JP2004083665A - プラスチゾルおよび成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜強度と柔軟性のバランスを兼ね備え、製造時の他に使用時にも損傷を生じにくい手袋などの各種成形品を成形しうるプラスチゾルを提供すること。
【解決手段】樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有するプラスチゾルであって、前記樹脂成分が、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含み、前記樹脂成分100重量部に対する各成分の配合比率が、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体:50〜95重量部、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤:5〜50重量部、(C)可塑剤:50〜100重量部、(D)希釈剤:3〜30重量部、(E)離型剤:0.1〜3重量部、であるプラスチゾル。
【選択図】 なし
【解決手段】樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有するプラスチゾルであって、前記樹脂成分が、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含み、前記樹脂成分100重量部に対する各成分の配合比率が、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体:50〜95重量部、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤:5〜50重量部、(C)可塑剤:50〜100重量部、(D)希釈剤:3〜30重量部、(E)離型剤:0.1〜3重量部、であるプラスチゾル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディップ成形の材料組成物用途に適したプラスチゾルと、該プラスチゾルをディップ成形して得られる成形品とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有するプラスチゾルは、優れた加工性と膜物性を活かして広範囲に利用されてきた。特に塩化ビニル系樹脂を用いたプラスチゾルは、塩化ビニル系ゾル(塩ビゾル)として知られ、プラスチゾルと言えば塩ビゾルのことを指すほどに広く普及し、各種産業分野に多量に使用されている。ところが、昨今、塩化ビニル系樹脂を焼却する際に発生する塩化水素ガスが環境に及ぼす悪影響が社会的に問題視されるに至り、塩ビゾルの代替材料に対する要求が高まってきた。
【0003】
そこで、近年では、アクリル系樹脂と可塑剤とを含有するアクリル系プラスチゾル(アクリルゾル)が開発されるようになり、種々の提案がなされている。その一例を挙げると、たとえば、特許第3265394号公報では、樹脂成分としてのアクリル樹脂に、少なくとも安息香酸エステルとフェノールアルキルスル本酸エステルという2種の可塑剤を添加することにより粘度の経時変化を小さくしたプラスチゾルが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアクリルゾルを、ディップ成形により加熱して得られる膜状成形品は、膜強度や柔軟性の点で十分ではなく、工業的に実用化するためには、これらの物性をさらに改良する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、膜強度と柔軟性のバランスを兼ね備え、成形品の製造時のみならず、その使用時にも損傷を生じにくい手袋などの各種成形品を成形しうるプラスチゾル、および該組成物をディップ成形して得られる成形品を提供することである。
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、樹脂成分として、特定のアルキル(メタ)アクリレート系重合体、ブロックイソシアネートおよびイソシアネートと反応する硬化剤を含むものを用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるにいたった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、
樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有するプラスチゾルであって、
前記樹脂成分が、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含み、
前記(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体が、(A1)カルボキシル基含有量が0.2重量%未満で、テトラヒドロフラン不溶解分を10〜90重量%含有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体、または/および、(A2)重量平均分子量が100,000〜4,000,000であり、カルボキシル基含有量が0.2〜5重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体単位含有量が50〜99.8重量%であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体であり、
前記樹脂成分100重量部に対する各成分の配合比率が、
(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体:50〜95重量部、
(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤:5〜50重量部、
(C)可塑剤:50〜100重量部、
(D)希釈剤:3〜30重量部、
(E)離型剤:0.1〜3重量部、
であるプラスチゾルが提供される。
【0008】
好ましくは、前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤、およびクエン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一つを主成分とする。
【0009】
好ましくは、前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤を50重量%以上含有する。
【0010】
好ましくは、前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤が、ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルである。
【0011】
好ましくは、前記(D)希釈剤が、トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルを主成分とする。
【0012】
好ましくは、本発明に係るプラスチゾルは、手袋作製のためのディップ成形用である。
【0013】
本発明に係るプラスチゾルは、成形用材料となる成形用組成物として用いることができる。特に成形用組成物をディップ成形して得られる成形品が提供される。
【0014】
好ましくは、前記成形品は手袋である。
【0015】
【発明の作用および効果】
本発明のプラスチゾルは、樹脂成分として、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の他に、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含む。ブロックイソシアネートは、そのイソシアネート基がブロック剤によりブロック(保護)されているので、プラスチゾルの状態では、上記の硬化剤と反応せず、架橋を形成することはない。一方、プラスチゾルが加熱されると、イソシアネート基をブロックしているブロック剤が熱解離され、イソシアネート基が再生し、硬化剤と反応することにより架橋が形成される。加熱後に架橋が形成されることで、成形品の膜強度が向上する。
【0016】
また、本発明のプラスチゾルは、(C)可塑剤を含み、これにより成形品に柔軟性が付与される。特にこの可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤、およびクエン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一つを主成分とすることが好ましい。
【0017】
このように、本発明のプラスチゾルは、樹脂成分として、特定の(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、加熱後に架橋を形成する(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含み、かつ可塑剤をさらに含むため、該プラスチゾルをディップ成形してなる成形品の膜強度と柔軟性とがバランスされ、成形品の製造時のみならず、その使用時にも損傷(たとえば破れやすい等の不都合)を生じにくい。
【0018】
なお、ディップ成形は、プラスチゾルを入れてあるディップ槽に成形型を浸漬してから引き上げ、型の外面にプラスチゾルを付着させた状態で加熱炉などに入れてゲル化させ、型から脱着(脱型)して成形品を得る成形方法であるが、脱型時の型温度は、50〜70℃程度に予熱されていることが多く、これによって、成形品が母型に密着して脱型性が悪くなることが多い。このような場合に、無理に脱型しようとすると、成形品が損傷する。上記製造時の損傷とは、このタイミングで生じる損傷を意味している。使用時の損傷とは、文字通り、成形品使用時の様々な外的要因(引っ張ったり、擦れたりなど)により生じる損傷を意味している。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
プラスチゾル
本発明に係るプラスチゾルは、樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有する。
【0021】
樹脂成分は、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含む。
【0022】
本発明では、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体として、(A1)カルボキシル基含有量が0.2重量%未満で、テトラヒドロフラン不溶解分を10〜90重量%含有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体、または/および、(A2)重量平均分子量が100,000〜4,000,000であり、カルボキシル基含有量が0.2〜5重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体単位含有量が50〜99.8重量%であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(以下、A2重合体ともいう)を使用する。
【0023】
ここで、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体とは、アルキル(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位を50重量%以上含有する重合体を意味する。アルキル(メタ)アクリレート単量体とは、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(アクリレートまたは/およびメタクリレートの意。)を意味する。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上併せて使用することができる。これらの中でも、単独重合体のガラス転移温度が60℃以上である単量体を用いることが好ましい。このような単量体としては、単独重合体のガラス転移温度が105℃であるメチルメタクリレート、65℃であるエチルメタクリレート、81℃であるイソプロピルメタクリレート、107℃であるt−ブチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0024】
A1重合体
A1重合体に含有されるテトラヒドロフラン(THF)不溶解分とは、該重合体中に存在する架橋重合体分を意味する。
【0025】
本発明で使用するA1重合体のTHF不溶解分の含有量は、10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%である。A1重合体中にTHF不溶解分をこの範囲で含有させることにより、後述する(C)可塑剤による膨潤が起こりにくく、そのため、たとえ30〜40℃の夏季気温下でもプラスチゾル粘度の経時安定性が維持される。THF不溶解分の含有量が多すぎると、本発明のプラスチゾルを用いて成形された成形品から、(C)可塑剤がブリードするおそれがある。なお、A1重合体に含有されるTHF可溶分の分子量には特に限定はなく、通常、200,000〜7,000,000の重量平均分子量のものが使用される。ここでの重量平均分子量は、A1重合体のTHF可溶分0.50gを100mlのTHFに溶解して(不溶解分が2重量%以下であれば除去し、無視して測定する)ミックスゲルカラムを用いて、THFを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレン換算で測定される。
【0026】
A1重合体は、カルボキシル基含有量が0.2重量%未満であり、カルボキシル基含有単量体の重合における使用量は制限される。A1重合体は、たとえば、アルキル(メタ)アクリレート単量体60〜99.5重量%、多官能性単量体0.5〜15重量%、およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜40重量%を共重合することにより、製造することができるが、この場合、共重合可能な単量体中のカルボキシル基含有単量体単位の量は、得られたA1重合体中のカルボキシル基含有量が0.2重量%未満である必要がある。
【0027】
アルキル(メタ)アクリレート単量体としては、上述したものが挙げられる。
【0028】
多官能性単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどの多官能アリル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;エチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。
