく、例えば、紫外線照射などの手段を採用することもできる。混合系を高温状態にする際は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、特に限定はされないが、加圧下で出発原料を加熱等により高温状態にすることがより好ましい。また、反応溶媒等の沸点が金属酸化物Aの生成される反応温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行うことも好ましい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒となる成分の臨界点以下で行うが、超臨界条件で行うこともできる。
【0034】
金属酸化物Aを生成させる場合においては、金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系に含まれる水分が少ない方が、得られる金属酸化物の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、上記混合系中に、出発原料として使用した金属カルボン酸塩中の金属原子に対してモル比で4未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、水分がモル比で1未満であるとさらに好ましく、0.5未満であると特に好ましく、0.1未満が最も好ましい。
本発明の製造方法では、金属酸化物Aは金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系を高温状態にすることにより得ることができるが、該高温状態は、金属カルボン酸塩とアルコールとを混合すると同時かまたは混合した後に得られていればよく、すなわち、上記混合系を得るための出発原料の混合と、該混合系を高温状態にするための昇温とは、別々となるようにしてもよいし、同時(一部同時も含む)となるようにしてもよく、特に限定はされない。より詳しくは、上記混合系の昇温のための具体的手段(例えば加熱等)は、上記出発原料の混合に関わらず任意の方法・タイミングで行うことができ、例えば、混合前の出発原料の少なくとも一方を加熱等しておくことで混合と同時に該混合系を昇温させるようにしてもよいし、混合して得られる混合系に対して、該混合をしながらか又は該混合を終了した後で、加熱等を施し該混合系を昇温させるようにしてもよく、特に限定はされない。したがって、この混合と、昇温のための加熱等とのタイミングとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1)金属カルボン酸塩とアルコールとを混合しておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、2)アルコールを所定温度に加熱等しておき、これに金属カルボン酸塩を混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、3)反応溶媒と金属カルボン酸塩とを混合して所定温度に加熱等しておき、これにアルコールを混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、4)各成分(金属カルボン酸塩およびアルコール、および必要に応じて反応溶媒)を別々に加熱等しておいた後、これらを混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、5)金属カルボン酸塩とアルコールとを混合(および、必要により、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下で加熱等)して予備反応物aを得ておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、等が好ましく挙げられる。
【0035】
なお、予備反応物aを、金属カルボン酸塩とアルコールとの、混合、および、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下での加熱等により得る場合、該混合と該昇温のための加熱等とのタイミングとしては、上述した金属酸化物Aを得る際の混合と昇温のための加熱等とのタイミングと同様であることが好ましい。
金属酸化物Bは、上述のように、出発原料を金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とし、これらの混合系を高温状態にすることにより得られるものが好ましいが、上記混合系を高温状態にするとは、上記混合系の温度を常温よりも高い温度であって金属酸化物Bが生成し得る温度、またはそれ以上の温度に昇温することである。上記高温状態の温度(金属酸化物Bが生成し得る温度)は、得ようとする金属酸化物の種類等によって異なるが、通常50℃以上であり、結晶性の高い金属酸化物を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに100〜300℃の範囲であるのが好ましい。
【0036】
上記混合系を高温状態にする際の具体的な昇温手段(予備反応物bを得る場合に緩やかな高温状態にする際の昇温手段も含む)としては、前述の金属酸化物Aを得る場合と同様の手段が採用できる。混合系を高温状態にする際は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、特に限定はされないが、加圧下で出発原料を加熱等により高温状態にすることがより好ましい。また、反応溶媒等の沸点が金属酸化物Bの生成される反応温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行うことも好ましい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒の臨界点以下で行うが、超臨界状態で行うこともできる。
【0037】
金属酸化物Bを生成させる場合においては、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系に含まれる水分が少ない方が、得られる金属酸化物の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、上記混合系中に、出発原料として使用した金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子に対してモル比で1未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、水分がモル比で0.2未満であるとさらに好ましく、0.1未満であると特に好ましい。
本発明の製造方法では、金属酸化物Bは金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系を高温状態にすることにより得ることができるが、該高温状態は、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを混合すると同時かまたは混合した後に得られていればよく、すなわち、上記混合系を得るための出発原料の混合と、該混合系を高温状態にするための昇温とは、別々となるようにしてもよいし、同時(一部同時も含む)となるようにしてもよく、特に限定はされない。より詳しくは、上記混合系の昇温のための具体的手段(例えば加熱等)は、上記出発原料の混合に関わらず任意の方法・タイミングで行うことができ、例えば、混合前の出発原料の少なくとも一方を加熱等しておくことで混合と同時に該混合系を昇温させるようにしてもよいし、混合して得られる混合系に対して、該混合をしながらか又は該混合を終了した後で、加熱等を施し該混合系を昇温させるようにしてもよく、特に限定はされない。したがって、この混合と、昇温のための加熱等とのタイミングとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1)金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを混合しておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、2)カルボキシル基含有化合物を所定温度に加熱等しておき、これに金属アルコキシ基含有化合物を混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、3)反応溶媒と金属アルコキシ基含有化合物とを混合して所定温度に加熱等しておき、これにカルボキシル基含有化合物を混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、4)各成分(金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物、および必要に応じて反応溶媒)を別々に加熱等しておいた後、これらを混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、5)金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを混合(および、必要により、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下で加熱等)して予備反応物bを得ておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、等が好ましく挙げられる。
【0038】
なお、予備反応物bを、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との、混合、および、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下での加熱等により得る場合、該混合と該昇温のための加熱等とのタイミングとしては、上述した金属酸化物Bを得る際の混合と昇温のための加熱等とのタイミングと同様であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前述のとおり、金属酸化物粒子を生成させるにあたり、この生成を、特定の加水分解性化合物、すなわち、金属元素を含有しない加水分解性有機化合物(以下、加水分解性化合物(a)と称することがある。)の存在下で行うようにしていること、および/または、この生成の後に加水分解性化合物(a)を添加するようにしていることが重要である。
【0039】
具体的には、前記出発原料の混合系に、さらに、加水分解性化合物(a)を添加するようにしていることが重要である。ここで、前記混合系に加水分解性化合物(a)を添加するようにするとは、前記混合系を高温状態とする際には該混合系に加水分解性化合物(a)が既に添加され存在させていることであってもよいし、前記混合系を高温状態とすると同時または高温状態とした後に該混合系に添加することで存在させることであってもよく、特に限定はされないが、前者の形態を必須とすることが好ましい。高温状態とした後とは、一旦高温状態にした以降の段階すべてを意味することとするため、例えば、一旦高温状態にした後の高温状態を維持している段階(高温状態にしながらの段階)や、高温状態の維持をしなくなった段階や、すでに高温状態ではなくなった段階等をすべて含むこととする。上記の、前者の形態にあっては、前記混合系を高温状態にするまでに添加されていればよいため、これを満たす範囲内であれば、例えば、特定の組み合わせの出発原料を混合して混合系を得る前に出発原料の少なくとも一方に予め添加しておいてもよいし、特定の組み合わせの出発原料を混合すると同時または混合した後にこれらの混合系に添加してもよいし、これらを組み合わせた添加のタイミングであってもよい。
【0040】
上記特定の出発原料から金属酸化物粒子を得るようにする本発明の製造方法において、前述のように加水分解性化合物(a)を用いることによって、生成した金属酸化物粒子の2次凝集を効果的に解消することができる。金属酸化物の生成反応において副生する水分を介する形で、粒子として生成した金属酸化物が凝集して(具体的には、副生した水分を取り囲むように、生成した金属酸化物粒子が凝集して)、前述した生成反応後の金属酸化物粒子の単分散性悪化の問題を生じていたものと推測されるが、加水分解性化合物(a)を、上述のようにこの生成反応系に用いることによって、副生した水分を容易かつ効率的に除去・消去することができ、上記2次凝集が解消され、最終的に、金属酸化物粒子の単分散性に非常に優れた調製液等を得ることができる。また、この加水分解性化合物(a)の使用によって、金属酸化物粒子の生成反応自体も非常に効率良く進行するという効果も得られる。さらに、該生成反応の反応温度についても、通常の金属酸化物粒子の生成に比べて非常に低い温度で行うことができる。
【0041】
本発明の製造方法で使用できる加水分解性化合物(a)としては、特に限定はされないが、例えば、オルトギ酸メチルおよびオルトギ酸トリメチルなどのオルトギ酸エステル;オルト酢酸トリメチルおよびオルト酢酸トリエチルなどのオルト酢酸エステル;オルトプロピオン酸トリメチルおよびオルトプロピオン酸トリエチルなどのオルトプロピオン酸エステル;オルトn−酪酸トリメチルおよびオルトn−酪酸トリエチルなどのオルト酪酸エステル;オルト安息香酸トリメチル等のオルト安息香酸エステルなどの芳香族オルトカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよく、特に限定はされない。
【0042】
本発明の製造方法における加水分解性化合物(a)使用量に関しては、出発原料として用いる金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子の価数、および、生成させようとする金属酸化物の金属原子の価数により適宜考慮する必要があるが、好ましくは、出発原料として用いた金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子に対する、上記加水分解性化合物(a)のモル比が、0.5〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは2〜5である。上記モル比が0.5未満の場合は、加水分解性化合物(a)を使用した効果が十分に発揮されないおそれがあり、20を超える場合は、それ以上の効果向上は望めず経済性に劣ることとなるおそれがある。また、この加水分解性化合物(a)の使用量に関しては、上記出発原料として用いた金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物の価数(mまたはn)が2〜5である場合が特に好ましい。
【0043】
本発明の製造方法により金属酸化物粒子を調製した後の調製液は、そのまま、あるいは濃縮して溶媒分散体や可塑剤分散体として使用することができるほか、バインダー成分(樹脂成分)を加えて成膜用組成物(塗料組成物)とし、これを基材に塗布して微粒子分散膜を形成したり、あるいは、同様にバインダー成分(樹脂成分)などに含有させて成形用樹脂組成物などとすることができる。また、濃縮乾固や遠心分離で溶媒を除去した後、加熱や乾燥をして微粒子粉体として取り扱うこともできる。
