JP2004149387A - 金属硫化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子径および粒径分布が制御された金属硫化物微粒子もしくは緻密な金属硫化物薄膜を優れた生産性で得ることができ、しかも各種金属に適用可能な、金属硫化物の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の金属硫化物の製造方法は、金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸塩とチオール化合物および/またはアルコールとを出発原料とするか、または、金属(チオ)アルコキシ基含有化合物とチオ−s−カルボキシル基含有化合物および/またはジチオカルボキシル基含有化合物とを出発原料として、金属硫化物を生成させるようにする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子状または膜状の金属硫化物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属硫化物の粒子殊にナノオーダーの超微粒子の製造方法としては、例えば、CdやZnの過塩素酸塩の水溶液にヘキサメタリン酸存在下で硫化水素を通じる方法(非特許文献1参照)、エタンチオールなどのアルキルチオール化合物存在下で過塩素酸亜鉛や過塩素酸カドミウムに硫化ナトリウムを添加して反応させる方法(非特許文献2、非特許文献3参照)、芳香族チオール化合物存在下で酢酸鉛に硫化ナトリウムを添加して反応させる方法(非特許文献4参照)が知られている。これらの方法において、ヘキサメタリン酸やチオール化合物は反応剤(金属硫化物を直接形成する原料)ではなく得られる粒子の安定化剤として用いられており、硫化物は、硫化水素との反応もしくは硫化ナトリウムと金属塩とのいわゆる中和反応によって生成するものである。また、アルキルチオール化合物は、これまで、金属硫化物粒子の表面安定化剤として用いられることが多かった。
【0003】
しかしながら、前述した従来の方法では、適用可能な金属がCd、Zn、Pbなどの一部の金属に限られるという制限があった。しかも、前述した従来の方法では、極めて微細なナノオーダーの粒子が得られるものの、その粒径分布が大きいため、例えば粒子径依存性が高い半導体特性(例えば発光等)を発現させたい場合には、該特性が平均化されるための粒子径による機能制御が充分とはいえなかった。また、前述した従来の方法では、得られる粒子の濃度が低いため、工業的な製法としては生産性が悪く、必然的に得られる金属硫化物粒子は高価なものになるといった問題があった。
【0004】
一方、金属硫化物の薄膜は、これまで、前述した従来の方法で得られた金属硫化物微粒子の分散液を基材表面に塗布して乾燥することにより得られていた。しかし、前述した従来の方法で得られる粒子の濃度が低いため、このような方法では、生産性が悪く、やはり得られる金属硫化物薄膜は高価なものになるといった問題があった。しかも、金属硫化物微粒子を得る際に安定化剤として用いられる化合物は、緻密な膜の形成を妨げる傾向があり、膜とすることの特徴を実質的に生かせないという問題もあった。なお、これまで、金属硫化物を基材表面に直接定着させて金属硫化物薄膜を得る方法は知られていなかった。
【0005】
【非特許文献1】
H.Matsumoto,H.Uchida,T.Matsunaga,K.Tanaka,T.Sakata,H.Mori,and H.Yoneyama,J.Phys.Chem.,98,(1994)11549
【0006】
【非特許文献2】
H.Inoue,N.Ichiroku,T.Torimoto,T.Sakata,H.Mori,and H.Yoneyama,Langmuir,10,(1994)4517
【0007】
【非特許文献3】
T.Torimoto,K.Maeda,J.Maenaka,and H.Yoneyama,J.Phys.Chem.,98,(1994)13658
【0008】
【非特許文献4】
T.Torimoto,H.Uchida,T.Sakata,H.Mori,and H.Yoneyama,J.Am.Chem.Soc.,115,(1993)1847
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、粒子径および粒径分布が制御された金属硫化物微粒子もしくは緻密な金属硫化物薄膜を優れた生産性で得ることができ、しかも各種金属に適用可能な、金属硫化物の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく、金属硫化物の生成反応について反応機構の面から鋭意検討を行った。その結果、従来に無い特定の組み合わせの出発原料を反応させることにより、数nmから100nmの範囲で結晶成長を制御することができ、しかも各種の金属の硫化物を得ることができることを見出した。さらに、前記反応においては、粒子のみならず、基材上で金属硫化物を膜として形成することができることを見出した。そして、これらの知見により本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明にかかる第1の金属硫化物の製造方法は、金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸塩とチオール化合物および/またはアルコールとを出発原料とするか、または、金属(チオ)アルコキシ基含有化合物とチオ−s−カルボキシル基含有化合物および/またはジチオカルボキシル基含有化合物とを出発原料として、金属硫化物を生成させることを特徴とする。
本発明にかかる第2の金属硫化物の製造方法は、還元性物質の存在下で、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として、チオール化合物の存在下で金属硫化物を生成させることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる第3の金属硫化物の製造方法は、金属微粒子を出発原料として、チオール化合物の存在下で金属硫化物を生成させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる金属硫化物の製造方法について、詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
まず、本発明の第1から第3の製造方法における金属硫化物の生成反応について、各製造方法ごとに説明する。
<第1の金属硫化物の製造方法>
本発明の第1の金属硫化物の製造方法は、金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸塩(以下、「A1成分」とする)とチオール化合物および/またはアルコール(以下、「A2成分」とする)とを必須の出発原料とするか(以下、該出発原料を「組み合わせA」とする)、または、金属(チオ)アルコキシ基含有化合物(以下、「B1成分」とする)とチオ−s−カルボキシル基含有化合物および/またはジチオカルボキシル基含有化合物(以下、「B2成分」とする)とを必須の出発原料とする(以下、該出発原料を「組み合わせB」とする)。
【0014】
組み合わせAにおけるA1成分である金属チオ−s−カルボン酸塩としては、具体的には、分子内に、カルボキシル基の水素原子と結合した酸素原子が硫黄原子に置換され、かつ該カルボキシル基の水素原子が金属原子で置換された構造を少なくとも有する化合物であればよい。また、組み合わせAにおけるA1成分である金属ジチオカルボン酸塩としては、具体的には、分子内に、カルボキシル基の2つの酸素原子が硫黄原子に置換され、かつ該カルボキシル基の水素原子が金属原子で置換された構造を少なくとも有する化合物であればよい。なお、金属チオ−s−カルボン酸塩、金属ジチオカルボン酸塩は、ぞれぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記金属原子としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1A族、2A族、3A族、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、ランタノイド元素、アクチノイド元素、1B族、2B族、3B族、4B族、5B族、6B族に含まれる金属元素からなる金属原子を挙げることができ、これらの中でも、例えば、Sr、Ce、Y、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sn、SbおよびLa等の金属元素からなる金属原子が好適である。これら金属原子は1種のみでもよいし、複合金属塩として2種以上併存していてもよい。なお、本明細書においては、周期表は、改訂5版「化学便覧(日本化学会編)」(丸善株式会社より出版)に掲載されている「元素の周期表(1993年)」を用い、族番号は亜族方式により表記する。
【0016】
前記金属チオ−s−カルボン酸塩および前記金属ジチオカルボン酸塩は、通常、入手が困難であるので、金属カルボン酸塩から合成したものを用いるようにすればよい。例えば、金属カルボン酸塩をチオ−s−カルボン酸またはジチオカルボン酸の存在下で加熱することにより、容易に合成することができる。具体的には、例えば、チオ−s−カルボン酸またはジチオカルボン酸を、金属カルボン酸塩(好ましくは、酢酸塩、プロピオン酸塩等)に混合し、必要に応じて有機溶媒(好ましくは、非アルコール溶媒;カルボン酸エステル、ケトン、多価アルコールなどの誘導体で水酸基を有しない、グリコールジエーテル、グリコールジアセテート、グリコールエーテルアセテート等の化合物;芳香族炭化水素系溶媒;等)を添加して、加熱した後、晶析または濃縮乾固することにより合成することができる。なお、チオ−s−カルボン酸またはジチオカルボン酸の使用量は、金属カルボン酸塩に対して5倍モル以上とすることが好ましい。
【0017】
前記金属チオ−s−カルボン酸塩および前記金属ジチオカルボン酸塩としては、金属硫化物の生成がより低温で起こりうる点で、脂肪族カルボン酸に相当するチオ−s−カルボン酸またはジチオカルボン酸を用いて合成したものが好ましく、中でも、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサン酸等の炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸に相当するチオ−s−カルボン酸またはジチオカルボン酸を用いて合成したものが好ましい。さらに、反応副生成物の少ない金属硫化物が得られやすい点では、酢酸またはプロピオン酸に相当するチオ−s−カルボン酸またはジチオカルボン酸を用いて合成したものが好ましい。なお、前記金属チオ−s−カルボン酸塩や金属ジチオカルボン酸塩は、結晶水を含む水和物であってもよいが、無水物であることが好ましい。
【0018】
組み合わせAにおけるA2成分であるチオール化合物としては、例えば、メタンチオール、エタンチオール、n−プロパンチオール、i−プロパンチオール、t−ブタンチオール、n−ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、シクロヘキサンチオール、エトキシエタンチオール、プロペンチオール等の飽和または不飽和脂肪族チオール類;1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,2−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、3−ヒドロキシプロパン−1,2−ジチオール等のジチオール類;エチレンチオグリコール(2−メルカプトエタノール)、プロピレンチオグリコール、2,4−ヒドロキシブタンチオール等のチオグリコール類;ベンゼンチオール(チオフェノール)、2−キノリンチオール、フェニルメタンチオール、メルカプト安息香酸等の芳香族系チオール類;2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−ブトキシ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−オクチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−ベンジルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−ジメチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−ジフェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンモノナトリウム塩等のトリアジンモノ(ジ)(トリ)チオール類;等を挙げることができる。なお、チオール化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