【0029】
アルキル(メタ)アクリレート単量体および多官能性単量体の両者と共重合可能な単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル化合物;エチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;α−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基又はアルコキシ基含有不飽和カルボン酸エステル化合物;後述するカルボキシル基含有単量体などが挙げられる。
【0030】
A2重合体
本発明で使用するA2重合体の重量平均分子量は、通常、100,000〜4、000,000、好ましくは200,000〜3,000,000である。重量平均分子量が低すぎると均一な成形品が得られないおそれがあり、逆に高すぎると成形品から(C)可塑剤がブリードする可能性がある。ここでの重量平均分子量は、上述したA1重合体のTHF可溶分の重量平均分子量と同様にして測定される。
【0031】
本発明で使用するA2重合体のカルボキシル基の含有量は、0.2〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜3重量%である。A2重合体中にカルボキシル基をこの範囲で含有させることにより、後述する(C)可塑剤により、膨潤が起こりにくい傾向がある。カルボキシル基の含有量が多すぎると、本発明のプラスチゾルを用いて成形された成形品から、(C)可塑剤がブリードするおそれがある。
【0032】
A2重合体にカルボキシル基を含有させる方法は、特に限定されないが、例えば、アルキル(メタ)アクリレート単量体と、共重合体のカルボキシル基含有量が0.2〜5重量%となる量のカルボキシル基含有単量体と、さらに、必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体とを共重合する方法が挙げられる。
【0033】
アルキル(メタ)アクリレート単量体、および共重合可能な他の単量体としては、A1重合体の製造に用いる単量体と同様な単量体を用いることができる。
【0034】
カルボキシル基含有単量体としては、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能のものであれば特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどの不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体などが挙げられる。また、上記不飽和ジカルボン酸の無水物も生成する共重合体にカルボキシル基を付与する単量体として使用することができる。
【0035】
本発明で使用するA2重合体のアルキル(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位の含有量は、50〜99.8重量%、好ましくは55〜95重量%である。上記繰り返し単位の含有量が少なすぎると、A2重合体はアクリル樹脂としての特性を有さなくなるおそれがあり、逆に、多すぎるとプラスチゾル粘度の経時安定性が低下する可能性がある。
【0036】
A1重合体およびA2重合体は、その一次粒径が、重量基準で、通常0.05〜5μm、好ましくは0.3〜3μmである。一次粒径が小さすぎると、プラスチゾルの粘度が高くなり、薄膜での成形が困難となり、大きすぎると、プラスチゾルの貯蔵中に沈降を起こし易くなるおそれがあるとともに、成形品の機械的強度が低下する。一次粒径とは、重合体粉末を水に分散した懸濁液を用いてレーザー回折の散乱式粒子径分布測定装置により累積粒径分布を求め、累積値50重量%となる粒径(メジアン径)を意味する。
【0037】
A1重合体およびA2重合体の重合方法は、特に限定されず、例えば、前記アルキル(メタ)アクリレート単量体を乳化重合法、播種乳化重合法、微細懸濁重合法、播種微細懸濁重合法などを用いて製造することができる。重合温度に特に制限はないが、20〜100℃であることが好ましい。
【0038】
(B1)ブロックイソシアネート
本発明で使用する(B1)ブロックイソシアネートとは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有し、かつそのイソシアネート基がブロック剤によってブロックされている化合物を意味する。
【0039】
ブロックイソシアネート(B1)は、イソシアネート成分として使用されるポリイソシアネートおよび/または分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と、ブロック剤とを、反応させることによって得ることができる。
【0040】
イソシアネート成分としては、ポリウレタンなどの製造に通常使用される、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’ −トルイジンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;およびこれらジイソシアネートのダイマー、トリマー、カルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、オキサジアジントリオン変性体、ウレトジオン変性体など、通常のポリウレタン樹脂の製造に使用されるポリイソシアネートが挙げられる。これらは、単独または2種以上の混合物として用いられる。
【0041】
分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーは、上述したイソシアネート成分に使用されるポリイソシアネートと、一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物とを、反応させることによって得られる。
【0042】
一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物としては、たとえば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレートなどのジオール;グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノール、およびその他の脂肪族トリオールなどのトリオール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ジアミノトルエン、ビス−(4−アミノフェニル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−クロロフェニル)メタンなどのジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’−ジアミノジエチルアミンなどの3官能以上のポリアミン;
前記のジオール、トリオール、ジアミン、3官能以上のポリアミンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加反応によって得られるポリオキシアルキレンポリオール、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール;前記のジオール、トリオールの1種または2種以上と、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸、ヘット酸およびこれらのカルボン酸などからなる酸無水物、すなわち無水シュウ酸、無水コハク酸、無水2−アルキルコハク酸、さらにはこれらのカルボン酸などからなる酸ハライド、すなわちシュウ酸ジクロリド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどとの反応によって得られるポリエステルポリオール;前記のジオール、トリオールを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオール;前記のジオール、トリオールを開始剤として、エチレンカーボネートを開環重合して得られるポリカーボネートポリオール;ひまし油などの天然油ポリオール;ボリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィン系ポリオールおよびこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物は単独または2種以上併用してもよい。
【0043】
イソシアネート成分と、活性水素基含有成分との反応は、何ら制限されることなく、公知のウレタン/ウレア化反応の条件において行なえばよい。好ましくは、活性水素基を有する化合物の活性水素基に対するイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)を、1.1〜4の割合において行なうことが好ましい。当量比が、1.1未満であると、得られたウレタン樹脂の分子量が大きくなり過ぎて、粘度が上昇して業性を低下させる場合がある。また、当量比が、4を越えると、得られたウレタン樹脂の分子量が小さくなり過ぎて、プラスチゾルを加熱処理した時に、良好な物性が得られない場合がある。また、この反応は、窒素雰囲気下において、反応温度、約30〜120℃、好ましくは、約50〜100℃で、数〜数十時間行ない、反応系中のイソシアネート基の残存量が所望の値となった時点で反応を終了する。なお、イソシアネート基の残存量は、反応途中において反応物を経時的にサンプリングして、アミン当量法に従い滴定を行なうことにより求めることができる。また、この反応は、スズ系、鉛系、アミン系などの公知のウレタン化触媒を使用してもよく、また、必要に応じて公知の溶剤、または、プラスチゾルとして配合される後述の可塑剤中で行なってもよい。可塑剤中で反応を行なった場合には、そのままの状態でプラスチゾルの配合に供することができる。
【0044】
ブロック剤としては、例えば、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、活性メチレン、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系、重亜硫酸塩、ピラゾール系化合物等、通常使用される公知のブロック剤が挙げられる。これらブロック剤は、単独または2種以上併用してもよい。
【0045】
ポリイソシアネートおよび/またはイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と、ブロック剤とのブロック化反応は、何ら制限されることなく、公知の条件において行なえばよい。通常−20〜150℃、好ましくは30〜100℃の温度範囲で反応を行えばよい。150℃を越える温度では副反応を起こす可能性があり、他方、−20℃未満では反応速度が小さくなり、反応効率が悪くなる。また、必要に応じて公知の溶剤、または、プラスチゾルとして配合される後述の(C)可塑剤中で行なってもよい。可塑剤中で反応を行なった場合には、そのままの状態でプラスチゾルの配合に供することができる。
【0046】
(B2)イソシアネートと反応する硬化剤
本発明では、プラスチゾルを成形して得られる膜の抗張力と伸びのバランスを図り、かつ膜強度を一層向上させる目的で、上述した(B1)ブロックイソシアネートと反応可能な(B2)イソシアネートと反応する硬化剤を配合する。
【0047】
本発明で使用する(B2)イソシアネートと反応する硬化剤は、(B1)ブロックイソシアネートのブロック剤が熱解離した後に再生するイソシアネート基と反応し得る官能基を持つ化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、上記した一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物や、通常エポキシ樹脂の硬化剤として使用される公知のポリアミン類、変性ポリアミン類などが挙げられる。
【0048】
(B2)硬化剤は、(B1)ブロックイソシアネートのブロック化されているイソシアネート基1当量に対して、(B2)硬化剤の官能基が、通常0.1〜1当量、好ましくは0.5〜1当量の割合になるように配合して使用される。(B2)硬化剤の配合量が0.1当量より少ない場合は、膜強度の向上に効果がなく、他方、1当量を越えて配合されると残存する硬化剤成分が被膜物性を低下させてしまうため好ましくない。
【0049】
本発明では、全樹脂成分100重量部に対して、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体:50〜95重量部(好ましくは75〜95重量部)、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤:5〜50重量部(好ましくは5〜25重量部)となるように、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤を配合する。(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の配合量が多すぎると、その分、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤の配合量が少なくなりすぎて、脱型時に成形品が損傷するおそれがある。一方、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の配合量が少なすぎると、その分、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤の配合量が多くなりすぎて、成形品の膜が硬くなりすぎるおそれがある。
【0050】
(C)可塑剤
本発明で使用する(C)可塑剤としては、たとえば、グリコールエステル、クエン酸エステル、スルホン酸エステル、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、ピロメリット酸エステル、イタコン酸エステル、オレイン酸誘導体、リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、その他の脂肪酸誘導体、リン酸エステル、グリセリン誘導体、エポキシ誘導体、ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。これらの可塑剤は、1種を単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0051】
これらの中でも、グリコールエステル、スルホン酸エステル、およびクエン酸エステルから選ばれる少なくとも一つを主成分とすることが好ましい。特に、全可塑剤のうち、グリコールエステルを、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上含有させる。