上記バインダー成分としては、例えば、シリコンアルコキシド系バインダー、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂など、熱可塑性または熱硬化性(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性、湿気硬化性、これらの併用等も含む)の各種合成樹脂や天然樹脂等の有機系バインダーや、無機系バインダー等を挙げることができる。合成樹脂としては、たとえば、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、液状ポリブタジエン、クマロン樹脂等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。天然樹脂としては、たとえば、セラック、ロジン(松脂)、エステルガム、硬化ロジン、脱色セラック、白セラック等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。合成樹脂としては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等の天然または合成のゴム等を用いてもよい。合成樹脂と併用する成分として、硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができる。
【0044】
バインダー成分の形態については、特に限定はなく、溶剤可溶型、水溶性型、エマルション型、分散型(水/有機溶剤等の任意の溶剤)等を挙げることができる。
水溶性型のバインダー成分としては、たとえば、水溶性アルキド樹脂、水溶性アクリル変性アルキド樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂(水溶性ポリエステル樹脂)、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性メラミン樹脂等を挙げることができる。
エマルション型のバインダー成分としては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合ディスパージョン;酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリル−シリコーンエマルション、フッ素樹脂エマルション等を挙げることができる。
【0045】
無機系バインダーとしては、シリカゲル、アルカリケイ酸、シリコンアルコキシド等の金属アルコキシド、これらの(加水分解)縮合物、リン酸塩等を挙げることができる。
上記成膜用組成物(塗料組成物)を塗布する場合の基材としては、例えば、ガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルムなど、公知のシート、フィルムなどを用いることができる。すなわち、塗料組成物は、金属、ガラス、陶器等の無機物や、樹脂等の有機物等の基材の表面に塗布することができるのである。基板の形状については、特に限定はなく、フィルム状、シート状、板状、繊維状等の形状を挙げることができる。
【0046】
上記基材として用いられる樹脂の材質としては、特に限定はなく、たとえば、ポリオレフィン系;EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)系;ポリスチレン系;軟質又は硬質ポリ塩化ビニル;EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)系;PVA系(ビニロン系);PVDC系(ポリ塩化ビニリデン);ポリエステル系;ポリカーボネート系;ポリウレタン系;ポリアミド系;ポリイミド系;ポリアクリロニトリル系;ポリサルフォン系;ポリエーテルサルフォン系;ポリフェニレンサルファイド系;ポリアリレート系;ポリエーテルイミド系;アラミド系;(メタ)アクリル系;ポリエーテルエーテルケトン系;テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、フッ素樹脂系等、従来公知の樹脂を挙げることができる。
【0047】
本発明の製造方法により得られる金属酸化物粒子の1次粒子径(結晶子径)は、特に限定はされないが、20nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以下である。上記1次粒子径(結晶子径)が20nm以下であると、金属酸化物粒子を含有する膜や樹脂成形体等の透明性が保たれるため好ましい。なお、上記結晶子径は、X線回折測定を行い、ウィルソン法解析で求めた値Dwである。
本発明の製造方法により得られる金属酸化物粒子の分散粒径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下、さらにより好ましくは50nm以下である。上記分散粒径が100nm以下であると、金属酸化物粒子を含有する膜や樹脂成型体等の透明性、機械的特性等が保たれるため好ましい。
【0048】
本発明の製造方法により得られる金属酸化物粒子において、該粒子を構成する金属酸化物は、単一酸化物、複合酸化物および固溶体酸化物のいずれであってもよいが、導電性機能などに優れる点では2種以上の金属元素を含有する複合酸化物あるいは固溶体酸化物が好ましい。以下に、単一酸化物、複合酸化物および固溶体酸化物それぞれについての具体例を示す。
〔単一酸化物〕
3次元格子構造を有する酸化物として、M2O型酸化物(Li2O、Na2O、K2O、Rb2O;Cu2O、Ag2O);MO型酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO;FeO、CoO、NiO、MnO;TiO、VO;BeO、ZnO;NbO;PdO、PtO、CuO、AgO);M2O3型酸化物(Al2O3、Ti2O3、V2O3、Fe2O3、Cr2O3、Rh2O3、Ga2O3;Mn2O3、Sc2O3、 Y2O3、In2O3、Tl2O3;α−Bi2O3、β−Bi2O3、γ−Bi2O3;B2O3;ランタノイド系金属酸化物);MO2型酸化物(ZrO2、HfO2、CeO2、ThO2、UO2;TiO2、SnO2、VO2、CrO2、MoO2、WO2、MnO2、GeO2;SiO2、GeO2);MO3型酸化物(ReO3、WO3)が挙げられる。
【0049】
低次元格子構造を有する酸化物として、層状格子構造酸化物(M2O型酸化物(Ca2O);MO型酸化物(PbO、SnO);M2O5型酸化物(V2O5);MO3型酸化物(MoO3)等);鎖状格子構造酸化物(HgO、SeO2、CrO3、Sb2O3);分子格子構造酸化物(RuO4、OsO4、Tc2O7、Sb4O6)が挙げられる。
〔複合酸化物〕
ABO2型複合酸化物(LiBO2;LiGaO2;γ−LiAlO2;LiFeO2、LiInO2、LiScO2、LiEuO2、LiNiO2、LiVO2、NaFeO2、NaInO2;CuCrO2、CuFeO2、PdCoO2、PdCrO2、PdRhO2、PtCoO2);ABO3型複合酸化物(ScTiO3、ScVO3;FeVO3、MnFeO3、FeCrO3、TiVO3、FeTiO3、CoMnO3、CoVO3、NiTiO3、CdTiO3、LiNbO3;LiSbO3;PbReO3、BiYO3、AO3の最密面を有するABO3型酸化物として、BaNiO3、ペロブスカイト酸化物(KTaO3、NaNbO3、BaMnO3、SrTiO3;BiAlO3、PbSnO3、BaTiO3、PbTiO3;LaAlO3、LiNiO3、BiFeO3、KNbO3;GdFeO3、YFeO3、NdGaO3、CaTiO3)、BaMnO3、SrTiO3、Sr4Re2SrO12、BaRuO3等);ABO4型複合酸化物(PBO4、BeSO4;CrVO4、ZnCrO4;α−MnMoO4;CaWO4、CaMoO4;Bi2(MoO4)3、Eu2(WO4)3;MNbO4、MTaO4(M:3価);CaCrO4、YVO4;CrVO4、AlAsO4;FeVO4、FeWO4、MnWO4、NiWO4;CuWO4;CoMoO4);AB2O4型複合酸化物(NiCr2O4、CoCr2O4、MnCr2O4、NiFe2O4、CoFe2O4、MnFe2O4、ZnFe2O4;Be2SiO4;CaFe2O4、CaTi2O4等)などが挙げられる。
【0050】
上記列挙した酸化物以外にも、ケイ酸塩やアルミノケイ酸塩;Mo、W、V、Nb、Ta等のポリ酸であって、異種原子を取り込んだヘテロポリ酸、さらに、Mo、W、V等の一部を異種金属で置換した混合ヘテロポリ酸や、これらの塩等も、複合酸化物として挙げられる。
〔固溶体酸化物〕
固溶体酸化物とは、単一酸化物または複合酸化物に、任意の異種金属を固溶した侵入型または置換型固溶体酸化物と定義される。
上記単一酸化物または複合酸化物が上記金属酸化物Aである場合、固溶させる異種金属は、金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物に由来するものであることが好ましいが、なかでも、金属カルボン酸塩由来のものが、固溶率の高い固溶体が得られるためより好ましい。
【0051】
また、上記単一酸化物または複合酸化物が上記金属酸化物Bである場合、固溶させる異種金属は、金属アルコキシ基含有化合物や金属カルボン酸塩に由来するものであることが好ましいが、なかでも、金属アルコキシ基含有化合物由来のものが、固溶率の高い固溶体が得られるためより好ましい。
以下、固溶体酸化物について具体的に例示するが、特にこれらに限定はされない。
(1)導電性酸化物
上記金属酸化物に、導電性を高める目的で、ドナーやアクセプターとなる異種金属元素やフッ素、水素などを含有または固溶させることがあるが、これらの酸化物も本発明でいう金属酸化物に含まれる。例えば、ZnOにAl、In、Ga、Si;TiO2にTa;Fe2O3にTi;BaTiO3にLa、Ta;In2O3にSn、Ti;SnO2にSb、P、F;MgIn2O4にH;というようなn型半導性酸化物にドナーとなる異種金属元素を含有させてなるn型導電性酸化物や、NiOにLi;CoOにLi;FeOにLi;MnOにLi;Bi2O3にBa;Cr2O3にMg;LaCrO3にSr;LaMnO3にSr;SrCu2O2にK;というようなp型半導性酸化物にアクセプターとなる異種元素を含有させてなるp型導電性酸化物が挙げられる。さらに、K2O−11Fe2O3にTiを添加してなるイオン−電子複合伝導体や、イオン伝導体として知られる酸化ジルコニウムにY、Sc等の金属をドープ(固溶)してなる酸化ジルコニウム系固溶体も含まれる。通常、固溶させるドナーあるいはアクセプターの濃度は、母体の金属酸化物の金属に対する原子数比で表して、0.01〜20%、好ましくは0.1〜5%である。これら導電性酸化物は、通常、熱線を含む赤外線吸収または反射機能を有するので、熱線遮蔽材料としても有用である。また、上述のLaMnO3にSrを含有させてなるp型導電性酸化物のように、前記したペロブスカイト型酸化物やスピネル型酸化物等の複合酸化物中の金属元素の一部を任意の異種金属元素で置換してなるものも含まれる。
【0052】
これらの導電性酸化物のうち、n型導電性酸化物は、熱線を含む赤外線吸収能に優れるので、赤外線遮断材料としても有用である。
(2)希薄磁性半導体酸化物
Y2O3、TiO2、Fe2O3、ZnO、In2O3、SnO2、BaTiO3、MgIn2O4などの酸化物や、これらに異種金属を固溶してなるか酸素欠陥を導入してなるn型又はp型半導体または導電性の酸化物に、Fe、Cr、Mn、Co、Ni等の磁性金属イオンを固溶させることによって得ることができる。
好ましい磁性金属イオンの濃度は、半導体または導電体の酸化物における金属に対する原子数比で、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、特に好ましくは10〜30%である。
(3)蛍光体酸化物
単一酸化物または複合酸化物などの母体結晶酸化物に、発光中心となる金属イオン又は非金属元素の1種または2種以上を固溶させてなる酸化物である。発光中心となる金属イオンとしては、例えば、Mn(II)、Cr(III)、Ag(I)、Cu(II)、Sb(III)、Sn(II)、Pb(II)、Tl(I)等の典型金属元素のイオンや遷移金属元素のイオンの他、Eu(II)、Eu(III)、Nd(III)、Tb(III)、Pr(III)、Yb(III)、Sm(III)、Ho(III)等のランタノイド金属元素のイオンなどを好ましく用いることができ、非金属元素としては、例えば、FおよびCl等のハロゲン原子などを好ましく用いることができる。また、母体結晶酸化物としては、可視光および/または近赤外線領域の光に対して実質的に吸収のない酸化物が好ましく、ZnO、Zn2SiO4、Y2O3、SnO2、In2O3等がより好ましい。
【0053】
ZnOにMn(II)、Sb(III)をZnに対する原子数比で0.1〜5%固溶させてなる蛍光体は、特に、金属イオンが均一分散した固溶体が得られる点で好ましい。
以下に、金属酸化物が有する各種機能・特性と、それを発揮し得る金属酸化物の具体例を列挙する。本発明の製造方法により得られた金属酸化物粒子が、これら列挙した金属酸化物からなる粒子であれば、各種機能分野において機能性塗料、膜あるいは成形体などの材料成分として、その機能・特性を十分に発揮させることができる。
【0054】
高屈折率機能:酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化クロム、アルミナ、および、これらの酸化物に異種金属をドープしてなるものなど。(これらは反射やぎらつきの防止もできる。)
紫外線吸収機能:酸化チタン、酸化第1鉄、酸化亜鉛、酸化セリウムなど。
赤外線吸収機能:酸化インジウムにTiやSn等の4価金属元素またはフッ素を固溶した酸化インジウム系固溶体、酸化第2スズにPやSb等の5価金属元素またはフッ素を固溶した酸化第2スズ系固溶体、および、酸化亜鉛にAlやIn等の3価金属元素を固溶した酸化亜鉛系固溶体など。
【0055】
電気伝導機能:上記の酸化インジウム、酸化第1スズ、酸化第2スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅などのn型、p型半導体として知られる酸化物およびこれらにドーパントまたはアクセプターとなる金属元素を固溶した固溶体、亜酸化銅、チタンブラック等の如く安定な酸化物を還元処理して得られるような低原子価金属の酸化物などの電子伝導性酸化物;酸化ジルコニウム等のイオン伝導性酸化物。
熱伝導機能;アルミナ、酸化亜鉛など。
磁気機能:マンガンフェライト(MnFe2O4)やニッケルフェライト(NiFe2O4)等のフェライト、マグネタイト(Fe3O4)などの強磁性酸化物など。
【0056】
光触媒機能:酸化チタン、酸化亜鉛など。
熱電変換機能:酸化亜鉛にインジウムをドープしてなるもの、酸化亜鉛にアルミニウムをドープしてなるもの、In2O5−ZnO系ホモロガス化合物など。
光電変換用半導体:酸化チタン、酸化亜鉛など。
圧電体:酸化亜鉛など。
表面弾性波素子用:酸化亜鉛など。
透明導電膜:赤外線吸収機能を有する金属酸化物と同様。
蛍光体、発光体:酸化亜鉛や酸化亜鉛にマンガンをドープしてなるもの等の酸化亜鉛系のものなど。(紫外線発光体またはグリーン発光体として用い得る。)エレクトロルミネッセンス:WO3やNaxWO3等の酸化タングステン系のものなど。
【0057】
【実施例】
以下においては、実施例によってさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
下記実施例および比較例における評価・測定方法等について、具体的に説明する。
<粉末試料の作製>
得られた分散体中の微粒子を遠心分離操作によって分離した後、アセトンによる洗浄を行った後、80℃で1日真空乾燥し、揮発成分を完全に除去して微粒子の粉末を得、これを粉末試料とした。
<分散体中の微粒子濃度>
微粒子の分散体の一部をるつぼに秤量し、60℃で12時間真空乾燥した後、さらに120℃で2時間真空乾燥して得られた残分量を微粒子量とし、分散体中の微粒子濃度を求めた。
<結晶性>
粉末試料を粉末X線回折測定し、解析することにより評価した。