組み合わせAにおけるA2成分であるアルコールとしては、例えば、脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アルコール(アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価アルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、メチルフェニルカルビトール等)、フェノール類(エチルフェノール、オクチルフェノール、カテコール、キシレノール、グアヤコール、p−クミルフェノール、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、ドデシルフェノール、ナフトール、ノニルフェノール、フェノール、ベンジルフェノール、p−メトキシエチルフェノール等)、複素環式1価アルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコール類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、芳香環を有する脂肪族グリコール類(ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、フタリルアルコール等)、脂環式グリコール類(シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等の上記グリコール類のモノエーテルおよびモノエステル等の誘導体;ヒドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールおよびこれらのモノエーテルおよびモノエステル;グリセリン等の3価アルコールおよびこれらのモノエーテル、モノエステル、ジエーテルおよびジエステル;等を挙げることができる。なお、アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
組み合わせAにおけるA1成分(金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸塩)と、A2成分(チオール化合物および/またはアルコール)との使用量の割合については、特に限定はないが、A1成分の有するチオ−s−カルボキシル基およびジチオカルボキシル基の総数に対するA2成分中のチオール基および水酸基の総数のモル比(チオ−s−カルボキシル基+ジチオカルボキシル基/チオール基+水酸基)が、1/0.8〜1/1000となるようにすることが好ましく、1/1〜1/100となるようにすることがより好ましい。
【0021】
組み合わせBにおけるB1成分である金属(チオ)アルコキシ基含有化合物としては、特に限定はされないが、例えば、下記一般式(1):
M(XRn−m (1)
(但し、Mは、金属原子;Xは、酸素原子または硫黄原子;Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基から選ばれた少なくとも1種;Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基、および、OR基以外の官能基を含む有機基から選ばれた少なくとも1種;nは金属原子M’の価数;mは0〜n−1の範囲の整数である。)
で示される化合物、またはこの化合物を(部分)加水分解・縮合してなる縮合物を挙げることができる。なお、金属(チオ)アルコキシ基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
一般式(1)中、Rとしては、水素原子および/またはアルコキシアルキル基などの置換されていてもよいアルキル基が好ましく、より好ましくは置換されていてもよいアルキル基である。また、Rとしては、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基、および、β−ジケトン化合物等のOR基以外の官能基を含む有機基から選ばれた少なくとも1種であるものが好ましい。
一般式(1)中、Mとしては、組み合わせAにおける金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸塩の金属原子と同様のものを挙げることができ、好ましいものについても同様であるが、その他、W、Mo、Siも好ましい。
【0023】
一般式(1)中、Xが酸素原子であり、m=0である金属アルコキシ基含有化合物の具体例としては、例えば、後述する組み合わせDにおける金属アルコキシ基含有化合物と同様のものが挙げられる。
一般式(1)中、Xが酸素原子であり、m=1、2または3である金属アルコキシ基含有化合物の具体例としては、例えば、各種の有機ケイ素化合物(m=1、2または3)、チタネート系カップリング剤(m=1、2または3)、アルミネート系カップリング剤(m=1または2)等が挙げられる。
前記有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン等のアミノ系シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エボキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロル系シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン系シランカップリング剤;N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等のカチオン系シランカップリング剤;メチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ヒドロキシエチルトリメトキシシラン等のアルキル系シランカップリング剤;γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0024】
前記チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、および、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等を挙げることができる。
【0025】
前記アルミネート系カップリング剤としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムアルキルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノメタクリレート、イソプロポキシアルミニウムアルキルアセアセテートモノ(ジオクチルホスフェート)、および、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート等を挙げることができる。一般式(1)中、Xが硫黄原子である金属チオアルコキシ基含有化合物は、通常、入手が困難であるので、前述した一般式(1)中、Xが酸素原子であり、m=0である金属アルコキシ基含有化合物から合成したものを用いるようにすればよい。例えば、前記金属アルコキシ基含有化合物をチオールの存在下で加熱することにより、容易に合成することができる。具体的には、例えば、チオールを、前記金属アルコキシ基含有化合物に混合し、必要に応じて有機溶媒を添加して、加熱した後、晶析または濃縮乾固することにより合成することができる。なお、チオールの使用量は、前記金属アルコキシ基含有化合物に対して5倍モル以上とすることが好ましい。
【0026】
金属(チオ)アルコキシ基含有化合物は、前述したもの以外であってもよく、単一金属の(チオ)アルコキシ基含有化合物の他、例えば、バリウムチタンダブルアルコキシド等のヘテロ金属(チオ)アルコキシ基含有化合物であってもよい。なお、ヘテロ金属(チオ)アルコキシ基含有化合物とは、2個以上の異なる金属原子を有し、(チオ)アルコキシ基や酸素原子を介したり、金属−金属結合等によって結ばれた金属(チオ)アルコキシ基含有化合物のことである。ヘテロ金属(チオ)アルコキシ基含有化合物を用いた場合は、複合金属硫化物からなる金属硫化物を得ることができる。
【0027】
結晶性の金属硫化物を得る場合には、一般式(1)中、mが0である化合物を主成分とすることが最も好ましく、単一金属の(チオ)アルコキシ基含有化合物やヘテロ金属(チオ)アルコキシ基含有化合物が好適である。また、有機基が導入された金属硫化物を得る場合には、一般式(1)中、mが1〜n−1である化合物を少なくとも前記成分として用いることが好ましい。
組み合わせBにおけるB2成分であるチオ−s−カルボキシル基含有化合物としては、具体的には、分子内に、カルボキシル基の水素原子と結合した酸素原子が硫黄原子に置換された構造を少なくとも有する化合物であればよい。また、組み合わせBにおけるB2成分であるジチオカルボキシル基含有化合物としては、具体的には、分子内に、カルボキシル基の2つの酸素原子が硫黄原子に置換された構造を少なくとも有する化合物であればよい。なお、チオ−s−カルボキシル基含有化合物、ジチオカルボキシル基含有化合物は、ぞれぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記チオ−s−カルボキシル基含有化合物は、メルカプトカルボニル基(−C(=O)−SH)を有する化合物であれば、特に制限はなく、例えば、脂肪族または芳香族カルボン酸のカルボン酸基(−C(=O)−OH)のOH基の酸素原子が硫黄原子で置換された化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、チオ−s−酢酸、チオ−s−プロピオン酸、チオ−s−ブタン酸、ヘキサンチオ−s−酸、3−(チオカルボキシ)プロピオン酸、p−(メルカプトカルボニル)安息香酸等が挙げられる。また、前記ジチオカルボキシル基含有化合物は、ジチオカルボキシル基(−C(=S)−SH)を有する化合物であれば、特に制限はなく、例えば、脂肪族または芳香族カルボン酸のカルボン酸基(−C(=O)−OH)のカルボニルの酸素原子およびOH基の酸素原子がいずれも硫黄原子で置換された化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、ジチオ酢酸、ジチオプロピオン酸、ジチオブタン酸、ヘキサンジチオ酸、ヘキサンビス(ジチオ酸)、1−ピペリジンカルボジチオ酸、p−(ジチオカルボキシ)安息香酸、ジチオ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0029】
組み合わせBにおけるB1成分(金属(チオ)アルコキシ基含有化合物)と、B2成分(チオ−s−カルボキシル基含有化合物および/またはジチオカルボキシル基含有化合物)との使用量の割合については、特に限定はないが、B1成分の有する(チオ)アルコキシ基の総数に対するB2成分中のチオ−s−カルボキシル基およびジチオカルボキシル基の総数のモル比(チオ−s−カルボキシル基+ジチオカルボキシル基/(チオ)アルコキシ基)が、0.8以上となるようにすることが好ましく、1以上となるようにすることがより好ましい。なお、前記モル比(チオ−s−カルボキシル基+ジチオカルボキシル基/(チオ)アルコキシ基)の上限は10以下とするのがよい。
【0030】
本発明の第1の製造方法においては、前記組み合わせAまたは組み合わせBを必須とする出発原料の混合系を高温状態にすることにより、金属硫化物を生成させる。
本発明の第1の製造方法において、前記出発原料の混合系とは、前記出発原料を混合してなる混合物、および/または、前記出発原料から得られる予備反応物を意味するものである。なお、前記混合系は、その一部が予備反応物であり、その他が前記出発原料の混合物となっていてもよい。
前記予備反応物は、前記組み合わせAにおけるA1成分とA2成分との反応による反応物、または組み合わせBにおけるB1成分とB2成分との反応による反応物として、金属硫化物が生成されるまでの任意の段階の状態(金属硫化物の生成が認められる前の状態)の反応中間体であり、生成される金属硫化物に対する前駆体(金属硫化物前駆体)である。すなわち、予備反応物は、A1成分、A2成分、B1成分、B2成分のいずれでもなく、生成される金属硫化物でもない、金属硫化物前駆体である。このような予備反応物は、例えば、A1成分およびA2成分もしくはB1成分およびB2成分を混合するだけで直ちに得られるか、A1成分とA2成分の混合物もしくはB1成分とB2成分の混合物を、緩やかな高温状態(金属硫化物が得られる温度よりも低い温度である状態)にすることにより得られる。
【0031】
組み合わせAの出発原料から得られる予備反応物としては、特に限定はされないが、例えば、1)金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸の金属原子に、チオール、アルコールまたは(チオ)アルコキシ基が配位(吸着を含む)してなる金属錯体モノマー(チオカルボキシル基の一部が(チオ)アルコシキ基で置換・配位してなる錯体を含む)、2)金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸が硫黄原子を介する「金属−硫黄−金属」の結合の形成により縮合した縮合物に、さらにチオール、アルコールまたは(チオ)アルコキシ基が配位(吸着を含む)してなる化合物、などが好ましく挙げられる。なかでも、1)でいう金属錯体モノマーがより好ましく挙げられる。
【0032】
組み合わせBの出発原料から得られる予備反応物としては、特に限定はされないが、例えば、1)金属(チオ)アルコキシ基含有化合物の金属原子に、チオ−s−カルボキシル基含有化合物および/またはジチオカルボキシル基含有化合物が、チオカルボキシル基やジチオカルボキシル基を介して配位してなる金属錯体モノマー((チオ)アルコキシ基の一部がチオ−s−カルボキシル基またはジチオカルボキシル基で置換・配位体を含む)、2)金属(チオ)アルコキシ基含有化合物が硫黄原子を介する「金属−硫黄−金属」の結合の形成により縮合した縮合物に、さらにチオ−s−カルボキシル基含有化合物および/またはジチオカルボキシル基含有化合物が配位(吸着を含む)してなる化合物、などが好ましく挙げられる。なかでも、1)でいう金属錯体モノマーがより好ましく挙げられる。
【0033】
なお、前記予備反応物の一形態である金属錯体モノマーに関しては、その配位数は、含有される金属原子の価数と同じか高いと推測され、例えば、金属原子がZnである予備反応物の場合であれば、Znに、2個のチオカルボキシル基またはジチオカルボキシル基の他に、さらにチオール、アルコールまたは(チオ)アルコキシ基が1〜2個吸着または配位しているものもある。
前記混合系は、ペースト状、懸濁液状、溶液状などの流動性のある液状であることが好ましく、必要に応じて、出発原料として反応溶媒をも用いるようにしてもよい。具体的には、組み合わせAまたは組み合わせBからなる出発原料を混合するにあたり、あるいは、これら出発原料からなる混合系を高温状態にするにあたり、さらに反応溶媒を加えた上で行うようにすればよい。
