JP2004083622A - ゴム組成物及びその製造方法並びにゴム成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のゴム組成物は、(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計を100質量部とした場合、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが50〜99質量部、上記(B)官能基含有(共)重合体が1〜50質量部であり、且つ、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計100質量部に対し、(C)シリカ系フィラーを5〜100質量部含有する。また、本発明のゴム成形品は、本発明のゴム組成物と架橋剤である過酸化物とを混合し、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムを架橋してなるものである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物及びその製造方法並びにゴム成形品及びその製造方法に関する。更に詳しくは、十分な耐熱性及び耐久性を有し、防振性能に優れたゴム組成物及びその製造方法並びにゴム成形品及びその製造方法に関する。本発明のゴム組成物及び成形品は、各種の工業用途、例えば、エンジンマウント、マフラーハンガー等の防振ゴム類、ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース類及びホースカバー類、パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O−リング、オイルシール等のシール類、ベルト、ライニング、ダストブーツ等の工業用品、土木建材、燃料電池、電子部品、航空機及び自動車等の部品等に利用することができる。また、他の熱可塑性樹脂又はゴムの改質剤の用途にも利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ジエン系ゴム、特に天然ゴム(NR)は、十分な機械特性を有し、疲労特性に優れている。そこで従来より、ジエン系ゴムは防振ゴム等として多用されている。そして、防振ゴムは高温状態等、種々の過酷な環境で使用されることが多い。例えば、エンジンマウントでは、エンジンルーム内の温度上昇により高温状態となる。このような高温状態となる環境で使用される防振ゴムは、防振性能と耐熱性の双方が要求される。しかし、ジエン系ゴムは耐熱性の点で十分とは言い難いことから、高温状態となる環境で使用することが困難であり、用途が限定されるという問題がある。
【0003】
一方、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムは、耐熱性、耐候性等が良好である。そのため、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムは、自動車部品、電線被覆材、電気絶縁材、一般工業用ゴム製品、土木建築資材等、広範な用途において使用されている。また、ポリプロピレン、ポリスチレン等の各種プラスチックの改質剤等としても用いられている。しかし、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムは、機械特性、防振特性等が十分ではなく、例えば、防振ゴム、制振材等の用途に必要な性質を十分に満足するものは得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、十分な耐熱性及び耐久性を有し、防振性能に優れたゴム組成物及びその製造方法並びにゴム成形品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のゴム組成物は、(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計を100質量部とした場合、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが50〜99質量部、上記(B)官能基含有(共)重合体が1〜50質量部であり、且つ、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計100質量部に対し、(C)シリカ系フィラーを5〜100質量部含有することを特徴とする。
上記(B)官能基含有(共)重合体を構成する(共)重合体は、スチレン−ブタシエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)若しくはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)又はこれらの水添物とすることができる。
上記(B)官能基含有(共)重合体に含まれる官能基は、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、スルホン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基及びハロゲンから選ばれる少なくとも1種とすることができる。
また、本発明のゴム組成物には、更に(D)アミン化合物を含有させることができる。
更に、本発明のゴム組成物は、上記(B)官能基含有(共)重合体と、上記(C)シリカ系フィラーと、を加熱混合することにより混合物を調製し、次いで、該混合物と、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと、を混合することにより得られるものとすることができる。
【0006】
本発明のゴム成形品は、本発明のゴム組成物中の上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムを、架橋剤により架橋してなることを特徴とする。
【0007】
本発明のゴム組成物の製造方法は、(B)官能基含有(共)重合体と、(C)シリカ系フィラーと、を加熱混合することにより混合物を調製し、次いで、(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計を100質量部とした場合、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合の含有量が50〜99質量部、上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量が1〜50質量部であり、且つ、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計100質量部に対し、上記(C)シリカ系フィラーの含有量が5〜100質量部となるように、上記混合物と、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと、を混合することを特徴とする。