<1次粒子径>
以下、いずれかの方法によった。
【0058】
結晶子径Dw:粉末試料の粉末X線回折測定を行い、Wilson法により解析した。結晶子の大きさを1次粒子径とした。
比表面積径:粉末試料の粉末X線回折測定を行った結果、非晶質であった微粒子に関しては、B.E.T.法による比表面積、並びに、真比重を測定し、下記式より求めた粒子径を比表面積径とした。
Ds=6000/(ρ・S)
(ここで、ρ:真比重、S:比表面積(m2/g)、Ds:粒子径(nm)を表す。)
<異種金属の含有量並びに複合酸化物の組成>
微粒子が、2種以上の金属成分を含む微粒子(固溶体、複合酸化物)の場合、粉末試料を蛍光X線分析し、その結果から、異種金属の含有量並びに複合酸化物の同定を行った。
<分散体中の含水量>
微粒子の分散体を遠心分離し、得られた溶媒の一部を、カールフィッシャー法により分析して求めた。
<微粒子の分散性>
微粒子の分散体を、分散体合成時に用いた主溶媒で、微粒子濃度0.2wt%となるように希釈し、TEM試料台であるメッシュ上に展開し、TEMで観察した結果より、以下の基準に基づき判定した。
【0059】
A:1次粒子が全く凝集せずにあるいは一部の粒子を除いて、凝集せずに分散している。
B:1次粒子が部分的又は全体的に凝集しているが、3次元的な2次凝集体ではなく、2次元的に数個〜10個程度2次凝集(隣接した状態)している程度である。
C:全体的に、1次粒子としてではなく、3次元的な2次粒子として存在している。
<塗工品の透明性>
反応により得られた分散液をキシレンに溶媒置換又は濃縮し、塗料化して、塗工品(塗布物)の透明性を評価することにより評価した。
【0060】
(1)溶媒の沸点がキシレンより低い溶媒からなる分散液の場合:
得られた分散液をエバボレータにより減圧加熱することにより溶媒成分を留去しながら、キシレンをフィードすることにより、キシレンに溶媒置換し、微粒子濃度20wt%のキシレン分散体を得る。
(2)溶媒の沸点がキシレンより高い溶媒からなる分散液の場合:
得られた分散液をエパボレータにより減圧加熱することにより微粒子濃度20wt%の濃縮分散体を得る。
上記(1)、(2)により得られたキシレン分散体あるいは濃縮分散体100部に、アクリル樹脂溶液(固形分濃度50wt%、溶媒:トルエン、n−ブタノール(1:1))40部を加え、マグネトックスターラーで撹拝した後、ガラス基板(厚さ1.5mm、ヘイズ<0.1%)に塗布し、100℃で加熱乾燥することによって、塗工品を得る。
【0061】
得られた塗工品のヘイズを測定し、以下の基準に従った判定した。
O:ヘイズ<3%
×:ヘイズ≧3%
なお、ヘイズの測定には、濁度計(日本電色工業社製、製品名:NDH−1001DP)を用いた。
『出発原料:金属カルボン酸塩+アルコール』
−実施例1−1−
撹拌機、添加口、温度計、窒素ガスパージ口(入口と出口)を備えた、外部より加熱し得る耐圧100Lステンレス(SUS316)製反応器を用意した。
【0062】
この反応器に、金属化合物として酢酸亜鉛2水和物粉末147部、アルコールとしてベンジルアルコール1000部、添加有機化合物としてオルトギ酸トリメチル217部を仕込み、容器を密閉した後、撹拌しながら、20℃より65分かけて200℃に昇温した。200℃±2℃で3時間保持した後、冷却することにより、分散液(1−1)1364部を得た。
得られた分散液(1−1)は、表2に示す物性の酸化亜鉛微粒子を4.2wt%含有するものであった。分散体(1−1)中には、水分は0.1wt%以下であった。
【0063】
分散液(1−1)の分散性はランクAであった。
次に、分散液(1−1)をエバボレータにより減圧加熱濃縮し、微粒子濃度20wt%まで濃縮して、濃縮分散体(1−1a)を得た。
濃縮分散体(1−1a)100部に、アクリル樹脂溶液(固形分濃度50wt%、溶媒:トルエン、n−ブタノール(1:1))40部を加え、撹拌した後、ガラス基板に塗布し、100℃で加熱乾燥することによって、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は○であった。
−比較例1−1−
実施例1−1において、オルトギ酸トリメチルを用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c1−1)1147部を得た。得られた分散液(C1−1)は、表2に示す物性の酸化亜鉛微粒子を5.0wt%、水分3.2wt%含有するものであった。
【0064】
分散液(c1−1)の分散性はランクCであった。
次に、実施例1−1と同様にして、濃縮分散体(c1−1a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は×であった。
−実施例1−2〜1−8−
実施例1−1において、添加有機化合物、金属化合物、アルコールの種類、量、加熱条件等を、表1に示すように変更した以外は、同様にして、反応を行い、分散体(1−2)〜(1−8)を得た。
【0065】
得られた分散液の微粒子の解析結果を表2に示す。また、分散性の評価結果を表3に示す。
さらに、実施例1−4および1−7では、得られた分散液より、実施例1−1と同様にして、濃縮分散体(1−4a)および(1−7a)を得、塗料化して、塗工品を得た。塗工品の透明性はいずれも○であった。
また、実施例1−2、1−3、1−5、1−6および1−8では、得られた分散液より、前述の評価方法に記載したようにしてキシレン分散体を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0066】
得られた塗工品の透明性はいずれも○であった。
−比較例1−2〜1−8−
実施例1−2〜1−8において、添加有機化合物を用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c1−2)〜(c1−8)を得た。
分散性の評価結果を表3に示す。
さらに、これら比較例1−2〜1−8で得られた分散液より、それぞれ実施例1−2〜1−8中の番号の対応する実施例と同様にして、濃縮分散体またはキシレン分散体を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0067】
得られた塗工品の透明性はいずれも×であった。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
『出発原料:金属アルコキシ基含有化合物+カルボキシル基含有化合物』
−実施例2−1−
実施例1と同様の反応器を用意した。
この反応器に、非水溶媒としてのメチルイソブチルケトン800部、カルボキシル基含有化合物としての酢酸100部、金属アルコキシ基含有化合物としてのチタニウムテトラn−ブトキシド136部、添加有機化合物としての、オルト酢酸トリメチル192部を順次仕込み、得られた溶液を撹拌しながら、20℃より65分かけて180℃に昇温した。180℃±2℃で3時間保持した後、冷却することにより、分散液1228部を得た。
【0072】
得られた分散液(2−1)は、表5に示す物性のアナタース型酸化チタン微粒子を3.1wt%含有するものであった。また分散性の評価結果はAであった。また分散体(2−1)中には、水分は0.1wt%以下であった。
次に、分散液(2−1)より、キシレン分散体(2−1a)を得、キシレン分散体(2−1a)100部に、アクリル樹脂溶液(固形分濃度50wt%、溶媒:トルエン、n−ブタノール(1:1))40部を加え、撹拌した後、ガラス基板に塗布し、100℃で加熱乾燥することによって、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は○であった。
【0073】
−比較例2−1−
実施例2−1において、オルト酢酸トリメチルを用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c2−2)1036部を得た。得られた分散液(c2−2)は、表4に示す物性のアナタース型酸化チタン微粒子を3.7wt%、水分1.4wt%含有するものであった。また分散性の評価結果はBであった。
次に、実施例2−1と同様にして、濃縮分散体(s2−1a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は×であった。
【0074】
−実施例2−2〜2−4−
実施例2−1において、添加有磯化合物、金属化合物、アルコールの種類、量、加熱条件等を、表4に示すように変更した以外は、同様にして、反応を行い、分散体(2−2)〜(2−4)を得た。
得られた分散体中の微粒子の解析結果を表5に、分散性の評価結果を表6に示す。
さらに、各実施例で得られた分散液より、実施例2−1と同様にして、キシレン分散体(2−2a)〜(2−4a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0075】
得られた塗工品の透明性はいずれも○であった。
−比較例2−2〜2−4−
実施例2−2〜2−4において、添加有機化合物を用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c2−2)〜(c2−4)を得た。
分散性の評価結果を表6に示す。
さらに、これら比較例2−2〜2−4で得られた分散液より、実施例2−1と同様にして、キシレン分散体(c2−2a)〜(c2−4a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0076】
得られた塗工品の透明性はいずれも×であった。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、微細な粒子を分散性に優れた状態で得ることや、金属酸化物の生成反応自体をより速やかにかつ低温で進行させることを、容易に行うことができる、金属酸化物粒子の製造方法を提供することができる。
【発明の属する術分野】
本発明は、金属酸化物粒子の製造方法に関する。詳しくは、金属カルボン酸塩とアルコール、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物といった特定の組み合わせを出発原料とする金属酸化物粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属酸化物粒子は、例えば、ゴム用加硫促進助剤、各種塗料、印刷インキ、絵の具、ガラス、触媒、医薬品、顔料、フェライト等の原料等に用いられており、粒子径が0.1μm以下で、高い分散性を有する粒子が要求されている。
従来より、金属酸化物粒子を得るための方法としては、金属塩を水溶液中で中和加水分解して得られた水酸化物や炭酸塩を乾燥後に焼成する方法や金属アルコキシ基含有化合物をアルコール中で加水分解する方法などに代表されるいわゆる湿式法、および、金属蒸気を酸素雰囲気下で高温処理する方法や金属塩の熱分解を利用する方法などに代表されるいわゆる乾式法が知られている。
【0003】
しかし、上記湿式法では、前駆体を高温で焼成する必要があるため、粒子径の小さい、特に0.1μm以下のナノサイズレベルの超微粒子を得ることは困難であった。また、上記乾式法では、粒度分布のシャープなものを得ることは困難であった。
そこで、これら湿式法、乾式法での問題を解決する金属酸化物粒子の製造方法として、例えば、▲1▼アルコール存在下で金属酢酸塩を加熱する(金属酢酸塩とアルコールとを含む混合物を加熱する)方法(例えば、特許文献1参照。)などが知られている。また、同様の問題を解決するための別の製造方法として、本発明者らは、▲2▼金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを含む混合物を加熱するという方法を提案した(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、粒子が微細であればあるほどその凝集性は高いため、上記製造方法においては、2次粒子化した金属酸化物粒子が多く生成されてしまうという問題があった。この2次粒子化においては、もともとの生成される粒子が微細であるため、非常に多くの微粒子が集まったものが多量にできやすい。調製した金属酸化物粒子を各種用途に用いる際、もともとの微粒子から見るとかなり巨大といえる粒子が、必然的に多数混在することとなっていた。このように、多数の巨大な粒子が存在してしまうと、金属酸化物粒子が本来有する優れた微粒子特性や超微粒子特性はほとんど発揮されず、逆に、例えば、樹脂や塗料などに含有させて成形用組成物とした場合には、全体の物性を低下させてしまうこと等もあった。また、個々の微粒子の表面処理する場合においても、上述の2次粒子の生成のため、一律に個々の微粒子すべてが均一に表面処理されるということは極めて考えにくい。
【0005】
金属酸化物粒子においては、もとより微細であることは言うまでもなく、近年の技術開発の成果および新規用途分野での要請もあり、ナノサイズレベルでもさらにより微細な粒子であって分散性に優れた状態ものが求められており、実際に調製も試みられているため、上述のごとき表面処理・改質は益々困難を極めたものとなる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−185916号公報
【0007】
【特許文献2】
特願2001−170134号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、微細な粒子を分散性に優れた状態で得ることができる金属酸化物粒子の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定の組み合わせの出発原料(具体的には、アルコールと金属カルボン酸塩、あるいは、カルボキシル基含有化合物と金属アルコキシ基含有化合物)を用い、これらから生成する金属酸化物粒子の製造方法に着目し、この製法において、上記金属酸化物粒子の生成反応を特定の加水分解性化合物、すなわち、金属元素を含有しない加水分解性有機化合物の存在下で行うようにする、および/または、上記金属酸化物粒子の生成後に上記特定の加水分解性化合物を添加するようにすれば、上記課題を一挙に解決できることを見出し、これを確認して本発明を完成した。
【0010】
また、驚くべきことに、上述の製造方法において、なかでも、上記金属酸化物粒子の生成反応を特定の加水分解性化合物の存在下で行うようにすれば、該生成反応が格段に進行しやすくなることを見出した。
すなわち、本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法は、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物粒子を生成させる方法であって、前記生成を金属元素を含有しない加水分解性有機化合物の存在下で行う、および/または、前記生成の後に前記加水分解性有機化合物を添加することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法(以下、本発明の製造方法と称することがある。)は、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物粒子を生成させる方法であって、上記生成を金属元素を含有しない加水分解性有機化合物(以下、特定の加水分解性化合物と称することがある。)の存在下で行う、および/または、上記生成の後に上記加水分解性有機化合物を添加するようにするようにしている。好ましくは、上記出発原料を混合すると同時かまたはその後に該混合系を高温状態にして金属酸化物粒子を生成させる方法である。
【0012】
