JP2016188313A - アクリル樹脂組成物、該樹脂組成物で形成されたフィルム、該フィルムを備えた偏光板及び該偏光板を備えた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル樹脂組成物を、メタクリル酸エステル単位(例えば、主たる単位としてメタクリル酸メチル単位)を重合単位として含み、かつイオン性基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸基)を有するアクリル樹脂(A)と、金属成分(B)とで構成する。
【選択図】なし
Description
これら光学材料用樹脂としては、従来、ポリメタクリル酸メチル(以下、PMMAともいう)が主として用いられてきた。
本発明の他の目的は、可撓性に優れたフィルムを得るのに有用なアクリル樹脂組成物及びこのアクリル樹脂組成物で形成されたフィルムを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、セルロース樹脂との相溶性に優れるアクリル樹脂組成物及びこのアクリル樹脂組成物で形成されたフィルムを提供することにある。
本発明の別の目的は、前記樹脂組成物で形成された偏光子保護フィルム、該偏光子保護フィルムを備えた偏光板、並びに該偏光板を備えた画像表示装置を提供することにある。
[1]メタクリル酸エステル単位を重合単位として含み、かつイオン性基を有するアクリル樹脂(A)と、金属成分(B)とを含むアクリル樹脂組成物。
[2]アクリル樹脂(A)において、メタクリル酸エステル単位の割合が重合単位全体の50モル%以上であり、イオン性基の割合が1×10−5〜1×10−2モル/gである前記[1]記載のアクリル樹脂組成物。
[3]アクリル樹脂(A)の重量平均分子量が10万以上である前記[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
[4]アクリル樹脂(A)の重量平均分子量が30万超である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]アクリル樹脂(A)において、イオン性基が酸基である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
[6]金属成分(B)の割合が、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、金属原子換算で0.01〜10重量部である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
[7]金属成分(B)の割合が、イオン性基1モルに対して、0.05〜1.2当量である前記[1]〜[6]のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
[8]アクリル樹脂(A)が、メタクリル酸メチル単位を70モル%以上含むメタクリル酸エステル単位(A1)と、カルボキシル基及びスルホン酸基から選択される少なくとも1以上の酸基を有するモノマー単位(A2)とを、(A1)/(A2)のモル比が99/1〜80/20の割合で含み、かつイオン性基を1×10−4〜5×10−3モル/gの割合で含む、重量平均分子量が20万以上の樹脂であり、
金属成分(B)が、周期表第1〜13族金属を含み、
金属成分(B)の割合が、イオン性基1モルに対して0.1〜1.1当量であり、
かつアクリル樹脂(A)100重量部に対して金属原子換算で0.1〜5重量部である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
[9]ドープである前記[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]セルロース樹脂用の添加剤である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]光学用である前記[1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12]120℃における弾性率が2×107Pa以上である前記[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13]前記[1]〜[12]のいずれかに記載の樹脂組成物で形成されたフィルム。
[14]偏光子保護フィルムである前記[13]記載のフィルム。
[15]前記[13]又は[14]記載のフィルムを備えた偏光板。
[16]前記[15]記載の偏光板を備えた画像表示装置。
また、本発明の樹脂組成物で形成されたフィルムは、可撓性に優れる。
また、本発明の樹脂組成物は、セルロース樹脂との相溶性に優れる。
また、本発明の樹脂組成物は、溶融状態での弾性率が高い。
さらに、本発明の樹脂組成物で形成されたフィルムは、溶媒が揮発しやすいため、フィルムの製造工程において作業性が良好である。
本発明のアクリル樹脂組成物は、イオン性基を有するアクリル樹脂(A)と、金属成分(B)とを含む。
本発明に使用されるアクリル樹脂(A)は、通常、メタクリル酸エステルを重合成分(モノマー)とし、イオン性基を有する。換言すれば、本発明に使用されるアクリル樹脂(A)は、メタクリル酸エステル由来の単位(又は重合単位、単に、「メタクリル酸エステル単位」ということがある。以下、同様の表現において同じ。)を重合単位として有し、かつイオン性基を有する樹脂である。