また、本発明の他のゴム組成物の製造方法は、(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計を100質量部とした場合、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが50〜99質量部、上記(B)官能基含有(共)重合体が1〜50質量部であり、且つ、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計100質量部に対し、(C)シリカ系フィラーの含有量が5〜100質量部となるように、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと、上記(B)官能基含有(共)重合体と、上記(C)シリカ系フィラーと、を加熱混合することを特徴とする。
【0008】
本発明のゴム成形品の製造方法は、本発明のゴム組成物に、架橋剤を加えて上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムを架橋することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について更に詳細に説明する。
<1>(A)エチレン−α−オレフィン共重合ゴム
上記(A)エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(以下、単に「(A)成分」ということもある。)は、繰り返し単位として、エチレン単位と、α−オレフィンからなる繰り返し単位とを有する。本発明のゴム組成物は、かかる(A)成分を含有することにより、ジエン系ゴム、特に天然ゴム(NR)と比較して、耐熱性及び耐候性を向上させることができる。本発明において、上記(A)成分は、1種のみ用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0010】
上記α−オレフィンとして、通常は、炭素数3〜12のα−オレフィンを用いられる。上記α−オレフィンは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、5−エチル−1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン、及び3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。この中で、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンが好ましい。上記α−オレフィンは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0011】
また、上記(A)成分は、エチレン単位と、α−オレフィンからなる繰り返し単位に加え、更に非共役ジエンからなる繰り返し単位を有するものでもよい。この場合、上記非共役ジエンは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,5−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、及びジヒドロミルセン等の分岐鎖の非環状ジエン;テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン等の脂環式ジエン等が挙げられる。上記非共役ジエンとして特に好ましくは、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン及び5−エチリデン−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0012】
上記(A)成分として具体的には、例えば、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−1−ペンテン共重合ゴム、エチレン−1−ヘキセン共重合ゴム、エチレン−1−オクテン共重合ゴム等が挙げられる。また、更に非共役ジエン単位を有する共重合ゴムとしては、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0013】
本発明のゴム組成物中の上記(A)成分の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の含有量の合計を100質量部とした場合、50〜99質量部、好ましくは55〜99質量部、更に好ましくは60〜99質量部、より好ましくは60〜97質量部、特に好ましくは65〜97質量部、最も好ましくは70〜97質量部である。上記(A)成分の含有量が50質量部未満では、後述の(B)官能基含有(共)重合体の含有量が過剰となる結果、高温時の物性及び防振性能が低下するので好ましくない。一方、上記(A)成分の含有量が99質量部を越えると、後述の(B)官能基含有(共)重合体の含有量が少なくなりすぎて後述の(C)シリカ系フィラーとの相互反応性が弱くなり、分散性の向上が十分でなく、その結果、高温時の物性及び防振性能が低下するので好ましくない。
【0014】
<2>(B)官能基含有(共)重合体
本発明のゴム組成物に含まれる上記(B)官能基含有(共)重合体(以下、単に「(B)成分」ということもある。)は、上記(B)官能基含有(共)重合体を構成する(共)重合体に官能基が含まれている構造を有する重合体である。かかる(B)成分は、後述の(C)シリカ系フィラーと相互反応して、ゴム組成物中の(C)シリカ系フィラーの分散性を向上させることができる。これにより、静動比を向上させて防振特性を向上させると共に、高温時の物性、特に高温時の伸び及び伸張疲労性を改善することができる。本発明において、上記(B)成分は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上用いてもよい。上記(B)成分を2種以上用いる場合は、母体となる(共)重合体は同じで官能基が異なる上記(B)成分の2種以上を用いてもよく、又は母体となる(共)重合体は異なるが、官能基が同じである上記(B)成分の2種以上を用いてもよい。
【0015】
