JP2004075636A - コラーゲン代替組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、皮膚外用剤、細胞培養用基質、生体材料、医用材料、食品等の成分として、多くの分野で不可欠な機能を担っているコラーゲンに対して、安全かつ効果的に代替することができる材料であるタンパク質および/または該タンパク質を加水分解等の処理をした処理物であるコラーゲン代替処理組成物を提供することを課題とする。
また、該コラーゲン代替処理組成物の化粧品、細胞培養用基材、組織培養用基材、器官培養用基材、生体材料、医用材料、食品への応用を課題とする。
【解決手段】植物の植物体、あるいはその一部分、特に、安定に供給され、肥料・飼料として以外はほとんど未利用の資源である「米糠」から可溶性画分として調製される特有のタンパク質、およびその加水分解物が、既存のコラーゲンを代替しうることを見出し、前記課題を解決した。
【選択図】 なし。
また、該コラーゲン代替処理組成物の化粧品、細胞培養用基材、組織培養用基材、器官培養用基材、生体材料、医用材料、食品への応用を課題とする。
【解決手段】植物の植物体、あるいはその一部分、特に、安定に供給され、肥料・飼料として以外はほとんど未利用の資源である「米糠」から可溶性画分として調製される特有のタンパク質、およびその加水分解物が、既存のコラーゲンを代替しうることを見出し、前記課題を解決した。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コラーゲンの代替となりうる特性を有するタンパク質および/またはその処理物を含有する組成物およびその用途に関する。
【0002】
更に、コラーゲンの代替となりうる特性を有するタンパク質と該タンパク質を用いた処理物を化粧品、細胞培養用基材、組織培養用基材、器官培養用基材、生体材料、医用材料、食品へ応用することに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、コラーゲン、およびその処理物は、その優れた特性から様々な応用がなされてきた。
【0004】
コラーゲン、その熱処理物であるゼラチン、さらにはコラーゲンの加水分解物であるコラーゲンペプチド等、動物由来のコラーゲン関連物質は、その保湿性、肌への「なじみ」の良さに起因する優れた使用感、また皮膚に投与した際の、皮膚中で外的刺激からのバリア機能を担っているコラーゲンマトリクスへの補完作用や、皮膚が本来持つコラーゲン合成機構との相互作用などへの期待から、広く化粧品組成物として利用されるに至っている。
【0005】
また、コラーゲンは元来、生理的には、動物の体の構造の維持、補強という役割を果たしている。生体内では、細胞間マトリックスとして細胞の発生、分化、形態形成などにおいて重要な役割を担う物質として知られている。よってコラーゲンおよびその処理物の物理特性は、動物細胞との親和性が高く、医学・生物学的研究における細胞培養、組織培養、また器官培養の基材として好適であり、ゲル、皮膜、ビーズなど様々な形態で応用されている。
【0006】
またコラーゲンは生体を構成する主要なタンパク質であり、生体親和性が高く、加工性がよく、抗原性が低いことなどから、液状、ゲル状、フィルム状、チューブ状などの形態に加工され、生体材料や医用材料として好適に用いられている。
【0007】
さらに、コラーゲンは、食品としては、一般に食用に共されているタンパク質、特に植物性タンパクに不足、欠落しているアミノ酸を補う動物性食用タンパク質として、その特徴的なアミノ酸構成から、栄養補助成分として広く食品、飲料に添加されている。また可食性の成形性付与材としての特徴から、ソーセージのケーシング材、水産練食品の成形助剤等にも用いられている。さらに、コラーゲンの加水分解物であるゼラチンもまた、広く食用に共されている。
【0008】
昨今、家畜伝染病、とくに人への感染が疑われているウシ海綿状脳症などの問題から、家禽由来材料の安全確保に対する負担が増大している。ウシ海綿状脳症に関しては使用部位の限定や産地の非発生地域への限定、また検査体制の確立により、その供与体の安全性には十分な保証がなされるようになりつつあるものの、こうした病害の世界的な流行は、特に直接人体に接触し、あるいは摂取される材料およびその組成物のイメージに多大な影響を与えるだけでなく、供給量の大幅な変動の可能性、それに伴う価格変動などのリスクを含んでいる。
【0009】
またこのような問題を避け魚介由来のコラーゲンに移行する動きもあるが、魚介特有の臭気の問題、その対策としての鮮度保持や素材の選別、低温環境生物由来であることによる熱安定性の低さ、気候変動に伴う漁獲変動による供給量の不安定性、余剰材料の廃棄処理の問題などがコスト高を招く要因となっており、費用対効果の点では家畜由来のものに比べ依然課題がある。
【0010】