イオン性基としては、例えば、塩基(例えば、アンモニウム塩基など)、酸基などが挙げられる。特に、イオン性基は、少なくとも酸基であってもよい。
酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)などが含まれる。
なお、イオン性基の導入方法は、特に限定されず、(1)イオン性基の由来となる重合成分(イオン性モノマー)をメタクリル酸エステルに共重合する方法、(2)アクリル樹脂にイオン性モノマーをグラフト重合する方法、(3)アクリル樹脂の重合時に、イオン性基を有する開始剤や連鎖移動剤等を用いて導入する方法、(4)アクリル樹脂を変性する方法(例えば、樹脂骨格のエステル基の加水分解によりカルボキシル基を導入する方法など)、(5)これらを組み合わせて導入する方法などが挙げられる。
好ましい導入方法は、方法(1)である。方法(1)では、所望の含有割合でイオン性基を含むアクリル樹脂(A)を調製しやすい。
このような置換基を有するメタクリル酸エステルとしては、上記例示のメタクリル酸エステルに置換基が置換したメタクリル酸エステルであればよく、例えば、ハロゲン基を有するメタクリル酸エステル[例えば、メタクリル酸ハロアルキルエステル(例えば、メタクリル酸クロロメチルなどのメタクリル酸ハロC1−12アルキルなど)、ヒドロキシル基を有するメタクリル酸エステル[例えば、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのメタクリル酸ヒドロキシC2−12アルキル)など]などが挙げられる。
メタクリル酸エステル(又はメタクリル酸エステル単位)は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
他の重合成分(又「他の単位」)は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
特に、イオン性モノマー単位は、アクリル樹脂にイオン性基を導入しやすく、好適である。そのため、他の単位(又はアクリル樹脂(A))は、少なくともイオン性モノマー単位を有していてもよい。
なお、「イオン性基」とは、イオン化可能な(又はイオン化しやすい)基であればよく、実際にイオン化しているかどうかを問わない。
酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)などが含まれる。酸基を有するモノマーは、1又は2以上の酸基を有してもよく、2以上の酸基を有する場合、同一又は異なる酸基を有していてもよい。
アクリル樹脂(A)は、イオン性モノマー単位を単独で又は2以上組み合わせて有していてもよい。
非イオン性モノマー(非イオン性モノマー単位に対応するモノマー)としては、例えば、アクリル酸エステル、ビニル化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系化合物;ビニルトルエン、酢酸ビニル、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等)、α,β−不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、マレイミド、N−置換マレイミド[例えば、N−アルキルマレイミド(例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドなどのN−C1−10アルキルマレイミド)、N−アリールマレイミド(例えば、N−フェニルマレイミドなどのN−C6−10アリールマレイミド)等]、(メタ)アクリルアミド類[例えば、(メタ)アクリル脂肪族アミド(例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなど)、(メタ)アクリルアリールアミド(例えば、N―フェニル(メタ)アクリルアミドなど)]などが挙げられる。
アクリル樹脂(A)は、非イオン性モノマー単位を単独で又は2以上組み合わせて有していてもよい。
なお、アクリル樹脂(A)が、イオン性モノマー単位及び非イオン性モノマー単位を有する場合、メタクリル酸エステル単位(A1)及び非イオン性モノマー単位(A3)の総量/イオン性モノマー単位(A2)のモル比は、例えば、99.9/0.1〜50/50、好ましくは99.5/0.5〜60/40、より好ましくは99/1〜70/30、さらに好ましくは99/1〜80/20程度であり、通常、99/1〜85/15程度であってもよい。
本発明に使用されるアクリル樹脂(A)の製造方法は、特に限定されず、従来公知のアクリル系樹脂の製造方法に従ってよい。
重合溶媒の沸点が100℃を超える場合は、重合槽内を減圧することにより有機溶媒の沸点を下げる方法や、ジャケット部を冷却、又は、重合槽内に導入したコイルによる冷却で徐熱を行う方法によって、温度を制御してもよい。
重合開始剤は、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
連鎖移動剤は、例えば、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸等のチオール系化合物、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系化合物、多環芳香族系キノン化合物、αメチルスチレンダイマー等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