【0052】
グリコールエステルとしては、ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルを用いることが好ましい。ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルとしては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエートなどが挙げられる。
【0053】
スルホン酸エステルとしては、フェノールアルキルスルホン酸エステルなどが挙げられる。
【0054】
クエン酸エステルとしては、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート、プロペニルトリブチルシトレートなどが挙げられる。
【0055】
具体的には、ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルの中の、炭素数2または3のアルキレングリコールの2〜5量体と、ベンゼン環に炭素数1〜4のアルキル置換基を有することのある安息香酸とのエステルであるポリアルキレングリコールジベンゾエート;スルホン酸エステルの中の、フェノールアルキルスルホン酸エステルであるメサモールASEP(バイエル社製);およびクエン酸エステルの中の炭素数1〜6の脂肪酸および炭素数1〜12の脂肪族アルコールとクエン酸とのエステルであるアシルトリアルキルシトレート;から選ばれる少なくとも一つを主成分とすることが好ましく、より好ましくはポリアルキレングリコールジベンゾエートを主成分とする。
【0056】
(C)可塑剤の配合量は、上述した樹脂成分100重量部に対して、50〜100重量部、好ましくは60〜80重量部である。(C)可塑剤の配合量が少なすぎると薄膜もののディップ成形が困難になるおそれがあり、逆に多すぎると成形品にブリードを生じる可能性がある。
【0057】
本発明では、(C)可塑剤として、グリコールエステルおよびクエン酸エステルの少なくとも一方とともに、スルホン酸エステルを併用することが好ましい。
【0058】
スルホン酸エステルは、プラスチゾルの粘度を低下させ、かつ、ある程度の降伏値を持たせる作用を有する。このスルホン酸エステルを併用することにより、ディップ成形用途でタレを防止し切るほどではないものの、プラスチゾルが降伏値を持つので、後述する(D)希釈剤の使用量を低減させることができる。また、スルホン酸エステルは、金属製、陶器製などの型からゲル化させた成型品を脱着する際の離型性を良くする利点も有する。
【0059】
スルホン酸エステルは、樹脂成分のうち、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体に対する相溶性が小さく、ブリードを起こしやすい。しかしながら、特定割合で、グリコールエステルおよびクエン酸エステルの少なくとも一方とともに併用することで、このような弊害を防止できる。その結果、流延性が良好で、かつ、降伏値を有するプラスチゾルを現出でき、薄膜成形品のディップ成形が可能となる。
【0060】
スルホン酸エステルの配合量は、(A)成分のアルキル(メタ)アクリレート系重合体100重量部当たり、10〜50重量部、好ましくは20〜45重量部である。スルホン酸エステルの配合量が少なすぎると、薄膜成形品のディップ成形が困難になるおそれがあり、逆に多すぎると成形品にブリードが生じる可能性がある。
【0061】
(D)希釈剤
本発明では、ディップ成型におけるデイップ槽温度でのプラスチゾルの粘度を低くする目的で、(D)希釈剤を配合する。ディップ成型においては、デイップ槽の温度におけるプラスチゾルの粘度は2Pa・s以下の低粘度であることが好ましい。特に厚さ50〜100μmの薄膜もののディップ成形品を得る場合は、0.5Pa・s以下の低粘度が好ましいからである。
【0062】
プラスチゾルの粘度を低減する方法としては、一般的に、粘度低下剤(界面活性剤)の添加、可塑剤の増量、プラスチゾル用重合体(アクリル樹脂)の一部のブレンドレジン(粗粒レジン)との置換、希釈剤(加熱時に揮発する有機溶剤)添加などが挙げられる。粘度低下剤の添加は、成形品への悪影響のない添加剤を選定しさえすれば利用できるので、多くの場合に採用される方法と言える。しかし、粘度低下剤の利用で得られる粘度低減度は最大で50%程度であるので、一層低粘度化する方法を採用する必要がある。
【0063】
可塑剤の増量は前述のように成形品にブリードを起こす等の問題を有しており、ブレンドレジンの使用は数十μmと粗い粒径が薄膜ものでは突起が生じるので不適である。また、塩化ビニル樹脂プラスチゾルで慣用されているグリコールエステル類(例えば、セロソルブ、UCC社製)やミネラルスピリット(パラフィン系炭化水素40〜60重量%、ナフテン系炭化水素20〜40重量%、芳香族系炭化水素約10重量%)、ドデシルベンゼンなどの希釈剤は、プラスチゾルでは経時増粘が大きく、成形品にブリードを起こす傾向がある。
【0064】
本発明で使用する(D)希釈剤としては、トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルが好ましい。トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルは、可塑剤の性質をも有する特異の希釈剤であり、プラスチゾルを180℃以上の温度で加熱すると添加量の約半分以上が揮散するので成形品にブリードが起きにくい。トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルをプラスチゾルに添加すると、経時増粘やブリードを起こさずにゾル粘度を大きく低下させることができる。
【0065】
トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルは、炭素数1〜8のアルキル置換基を有するトリアルキルペンタンジオールと、炭素数1〜8の脂肪酸とのエステルであり、具体例としては、ネオペンチル構造を有する2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアセテート、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。
【0066】
本発明において(D)成分のトリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルをプラスチゾルに配合すると、ゾルの粘度を低減して流延性を顕著に向上させるので均一な薄膜ものが製造できる。また、トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルのプラスチゾルにおける作用として、アルキル(メタ)アクリレート系重合体粒子の可塑剤への分散性を顕著に改善する効果がある。
【0067】
薄もの用途では、重合体粒子の可塑剤への分散が不十分であると、成形品の表面に重合体粒子の凝集体が突起していわゆるブツとなって美観を損ねるので、この分散性改善効果は特に厚さ50μm〜100μmの薄膜もの用途で有効である。トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルは、ゾルの加熱ゲル化の過程で大半が揮発するので不要に成形品を柔軟化するおそれがない。
【0068】
(D)希釈剤の配合量は、樹脂成分100重量部あたり3〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。希釈剤の配合量が多すぎると、加熱成形工程で多量の揮発物が発生したり、成形品にブリードが生じたり、また、成形物の機械的強度が低下する可能性がある。
【0069】
(E)離型剤
本発明で使用する(E)離型剤としては、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル;カプリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等のビスアミド;ラウリン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ナフテン酸カドミウム等の金属せっけん;流動パラフィン、固形パラフィン等のパラフィン;低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィンワックス;ポリシロキサンなどが挙げられる。金属を腐食せず、樹脂の熱安定性を損なわないものが好ましい。
【0070】
(E)離型剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部である。離型剤の配合量が少なすぎると、成形品の脱型が困難になるおそれがあり、多すぎると、成形品にブルーム(粉状離型剤の場合)またはブリード(液状離型剤の場合)が生じるおそれがある。
【0071】
成形用組成物
本発明に係る成形用組成物は、上記プラスチゾルからなる成形用材料である。成形用組成物には、本発明の目的を阻害しない限り、必要に応じて顔料、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、チキソトロープ剤などを添加することができる。
【0072】
チキソトロープ剤を配合することで、より明確な降伏値のある成形用組成物が実現し、ディップ成形でのタレが防止され、厚みムラの少ない平滑な膜が得られる。ただし、本発明では、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤を添加しており、これらがチキソトロープ剤の役割を果たす。このため、通常よりもチキソトロープ剤の配合量を少なくすることができ、またはその配合を省略することもできる。
【0073】
調製方法
本発明のプラスチゾルまたは成形用組成物の調製方法は、特に制限はなく、例えば、擂潰機、ニーダー、プラネタリーミキサー、横型パドルミキサー、バタフライミキサー、ディゾルバー、インテンシブミキサーなどを用いて、プラスチゾルの場合は、(A1)A1重合体または/および(A2)A2重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、また、成形用組成物の場合は、必要に応じてさらに上記の任意成分を加えて、十分に混合することにより、調製することができる。
【0074】
成形品
本発明に係る成形品は、上記本発明に係るプラスチゾルを用いて成形される。このような成形品としては、炊事用手袋、医療用手袋、ディスポ用手袋、オーバーシューズ、電気工具、電気部品、金属製品用又は金属部品用保護膜などが例示される。
【0075】
本発明に係る成形品は、上記本発明に係る成形用組成物を材料とし、たとえばディップ(浸漬)成形法により成形され、ディップ成形された膜状成形品が膜強度と柔軟性のバランスがよく、中でも炊事用手袋、医療用手袋などの手袋が良好に用いられ、これらの手袋を使い捨てのものとすることもできる。
【0076】
ディップ成形は、プラスチゾルが入れてあるディップ槽に型(雄型)を浸漬してから引き上げ、型の外面にプラスチゾルを付着させた状態で加熱炉に入れてゲル化させ、型から脱着して成形品を得る成形方法である。型は、通常、金属または陶器で構成してあることが多く、たとえば50〜70℃程度に予熱したのち、ディップ槽に浸漬される。型を予熱しておくことで、成形品の生産性向上が図られる。
【0077】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。以下において、「部」及び「%」は、特記しない限り、重量基準である。
【0078】
各種の測定及び評価は以下の方法によった。
【0079】
(1)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の特性
(1−1)重量平均分子量
40℃、真空度−755mmHgで3時間の真空乾燥処理を行った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラン100mlに添加し、室温で24時間放置して溶解した後、THFを溶離液としてミックスゲルカラムを用いるGPCにかけ、標準ポリスチレンの保持時間を参照することによって測定する。尚、測定に際し、サンプル中のTHF不溶解分の量が2重量%以下になるようにする。
【0080】
(1−2)THF不溶解分
40℃、真空度−755mmHgで3時間の真空乾燥処理を行った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラン50mlに添加し、室温で24時間溶解した後、8000rpmの遠心分離機に10分間かけ、次いでろ別した後、60℃で24時間乾燥した後に重量を測定する。
【0081】
(1−3)カルボキシル基含有量
重合後のラテックスを用い、水酸化カリウムと塩酸の標準滴定液を用いた伝導度滴定にて酸モノマー成分の含有量を測定する。重合されたカルボキシル基含有モノマーは(イ)粒子層と、(ロ)セラム(液漿)層に存在する。先ず、セラム層に存在するカルボキシル基モル数を伝導度滴定で求め、次いで反応に使用した全酸モノマー量からセラム層存在分を差し引いて粒子層存在分とし、カルボキシル基量の重量%に換算する。
【0082】
(1−4)一次粒径
重合後のラテックスを用い、レーザー回折の散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製LA−300型)を用いて測定した単一粒子径分布のメジアン径を一次粒径とする。
【0083】
(2)プラスチゾルの特性
(2−1)ゾル初期粘度
アクリル樹脂、可塑剤、離型剤(必要によってはチキソトロープ剤)を擂潰機にて室温で5分間混合し、希釈剤を添加して5分混合し、最後にブロックイソシアネートとその硬化剤を添加して5分混合する。続いて真空度−755mmHgの真空撹拌脱泡機にて15分間脱泡処理して粘度測定用のプラスチゾルを調製する。脱泡処理後に密閉容器に採取し、23℃で1時間放置した後、23℃で湿度60%の環境下にて測定した値をゾル初期粘度とする。粘度測定機はBROOKFIELD粘度計のM型を使用し、ローターNo.4を用いて6rpmにて測定する。単位Pa.s。
【0084】
(2−2)粘性
BROOKFIELD粘度計のM型を使用し、同一ローターを用いて60rpmと6rpmでの粘度を連続して測定し、下記式で求めた値(Y)により、次の分類の評価を行う。Y≧2:高チキソトロピー、2>Y>1:チキソトロピー、Y=1:ニュートニアン、V’6 /V’60:ダイラタンシー。
【0085】
【数1】Y(単位:Pa)=12(V’6 −V’60)/10
