JP2024010486A - 成形用樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Kenta Nose
寛之 平川
Hiroyuki Hirakawa
和也 西原
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Abstract

【課題】高い抗ウイルス効果を発揮し、かつ、成形性に優れる成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を提供する。【解決手段】成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物は、フェニルエーテル誘導体を含む抗ウイルス剤(Y)を熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)表面の少なくとも一部に有する抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)を含有し、前記抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)の体積平均粒子径は、50μm~1000μmであり、抗ウイルス剤(Y)の重量が、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の重量100に対して、0.25~3.0重量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、成形用樹脂組成物及び成形体に関する。
熱可塑性ポリウレタン樹脂(以下、TPUという)成形物に抗ウイルス性を付与する方法としては、TPU成形物のベース樹脂に抗ウイルス剤を溶融混合して含有させて成形する方法、コーティング剤に抗ウイルス剤を含有させて基材・製品表面に塗布する方法などが知られている。
抗ウイルス剤としての効力を発揮するのは、成形時に成形品の表面近傍に分散、含有される抗ウイルス剤のみであり、十分な抗ウイルス性を成形品に付与するためには相当多量の抗ウイルス剤を配合しなければならない。その多量に配合された無機系抗ウイルス剤の多くは効力を発揮することはなく無駄となる。そのうえ、成形品が重い、成形そのものが困難、或いは得られる成形品の物性の低下等多くの問題があり、また、高価な抗ウイルス剤を大量に添加するため生産コストも高い。
例えば、コーティング剤に抗ウイルス剤を含有させる方法では、塗膜が柔軟性に乏しく、柔らかい成形品に塗布した場合にはクラックが入り易いなどの問題があった。また、TPU成形物の表面に、抗ウイルス成分として銅化合物を含む有機バインダを硬化させて形成する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、このような方法では塗布硬化工程が必要となり生産コストが高く、溶剤を使用するため環境負荷が高くなるというという問題がある。
特願2018-215702
本発明の一態様は、高い抗ウイルス効果を発揮し、かつ、成形性に優れる成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物は、フェニルエーテル誘導体を含む抗ウイルス剤(Y)を熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)表面の少なくとも一部に有する抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)を含有し、前記抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)の体積平均粒子径は、50μm~1000μmであり、前記抗ウイルス剤(Y)の重量が、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の重量100に対して、0.25~3.0重量%である。
本発明の一態様によれば、高い抗ウイルス効果を発揮し、かつ、成形性に優れる成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を提供することができる。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
本発明の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物は、フェニルエーテル誘導体を含む抗ウイルス剤(Y)を熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)表面の少なくとも一部に有する抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)を含有する。
本発明において「ウレタン(ウレア)樹脂」は、ウレタン結合のみのウレタン樹脂、並びにウレタン結合、及びウレア結合の両方を含むウレタンウレア樹脂の両方を含むものとする。
本発明において「粒子」には、ペレット状、顆粒状及び粉末状のものが含まれる。
本発明において、「抗ウイルス性」とは、ウイルス数を減少させるか、又はウイルスの感染価を減少させるかして、ウイルスを不活化させる効果を意味する。ウイルスとしては、例えば、エンベロープ型ウイルスが挙げられる。エンベロープ型ウイルスとしては、例えばインフルエンザウイルス、コロナウイルスなどが挙げられる。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)としては、例えば数平均分子量が300~3000の高分子ジオール(a)、モノオール(c)、及び有機ジイソシアネート(e)を反応させて得られる樹脂が挙げられる。熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)は、高分子ジオール(a)、モノオール(c)、及び有機ジイソシアネート(e)とともに、必要により数平均分子量が300未満の低分子ジオール(b)及びジアミン(d)から選ばれる化合物を反応させて得られる樹脂であってもよい。
高分子ジオール(a)の数平均分子量(以下、数平均分子量はMnと略記する)はJISK1557-1(プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第1部:水酸基価の求め方)に準拠する方法により測定される、ジオールの水酸基価から算出することができる。
高分子ジオール(a)としては、ポリエステルジオール(a1)、ポリカーボネートジオール(a2)、ラクトンモノマーより合成されるポリエステルジオール(a3)、ポリエーテルジオール(a4)、ポリエーテルエステルジオール(a5)及びポリアルカンジエンジオール(a6)が挙げられる。