本発明の製造方法においては、出発原料となる特定の組み合わせとして、金属カルボン酸塩とアルコール(以下、組み合わせAと称することがある。)、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物(以下、組み合わせBと称することがある。)を用いるようにしている。
組み合わせAにおける金属カルボン酸塩としては、具体的には、分子内にカルボキシル基の水素原子が金属原子で置換された結合を少なくとも1つ有する化合物であり、カルボキシル基としては、例えば、飽和モノカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、飽和多価カルボン酸、不飽和多価カルボン酸などの鎖式カルボン酸;環式飽和カルボン酸;芳香族モノカルボン酸、芳香族不飽和多価カルボン酸などの芳香族カルボン酸;さらに分子内にヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物などの金属塩;などを好ましく用いることができるが、特にこれらに限定はされるわけではない。なかでも、下記一般式(I):
M(O)(m−x−y−z)/2(OCOR1)x(OH)y(OR2)z (I)
(但し、Mはm価の金属原子;R1は、水素原子、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;R2は、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;m、x、yおよびzは、x+y+z≦m、0<x≦m、0≦y<m、0≦z<mを満たす。)
で表される化合物のように上記した金属カルボン酸塩またはカルボン酸残基の一部が水酸基やアルコキシ基で置換されたものや、後述のカルボキシル基含有化合物の金属塩や、塩基性酢酸塩などを好ましく挙げることができる。なかでも、後述のカルボキシル基含有化合物の金属塩の中の金属飽和カルボン酸塩や金属不飽和カルボン酸塩がより好ましく、さらに好ましくは上記一般式(I)で表される金属カルボン酸塩であり、最も好ましくは金属酢酸塩や金属プロピオン酸塩であり、金属(M)がZnである場合は金属酢酸塩が特に好ましい。なお、上記金属カルボン酸塩は、結晶水を含む金属カルボン酸塩の水和物であってもよいが、無水物であることが好ましい。
【0013】
上記金属カルボン酸塩に含まれる金属(M)としては(一般式(I)中の金属元素(M)も含む)、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1A族、2A族、3A族、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、ランタノイド元素、アクチノイド元素、1B族、2B族、3B族、4B族、5B族、6B族に含まれる金属元素を挙げることができ、これらの中でも、例えば、Sr、Ce、Y、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sn、SbおよびLa等の金属元素が、本発明においては好適である。これらは1種のみでも2種以上併存していてもよい。金属カルボン酸塩としては、上記列挙した以外に、シュウ酸バリウムチタニル等の複合金属カルボン酸塩等も好適である。なお、本明細書においては、周期表は、改訂5版「化学便覧(日本化学会編)」(丸善株式会社より出版)に掲載されている「元素の周期表(1993年)」を用い、族番号は亜族方式により表記する。
【0014】
組み合わせAにおけるアルコールとしては、特に限定はないが、例えば、脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アルコール(アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価アルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、メチルフェニルカルビノール等)、フェノール類(エチルフェノール、オクチルフェノール、カテコール、キシレノール、グアヤコール、p−クミルフェノール、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、ドデシルフェノール、ナフトール、ノニルフェノール、フェノール、ベンジルフェノール、p−メトキシエチルフェノール等)、複素環式1価アルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコール類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、脂環式グリコール(シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等)、および、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等の上記グリコール類のモノエーテルまたはモノエステル等の誘導体;グリセリンやトリメチロールエタン等の3価アルコール、エリスリトールやペンタエリスリトール等の4価アルコール、リピトールやキシリトール等の5価アルコール、ソルビトール等の6価アルコール等の3価以上の多価アルコール、ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、フタリルアルコール等の多価芳香族アルコール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等の2価フェノールや、ピロガロール、フロログルシン等の3価フェノール等の多価フェノール、および、これら多価アルコール類におけるOH基の一部(1〜(n−1)個(ただし、nは1分子当たりのOH基の数))がエステル結合またはエーテル結合となった誘導体;等を挙げることができる。
【0015】
上記アルコールとしては、なかでも、後述する金属錯体モノマーやその誘導体をより低い温度状態で得やすく且つ金属カルボン酸塩と反応して後述する予備反応物さらには金属酸化物を生成し易いアルコールが好ましく、アルコール性水酸基に関して3級、さらには2級、特に1級の水酸基を有するアルコールが、より低い温度状態で金属酸化物が得られるため、最も好ましい。同様の理由で、脂肪族アルコールも好ましい。
本発明の製造方法においては、上記出発原料となる金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系とは、該金属カルボン酸塩およびアルコールをそれぞれ少なくとも一部ずつ混ぜ合わせた段階以降の系を意味する。この混合系の内部状態としては、金属カルボン酸塩およびアルコールのいずれもが原料状態の化学構造を変化させずに存在している状態であることに限らず、例えば、金属カルボン酸塩およびアルコールの少なくとも1つが溶解状態下で特有の化学構造に変化して存在している状態であってもよいし、金属カルボン酸塩とアルコールとがこれらの予備反応物となって存在している状態であってもよく、すなわち、出発原料そのままの状態から何れの状態に変化して存在していてもよい。
【0016】
ここでいう予備反応物(以下、予備反応物aと称することがある。)は、金属カルボン酸塩とアルコールとから得られるものであって、金属カルボン酸塩とアルコールとの反応による反応物として金属酸化物(以下、金属酸化物Aと称することがある。)が生成されるまでの任意の段階の状態の反応中間体であり、生成される金属酸化物Aに対する前駆体(金属酸化物前駆体)である。すなわち、予備反応物aは、出発原料としての金属カルボン酸塩でもアルコールでもなく、両者の反応物ではあるが、生成される金属酸化物Aでもない金属酸化物前駆体である。なお、上述の金属酸化物Aが生成されるまでの任意の段階の状態とは、用いた金属カルボン酸塩のうちの50重量%以上が粒径5nm以上の粒子状の金属酸化物Aの生成が認められる前の状態をいうとする。
【0017】
また、上記予備反応物aは、例えば、アルコールまたはアルコールを含む溶媒に金属カルボン酸塩を溶解させるだけで直ちに得られる場合もあるが、好ましくは金属カルボン酸塩とアルコールとの混合と、緩やかな昇温(金属酸化物Aが得られる高温状態にするよりも緩やかな条件下での昇温)と、好ましくは加圧下の加熱とにより得られる。予備反応物aは溶液状態であることが好ましい。
予備反応物aとしては、特に限定はされないが、例えば、1)金属カルボン酸塩の金属原子に、アルコールまたはアルコキシ基が配位(吸着による配位も含む。)してなる金属錯体モノマー(この場合、カルボキシル基の一部がアルコールのアルコキシ基で置換された錯体も含まれる。)、2)金属カルボン酸塩が酸素原子を介して「金属−酸素−金属」の結合が形成されてなる縮合物に原料のカルボン酸基(−COO基)以外にさらにアルコールまたはアルコキシ基が配位(吸着による配位も含む。)してなる化合物(金属錯体モノマー誘導体)、などが好ましく挙げられる。なかでも、1)でいう金属錯体モノマーがより好ましく挙げられる。また、上記金属錯体モノマーは、上述のような方法以外によっても得ることができる。上述の方法以外によって得られた金属錯体モノマーを上記混合系にさらに加えて高温状態にすることにより金属酸化物を得ることもできる。
【0018】
出発原料となる上記金属カルボン酸塩とアルコールとの使用量に関しては、特に限定はないが、金属カルボン酸塩の金属換算原子数に対するアルコール中の(アルコール由来の)水酸基の数の比が、0.8〜1000となるようにすることが好ましい。また、上記使用量に関しては、金属カルボン酸塩の有するカルボキシル基の総数に対するアルコール中の(アルコール由来の)水酸基の総数の比が、0.8〜100となるようにすることも好ましく、より好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20である。
金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系は、ペースト状、懸濁液状、溶液状などの流動性のある液状であることが好ましい。さらに、必要に応じて、後述する反応溶媒をも混合することによって、上記液状としてもよい。通常、金属カルボン酸塩は、特に限定はされないが、金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系においては、粒子状で分散した状態、溶解した状態、または、一部が溶解した状態で残りが粒子状で分散している状態、などの状態で存在する。
【0019】
組み合わせBにおける金属アルコキシ基含有化合物としては、特に限定はないが、例えば、下記一般式(II)で示される化合物、または該化合物が(部分)加水分解・縮合してなる縮合物を挙げることができる。
M’(OR3)n (II)
(但し、M’は、金属原子;R3は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基から選ばれた少なくとも1種;nは金属原子Maの価数)
一般式(II)中、R3としては、水素原子および/またはアルコキシアルキル基の如く置換されていてもよいアルキル基が好ましい。
【0020】
一般式(II)中、金属(M’)としては、上記金属カルボン酸塩に含まれる金属(M)を挙げることができ、好ましいものについても同様である。
金属アルコキシ基含有化合物は、上記で説明したもの以外であってもよく、例えば、ヘテロ金属アルコキシド(ヘテロ金属オキソアルコキシ基含有化合物も含む)であってもよい。なお、ヘテロ金属アルコキシドとは、2個以上の異なる金属原子を有し、アルコキシ基や酸素原子を介したり、金属−金属結合等によって結ばれた金属アルコキシドのことである。ヘテロ金属アルコキシ基含有化合物を用いた場合は、複合酸化物からなる金属酸化物粒子を得ることができる。
【0021】
組み合わせBにおけるカルボキシル基含有化合物としては、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸(飽和モノカルボン酸)、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸(不飽和モノカルボン酸)、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、β,β−ジメチルグルタル酸等の飽和多価カルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸等の鎖式カルボン酸類、シクロヘキサンカルボン酸等の環式飽和カルボン酸類、安息香酸、フェニル酢酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の不飽和多価カルボン酸等の芳香族カルボン酸類、無水酢酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物、トリフルオロ酢酸、o−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、 アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、アニス酸(p−メトキシ安息香酸)、トルイル酸、乳酸、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)等の分子内にカルボキシル基以外のヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等、重合体原料として上記不飽和カルボン酸を少なくとも1つ有する重合体を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有化合物のなかでも、後述する金属錯体モノマーやその誘導体を得やすく且つより低い温度状態で金属酸化物が得られ易いという点でアルコールと反応して後述する予備反応物さらには金属酸化物の形成をより低い温度で起こし易い化合物が好ましく、水中(25℃、0.1モル/L)での酸解離定数pKaが4.5〜5であるものがより好ましく、具体的には、飽和カルボン酸が好ましく、さらに、立体的にも反応性が高い点で酢酸が最も好ましい。また、カルボキシル基含有化合物が液体の場合は、後述の反応溶媒としても用いることもできる。
【0022】
本発明の製造方法においては、上記出発原料となる金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系とは、該金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物をそれぞれ少なくとも一部ずつ混ぜ合わせた段階以降の系を意味する。この混合系の内部状態としては、金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物のいずれもが原料状態の化学構造を変化させずに存在している状態であることに限らず、例えば、金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物の少なくとも1つが溶解状態下で特有の化学構造に変化して存在している状態であってもよいし、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とがこれらの予備反応物となって存在している状態であってもよく、すなわち、出発原料そのままの状態から何れの状態に変化して存在していてもよい。
【0023】
