JP2017149981A - 発光素子用のインク - Google Patents
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Abstract
Description
ことを特徴とする。
上記発光素子用のインクは、透明であることが好ましい。
上記発光素子用のインクは、無色透明であることがより好ましい。
上記発光素子用のインクにおいて、前記発光手段は酸化亜鉛以外に、さらに窒化ガリウム又は二酸化チタンを含有することが好ましい。
前記発光手段が酸化亜鉛と窒化ガリウムを併用する場合、前記酸化亜鉛のモル数:前記窒化ガリウムのモル数は、7:3〜3:7であることが好適である。
前記発光手段が酸化亜鉛と二酸化チタンを併用する場合、前記酸化亜鉛のモル数:前記二酸化チタンのモル数は、7:3〜3:7であることが好適である。
また、本発明の温度可変光センサ素子は、少なくとも酸化亜鉛又は加熱処理された酸化亜鉛を含有する発光手段と、該発光手段の温度を調節する温調手段と、該発光手段に励起光を照射する励起手段とを備え、前記発光手段の発光強度が、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大することを特徴とする。
本発明は、酸化亜鉛(以下、ZnOと略記する)の発光スペクトルが、励起光照射時における温度に依存して変化する、又はその発光強度が、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大するという特性を利用して、温度可変光センサ素子として構成したものである。
加熱処理時の温度は、目的に応じて適宜選択すれば良いが、150〜650℃であることが好ましく、250〜550℃であることがより好ましい。このような範囲とすることで、励起光照射時の温度に依存した発光スペクトルの変化が一層明りょうとなる。
ZnOの加熱処理時の時間は、温度に応じて適宜調整すれば良いが、例えば、加熱温度が上記範囲内である場合には、通常0.5〜2時間程度で良い。
このようにZnOを、高活性なガスの共存下で加熱処理することにより、O(酸素)の空孔欠陥の量を変化させ、発光スペクトルを一層明りょうに変化させることが可能になると考えられる。
この場合、GaNは、半導体分野で通常使用されるもので良く、純度が99.9%以上のものが好ましい。TiO2は、例えば、市販品を使用できる。
また、ZnO及びTiO2を併用する場合には、「ZnOのモル数:TiO2のモル数」は7:3〜3:7であることが好ましく、6:4〜4:6であることがより好ましい。
例えば、GaN又はTiO2をZnOと併用した場合でも、NH3ガス共存下でZnOを加熱処理すると、上記と同様にZnO中のO(酸素)が還元されると考えられる。
樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂のいずれもが使用でき、例えば、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、セルロースアセテート、ウレタン系樹脂、ポリカーボネイト、環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリオレフィン樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、尿素−メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂などを単独で又は混合して使用できる。
着色剤としては、各種染料、顔料などが使用できる。添加剤としては、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、キレート化剤などが使用できる。
インク中における前記ZnO等の含有量は、インク中の固形分全量に対して0.005〜10質量%とされ、0.005質量%未満では発光強度が低すぎてその検出が困難になり、10質量%を超えると印刷適性が悪くなる。
また、インクは透明であることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。ただし、ZnO等の配合量によっては、若干白濁することもある。
また、上記のいずれの場合においても、加熱処理時の温度等の条件が異なると、励起光照射時の温度が同じでも、異なる発光スペクトルを示すことがある。そして、特定のピークについて、励起光照射時の温度の上昇に伴って、強度を大きくできることがある。これまでに知られている発光素子では、励起光照射時に温度の上昇に伴って発光強度が減少して消光してしまうので、上記知見は新規なものである。