ポリエステルジオール(a1)~ポリアルカンジエンジオール(a6)は単独で使用しても良いし2種以上を組み合わせて使用しても良い。
ポリエステルジオール(a1)としては、2官能アルコール(a11)と2官能カルボン酸(a12)との縮合によって得られるものが挙げられる。また、2官能カルボン酸(a12)は、エステル形成性誘導体であってもよく、酸無水物(例えば、無水フタル酸)、低級アルキルエステル(例えば、ジメチルテレフタレート)及び酸ハライド(例えば、フタル酸クロライド)等であってもよい。
2官能アルコール(a11)としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ジオキサングリコール、アダマンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、メチルオクタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール、1,3,3-メチルペンタンジオール、1,5-ヘキサメチレングリコール、オクチレングリコール、9-ノナンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-ポリイソプレンジオール、1,4-ポリブタジエンジオール、1,2-ポリブタジエンジオール、1,4-もしくは1,2-ポリブタジエンジオールの水素添加物といったヒドロキシル基末端ポリアルカンジエンジオール類等が挙げられる。
2官能カルボン酸(a12)としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び4,4’-ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
ポリエステルジオール(a1)の具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ヘキサメチレンアジペート、1-ヘキサメチレンテレフタレート、ヘキサメチレンイソフタレート等が挙げられる。
ポリカーボネートジオール(a2)としては、前記2官能アルコール(a11)と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1~6のジアルキルカーボネート、炭素数2~6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6~9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。前記2官能アルコール(a11)及び低分子カーボネート化合物はそれぞれ2種以上併用してもよい。
ポリカーボネートポリオール(a2)の具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(ペンタメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ラクトンモノマーより合成されるポリエステルジオール(a3)において、ラクトンモノマーとして、炭素数4~12のラクトン、たとえばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン及びこれらの2種以上の混合物を重合させて得られるポリエステルジオールが挙げられる。
ポリエーテルジオール(a4)としては、2個の水酸基含有化合物(たとえば2官能アルコール(a11)、2価のフェノール類等)にアルキレンオキサイドが付加した化合物が挙げられる。上記2価のフェノール類としてはビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]及び単環フェノール類[カテコール、ハイドロキノン、レゾルシノール等]等が挙げられる。
2官能アルコール(a11)にアルキレンオキサイドが付加した化合物としてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
2価のフェノール類にアルキレンオキサイドが付加した化合物としてはハイドロキノンの炭素2~6のアルキレンオキサイド付加物、カテコールの炭素2~6のアルキレンオキサイド付加物、レゾルシノールの炭素2~6のアルキレンオキサイド付加物及びビスフェノールAの炭素2~6のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオール(a5)としては、前記ポリエステルジオール(a1)において原料の2官能アルコール(a11)に代えて上記ポリエーテルジオール(a4)を用いたもの、例えば上記ポリエーテルジオール(a4)の1種以上と前記ポリエステルジオール(a4)の原料として例示したジカルボン酸の1種以上とを縮重合させて得られるものが挙げられる。上記ポリエーテルジオール(a4)としては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ポリアルカンジエンジオール(a6)としては1,4-ポリイソプレンジオール、1,4-ポリブタジエンジオール、1,2-ポリブタジエンジオール、1,4-もしくは1,2-ポリブタジエンジオールの水素添加物といったヒドロキシル基末端ポリアルカンジエンジオール類等が挙げられる。
これらのうち耐熱性の観点から高分子ジオール(a)として好ましいのは、ポリエステルジオール(a1)及びポリカーボネートジオール(a2)である。
成形体の引張強度及び切断時伸びの観点から、高分子ジオール(a)の数平均分子量(Mn)として好ましいのは500~3,000であり、特に好ましいのは800~2,300である。
低分子ジオール(b)としては数平均分子量が300未満のジオールを用いることができる。低分子ジオール(b)としては、二官能アルコール(a11)で例示したアルコールが挙げられる。低分子ジオール(b)としては、好ましくは、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールであり、成形体の強度の観点より好ましいのは1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールである。低分子ジオール(b)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