ここでいう予備反応物(以下、予備反応物bと称することがある。)は、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とから得られるものであって、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との反応による反応物として金属酸化物(以下、金属酸化物Bと称することがある。)が生成されるまでの任意の段階の状態の反応中間体であり、生成される金属酸化物Bに対する前駆体(金属酸化物前駆体)である。すなわち、予備反応物bは、出発原料としての金属アルコキシ基含有化合物でもカルボキシル基含有化合物でもなく、両者の反応物ではあるが、生成される金属酸化物Bでもない金属酸化物前駆体である。なお、上述の金属酸化物Bが生成されるまでの任意の段階の状態とは、用いた金属アルコキシ基含有化合物のうちの50重量%以上が粒径5nm以上の粒子状の金属酸化物Bの生成が認められる前の状態をいうとする。
【0024】
また、上記予備反応物bは、例えば、カルボキシル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物を含む溶媒に金属アルコキシ基含有化合物を溶解させるだけで直ちに得られる場合もあるが、好ましくは金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合と、緩やかな昇温(金属酸化物Bが得られる高温状態にするよりも緩やかな条件下での昇温)と、好ましくは加圧下での加熱とにより得られる。予備反応物bは溶液状態であることが好ましい。
予備反応物bとしては、特に限定はされないが、例えば、1)金属アルコキシ基含有化合物の金属原子に、カルボキシル基含有化合物が−COOH基または−COO基を介して配位(吸着による配位も含む。)してなる金属錯体モノマー(この場合、アルコキシ基の一部がカルボキシ基で置換された錯体も含まれる。)、2)金属アルコキシ基含有化合物が酸素原子を介して「金属−酸素−金属」の結合が形成されてなる縮合物に原料のアルコキシ基以外にさらにカルボキシル基含有化合物が配位(吸着による配位も含む。)してなる化合物(金属錯体モノマー誘導体)、などが好ましく挙げられる。なかでも、1)でいう金属錯体モノマーがより好ましく挙げられる。また、上記金属錯体モノマーは、上述のような方法以外の方法によっても得ることができる。上述の方法以外によって得られた金属錯体モノマーをさらに加熱することにより金属酸化物を得ることもできる。
【0025】
出発原料となる金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との使用量に関しては、それらの配合割合(カルボキシル基含有化合物/金属アルコキシ基含有化合物)が、特に限定はされないが、金属アルコキシ基含有化合物に含有されている金属原子Mの平均原子価数Navを用いて、好ましくは下限が0.8Nav超、さらに好ましくは1.2Nav超であり、また、好ましくは上限が10Nav未満である。ここで、平均原子価数Navは、金属アルコキシ基含有化合物として、含有金属元素の異なるp種の金属アルコキシ基含有化合物(含有金属元素がそれぞれM1、M2、M3、・・・、Mpであるp種の金属アルコキシ基含有化合物(2≦p))を併せて用いる場合、下記数式:
【0026】
【数1】
【0027】
(数式中、Niは、金属Miの原子価(価数)を表す。また、Xiは、金属アルコキシ基含有化合物として用いた金属元素Miのモル数を表す。pは2以上の整数である。)
から算出することができる。また、出発原料として用いたカルボキシル基含有化合物の総量に含まれるカルボキシル基の数が、出発原料として用いた金属アルコキシ基含有化合物の総量に含まれるアルコキシ基の数N’に対して、0.8N’超であることが好ましく、1N’〜10N’が特に好ましい。なお、数値範囲を表す際に、数値の後ろに「超」と付した場合は、その数値を含まずそれより大きい数値範囲を示すものとする。
【0028】
金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系は、ペースト状、懸濁液状、溶液状などの流動性のある液状であることが好ましい。さらに、必要に応じて、後述する反応溶媒をも混合することによって、上記液状としてもよい。通常、金属アルコキシ基含有化合物は、特に限定はされないが、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系においては、粒子状で分散した状態、溶解した状態、または、一部が溶解した状態で残りが粒子状で分散している状態、などの状態で存在する。
組み合わせAの金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料として金属酸化物Aを得るか、または、組み合わせBの金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物Bを得るにあたっては、さらに反応溶媒を用いてもよい。具体的には、これら出発原料を混合するにあたり、あるいは、これら出発原料の混合系を高温状態にするにあたり、さらに反応溶媒を加えた上で行うようにすればよい。
【0029】
反応溶媒をも用いる場合、その使用量については、特に限定はないが、金属酸化物Aを得る場合は、出発原料として用いた全ての金属カルボン酸塩およびアルコールと反応溶媒との合計使用量に対する、上記全ての金属カルボン酸塩の合計使用量の割合が0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。同様に、金属酸化物Bを得る場合は、出発原料として用いた全ての金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物と反応溶媒との合計使用量に対する、上記全ての金属アルコキシ基含有化合物の合計使用量の割合が0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。これによって、金属酸化物を経済的に得ることができる。
【0030】
上記反応溶媒としては、水以外の溶媒、すなわち、非水溶媒が好ましい。非水溶媒としては、例えば、エチルベンゼン、オクタン、キシレン類、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、ジメチルナフタレン、スチレン、ソルベントナフサ、デカリン、デカン、テトラリン、ドデシルベンゼン、トルエン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、流動パラフィン等の炭化水素;各種ハロゲン化炭化水素;アルコール(フェノール類や、多価アルコールおよびその誘導体で水酸基を有する化合物なども含む);アニソール、エピクロロヒドリン、エポキシブタン、クラウンエーテル類、ジイソアミルエーテル、ジエチルアセタート、ジオキサン、ジグリシジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテルおよびアセタール;アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセトフェノン、アセトン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ホロン、メシチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘプチルケトン等のケトンおよびアルデヒド;アジピン酸ジエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、アビエチン酸メチル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、ギ酸プロピル、クエン酸トリブチル、ケイ皮酸メチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸n−ブチル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸メチルシクロヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジブチル、酒石酸ジエチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル、乳酸ブチル、乳酸メチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸メチル、ホウ酸エステル類、マレイン酸ジオクチル、マロン酸ジメチル、酪酸イソアミル、酪酸メチル、リン酸エステル類等のエステル;エチレンカーボナート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、両末端に水酸基を有しないポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)誘導体等の多価アルコール類のすべての水酸基の水素がアルキル基やアシル基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物や、シリコーン油、鉱物油等を挙げることができる。反応溶媒としては、親水性溶媒が特に好ましい。具体的には、常温(25℃)において、水を5重量%以上含み溶液状態になり得る溶媒が好ましく、任意の量の水を含み溶液状態になり得る溶媒がより好ましい。
【0031】
上記アルコール(フェノールや、多価アルコールおよびその誘導体で水酸基を有する化合物を含む。以下、アルコールと示す場合は同様とする。)としては、金属酸化物Aを得る場合に用いるアルコールとして列挙したものと同様のものを好ましく挙げることができる。
金属酸化物Bを得る場合は、反応溶媒としては、特に、非水溶媒のうちでも、アルコール性またはフェノール性水酸基を有しない非水溶媒である非アルコール性有機溶媒が好ましく、これを用いた際の反応収率が高い。非アルコール性有機溶媒としては、例えば、炭化水素;ハロゲン化炭化水素; エーテルおよびアセタール;ケトンおよびアルデヒド;エステル;多価アルコール類のすべての水酸基の水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物や、シリコーン油、鉱物油等を挙げることができる。これらの非アルコール性有機溶媒のなかでも、エーテルおよびアセタール;ケトンおよびアルデヒド;エステル;多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物等が好ましい。
【0032】
金属酸化物Aは、前述したように、出発原料を金属カルボン酸塩とアルコールとし、これらの混合系を高温状態にすることにより得られることが好ましいが、上記混合系を高温状態にするとは、上記混合系の温度を常温よりも高い温度であって金属酸化物Aが生成し得る温度、またはそれ以上の温度に昇温することである。上記高温状態の温度(金属酸化物Aが生成し得る温度)は、得ようとする金属酸化物の種類等によって異なるが、通常50℃以上であり、結晶性の高い金属酸化物を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに100〜300℃の範囲であるのが好ましい。
【0033】
上記混合系を高温状態にする際の具体的な昇温手段(予備反応物aを得る場合に緩やかな高温状態にする際の昇温手段も含む)としては、ヒーター、温風や熱風による加熱が一般的であるが、これに制限されるものではなく、例えば、紫外線照射などの手段を採用することもできる。混合系を高温状態にする際は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、特に限定はされないが、加圧下で出発原料を加熱等により高温状態にすることがより好ましい。また、反応溶媒等の沸点が金属酸化物Aの生成される反応温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行うことも好ましい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒となる成分の臨界点以下で行うが、超臨界条件で行うこともできる。
【0034】
金属酸化物Aを生成させる場合においては、金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系に含まれる水分が少ない方が、得られる金属酸化物の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、上記混合系中に、出発原料として使用した金属カルボン酸塩中の金属原子に対してモル比で4未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、水分がモル比で1未満であるとさらに好ましく、0.5未満であると特に好ましく、0.1未満が最も好ましい。
本発明の製造方法では、金属酸化物Aは金属カルボン酸塩とアルコールとの混合系を高温状態にすることにより得ることができるが、該高温状態は、金属カルボン酸塩とアルコールとを混合すると同時かまたは混合した後に得られていればよく、すなわち、上記混合系を得るための出発原料の混合と、該混合系を高温状態にするための昇温とは、別々となるようにしてもよいし、同時(一部同時も含む)となるようにしてもよく、特に限定はされない。より詳しくは、上記混合系の昇温のための具体的手段(例えば加熱等)は、上記出発原料の混合に関わらず任意の方法・タイミングで行うことができ、例えば、混合前の出発原料の少なくとも一方を加熱等しておくことで混合と同時に該混合系を昇温させるようにしてもよいし、混合して得られる混合系に対して、該混合をしながらか又は該混合を終了した後で、加熱等を施し該混合系を昇温させるようにしてもよく、特に限定はされない。したがって、この混合と、昇温のための加熱等とのタイミングとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1)金属カルボン酸塩とアルコールとを混合しておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、2)アルコールを所定温度に加熱等しておき、これに金属カルボン酸塩を混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、3)反応溶媒と金属カルボン酸塩とを混合して所定温度に加熱等しておき、これにアルコールを混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、4)各成分(金属カルボン酸塩およびアルコール、および必要に応じて反応溶媒)を別々に加熱等しておいた後、これらを混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、5)金属カルボン酸塩とアルコールとを混合(および、必要により、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下で加熱等)して予備反応物aを得ておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、等が好ましく挙げられる。
【0035】
なお、予備反応物aを、金属カルボン酸塩とアルコールとの、混合、および、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下での加熱等により得る場合、該混合と該昇温のための加熱等とのタイミングとしては、上述した金属酸化物Aを得る際の混合と昇温のための加熱等とのタイミングと同様であることが好ましい。