(ただし、V’6 :6rpmの粘度(Pa・s)、V’60:60rpmの粘度(Pa・s)である。)
【0086】
(2−3)3日経時変化
初期粘度を測定したプラスチゾルを2分してガラス容器に入れて密栓し、各1を23℃および40℃で3日間保存した後、23℃で湿度60%の室内にて初期粘度と同様に粘度測定を行う。3日後の粘度測定値の初期測定値に対する比の値をゾル粘度の3日経時変化の指数とする。23℃の指数はゾルの室温下での貯蔵安定性の指標に、40℃の指数は、夏期の空調不良環境下での貯蔵安定性の指標になる。実用上は、3.0以下が必要で1.5以下が特に望ましい。
【0087】
(2−4)タレ
直径30mm、長さ300mmで一端が15mmの半球面を形成しているステンレス製ロッドを、温度70℃で10分間予熱する。このロッドを、直径20cm、深さ40cmの槽中の温度30℃のプラスチゾルに半球面を下にして50cm/分の速度で先端から25cmの位置まで浸漬する。休止することなく50cm/分の速度で引き上げ、続けて温度180℃のオーブンに入れて反転、倒立させ、半球面を上にした状態で10分間加熱する。加熱時にプラスチゾルのタレ具合を観察して次の基準で評価する。○:全くタレが見られない、△:微小なタレが見られる、×:顕著にタレが見られる。
【0088】
(2−5)膜均一性
上記(2−4)のタレ試験の際のディップ成形で得られた円筒状の皮膜の半球面側の先端から3cmと20cmの位置の膜厚を測定し、次の基準で評価する。
○:膜厚差が5%以下である、△:膜厚差が5%超、10%以下である、×:膜厚差が10%超である。
【0089】
(2−6)ブリード
上記(2−1)と同様に調製したプラスチゾルを厚さ2mmのガラス板上にドクターナイフを用いて1.0mm厚に塗布し、180℃の熱風循環式オーブン中で15分間熱処理してシートを作製する。このシートを23℃、湿度60%の室内に2週間放置した後、シート表面ににじみ出た可塑剤を目視で調べてシートのブリード性を評価する。評価基準は以下の通りである。○:全くブリードが見られない、△:微少なブリードが見られる、×:顕著なブリードが見られる。
【0090】
(2−7)引張強度
上記(2−1)と同様に調製したプラスチゾルを厚さ2mmのガラス板上にドクターナイフを用いて0.2mm厚に塗布し、180℃の熱風循環式オーブン中で10分間熱処理してシートを作製する。同シートを用いて、JIS−K6723に準じた方法で23℃および63℃での引張強度を測定する。単位MPa。引張強度が大きいほど、膜強度に優れる。なお、23℃における引張強度は、成形品の使用時を想定しており、63℃における引張強度は、成形品の製造脱型時を想定している。したがって、23℃における引張強度が大きいほど、使用時の膜強度に優れており、63℃における引張強度が大きいほど、製造時の膜強度に優れている。
【0091】
(2−8)伸び
JIS−K6723に準じた方法で引張強度の測定と同時に破断時の伸張率を測定する。単位%。伸びが大きいほど、被膜の柔軟性に優れる。
【0092】
(3)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の製造
(3−1)アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)
ステンレス製容器に、メチルメタクリレート95部、グリシジルメタクリレート5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部、分散剤として炭素数18の高級アルコール1.5部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド0.3部及び脱イオン水150部を添加し、室温下で30分間撹拌混合した後、ホモミキサーの高剪断下で均質処理し、ステンレス製重合容器に移送して油相の粒子径が0.1〜4μmの乳化液を調整した。続いて撹拌下に重合温度65℃で5時間重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率98%以上を確認してから反応を終了してラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流で噴霧乾燥し、更に窒素シールした粉砕機に通して微粉末(樹脂a)とした。このようにして得られた樹脂aの一次粒径は1.7μmであった。THF不溶解分は53.5%であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0093】
(3−2)アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂b)
単量体成分としてメチルメタクリレート97部とメタクリル酸3部とを用いた他は、アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と同様に重合を行った後、水酸化カリウム水溶液を添加して中和処理したラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流で噴霧乾燥し、更に窒素シールした粉砕機に通して微粉末とした。このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂b)の一次粒径は1.5μmであった。カルボキシル基含有量は1.2%で、メチルメタクリレート単量体単位は97.7%、重量平均分子量は2,200,000、THF不溶解分は1.3%であった。
【0094】
(3−3)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂c)
単量体成分としてメタクリレート単量体としてメチルメタクリレート100部のみを用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と全く同様に重合、乾燥及び粉砕を行い、一次粒径が1.6μmの微粉末(樹脂c)を得た。樹脂cはTHFに完全に溶解し、重量平均分子量は2,800,000であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0095】
(3−4)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂d)
単量体成分としてメチルメタクリレート80部、グリシジルメタクリレート10部及びテトラエチレングリコールジメタクリレート10部を用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った.このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂d)の一次粒径は1.8μmであった。THF不溶解分は99.9%であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0096】
(3−5)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂e)
単量体成分としてメチルメタクリレート99.85部及びメタクリル酸0.15部を用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂b)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った.このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂e)の一次粒径は1.5μmであった。カルボキシル基含有量は0.12%で、THF不溶解分は0.02%であった。なお、メチルメタクリレート単量体単位は99.88%、重量平均分子量は2,500,000であった。
【0097】
(3−6)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂f)
単量体成分としてメチルメタクリレート93部及びメタクリル酸7部を用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂b)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った。このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂f)の一次粒径は1.6μmであった。カルボキシル基含有単量体単位は6.2%で、メチルメタクリレート単量体単位は93.7%、THF不溶解分は79.3%であった。
【0098】
(3−7)アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂g)
単量体成分としてメチルメタクリレート92部とトリメチロールプロパントリメタクリレート8部とを用いた他は、アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った.このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂g)の一次粒径は1.5μmであった。THF不溶解分は91%であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0099】
(4)ブロックイソシアネートの合成
(4−1)ブロックイソシアネート1(可塑剤含有)
攪拌機、コンデンサー、窒素ガス導入管および温度計を備えた4つ口ガラスフラスコに、ノルボルナンジイソシアネート302.1部、1,4−ブタンジオール66.2部、安息香酸エステル系可塑剤(商品名:ベンゾフレックス2088、ベルシコール・ケミカル社製)500部を加えた。窒素雰囲気下70〜80℃にて、撹拌しながら3時間反応を行なった。イソシアネート基含有量が7.07%になったところで、メチルエチルケトオキシム131.7部を添加し、反応温度を70℃〜75℃に維持し、赤外線吸収スペクトルにおいてイソシアネート基の吸収ピーク(2250cm−1)が完全に消失したところで反応終了とし、安息香酸エステル系可塑剤を含有するブロックイソシアネート化合物を得た。
【0100】
(4−2)ブロックイソシアネート2(可塑剤含有)
上記(4−1)の4つ口ガラスフラスコに、イソホロンジイソシアネート164.9部、数平均分子量1000のポリオキシプロピレントリオール268.6部、安息香酸エステル系可塑剤(商品名:ベンゾフレックス2088、ベルシコール・ケミカル社製)500部を加えた。ジブチル錫ジラウレートを0.05部添加し、窒素雰囲気下80〜90℃にて、撹拌しながら3時間反応を行なった。イソシアネート基含有量が3.28%になったところで反応温度を70℃まで冷却し、メチルエチルケトオキシム66.6部を添加し、反応温度を70℃〜75℃に維持し、赤外線吸収スペクトルにおいてイソシアネート基の吸収ピーク(2250cm−1)が完全に消失したところで反応終了とし、安息香酸エステル系可塑剤を含有するブロックイソシアネート化合物を得た。
【0101】
実施例1〜6、比較例1〜6
表1に示す種類と量の成分を配合してプラスチゾルを調製して、ゾル初期粘度、粘性、3日経時変化(23℃及び40℃)、タレ、膜均一性、ブリード、引張強度及び伸びを試験評価した。結果を表1に記す。
【0102】
なお、表1中の可塑剤1はベンゾフレックス2088(ベルシコール・ケミカル社製、ジプロピレングリコール25%、ジエチレングリコールジベンゾエート50%、トリエチレングリコールジベンゾエート25%)である。可塑剤2はメザモールASEP(バイエル社製、フェノールアルキルスルホン酸エステル)である。可塑剤3はモノサイザーW−262(大日本インキ工業株式会社製、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキソエート))である。可塑剤4はアセチルトリブチルシトレート(三建化工社製)である。希釈剤は、CS−16(チッソ社製、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレート)である。離型剤はステアリン酸ブチルである。硬化剤1は分子量400、3官能のポリエーテル変性アミン硬化剤(ハンツマン社製、ジェファーミンT−403)である。硬化剤2はイソフタル酸ジヒドラジドである。
【0103】
【表1】
【0104】
表1に示すように、実施例1〜6のプラスチゾルは、製造時の引張強度が十分であるとともに、使用時の引張強度および伸びも優れているものであることが確認できた。なお、低粘度で、高チクソトロピーであり、しかも3日経時しても23℃および40℃のいずれにおいてもほとんど変化が無く、ディップ加工でタレが起きず、成形品は厚みが均一でブリードが無く、良好な特性あることも確認できた。
【0105】
これに対し、比較例1のごとき、イソシアネートと硬化剤を含まず、THF不溶解分53.5%を持つアルキル(メタ)アクリレート系重合体のみで樹脂成分を構成するようにした場合、製造時(63℃)の引張強度が不十分であった。
【0106】
比較例2〜5のごとき、イソシアネートと硬化剤を含めても、THF不溶解分90重量%超かつカルボキシル基含有が0.2重量%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(c)、樹脂(d))、THF不溶解分10重量%未満かつカルボキシル基含有が0.2重量%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(e))やカルボキシル基含有量が5重量%超であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(f))を樹脂成分に使用した場合、特に40℃での粘度の経時変化が激しく、製品としては使用できなかったり(樹脂(c)を用いた比較例2、樹脂(e)を用いた比較例4)、成形品にブリードを起こし、製品としては使用できなかったり(樹脂(d)を用いた比較例3、樹脂(f)を用いた比較例5)した。
【0107】
比較例6のごとき、イソシアネートと硬化剤を含めても、THF不溶解分90重量%超かつカルボキシル基含有量が0.2重量%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(g))を使用し、可塑剤量が少なく、希釈剤および離型剤を添加しなかった場合には、使用時(23℃)の伸びが不十分であった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディップ成形の材料組成物用途に適したプラスチゾルと、該プラスチゾルをディップ成形して得られる成形品とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有するプラスチゾルは、優れた加工性と膜物性を活かして広範囲に利用されてきた。特に塩化ビニル系樹脂を用いたプラスチゾルは、塩化ビニル系ゾル(塩ビゾル)として知られ、プラスチゾルと言えば塩ビゾルのことを指すほどに広く普及し、各種産業分野に多量に使用されている。ところが、昨今、塩化ビニル系樹脂を焼却する際に発生する塩化水素ガスが環境に及ぼす悪影響が社会的に問題視されるに至り、塩ビゾルの代替材料に対する要求が高まってきた。