【0034】
前記反応溶媒をも用いる場合、その使用量については、特に限定はないが、経済的に金属硫化物を得ることを考慮すると、組み合わせAの場合はA1成分、組み合わせBの場合はB1成分の合計使用量が、該反応溶媒を含めた全重量に対して0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。
前記反応溶媒としては、水以外の溶媒、すなわち、非水溶媒が好ましい。非水溶媒としては、例えば、エチルベンゼン、オクタン、キシレン類、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、ジメチルナフタレン、スチレン、ソルベントナフサ、デカリン、デカン、テトラリン、ドデシルベンゼン、トルエン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、流動パラフィン等の炭化水素系溶媒;各種ハロゲン化炭化水素系溶媒;A2成分として前述したアルコール等のアルコール(フェノール類や、多価アルコールおよびその誘導体で水酸基を有する化合物なども含む)系溶媒;アニソール、エピクロロヒドリン、エポキシブタン、クラウンエーテル類、ジイソアミルエーテル、ジエチルアセタート、ジオキサン、ジグリシジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテルもしくはアセタール系溶媒;アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセトフェノン、アセトン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ホロン、メシチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘプチルケトン等のケトンもしくはアルデヒド系溶媒;アジピン酸ジエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、アビエチン酸メチル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、ギ酸プロピル、クエン酸トリブチル、ケイ皮酸メチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸n−ブチル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸メチルシクロヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジブチル、酒石酸ジエチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル、乳酸ブチル、乳酸メチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸メチル、ホウ酸エステル類、マレイン酸ジオクチル、マロン酸ジメチル、酪酸イソアミル、酪酸メチル、リン酸エステル類等のエステル系溶媒;エチレンカーボナート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、両末端に水酸基を有しないポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)誘導体等の多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物;シリコーン油、鉱物油;等を挙げることができる。
【0035】
組み合わせAの場合の反応溶媒としては、特に、前述した非水溶媒のなかでも、アルコール系溶媒が好ましく、必須の出発原料であるA2成分として用いられるアルコールを溶媒とすればよい。
組み合わせBの場合の反応溶媒としては、特に、前述した非水溶媒のなかでも、例えば、炭化水素系溶媒;ハロゲン化炭化水素系溶媒;アルコール系溶媒;エーテルもしくはアセタール系溶媒;ケトンもしくはアルデヒド系溶媒;エステル系溶媒;多価アルコール類のすべての水酸基の活性水素がアルキル基やアセトキシ基で置換された誘導体化合物;カルボン酸およびその無水物;シリコーン油、鉱物油;等が好ましい。
【0036】
金属硫化物を生成させる際には、前記混合系に含まれる水分は少ない方が、得られる金属硫化物の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、組み合わせAを出発原料とする場合には、前記混合系中の水分/A1成分中の金属原子(モル比)が4未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、前記モル比が1未満であるとさらに好ましく、0.5未満であると特に好ましい。一方、組み合わせBを出発原料とする場合には、前記混合系中の水分/B1成分中の金属原子(モル比)が1未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、前記モル比が0.2未満であるとさらに好ましく、0.1未満であると特に好ましい。
【0037】
本発明の第1の製造方法において、前記混合系を高温状態にするとは、前記混合系の温度を常温よりも高い温度(金属硫化物が生成する温度)にまで昇温することである。高温状態の温度(金属硫化物が生成する温度)は、得ようとする金属硫化物の種類等によって異なるが、通常50℃以上であり、結晶性の高い金属硫化物を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに100〜300℃の範囲であるのが好ましい。特に、後述するように金属硫化物を膜として得ようとする場合であって基材として高分子フィルム等の有機物の基材を用いる場合には、100〜200℃の範囲であるのが好ましく、より好ましくは100〜150℃の範囲である。
【0038】
前記混合系を高温状態にする際の具体的な昇温手段(予備反応物を得る場合に緩やかな高温状態にする際の昇温手段も含む)としては、ヒーター、温風や熱風による加熱が一般的であるが、これに制限されるものではなく、例えば、紫外線照射などの手段を採用することもできる。加熱により高温状態にする場合は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、特に限定はされないが、反応溶媒等の沸点が金属硫化物の生成する温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行うことも好ましい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒となる成分の臨界点以下で行うが、超臨界条件で行うこともできる。
【0039】
本発明の第1の製造方法において、前記混合系(前記出発原料の混合物および/または前記出発原料の予備反応物)を得る際の混合と、前記混合系を高温状態にする際の昇温(予備反応物をA1成分およびA2成分もしくはB1成分およびB2成分の混合と、さらに緩やかな高温状態にすることとで得る場合において、緩やかな高温状態にする際の昇温も含む)とは、別々に行っても、同時(一部同時も含む)に行ってもよく、特に限定はされない。具体的には、例えば、1)各成分(A1成分とA2成分もしくはB1成分とB2成分、および必要に応じて反応溶媒)を混合した後、該混合物を所定温度に昇温する、2)A2成分もしくはB2成分を所定温度に昇温しておき、該温度を維持しながら、これにA1成分もしくはB1成分を混合する(この場合、反応溶媒は、A2成分もしくはB2成分とともに昇温してもよいし、A1成分もしくはB1成分とともに混合してもよい)、3)反応溶媒とA1成分もしくはB1成分とを混合して所定温度に昇温しておき、該温度を維持しながら、これにA2成分もしくはB2成分を混合する、4)各成分(A1成分とA2成分もしくはB1成分とB2成分、および必要に応じて反応溶媒)を別々に所定温度に昇温しておいた後、これらを混合する、等が好ましく挙げられる。
【0040】
<第2の金属硫化物の製造方法>
本発明の第2の金属硫化物の製造方法は、金属カルボン酸塩とアルコールを必須の出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物を必須の出発原料とし、前記出発原料の混合系を高温状態にするが、その際、前記出発原料の混合以前に前記出発原料の少なくとも1つに還元性物質を添加するとともに、該還元性物質の添加と同時かまたはその後にさらにチオール化合物を添加しておいて前記高温状態にする。すなわち、本発明の第2の金属硫化物の製造方法においては、金属カルボン酸塩およびアルコール、または、金属アルコキシ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物からなる出発原料に、還元性物質とチオール化合物とを組み合わせたものが原料となるのであり、金属カルボン酸塩、アルコール、還元性物質およびチオール化合物を必須の原料とするか(以下、これら原料を「組み合わせC」とする)、または、金属アルコキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、還元性物質およびチオール化合物を必須の原料とする(以下、これら原料を「組み合わせD」とする)。
【0041】
組み合わせCにおける金属カルボン酸塩としては、具体的には、分子内に、カルボキシル基の水素原子が金属原子で置換された構造を少なくとも有する化合物であればよい。なお、金属カルボン酸塩は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属原子としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1A族、2A族、3A族、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、ランタノイド元素、アクチノイド元素、1B族、2B族、3B族、4B族、5B族、6B族に含まれる金属元素からなる金属原子を挙げることができ、これらの中でも特に、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Agから選ばれる少なくとも1種の金属元素からなる金属原子が好適である。これら金属原子は1種のみでもよいし、複合金属塩として2種以上併存していてもよい。
【0042】
前記金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、飽和モノカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、飽和多価カルボン酸、不飽和多価カルボン酸などの鎖式カルボン酸と前記金属原子からなる塩;環式飽和カルボン酸と前記金属原子からなる塩;芳香族モノカルボン酸、芳香族不飽和多価カルボン酸などの芳香族カルボン酸と前記金属原子からなる塩;さらに前記各種カルボン酸の分子内にヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物と前記金属原子からなる塩;等が挙げられる。なお、前記金属カルボン酸塩は、結晶水を含む水和物であってもよいが、無水物であることが好ましい。
【0043】
組み合わせCにおけるアルコールの具体例としては、本発明の第1の製造方法において組み合わせAのA2成分として例示したものと同様である。なお、アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
組み合わせCにおける金属カルボン酸塩とアルコールとの使用量の割合については、特に限定はないが、金属カルボン酸塩の有するカルボキシル基の総数に対するアルコール中の水酸基の総数のモル比(カルボキシル基/水酸基)が、1/0.8〜1/1000となるようにすることが好ましく、1/1.2〜1/100となるようにすることがより好ましい。
【0044】
組み合わせDにおける金属アルコキシ基含有化合物としては、特に限定はされないが、例えば、下記一般式(2):
M(ORn−m (2)
(但し、Mは、金属原子;Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基から選ばれた少なくとも1種;Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基、および、OR基以外の官能基を含む有機基から選ばれた少なくとも1種;nは金属原子M’の価数;mは0〜n−1の範囲の整数である。)
で示される化合物、またはこの化合物を(部分)加水分解・縮合してなる縮合物を挙げることができる。なお、金属アルコキシ基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
一般式(2)中、Rとしては、水素原子および/またはアルコキシアルキル基などの置換されていてもよいアルキル基が好ましく、より好ましくは置換されていてもよいアルキル基である。また、Rとしては、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基、および、β−ジケトン化合物等のOR基以外の官能基を含む有機基から選ばれた少なくとも1種であるものが好ましい。
一般式(2)中、Mとしては、組み合わせCにおける金属カルボン酸塩の金属原子と同様のものを挙げることができ、好ましいものについても同様である。
【0046】
一般式(2)中、m=1、2または3である金属アルコキシ基含有化合物の具体例としては、例えば、各種の有機ケイ素化合物(m=1、2または3)、チタネート系カップリング剤(m=1、2または3)、アルミネート系カップリング剤(m=1または2)等が挙げられる。有機ケイ素化合物、チタネート系カップリング剤、およびアルミネート系カップリング剤の具体例としては、本発明の第1の製造方法における組み合わせBのB1成分の例として例示したものと同様である。