金属酸化物Bは、上述のように、出発原料を金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とし、これらの混合系を高温状態にすることにより得られるものが好ましいが、上記混合系を高温状態にするとは、上記混合系の温度を常温よりも高い温度であって金属酸化物Bが生成し得る温度、またはそれ以上の温度に昇温することである。上記高温状態の温度(金属酸化物Bが生成し得る温度)は、得ようとする金属酸化物の種類等によって異なるが、通常50℃以上であり、結晶性の高い金属酸化物を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに100〜300℃の範囲であるのが好ましい。
【0036】
上記混合系を高温状態にする際の具体的な昇温手段(予備反応物bを得る場合に緩やかな高温状態にする際の昇温手段も含む)としては、前述の金属酸化物Aを得る場合と同様の手段が採用できる。混合系を高温状態にする際は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、特に限定はされないが、加圧下で出発原料を加熱等により高温状態にすることがより好ましい。また、反応溶媒等の沸点が金属酸化物Bの生成される反応温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行うことも好ましい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒の臨界点以下で行うが、超臨界状態で行うこともできる。
【0037】
金属酸化物Bを生成させる場合においては、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系に含まれる水分が少ない方が、得られる金属酸化物の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、上記混合系中に、出発原料として使用した金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子に対してモル比で1未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、水分がモル比で0.2未満であるとさらに好ましく、0.1未満であると特に好ましい。
本発明の製造方法では、金属酸化物Bは金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との混合系を高温状態にすることにより得ることができるが、該高温状態は、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを混合すると同時かまたは混合した後に得られていればよく、すなわち、上記混合系を得るための出発原料の混合と、該混合系を高温状態にするための昇温とは、別々となるようにしてもよいし、同時(一部同時も含む)となるようにしてもよく、特に限定はされない。より詳しくは、上記混合系の昇温のための具体的手段(例えば加熱等)は、上記出発原料の混合に関わらず任意の方法・タイミングで行うことができ、例えば、混合前の出発原料の少なくとも一方を加熱等しておくことで混合と同時に該混合系を昇温させるようにしてもよいし、混合して得られる混合系に対して、該混合をしながらか又は該混合を終了した後で、加熱等を施し該混合系を昇温させるようにしてもよく、特に限定はされない。したがって、この混合と、昇温のための加熱等とのタイミングとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1)金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを混合しておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、2)カルボキシル基含有化合物を所定温度に加熱等しておき、これに金属アルコキシ基含有化合物を混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、3)反応溶媒と金属アルコキシ基含有化合物とを混合して所定温度に加熱等しておき、これにカルボキシル基含有化合物を混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、4)各成分(金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物、および必要に応じて反応溶媒)を別々に加熱等しておいた後、これらを混合することで、混合系を昇温させ高温状態にする、5)金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを混合(および、必要により、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下で加熱等)して予備反応物bを得ておいて、これを加熱等により昇温し高温状態にする、等が好ましく挙げられる。
【0038】
なお、予備反応物bを、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物との、混合、および、上記高温状態にするよりも緩やかな条件下での加熱等により得る場合、該混合と該昇温のための加熱等とのタイミングとしては、上述した金属酸化物Bを得る際の混合と昇温のための加熱等とのタイミングと同様であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前述のとおり、金属酸化物粒子を生成させるにあたり、この生成を、特定の加水分解性化合物、すなわち、金属元素を含有しない加水分解性有機化合物(以下、加水分解性化合物(a)と称することがある。)の存在下で行うようにしていること、および/または、この生成の後に加水分解性化合物(a)を添加するようにしていることが重要である。
【0039】
具体的には、前記出発原料の混合系に、さらに、加水分解性化合物(a)を添加するようにしていることが重要である。ここで、前記混合系に加水分解性化合物(a)を添加するようにするとは、前記混合系を高温状態とする際には該混合系に加水分解性化合物(a)が既に添加され存在させていることであってもよいし、前記混合系を高温状態とすると同時または高温状態とした後に該混合系に添加することで存在させることであってもよく、特に限定はされないが、前者の形態を必須とすることが好ましい。高温状態とした後とは、一旦高温状態にした以降の段階すべてを意味することとするため、例えば、一旦高温状態にした後の高温状態を維持している段階(高温状態にしながらの段階)や、高温状態の維持をしなくなった段階や、すでに高温状態ではなくなった段階等をすべて含むこととする。上記の、前者の形態にあっては、前記混合系を高温状態にするまでに添加されていればよいため、これを満たす範囲内であれば、例えば、特定の組み合わせの出発原料を混合して混合系を得る前に出発原料の少なくとも一方に予め添加しておいてもよいし、特定の組み合わせの出発原料を混合すると同時または混合した後にこれらの混合系に添加してもよいし、これらを組み合わせた添加のタイミングであってもよい。
【0040】
上記特定の出発原料から金属酸化物粒子を得るようにする本発明の製造方法において、前述のように加水分解性化合物(a)を用いることによって、生成した金属酸化物粒子の2次凝集を効果的に解消することができる。金属酸化物の生成反応において副生する水分を介する形で、粒子として生成した金属酸化物が凝集して(具体的には、副生した水分を取り囲むように、生成した金属酸化物粒子が凝集して)、前述した生成反応後の金属酸化物粒子の単分散性悪化の問題を生じていたものと推測されるが、加水分解性化合物(a)を、上述のようにこの生成反応系に用いることによって、副生した水分を容易かつ効率的に除去・消去することができ、上記2次凝集が解消され、最終的に、金属酸化物粒子の単分散性に非常に優れた調製液等を得ることができる。また、この加水分解性化合物(a)の使用によって、金属酸化物粒子の生成反応自体も非常に効率良く進行するという効果も得られる。さらに、該生成反応の反応温度についても、通常の金属酸化物粒子の生成に比べて非常に低い温度で行うことができる。
【0041】
本発明の製造方法で使用できる加水分解性化合物(a)としては、特に限定はされないが、例えば、オルトギ酸メチルおよびオルトギ酸トリメチルなどのオルトギ酸エステル;オルト酢酸トリメチルおよびオルト酢酸トリエチルなどのオルト酢酸エステル;オルトプロピオン酸トリメチルおよびオルトプロピオン酸トリエチルなどのオルトプロピオン酸エステル;オルトn−酪酸トリメチルおよびオルトn−酪酸トリエチルなどのオルト酪酸エステル;オルト安息香酸トリメチル等のオルト安息香酸エステルなどの芳香族オルトカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよく、特に限定はされない。
【0042】
本発明の製造方法における加水分解性化合物(a)使用量に関しては、出発原料として用いる金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子の価数、および、生成させようとする金属酸化物の金属原子の価数により適宜考慮する必要があるが、好ましくは、出発原料として用いた金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子に対する、上記加水分解性化合物(a)のモル比が、0.5〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは2〜5である。上記モル比が0.5未満の場合は、加水分解性化合物(a)を使用した効果が十分に発揮されないおそれがあり、20を超える場合は、それ以上の効果向上は望めず経済性に劣ることとなるおそれがある。また、この加水分解性化合物(a)の使用量に関しては、上記出発原料として用いた金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物の価数(mまたはn)が2〜5である場合が特に好ましい。
【0043】
本発明の製造方法により金属酸化物粒子を調製した後の調製液は、そのまま、あるいは濃縮して溶媒分散体や可塑剤分散体として使用することができるほか、バインダー成分(樹脂成分)を加えて成膜用組成物(塗料組成物)とし、これを基材に塗布して微粒子分散膜を形成したり、あるいは、同様にバインダー成分(樹脂成分)などに含有させて成形用樹脂組成物などとすることができる。また、濃縮乾固や遠心分離で溶媒を除去した後、加熱や乾燥をして微粒子粉体として取り扱うこともできる。
上記バインダー成分としては、例えば、シリコンアルコキシド系バインダー、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂など、熱可塑性または熱硬化性(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性、湿気硬化性、これらの併用等も含む)の各種合成樹脂や天然樹脂等の有機系バインダーや、無機系バインダー等を挙げることができる。合成樹脂としては、たとえば、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、液状ポリブタジエン、クマロン樹脂等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。天然樹脂としては、たとえば、セラック、ロジン(松脂)、エステルガム、硬化ロジン、脱色セラック、白セラック等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。合成樹脂としては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等の天然または合成のゴム等を用いてもよい。合成樹脂と併用する成分として、硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができる。
【0044】
バインダー成分の形態については、特に限定はなく、溶剤可溶型、水溶性型、エマルション型、分散型(水/有機溶剤等の任意の溶剤)等を挙げることができる。
水溶性型のバインダー成分としては、たとえば、水溶性アルキド樹脂、水溶性アクリル変性アルキド樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂(水溶性ポリエステル樹脂)、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性メラミン樹脂等を挙げることができる。
エマルション型のバインダー成分としては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合ディスパージョン;酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリル−シリコーンエマルション、フッ素樹脂エマルション等を挙げることができる。
【0045】
無機系バインダーとしては、シリカゲル、アルカリケイ酸、シリコンアルコキシド等の金属アルコキシド、これらの(加水分解)縮合物、リン酸塩等を挙げることができる。
上記成膜用組成物(塗料組成物)を塗布する場合の基材としては、例えば、ガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルムなど、公知のシート、フィルムなどを用いることができる。すなわち、塗料組成物は、金属、ガラス、陶器等の無機物や、樹脂等の有機物等の基材の表面に塗布することができるのである。基板の形状については、特に限定はなく、フィルム状、シート状、板状、繊維状等の形状を挙げることができる。
【0046】
上記基材として用いられる樹脂の材質としては、特に限定はなく、たとえば、ポリオレフィン系;EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)系;ポリスチレン系;軟質又は硬質ポリ塩化ビニル;EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)系;PVA系(ビニロン系);PVDC系(ポリ塩化ビニリデン);ポリエステル系;ポリカーボネート系;ポリウレタン系;ポリアミド系;ポリイミド系;ポリアクリロニトリル系;ポリサルフォン系;ポリエーテルサルフォン系;ポリフェニレンサルファイド系;ポリアリレート系;ポリエーテルイミド系;アラミド系;(メタ)アクリル系;ポリエーテルエーテルケトン系;テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、フッ素樹脂系等、従来公知の樹脂を挙げることができる。
【0047】
本発明の製造方法により得られる金属酸化物粒子の1次粒子径(結晶子径)は、特に限定はされないが、20nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以下である。上記1次粒子径(結晶子径)が20nm以下であると、金属酸化物粒子を含有する膜や樹脂成形体等の透明性が保たれるため好ましい。なお、上記結晶子径は、X線回折測定を行い、ウィルソン法解析で求めた値Dwである。
本発明の製造方法により得られる金属酸化物粒子の分散粒径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下、さらにより好ましくは50nm以下である。上記分散粒径が100nm以下であると、金属酸化物粒子を含有する膜や樹脂成型体等の透明性、機械的特性等が保たれるため好ましい。
【0048】
本発明の製造方法により得られる金属酸化物粒子において、該粒子を構成する金属酸化物は、単一酸化物、複合酸化物および固溶体酸化物のいずれであってもよいが、導電性機能などに優れる点では2種以上の金属元素を含有する複合酸化物あるいは固溶体酸化物が好ましい。以下に、単一酸化物、複合酸化物および固溶体酸化物それぞれについての具体例を示す。