上記(B)官能基含有(共)重合体を構成する上記(共)重合体の種類、構造については特に限定はない。上記(共)重合体は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。例えば、上記(共)重合体としては、SBR、BR、NBR、EPM及びEPDM等が挙げられる。また、SBR、BR、NBR、EPM又はEPDM等の(共)重合体に部分的又は選択的に水素添加した水添物も、上記(共)重合体として用いることができる。上記(共)重合体として用いることができる水添物としては、例えば、スチレンエチレン・ブテンスチレン水添ブロック共重合体(SEBS)、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとの水添ブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。この水添の方法、反応条件については特に限定はない。通常は、20〜150℃、0.1〜10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下に水添する事によって行われる。この場合、水添率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、又は反応時間等を変えることにより任意に選定することができる。また、上記水添触媒として通常は、元素周期表Ib、IVb、Vb、VIb、VIIb、VIII族金属のいずれかを含む化合物、例えば、Ti、V、Co、Ni、Zr、Ru、Rh、Pd、Hf、Re、Pt原子を含む化合物を用いることができる。上記水添触媒として具体的には、例えば、Ti、Zr、Hf、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Re等のメタロセン系化合物、Pd、Ni、Pt、Rh、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒、Ni、Co等の金属元素の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機アルミニウム等の還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒、Ru、Rh等の有機金属化合物又は錯体、及び水素を吸蔵させたフラーレンやカーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0016】
この中で、Ti、Zr、Hf、Co、Niのいずれかを含むメタロセン化合物は、不活性有機溶媒中、均一系で水添反応できる点で好ましい。更に、Ti,Zr,Hfのいずれかを含むメタロセン化合物が好ましい。特にチタノセン化合物とアルキルリチウムとを反応させた水添触媒は安価で工業的に特に有用な触媒であるので好ましい。具体的な例として、例えば、特開平1−275605号公報、特開平5−271326号公報、特開平5−271325号公報、特開平5−222115号公報、特開平11−292924号公報、特開2000−37632号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭63−5401号公報、特開昭62−218403号公報、特開平7−90017号公報、特公昭43−19960号公報、特公昭47−40473号公報に記載の水添触媒が挙げられる。尚、上記水添触媒は1種のみ用いてもよく、又は2種以上を併用することもできる。
【0017】
上記(B)官能基含有(共)重合体に含まれる官能基としては、後述する(C)シリカ系フィラーと相互作用できる性質を有していれば特に限定はない。かかる官能基としては、例えば、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、スルホン基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素のうちの1種又は2種以上)、オキサゾリン基、イソシアネート基及びチオール基から選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。ここで、上記カルボキシル基には、通常のカルボキシル基(−COOH)だけでなく、加水分解によりカルボキシル基を生じる基、例えば、以下に示す無水カルボキシル基、エステル基、アミド基等も含まれる。また、上記官能基の位置についても特に限定はなく、末端に位置してもよく、あるいは、末端以外の箇所に位置してもよい。
【0018】
【化1】
【0019】
上記(B)成分として具体的には、カルボン酸変性EPDM、カルボン酸変性EPM、無水マレイン酸変性EPDM、無水マレイン酸変性EPM、アミン変性SEBS水添ブロック共重合体及びアミン変性CEBC水添ブロック共重合体等のアミン変性水添ポリマー、並びにアルコキシシリル変性SEBS水添ブロック共重合体及びアルコキシシリル変性CEBC水添ブロック共重合体等のアルコキシシリル変性水添ポリマー等の1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
【0020】
上記(B)成分を得る方法、即ち、(共)重合体中に官能基を含有させる方法は特に限定はない。例えば、(1)官能基を有する重合開始剤を用いて重合を行うことにより導入する方法、(2)官能基を有する不飽和単量体を反応させることにより導入する方法、及び(3)(共)重合体の活性点に官能基を有する重合停止剤を反応させることにより導入する方法等が挙げられる。また、上記の各方法は単独で行ってもよく、又は上記の方法を組み合わせて行ってもよい。
【0021】
本発明のゴム組成物中の上記(B)成分の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の含有量の合計を100質量部とした場合、1〜50質量部、好ましくは1〜45質量部、更に好ましくは1〜40質量部、より好ましくは3〜40質量部、特に好ましくは3〜35質量部、最も好ましくは3〜30質量部である。上記(B)成分の含有量が1質量部未満では、後述の(C)シリカ系フィラーとの相互作用が弱く、分散性の向上が十分でなく、その結果、高温時の物性及び防振性能が低下するので好ましくない。一方、上記(B)成分の含有量が50質量部を越えると、高温時の物性及び防振性能が低下するので好ましくない。
【0022】
<3>(C)シリカ系フィラー
本発明では、上記(C)シリカ系フィラー(以下、単に「(C)成分」ということもある。)を含有する。これにより、カーボンファイバーと比較して、ゴム組成物の静動比を低下させ、防振性を向上させることができる。上記(C)成分のサイズについては特に限定はなく、必要に応じて種々変更することができる。また、本発明において、上記(C)成分は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0023】
上記(C)成分として具体的には、例えば、湿式法ホワイトカーボン(特開昭62−62838号公報に記載された沈降シリカ)、乾式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ等が挙げられる。また、マイカ(K2Mg6〔Si3Al〕O2〔OH〕4、K2Al4〔Si3Al〕O2〔OH〕4)の他、下記一般式(I)で表される無機化合物でもよい。
mM1・xSiOy・zH2O (I)
[上記一般式(I)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]