金属アルコキシ基含有化合物は、前述したもの以外であってもよく、単一金属のアルコキシ基含有化合物の他、例えば、バリウムチタンダブルアルコキシド等のヘテロ金属アルコキシ基含有化合物であってもよい。なお、ヘテロ金属アルコキシ基含有化合物とは、2個以上の異なる金属原子を有し、アルコキシ基や酸素原子を介したり、金属−金属結合等によって結ばれた金属アルコキシ基含有化合物のことである。ヘテロ金属アルコキシ基含有化合物を用いた場合は、複合金属硫化物からなる金属硫化物を得ることができる。
【0047】
結晶性の金属硫化物を得る場合には、一般式(2)中、mが0である化合物を主成分とすることが最も好ましく、単一金属のアルコキシ基含有化合物やヘテロ金属アルコキシ基含有化合物が好適である。また、有機基が導入された金属硫化物を得る場合には、一般式(2)中、mが1〜n−1である化合物を少なくとも前記成分として用いることが好ましい。
組み合わせDにおけるカルボキシル基含有化合物としては、具体的には、分子内に、カルボキシル基を少なくとも有する化合物であればよい。なお、カルボキシル基含有化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記カルボキシル基含有化合物の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸(飽和モノカルボン酸)、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸(不飽和モノカルボン酸)、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、β,β−ジメチルグルタル酸等の飽和多価カルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸などの鎖式カルボン酸類;シクロヘキサンカルボン酸等の環式飽和カルボン酸類;安息香酸、フェニル酢酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の不飽和多価カルボン酸等の芳香族カルボン酸類;無水酢酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物;トリフルオロ酢酸、o−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、アニス酸(p−メトキシ安息香酸)、トルイル酸、乳酸、サリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)等の分子内にカルボキシル基以外のヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子等の官能基または原子団を有する化合物;アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等の上記不飽和カルボン酸の(共)重合体;等を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有化合物のうち、分散性の優れる粒子を得るためには、飽和カルボン酸が好ましく、酢酸が最も好ましい。また、カルボキシル基含有化合物が液体の場合は、後述するように反応溶媒としても用いることもできる。
【0049】
組み合わせDにおける金属アルコキシ基含有化合物と、カルボキシル基含有化合物との使用量の割合については、特に限定はないが、カルボキシル基含有化合物の金属アルコキシ基含有化合物に対するモル比が、金属アルコキシ基含有化合物に含有されている金属原子Mの平均原子価数Navを用いて、好ましくは下限が0.8Nav超、さらに好ましくは1.2Nav超であり、また、好ましくは上限が10Nav未満である。ここで、平均原子価数Navは、金属アルコキシ基含有化合物として、含有金属元素の異なるp種の金属アルコキシ基含有化合物(含有金属元素がそれぞれM1、M2、M3、・・・、Mpであるp種の金属アルコキシ基含有化合物(2≦p))を併せて用いる場合、下記数式:
【0050】
【数1】
Figure 2004149387
【0051】
(数式中、Niは、金属Miの原子価(価数)を表す。また、Xiは、金属アルコキシ基含有化合物として用いた金属元素Miのモル数を表す。pは2以上の整数である。)
から算出することができる。また、前記カルボキシル基含有化合物の総量に含まれるカルボキシル基の数が、前記金属アルコキシ基含有化合物の総量に含まれるアルコキシ基の数N’に対して、0.8N’超であることも好ましく、1N’〜10N’が特に好ましい。なお、数値範囲を表す際に、数値の後ろに「超」と付した場合は、その数値を含まずそれより大きい数値範囲を示すものとする。
【0052】
組み合わせCおよび組み合わせDにおける還元性物質としては、特に制限はなく、従来公知の還元性物質を用いることができる。具体的には、例えば、ホルムアルデヒド;ヒドラジン、ヒドラジン誘導体等のヒドラジン化合物;水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化ホウ素塩;クエン酸、クエン酸金属塩等のクエン酸化合物;コハク酸、コハク酸金属塩等のコハク酸化合物;アミノ基含有化合物;Sn(II)やMn(II)などの低原子価金属の化合物;単糖類、多糖類等の糖類;等が挙げられる。また、これら液体や固体のものの他に、水素ガスなどの還元性ガスも還元性物質として用いることができる。これらの中でも特に、安全性および得られる金属硫化物粒子や金属硫化物膜の機能を阻害しにくい点からは、クエン酸化合物、コハク酸化合物、アミノ基含有化合物、低原子価金属の化合物が好ましい。また、還元性物質としては、後述する塩基性物質としても作用しうるもの(後述する塩基性物質と同様のもの)が好ましく、中でも、アルカノールアミンが好ましい。なお、還元性物質は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記アミノ基含有化合物としては、具体的には、例えば、1〜3級のアミノ基を含有する化合物や、4級アンモニウム基を含有する化合物などが挙げられ、具体的には、メチルアミン、イソブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、エチル−n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、N−ドデシル−1−ドデカンアミン、N,N−ジオクチル−1−オクタンアミン、N,N−ジメチル−1−オクタデカンアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の1級、2級または3級の脂肪族アミン、エチレンジアミン、N−オクタデシル−1,3−プロパンジアミン等の脂肪族ジアミン、トリアミン、ポリエチレンイミン等のポリアミン、モルフォリン、ピペラジン等の脂肪族環状アミンなどの脂肪族アミン;N−フェニルヒドロキシルアミン、p−(ヒドロキシアミノ)フェノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族または芳香族ヒドロキシルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N、N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、N−エチル−N−フェニルベンジルアミン、o−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、o−アニシジン、ジアミノトルエン、4,4−メチレンジアニリン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、臭化トリメチルフェニルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、N−ベンジルピコリニウムクロライド、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、N−ラウリル4−ピコロニウムクロライド、塩化トリメチルベンジルアンモニウム、塩化N−ラウリルピリジニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化トリエチルペンジルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩;等が挙げられる。これらの中でも特に、低温で金属硫化物を生成させやすい点からは、ヒドロキシルアミンが好ましい。
【0054】
前記低原子価金属の化合物としては、具体的には、例えば、金属イオン;水酸化物;酸化物;硝酸塩、塩化物、炭酸(水素)塩、カルボン酸塩等の塩;金属アルコキシド;金属アセチルアセテートなどのβ−ジケトン錯体、β−ケトエステル錯体等の有機金属錯体;等が挙げられ、これらの金属元素としては、Sn、Mn、V、Cr、Mo、W、Re、In、Tl、Sb等が挙げられる。
組み合わせCおよび組み合わせDにおける還元性物質の使用量については、前記出発原料に含まれる金属原子(カチオン状態)を金属に還元するのに必要な量が少なくとも存在すればよく、特に限定はないが、前記出発原料に含まれる金属原子Xの原子価をnとして、還元性物質/金属原子X(モル比)が0.5n〜5nとなるようにすることが好ましい。
【0055】
本発明の第2の製造方法においては、前記還元性物質は、前記出発原料(金属カルボン酸塩とアルコール、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物)の混合以前に前記出発原料の少なくとも1つに添加するようにする。すなわち、前記出発原料となる2つの混合前または混合と同時に、前記還元性物質を前記出発原料となる2つのうちの少なくとも一方に添加するのであり、言い換えれば、前記出発原料となる2つが混合された状態においては必ず前記還元性物質を併存させるようにすることが重要となるのである。したがって、前記出発原料の混合系には、前記出発原料のほかに、前記還元性物質(後述するように前記混合系が予備反応物になっている場合、該還元性物質由来の物質に変化していてもよい)は必ず含まれることとなる。本発明の第2の製造方法においては、前記出発原料となる2つと還元性物質との3成分によって一旦金属が生成し、該金属が後述するチオール化合物と反応することにより金属硫化物が生成するものと推測される。
【0056】
組み合わせCおよび組み合わせDにおけるチオール化合物としては、例えば、本発明の第1の製造方法において組み合わせAのA2成分として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、チオール化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
組み合わせCおよび組み合わせDにおけるチオール化合物の使用量については、特に限定はなく、金属カルボン酸塩または金属アルコキシ基含有化合物の有する金属原子の総数に対するチオール化合物中のチオール基の総数のモル比(チオール基/金属原子)が、得ようとする金属硫化物における硫黄原子(S)と金属原子(M)とのモル比(金属硫化物S/M比)と同等以上になるようにすればよいのであるが、通常は、金属硫化物S/M比の1〜5倍となるようにすることが好ましい。
【0057】
本発明の第2の製造方法においては、前記チオール化合物は、前記還元性物質の添加と同時かまたはその後に、前記出発原料(金属カルボン酸塩とアルコール、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物)の少なくとも1つに添加するようにし、該添加後、前記出発原料の混合系を高温状態にする。すなわち、前記出発原料の混合系を高温状態にする時点では、該混合系に必ず前記チオール化合物が併存するようにすることが重要となるのである。したがって、前記出発原料の混合系には、前記チオール化合物(後述するように前記混合系が予備反応物になっている場合、該チオール化合物由来の化合物に変化していてもよい)は必ず含まれることとなる。
【0058】
本発明の第2の製造方法においては、前記出発原料の混合系を高温状態にすることにより、金属硫化物を生成させる。
本発明の第2の製造方法において、前記出発原料の混合系とは、前述のように、前記組み合わせCまたは組み合わせDを必須とする原料の混合系のことであり、前記組み合わせCまたは組み合わせDを必須とする原料を混合してなる混合物、および/または、前記組み合わせCまたは組み合わせDを必須とする原料から得られる予備反応物を意味するものである。なお、前記混合系は、その一部が予備反応物であり、その他が前記出発原料の混合物となっていてもよい。
【0059】
前記予備反応物は、前記組み合わせCにおける金属カルボン酸塩とアルコールと還元性物質とチオール化合物との反応による反応物、または組み合わせDにおける金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物と還元性物質とチオール化合物との反応による反応物として、金属硫化物が生成されるまでの任意の段階の状態(金属硫化物の生成が認められる前の状態)の反応中間体であり、生成される金属硫化物に対する前駆体(金属硫化物前駆体)である。すなわち、予備反応物は、前述した各原料のいずれでもなく、生成される金属硫化物でもない、金属硫化物前駆体である。このような予備反応物は、例えば、各原料を混合するだけで直ちに得られるか、各原料の混合物を緩やかな高温状態(金属硫化物が得られる温度よりも低い温度である状態)にすることにより得られる。
【0060】