〔単一酸化物〕
3次元格子構造を有する酸化物として、M2O型酸化物(Li2O、Na2O、K2O、Rb2O;Cu2O、Ag2O);MO型酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO;FeO、CoO、NiO、MnO;TiO、VO;BeO、ZnO;NbO;PdO、PtO、CuO、AgO);M2O3型酸化物(Al2O3、Ti2O3、V2O3、Fe2O3、Cr2O3、Rh2O3、Ga2O3;Mn2O3、Sc2O3、 Y2O3、In2O3、Tl2O3;α−Bi2O3、β−Bi2O3、γ−Bi2O3;B2O3;ランタノイド系金属酸化物);MO2型酸化物(ZrO2、HfO2、CeO2、ThO2、UO2;TiO2、SnO2、VO2、CrO2、MoO2、WO2、MnO2、GeO2;SiO2、GeO2);MO3型酸化物(ReO3、WO3)が挙げられる。
【0049】
低次元格子構造を有する酸化物として、層状格子構造酸化物(M2O型酸化物(Ca2O);MO型酸化物(PbO、SnO);M2O5型酸化物(V2O5);MO3型酸化物(MoO3)等);鎖状格子構造酸化物(HgO、SeO2、CrO3、Sb2O3);分子格子構造酸化物(RuO4、OsO4、Tc2O7、Sb4O6)が挙げられる。
〔複合酸化物〕
ABO2型複合酸化物(LiBO2;LiGaO2;γ−LiAlO2;LiFeO2、LiInO2、LiScO2、LiEuO2、LiNiO2、LiVO2、NaFeO2、NaInO2;CuCrO2、CuFeO2、PdCoO2、PdCrO2、PdRhO2、PtCoO2);ABO3型複合酸化物(ScTiO3、ScVO3;FeVO3、MnFeO3、FeCrO3、TiVO3、FeTiO3、CoMnO3、CoVO3、NiTiO3、CdTiO3、LiNbO3;LiSbO3;PbReO3、BiYO3、AO3の最密面を有するABO3型酸化物として、BaNiO3、ペロブスカイト酸化物(KTaO3、NaNbO3、BaMnO3、SrTiO3;BiAlO3、PbSnO3、BaTiO3、PbTiO3;LaAlO3、LiNiO3、BiFeO3、KNbO3;GdFeO3、YFeO3、NdGaO3、CaTiO3)、BaMnO3、SrTiO3、Sr4Re2SrO12、BaRuO3等);ABO4型複合酸化物(PBO4、BeSO4;CrVO4、ZnCrO4;α−MnMoO4;CaWO4、CaMoO4;Bi2(MoO4)3、Eu2(WO4)3;MNbO4、MTaO4(M:3価);CaCrO4、YVO4;CrVO4、AlAsO4;FeVO4、FeWO4、MnWO4、NiWO4;CuWO4;CoMoO4);AB2O4型複合酸化物(NiCr2O4、CoCr2O4、MnCr2O4、NiFe2O4、CoFe2O4、MnFe2O4、ZnFe2O4;Be2SiO4;CaFe2O4、CaTi2O4等)などが挙げられる。
【0050】
上記列挙した酸化物以外にも、ケイ酸塩やアルミノケイ酸塩;Mo、W、V、Nb、Ta等のポリ酸であって、異種原子を取り込んだヘテロポリ酸、さらに、Mo、W、V等の一部を異種金属で置換した混合ヘテロポリ酸や、これらの塩等も、複合酸化物として挙げられる。
〔固溶体酸化物〕
固溶体酸化物とは、単一酸化物または複合酸化物に、任意の異種金属を固溶した侵入型または置換型固溶体酸化物と定義される。
上記単一酸化物または複合酸化物が上記金属酸化物Aである場合、固溶させる異種金属は、金属カルボン酸塩や金属アルコキシ基含有化合物に由来するものであることが好ましいが、なかでも、金属カルボン酸塩由来のものが、固溶率の高い固溶体が得られるためより好ましい。
【0051】
また、上記単一酸化物または複合酸化物が上記金属酸化物Bである場合、固溶させる異種金属は、金属アルコキシ基含有化合物や金属カルボン酸塩に由来するものであることが好ましいが、なかでも、金属アルコキシ基含有化合物由来のものが、固溶率の高い固溶体が得られるためより好ましい。
以下、固溶体酸化物について具体的に例示するが、特にこれらに限定はされない。
(1)導電性酸化物
上記金属酸化物に、導電性を高める目的で、ドナーやアクセプターとなる異種金属元素やフッ素、水素などを含有または固溶させることがあるが、これらの酸化物も本発明でいう金属酸化物に含まれる。例えば、ZnOにAl、In、Ga、Si;TiO2にTa;Fe2O3にTi;BaTiO3にLa、Ta;In2O3にSn、Ti;SnO2にSb、P、F;MgIn2O4にH;というようなn型半導性酸化物にドナーとなる異種金属元素を含有させてなるn型導電性酸化物や、NiOにLi;CoOにLi;FeOにLi;MnOにLi;Bi2O3にBa;Cr2O3にMg;LaCrO3にSr;LaMnO3にSr;SrCu2O2にK;というようなp型半導性酸化物にアクセプターとなる異種元素を含有させてなるp型導電性酸化物が挙げられる。さらに、K2O−11Fe2O3にTiを添加してなるイオン−電子複合伝導体や、イオン伝導体として知られる酸化ジルコニウムにY、Sc等の金属をドープ(固溶)してなる酸化ジルコニウム系固溶体も含まれる。通常、固溶させるドナーあるいはアクセプターの濃度は、母体の金属酸化物の金属に対する原子数比で表して、0.01〜20%、好ましくは0.1〜5%である。これら導電性酸化物は、通常、熱線を含む赤外線吸収または反射機能を有するので、熱線遮蔽材料としても有用である。また、上述のLaMnO3にSrを含有させてなるp型導電性酸化物のように、前記したペロブスカイト型酸化物やスピネル型酸化物等の複合酸化物中の金属元素の一部を任意の異種金属元素で置換してなるものも含まれる。
【0052】
これらの導電性酸化物のうち、n型導電性酸化物は、熱線を含む赤外線吸収能に優れるので、赤外線遮断材料としても有用である。
(2)希薄磁性半導体酸化物
Y2O3、TiO2、Fe2O3、ZnO、In2O3、SnO2、BaTiO3、MgIn2O4などの酸化物や、これらに異種金属を固溶してなるか酸素欠陥を導入してなるn型又はp型半導体または導電性の酸化物に、Fe、Cr、Mn、Co、Ni等の磁性金属イオンを固溶させることによって得ることができる。
好ましい磁性金属イオンの濃度は、半導体または導電体の酸化物における金属に対する原子数比で、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、特に好ましくは10〜30%である。
(3)蛍光体酸化物
単一酸化物または複合酸化物などの母体結晶酸化物に、発光中心となる金属イオン又は非金属元素の1種または2種以上を固溶させてなる酸化物である。発光中心となる金属イオンとしては、例えば、Mn(II)、Cr(III)、Ag(I)、Cu(II)、Sb(III)、Sn(II)、Pb(II)、Tl(I)等の典型金属元素のイオンや遷移金属元素のイオンの他、Eu(II)、Eu(III)、Nd(III)、Tb(III)、Pr(III)、Yb(III)、Sm(III)、Ho(III)等のランタノイド金属元素のイオンなどを好ましく用いることができ、非金属元素としては、例えば、FおよびCl等のハロゲン原子などを好ましく用いることができる。また、母体結晶酸化物としては、可視光および/または近赤外線領域の光に対して実質的に吸収のない酸化物が好ましく、ZnO、Zn2SiO4、Y2O3、SnO2、In2O3等がより好ましい。
【0053】
ZnOにMn(II)、Sb(III)をZnに対する原子数比で0.1〜5%固溶させてなる蛍光体は、特に、金属イオンが均一分散した固溶体が得られる点で好ましい。
以下に、金属酸化物が有する各種機能・特性と、それを発揮し得る金属酸化物の具体例を列挙する。本発明の製造方法により得られた金属酸化物粒子が、これら列挙した金属酸化物からなる粒子であれば、各種機能分野において機能性塗料、膜あるいは成形体などの材料成分として、その機能・特性を十分に発揮させることができる。
【0054】
高屈折率機能:酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化クロム、アルミナ、および、これらの酸化物に異種金属をドープしてなるものなど。(これらは反射やぎらつきの防止もできる。)
紫外線吸収機能:酸化チタン、酸化第1鉄、酸化亜鉛、酸化セリウムなど。
赤外線吸収機能:酸化インジウムにTiやSn等の4価金属元素またはフッ素を固溶した酸化インジウム系固溶体、酸化第2スズにPやSb等の5価金属元素またはフッ素を固溶した酸化第2スズ系固溶体、および、酸化亜鉛にAlやIn等の3価金属元素を固溶した酸化亜鉛系固溶体など。
【0055】
電気伝導機能:上記の酸化インジウム、酸化第1スズ、酸化第2スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅などのn型、p型半導体として知られる酸化物およびこれらにドーパントまたはアクセプターとなる金属元素を固溶した固溶体、亜酸化銅、チタンブラック等の如く安定な酸化物を還元処理して得られるような低原子価金属の酸化物などの電子伝導性酸化物;酸化ジルコニウム等のイオン伝導性酸化物。
熱伝導機能;アルミナ、酸化亜鉛など。
磁気機能:マンガンフェライト(MnFe2O4)やニッケルフェライト(NiFe2O4)等のフェライト、マグネタイト(Fe3O4)などの強磁性酸化物など。
【0056】
光触媒機能:酸化チタン、酸化亜鉛など。
熱電変換機能:酸化亜鉛にインジウムをドープしてなるもの、酸化亜鉛にアルミニウムをドープしてなるもの、In2O5−ZnO系ホモロガス化合物など。
光電変換用半導体:酸化チタン、酸化亜鉛など。
圧電体:酸化亜鉛など。
表面弾性波素子用:酸化亜鉛など。
透明導電膜:赤外線吸収機能を有する金属酸化物と同様。
蛍光体、発光体:酸化亜鉛や酸化亜鉛にマンガンをドープしてなるもの等の酸化亜鉛系のものなど。(紫外線発光体またはグリーン発光体として用い得る。)エレクトロルミネッセンス:WO3やNaxWO3等の酸化タングステン系のものなど。
【0057】
【実施例】
以下においては、実施例によってさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
下記実施例および比較例における評価・測定方法等について、具体的に説明する。
<粉末試料の作製>
得られた分散体中の微粒子を遠心分離操作によって分離した後、アセトンによる洗浄を行った後、80℃で1日真空乾燥し、揮発成分を完全に除去して微粒子の粉末を得、これを粉末試料とした。
<分散体中の微粒子濃度>
微粒子の分散体の一部をるつぼに秤量し、60℃で12時間真空乾燥した後、さらに120℃で2時間真空乾燥して得られた残分量を微粒子量とし、分散体中の微粒子濃度を求めた。
<結晶性>
粉末試料を粉末X線回折測定し、解析することにより評価した。
<1次粒子径>
以下、いずれかの方法によった。
【0058】
結晶子径Dw:粉末試料の粉末X線回折測定を行い、Wilson法により解析した。結晶子の大きさを1次粒子径とした。
比表面積径:粉末試料の粉末X線回折測定を行った結果、非晶質であった微粒子に関しては、B.E.T.法による比表面積、並びに、真比重を測定し、下記式より求めた粒子径を比表面積径とした。
Ds=6000/(ρ・S)
(ここで、ρ:真比重、S:比表面積(m2/g)、Ds:粒子径(nm)を表す。)
<異種金属の含有量並びに複合酸化物の組成>
微粒子が、2種以上の金属成分を含む微粒子(固溶体、複合酸化物)の場合、粉末試料を蛍光X線分析し、その結果から、異種金属の含有量並びに複合酸化物の同定を行った。
<分散体中の含水量>
微粒子の分散体を遠心分離し、得られた溶媒の一部を、カールフィッシャー法により分析して求めた。
<微粒子の分散性>
微粒子の分散体を、分散体合成時に用いた主溶媒で、微粒子濃度0.2wt%となるように希釈し、TEM試料台であるメッシュ上に展開し、TEMで観察した結果より、以下の基準に基づき判定した。
【0059】
A:1次粒子が全く凝集せずにあるいは一部の粒子を除いて、凝集せずに分散している。
B:1次粒子が部分的又は全体的に凝集しているが、3次元的な2次凝集体ではなく、2次元的に数個〜10個程度2次凝集(隣接した状態)している程度である。
C:全体的に、1次粒子としてではなく、3次元的な2次粒子として存在している。
<塗工品の透明性>
反応により得られた分散液をキシレンに溶媒置換又は濃縮し、塗料化して、塗工品(塗布物)の透明性を評価することにより評価した。
【0060】
(1)溶媒の沸点がキシレンより低い溶媒からなる分散液の場合:
得られた分散液をエバボレータにより減圧加熱することにより溶媒成分を留去しながら、キシレンをフィードすることにより、キシレンに溶媒置換し、微粒子濃度20wt%のキシレン分散体を得る。
(2)溶媒の沸点がキシレンより高い溶媒からなる分散液の場合:
得られた分散液をエパボレータにより減圧加熱することにより微粒子濃度20wt%の濃縮分散体を得る。
上記(1)、(2)により得られたキシレン分散体あるいは濃縮分散体100部に、アクリル樹脂溶液(固形分濃度50wt%、溶媒:トルエン、n−ブタノール(1:1))40部を加え、マグネトックスターラーで撹拝した後、ガラス基板(厚さ1.5mm、ヘイズ<0.1%)に塗布し、100℃で加熱乾燥することによって、塗工品を得る。
【0061】
得られた塗工品のヘイズを測定し、以下の基準に従った判定した。
O:ヘイズ<3%
×:ヘイズ≧3%
なお、ヘイズの測定には、濁度計(日本電色工業社製、製品名:NDH−1001DP)を用いた。
『出発原料:金属カルボン酸塩+アルコール』
−実施例1−1−
撹拌機、添加口、温度計、窒素ガスパージ口(入口と出口)を備えた、外部より加熱し得る耐圧100Lステンレス(SUS316)製反応器を用意した。
【0062】
この反応器に、金属化合物として酢酸亜鉛2水和物粉末147部、アルコールとしてベンジルアルコール1000部、添加有機化合物としてオルトギ酸トリメチル217部を仕込み、容器を密閉した後、撹拌しながら、20℃より65分かけて200℃に昇温した。200℃±2℃で3時間保持した後、冷却することにより、分散液(1−1)1364部を得た。
得られた分散液(1−1)は、表2に示す物性の酸化亜鉛微粒子を4.2wt%含有するものであった。分散体(1−1)中には、水分は0.1wt%以下であった。
【0063】
分散液(1−1)の分散性はランクAであった。
次に、分散液(1−1)をエバボレータにより減圧加熱濃縮し、微粒子濃度20wt%まで濃縮して、濃縮分散体(1−1a)を得た。
濃縮分散体(1−1a)100部に、アクリル樹脂溶液(固形分濃度50wt%、溶媒:トルエン、n−ブタノール(1:1))40部を加え、撹拌した後、ガラス基板に塗布し、100℃で加熱乾燥することによって、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は○であった。
−比較例1−1−
実施例1−1において、オルトギ酸トリメチルを用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c1−1)1147部を得た。得られた分散液(C1−1)は、表2に示す物性の酸化亜鉛微粒子を5.0wt%、水分3.2wt%含有するものであった。
【0064】
分散液(c1−1)の分散性はランクCであった。
次に、実施例1−1と同様にして、濃縮分散体(c1−1a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は×であった。
−実施例1−2〜1−8−