【0024】
上記一般式(I)で表される無機化合物としては、アルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2 ・9H2 O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3 ・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2 ・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4 ・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が例示できる。本発明では、これらのシリカ系化合物の1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0025】
上記(C)成分の含有量は、上記(A)成分の含有量と上記(B)成分の含有量との合計100質量部に対し、5〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、更に好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜60質量部、特に好ましくは10〜50質量部、最も好ましくは10〜40質量部である。上記(C)成分の含有量が5質量部未満では、含有量が少なすぎ、ゴム組成物の静動比を低下させ、防振性を向上させることが困難になるので好ましくなく、100質量部を越えると、ゴム組成物の粘度が上がり過ぎ、混練り、成形加工が困難となるので好ましくない。
【0026】
<4>(D)アミン化合物
本発明のゴム組成物では、更に(D)アミン化合物(以下、単に(D)成分ということもある。)を含有させることができる。かかるアミン化合物を含有することにより、上記(C)シリカ系フィラーの濡れ性を改良し、ゴム組成物中での分散性を向上させ、耐久性及び防振性能を向上させることができるので好ましい。本発明において、上記(D)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0027】
上記アミン化合物は、アミノ基を含んでいれば、その構造については特に限定はなく、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれでもよい。また、アミノ基の数についても特に限定はなく、モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ポリアミンでもよい。更に、上記アミン化合物の炭素数も特に限定はなく、通常は1〜20、好ましくは1〜15、更に好ましくは3〜15、より好ましくは3〜10である。また、アルカノールアミン等のように、アミノ基以外のその他の官能基を含んでいてもよい。上記アミン化合物として具体的には、例えば、2−エチルヘキシルアミン及びトリエタノールアミン等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0028】
上記(D)成分の含有量についても特に限定はなく、必要に応じて種々の範囲とすることができる。上記(D)成分の含有量は、上記(A)成分の含有量と上記(B)成分の含有量との合計100質量部に対し、通常、20質量部以下、好ましくは0より大きく15質量部以下、更に好ましくは0より大きく10質量部以下、より好ましくは0.01〜10質量部、特に好ましくは0.01〜8質量部、最も好ましくは0.01〜5質量部である。
【0029】
<5>その他の成分
更に、本発明のゴム組成物では、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記(A)成分以外のゴム成分を含んでいてもよい。このようなゴム成分としては、例えば、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。もっとも、天然ゴムを多量に配合すると、ゴム組成物の耐熱性が低下するおそれがあることから、天然ゴムを含有させる場合、その含有量は15質量部以下とすることが好ましい。また、本発明のゴム組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。上記添加剤としては、例えば、補強剤、ゴム用伸展油、充填剤、架橋剤、架橋促進剤及び架橋活性化剤等が挙げられる。
【0030】
上記補強剤としては、カーボンブラックを使用することができる。また、上記補強剤の配合量は、本発明の(A)成分及びその他のゴムを含むゴム成分の全量を100質量部とした場合に200質量部以下、特に150質量部以下とすることができる。更に、上記補強剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記カーボンブラックの種類等は特に限定されず、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられる。これらのうちでは特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、MT、SRF、GPF、MAF、FEF、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS等が挙げられる。これらのカーボンブラックは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、ASTM D3037−81に準拠してBET法により測定したカーボンブラックの窒素吸着比表面積は特に限定されないが、架橋ゴムの引張強度等を十分に向上させるためには、5〜200m2/g、特に50〜150m2/g、更には80〜130m2/gであることが好ましい。また、カーボンブラックのDBP吸着量も特に限定されないが、架橋ゴムの強度等を十分に向上させるためには、5〜300ml/100g、特に50〜200ml/100g、更には80〜160ml/100gであることが好ましい。
【0032】
上記ゴム用伸展油としては、石油系配合油であるパラフィン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等を使用することができる。このゴム用伸展油としては、パラフィン系のプロセスオイルが好ましい。ゴム用伸展油の配合量は、本発明の(A)成分及びその他のゴムを含むゴム成分の全量を100質量部とした場合に150質量部以下、特に100質量部以下とすることができる。また、このゴム用伸展油は、油展ゴムとして予めゴム中に含まれていてもよい。
【0033】
上記充填剤としては、タルク、クレー、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等を適量配合することができる。
【0034】