【0003】
そこで、近年では、アクリル系樹脂と可塑剤とを含有するアクリル系プラスチゾル(アクリルゾル)が開発されるようになり、種々の提案がなされている。その一例を挙げると、たとえば、特許第3265394号公報では、樹脂成分としてのアクリル樹脂に、少なくとも安息香酸エステルとフェノールアルキルスル本酸エステルという2種の可塑剤を添加することにより粘度の経時変化を小さくしたプラスチゾルが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアクリルゾルを、ディップ成形により加熱して得られる膜状成形品は、膜強度や柔軟性の点で十分ではなく、工業的に実用化するためには、これらの物性をさらに改良する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、膜強度と柔軟性のバランスを兼ね備え、成形品の製造時のみならず、その使用時にも損傷を生じにくい手袋などの各種成形品を成形しうるプラスチゾル、および該組成物をディップ成形して得られる成形品を提供することである。
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、樹脂成分として、特定のアルキル(メタ)アクリレート系重合体、ブロックイソシアネートおよびイソシアネートと反応する硬化剤を含むものを用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるにいたった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、
樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有するプラスチゾルであって、
前記樹脂成分が、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含み、
前記(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体が、(A1)カルボキシル基含有量が0.2重量%未満で、テトラヒドロフラン不溶解分を10〜90重量%含有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体、または/および、(A2)重量平均分子量が100,000〜4,000,000であり、カルボキシル基含有量が0.2〜5重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体単位含有量が50〜99.8重量%であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体であり、
前記樹脂成分100重量部に対する各成分の配合比率が、
(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体:50〜95重量部、
(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤:5〜50重量部、
(C)可塑剤:50〜100重量部、
(D)希釈剤:3〜30重量部、
(E)離型剤:0.1〜3重量部、
であるプラスチゾルが提供される。
【0008】
好ましくは、前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤、およびクエン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一つを主成分とする。
【0009】
好ましくは、前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤を50重量%以上含有する。
【0010】
好ましくは、前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤が、ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルである。
【0011】
好ましくは、前記(D)希釈剤が、トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルを主成分とする。
【0012】
好ましくは、本発明に係るプラスチゾルは、手袋作製のためのディップ成形用である。
【0013】
本発明に係るプラスチゾルは、成形用材料となる成形用組成物として用いることができる。特に成形用組成物をディップ成形して得られる成形品が提供される。
【0014】
好ましくは、前記成形品は手袋である。
【0015】
【発明の作用および効果】
本発明のプラスチゾルは、樹脂成分として、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の他に、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含む。ブロックイソシアネートは、そのイソシアネート基がブロック剤によりブロック(保護)されているので、プラスチゾルの状態では、上記の硬化剤と反応せず、架橋を形成することはない。一方、プラスチゾルが加熱されると、イソシアネート基をブロックしているブロック剤が熱解離され、イソシアネート基が再生し、硬化剤と反応することにより架橋が形成される。加熱後に架橋が形成されることで、成形品の膜強度が向上する。
【0016】
また、本発明のプラスチゾルは、(C)可塑剤を含み、これにより成形品に柔軟性が付与される。特にこの可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤、およびクエン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一つを主成分とすることが好ましい。
【0017】
このように、本発明のプラスチゾルは、樹脂成分として、特定の(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、加熱後に架橋を形成する(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含み、かつ可塑剤をさらに含むため、該プラスチゾルをディップ成形してなる成形品の膜強度と柔軟性とがバランスされ、成形品の製造時のみならず、その使用時にも損傷(たとえば破れやすい等の不都合)を生じにくい。
【0018】
なお、ディップ成形は、プラスチゾルを入れてあるディップ槽に成形型を浸漬してから引き上げ、型の外面にプラスチゾルを付着させた状態で加熱炉などに入れてゲル化させ、型から脱着(脱型)して成形品を得る成形方法であるが、脱型時の型温度は、50〜70℃程度に予熱されていることが多く、これによって、成形品が母型に密着して脱型性が悪くなることが多い。このような場合に、無理に脱型しようとすると、成形品が損傷する。上記製造時の損傷とは、このタイミングで生じる損傷を意味している。使用時の損傷とは、文字通り、成形品使用時の様々な外的要因(引っ張ったり、擦れたりなど)により生じる損傷を意味している。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
プラスチゾル
本発明に係るプラスチゾルは、樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有する。
【0021】
樹脂成分は、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含む。
【0022】
本発明では、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体として、(A1)カルボキシル基含有量が0.2重量%未満で、テトラヒドロフラン不溶解分を10〜90重量%含有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体、または/および、(A2)重量平均分子量が100,000〜4,000,000であり、カルボキシル基含有量が0.2〜5重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体単位含有量が50〜99.8重量%であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(以下、A2重合体ともいう)を使用する。
【0023】
ここで、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体とは、アルキル(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位を50重量%以上含有する重合体を意味する。アルキル(メタ)アクリレート単量体とは、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(アクリレートまたは/およびメタクリレートの意。)を意味する。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上併せて使用することができる。これらの中でも、単独重合体のガラス転移温度が60℃以上である単量体を用いることが好ましい。このような単量体としては、単独重合体のガラス転移温度が105℃であるメチルメタクリレート、65℃であるエチルメタクリレート、81℃であるイソプロピルメタクリレート、107℃であるt−ブチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0024】
A1重合体
A1重合体に含有されるテトラヒドロフラン(THF)不溶解分とは、該重合体中に存在する架橋重合体分を意味する。
【0025】
本発明で使用するA1重合体のTHF不溶解分の含有量は、10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%である。A1重合体中にTHF不溶解分をこの範囲で含有させることにより、後述する(C)可塑剤による膨潤が起こりにくく、そのため、たとえ30〜40℃の夏季気温下でもプラスチゾル粘度の経時安定性が維持される。THF不溶解分の含有量が多すぎると、本発明のプラスチゾルを用いて成形された成形品から、(C)可塑剤がブリードするおそれがある。なお、A1重合体に含有されるTHF可溶分の分子量には特に限定はなく、通常、200,000〜7,000,000の重量平均分子量のものが使用される。ここでの重量平均分子量は、A1重合体のTHF可溶分0.50gを100mlのTHFに溶解して(不溶解分が2重量%以下であれば除去し、無視して測定する)ミックスゲルカラムを用いて、THFを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレン換算で測定される。
【0026】
A1重合体は、カルボキシル基含有量が0.2重量%未満であり、カルボキシル基含有単量体の重合における使用量は制限される。A1重合体は、たとえば、アルキル(メタ)アクリレート単量体60〜99.5重量%、多官能性単量体0.5〜15重量%、およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜40重量%を共重合することにより、製造することができるが、この場合、共重合可能な単量体中のカルボキシル基含有単量体単位の量は、得られたA1重合体中のカルボキシル基含有量が0.2重量%未満である必要がある。
【0027】
アルキル(メタ)アクリレート単量体としては、上述したものが挙げられる。
【0028】
多官能性単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどの多官能アリル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;エチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。
【0029】
アルキル(メタ)アクリレート単量体および多官能性単量体の両者と共重合可能な単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル化合物;エチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;α−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基又はアルコキシ基含有不飽和カルボン酸エステル化合物;後述するカルボキシル基含有単量体などが挙げられる。
【0030】
A2重合体
本発明で使用するA2重合体の重量平均分子量は、通常、100,000〜4、000,000、好ましくは200,000〜3,000,000である。重量平均分子量が低すぎると均一な成形品が得られないおそれがあり、逆に高すぎると成形品から(C)可塑剤がブリードする可能性がある。ここでの重量平均分子量は、上述したA1重合体のTHF可溶分の重量平均分子量と同様にして測定される。
【0031】
本発明で使用するA2重合体のカルボキシル基の含有量は、0.2〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜3重量%である。A2重合体中にカルボキシル基をこの範囲で含有させることにより、後述する(C)可塑剤により、膨潤が起こりにくい傾向がある。カルボキシル基の含有量が多すぎると、本発明のプラスチゾルを用いて成形された成形品から、(C)可塑剤がブリードするおそれがある。
【0032】
A2重合体にカルボキシル基を含有させる方法は、特に限定されないが、例えば、アルキル(メタ)アクリレート単量体と、共重合体のカルボキシル基含有量が0.2〜5重量%となる量のカルボキシル基含有単量体と、さらに、必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体とを共重合する方法が挙げられる。
【0033】
アルキル(メタ)アクリレート単量体、および共重合可能な他の単量体としては、A1重合体の製造に用いる単量体と同様な単量体を用いることができる。
【0034】