実施例1−1において、添加有機化合物、金属化合物、アルコールの種類、量、加熱条件等を、表1に示すように変更した以外は、同様にして、反応を行い、分散体(1−2)〜(1−8)を得た。
【0065】
得られた分散液の微粒子の解析結果を表2に示す。また、分散性の評価結果を表3に示す。
さらに、実施例1−4および1−7では、得られた分散液より、実施例1−1と同様にして、濃縮分散体(1−4a)および(1−7a)を得、塗料化して、塗工品を得た。塗工品の透明性はいずれも○であった。
また、実施例1−2、1−3、1−5、1−6および1−8では、得られた分散液より、前述の評価方法に記載したようにしてキシレン分散体を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0066】
得られた塗工品の透明性はいずれも○であった。
−比較例1−2〜1−8−
実施例1−2〜1−8において、添加有機化合物を用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c1−2)〜(c1−8)を得た。
分散性の評価結果を表3に示す。
さらに、これら比較例1−2〜1−8で得られた分散液より、それぞれ実施例1−2〜1−8中の番号の対応する実施例と同様にして、濃縮分散体またはキシレン分散体を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0067】
得られた塗工品の透明性はいずれも×であった。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
『出発原料:金属アルコキシ基含有化合物+カルボキシル基含有化合物』
−実施例2−1−
実施例1と同様の反応器を用意した。
この反応器に、非水溶媒としてのメチルイソブチルケトン800部、カルボキシル基含有化合物としての酢酸100部、金属アルコキシ基含有化合物としてのチタニウムテトラn−ブトキシド136部、添加有機化合物としての、オルト酢酸トリメチル192部を順次仕込み、得られた溶液を撹拌しながら、20℃より65分かけて180℃に昇温した。180℃±2℃で3時間保持した後、冷却することにより、分散液1228部を得た。
【0072】
得られた分散液(2−1)は、表5に示す物性のアナタース型酸化チタン微粒子を3.1wt%含有するものであった。また分散性の評価結果はAであった。また分散体(2−1)中には、水分は0.1wt%以下であった。
次に、分散液(2−1)より、キシレン分散体(2−1a)を得、キシレン分散体(2−1a)100部に、アクリル樹脂溶液(固形分濃度50wt%、溶媒:トルエン、n−ブタノール(1:1))40部を加え、撹拌した後、ガラス基板に塗布し、100℃で加熱乾燥することによって、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は○であった。
【0073】
−比較例2−1−
実施例2−1において、オルト酢酸トリメチルを用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c2−2)1036部を得た。得られた分散液(c2−2)は、表4に示す物性のアナタース型酸化チタン微粒子を3.7wt%、水分1.4wt%含有するものであった。また分散性の評価結果はBであった。
次に、実施例2−1と同様にして、濃縮分散体(s2−1a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
得られた塗工品の透明性は×であった。
【0074】
−実施例2−2〜2−4−
実施例2−1において、添加有磯化合物、金属化合物、アルコールの種類、量、加熱条件等を、表4に示すように変更した以外は、同様にして、反応を行い、分散体(2−2)〜(2−4)を得た。
得られた分散体中の微粒子の解析結果を表5に、分散性の評価結果を表6に示す。
さらに、各実施例で得られた分散液より、実施例2−1と同様にして、キシレン分散体(2−2a)〜(2−4a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0075】
得られた塗工品の透明性はいずれも○であった。
−比較例2−2〜2−4−
実施例2−2〜2−4において、添加有機化合物を用いない以外は、同様にして、反応を行い、分散液(c2−2)〜(c2−4)を得た。
分散性の評価結果を表6に示す。
さらに、これら比較例2−2〜2−4で得られた分散液より、実施例2−1と同様にして、キシレン分散体(c2−2a)〜(c2−4a)を得、塗料化して、塗工品を得た。
【0076】
得られた塗工品の透明性はいずれも×であった。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、微細な粒子を分散性に優れた状態で得ることや、金属酸化物の生成反応自体をより速やかにかつ低温で進行させることを、容易に行うことができる、金属酸化物粒子の製造方法を提供することができる。
Claims (1)
- 金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物粒子を生成させる方法であって、
前記生成を金属元素を含有しない加水分解性有機化合物の存在下で行う、および/または、前記生成の後に前記加水分解性有機化合物を添加する、
ことを特徴とする、金属酸化物粒子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319138A JP2004149389A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 金属酸化物粒子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319138A JP2004149389A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 金属酸化物粒子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004149389A true JP2004149389A (ja) | 2004-05-27 |
Family
ID=32462062
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002319138A Pending JP2004149389A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 金属酸化物粒子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004149389A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007512212A (ja) * | 2003-10-07 | 2007-05-17 | フエロ コーポレーション | ナノサイズ酸化銀粉体 |
JP2009269773A (ja) * | 2008-04-30 | 2009-11-19 | Kyodo Printing Co Ltd | 赤外線吸収機能を有する酸化化合物 |
JP2009544820A (ja) * | 2006-07-25 | 2009-12-17 | フエロ コーポレーション | 特殊効果顔料 |
JP2010208922A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Nippon Shokubai Co Ltd | 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 |
JP2012166984A (ja) * | 2011-02-14 | 2012-09-06 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 酸化第二銅微粉末および硫酸銅水溶液の銅イオン供給方法 |
JP2012201515A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-10-22 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 易溶性酸化第二銅粉末の製造方法、易溶性酸化第二銅微粉末および硫酸銅水溶液への銅イオン供給方法 |
CN102992376A (zh) * | 2011-09-15 | 2013-03-27 | 华东理工大学 | 一种片状纳米氧化铈的制备方法 |
JP2013144615A (ja) * | 2012-01-13 | 2013-07-25 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | 亜酸化銅粒子及びその製造方法 |
JP2014225655A (ja) * | 2013-04-25 | 2014-12-04 | 中部電力株式会社 | 熱電変換材料 |
TWI495876B (zh) * | 2013-09-23 | 2015-08-11 | Univ Nat Sun Yat Sen | 分析樣本中內毒素之方法 |
JP2016525998A (ja) * | 2013-05-06 | 2016-09-01 | バル・イラン・ユニバーシティBar Ilan University | ドープ化金属酸化物ナノ粒子及びその使用 |
JP2017165616A (ja) * | 2016-03-16 | 2017-09-21 | 富士電機株式会社 | 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002319138A patent/JP2004149389A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007512212A (ja) * | 2003-10-07 | 2007-05-17 | フエロ コーポレーション | ナノサイズ酸化銀粉体 |
JP4695089B2 (ja) * | 2003-10-07 | 2011-06-08 | フエロ コーポレーション | ナノサイズ酸化銀粉体 |
JP2009544820A (ja) * | 2006-07-25 | 2009-12-17 | フエロ コーポレーション | 特殊効果顔料 |
JP2009269773A (ja) * | 2008-04-30 | 2009-11-19 | Kyodo Printing Co Ltd | 赤外線吸収機能を有する酸化化合物 |
JP2010208922A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Nippon Shokubai Co Ltd | 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 |
JP2012166984A (ja) * | 2011-02-14 | 2012-09-06 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 酸化第二銅微粉末および硫酸銅水溶液の銅イオン供給方法 |
JP2012201515A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-10-22 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 易溶性酸化第二銅粉末の製造方法、易溶性酸化第二銅微粉末および硫酸銅水溶液への銅イオン供給方法 |
CN102992376A (zh) * | 2011-09-15 | 2013-03-27 | 华东理工大学 | 一种片状纳米氧化铈的制备方法 |
JP2013144615A (ja) * | 2012-01-13 | 2013-07-25 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | 亜酸化銅粒子及びその製造方法 |
JP2014225655A (ja) * | 2013-04-25 | 2014-12-04 | 中部電力株式会社 | 熱電変換材料 |
JP2016525998A (ja) * | 2013-05-06 | 2016-09-01 | バル・イラン・ユニバーシティBar Ilan University | ドープ化金属酸化物ナノ粒子及びその使用 |
TWI495876B (zh) * | 2013-09-23 | 2015-08-11 | Univ Nat Sun Yat Sen | 分析樣本中內毒素之方法 |
JP2017165616A (ja) * | 2016-03-16 | 2017-09-21 | 富士電機株式会社 | 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI726959B (zh) | 複合鎢氧化物超微粒子分散體、中間膜、夾層構造體及複合鎢氧化物超微粒子分散體之製造方法 | |
JP2004149389A (ja) | 金属酸化物粒子の製造方法 | |
JP4323156B2 (ja) | 微粒子含有金属酸化物膜およびその形成方法 | |
US20070154561A1 (en) | Metal oxide particle and its uses | |
WO2017104853A1 (ja) | 複合タングステン酸化物超微粒子およびその分散液 | |
KR20110095315A (ko) | 적외선 차폐 미립자 및 이의 제조방법, 및 이를 사용한 적외선 차폐 미립자 분산체, 적외선 차폐 기재 | |
JP3974756B2 (ja) | 金属酸化物系粒子の製法 | |
JP4248312B2 (ja) | 金属酸化物の製造方法 | |
JP4938985B2 (ja) | 金属酸化物粒子およびその用途 | |
JP4237518B2 (ja) | 有機基複合金属酸化物微粒子の製造方法 | |
JP4344122B2 (ja) | 金属酸化物被覆粒子の製造方法 | |
JP5517268B2 (ja) | 微粒子状金属酸化物とその用途 | |
JP4391737B2 (ja) | 金属の製造方法 | |
JP2003201106A (ja) | 金属酸化物系粒子の製造方法および金属酸化物膜の形成方法 | |
JP2006299087A (ja) | 日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜ならびに日射遮蔽機能を有する基材 | |
KR20220121797A (ko) | 근적외선 흡수 재료 입자, 근적외선 흡수 재료 입자 분산액, 근적외선 흡수 재료 입자 분산체 | |
JP5016192B2 (ja) | 金属酸化物粒子およびその用途 | |
KR102553348B1 (ko) | 적외선 흡수 미립자 및 이를 사용한 분산액, 분산체, 적층된 투명 기재, 필름, 유리, 및 이의 제조 방법 | |
JP2005305367A (ja) | 粒子分散体およびその用途 | |
TWI775942B (zh) | 農園藝用土壤覆蓋薄膜及其製造方法 | |
JP2003268368A (ja) | 紫外線発光体および紫外線発光体用酸化亜鉛粒子 | |
JP4238011B2 (ja) | 金属硫化物の製造方法 | |
JP2013144676A (ja) | 化合物、金属酸化物粒子及びそれらの製造方法 | |
JP2004149391A (ja) | 金属酸化物膜形成用組成物 | |
JP4248224B2 (ja) | 酸化亜鉛薄膜 |