上記架橋剤としては、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等の硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄等のハロゲン化硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリン等の有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂等を使用することができる。架橋剤は各々の種類のうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもでき、異なった種類のものを併用することもできる。上記架橋剤は、本発明の(A)成分及びその他のゴムを含むゴム成分の全量を100質量部とした場合に0.1〜20質量部、特に0.5〜10質量部とすることが好ましい。この範囲の配合量であれば、架橋ゴムの引張強度等を十分に向上させることができる。
【0035】
架橋促進剤としては、以下の各種のものを使用することができる。
(a)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系架橋促進剤、
(b)ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系架橋促進剤、
(c)チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチオウレア系架橋促進剤、
(d)2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系架橋促進剤、
(e)テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系架橋促進剤、
(f)ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のジチオカルバミン酸系架橋促進剤、
(g)イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系架橋促進剤。
【0036】
上記架橋促進剤は各々の種類のうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもでき、異なる種類のものを併用することもできる。架橋促進剤の配合量は、本発明の(A)成分及びその他のゴムを含むゴム成分の全量を100質量部とした場合に20質量部以下、特に10質量部以下とすることが好ましい。尚、有機過酸化物を架橋剤として使用し、これに少量(有機過酸化物100質量部に対して1〜5質量部、特に2〜4質量部)の硫黄を架橋助剤として組み合わせて用いることもできる。
【0037】
上記架橋活性化剤としては、ステアリン酸等の高級脂肪酸及び酸化亜鉛等を使用することができる。酸化亜鉛としては、表面活性が高く、粒径が5μm以下のものが好ましい。そのような酸化亜鉛としては、粒径が0.05〜0.2μmの活性亜鉛華、あるいは0.3〜1μmの亜鉛華等が挙げられる。また、アミン系の分散剤又は湿潤剤により表面処理した酸化亜鉛等を使用することもできる。これらの架橋活性化剤は、各々の種類のうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもでき、異なる種類のものを併用することもできる。架橋活性化剤は、その種類により適宜の配合量とすることができる。
【0038】
本発明のゴム組成物を得るための上記(A)成分〜(C)成分の混合パターンについては特に限定はない。通常は、上記(B)成分と上記(C)成分とを混合し、得られた混合物と、上記(A)成分を混合することにより得る。その他、上記(A)成分と上記(B)成分とを混合し、得られた混合物と、上記(C)成分とを加熱混合してもよい。また、上記(A)成分と上記(C)成分とを混合し、得られた混合物と、上記(B)成分とを加熱混合してもよい。更に、上記(A)成分〜(C)成分の全てを同時に混合してもよい。この場合の製造条件は、以下に詳述するゴム組成物の製造方法と同様の製造条件とすることができる。
【0039】
<6>用途・物性
本発明のゴム組成物は、上記構成を有することにより、十分な耐熱性及び耐久性を有すると共に、優れた防振性能を有する。例えば、実施例に記載の方法により測定した高温時(120℃)での引張強さTBが5.2MPa以上、好ましくは5.5MPa以上とし、切断時伸びEB(%)が175%以上、好ましくは180%以上、更に好ましくは190%以上とすることができる。また、実施例に記載の方法により求めた静動比を1.35以下、好ましくは1.33以下、更に好ましくは1.3以下とすることができる。更に、実施例に記載の方法により求めた硬さの変化AHを+10以下、好ましくは+7以下、更に好ましくは+5以下とすることができる。
【0040】
本発明のゴム組成物をゴム成形品とする場合、通常、本発明のゴム組成物を用いて所定形状に成形した後、架橋剤(過酸化物等)と、必要に応じて架橋助剤(硫黄等)とを加えて上記(A)成分の架橋を行う。本発明のゴム成形品は、架橋剤により、本発明のゴム組成物中の上記(A)成分の架橋を行うことにより得られるものである。例えば、本発明のエンジンマウント用防振ゴムは、本発明のゴム組成物を用いてエンジンマウントの形状に成形した後、架橋剤(過酸化物等)と、必要に応じて架橋助剤(硫黄等)とを加えて上記(A)成分の架橋を行って、エンジンマウント用防振ゴムとする。上記架橋剤及び上記架橋助剤は、上述の架橋剤及び架橋助剤を用いることができる。
【0041】
本発明のゴム成形品としては、例えば、例えば、エンジンマウント、マフラーハンガー等の防振ゴム類、ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース類及びホースカバー類、パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O−リング、オイルシール等のシール類、ベルト、ライニング、ダストブーツ等が挙げられる。上記のように、本発明のゴム組成物は、十分な耐熱性及び耐久性を有すると共に、優れた防振性能を有することから、本発明のゴム成形品としては、防振ゴム、特に、エンジンマウント用防振ゴムのように、高温状態となる環境下で使用する防振ゴムに好適である。
【0042】
<7>ゴム組成物及び成形品の製造方法