また、添加する重合溶媒としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶媒と同じ種類の重合溶媒であってもよいし、異なる種類の重合溶媒であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶媒と同じ種類の溶媒を用いることが好ましい。
また、添加する重合溶媒は、1種のみの単一溶媒であってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。樹脂の重合中に重合溶媒を追加することにより、重合槽内の重合溶液の粘度を一定の範囲内に制御することが可能となり、十分な攪拌を行うことが可能となると共に、高粘度下で発生するポリマー鎖の分岐や架橋を抑制できる。また、重合温度より低温の重合溶媒を追加するため、重合で発熱する重合系中の重合温度の制御も容易となる。
本発明のアクリル樹脂組成物に含まれる金属成分(B)は、金属を含んでいればその含有形態は特に限定されず、原子であってもよく、イオン(イオン結合性)の形態であってもよい。なお、イオンの形態である場合、通常、陽イオンであってもよい。
金属は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
金属化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、アルコキシド(メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどのC1−10アルコキシド;フェノキシドなどのアリールオキシドなど)、有機酸塩[例えば、脂肪酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン酸塩、オクチル酸塩などのアルカン酸塩、好ましくはC1−12アルカン酸塩)など]、無機酸塩(例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩など)等が挙げられる。なお、金属化合物は、単塩、複塩のいずれであってもよく、錯体(錯塩)であってもよい。金属化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物は、アクリル樹脂(A)以外にその他の樹脂成分を含んでいてもよい。特に、本発明のアクリル樹脂組成物は、セルロース樹脂に対する相溶性に優れており、セルロース樹脂と組み合わせることで、アクリル樹脂及びセルロース樹脂双方の優れた特性を兼ね備えた新規な樹脂を効率よく得ることができる。そのため、本発明のアクリル樹脂組成物は、セルロース樹脂用の添加剤(改質剤)としても好適である。
これらの中でも、セルロースアセテートC3−5アシレートを好適に使用してもよい。
これらは1種又は2種以上を使用することができる。
また、セルロースアセテートアシレートにおいて、アセチル置換度は、例えば0.1〜2.0であり、好ましくは0.1〜1.0である。また、アシル置換度(例えば、C3−5アシル基置換度)は、例えば1.0〜2.9であり、好ましくは2.0〜2.9である。この場合、アクリル樹脂(A)との相溶性が良好である。
本発明のアクリル樹脂組成物は、本発明の効果を奏する限り、添加剤を含んでいてもよい。これらは、アクリル樹脂(A)の重合時又は重合後に添加してもよいし、金属成分(B)の由来となる金属原子や金属化合物の添加時又は添加後に添加してもよい。
添加剤としては、特に限定されないが、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、弾性微粒子、その他の添加剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を使用することができる。
UVAとして、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシケート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物から選ばれる少なくとも1種以上を使用できる。なかでも、紫外線吸収能が高いことから、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物であるUVAが好ましい。
酸化防止剤の配合量は、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、通常は0.01〜2質量部、好ましくは0.02〜1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.5質量部である。
これらを組み合わせる際の酸化防止剤の添加量は、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、フェノール系酸化防止剤及びチオエーテル系酸化防止剤の各々が0.01質量部以上、あるいはフェノール系酸化防止剤及びリン酸系酸化防止剤の各々が0.025質量部以上であることが好ましい。
可塑剤の配合量は、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、通常は0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
弾性微粒子の配合量は、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、通常は1〜40質量部、好ましくは2〜30質量部である。
溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル系溶媒、塩化メチレンなどの塩素系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、前記ドープにおける本発明のアクリル樹脂組成物の含有割合は、ドープ全量に対して、例えば1〜50重量%であり、好ましくは2〜40重量%であり、より好ましくは5〜35重量%である。
尚、120℃における弾性率は後述の実施例に記載の方法などによって測定できる。
アクリル樹脂(A)と金属成分(B)との混合方法としては、例えば、金属原子及び/又は金属化合物とアクリル樹脂(A)を溶融混練等により混合してもよいし、アクリル樹脂(A)の重合時に、金属成分(B)により塩を形成した重合成分を使用してもよい。また、アクリル樹脂(A)重合後の脱溶媒前の樹脂溶液や脱溶媒工程中、あるいは、脱溶媒後の溶液製膜用ドープ作製時等に、金属原子及び/又は金属化合物を混合してもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物は、光学用途に使用することができる。
本発明は、本発明のアクリル樹脂組成物で形成されたフィルムも含有する。
本発明のフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等が挙げられ、好ましくは、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法であり、より好ましくは、溶液キャスト法(溶液流延法)である。これらは従来公知の方法を用いることができる。
溶解工程とは、本発明のフィルムの製造に用いられる組成物(ドープ)を製造する工程であり、具体的には、アクリル樹脂(A)及び金属成分(B)と、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、その他の添加剤、その他の樹脂成分等とを含有する本発明のアクリル樹脂組成物と、所望によりさらに溶媒とを含むドープを調製する工程である。
本発明のフィルムの製造に用いられるドープを支持体上に流延し、均一な膜を得る工程である。
支持体上に本発明のフィルムの製造に用いられるドープを流延した該ドープの膜を加熱し、溶媒を蒸発させて乾燥フィルムを得る(該ドープの膜を加熱乾燥させる)工程である。
また、急激な加熱及び冷却を防いだりすることが好ましい。さらに、雰囲気中の湿度によって前記ドープの膜が発泡したりするため、湿度をコントロールした状態が好ましい。これらの乾燥を行って半固化状態になった後、さらに熱風等を吹きつけて残留溶媒を少なくするように乾燥するのが好ましい。
加熱乾燥方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、例えば、フロート法、テンター法、ロール搬送法等を用いることができる。
理(アニーリング)等を行ってもよい。
光学部材としては、特に限定されないが、例えば、光学用保護フィルム等が挙げられ、具体的には、各種の光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルム等が挙げられる。
また、本発明のフィルムは、位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム等として使用することができる。本発明のフィルムは、特に、偏光子保護フィルムや位相差フィルムとして好適に用いられる。
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムとして使用することができ、通常は、そのまま偏光子保護フィルムとして使用することができる。
本発明は、本発明のフィルムを備えた偏光板も含有する。
すなわち、本発明のフィルムは、偏光子保護フィルムとして用いて、偏光板に使用することができる。
本発明において、偏光板の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。例えば、偏光子の少なくとも片面に、常法を用いて本発明のフィルムを貼り合わせることにより、偏光板を得ることができる。当該貼り合わせは、本発明のフィルムの偏光子に接合する側をアルカリ鹸化処理し、偏光子の少なくとも片面に完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を塗布した後、本発明のフィルムと偏光子とを貼り合わせることにより、好適に実施することができる。
また、偏光子の膜厚は、5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
本発明は、上述した本発明の偏光板を備えた画像表示装置も含有する。
本発明において、画像表示装置の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)等が好ましい。
最初に、本実施例において作製した樹脂組成物の評価方法を示す。
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。サンプルが溶解し難い場合は、クロロホルムに少量のメタノールを加えた。
システム:東ソー製GPCシステムHLC−8220
測定側カラム構成:
・ガードカラム(東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)
・分離カラム(東ソー製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:
・リファレンスカラム(東ソー製、TSKgel SuperH−RC)