カルボキシル基含有単量体としては、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能のものであれば特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどの不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体などが挙げられる。また、上記不飽和ジカルボン酸の無水物も生成する共重合体にカルボキシル基を付与する単量体として使用することができる。
【0035】
本発明で使用するA2重合体のアルキル(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位の含有量は、50〜99.8重量%、好ましくは55〜95重量%である。上記繰り返し単位の含有量が少なすぎると、A2重合体はアクリル樹脂としての特性を有さなくなるおそれがあり、逆に、多すぎるとプラスチゾル粘度の経時安定性が低下する可能性がある。
【0036】
A1重合体およびA2重合体は、その一次粒径が、重量基準で、通常0.05〜5μm、好ましくは0.3〜3μmである。一次粒径が小さすぎると、プラスチゾルの粘度が高くなり、薄膜での成形が困難となり、大きすぎると、プラスチゾルの貯蔵中に沈降を起こし易くなるおそれがあるとともに、成形品の機械的強度が低下する。一次粒径とは、重合体粉末を水に分散した懸濁液を用いてレーザー回折の散乱式粒子径分布測定装置により累積粒径分布を求め、累積値50重量%となる粒径(メジアン径)を意味する。
【0037】
A1重合体およびA2重合体の重合方法は、特に限定されず、例えば、前記アルキル(メタ)アクリレート単量体を乳化重合法、播種乳化重合法、微細懸濁重合法、播種微細懸濁重合法などを用いて製造することができる。重合温度に特に制限はないが、20〜100℃であることが好ましい。
【0038】
(B1)ブロックイソシアネート
本発明で使用する(B1)ブロックイソシアネートとは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有し、かつそのイソシアネート基がブロック剤によってブロックされている化合物を意味する。
【0039】
ブロックイソシアネート(B1)は、イソシアネート成分として使用されるポリイソシアネートおよび/または分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と、ブロック剤とを、反応させることによって得ることができる。
【0040】
イソシアネート成分としては、ポリウレタンなどの製造に通常使用される、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’ −トルイジンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;およびこれらジイソシアネートのダイマー、トリマー、カルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、オキサジアジントリオン変性体、ウレトジオン変性体など、通常のポリウレタン樹脂の製造に使用されるポリイソシアネートが挙げられる。これらは、単独または2種以上の混合物として用いられる。
【0041】
分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーは、上述したイソシアネート成分に使用されるポリイソシアネートと、一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物とを、反応させることによって得られる。
【0042】
一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物としては、たとえば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレートなどのジオール;グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノール、およびその他の脂肪族トリオールなどのトリオール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ジアミノトルエン、ビス−(4−アミノフェニル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−クロロフェニル)メタンなどのジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’−ジアミノジエチルアミンなどの3官能以上のポリアミン;
前記のジオール、トリオール、ジアミン、3官能以上のポリアミンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加反応によって得られるポリオキシアルキレンポリオール、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール;前記のジオール、トリオールの1種または2種以上と、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸、ヘット酸およびこれらのカルボン酸などからなる酸無水物、すなわち無水シュウ酸、無水コハク酸、無水2−アルキルコハク酸、さらにはこれらのカルボン酸などからなる酸ハライド、すなわちシュウ酸ジクロリド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどとの反応によって得られるポリエステルポリオール;前記のジオール、トリオールを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオール;前記のジオール、トリオールを開始剤として、エチレンカーボネートを開環重合して得られるポリカーボネートポリオール;ひまし油などの天然油ポリオール;ボリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィン系ポリオールおよびこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物は単独または2種以上併用してもよい。
【0043】
イソシアネート成分と、活性水素基含有成分との反応は、何ら制限されることなく、公知のウレタン/ウレア化反応の条件において行なえばよい。好ましくは、活性水素基を有する化合物の活性水素基に対するイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)を、1.1〜4の割合において行なうことが好ましい。当量比が、1.1未満であると、得られたウレタン樹脂の分子量が大きくなり過ぎて、粘度が上昇して業性を低下させる場合がある。また、当量比が、4を越えると、得られたウレタン樹脂の分子量が小さくなり過ぎて、プラスチゾルを加熱処理した時に、良好な物性が得られない場合がある。また、この反応は、窒素雰囲気下において、反応温度、約30〜120℃、好ましくは、約50〜100℃で、数〜数十時間行ない、反応系中のイソシアネート基の残存量が所望の値となった時点で反応を終了する。なお、イソシアネート基の残存量は、反応途中において反応物を経時的にサンプリングして、アミン当量法に従い滴定を行なうことにより求めることができる。また、この反応は、スズ系、鉛系、アミン系などの公知のウレタン化触媒を使用してもよく、また、必要に応じて公知の溶剤、または、プラスチゾルとして配合される後述の可塑剤中で行なってもよい。可塑剤中で反応を行なった場合には、そのままの状態でプラスチゾルの配合に供することができる。
【0044】
ブロック剤としては、例えば、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、活性メチレン、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系、重亜硫酸塩、ピラゾール系化合物等、通常使用される公知のブロック剤が挙げられる。これらブロック剤は、単独または2種以上併用してもよい。
【0045】
ポリイソシアネートおよび/またはイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と、ブロック剤とのブロック化反応は、何ら制限されることなく、公知の条件において行なえばよい。通常−20〜150℃、好ましくは30〜100℃の温度範囲で反応を行えばよい。150℃を越える温度では副反応を起こす可能性があり、他方、−20℃未満では反応速度が小さくなり、反応効率が悪くなる。また、必要に応じて公知の溶剤、または、プラスチゾルとして配合される後述の(C)可塑剤中で行なってもよい。可塑剤中で反応を行なった場合には、そのままの状態でプラスチゾルの配合に供することができる。
【0046】
(B2)イソシアネートと反応する硬化剤
本発明では、プラスチゾルを成形して得られる膜の抗張力と伸びのバランスを図り、かつ膜強度を一層向上させる目的で、上述した(B1)ブロックイソシアネートと反応可能な(B2)イソシアネートと反応する硬化剤を配合する。
【0047】
本発明で使用する(B2)イソシアネートと反応する硬化剤は、(B1)ブロックイソシアネートのブロック剤が熱解離した後に再生するイソシアネート基と反応し得る官能基を持つ化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、上記した一分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物や、通常エポキシ樹脂の硬化剤として使用される公知のポリアミン類、変性ポリアミン類などが挙げられる。
【0048】
(B2)硬化剤は、(B1)ブロックイソシアネートのブロック化されているイソシアネート基1当量に対して、(B2)硬化剤の官能基が、通常0.1〜1当量、好ましくは0.5〜1当量の割合になるように配合して使用される。(B2)硬化剤の配合量が0.1当量より少ない場合は、膜強度の向上に効果がなく、他方、1当量を越えて配合されると残存する硬化剤成分が被膜物性を低下させてしまうため好ましくない。
【0049】
本発明では、全樹脂成分100重量部に対して、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体:50〜95重量部(好ましくは75〜95重量部)、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤:5〜50重量部(好ましくは5〜25重量部)となるように、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤を配合する。(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の配合量が多すぎると、その分、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤の配合量が少なくなりすぎて、脱型時に成形品が損傷するおそれがある。一方、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の配合量が少なすぎると、その分、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤の配合量が多くなりすぎて、成形品の膜が硬くなりすぎるおそれがある。
【0050】
(C)可塑剤
本発明で使用する(C)可塑剤としては、たとえば、グリコールエステル、クエン酸エステル、スルホン酸エステル、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、ピロメリット酸エステル、イタコン酸エステル、オレイン酸誘導体、リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、その他の脂肪酸誘導体、リン酸エステル、グリセリン誘導体、エポキシ誘導体、ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。これらの可塑剤は、1種を単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0051】
これらの中でも、グリコールエステル、スルホン酸エステル、およびクエン酸エステルから選ばれる少なくとも一つを主成分とすることが好ましい。特に、全可塑剤のうち、グリコールエステルを、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上含有させる。
【0052】
グリコールエステルとしては、ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルを用いることが好ましい。ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルとしては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエートなどが挙げられる。
【0053】
スルホン酸エステルとしては、フェノールアルキルスルホン酸エステルなどが挙げられる。
【0054】
クエン酸エステルとしては、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート、プロペニルトリブチルシトレートなどが挙げられる。
【0055】
具体的には、ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルの中の、炭素数2または3のアルキレングリコールの2〜5量体と、ベンゼン環に炭素数1〜4のアルキル置換基を有することのある安息香酸とのエステルであるポリアルキレングリコールジベンゾエート;スルホン酸エステルの中の、フェノールアルキルスルホン酸エステルであるメサモールASEP(バイエル社製);およびクエン酸エステルの中の炭素数1〜6の脂肪酸および炭素数1〜12の脂肪族アルコールとクエン酸とのエステルであるアシルトリアルキルシトレート;から選ばれる少なくとも一つを主成分とすることが好ましく、より好ましくはポリアルキレングリコールジベンゾエートを主成分とする。
【0056】
(C)可塑剤の配合量は、上述した樹脂成分100重量部に対して、50〜100重量部、好ましくは60〜80重量部である。(C)可塑剤の配合量が少なすぎると薄膜もののディップ成形が困難になるおそれがあり、逆に多すぎると成形品にブリードを生じる可能性がある。
【0057】
本発明では、(C)可塑剤として、グリコールエステルおよびクエン酸エステルの少なくとも一方とともに、スルホン酸エステルを併用することが好ましい。
【0058】