さらに、上記のいずれの場合においても、発光スペクトルの複数のピークの内、特定のピークだけ波長をシフトさせたり、強度を変化させたりできることがある。
このように、本発明は、発光スペクトルの温度依存性を利用して、発光手段を温度可変光センサとして機能させるものである。
そして、発光手段が基材上に保持されたもので好ましいものとしては、ZnO等を含有する分散液又は溶液、好ましくはインクにより、基材上に文字やパターンが形成されたものが例示できる。このようなものは、基材に特有の情報を付与したメモリ素子として好適である。
<ZnO粉末の発光スペクトルの測定(1)>
ZnO粉末(高純度化学社製、純度99.999%)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用してSEM像を撮像し、さらにX線回折(XRD)測定を行った。結果を図1に示す。図1のうち、(a)は撮像データ、(b)はX線回折パターンである。
図2から明らかなように、波長390nm付近のピークは、測定温度の上昇に伴って長波長側へシフトすることが確認できた。
<GaN粉末の発光スペクトルの測定(1)>
GaN粉末(高純度化学社製、純度99.99%)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用してSEM像を撮像し、さらにX線回折(XRD)測定を行った。結果を図3に示す。図3のうち、(a)は撮像データ、(b)はX線回折パターンである。なお、Ga2O3(純度99.99%)をNH3雰囲気下、850℃で加熱処理することにより、別途GaN粉末を調製(調製品)し、これについてもX線回折パターンを測定したので、図3(b)にあわせて示す。
図3(b)から明らかなように、上記の別途調製したGaN粉末は、市販品と同様の回折パターンを示したことから、市販品と同様の品質であることが確認できた。なお、双方の回折パターンは強度が異なるが、これは測定に供した粉末の量の違いに基づくものである。
図4に示すように、発光強度は、測定温度の上昇に伴って大きくなる領域と小さくなる領域とがあった。また、発光スペクトルから、波長390nm付近及び670nm付近にピークが観測された。波長390nm付近のピークは測定温度の上昇に伴って強度が小さくなった。これは、温度の上昇に伴って、欠陥準位に捕獲される電子の確率が上昇したことによるものと考えられる。一方、波長670nm付近にピークが観測されたのは、欠陥によるものと考えられる。
<GaN粉末の発光スペクトルの測定(2)>
試料ホルダに大きさが5mm×5mmのカーボンテープを貼付し、これにGaN粉末(高純度化学社製、純度99.99%)を塗布した。そして、温調手段としてヒータを使用し、GaN粉末の温度を25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃及び90℃の8通りに調節し、それぞれの場合について、GaN粉末にレーザを照射して発光スペクトルを測定した。測定は、He−Cdレーザ(波長325nm)を使用し、レーザスポットを直径1mmとし、検出手段として電荷結合素子(CCD)を使用して行った。
測定結果を図5に示す。
<ZnO粉末の発光スペクトルの測定(2)>
試料ホルダに大きさが5mm×5mmのカーボンテープを貼付し、これにZnO粉末(高純度化学社製、純度99.999%)を塗布した。そして、温調手段としてヒータを使用し、ZnO粉末の温度を26℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃及び95℃の7通りに調節し、それぞれの場合について、ZnO粉末にレーザを照射して発光スペクトルを測定した。測定は、He−Cdレーザ(波長325nm)を使用し、レーザスポットを直径1mmとし、検出手段として電荷結合素子(CCD)を使用して行った。その結果、波長390nm付近にピークが観測され、これは測定時の温度に依存して波長がシフトした。測定結果を図6に示す。図6のうち、(a)は測定時の温度ごとの発光スペクトルの測定結果、(b)はピークの波長と測定時の温度との関係をそれぞれ示すグラフである。
<NH3加熱処理したGaN−ZnO粉末の発光スペクトルの測定>
GaN粉末に代わり、1気圧のNH3ガス雰囲気下、550℃で5時間加熱処理したGaN−ZnO粉末を使用したこと以外は、参考例2と同様に発光スペクトルを測定した。
測定結果を図7に示す。なお、ZnO粉末としては実施例1と同じもの、GaN粉末としては参考例2と同じものをそれぞれ使用した。
一方、図7から明らかなように、波長780nm付近のピークは、測定温度の上昇に伴い、強度に大きな差は生じなかったが、長波長側へシフトし、そのシフト量は、例えば、25℃と70℃との間で6.8nmであった。