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
作製した光学フィルムのヘイズは、濁度計(日本電色工業製、NDH−5000)を用いて、JIS K7136の規定に準拠して求めた。
フィルム(光学フィルム)の厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ製)により求めた。
各実施例及び比較例で用いたドープ液を、アプリケータを用い、25℃のガラス板上に均一に膜厚が40〜50μmとなるように流延した。ガラス板上のまま30秒間静置した後、カッター刃を用いてガラス板からドープを1箇所少しだけ剥離し、その部分を指でつまんで全体をガラス板から剥離した。その際の剥離し易さを以下のように比較した。
○・・・容易に剥離し、変形の無いフィルムが得られる。
×・・・剥離し難く、フィルムが伸びて変形する。
可とう性を下記の延性破壊試験によって評価した。
23℃、55%RHの空調室で24時間調湿した光学フィルムを、5℃、22%RHの条件下、100mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、縦方向の中央部で、曲率半径0mm、折り曲げ角が180°でフィルムがぴったりと重なるように折りまげ、この評価を3回測定して、以下のように評価した。なお、ここでの評価で「折れる」とは、割れて2つ以上のピースに分離したことを表す。
○・・・3回のうち1回も折れない
△・・・3回のうち1回だけ折れる
×・・・3回のうち2回以上折れる
120℃の弾性率は、以下の方法で測定した。
試験片:厚み40〜100μm、幅10mm、長さ40mmとし、事前に十分に乾燥した。
測定装置:TA社製動的粘弾性測定装置 RSA−III、引っ張り法
測定条件:3℃/分で室温から130℃まで昇温しながら、測定周波数1Hzで貯蔵弾性率を測定し、120℃での値を読み取った。
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
N−メチルピロリドンに約2.5wt%で試料(アクリル樹脂組成物)を溶解し、ICP発光分光分析装置(CIROS −120、(株)リガク製)を用い、金属原子の含有量(濃度)を測定した。得られた濃度から、アクリル樹脂組成物に含まれる金属原子のモル数を求めた。
アクリル樹脂中の酸成分の含有量は、次のような逆滴定法により測定した。
試料約0.15gを塩化メチレン約25g及びメタノール15gの混合溶液に加えて溶解させた。次に、指示薬として1%フェノールフタレイン溶液を2滴入れた。攪拌しながら、溶液がピンク〜紫に着色するまで0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えて酸成分量より水酸化ナトリウム量を過剰とし、要した量(V1)を記録する。続いて、攪拌しながら0.1N塩酸水溶液をゆっくり加え、過剰分の水酸化ナトリウムの中和に要した量(V2)を記録する。同様に、樹脂サンプルを加えないブランク試験を行い、v1、v2を求めた。〔(V1−V2)−(v1−v2)〕とサンプル重量から、アクリル樹脂単位重量当たりの酸成分のmol数を計算した。
尚、この単位重量当たりの酸成分のmol数は、アクリル樹脂単位重量当たりのイオン性基の含有量を示す。
(製造例1)
容量100mlのガラス容器に、メタクリル酸メチル(MMA)19質量部(0.1898mol)、アクリル酸(AA)1質量部(0.0139mol)、ジメチルホルムアミド10質量部(0.1368mol)、メチルエチルケトン(MEK)10質量部(0.1387mol)、2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(V−601 和光純薬製)0.05質量部(2.171×104mol)を仕込み、これに窒素ガスを導入して密封し、60℃で3時間、50℃で48時間反応させた。続いて、得られた重合溶液をMEKで希釈し、ヘキサンを用いて再沈殿、ろ過及び乾燥によりアクリル樹脂(A−1、数平均分子量Mn22.2万、重量平均分子量Mw44.7万)を得た。同様の重合操作を繰り返してアクリル樹脂(A−1)を集めた後、東洋精機製ラボプラストミルにてアクリル樹脂(A−1)30質量部を200℃、50rpmで溶融混練しているところに、オクチル酸亜鉛のトルエン溶液(オクチル酸亜鉛1.46質量部、トルエン1.83質量部)を少しずつ滴下し、滴下終了後10分間混練を続けて取り出し、金属含有アクリル樹脂(B−1)を得た。
尚、アクリル樹脂(A−1)において、酸成分モノマー含有量の実測値は、アクリル樹脂1g当たり0.7×103molであり、酸成分モノマー仕込み含有量を反映していた。
また、金属含有アクリル樹脂(B−1)において、アクリル樹脂に対する実測金属量は、0.85質量%であり、仕込み金属量を反映していた。