モノオール(c)としては、炭素数1~8の脂肪族モノオール類[直鎖モノオール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール及びオクタノール等)及び分岐鎖を有するモノオール(イソプロピルアルコール、ネオペンチルアルコール、3-メチル-ペンタノール及び2-エチルヘキサノール)等];炭素数6~10の環状基を有するモノオール類[脂環式モノオール(シクロヘキサノール等)及び炭素数7~12の芳香族モノオール(ベンジルアルコール及びナフチルエタノール等)等];これらの2種以上の混合物が挙げられる。また、ポリエステルモノオール、ポリエーテルモノオール及びポリエーテルエステルモノオール等の高分子モノオールもモノオール(c)として使用できる。これらの内で好ましいのは炭素数6~10の脂肪族モノオール及び炭素数7~12の芳香族モノオールである。
ジアミン(d)としては、炭素数6~10の脂環式ジアミン(4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン及びイソホロンジアミン等);炭素数2~10の脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等);炭素数8~10の芳香脂肪族ジアミン(キシリレンジアミン等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの内で好ましいのは炭素数6~10の脂環式ジアミン及び炭素数2~10の脂肪族ジアミンであり、特に好ましいのはイソホロンジアミン及びヘキサメチレンジアミンである。
有機ジイソシアネート(e)としては、以下のものが挙げられる。
(i)炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2~18の脂肪族ジイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート及び2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等]。
(ii)炭素数4~15の脂環式ジイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート及びビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロへキセン等]。
(iii)炭素数8~15の芳香脂肪族ジイソシアネート[m-又はp-キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等]。
(iv)芳香族ジイソシアネート[1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記)、粗製TDI、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI及び1,5-ナフチレンジイソシアネート等]。
(v)これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基又はウレア基等を有するジイソシアネート変性物)。
これらのうち、耐候性の観点から好ましいのは脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートであり、更に好ましいのはHDI、IPDI及び水添MDIである。
有機ジイソシアネート(e)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明において、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)は、真球状でも真球から外れた非真球状でもよい。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の体積平均粒子径は、好ましくは50~1000μm、特に好ましくは100~500μm、最も好ましくは150~300μmである。
本発明において、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定した相対累積粒子径分布曲線(体積基準)において、累積量が50%のときの粒子径(d50)である。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)のMnは、好ましくは10,000~40,000であり、更に好ましくは13,000~30,000である。熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)のMnは例えば、実施例に記載の方法で測定される。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の製造方法としては以下の方法等が挙げられる。以下においては低分子ジオール(b)及びジアミン(d)を用いた場合の製造方法について説明しているが、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の製造方法は当該方法に限定されない。
(1)有機溶媒の存在下又は非存在下で、あらかじめ高分子ジオール(a)と低分子ジオール(b)とモノオール(c)との混合物と有機ジイソシアネート(e)とを、前記混合物中の水酸基と有機ジイソシアネート(e)のイソシアネート基とのモル比が、1:1.2~1:4.0となるように反応させ、得られた末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(Up)を、水及び分散安定剤存在下で、ジアミン(d)で伸長反応させる方法。尚、ジアミンはブロックされた直鎖脂肪族ジアミン(例えばケチミン化合物)等を使用することができる。
(2)上記ウレタンプレポリマー(Up)を、非極性有機溶媒及び分散安定剤存在下で、ジアミン(d)で伸長反応させる方法。
(3)高分子ジオール(a)、低分子ジオール(b)、モノオール(c)、ジアミン(d)及び有機ジイソシアネート(e)をワンショットで反応させる方法。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)を分散体として得た場合は、分散媒を除去し、さらに粉砕しても良い。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の製造に用いる有機溶媒としては、炭素数3~9のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びジエチルケトン等)、炭素数4~8のエーテル(テトラヒドロフラン等)及び炭素数3~6のエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)が挙げられる。