本発明のゴム組成物の製造方法では、上記(B)成分と上記(C)成分とを加熱混合して混合物を調製する。これにより、上記(B)成分中の官能基と上記(C)成分との間に相互作用を生じさせ、上記(C)成分のゴム組成物中の分散性を向上させることができるので好ましい。上記(B)成分と上記(C)成分とを加熱混合する場合の条件については特に限定はなく、必要に応じて種々の条件とすることができる。通常、加熱温度は150〜220℃、好ましくは150〜200℃である。また、混合時間は通常10分以内、好ましくは1〜5分である。かかる範囲とすることにより、上記(B)成分中の官能基と上記(C)成分との相互作用が好適に進行し、静動比を向上させると共に、高温時の物性、特に高温時の伸び及び伸張疲労性を改善することができるので好ましい。また、混合方法としては、バンバリーミキサ又はミキシングロール等を用いて混合する方法等が挙げられる。この段階で、必要に応じて他の成分を添加し、混合してもよい。
【0043】
次いで、上記方法により得られた混合物と、上記(A)成分とを混合する。この場合の混合条件についても特に限定はない、通常、加熱温度は140〜220℃、好ましくは150〜200℃である。また、混合時間は通常3〜10分、好ましくは5〜7分である。また、この段階でも、必要に応じて他の成分を添加し、混合してもよい。
【0044】
また、本発明の他のゴム組成物の製造方法のように、上記(A)成分〜(C)成分とを同時に加熱混合してもよい。かかる混合によっても、上記(B)成分中の官能基と上記(C)成分との間に相互作用を生じさせ、上記(C)成分のゴム組成物中の分散性を向上させることができるので好ましい。この場合の加熱混合する場合の条件については特に限定はなく、必要に応じて種々の条件とすることができる。通常、加熱温度は150〜220℃、好ましくは150〜200℃である。また、混合時間は通常10分以内、好ましくは1〜5分である。かかる範囲とすることにより、上記(B)成分と(C)成分との相互作用及び分散性の向上が好適に進行し、静動比を向上させると共に、高温時の物性、特に高温時の伸び及び伸張疲労性を改善することができるので好ましい。また、混合方法としては、上記の同様の方法で行うことができる。
【0045】
その他、上記(A)成分〜(C)成分の混合パターンについては特に限定はない。例えば、上記(A)成分と上記(B)成分とを混合し、得られた混合物と、上記(C)成分とを加熱混合してもよい。また、上記(A)成分と上記(C)成分とを混合し、得られた混合物と、上記(B)成分とを加熱混合してもよい。その際の製造条件については、必要に応じて種々の条件とすることができる。例えば、上記と同じ条件で行うことができる。
【0046】
本発明のゴム成形品の製造方法は、本発明のゴム組成物と架橋剤とを混合し、本発明のゴム組成物中の上記(A)成分の架橋を行うものである。この場合、必要に応じて架橋助剤を加えてもよい。上記架橋剤及び上記架橋助剤は、上述の架橋剤及び架橋助剤を用いることができる。この場合の混合条件としては、通常、温度は40〜80℃、好ましくは50〜70℃であり、混合時間は通常10分以内、好ましくは5分以内である。混合方法としては、バンバリーミキサ又はミキシングロール等を用いて混合する方法等が挙げられる。また、この段階において、その他の添加剤を配合してもよい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、実施例中の「%」及び「部」は、特に断らない限り重量基準である。
(1)ゴム組成物の調製
以下に示す配合成分を、表1に記載した割合で、1.7リットルのバンバリーミキサー、6インチのオープンロールで混練りし、各ゴム組成物を得た。即ち、以下の配合成分中、(B)成分及び(C)成分を1.7リットルのバンバリーミキサーを用いて150℃で5分間混練りして混合物1を得た。次いで、該混合物1と(A)成分及びその他の成分とを100℃で5分間混練りして混合物2を得た。その後、該混合物2とその他の成分である架橋剤及び架橋助剤とを上記オープンロールにより、50〜70℃で5分間混練りして、実施例1〜8及び比較例1〜5の各ゴム組成物を得た。
【0048】
(A)成分
▲1▼EPDM;JSR社製 商品名「T7501EF」(ゴム分は出光興産社製パラフィンオイル「ダイアナプロセスPW380」中に分散)
▲2▼天然ゴム;RSS1号(国際規格)
(B)成分
▲1▼無水マレイン酸変性EPM;JSR社製 商品名「T7761P」
▲2▼カルボン酸変性EPDM;試作カルボン酸変性EPDM
▲3▼アミン変性SEBS水添ブロック共重合体:試作アミン変性SEBS水添ブロック共重合体
▲4▼アルコキシシリル変性SEBS水添ブロック共重合体:試作アルコキシシリル変性SEBS水添ブロック共重合体
(C)成分
▲1▼日本シリカ社製 商品名「ニプシールVN3」
(D)成分
▲1▼和光純薬工業社製 商品名「2−エチルヘキシルアミン」
▲2▼日本触媒化学社製 商品名「トリエタノールアミン」
その他の成分
▲1▼カップリング剤;デグサ社製 商品名「Si69」
▲2▼亜鉛華;白水化学工業社製 商品名「酸化亜鉛2種」
▲3▼ステアリン酸;花王社製 商品名「ルナックS30」
▲4▼SRFカーボン;東海カーボン社製 商品名「シーストS」
▲5▼軟化剤;出光興産社製 商品名「ダイアナプロセスPW380」
▲6▼架橋剤;日本油脂社製 商品名「パークミルD―40」
▲7▼架橋助剤;鶴見化学工業社製 商品名「イオウ」
【0049】
<試作カルボン酸変性EPDMの合成方法>
窒素置換した2Lセパラブルフラスコに、ヘキサン1000mLと、5−メチル−5−カルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンの0.5mol/Lヘキサン溶液30mL(5−メチル−5−カルボキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテン15mmol)を入れた。次いで、この系を攪拌しながらトリイソブチルアルミニウムを18mmol添加して反応させることにより、5−メチル−5−カルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンにおけるカルボキシル基のマスキング処理を行った。
その後、この系に5−エチリデン−2−ノルボルネン2.0mlを加え、エチレン(供給量:5L/min)/プロピレン(供給量:3.5L/min)混合ガスを連続的に供給しながら、重合触媒として、Al2(C2H5)3Cl3の濃度が0.81mol/Lのヘキサン溶液22.2mL(Al2(C2H5)3Cl318mmol)を添加し、次いで、VCl4の濃度が0.10mol/Lのヘキサン溶液10mL(VCl41.0mmol)を添加し、25℃、10分間の条件で、エチレン、プロピレン及び5−メチル−5−カルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンの共重合反応を行った。
得られた重合体溶液に、108mmolのシュウ酸を含有するメタノール溶液を添加して10分間攪拌することにより、脱マスキング処理を行った。