前記混合系は、ペースト状、懸濁液状、溶液状などの流動性のある液状であることが好ましく、必要に応じて、出発原料として反応溶媒をも用いるようにしてもよい。具体的には、組み合わせCまたは組み合わせDからなる各原料の一部または全部を混合するにあたり、あるいは、これら原料からなる混合系を高温状態にするにあたり、さらに反応溶媒を加えた上で行うようにすればよい。
前記反応溶媒をも用いる場合、その使用量については、特に限定はないが、経済的に金属硫化物を得ることを考慮すると、金属カルボン酸塩または金属アルコキシ基含有化合物の使用量が、該反応溶媒を含めた全重量に対して0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。
【0061】
前記反応溶媒としては、水以外の溶媒、すなわち、非水溶媒が好ましい。非水溶媒の具体例としては、本発明の第1の製造方法において例示したものと同様である。
組み合わせCの場合の反応溶媒としては、特に、前述した非水溶媒のなかでも、アルコール系溶媒が好ましく、必須の出発原料であるアルコールとして用いられるアルコールを溶媒とすればよい。
組み合わせDの場合の反応溶媒として好ましい具体例としては、本発明の第1の製造方法において組み合わせBの場合に好ましい反応溶媒として例示したものと同様である。
【0062】
金属硫化物を生成させる際には、前記混合系に含まれる水分は少ない方が、得られる金属硫化物の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、組み合わせCを原料とする場合には、前記混合系中の水分/金属カルボン酸塩中の金属原子(モル比)が4未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、前記モル比が1未満であるとさらに好ましく、0.5未満であると特に好ましい。一方、組み合わせDを原料とする場合には、前記混合系中の水分/金属アルコキシ基含有化合物中の金属原子(モル比)が1未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、前記モル比が0.2未満であるとさらに好ましく、0.1未満であると特に好ましい。
【0063】
本発明の第2の製造方法において、前記混合系を高温状態にするとは、前記混合系の温度を常温よりも高い温度(金属硫化物が生成する温度)にまで昇温することである。高温状態の温度(金属硫化物が生成する温度)は、得ようとする金属硫化物の種類等によって異なるが、通常50℃以上であり、結晶性の高い金属硫化物を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに100〜300℃の範囲であるのが好ましい。特に、後述するように金属硫化物を膜として得ようとする場合であって基材として高分子フィルム等の有機物の基材を用いる場合には、100〜200℃の範囲であるのが好ましく、より好ましくは100〜150℃の範囲である。
【0064】
前記混合系を高温状態にする際の具体的な昇温手段(予備反応物を得る場合に緩やかな高温状態にする際の昇温手段も含む)としては、ヒーター、温風や熱風による加熱が一般的であるが、これに制限されるものではなく、例えば、紫外線照射などの手段を採用することもできる。加熱により高温状態にする場合は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、特に限定はされないが、反応溶媒等の沸点が金属硫化物の生成する温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行うことも好ましい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒となる成分の臨界点以下で行うが、超臨界条件で行うこともできる。
【0065】
本発明の第2の製造方法においては、前記高温状態において前記混合系に塩基性物質を存在させるようにすることが好ましい。これにより、金属硫化物をより低温で生成させることができる。
前記塩基性物質としては、例えば、アミノ基含有化合物;アルカリ金属やアルカリ土類金属の金属イオン;水酸化物;酸化物;炭酸(水素)塩、カルボン酸塩等の弱酸の塩;アルカリ金属やアルカリ土類金属の金属アルコキシド;アルカリ金属やアルカリ土類金属の金属アセチルアセテナートなどのβ−ジケトン錯体、β−ケトエステル錯体等の有機金属錯体;等が好ましく挙げられる。なお、アミノ基含有化合物としては、還元性物質として例示したものと同様のものが挙げられる。これらの中でも、アルカノールアミンが特に好ましい。なお、塩基性物質は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記塩基性物質の使用量については、特に限定はないが、金属カルボン酸塩または金属アルコキシ基含有化合物の有する金属原子の総モル数に対して、0.01〜5倍モルとするのが好ましく、0.05〜2倍モルとするのがより好ましい。
本発明の第2の製造方法において、前記混合系(前記組み合わせCまたは組み合わせDにおける各原料の混合物および/または前記組み合わせCまたは組み合わせDにおける各原料の予備反応物)を得る際の混合と、前記混合系を高温状態にする際の昇温(予備反応物を各原料の混合と、さらに緩やかな高温状態にすることとで得る場合において、緩やかな高温状態にする際の昇温も含む)とは、別々に行っても、同時(一部同時も含む)に行ってもよく、特に限定はされない。具体的には、例えば、1)各成分(組み合わせCまたは組み合わせDにおける各原料、および必要に応じて反応溶媒)を混合(還元性物質とチオール化合物については前述した順序に従い混合)した後、該混合物を所定温度に昇温する、2)アルコールもしくはカルボキシル基含有化合物を所定温度に昇温しておき、該温度を維持しながら、これにその他の原料を混合(還元性物質とチオール化合物については前述した順序に従い混合)する(この場合、反応溶媒は、金属カルボン酸塩もしくは金属アルコキシ基含有化合物とともに昇温してもよいし、その他の原料とともに混合してもよい)、3)反応溶媒と金属カルボン酸塩もしくは金属アルコキシ基含有化合物とを混合して所定温度に昇温しておき、該温度を維持しながら、これにその他の原料を混合(還元性物質とチオール化合物については前述した順序に従い混合)する、4)各成分(組み合わせCまたは組み合わせDにおける各原料、および必要に応じて反応溶媒)を別々に所定温度に昇温しておいた後、これらを混合(還元性物質とチオール化合物については前述した順序に従い混合)する、等が好ましく挙げられる。
【0067】
<第3の金属硫化物の製造方法>
本発明の第3の金属硫化物の製造方法は、金属微粒子とチオール化合物を必須の出発原料とする。
前記金属微粒子としては、具体的には、例えば、1A族、2A族、3A族、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、ランタノイド元素、アクチノイド元素、1B族、2B族、3B族、4B族、5B族、6B族に含まれる金属元素の金属微粒子を挙げることができる。これらの中でも、例えば、Sr、Ce、Y、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sn、SbおよびLa等の金属元素からなる金属微粒子が好適である。また、前記金属微粒子として、合金微粒子を用いることもできる。これら金属微粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
前記金属微粒子は、微細であるほど、または多孔質であるほど(すなわち、比表面積が大きいほど)、短時間で金属硫化物の生成が完結し、粒子径の揃った超微粒子状の金属硫化物や、平坦性に優れた金属硫化物膜が得られる。したがって、前記金属微粒子としては、比表面積径が100nm以下であるものが好ましく、20nm以下のものがより好ましい。
前記チオール化合物としては、具体的には、例えば、本発明の第1の製造方法において組み合わせAのA2成分として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、チオール化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
前記金属微粒子とチオール化合物との使用量の割合については、特に限定はなく、金属微粒子の金属原子の総数に対するチオール化合物中のチオール基の総数のモル比(チオール基/金属原子)が、得ようとする金属硫化物における硫黄原子(S)と金属原子(M)とのモル比(金属硫化物S/M比)と同等以上になるようにすればよいのであるが、通常は、金属硫化物S/M比の1〜100倍となるようにすることが好ましく、1〜5倍となるようにすることがより好ましい。
本発明の第3の製造方法においては、前記出発原料の混合系を高温状態にすることにより、金属硫化物を生成させる。
【0070】
本発明の第3の製造方法において、前記出発原料の混合系とは、前記出発原料を混合してなる混合物、および/または、前記出発原料から得られる予備反応物を意味するものである。なお、前記混合系は、その一部が予備反応物であり、その他が前記出発原料の混合物となっていてもよい。
前記予備反応物は、前記金属微粒子とチオール化合物との反応による反応物として、金属硫化物が生成されるまでの任意の段階の状態(金属硫化物の生成が認められる前の状態)の反応中間体であり、生成される金属硫化物に対する前駆体(金属硫化物前駆体)である。すなわち、予備反応物は、金属微粒子、チオール化合物のいずれでもなく、生成される金属硫化物でもない、金属硫化物前駆体である。このような予備反応物は、例えば、金属微粒子とチオール化合物とを混合するだけで直ちに得られるか、金属微粒子とチオール化合物との混合物を緩やかな高温状態(金属硫化物が得られる温度よりも低い温度である状態)にすることにより得られる。
【0071】
前記混合系は、ペースト状、懸濁液状、溶液状などの流動性のある液状であることが好ましく、必要に応じて、出発原料として反応溶媒をも用いるようにしてもよい。具体的には、金属微粒子とチオール化合物とからなる出発原料を混合するにあたり、あるいは、これら出発原料からなる混合系を高温状態にするにあたり、さらに反応溶媒を加えた上で行うようにすればよい。
前記反応溶媒をも用いる場合、その使用量については、特に限定はないが、経済的に金属硫化物を得ることを考慮すると、金属微粒子の使用量が、該反応溶媒を含めた全重量に対して0.1〜50重量%となるようにすることが好ましい。
【0072】
前記反応溶媒としては、水以外の溶媒、すなわち、非水溶媒が好ましい。非水溶媒の具体例としては、本発明の第1の製造方法において例示したものと同様である。
前記反応溶媒の好ましい具体例としては、本発明の第1の製造方法において組み合わせBの場合に好ましい反応溶媒として例示したものと同様である。
金属硫化物を生成させる際には、前記混合系に含まれる水分は少ない方が、得られる金属硫化物の欠陥が少なくなるため好ましい。具体的には、組み合わせCを原料とする場合には、前記混合系中の水分/金属微粒子中の金属原子(モル比)が4未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、前記モル比が1未満であるとさらに好ましく、0.5未満であると特に好ましい。一方、組み合わせDを原料とする場合には、前記混合系中の水分/金属微粒子中の金属原子(モル比)が1未満のわずかな水分しか含有しないことが好ましく、前記モル比が0.2未満であるとさらに好ましく、0.1未満であると特に好ましい。
【0073】
本発明の第3の製造方法において、前記混合系を高温状態にするとは、前記混合系の温度を常温よりも高い温度(金属硫化物が生成する温度)にまで昇温することである。高温状態の温度(金属硫化物が生成する温度)は、得ようとする金属硫化物の種類等によって異なるが、通常50℃以上であり、結晶性の高い金属硫化物を得るためには、100℃以上が好ましく、さらに100〜300℃の範囲であるのが好ましい。特に、後述するように金属硫化物を膜として得ようとする場合であって基材として高分子フィルム等の有機物の基材を用いる場合には、100〜200℃の範囲であるのが好ましく、より好ましくは100〜150℃の範囲である。
【0074】
前記混合系を高温状態にする際の具体的な昇温手段(予備反応物を得る場合に緩やかな高温状態にする際の昇温手段も含む)としては、ヒーター、温風や熱風による加熱が一般的であるが、これに制限されるものではなく、例えば、紫外線照射などの手段を採用することもできる。加熱により高温状態にする場合は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれの圧力下で行ってもよく、特に限定はされないが、反応溶媒等の沸点が金属硫化物の生成する温度よりも低い場合は、耐圧反応装置を用いて行うことも好ましい。通常、反応温度、反応時の気相圧は、溶媒となる成分の臨界点以下で行うが、超臨界条件で行うこともできる。
【0075】
本発明の第3の製造方法においては、前記高温状態において前記混合系に塩基性物質を存在させるようにすることが好ましい。これにより、金属硫化物をより低温で生成させることができる。
前記塩基性物質の具体例および好ましい例としては、本発明の第2の製造方法における塩基性物質として前述したものと同様のものが挙げられる。なお、塩基性物質は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記塩基性物質の使用量については、特に限定はないが、金属微粒子の金属原子の総モル数に対して、0.01〜5倍モルとするのが好ましく、0.05〜2倍モルとするのがより好ましい。
【0076】