有機溶媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の製造に用いる分散安定剤としては、水溶性高分子(メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩類、ポリビニルピロリドン及びジイソブチレンとマレイン酸との共重合体のNa塩等)、無機粉末(炭酸カルシウム粉末、リン酸カルシウム粉末、ハイドロキシアパタイト粉末及びシリカ粉末等)、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウム等)等が挙げられる。
分散安定剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の製造に用いる非極性有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン及びキシレン等が挙げられる。
有機溶媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ウレタンプレポリマー(Up)を製造する際の反応温度は、ウレタン化を行う際に採用される温度と同じでよく、有機溶媒を使用する場合は好ましくは20℃~100℃であり、有機溶媒を使用しない場合は好ましくは20℃~140℃、より好ましくは80℃~130℃である。
上記ウレタン化反応において、反応を促進するために必要によりポリウレタンに用いられる触媒を使用することができる。触媒としては、例えばアミン系触媒(トリエチルアミン、N-エチルモルホリン及びトリエチレンジアミン等)及び錫系触媒(トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート及びジブチルチンマレート等)等が挙げられる。
本発明で用いられる抗ウイルス剤(Y)としては、抗ウイルス用途に用いられるものを特に制限なく用いることができるが、例えば、25℃の水に不溶性である抗ウイルス剤が挙げられる。
25℃の水に不溶性である抗ウイルス剤を用いると、成形品から抗ウイルス剤が剥離及び脱落しづらく、少ない使用量でも高い抗ウイルス効果が長期に亘って奏されるようになる。
なお、本発明において、不溶性とは、25℃のイオン交換水100g当たりに対する溶解度が0.1g以下であることを言う。
前記溶解度は、次の方法によって測定することができる。200mLビーカーに入れた25℃のイオン交換水100gに対して、十分乾燥させた測定対象(抗ウイルス剤)を投入し、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、マグネチックスターラーで撹拌する。1時間撹拌しても抗ウイルス剤が溶解できない場合の直前の抗ウイルス剤の投入量を、当該抗ウイルス剤の25℃の水に対する溶解度とする。なお、マグネチックスターラーとしてはアズワン株式会社製HPS-100等を使用できる。
抗ウイルス剤としては、フェニルエーテル誘導体型抗ウイルス剤が挙げられる。フェニルエーテル誘導体型抗ウイルス剤としては、具体的に、ウィルテイカーIV[積水マテリアルソリューションズ株式会社製]が挙げられる。
本発明で用いられる抗ウイルス剤の形態は特に制限されず、液体、粉体などでもよいが、粒子が好ましい。抗ウイルス剤の粒子の形状は特に制限されず、例えば、球状、俵状、不定形状などであり得る。
本発明で用いられる抗ウイルス剤の粒子の体積平均粒子径は、好ましくは0.01~29μm、さらに好ましくは0.05~5μm、最も好ましくは0.1~4μmである。抗ウイルス剤の粒子の体積平均粒子径を0.01~29μmとすることで、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の表面の少なくとも一部に抗ウイルス剤(Y)を含有させることが出来る。
本発明において、抗ウイルス剤(Y)の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定した相対累積粒子径分布曲線(体積基準)において、累積量が50%のときの粒子径(d50)である。
抗ウイルス剤(Y)の含有量は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の重量に基づき、0.25~3.0重量%である。抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)中の抗ウイルス剤(Y)の含有量が0.25重量%以上であることにより、特別な処理を行わなくても、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)へ抗ウイルス性を付与させることができる。また、抗ウイルス剤の含有量が3.0重量%以下であることにより、成形性に優れる成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を提供することができる。
本発明の抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の表面の少なくとも一部に抗ウイルス剤(Y)を有している。具体的には、抗ウイルス剤(Y)は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の表面の少なくとも一部を被覆している。熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の表面の少なくとも一部が抗ウイルス剤(Y)に被覆されることで、抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)に抗ウイルス性を付与することができ、抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)を含有する成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を用いることで所望の形状を有する成形体を作成することが可能である。
抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)の体積平均粒子径は50μm~1000μmであり、好ましくは100~500μm、最も好ましくは150~300μmである。抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)の体積平均粒子径が50μm~1000μmであることにより、抗ウイルス剤(Y)が樹脂粒子(W)の表面から脱離しにくい。
抗ウイルス剤(Y)が樹脂粒子(W)の表面から脱離しにくい条件としては、以下の(1)、(2)が挙げられる。(1)熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の粒径より、抗ウイルス剤(Y)の体積平均粒子径が小さいこと。(2)熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の表面に凹凸があること。