<NH3加熱処理したTiO2−ZnO粉末の発光スペクトルの測定>
TiO2−ZnO粉末(TiO2のモル数:ZnOのモル数=1:1)を、1気圧のNH3ガス雰囲気下で300℃(実施例4−1)、400℃(実施例4−2)又は500℃(実施例4−3)でそれぞれ1時間加熱処理した。TiO2粉末としては、高純度化学社製の純度99.99%のものを使用し、ZnO粉末としては、実施例1と同じものを使用した。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)の試料ホルダに、大きさが5mm×5mmのカーボンテープを貼付し、これに前記NH3処理済みTiO2−ZnO粉末を塗布した。
そして、温度25℃、加速電圧5.0KV、倍率10000倍の条件で、前記NH3処理済みTiO2−ZnO粉末のSEM像を撮像した。取得した撮像データを図8に示す。図8のうち(a)は加熱処理温度が300℃、(b)は加熱処理温度が400℃、(c)は加熱処理温度が500℃の場合の撮像データである。
表1から明らかなように、加熱処理温度が300℃の場合よりも400℃及び500℃の場合の方が、Ti、Znの濃度が顕著に減少しており、かつN、Oの濃度が顕著に増加していた。
測定結果を図9に示す。図9のうち(a)は加熱処理温度が300℃、(b)は加熱処理温度が400℃、(c)は加熱処理温度が500℃の場合の、発光スペクトルの測定結果を示すグラフである。なお、加熱処理温度によらず、NH3処理済みTiO2−ZnO粉末の塗布量を一定とすることはできなかったため、加熱処理温度ごとに発光ピークの波長を比較することにした。
一方、加熱処理温度が400℃の場合、波長543nm付近及び730nm付近にそれぞれピークが観測された。波長543nm付近のピークは、上記と同様にO(酸素)の空孔欠陥に起因するものである。このように、630nm付近にはピークが認められない点で、加熱処理温度が300℃の場合と異なっていた。
ただし、300℃及び400℃のいずれの温度においても、測定温度の上昇に伴い、各ピークの強度は小さくなった。
また、300℃及び400℃のいずれの温度においても、波長600nm付近には、発光スペクトルの谷が観測されたが、ピーク強度に対するこの谷部分の発光強度の相対的な大きさは、300℃の場合の方が400℃の場合よりも大きかった。
<N2加熱処理したTiO2−ZnO粉末の発光スペクトルの測定(1)>
TiO2−ZnO粉末を、NH3ガス雰囲気下に代え、N2ガス雰囲気下で加熱処理したこと以外は、実施例4と同様にTiO2−ZnO粉末の発光スペクトルを測定した。測定結果を図10に示す。図10のうち(a)は加熱処理温度が300℃、(b)は加熱処理温度が400℃、(c)は加熱処理温度が500℃の場合の、発光スペクトルの測定結果を示すグラフである。
一方、加熱処理温度が500℃の場合、波長540nm付近、620nm付近及び716nm付近にそれぞれピークが観測された。波長540nm付近のピークは、上記と同様にO(酸素)の空孔欠陥に起因するものである。そして、この時の発光スペクトルは、上記の加熱処理温度が300℃の場合と同様のパターンであった。
また、加熱処理温度が300℃の場合には、測定温度の上昇に伴い、概ね各ピークの強度は小さくなったが、加熱処理温度が500℃の場合には、特に波長540nm付近のピークで、測定温度の上昇に伴い、ピークの強度が増大する温度範囲の存在が認められた。
また、300℃、400℃及び500℃のいずれの温度においても、波長600nm付近に発光スペクトルの谷が観測されたが、ピーク強度に対するこの谷部分の発光強度の相対的な差は、400℃の場合が300℃及び500℃の場合よりも大きかった。
<TiO2−ZnO含有インク及びZnO含有インクの発光スペクトルの測定(1)>
以下に示すTiO2−ZnO含有インク(実施例6、二種類:インク1〜2)及びZnO含有インク(実施例7、二種類:インク3〜4)を調製し、これらを使用して図11に示す二次元コードを紙上に印刷した。図11は、インクで印刷した二次元コードの平面図であり、黒塗り部分が印刷部である。なお、TiO2−ZnO粉末としては、実施例4で使用したものと同じものを使用し、ZnO粉末としては、実施例1で使用したものと同じものを使用した。
以下の組成から成るインク1〜4を調製した。
硝化綿(SNPE社製 S1/4(N.V.70%)) 25質量部
可塑剤(大日本インキ社製 エポホイザーW−100EL) 6質量部
可塑剤(大日本インキ社製 モノホイザーATBC) 1質量部
酢酸エチル 30質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 7質量部