また、金属含有アクリル樹脂(B−1)において、酸成分に対する金属含有量の実測比率は、0.4mol当量であり、仕込み金属量を反映していた。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、及び滴下ロートを備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)135質量部(1.3484mol)、メタクリル酸(MAA)7.5質量部(0.0871mol)、アクリル酸メチル(MA)7.5質量部(0.0872mol)、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部(7.728×105mol)、及びトルエン100質量部(1.085mol)を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.15質量部(純度100%として、6.137×104mol)を添加するとともに、トルエン20質量部(0.2171mol)にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.225質量部(純度100%として、9.206×104mol)を溶解させた溶液を2時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させ、滴下が終了した時にトルエン30質量部(0.3256mol)を投入して希釈し、滴下終了後、さらに2時間の熟成を行った。続いて、得られた重合溶液を、200℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−2、数平均分子量Mn9.2万、重量平均分子量Mw26.9万)を得た。続いて、東洋精機製ラボプラストミルに、アクリル樹脂(A−2)30部を200℃、50rpmで溶融混練しているところに、オクチル酸亜鉛のメタノール溶液(オクチル酸亜鉛0.61質量部、メタノール3.76質量部)を少しずつ滴下し、滴下終了後10分間混練を続けて取り出し、金属含有アクリル樹脂(B−2)を得た。
尚、アクリル樹脂(A−2)において、酸成分モノマー含有量の実測値は、アクリル樹脂1g当たり0.7×103molであり、酸成分モノマー仕込み含有量を反映していた。
また、金属含有アクリル樹脂(B−2)において、アクリル樹脂に対する実測金属量は、0.39質量%であり、仕込み金属量を反映していた。
また、金属含有アクリル樹脂(B−2)において、酸成分に対する金属含有量の実測比率は、0.2mol当量であり、仕込み金属量を反映していた。
メタクリル酸メチル(MMA)18質量部(0.1798mol)、メタクリル酸(MAA)2質量部(0.0232mol)に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、アクリル樹脂(A−3、数平均分子量Mn26.2万、重量平均分子量Mw51.9万)を得た。
尚、アクリル樹脂(A−3)において、酸成分モノマー含有量の実測値は、アクリル樹脂1g当たり1.1×103molであり、酸成分モノマー仕込み含有量を反映していた。
メタクリル酸メチル(MMA)139.5質量部(1.393mol)、メタクリル酸(MAA)3質量部(0.0348mol)、アクリル酸メチル(MA)7.5質量部(0.0872mol)を用いた以外は製造例2と同様にして、アクリル樹脂(A−4、数平均分子量Mn14.7万、重量平均分子量Mw36.0万)を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、及び滴下ロートを備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)84質量部(0.8390mol)、N−フェニルマレイミド(PMI)10質量部(0.0577mol)、メタクリル酸(MAA)2質量部(0.0232mol)、アクリル酸メチル(MA)4質量部(0.0465mol)、n−ト゛デシルメルカプタン0.1質量部(4.941×104mol)、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部(7.728×105mol)、及びトルエン100質量部(1.085mol)を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.15質量部(純度100%として、6.137×104mol)を添加するとともに、トルエン20質量部(0.2171mol)にt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製 ルペロックス570)0.1質量部(純度100%として、4.092×104mol)を溶解させた溶液を2時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させ、滴下終了後、さらに2時間の熟成を行った。続いて、得られた重合溶液を、240℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−5、数平均分子量Mn5.4万、重量平均分子量Mw12.4万)を得た。
ガラス容器に、メタクリル酸メチル(MMA)19質量部(0.1898mol)、アクリル酸メチル(MA)1質量部(0.0116mol)、メチルイソブチルケトン(MIBK)20質量部(0.1997mol)、2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(V−601 和光純薬製)0.06質量部(2.606×104mol)を仕込み、これに窒素ガスを導入して密封し、60℃で4時間、50℃で48時間反応させた。続いて、得られた重合溶液をMIBKで希釈し、ヘキサンを用いて再沈殿、ろ過及び乾燥によりアクリル樹脂(A−6、数平均分子量Mn23.5万、重量平均分子量Mw53.7万)を得た。
(実施例1)
(光学フィルム1)
ドープ液組成
・アクリル樹脂B−1: 100質量部
・メチレンクロライド: 855質量部
・エタノール: 45質量部
上記組成物を十分に溶解し、ドープ液を作成した。