本発明において、抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定した相対累積粒子径分布曲線(体積基準)において、累積量が50%のときの粒子径(d50)である。
抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)において、抗ウイルス剤(Y)を熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の表面の少なくとも一部に有していることは、例えば、抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)上のSEM-EDXの元素質量濃度において、抗ウイルス剤(Y)の構成元素の質量濃度が0.05%以上であることで確認することが出来る。
抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)上の抗ウイルス剤(Y)の構成元素の質量濃度が0.03%以上であれば、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)に付着している抗ウイルス剤(Y)の量が多く、十分な抗ウイルス効果を発揮できる。抗ウイルス剤(Y)の構成元素の質量濃度は更に好ましくは0.04~0.40%であり、最も好ましくは0.05~0.15%である。
以下に、望ましいSEM-EDXの測定条件を示す。
<SEM-EDX測定条件>
<炭素蒸着加工装置>
サンユー電子 QUICK CARBON MODEL SC-701C
Thickness Count : 3回真空度:10^-2 Torr
<測定装置>
・SEM:日本電子 JSM-7000
・EDX : OXFORD INCA X-sight
真空度:1×10^-4Pa以下
加速電圧:25kV
電流モード:Medium。
本発明の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)及び抗ウイルス剤(Y)以外の成分[以下「添加剤(Z)」ともいう]を含有していてもよい。
添加剤(Z)は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の原料となる前記のウレタンプレポリマー(Up)製造に混合しても良く、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)に混合しても良く、抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)と混合しても良い。
添加剤(Z)としては無機フィラー(Z1)、顔料(Z2)、可塑剤(Z3)、離型剤(Z4)、安定剤(Z5)及びブロッキング防止剤(粉体流動性向上剤)(Z6)等が挙げられる。添加剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、可塑剤(Z3)、離型剤(Z4)、安定剤(Z5)及びブロッキング防止剤(Z6)は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)又は抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)に混合して用いることが好ましい。
無機フィラー(Z1)としては、抗ウイルス性を有しないもの及び抗ウイルス剤の担体とならないものであり、タルク、炭酸カルシウム、セリサイト、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及びホウ酸亜鉛等が挙げられる。これらのうち、タルクが好ましい。
無機フィラー(Z1)の体積平均粒子径は、成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物中への分散性の観点から、0.1~30μmが好ましく、更に好ましくは1~20μm、特に好ましくは2~10μmである。
無機フィラー(Z1)の添加量は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)100重量部に対して、0~40重量部が好ましく、1~20重量部が更に好ましい。
顔料(Z2)としては特に限定されず、公知の有機顔料及び無機顔料を使用することができる。有機顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料等が挙げられ、無機顔料としては、抗ウイルス性を有しないもの及び抗ウイルス剤の担体とならないものであり、クロム酸塩、フェロシアン化合物、炭酸塩(炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等)及び燐酸塩(燐酸カルシウム及び燐酸マグネシウム等)等]、金属粉末(アルミ粉末、鉄粉末、ニッケル粉末及び銅粉末等)及びカーボンブラック等が挙げられる。
顔料の平均粒子径については特に限定はないが、好ましくは0.2~5.0μm、より好ましくは0.5~1.0μmである。
顔料(Z2)の添加量は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは0.01~5重量部、更に好ましくは1~3重量部である。
可塑剤(Z3)としては、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等);安息香酸エステル(ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル等);脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル及びセバシン酸-2-エチルヘキシル等);トリメリット酸エステル(ト
リメリット酸トリ-2-エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等);脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等);脂肪族リン酸エステル(トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート及びトリブトキシホスフェート等);芳香族リン酸エステル[トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート及びトリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート等];ハロゲン脂肪族リン酸エステル[トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(βークロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等];及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
