JP2010208922A - 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、β―ジケトン金属錯体を主成分とする原料金属化合物を、溶媒中で加熱することにより金属酸化物ナノ粒子を生成させることに特徴を有する。β―ジケトン金属錯体が分解温度以上で極めて速やかに分解が進むという特性に着目し、液相溶媒中で加熱分解させることにより、オストワルド成長による粒子の肥大化が抑制された、微細な粒子を2次凝集の抑制された分散体として得ることができる。さらに、反応溶媒を炭化水素類を含有するものとし、また、アミン化合物共存下で金属酸化物ナノ粒子を生成させることが好ましい。これにより、微細な粒子径に制御された金属酸化物ナノ粒子が得られ易い。また、加熱された溶媒にβ―ジケトン金属錯体を添加する好ましい形態は、固溶金属元素の含有率の高い固溶体金属酸化物からなるナノ粒子の特に好適な製法でもある。
【選択図】なし
Description
本発明の製造方法は、溶媒が炭化水素類を含有するものであることが好ましい。また、本発明の製造方法は、加熱することにより金属酸化物ナノ粒子を生成させる際に、アミン化合物を共存させるものであることが好ましい。これにより、微細な粒子径に制御された金属酸化物ナノ粒子が得られ易い。
本発明の製造方法は、上記加熱が、加熱された溶媒にβ―ジケトン金属錯体を主成分とする原料金属化合物を添加混合することによって達成されるものであることが好ましい。これにより、偏析物の生成が抑制され構成金属元素の組成比が制御された固溶体、複合酸化物からなる金属酸化物ナノ粒子を得ることができる。
原料金属化合物として用いるβ―ジケトン金属錯体は、分解温度以下では単核錯体として安定であり、分解温度で速やかに分解が起こるため、オストワルド成長による粒子の肥大化が抑制されるとともに、溶媒(反応溶媒ともいう)中で反応させるため、微細な粒子が溶媒に分散した状態で得られる。
本発明の製造方法で用いる溶媒としては、任意の適切な反応溶媒を用いることができ、例えば、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類などが挙げられる。なかでも、反応溶媒が炭化水素類を含有することが好ましい。炭化水素類は、β―ジケトン金属錯体の熱分解反応による金属酸化物ナノ粒子の生成反応を阻害することなく、純度の高い金属酸化物ナノ粒子が得られ易い点から好ましい。反応溶媒中の炭化水素類の含有量は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。反応溶媒中の炭化水素類の含有量が上記の範囲にあることで、生成する金属酸化物ナノ粒子分散体から溶媒を除去し易く、粒子表面にも溶媒が残存し難いという効果が得られる。
本発明の製造方法においては、原料金属化合物の加熱によって金属酸化物ナノ粒子を生成させる際に、アミン化合物を共存させることが好ましい。アミン化合物の存在下で原料金属化合物から金属酸化物ナノ粒子の生成反応を行うことにより、アミン化合物のアミノ基による析出粒子核表面への吸着作用によって、粒子成長を抑制するとともに、2次凝集を抑制することができる。しかも、アミノ基は、化学結合ではなく吸着により金属酸化物ナノ粒子表面に作用しているため、得られた金属酸化物ナノ粒子の応用、たとえば、酸化物薄膜用原料に適用する場合などに、必要に応じて除去し易い点でも好ましい。
本発明の製造方法は、原料金属化合物を溶媒中で加熱することにより、β―ジケトン金属錯体が起こす熱分解反応に基づき、金属酸化物ナノ粒子が生成するものである。原料金属化合物の加熱方法は、任意の適切な方法を用いることができる。例えば、方法1)原料金属化合物を溶媒に混合した混合物を加熱する方法、方法2)原料金属化合物を加熱保持された溶媒に添加混合する方法などが好ましく採用される。
R1 mSi(OR2)n
(R1は炭化水素基、R2はアルキル基または水素原子、mは1〜3の整数、nは4−mの整数)
本発明の製造方法により得られる金属酸化物ナノ粒子の特徴について説明する。本発明の製造方法で得られる金属酸化物ナノ粒子は、粒子径が微細に制御され、粒子径が揃っており、2次凝集が抑制されてなることに特徴を有する。
変動係数(CV(%))=(粒子径の標準偏差/1次粒子の平均粒子径)×100
本発明の製造方法で得られる金属酸化物ナノ粒子は、絶縁体材料、半導体材料、イオン伝導体材料、熱伝導体材料、導電体(電子伝導体)材料、光吸収体材料、発光体材料、蛍光体材料、(光)磁気記録材料、非線形光学材料、強誘電体材料、光電変換材料、熱電変換材料等の各種機能性酸化物として、または、機能性酸化物の原料として使用することが期待される。
<原料金属化合物添加液の調製>
亜鉛アセチルアセトナート水和物(Sigma−Aldrich社製、純度99.995%以上)0.2636gをトルエン(関東化学社製)5mLに混合し、25℃で15分間激しく攪拌することによって、亜鉛アセチルアセトナート水和物がトルエンに分散した原料金属化合物添加液(1)を調製した。該添加液(1)は、後述する反応装置の添加槽に仕込んだ。