スルホン酸エステルは、プラスチゾルの粘度を低下させ、かつ、ある程度の降伏値を持たせる作用を有する。このスルホン酸エステルを併用することにより、ディップ成形用途でタレを防止し切るほどではないものの、プラスチゾルが降伏値を持つので、後述する(D)希釈剤の使用量を低減させることができる。また、スルホン酸エステルは、金属製、陶器製などの型からゲル化させた成型品を脱着する際の離型性を良くする利点も有する。
【0059】
スルホン酸エステルは、樹脂成分のうち、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体に対する相溶性が小さく、ブリードを起こしやすい。しかしながら、特定割合で、グリコールエステルおよびクエン酸エステルの少なくとも一方とともに併用することで、このような弊害を防止できる。その結果、流延性が良好で、かつ、降伏値を有するプラスチゾルを現出でき、薄膜成形品のディップ成形が可能となる。
【0060】
スルホン酸エステルの配合量は、(A)成分のアルキル(メタ)アクリレート系重合体100重量部当たり、10〜50重量部、好ましくは20〜45重量部である。スルホン酸エステルの配合量が少なすぎると、薄膜成形品のディップ成形が困難になるおそれがあり、逆に多すぎると成形品にブリードが生じる可能性がある。
【0061】
(D)希釈剤
本発明では、ディップ成型におけるデイップ槽温度でのプラスチゾルの粘度を低くする目的で、(D)希釈剤を配合する。ディップ成型においては、デイップ槽の温度におけるプラスチゾルの粘度は2Pa・s以下の低粘度であることが好ましい。特に厚さ50〜100μmの薄膜もののディップ成形品を得る場合は、0.5Pa・s以下の低粘度が好ましいからである。
【0062】
プラスチゾルの粘度を低減する方法としては、一般的に、粘度低下剤(界面活性剤)の添加、可塑剤の増量、プラスチゾル用重合体(アクリル樹脂)の一部のブレンドレジン(粗粒レジン)との置換、希釈剤(加熱時に揮発する有機溶剤)添加などが挙げられる。粘度低下剤の添加は、成形品への悪影響のない添加剤を選定しさえすれば利用できるので、多くの場合に採用される方法と言える。しかし、粘度低下剤の利用で得られる粘度低減度は最大で50%程度であるので、一層低粘度化する方法を採用する必要がある。
【0063】
可塑剤の増量は前述のように成形品にブリードを起こす等の問題を有しており、ブレンドレジンの使用は数十μmと粗い粒径が薄膜ものでは突起が生じるので不適である。また、塩化ビニル樹脂プラスチゾルで慣用されているグリコールエステル類(例えば、セロソルブ、UCC社製)やミネラルスピリット(パラフィン系炭化水素40〜60重量%、ナフテン系炭化水素20〜40重量%、芳香族系炭化水素約10重量%)、ドデシルベンゼンなどの希釈剤は、プラスチゾルでは経時増粘が大きく、成形品にブリードを起こす傾向がある。
【0064】
本発明で使用する(D)希釈剤としては、トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルが好ましい。トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルは、可塑剤の性質をも有する特異の希釈剤であり、プラスチゾルを180℃以上の温度で加熱すると添加量の約半分以上が揮散するので成形品にブリードが起きにくい。トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルをプラスチゾルに添加すると、経時増粘やブリードを起こさずにゾル粘度を大きく低下させることができる。
【0065】
トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルは、炭素数1〜8のアルキル置換基を有するトリアルキルペンタンジオールと、炭素数1〜8の脂肪酸とのエステルであり、具体例としては、ネオペンチル構造を有する2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアセテート、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。
【0066】
本発明において(D)成分のトリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルをプラスチゾルに配合すると、ゾルの粘度を低減して流延性を顕著に向上させるので均一な薄膜ものが製造できる。また、トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルのプラスチゾルにおける作用として、アルキル(メタ)アクリレート系重合体粒子の可塑剤への分散性を顕著に改善する効果がある。
【0067】
薄もの用途では、重合体粒子の可塑剤への分散が不十分であると、成形品の表面に重合体粒子の凝集体が突起していわゆるブツとなって美観を損ねるので、この分散性改善効果は特に厚さ50μm〜100μmの薄膜もの用途で有効である。トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルは、ゾルの加熱ゲル化の過程で大半が揮発するので不要に成形品を柔軟化するおそれがない。
【0068】
(D)希釈剤の配合量は、樹脂成分100重量部あたり3〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。希釈剤の配合量が多すぎると、加熱成形工程で多量の揮発物が発生したり、成形品にブリードが生じたり、また、成形物の機械的強度が低下する可能性がある。
【0069】
(E)離型剤
本発明で使用する(E)離型剤としては、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル;カプリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等のビスアミド;ラウリン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ナフテン酸カドミウム等の金属せっけん;流動パラフィン、固形パラフィン等のパラフィン;低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィンワックス;ポリシロキサンなどが挙げられる。金属を腐食せず、樹脂の熱安定性を損なわないものが好ましい。
【0070】
(E)離型剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部である。離型剤の配合量が少なすぎると、成形品の脱型が困難になるおそれがあり、多すぎると、成形品にブルーム(粉状離型剤の場合)またはブリード(液状離型剤の場合)が生じるおそれがある。
【0071】
成形用組成物
本発明に係る成形用組成物は、上記プラスチゾルからなる成形用材料である。成形用組成物には、本発明の目的を阻害しない限り、必要に応じて顔料、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、チキソトロープ剤などを添加することができる。
【0072】
チキソトロープ剤を配合することで、より明確な降伏値のある成形用組成物が実現し、ディップ成形でのタレが防止され、厚みムラの少ない平滑な膜が得られる。ただし、本発明では、(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤を添加しており、これらがチキソトロープ剤の役割を果たす。このため、通常よりもチキソトロープ剤の配合量を少なくすることができ、またはその配合を省略することもできる。
【0073】
調製方法
本発明のプラスチゾルまたは成形用組成物の調製方法は、特に制限はなく、例えば、擂潰機、ニーダー、プラネタリーミキサー、横型パドルミキサー、バタフライミキサー、ディゾルバー、インテンシブミキサーなどを用いて、プラスチゾルの場合は、(A1)A1重合体または/および(A2)A2重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、また、成形用組成物の場合は、必要に応じてさらに上記の任意成分を加えて、十分に混合することにより、調製することができる。
【0074】
成形品
本発明に係る成形品は、上記本発明に係るプラスチゾルを用いて成形される。このような成形品としては、炊事用手袋、医療用手袋、ディスポ用手袋、オーバーシューズ、電気工具、電気部品、金属製品用又は金属部品用保護膜などが例示される。
【0075】
本発明に係る成形品は、上記本発明に係る成形用組成物を材料とし、たとえばディップ(浸漬)成形法により成形され、ディップ成形された膜状成形品が膜強度と柔軟性のバランスがよく、中でも炊事用手袋、医療用手袋などの手袋が良好に用いられ、これらの手袋を使い捨てのものとすることもできる。
【0076】
ディップ成形は、プラスチゾルが入れてあるディップ槽に型(雄型)を浸漬してから引き上げ、型の外面にプラスチゾルを付着させた状態で加熱炉に入れてゲル化させ、型から脱着して成形品を得る成形方法である。型は、通常、金属または陶器で構成してあることが多く、たとえば50〜70℃程度に予熱したのち、ディップ槽に浸漬される。型を予熱しておくことで、成形品の生産性向上が図られる。
【0077】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。以下において、「部」及び「%」は、特記しない限り、重量基準である。
【0078】
各種の測定及び評価は以下の方法によった。
【0079】
(1)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の特性
(1−1)重量平均分子量
40℃、真空度−755mmHgで3時間の真空乾燥処理を行った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラン100mlに添加し、室温で24時間放置して溶解した後、THFを溶離液としてミックスゲルカラムを用いるGPCにかけ、標準ポリスチレンの保持時間を参照することによって測定する。尚、測定に際し、サンプル中のTHF不溶解分の量が2重量%以下になるようにする。
【0080】
(1−2)THF不溶解分
40℃、真空度−755mmHgで3時間の真空乾燥処理を行った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラン50mlに添加し、室温で24時間溶解した後、8000rpmの遠心分離機に10分間かけ、次いでろ別した後、60℃で24時間乾燥した後に重量を測定する。
【0081】
(1−3)カルボキシル基含有量
重合後のラテックスを用い、水酸化カリウムと塩酸の標準滴定液を用いた伝導度滴定にて酸モノマー成分の含有量を測定する。重合されたカルボキシル基含有モノマーは(イ)粒子層と、(ロ)セラム(液漿)層に存在する。先ず、セラム層に存在するカルボキシル基モル数を伝導度滴定で求め、次いで反応に使用した全酸モノマー量からセラム層存在分を差し引いて粒子層存在分とし、カルボキシル基量の重量%に換算する。
【0082】
(1−4)一次粒径
重合後のラテックスを用い、レーザー回折の散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製LA−300型)を用いて測定した単一粒子径分布のメジアン径を一次粒径とする。
【0083】
(2)プラスチゾルの特性
(2−1)ゾル初期粘度
アクリル樹脂、可塑剤、離型剤(必要によってはチキソトロープ剤)を擂潰機にて室温で5分間混合し、希釈剤を添加して5分混合し、最後にブロックイソシアネートとその硬化剤を添加して5分混合する。続いて真空度−755mmHgの真空撹拌脱泡機にて15分間脱泡処理して粘度測定用のプラスチゾルを調製する。脱泡処理後に密閉容器に採取し、23℃で1時間放置した後、23℃で湿度60%の環境下にて測定した値をゾル初期粘度とする。粘度測定機はBROOKFIELD粘度計のM型を使用し、ローターNo.4を用いて6rpmにて測定する。単位Pa.s。
【0084】
(2−2)粘性
BROOKFIELD粘度計のM型を使用し、同一ローターを用いて60rpmと6rpmでの粘度を連続して測定し、下記式で求めた値(Y)により、次の分類の評価を行う。Y≧2:高チキソトロピー、2>Y>1:チキソトロピー、Y=1:ニュートニアン、V’6 /V’60:ダイラタンシー。
【0085】
【数1】Y(単位:Pa)=12(V’6 −V’60)/10
(ただし、V’6 :6rpmの粘度(Pa・s)、V’60:60rpmの粘度(Pa・s)である。)
【0086】
(2−3)3日経時変化
初期粘度を測定したプラスチゾルを2分してガラス容器に入れて密栓し、各1を23℃および40℃で3日間保存した後、23℃で湿度60%の室内にて初期粘度と同様に粘度測定を行う。3日後の粘度測定値の初期測定値に対する比の値をゾル粘度の3日経時変化の指数とする。23℃の指数はゾルの室温下での貯蔵安定性の指標に、40℃の指数は、夏期の空調不良環境下での貯蔵安定性の指標になる。実用上は、3.0以下が必要で1.5以下が特に望ましい。
【0087】
(2−4)タレ
直径30mm、長さ300mmで一端が15mmの半球面を形成しているステンレス製ロッドを、温度70℃で10分間予熱する。このロッドを、直径20cm、深さ40cmの槽中の温度30℃のプラスチゾルに半球面を下にして50cm/分の速度で先端から25cmの位置まで浸漬する。休止することなく50cm/分の速度で引き上げ、続けて温度180℃のオーブンに入れて反転、倒立させ、半球面を上にした状態で10分間加熱する。加熱時にプラスチゾルのタレ具合を観察して次の基準で評価する。○:全くタレが見られない、△:微小なタレが見られる、×:顕著にタレが見られる。
【0088】
(2−5)膜均一性
上記(2−4)のタレ試験の際のディップ成形で得られた円筒状の皮膜の半球面側の先端から3cmと20cmの位置の膜厚を測定し、次の基準で評価する。
○:膜厚差が5%以下である、△:膜厚差が5%超、10%以下である、×:膜厚差が10%超である。
【0089】
(2−6)ブリード
上記(2−1)と同様に調製したプラスチゾルを厚さ2mmのガラス板上にドクターナイフを用いて1.0mm厚に塗布し、180℃の熱風循環式オーブン中で15分間熱処理してシートを作製する。このシートを23℃、湿度60%の室内に2週間放置した後、シート表面ににじみ出た可塑剤を目視で調べてシートのブリード性を評価する。評価基準は以下の通りである。○:全くブリードが見られない、△:微少なブリードが見られる、×:顕著なブリードが見られる。
【0090】
(2−7)引張強度