次いで、重合体溶液に、水1Lを添加して10分間攪拌した後、重合体溶液(有機層)のみを回収し、当該重合体溶液を水1Lによって3回洗浄することにより、残留するシュウ酸等の除去処理を行った。その後、重合体溶液に水蒸気を吹き込むことにより、溶媒の除去処理を行った。その後、得られたスラリーから固形分を分離し、これを加熱ロールによって乾燥処理することにより、固体状のカルボン酸変性EPDM25gを得た。このカルボン酸変性EPDMについて分析したところ、エチレンに由来する構造単位の含有割合は83.7モル%、プロピレンに由来する構造単位の含有割合は14.17モル%、5−メチル−5−カルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンに由来する構造単位の含有割合は0.6モル%であった。また、JIS K6300により測定したムーニ−粘度は39 ML(1+4)100℃であった。
【0050】
<触媒B[ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウム(フルフリルオキシ)クロライド]の合成方法>
撹拌機、滴下漏斗を備えた1L容量の三つ口フラスコを乾燥窒素で置換し、無水テトラヒドロフラン200ml及びフルフリルアルコール0.2モルを加えた。その後、n−BuLi/シクロヘキサン溶液(0.2モル)を三つ口フラスコ中に15℃にて滴下して反応を行い、フルフリルオキシリチウムのテトラヒドロフラン溶液を得た。
次に、撹拌機、滴下漏斗を備えた1L容量の三つ口フラスコを乾燥窒素で置換し、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド49.8g(0.2モル)及び無水テトラヒドロフラン250mlを加えた。そして、上記記載の方法により得られたフルフリルオキシリチウムのテトラヒドロフラン溶液を室温撹拌下にて約1時間で滴下した。約2時間後、赤褐色液を濾過し、不溶部をジクロロメタンで洗浄した。その後、ろ液及び洗浄液を合わせて減圧下にて溶媒を除去することにより、触媒B[ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウム(フルフリルオキシ)クロライド](「[クロロビス(2,4−シクロペンタジエニル)チタン(IV)フルフリルアルコキシド]」ともいう。)を得た。尚、収率は97%であった。
【0051】
<試作アミン変性SEBS水添ブロック共重合体の合成方法>
内容積10Lのオートクレーブに、脱気・脱水したシクロヘキサン5kg及びスチレン90gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン175g及びn−ブチルリチウム0.8gを加え、50℃からの断熱重合を20分行った。反応液を30℃とした後、1,3−ブタジエン850gを加え断熱重合を行った。転化率がほぼ100%になった後、更にスチレン60gを加えて重合を行って、SBS重合体を得た。次いで、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン3.04gを加え、上記SBS重合体の活性点に30分反応させた。
反応終了後、ジエチルアルミニウムクロライド1.30gを添加して20分撹拌し、次いで上記触媒B0.94gを添加した。その後、n−BuLi0.20gを加え、水素を導入して80℃〜120℃、圧力0.8MPaを保つようにして水添反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留により除去することによって、アミン変性SEBS水添ブロック共重合体を得た。得られたアミン変性SEBS水添ブロック共重合体の水添率は99%、数平均分子量は12万、水添前ポリマーの結合スチレン含量は15質量%、ブタジエンブロックのビニル結合含量は79%、MFRは17g/10分であった。
【0052】
<アルコキシシリル変性SEBS水添ブロック共重合体の合成方法>
内容積10Lのオートクレーブに、脱気・脱水したシクロヘキサン5kg及びスチレン90gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン175g及びn−ブチルリチウム0.8gを加え、50℃からの断熱重合を20分行った。反応液を30℃とした後、1,3−ブタジエン850gを加え断熱重合を行った。転化率がほぼ100%になった後、さらにスチレン60gを加えて重合を行って、SBS重合体を得た。次いで、メチルトリフェノキシシラン4.84gを加え、上記SBS重合体の活性点に30分反応させた。
反応終了後、ジエチルアルミニウムクロライド1.52gを添加して20分撹拌し、次いで上記触媒B1.10g添加した。その後、n−BuLi0.20gを加え、水素を導入して80℃〜120℃、圧力0.8MPaを保つようにして水添反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留により除去することによって、アルコキシシリル変性SEBS水添ブロック共重合体を得た。得られたアルコキシシリル変性SEBS水添ブロック共重合体の水添率は98%、数平均分子量は17万、水添前ポリマーの結合スチレン含量は15重量%、ブタジエンブロックのビニル結合含量は80%、MFRは4.5g/10分であった。
【0053】
(2)性能評価
上記の方法により調製した実施例及び比較例の各ゴム組成物を170℃のプレス成型機により、プレス圧150kgf/cm2の圧力下で10分間加熱して、厚さ2mmの試験片(加硫シート)を作製した。また、以下の粘弾性試験に用いた試験片(加硫サンプル)は、上記の方法により調製した実施例及び比較例の各ゴム組成物を10分間加熱することにより作製した。そして、得られた試験片を用い、以下に記載の方法により、性能評価を行った。その結果を表2に示す。
【0054】
▲1▼引張試験
JIS K6251に準拠し、3号型試験片を用い、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で、引張強さTB(MPa)及び切断時伸びEB(%)を測定した(常態物性)。また、高温物性の評価は、槽内を120℃に調整し、試験片を槽内に5分保持した後、上記条件で測定した。
▲2▼硬さ試験
JIS K6253に準拠し、試験片のスプリング硬さ(デュロメーターA硬度)を測定した。
▲3▼粘弾性(RDA)試験
JIS K6394に準拠し、ブロック状の試験片を用い、レオメトリックス社製「レオメトリックスダイナミックアナライザー(RDA)」により、動的歪0.5%、温度25℃の条件で、1Hz及び70Hzでの動的弾性率を測定した。そして、以下の式により、静動比を算出した。
静動比=(70Hz時の動的弾性率)/(1Hzの動的弾性率)
▲4▼伸張疲労試験
インフィニットニシ社製、16連ゴム疲労試験機にて、3号型試験片を用い、初期ひずみ0%、伸張率100%、温度120℃の条件で繰り返し伸張疲労を実施し、破断回数を測定した。
▲5▼耐熱老化性試験