Arガス導入口、冷却凝縮管および添加槽を備えた、内容積50mlのガラス製反応容器を準備した。ArガスはArガス導入口より反応容器内気相部に入り、冷却凝縮管を通って冷却凝縮管上部より排出されるようになっており、添加槽は、25mlガラスシリンダーからなり、ニードルバルブを介して反応容器内に原料金属化合物を供給できるようになっている。また、反応容器は外部加熱により加熱可能である。
反応容器内に、オレイルアミン(Sigma−Aldrich社製、tech、純度70%)5.35g、1−オクタデセン(Sigma−Aldrich社製、tech、純度90%)5.05gを順次仕込み、Arガスを200ml/分の流速で5分間流した後、マグネチックスタラーで仕込んだ液の攪拌を開始するとともに反応容器の加熱を開始した。
回転数600rpmで攪拌しながらボトムの温度が100℃に到達した時点で、25分間加熱保持した。その後、330℃まで昇温し、330℃に到達した時点で、マグネチックスタラーの回転数を1000rpmとし、添加槽に仕込んだ原料金属化合物添加液(1)の全量を反応容器内に添加混合した。添加に要した時間は約1秒間である。添加後、加熱状態を60分間保持して加熱を終了した。該加熱状態を保持している間において、ボトム温度が330℃に戻るまで、低沸点成分であるトルエン等を徐々に留去した。加熱終了後、反応容器を常温まで冷却した。
添加槽より、エタノールを約30ml添加し、5分間以上、攪拌を続けた後、Arガスを流すことを止め、反応液(1)を得た。
得られた沈殿物を、n−ブチルアミン100μlをクロロホルム3.3mlに混合した溶液1mlに分散させることにより分散体(1)を得た。得られた分散体(1)はほぼ透明であった。
<原料金属化合物添加液の調製>において、亜鉛アセチルアセトナート水和物(Sigma−Aldrich社製、純度99.995%以上)0.2636gの代わりに、亜鉛アセチルアセトナート水和物(Sigma−Aldrich社製、純度99.995%)0.2636g、および、アルミニウムアセチルアセトナート(Sigma−Aldrich社製、純度99%以上)0.0324g用いた(Al/Znの原子数比は0.1である)以外は、実施例1と同様にして、原料金属化合物添加液(2)を調製した。
さらに、<反応>において、原料金属化合物添加液(1)の代わりに、原料金属化合物添加液(2)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行って反応液(2)を調製し、同様にして、分散体(2)を得た。
<原料金属化合物添加液の調製>において、亜鉛アセチルアセトナート水和物(Sigma−Aldrich社製、純度99.995%以上)0.2636gの代わりに、亜鉛アセチルアセトナート水和物(Sigma−Aldrich社製、純度99.995%)0.2636g、および、アルミニウムアセチルアセトナート(Sigma−Aldrich社製、純度99%以上)0.0162g用いた(Al/Znの原子数比は0.05である)以外は、実施例1と同様にして、原料金属化合物添加液(3)を調製した。
さらに、<反応>において、原料金属化合物添加液(1)の代わりに、原料金属化合物添加液(3)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行って反応液(3)を調製し、同様にして、分散体(3)を得た。
表1より、実施例2および3においては、それぞれの実施例において用いた原料金属化合物添加液(2)および(3)の配合組成に相当する金属組成からなる粒子、すなわち、該配合組成に相当する量のAlがZnO結晶に固溶した金属ナノ粒子が得られていると考えられる。
Claims (4)
- β―ジケトン金属錯体を主成分とする原料金属化合物を、溶媒中で加熱することにより金属酸化物ナノ粒子を生成させることを特徴とする、金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
- 前記溶媒が、炭化水素類を含有するものであることを特徴とする、請求項1記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
- 前記原料金属酸化物を溶媒中で加熱する際に、アミン化合物を共存させるものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
- 前記加熱が、加熱された溶媒にβ―ジケトン金属錯体を主成分とする原料金属化合物を添加することにより達成されるものである、請求項1から3のいずれかに記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
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