可塑剤(Z3)の添加量は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)100重量部に対して、好ましくは0~50重量部、更に好ましくは5~20重量部である。
離型剤(Z4)としては公知の離型剤等が使用でき、フッ素化合物型離型剤[リン酸トリパーフルオロアルキル(炭素数8~20)エステル(トリパーフルオロオクチルホスフェート及びトリパーフルオロドデシルホスフェート等)];シリコーン化合物型離型剤(ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン及びカルボキシル変性ジメチルポリシロキサン等);脂肪酸エステル型離型剤[炭素数10~24の脂肪酸のモノ又は多価アルコールエステル(ブチルステアレート、硬化ひまし油及びエチレングリコールモノステアレート等)等];脂肪族酸アミド型離型剤[炭素数8~24の脂肪酸のモノ又はビスアミド(オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド及びエチレンジアミン等のジステアリン酸アミド等)等];金属石鹸(ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸亜鉛等);天然又は合成ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス及びポリブロピレンワックス等);及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
離型剤(Z4)の添加量は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)100重量部に対して、好ましくは0~1重量部、更に好ましくは0.05~0.5重量部である。
安定剤(Z5)としては、紫外線吸収剤(Z51)や酸化防止剤(Z52)及び加水分解防止剤(Z53)の他、分子中に炭素-炭素二重結合(置換基を有していてもよいエチレン結合等)(但し芳香環中の二重結合は除く)又は炭素-炭素三重結合(置換基を有していてもよいアセチレン結合)を有する化合物等が使用できる。
紫外線吸収剤(Z51)としては、ベンゾフェノン系[2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール系[2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等];サリチル酸系[フェニルサリシレート等];ヒンダードアミン系[ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート等]等が挙げられる。
酸化防止剤(Z52)としては、フェノール系[2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール及びブチル化ヒドロキシアニソール等];ビスフェノール系[2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等];リン系[トリフェニルフォスファイト及びジフェニルイソデシルフォスファイト等]等が挙げられる。
加水分解防止剤(Z53)としては、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に有するものが挙げられる。カルボキシル基と反応する官能基としてはカルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基、シクロカーボネート基及びアジリジン基等が挙げられる。
分子中に炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合を有する化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸と2~10価の多価アルコール(2~10価の多価アルコール、以下同様)とのエステル[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等];(メタ)アリルアルコールと2~6価の多価カルボン酸とのエステル[ジアリルフタレート及びトリメリット酸トリアリルエステル等];多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル[ペンタエリスリトール(メタ)アリルエーテル等)];多価アルコールのポリビニルエーテル(エチレングリコールジビニルエーテル等);多価アルコールのポリプロペニルエーテル(エチレングリコールジプロペニルエーテル等);ポリビニルベンゼン(ジビニルベンゼン等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの内、安定性(ラジカル重合速度)の観点から、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステルが好ましく、更に好ましくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
安定剤(Z5)の添加量は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)100重量部に対して、好ましくは0~20重量部、更に好ましくは1~15重量部である。
ブロッキング防止剤(粉体流動性向上剤)(Z6)としては、粒子径10μm以下の熱硬化性樹脂(熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂及びエポキシ系樹脂等)及び粒子径10μm以下の熱可塑性樹脂[熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂及びポリ(メタ)アクリレート樹脂等]等が挙げられる。
ブロッキング防止剤(流動性向上剤)(Z6)の添加量は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)100重量部に対して、好ましくは0~5重量部、更に好ましくは0.5~1重量部である。
添加剤(Z)の添加量の合計値は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)100重量部に対して、0.01~50重量部が好ましく、更に好ましくは1~30重量部である。