JIS K6257に準拠し、140℃、200時間の条件でノーマルオーブン法にて耐熱老化性試験を行い、硬さの変化AH(ポイント)、引張強さTB及び破断時伸びEBの変化(AC、(%))を算出した。このAC及びAHが0に近いほど、耐熱性に優れていることになる。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表1及び表2より、本発明の範囲内である実施例1〜8は、比較例1〜5と比べて、いずれも、引張試験、硬さ試験、静動比、伸張疲労試験及び耐熱老化試験の値が好適な範囲にあり、防振特性、耐久性及び耐熱性のバランスに優れたゴム組成物であることが分かる。また、実施例1と、上記(D)成分を加えた実施例2及び3とを対比すると、実施例2及び3では、静動比が小さく、伸張疲労試験の数値が大きいことから、上記(D)成分を加えたゴム組成物は、特に防振性能及び耐久性に優れたゴム組成物であることが分かる。
【0058】
一方、表1及び表2より、本発明の(B)成分を含有しない比較例1、本発明の(B)成分の含有量が過剰な比較例2及び本発明の(C)成分を含有しない比較例5では、いずれも耐熱老化性試験では実施例1〜8と同程度の値を示し、耐熱性に優れている反面、高温時EBが低く、静動比が1.32以上と大きいことから、伸長性及び防振性能、特に高温時の防振性能に劣ることが分かる。また、本発明の(B)成分を含有しない代わりに天然ゴムを含有する比較例3及び本発明の(A)成分の代わりに天然ゴムを配合した比較例4では、高温時EBが高く、静動比が1.23以下と低いことから、伸長性及び防振性能、特に高温時の防振性能が改善されているのに対し、比較例3では、耐熱老化性試験、特にAHが著しく大きく、また、比較例4では、硬化劣化により測定不可となっていることから、耐熱性が低下していることが分かる。
【0059】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、上記構成を有することにより、防振性能に優れると共に、十分な耐熱性を有することから、本発明のエンジンマウント用防振ゴムのように、エンジンマウント等の高温状態となる環境において、好適に使用することができる。更に、本発明のゴム組成物の製造方法によれば、上記有用な作用効果を有するゴム組成物を容易に得ることができる。
Claims (9)
- (A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計を100質量部とした場合、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが50〜99質量部、上記(B)官能基含有(共)重合体が1〜50質量部であり、且つ、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計100質量部に対し、(C)シリカ系フィラーを5〜100質量部含有することを特徴とするゴム組成物。
- 上記(B)官能基含有(共)重合体を構成する(共)重合体は、スチレン−ブタシエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム若しくはエチレン−プロピレン−ジエンゴム又はこれらの水添物である請求項1記載のゴム組成物。
- 上記(B)官能基含有(共)重合体に含まれる官能基は、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、スルホン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基及びハロゲンから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載のゴム組成物。
- 更に(D)アミン化合物を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載のゴム組成物。
- 上記(B)官能基含有(共)重合体と、上記(C)シリカ系フィラーと、を加熱混合することにより混合物を調製し、次いで、該混合物と、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと、を混合することにより得られる請求項1乃至4のいずれかに記載のゴム組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のゴム組成物中の上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムを、架橋剤により架橋してなることを特徴とするゴム成形品。
- (B)官能基含有(共)重合体と、(C)シリカ系フィラーと、を加熱混合することにより混合物を調製し、次いで、(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計を100質量部とした場合、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合の含有量が50〜99質量部、上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量が1〜50質量部であり、且つ、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計100質量部に対し、上記(C)シリカ系フィラーの含有量が5〜100質量部となるように、上記混合物と、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと、を混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
- (A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計を100質量部とした場合、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが50〜99質量部、上記(B)官能基含有(共)重合体が1〜50質量部であり、且つ、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム及び上記(B)官能基含有(共)重合体の含有量の合計100質量部に対し、(C)シリカ系フィラーの含有量が5〜100質量部となるように、上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと、上記(B)官能基含有(共)重合体と、上記(C)シリカ系フィラーと、を加熱混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のゴム組成物に、架橋剤を加えて上記(A)エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムを架橋することを特徴とするゴム成形品の製造方法。
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