本発明の第3の製造方法において、前記混合系(前記金属微粒子とチオール化合物との混合物および/または前記金属微粒子とチオール化合物との予備反応物)を得る際の混合と、前記混合系を高温状態にする際の昇温(予備反応物を各原料の混合と、さらに緩やかな高温状態にすることとで得る場合において、緩やかな高温状態にする際の昇温も含む)とは、別々に行っても、同時(一部同時も含む)に行ってもよく、特に限定はされない。具体的には、例えば、1)金属微粒子とチオール化合物、および必要に応じて反応溶媒を混合した後、該混合物を所定温度に昇温する、2)チオール化合物を所定温度に昇温しておき、該温度を維持しながら、これに金属微粒子を混合する(この場合、反応溶媒は、チオール化合物とともに昇温してもよいし、金属微粒子とともに混合してもよい)、3)反応溶媒と金属微粒子を混合して所定温度に昇温しておき、該温度を維持しながら、これにチオール化合物を混合する、4)金属微粒子とチオール化合物、および必要に応じて反応溶媒を別々に所定温度に昇温しておいた後、これらを混合する、等が好ましく挙げられる。
【0077】
以上の本発明の第1から第3の製造方法において、前記出発原料に2種以上の金属成分が含まれる場合、2種以上の金属元素を含む金属硫化物、例えば、複合金属硫化物、固溶体金属硫化物、あるいは2種以上の金属硫化物の混合物を得ることができる。
前記複合金属硫化物とは、金属組成比に応じて、その結晶構造(X線回析パターンまたは電子線回析パターン)が、各金属の単一金属硫化物と実質的に異なるものを意味する。
前記固溶体金属硫化物とは、その結晶構造(X線回析パターンまたは電子線回析パターン)は主たる金属成分の金属硫化物(母体)に帰属し、前記主たる金属成分以外の金属成分(ドーパント金属)が、主成分金属の一部と置換する形態(置換型固溶体)、もしくは、結晶格子内の隙間に存在する形態(侵入型固溶体)のいずれかの形態で、母体の金属硫化物中に含有されるものである。母体の金属硫化物としては、単一金属の硫化物であってもよいし、複合金属硫化物であってもよい。固溶体金属硫化物におけるドーパント金属の含有量は、通常、主成分金属に対して0.01〜30原子%の範囲である。
【0078】
前記固溶体金属硫化物は、光吸収特性、発光特性、電気伝導特性、磁気特性などの各種特性を制御するのに有効である。例えば、ドーパント金属として、Mn、Sb、希土類金属などの発光金属イオンを好ましくは0.1〜1%固溶させた金属硫化物は、発光(蛍光)特性を示す発光体として有用であり、ドーパント金属として、Co、Fe、Ni、Mnなどの磁性金属イオンを好ましくは1〜30%固溶させた金属硫化物は、希薄磁性半導体特性が期待できる。なお、発光(蛍光)特性や希薄磁性半導体特性を所望する場合、母体の金属硫化物としては、可視光の透過性が高い組成のものが好ましく、例えば、Zn、Yなどの金属の硫化物が好適である。
【0079】
前記複合金属硫化物を得ようとする場合、第1および第2の製造方法においては、前記出発原料のうち異なる金属元素を有する2種以上を適宜選択すればよい。第3の製造方法においては、少なくとも1種の金属微粒子と任意の金属元素含有化合物(第1および第2の製造方法における金属元素を含有する出発原料のいずれか)とを用いるようにしてもよいし、金属微粒子として合金微粒子を用いるようにしてもよいが、合金微粒子を用いるようにすると金属微粒子のみで複合金属硫化物を得ることができ、他の金属元素含有化合物の未反応物が残留する恐れがないので好ましい。金属元素含有化合物としては、前記金属ジチオカルボン酸塩や前記チオ−s−カルボン酸塩が好ましい。
【0080】
前記固溶体金属硫化物を得ようとする場合、ドーパント金属となる原料として、第1および第2の製造方法においては、第1および第2の製造方法における金属元素を含有する出発原料のいずれか(但し、金属(チオ)アルコキシ基含有化合物の場合はm=0のものが好ましい。)を好ましく用いることができるが、より好ましくは採用する製造方法(出発原料の組み合わせ)において必須となる金属元素含有原料を用いるのがよい。第3の製造方法においては、任意の金属元素含有化合物(第1および第2の製造方法における金属元素を含有する出発原料のいずれか。但し、金属(チオ)アルコキシ基含有化合物の場合はm=0のものが好ましい)をドーパント金属として用いるようにしてもよいし、金属微粒子として合金微粒子を用いるようにしてもよいが、合金微粒子を用いるようにすると金属微粒子のみで複合金属硫化物を得ることができ、他の金属元素含有化合物の未反応物が残留する恐れがないので好ましい。金属元素含有化合物を用いる場合は、特に、前記金属(チオ)アルコキシ基含有化合物(m=0)、前記金属ジチオカルボン酸塩、前記チオ−s−カルボン酸塩が好ましい。
【0081】
以上の本発明の第1から第3の製造方法においては、生成する金属硫化物を粒子状で得るようにしてもよいし、生成する金属硫化物を基材の表面に膜として定着させて得るようにしてもよい。
生成する金属硫化物を粒子状で得る場合、1〜100nmであることが好ましく、1〜20nmであることがより好ましい。平均粒子径が1nm未満であると、金属硫化物に期待される各種の特性(特に発光特性)が得られにくくなり、一方、100nmを越えると、該粒子の分散液の分散安定性が不充分となり、成膜性等が悪化しやすくなる。
【0082】
前記各製造方法において、金属硫化物は、前記混合系を高温状態にすることで得られる反応液(分散液)中に粒子として生成する。詳しくは、本発明の各製造方法によれば、前記平均粒子径に制御された金属硫化物粒子が、0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%で分散した反応液(分散液)が得られる。したがって、粒子(粉末)として金属硫化物を得ようとする場合には、得られた前記反応液(分散液)を遠心分離や濾過などの通常の分離手段に供するようにすればよい。また、得られた前記反応液(分散液)を、限外濾過膜を用いるか、加熱によって溶媒の一部を除去することにより所望の濃度の濃縮液として用いたり、ペースト状に加工して用いることもできる。さらに、得られた前記反応液(分散液)、前記濃縮液もしくはペースト状加工物を所望の溶媒の共存下で加熱するなどして、前記反応液(分散液)、前記濃縮液もしくはペースト状加工物に始めに含まれる溶媒を除去し、所望の溶媒に置き換えるようにしてもよい。このような反応液(分散液)、濃縮液もしくはペースト状加工物は、そのままもしくは必要に応じてバインダー成分等を混合するなどして、金属硫化物膜の膜形成材料や塗料として好適に用いることができる。
【0083】
生成する金属硫化物を基材の表面に膜として定着させて得る場合、前記混合系を基材に接触させ、この接触系を高温状態にすることにより、金属硫化物を生成させるようにする方法(以下、「方法I」とする)、前記混合系を高温状態にしながらか、または、高温状態にしておいて前記基材の表面に塗布するようにする方法(以下、「方法II」とする)、などによって容易に得ることができる。前記方法Iによる場合、さらに詳しくは、前記接触系を高温状態にすることを、前記混合系を前記基材の表面に塗布しておいて前記基材を高温状態にする方法(以下、「方法I−1」とする)、前記基材を前記混合系に漬けておいて高温状態にする方法(以下、「方法I−2」とする)のいずれかで行うようにすればよい。方法I−1と方法IIとは、前記混合系を基材の表面に塗布する方法であり、方法I−1では塗布後に、方法IIでは塗布前もしくは塗布中に、混合系を高温状態にすることにより、基材の表面に金属硫化物を定着させ金属硫化物層を形成させる方法である。一方、方法I−2は、前記混合系に基材を浸漬した状態で該混合系を高温状態にすることにより、基材の表面に金属硫化物を析出させ成長させて、基材表面に金属硫化物を定着させ金属硫化物層を形成させる方法である。以下、方法I−1と方法IIとを塗布法として、方法I−2を浸漬法として、それぞれ説明する。
【0084】
前記塗布法において、方法I−1では前記混合系の基材へ塗布後に、方法IIでは前記混合系の基材へ塗布前もしくは塗布中に、混合系を高温状態にするものであり、混合系を得る際の混合、高温状態とする際の昇温、および基材への塗布のタイミングについては、特に制限はない。但し、前記混合系が予備反応物を含む場合、予備反応物は常温で長時間溶解状態で存在し難い傾向があるため、予備反応物を得たあとは、速やかに該混合系を基材に塗布することが好ましい。また、方法IIと方法I−1を組み合わせる形態も好ましく、塗布前または塗布中に昇温した混合系を基材に塗布した後、さらに該基材を昇温することが好ましい。
【0085】
方法IIのうち、前記混合系の基材へ塗布中に、混合系を高温状態にする形態の具体例としては、例えば、混合系を、基材の塗布部分に直結する加熱されたパイプに通して加熱し、塗布する形態や、混合系を、ロールコーターのパン中で加熱し、加熱された状態のまま基材に塗布する形態、などが挙げられるが、特にこれらに限定はされない。方法IIのうち、前記混合系の基材へ塗布前に、混合系を高温状態にする形態の具体例としては、例えば、混合系を、(耐圧)回分式反応装置などを用いて加熱しておき、基材に塗布する形態、などが挙げられるが、特に限定されるわけではない。
【0086】
前記塗布法を採用する場合であって前記混合系に反応溶媒を含む場合には、反応溶媒として、常圧における沸点が金属硫化物の生成する温度(高温状態にする際の温度)よりも高い反応溶媒を選択することが好ましい。これにより、透明性に優れた金属硫化物層や、硫化物含有量の高い金属硫化物層が容易に得られる。また、この場合、反応溶媒の含有量は、混合系中の金属に対するモル比で、等モル以上であることが好ましく、より好ましくは2倍モル以上である。また、前記塗布法を採用する場合であって前記混合系に反応溶媒を含む場合には、反応溶媒として、水と共沸し得る非水溶媒を選択することが好ましい。これにより、緻密な金属硫化物層を、より低温で容易に形成することができる。この場合、反応溶媒の含有量は、混合系中の金属に対するモル比で、等モル以上であること好ましく、より好ましくは2倍モル以上、さらに好ましくは5倍以上である。なお、塗布法においては、加熱により、金属酸化物層が形成されるとともに、反応溶媒等を揮発させ除去させることができる。
【0087】
前記塗布法において、混合系を基材に塗布する際の方法としては、特に制限はなく、具体的には、例えば、バーコーター法、ロールコーター法、ナイフコーター法、ダイコーター法、スピンコート法、ディッピング法などの従来公知の方法を採用すればよい。
前記塗布法において、高温状態とする際には、基材のみを昇温してもよいし、塗布面のみを昇温するようにしてもよいし、基材および塗布面の両方を昇温してもよく、特に限定はされない。
前記塗布法において、方法IIと方法I−1を組み合わせる形態を採用する場合、塗布前または塗布中に高温状態とする際の温度は、予備反応物を生成させる程度の温度が好ましく、具体的には、50℃以上でかつ塗布後に高温状態とする際の温度以下であることが好ましい。
【0088】
前記塗布法においては、高温状態にする際の加熱時間は、特に限定されるわけではなく、具体的には、10秒〜1時間が好ましいが、結晶性を高めたり基材との密着性を高めるなどといった目的で、さらに加熱して熟成させてもよい。熟成の際の温度や時間、昇温手段については、特に限定はなく、適宜選択すればよい。
前記塗布法は、連続層、特に、表面の平滑性が高くかつ緻密な連続層の金属硫化物層を得る場合に好適である。
前記浸漬法においては、金属硫化物の生成が完全に終わるまでに、好ましくは金属硫化物の生成反応を開始させるまでに、基材を前記混合系に漬けておけばよく、混合系を得る際の混合、高温状態とする際の昇温、および基材の浸漬のタイミングについては、特に制限はない。但し、前記混合系が予備反応物を含む場合、予備反応物は常温で長時間溶解状態で存在し難い傾向があるため、予備反応物を得たあとは、速やかに該混合系に基材を浸漬することが好ましい。
【0089】
前記浸漬法においては、通常用いられている装置を使用することができるが、基材を固定する機能を備えたものが好ましい。例えば、基板(基材)ホルダーを設置してなる回分式反応装置を使用することができる。撹拌の有無や、撹拌条件は特に限定されず、適宜選択すればよい。
前記浸漬法において、高温状態にする際には、基材を漬けている状態で混合系全体を昇温するようにしてもよいし、基材を漬けている状態で基材のみを選択的に昇温するようにしてもよいが、基材のみを選択的に昇温する方が、基材表面での反応が選択的に起こりやすく、基材表面に密着性の高い金属硫化物層が形成されやすいため好ましい。
【0090】
前記浸漬法は、不連続層や多孔質構造を有する連続層の金属硫化物層を得る場合に好適である。但し、高温状態にする際の温度や原料の種類によって、金属硫化物層のマクロな構造(連続層か不連続層か、または、緻密性に優れているか多孔質であるか、など)や、結晶構造(結晶子の大きさや形状など)を制御することができる。
生成する金属硫化物を基材の表面に膜として定着させて得る際の基材としては、その材質は、特に限定されるわけではなく、具体的には、例えば、酸化物、窒化物、炭化物などのセラミックス、ガラス等の無機物;PET、PBT、PENなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、PVC樹脂、PVDC樹脂、PVA樹脂、EVOH樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PTFE、PVF、PGF、ETFEなどのフッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等の各種樹脂や、これら各種樹脂にアルミ、アルミナ、シリカなどを蒸着した加工品等の有機物;各種金属類;等が好ましく挙げられる。また、その形態は、具体的には、例えば、フィルム状、シート状、板状、繊維状、積層体状などが挙げられるが、特に限定はされない。また、前記基材は、機能的には、特に限定はされず、具体的には、光学的には透明、不透明;電気的には絶縁体、導電体、p型またはn型の半導体あるいは誘電体;磁気的には磁性体、非磁性体;など目的に応じて選択される。