上記(2−1)と同様に調製したプラスチゾルを厚さ2mmのガラス板上にドクターナイフを用いて0.2mm厚に塗布し、180℃の熱風循環式オーブン中で10分間熱処理してシートを作製する。同シートを用いて、JIS−K6723に準じた方法で23℃および63℃での引張強度を測定する。単位MPa。引張強度が大きいほど、膜強度に優れる。なお、23℃における引張強度は、成形品の使用時を想定しており、63℃における引張強度は、成形品の製造脱型時を想定している。したがって、23℃における引張強度が大きいほど、使用時の膜強度に優れており、63℃における引張強度が大きいほど、製造時の膜強度に優れている。
【0091】
(2−8)伸び
JIS−K6723に準じた方法で引張強度の測定と同時に破断時の伸張率を測定する。単位%。伸びが大きいほど、被膜の柔軟性に優れる。
【0092】
(3)アルキル(メタ)アクリレート系重合体の製造
(3−1)アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)
ステンレス製容器に、メチルメタクリレート95部、グリシジルメタクリレート5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部、分散剤として炭素数18の高級アルコール1.5部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド0.3部及び脱イオン水150部を添加し、室温下で30分間撹拌混合した後、ホモミキサーの高剪断下で均質処理し、ステンレス製重合容器に移送して油相の粒子径が0.1〜4μmの乳化液を調整した。続いて撹拌下に重合温度65℃で5時間重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率98%以上を確認してから反応を終了してラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流で噴霧乾燥し、更に窒素シールした粉砕機に通して微粉末(樹脂a)とした。このようにして得られた樹脂aの一次粒径は1.7μmであった。THF不溶解分は53.5%であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0093】
(3−2)アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂b)
単量体成分としてメチルメタクリレート97部とメタクリル酸3部とを用いた他は、アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と同様に重合を行った後、水酸化カリウム水溶液を添加して中和処理したラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流で噴霧乾燥し、更に窒素シールした粉砕機に通して微粉末とした。このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂b)の一次粒径は1.5μmであった。カルボキシル基含有量は1.2%で、メチルメタクリレート単量体単位は97.7%、重量平均分子量は2,200,000、THF不溶解分は1.3%であった。
【0094】
(3−3)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂c)
単量体成分としてメタクリレート単量体としてメチルメタクリレート100部のみを用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と全く同様に重合、乾燥及び粉砕を行い、一次粒径が1.6μmの微粉末(樹脂c)を得た。樹脂cはTHFに完全に溶解し、重量平均分子量は2,800,000であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0095】
(3−4)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂d)
単量体成分としてメチルメタクリレート80部、グリシジルメタクリレート10部及びテトラエチレングリコールジメタクリレート10部を用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った.このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂d)の一次粒径は1.8μmであった。THF不溶解分は99.9%であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0096】
(3−5)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂e)
単量体成分としてメチルメタクリレート99.85部及びメタクリル酸0.15部を用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂b)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った.このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂e)の一次粒径は1.5μmであった。カルボキシル基含有量は0.12%で、THF不溶解分は0.02%であった。なお、メチルメタクリレート単量体単位は99.88%、重量平均分子量は2,500,000であった。
【0097】
(3−6)アルキルメタクリレート系重合体(樹脂f)
単量体成分としてメチルメタクリレート93部及びメタクリル酸7部を用いた他はアルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂b)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った。このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂f)の一次粒径は1.6μmであった。カルボキシル基含有単量体単位は6.2%で、メチルメタクリレート単量体単位は93.7%、THF不溶解分は79.3%であった。
【0098】
(3−7)アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂g)
単量体成分としてメチルメタクリレート92部とトリメチロールプロパントリメタクリレート8部とを用いた他は、アルキル(メタ)アクリレート系重合体(樹脂a)製造例と同様に重合、乾燥及び粉砕を行った.このようにして得られた重合体樹脂粒子(樹脂g)の一次粒径は1.5μmであった。THF不溶解分は91%であった。また、カルボキシル基を有さなかった。
【0099】
(4)ブロックイソシアネートの合成
(4−1)ブロックイソシアネート1(可塑剤含有)
攪拌機、コンデンサー、窒素ガス導入管および温度計を備えた4つ口ガラスフラスコに、ノルボルナンジイソシアネート302.1部、1,4−ブタンジオール66.2部、安息香酸エステル系可塑剤(商品名:ベンゾフレックス2088、ベルシコール・ケミカル社製)500部を加えた。窒素雰囲気下70〜80℃にて、撹拌しながら3時間反応を行なった。イソシアネート基含有量が7.07%になったところで、メチルエチルケトオキシム131.7部を添加し、反応温度を70℃〜75℃に維持し、赤外線吸収スペクトルにおいてイソシアネート基の吸収ピーク(2250cm−1)が完全に消失したところで反応終了とし、安息香酸エステル系可塑剤を含有するブロックイソシアネート化合物を得た。
【0100】
(4−2)ブロックイソシアネート2(可塑剤含有)
上記(4−1)の4つ口ガラスフラスコに、イソホロンジイソシアネート164.9部、数平均分子量1000のポリオキシプロピレントリオール268.6部、安息香酸エステル系可塑剤(商品名:ベンゾフレックス2088、ベルシコール・ケミカル社製)500部を加えた。ジブチル錫ジラウレートを0.05部添加し、窒素雰囲気下80〜90℃にて、撹拌しながら3時間反応を行なった。イソシアネート基含有量が3.28%になったところで反応温度を70℃まで冷却し、メチルエチルケトオキシム66.6部を添加し、反応温度を70℃〜75℃に維持し、赤外線吸収スペクトルにおいてイソシアネート基の吸収ピーク(2250cm−1)が完全に消失したところで反応終了とし、安息香酸エステル系可塑剤を含有するブロックイソシアネート化合物を得た。
【0101】
実施例1〜6、比較例1〜6
表1に示す種類と量の成分を配合してプラスチゾルを調製して、ゾル初期粘度、粘性、3日経時変化(23℃及び40℃)、タレ、膜均一性、ブリード、引張強度及び伸びを試験評価した。結果を表1に記す。
【0102】
なお、表1中の可塑剤1はベンゾフレックス2088(ベルシコール・ケミカル社製、ジプロピレングリコール25%、ジエチレングリコールジベンゾエート50%、トリエチレングリコールジベンゾエート25%)である。可塑剤2はメザモールASEP(バイエル社製、フェノールアルキルスルホン酸エステル)である。可塑剤3はモノサイザーW−262(大日本インキ工業株式会社製、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキソエート))である。可塑剤4はアセチルトリブチルシトレート(三建化工社製)である。希釈剤は、CS−16(チッソ社製、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレート)である。離型剤はステアリン酸ブチルである。硬化剤1は分子量400、3官能のポリエーテル変性アミン硬化剤(ハンツマン社製、ジェファーミンT−403)である。硬化剤2はイソフタル酸ジヒドラジドである。
【0103】
【表1】
【0104】
表1に示すように、実施例1〜6のプラスチゾルは、製造時の引張強度が十分であるとともに、使用時の引張強度および伸びも優れているものであることが確認できた。なお、低粘度で、高チクソトロピーであり、しかも3日経時しても23℃および40℃のいずれにおいてもほとんど変化が無く、ディップ加工でタレが起きず、成形品は厚みが均一でブリードが無く、良好な特性あることも確認できた。
【0105】
これに対し、比較例1のごとき、イソシアネートと硬化剤を含まず、THF不溶解分53.5%を持つアルキル(メタ)アクリレート系重合体のみで樹脂成分を構成するようにした場合、製造時(63℃)の引張強度が不十分であった。
【0106】
比較例2〜5のごとき、イソシアネートと硬化剤を含めても、THF不溶解分90重量%超かつカルボキシル基含有が0.2重量%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(c)、樹脂(d))、THF不溶解分10重量%未満かつカルボキシル基含有が0.2重量%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(e))やカルボキシル基含有量が5重量%超であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(f))を樹脂成分に使用した場合、特に40℃での粘度の経時変化が激しく、製品としては使用できなかったり(樹脂(c)を用いた比較例2、樹脂(e)を用いた比較例4)、成形品にブリードを起こし、製品としては使用できなかったり(樹脂(d)を用いた比較例3、樹脂(f)を用いた比較例5)した。
【0107】
比較例6のごとき、イソシアネートと硬化剤を含めても、THF不溶解分90重量%超かつカルボキシル基含有量が0.2重量%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体(樹脂(g))を使用し、可塑剤量が少なく、希釈剤および離型剤を添加しなかった場合には、使用時(23℃)の伸びが不十分であった。
Claims (8)
- 樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有するプラスチゾルであって、
前記樹脂成分が、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体と、(B1)ブロックイソシアネートと、(B2)イソシアネートと反応する硬化剤とを含み、
前記(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体が、(A1)カルボキシル基含有量が0.2重量%未満で、テトラヒドロフラン不溶解分を10〜90重量%含有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体、または/および、(A2)重量平均分子量が100,000〜4,000,000であり、カルボキシル基含有量が0.2〜5重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体単位含有量が50〜99.8重量%であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体であり、
前記樹脂成分100重量部に対する各成分の配合比率が、
(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体:50〜95重量部、
(B1)ブロックイソシアネートおよび(B2)イソシアネートと反応する硬化剤:5〜50重量部、
(C)可塑剤:50〜100重量部、
(D)希釈剤:3〜30重量部、
(E)離型剤:0.1〜3重量部、
であるプラスチゾル。 - 前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤、およびクエン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一つを主成分とする請求項1に記載のプラスチゾル。
- 前記(C)可塑剤が、グリコールエステル系可塑剤を50重量%以上含有する請求項2に記載のプラスチゾル。
- 前記グリコールエステル系可塑剤が、ポリアルキレングリコールジ安息香酸エステルである請求項3に記載のプラスチゾル。
- 前記(D)希釈剤が、トリアルキルペンタンジオール脂肪酸エステルを主成分とするものである請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチゾル。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチゾルからなる成形用組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチゾルをディップ成形して得られる成形品。
- 手袋である請求項7記載の成形品。
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