ZnO粉末、又はTiO2−ZnO粉末 1〜2質量部
なお、ZnO粉末、又はTiO2−ZnO粉末の含有量は、インク1〜4において、以下の通りとした。
インク1:TiO2−ZnO粉末を1質量部
インク2:TiO2−ZnO粉末を2質量部
インク3:ZnO粉末を1質量部
インク4:ZnO粉末を2質量部
<N2加熱処理したTiO2−ZnO粉末の発光スペクトルの測定(2)>
実施例6で使用したTiO2−ZnO粉末を使用し、そのN2ガス雰囲気下での加熱処理の温度を500℃のみとし、発光スペクトル測定時の温度の下限値を、25℃に代わり26℃としたこと以外は、実施例5と同様にTiO2−ZnO粉末の発光スペクトルを測定した。測定結果を図15に示す。
<NH3加熱処理したZnO粉末の発光スペクトルの測定>
NH3加熱処理したTiO2−ZnO粉末に代わり、1気圧のNH3ガス雰囲気下、500℃で1時間加熱処理したZnO粉末を使用したこと以外は、実施例4と同様に発光スペクトルを測定した。測定結果を図16に示す。なお、ZnO粉末としては、実施例1と同じものを使用した。
一方、ZnO粉末を加熱処理することで、実施例7と比較すると、波長700nm付近のピークの強度が大きくなった。
<TiO2−ZnO含有インク及びZnO含有インクの発光スペクトルの測定(2)>
実施例6におけるインク2を使用して、図11に示す二次元コードを、紙に代わり、カーボン薄膜を積層した紙の紙面上に印刷したこと以外は、実施例6と同様に、8通りの温度で発光スペクトルを測定した(実施例10)。なお、カーボン薄膜を積層した紙は、通常の紙とは異なり、電荷を逃がす効果を有するので、発光スペクトルの測定精度を向上させることが期待できるものである。
また、実施例7におけるインク4を使用して、図11に示す二次元コードを、紙に代わり、カーボン薄膜を積層した紙の紙面上に印刷したこと以外は、実施例7と同様に、8通りの温度で発光スペクトルを測定した(実施例11)。
測定結果を図17〜18に示す。図17は、実施例10のTiO2−ZnO含有インク(インク2)を使用した場合の発光スペクトルの測定結果を示すグラフであり、図18は、実施例11のZnO含有インク(インク4)を使用した場合の発光スペクトルの測定結果を示すグラフである。
また、実施例6の場合と同様に、波長780nm付近のピークは、測定温度の上昇に伴い、強度に大きな差は生じなかったが、長波長側へシフトし、そのシフト量は、例えば、25℃と90℃との間で14nm(783.5nm−769.5nm)であった。これに対して、その他のピークは、測定温度の上昇に伴う明確なシフトは観測されなかった。
また、実施例7の場合と同様に、波長785nm付近のピークは、測定温度の上昇に伴い、強度に大きな差は生じなかったが、長波長側へシフトし、そのシフト量は、例えば、25℃と90℃との間で11nm(794.7nm−783.7nm)であった。これに対して、その他のピークは、測定温度の上昇に伴う明確なシフトは観測されなかった。
Claims (6)
- 発光素子用の分散液又は溶液の中に、染料、顔料、あるいはバインダを含有してなる発光素子用のインクであって、
前記分散液または前記溶液は、加熱処理された酸化亜鉛を含有する発光手段として機能するとともに、励起光照射時の温度に依存して異なる発光スペクトルを示し、
前記インク中における前記酸化亜鉛の含有量は、インク中の固形分全量に対して0.005〜10質量%である、
ことを特徴とする発光素子用のインク。 - 前記インクは透明であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子用のインク。
- 前記インクは無色透明であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子用のインク。
- 前記発光手段は酸化亜鉛以外に、さらに窒化ガリウム又は二酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1に記載の発光素子用のインク。
- 前記発光手段が酸化亜鉛と窒化ガリウムを併用する場合、前記酸化亜鉛のモル数:前記窒化ガリウムのモル数は、7:3〜3:7であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子用のインク。
- 前記発光手段が酸化亜鉛と二酸化チタンを併用する場合、前記酸化亜鉛のモル数:前記二酸化チタンのモル数は、7:3〜3:7であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子用のインク。
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