【0091】
本発明の第1から第3の製造方法において、生成する金属硫化物を基材の表面に膜として定着させて得る場合であって、得られた金属硫化物が有機基を有する場合には、さらに以下のような処理をすることにより、該金属硫化物層が有する有機基を除去するようにしてもよい。すなわち、気相中(空気中などの酸化性雰囲気下、還元性雰囲気下、不活性雰囲気下など)での加熱により有機基を分解する処理、液相中での加熱により有機基を分解する処理、酸性または塩基性の水溶液を用いて化学的方法により分解する処理、有機基がカルボキシル基の場合はアルコール存在下での加熱処理、有機基がアルコキシ基の場合は酢酸存在下での加熱処理、有機鎖の切断に有効な波長300nm以下(特に、波長200nm以下)の紫外線による高エネルギー紫外線照射処理、コロナ放電による処理などである。なお、前記高エネルギー紫外線照射処理を施す場合は、高圧水銀ランプよりも短波長(高エネルギー)の紫外線を多く含む低圧水銀ランプを用いることが好ましい。
【0092】
生成する金属硫化物を基材の表面に膜として定着させて得る場合、金属硫化物層の厚み(基材の表面に対して垂直な方向の厚み)は、特に限定はされないが、通常、1nm〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜10μmである。
本発明の第1から第3の製造方法により得られる金属硫化物(粒子または膜)は、優れた導電機能、光伝導機能、発光機能、磁気機能、光磁気機能などを有するものであり、例えば、各種表示素子のLED膜、蛍光体膜、導電膜、記録・記憶素子の(希薄)磁性半導体膜、強磁性膜などとして好適に用いることができる。
【0093】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
<金属硫化物粒子の製造>
下記実施例で得られた粒子の分散液の分析は、以下のようにして行った。
(粉末試料の作製) 分散液中の粒子を遠心分離操作によって分離した後、アセトンにて洗浄し、その後60℃で24時間真空乾燥して揮発成分を完全に除去して微粒子の粉末を得、これを粉末試料とした。
【0094】
(粒子の結晶構造および同定) 粉末試料の粉末X線回析測定、もしくは試料台に展開させた分散液を試料として電界放射型透過型電子顕微鏡観察および電子線回析測定を行うことにより、粒子の結晶構造を判定した。さらに、試料台に展開させた分散液を試料として電界放射型透過型電子顕微鏡で観察しながら、最高分解能1nmφでスポットを絞り込めるXMAを用いて元素分析を行うことにより、金属種を同定するとともに、硫黄原子/金属原子の比率を定量して組成を決定した。
(平均粒子径) 分散液を試料として電界放射型透過型電子顕微鏡により測定した。但し、電界放射型透過型電子顕微鏡によって測定し難い場合には、次のようにして測定した結晶子径(Dw)もしくは比表面積径(Ds)を平均粒子径とした。すなわち、結晶子径(Dw)は、粉末試料の粉末X線回析測定を行い、Wilson法により求めた。粉末試料の粉末X線回析測定において非晶質であった粒子については、B.E.T.法により比表面積および真比重を測定し、下記式より比表面積径(Ds)を求めた。
【0095】
Ds=6000/(ρ・S)
Ds:比表面積径[nm]、ρ:真比重、S:比表面積[m/g]
(分散液中の粒子濃度) 分散液中の粒子を遠心分離操作によって分離した後、アセトンにて洗浄し、その後60℃で24時間真空乾燥して得られた残分量を粒子量として、分散液中の粒子濃度を算出した。
(金属の含有比) 粒子が2種以上の金属成分を含むと考えられる場合には、粉末試料の蛍光X線分析を行い、各金属の含有量を定量して、各金属の含有比を算出した。
【0096】
(参考例−亜鉛ビス(チオ−s−酢酸)の合成)
後述する実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、酢酸亜鉛無水物10部とチオ−s−酢酸200部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、攪拌しながら昇温し、加圧下、150℃で10時間加熱した。このとき、加熱中に遊離・生成した酢酸は、適宜反応系から留去させた。加熱終了後、得られた反応液をエバポレータで加熱濃縮し、生成した沈殿物を濾過して、チオ−s−酢酸で洗浄した後、真空乾燥することにより、亜鉛ビス(チオ−s−酢酸)を得た。
【0097】
なお、以下の実施例における他の金属チオ−s−カルボン酸塩および金属ジチオカルボン酸塩についても、該参考例と同様の方法で合成した。
(実施例1A−1)
攪拌機、添加口、温度計、留出ガス出口、窒素ガス導入口を備えた、外部より加熱し得る耐圧ガラス製反応器(容量1リットル)、および、添加口にボールバルブを介して直結する添加槽、留出ガス出口に圧力弁(2MPaに設定)を介して直結する水酸化ナトリウム水溶液を充填したトラップ(反応で生成したガスにより反応器内の圧力が2MPaを超えると、ガスは系内から留去されて該トラップに捕集されることになる)を備えた耐圧回分式反応装置を用意した。
【0098】
前記反応器内に、原料I(A1成分)として亜鉛ビス(チオ−s−酢酸)30部と、原料II(A2成分)としてn−ヘキサンチオール328部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて150℃に昇温した。加圧下、150℃±2℃で1時間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液350部を得た。
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が10nmの単結晶からなるZnS粒子であり、分散液中の粒子濃度は3.8重量%であった。
【0099】
(実施例1A−2〜1A−12)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、原料Iと原料IIの種類および量、昇温時の温度を表1に示すように変更し、さらに原料I、IIとともに表1に示す溶媒を反応器に仕込むようにしたこと、および昇温する際の加熱温度を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1A−1と同様にして、分散液を得た。得られた分散液の得量、および該分散液の分析結果を表2に示す。なお、実施例1A−1についても表1、表2に併せて示す。
なお、表1においては、下記の略号を用いた。
PGMAC:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
EGEAC:エチレングリコールエチルエーテルアセテート
MBA:3−メトキシブチルアセテート
DBE:ジベンジルエーテル
MIBK:メチルイソブチルケトン
BA:酢酸ブチル
TOL:トルエン
PGDM:プロピレングリコールジメチルエーテル
【0100】
【表1】
Figure 2004149387
【0101】
【表2】
Figure 2004149387
【0102】
(実施例1A−13)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(B1成分)として銅(II)エトキシド15部と、原料II(B2成分)としてチオ−s−酢酸74部と、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート250部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて180℃に昇温した。加圧下、180℃±2℃で1時間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液329部を得た。
【0103】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が8nmの単結晶からなるCuS粒子であり、分散液中の粒子濃度は2.8重量%であった。
(実施例1A−14)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(B1成分)として銅(I)チオフェノキシド(和光純薬製)20部と、原料II(B2成分)としてヘキサンジチオ酸34部と、溶媒として3−メトキシブチルアセテート300部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて150℃に昇温した。加圧下、150℃±2℃で1時間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液360部を得た。
【0104】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が3nmの単結晶からなるCuS粒子であり、分散液中の粒子濃度は2.6重量%であった。
(実施例1A−15)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(B1成分)として銅(II)ジメチルアミノエトキシド20部と、原料II(B2成分)としてp−[メトキシ(チオカルボニル)]ジチオ安息香酸46部と、溶媒としてエチレングリコールエチルエーテルアセテート250部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて150℃に昇温した。加圧下、150℃±2℃で1時間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液350部を得た。
【0105】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が15nmの単結晶からなるCuS粒子であり、分散液中の粒子濃度は2.5重量%であった。
(実施例1B−1)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属カルボン酸塩)として酢酸パラジウム(II)22部と、原料II(アルコール)としてメタノール500部と、原料III(還元性物質)としてモノエタノールアミン14部と、原料IV(チオール化合物)として1,4−ブタンジチオール24部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて150℃に昇温した。加圧下、150℃±2℃で10分間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液565部を得た。
【0106】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が8nmの単結晶からなるPdS粒子であり、分散液中の粒子濃度は2.4重量%であった。
(実施例1B−2)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、添加槽に、原料I(チオール化合物)として2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン(ジブチルトリアジンジチオール)28部と2−ブトキシエタノール100部とからなる混合溶液を仕込み、添加槽内の気相部を窒素ガスでパージした後、窒素ガスで0.2MPaに加圧しておいた。一方、反応器内に、原料II(金属カルボン酸塩)として酢酸銅(II)18部と、原料III(アルコール)として2−ブトキシエタノール400部と、原料IV(還元性物質)としてモノエタノールアミン15部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて150℃に昇温した。昇温中、反応器内の液がワインレッドに変色した時点で、添加槽内の混合溶液を1分間かけて反応器内に添加した。その後、加圧下、150℃±2℃で10分間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液560部を得た。
【0107】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が5nmの単結晶からなるCuS粒子であり、分散液中の粒子濃度は1.4重量%であった。
(実施例1B−3)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属アルコキシ基含有化合物)として銅(II)メトキシエトキシエトキシド25重量%含有メトキシエトキシエタノール100部と、原料II(カルボキシル基含有化合物)として酢酸12部と、原料III(還元性物質)としてn−ブチルアミン30部と、原料IV(チオール化合物)としてチオフェノール27部と、溶媒としてメタノール450部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて170℃に昇温した。加圧下、170℃±2℃で10分間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液615部を得た。
【0108】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が5nmの単結晶からなるCuS粒子であり、分散液中の粒子濃度は1.0重量%であった。
(実施例1C−1)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属微粒子)としてニッケル(Ni)微粒子6部と、溶媒としてエチレングリコールモノエチルエーテル400部と、原料II(チオール化合物)として2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン30部と、塩基性化合物としてシクロヘキシルアミン19部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて200℃に昇温した。加圧下、200℃±2℃で5時間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液434部を得た。