[成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物の製造方法]
本発明の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)と、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子の重量100に対して、0.25~3.0重量%の抗ウイルス剤(Y)とを混合する工程(以下「混合工程」ともいう)を含む。これによれば、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)へ抗ウイルス性を簡便に付与させることができる。
混合工程において用いる混合装置としては、公知の粉体混合装置を使用でき、容器回転型混合機、固定容器型混合機及び流体運動型混合機のいずれも使用できる。例えば固定容器型混合機としては高速流動型混合機、複軸パドル型混合機、高速剪断混合装置[ヘンシエルミキサ(登録商標)等]、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機[ナウタミキサ(登録商標、以下省略)等]が挙げられ、これらの中で好ましいのは、複軸パドル型混合機、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機(ナウタミキサ等)である。
[成形体]
本発明の成形体は本発明の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を成形してなる。
抗ウイルス剤(Y)を熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の表面の少なくとも一部に有していることにより、本発明の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を成形した成形体は、抗ウイルス剤の剥離及び脱落などによる抗ウイルス性の低下が起きづらく、かつ、所望の形状を得ることが出来る。
成形体の成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、及びフィルム成形(キャスト法、テンター法、及びインフレーション法等)等が挙げられる。
本発明の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物は、粒子の表面に抗ウイルス剤を高濃度で含むことから粒子をそのまま成形体にすることで表面の抗ウイルス剤濃度が高い成形体が得られる。そのため、前記の成型方法の中でも、加熱溶融した樹脂組成物を成形型に流し込むことなく成形体を得る成形方法、例えば樹脂粒子を直接成形型に充填して熱又は圧力を加えることで一体に成形する成形方法(スラッシュ成形、回転成形、圧縮成形、及びカレンダ成形等)が好ましい。成形体の形態としては、板状、シート状、フィルム及び繊維(不織布等も含む)等が挙げられる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
[製造例1:熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子(X-1)の製造]
温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に、ポリエステルジオール(a1)としてのMnが2300のポリエチレンイソフタレート282.9部、ポリエステルジオール(a1)としてのMnが1,000のポリブチレンアジペート424.4部、モノオール(c)としてのベンジルアルコール9.34部並びに低分子ジオール(b)としての1,4-ブタンジオール5.88部を仕込んだ。反応容器を窒素置換した後、撹拌しながら110℃に加熱して溶融させ、50℃まで冷却した。続いて、有機溶媒としてのメチルエチルケトン150.0部及び有機ジイソシアネート(e)としてのヘキサメチレンジイソシアネート132.0部を投入し、90℃で6時間反応させた。次いで、70℃に冷却した後、安定剤としてのイルガノックス1010[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製]1.4部を加え、均一に混合してウレタンプレポリマー(Up-1)の溶液を得た。得られたプレポリマー溶液のイソシアネート基含有量は、1.63%であった。
続いて、反応容器に、分散安定剤としてのサンスパールPS-8[三洋化成工業(株)製]5.9部を水152部に溶解した水溶液157.9部及び有機溶媒としてのメチルエチルケトン37.1部を加えて20℃で均一に撹拌した。その後、ウルトラディスパーサー[ヤマト科学(株)製]を用いて周速23m/s(回転数:10,000rpm)の攪拌下にジアミン(d)としてのヘキサメチレンジアミン1.7部を加え1分間混合した。続いて、75℃に温調したプレポリマー(Up-1)の溶液103.3部を投入し、周速23m/sで2分間混合し後、混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、該反応容器を窒素置換し、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子(X-1)を得た。
得られた熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子(X-1)は粉粒状であり、その体積平均粒子径は205μm、Mnは25,000であった。
[実施例1]
(1-1)成形用樹脂組成物の製造
可塑剤(Z3)としてのポリエチレングリコール(重合度2~10)のジ安息香酸エステル(Z3-1)[商品名:サンソフトEB300、三洋化成工業株式会社製]5.8部に、顔料(Z2)としてのカーボンブラック(Z2-1)1.3部を分散させた顔料分散液6.1部と、製造例1で得た粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子(X-1)100部を、ミキサー[CRUSH MILLSER、Iwatani製]に投入し、回転速度700min-1で1分間攪拌した。
次いで、ナウターミキサー[LABOMIXER LV-1、ホソカワミクロン製]に移し、紫外線吸収剤(Z51)としてのビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート(混合物)[商品名:チヌビン765、BASFジャパン株式会社製](Z51-1)0.3部を投入した。70℃で撹拌下に4時間混合し、可塑剤(Z3-1)と紫外線吸収剤(Z51-1)を熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子(X-1)に含浸させた。