このドープ液を、アプリケータを用い、ガラス板上に均一に流延した。ガラス板上のまま室温で30分間乾燥し、さらに80℃のオーブンで10分間乾燥させた後、ガラス板から剥離し、厚み45μmの光学フィルム1を得た。
(実施例2)
ドープ液組成
・アクリル樹脂B−2: 70質量部
・CAP482−20(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56 イーストマンケミカル製 セルロースアセテートプロピオネート): 30質量部
・メチレンクロライド: 855質量部
・エタノール: 45質量部
上記組成物を十分に溶解し、ドープ液を作成した。
このドープ液を、アプリケータを用い、ガラス板上に均一に流延した。ガラス板上のまま室温で30分間乾燥し、さらに80℃のオーブンで10分間乾燥させた後、ガラス板から剥離し、厚み43μmの光学フィルム2を得た。
(光学フィルム3)
ドープ液組成
・アクリル樹脂A−3: 100質量部
・メチレンクロライド: 855質量部
・エタノール: 45質量部
・ナトリウムメトキシド: 1.88質量部
上記組成物を十分に溶解し、ドープ液を作成した。このドープ液を用いた以外は光学フィルム1と同様に作成した。
また、このドープ液において、アクリル樹脂に対する実測金属量は、0.81質量%であり、仕込み金属量を反映していた。
また、このドープ液において、酸成分に対する金属含有量の実測比率は、0.3mol当量であり、仕込み金属量を反映していた。
(光学フィルム4)
ドープ液組成
・アクリル樹脂A−4: 70質量部
・CAP482−20: 30質量部
・メチレンクロライド: 855質量部
・エタノール: 45質量部
・ナトリウムメトキシド: 0.88質量部
上記組成物を十分に溶解し、ドープ液を作成した。このドープ液を用いた以外は光学フィルム2と同様に作成した。
(光学フィルム5)
アクリル樹脂としてA−5を用いた以外は光学フィルム4と同様に作成した。
(光学フィルム6)
アクリル樹脂としてA−6を用いた以外は光学フィルム1と同様に作成した。
(光学フィルム7)
アクリル樹脂としてA−6を用いた以外は光学フィルム2と同様に作成した。
表1において、酸成分モノマーの仕込み含有量とは、アクリル樹脂の重合に用いたモノマー組成物1g当たりの、酸成分モノマーの含有量を示す。
Claims (16)
- メタクリル酸エステル単位を重合単位として含み、かつイオン性基を有するアクリル樹脂(A)と、金属成分(B)とを含むアクリル樹脂組成物。
- アクリル樹脂(A)において、メタクリル酸エステル単位の割合が重合単位全体の50モル%以上であり、イオン性基の割合が1×10−5〜1×10−2モル/gである請求項1記載のアクリル樹脂組成物。
- アクリル樹脂(A)の重量平均分子量が10万以上である請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- アクリル樹脂(A)の重量平均分子量が30万超である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- アクリル樹脂(A)において、イオン性基が酸基である請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
- 金属成分(B)の割合が、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、金属原子換算で0.01〜10重量部である請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
- 金属成分(B)の割合が、イオン性基1モルに対して、0.05〜1.2当量である請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。
- アクリル樹脂(A)が、メタクリル酸メチル単位を70モル%以上含むメタクリル酸エステル単位(A1)と、カルボキシル基及びスルホン酸基から選択される少なくとも1以上の酸基を有するモノマー単位(A2)とを、(A1)/(A2)のモル比が99/1〜80/20の割合で含み、かつイオン性基を1×10−4〜5×10−3モル/gの割合で含む、重量平均分子量が20万以上の樹脂であり、
金属成分(B)が、周期表第1〜13族金属を含み、
金属成分(B)の割合が、イオン性基1モルに対して0.1〜1.1当量であり、
かつアクリル樹脂(A)100重量部に対して金属原子換算で0.1〜5重量部である、請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物。 - ドープである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- セルロース樹脂用の添加剤である請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 光学用である請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 120℃における弾性率が2×107Pa以上である請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂組成物で形成されたフィルム。
- 偏光子保護フィルムである請求項13記載のフィルム。
- 請求項13又は14記載のフィルムを備えた偏光板。
- 請求項15記載の偏光板を備えた画像表示装置。
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