【0109】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が15nmの単結晶からなるNiS粒子であり、分散液中の粒子濃度は2.0重量%であった。
(実施例1C−2)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属微粒子)として銅(Cu)微粒子6部と、溶媒としてプロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル200部と、原料II(チオール化合物)としてフェニルメタンチオール36部と、塩基性化合物としてジエタノールアミン1部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて200℃に昇温した。加圧下、200℃±2℃で5時間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液240部を得た。
【0110】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が6nmの単結晶からなるCuS粒子であり、分散液中の粒子濃度は3.0重量%であった。
(実施例1C−3)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属微粒子)として銀(Ag)微粒子10部と、溶媒としてジプロピレングリコールモノエチルエーテル300部と、原料II(チオール化合物)としてシクロペンタンチオール48部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて160℃に昇温した。加圧下、160℃±2℃で5時間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、粒子の分散液355部を得た。
【0111】
得られた分散液中の粒子を分析したところ、該粒子は、平均粒子径が12nmの単結晶からなるAgS粒子であり、分散液中の粒子濃度は3.0重量%であった。
<金属硫化物膜の製造>
下記実施例で得られた膜の分析は、以下のようにして行った。
(膜の結晶構造および同定) 電子線回析測定もしくは薄膜X線回析測定により格子定数の値、回析パターンから結晶構造を判定した。さらに、ESCA測定により膜表層およびエッチング処理を行った後の内部層の元素分析を行うことにより、金属種を同定した。なお、ガラス板に付着したままで測定を充分に行うことができない場合は、ガラス板から膜を剥離して、測定を行った。
【0112】
(膜厚) 膜が付着したガラス板をガラスカッターで垂直に切断し、その切断面をSEMにて観察し、SEM像によって膜厚を測定した。
(実施例2A−1)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(A1成分)として亜鉛ビス(チオ−s−酢酸)30部と、原料II(A2成分)としてn−ヘキサンチオール66部と、溶媒としてプロピレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート300部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、15分間かけて100℃に昇温した。加圧下(0.2MPa)、100℃±2℃で10分間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、塗布液を得た。
【0113】
次に、得られた塗布液をガラス板にバーコーターで塗布した後、窒素雰囲気下150℃で20分間加熱して、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はZnS結晶からなる膜であり、膜厚は0.1μmであった。
(実施例2A−2〜2A−9)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、原料I、原料II、溶媒の種類および量、塗布液を得る際の昇温時の温度(加熱温度)、ガラス板上塗布後の加熱温度(製膜温度)を表3に示すように変更したこと以外は、実施例2A−1と同様にして、ガラス板上に付着した膜を得た。得られた膜の分析結果を表3に示す。なお、実施例2A−1についても表3に併せて示す。
【0114】
なお、表3においては、下記の略号を用いた。
PGBAC:プロピレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート
EGEAC:エチレングリコールエチルエーテルアセテート
MBA:3−メトキシブチルアセテート
EGBAC:エチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート
DPGEA:ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート
【0115】
【表3】
Figure 2004149387
【0116】
(実施例2A−10)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(B1成分)として銅(II)エトキシド15部と、原料II(B2成分)としてチオ−s−酢酸74部と、溶媒としてエチレングリコールエチルエーテルアセテート300部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、15分間かけて100℃に昇温した。加圧下(0.1MPa)、100℃±2℃で10分間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、塗布液を得た。
【0117】
次に、得られた塗布液をガラス板にバーコーターで塗布した後、窒素雰囲気下150℃で20分間加熱して、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はCuS結晶からなる膜であり、膜厚は0.2μmであった。
(実施例2A−11)
実施例2A−10における原料I(B1成分)として銅(I)チオフェノキシド(和光純薬製)20部を、原料II(B2成分)としてヘキサンジチオ酸34部を、溶媒として3−メトキシブチルアセテート300部を、用いるように変更したこと以外は、実施例2A−10と同様にして、ガラス板上に付着した膜を得た。
【0118】
得られた膜を分析したところ、該膜はCuS結晶からなる膜であり、膜厚は0.1μmであった。
(実施例2A−12)
実施例2A−10における原料I(B1成分)として銅(II)ジメチルアミノエトキシド20部を、原料II(B2成分)としてp−[メトキシ(チオカルボニル)]ジチオ安息香酸114部を、溶媒としてエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート100部およびジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート100部を、用いるように変更したこと以外は、実施例2A−10と同様にして、ガラス板上に付着した膜を得た。
【0119】
得られた膜を分析したところ、該膜はCuS結晶からなる膜であり、膜厚は0.05μmであった。
(実施例2A−13)
実施例2A−1における原料I(A1成分)として、亜鉛ビス(チオ−s−酢酸)30部およびコバルト(II)ビス(チオ−s−酢酸)0.88部を用いるように変更したこと以外は、実施例2A−1と同様にして、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はZnS結晶からなる膜であり、膜厚は0.1μmであった。また、該膜は、Znに対して3原子%のCo(II)を含有するものであった。
【0120】
(実施例2A−14)
実施例2A−1における原料I(A1成分)として、亜鉛ビス(チオ−s−酢酸)30部およびマンガン(II)ビス(チオ−s−酢酸)0.86部を用いるように変更したこと以外は、実施例2A−1と同様にして、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はZnS結晶からなる膜であり、膜厚は0.1μmであった。また、該膜は、Znに対して3原子%のMn(II)を含有するものであった。
【0121】
(実施例2A−15)
実施例2A−1における原料I(A1成分)として、亜鉛ビス(チオ−s−酢酸)12部およびカドミウム(II)ビス(チオ−s−酢酸)14.6部を用いるように変更したこと以外は、実施例2A−1と同様にして、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はZn0.5Cd0.5S結晶からなる膜であり、膜厚は0.1μmであった。
(実施例2B−1)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属カルボン酸塩)として酢酸パラジウム(II)11部と、原料II(アルコール)としてベンジルアルコール500部と、原料III(還元性物質)としてモノエタノールアミン8部と、原料IV(チオール化合物)として2−アミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン12部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、60分間かけて100℃に昇温した。加圧下(0.1MPa)、100℃±2℃で10分間保持した後、常温(20℃)まで冷却して、塗布液を得た。
【0122】
次に、得られた塗布液をガラス板にバーコーターで塗布した後、窒素雰囲気下150℃で20分間加熱して、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はPdS結晶からなる膜であり、膜厚は0.2μmであった。
(実施例2B−2)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属カルボン酸塩)として酢酸銅(II)18部と、原料II(アルコール)としてメタノール150部およびエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル50部と、原料III(還元性物質)としてモノエタノールアミン20部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、15分間かけて100℃に昇温した。その後、室温(20℃)まで冷却して紺色溶液を得た。該溶液に、原料IV(チオール化合物)として2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン20重量%含有THF溶液150部を添加混合して、塗布液を得た。
【0123】
次に、得られた塗布液にガラス板をディッピングして塗布した後、窒素雰囲気下150℃で20分間加熱して、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はCuS結晶からなる膜であり、膜厚は0.2μmであった。
(実施例2C−1)
実施例1A−1と同様の反応装置を用い、反応器内に、原料I(金属微粒子)として銅(Cu)微粒子6部と、溶媒としてエチレングリコールモノエチルエーテル200部と、原料II(チオール化合物)として2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン27部とを仕込み、反応器内の気相部を窒素ガスでパージした後、密閉状態で攪拌しながら、20℃より、20分間かけて120℃に昇温し2時間保持した後、室温(20℃)まで冷却し、未反応物である銅微粒子を濾過により除去し、得られた溶液に塩基性物質としてモノエタノールアミン3部を添加して、これを塗布液とした。
【0124】
次に、得られた塗布液をガラス板にバーコーターで塗布した後、窒素雰囲気下150℃で20分間加熱して、ガラス板上に付着した膜を得た。
得られた膜を分析したところ、該膜はCuS結晶からなる膜であり、膜厚は0.2μmであった。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、粒子径および粒径分布が制御された金属硫化物微粒子もしくは緻密な金属硫化物薄膜を優れた生産性で得ることができ、しかも各種金属に適用可能な、金属硫化物の製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 金属チオ−s−カルボン酸塩および/または金属ジチオカルボン酸塩とチオール化合物および/またはアルコールとを出発原料とするか、または、金属(チオ)アルコキシ基含有化合物とチオ−s−カルボキシル基含有化合物および/またはジチオカルボキシル基含有化合物とを出発原料として、金属硫化物を生成させる、ことを特徴とする金属硫化物の製造方法。
  2. 還元性物質の存在下で、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として、チオール化合物の存在下で金属硫化物を生成させる、ことを特徴とする金属硫化物の製造方法。
  3. 金属微粒子を出発原料として、チオール化合物の存在下で金属硫化物を生成させる、ことを特徴とする金属硫化物の製造方法。
  4. 金属硫化物を生成させる際に、さらに塩基性物質を存在させる、請求項2または3に記載の金属硫化物の製造方法。
  5. 粒子状でありその平均粒子径が1〜100nmである金属硫化物を得る、請求項1から4までのいずれかに記載の金属硫化物の製造方法。
  6. 生成する金属硫化物を基材の表面に膜として定着させる、請求項1から4までのいずれかに記載の金属硫化物の製造方法。
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