次いで離型剤(Z4)としての(Z4-1)ジメチルポリシロキサン[商品名:ケイL45-10000、日本ユニカー株式会社製]0.06部を投入し30分混合した後、室温まで冷却した。最後に、ブロッキング防止剤(Z6)としての架橋ポリメチルメタクリレート(Z6-1)[商品名:ガンツパールPM-030S、ガンツ化成株式会社製]0.5部、フェニルエーテル誘導体型抗ウイルス剤[商品名:ウィルテイカーIV、積水マテリアルソリューションズ株式会社製]1.0部を室温で30分混合し成形用樹脂組成物を得た。
(1-2)成形体の製造
(1-1)で製造した成形用樹脂組成物を180℃、60秒、5MPaの条件でプレス成型し、厚さ0.8mmのシート状を得た。得られたシートについて、引張強度、伸びの評価を行い、結果を表1に示した。
また、予め250℃に加熱されたシボ模様の入ったNi電鋳型に成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を充填し60秒間保持した後、余分な成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を排出した。型を60秒間水冷して厚さ1.0mmの成形表皮を作製し、抗ウイルス性試験及び成形性試験を行い、結果を表1に示した。
[実施例2~8、比較例1~3]
実施例1の(1-1)において、フェニルエーテル誘導体型抗ウイルス剤の重量を表1に記載の重量にしたこと以外は実施例1の(1-1)及び(1-2)と同じ操作を行って成形用ウレタンウレア樹脂組成物を製造した。
さらに、当該組成物を用いてシート及び成形表皮を得た。得られたシートについて、引張強度、切断時伸びの評価を行い、得られた成形表皮については、抗ウイルス性試験及び成形性試験を行い、結果を表1に示した。
<評価方法>
[熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子のMnの測定方法]
熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子(X)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
・装置:「HLC-8320」[東ソー(株)製]
・カラム:「TSKgel Guardcolumn α」、「TSKgel α-M」[東ソー(株)製]
・測定温度:40℃
・試料溶液:0.125重量%のN,N-ジメチルホルムアミド溶液
・溶液注入量:100μL
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYSTYRENE)12点(分子量589、1,050、2,630、5,970、9,100、19,500、37,900、96,400、190,000、427,000、1,090,000、2,110,000)[東ソー(株)製]
尚、Mnの測定には、試料をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液として用いた。
[体積平均粒子径の測定方法]
熱可塑性ウレタンウレア樹脂粒子(X)、フェニルエーテル誘導体型抗ウイルス剤及び抗ウイルス性ウレタンウレア樹脂粒子(W)の体積平均粒子径は以下の方法により測定した。
レーザー回折式粒子径分布測定装置[日機装(株)製「MicrotracMT3000II」]を用いて測定を行い、得られた相対累積粒子径分布曲線において累積量が50%のときの粒子径(d50)を体積平均粒子径とした。
<引張強さ及び切断時伸びの測定方法>
測定はJIS K 6251:2010に準じて行った。即ち、実施例1~8及び比較例1~3で得られた厚さ0.8mmのシートからJIS K 6251:2010の引張試験片ダンベル1号形を3枚打ち抜き、その中心に40mm間隔で標線を引いた。板厚は標線間5カ所の最小値を採用した。これを25℃雰囲気下にてオートグラフに取り付け、200mm/分の速さで引っ張り、引張強さ及び切断時伸びを測定した。
<成形性>
実施例1~8及び比較例1~3で得られた厚さ1.0mmの成形表皮を100mm×100mmの面積にカットしたものを用意し、裏面中央部を目視で観察し、以下の判定基準で溶融性を評価することで成形性を確認した。
5:樹脂組成物が均一に溶融して平滑性がある。
4:未溶融の成形用樹脂組成物由来の粒子状に凹凸した部分が一部有るが、一部平滑部分もある。
3:裏面全面に凹凸がある。裏面から表面に貫通するピンホールはない。
2:裏面全面に凹凸があり、かつ裏面から表面に貫通するピンホールがある。
1:成形用樹脂組成物が溶融せず、成形品にならない。
<抗ウイルス性試験>
ISO 21702(繊維以外)に準拠した方法で試験を実施し、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性値を算出した。抗ウイルス活性値は、抗ウイルス加工製品と無加工品とについて、ウイルス液を滴下して24時間を静置した後のウイルス感染価(細胞に感染可能なウイルス数の常用対数)の差を示した値である。抗ウイルス活性値が高いほど、抗ウイルス性が高いと言える。抗ウイルス性ウレタンウレア樹脂粒子の抗ウイルス活性値は、2.0以上であると好ましく、2.5以上であるとさらに好ましい。

Claims (3)

  1. フェニルエーテル誘導体を含む抗ウイルス剤(Y)を熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)表面の少なくとも一部に有する抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)を含有し、
    前記抗ウイルス性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(W)の体積平均粒子径は、50μm~1000μmであり、
    前記抗ウイルス剤(Y)の重量が、熱可塑性ウレタン(ウレア)樹脂粒子(X)の重量100に対して、0.25~3.0重量%である、成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物。
  2. 前記抗ウイルス剤(Y)は、25℃の水に不溶性である、請求項1に記載の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の成形用ウレタン(ウレア)樹脂組成物を成形してなる成形体。
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