プロリンおよびヒドロキシプロリン含量の多い植物由来のタンパク質として、エクステンシン(extensin)をはじめとするいわゆるヒドロキシプロリンリッチグリコプロテイン(HRGP)が知られる。たとえば特開平6−80700では、シカクマメ由来のヒドロキシプロリンに富む新規タンパク質が、またWO96/20284では、そのようなタンパク質の化粧的、薬学的調製物への利用が開示されている。しかしながらその調製源が特定植物の培養細胞という特殊なものであること、結合性タンパク質であり分離精製が煩雑であることなどの課題があり、またその用途も一部の外用剤に限定されるものであった。
【0011】
本発明と同等のアミノ酸配列を構造中の一部に有するタンパク質の存在については、Caellesらの報告(Plant Molecular Biology 18:617−619(1992))、Shojiらの報告(Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 65(5), 1181−1186(2001))が知られるが、当該配列を有するタンパク質、およびその処理物のコラーゲン代替組成物としての可能性についての検討事例はない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、皮膚外用剤、細胞培養用基質、生体材料、医用材料、食品等の成分として、多くの分野で不可欠な機能を担っているコラーゲンに対して、安全かつ効果的に代替することができる材料であるタンパク質および/または該タンパク質を加水分解等の処理をした処理物であるコラーゲン代替処理組成物を提供することを課題の一つとする。
【0013】
また、該コラーゲン代替処理組成物の化粧品、細胞培養用基材、組織培養用基材、器官培養用基材、生体材料、医用材料、食品への応用を課題の一つとする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み、動物あるいは魚介以外の材料、特に、植物由来の物質に注目し、鋭意検討を重ねた。その結果、イネ科植物の植物体、あるいはその一部分、特に、安定に供給され、肥料・飼料として以外はほとんど未利用の資源である「米糠」から可溶性画分として調製される特有のタンパク質、およびその加水分解物が、既存のコラーゲンを代替しうる優れた特徴を有することを見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち本発明は例えば以下に示すものである。
[1]N末端アミノ酸配列がアミノ酸配列番号1で表される配列を有するタンパク質および/または該タンパク質の処理物であることを特徴とするコラーゲン代替組成物。
配列番号1 Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro−
【0016】
[2]タンパク質が、植物および/または植物の一部より得られるタンパク質であることを特徴とする[1]に記載のコラーゲン代替組成物。
[3]植物がイネ科植物であることを特徴とする[2]に記載のコラーゲン代替組成物。
[4]植物および/または植物の一部が米糠であることを特徴とする[2]または[3]に記載のコラーゲン代替組成物。
[5]植物および/または植物の一部より得られるタンパク質がトリス−EDTA緩衝液の可溶画分であることを特徴とする[2]に記載のコラーゲン代替組成物。
【0017】
[6]タンパク質の処理物が、加水分解処理したものであることを特徴とする[5]に記載のコラーゲン代替組成物。
[7]加水分解処理が、タンパク質分解酵素によるものであることを特徴とする[6]に記載のコラーゲン代替組成物。
【0018】
[8]植物よりトリス−EDTA緩衝液を用いて可溶画分を抽出する工程を含むことを特徴とするN末端アミノ酸配列がアミノ酸配列番号1で表される配列を有するタンパク質および/または該タンパク質の処理物であるコラーゲン代替組成物の製造方法。
配列番号1 Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro−
【0019】
[9][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
[10]皮膚外用剤がクリーム、エッセンス、化粧水、乳液、パウダーまたはムースであることを特徴とする[9]に記載の皮膚外用剤。
[11]皮膚外用剤がマニキュア、リップクリーム、パック、ネイルケア剤、歯磨き、浴用剤、シャンプー、リンス、ヘアトニックまたはヘアクリームであることを特徴とする[9]に記載の皮膚外用剤。
[12]皮膚外用剤がうがい薬、養毛剤、育毛剤または頭皮用剤であることを特徴とする[9]に記載の皮膚外用剤。
【0020】
[13][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする培養用基材。
[14]培養用基材が、細胞培養、組織培養または器官培養用基材であることを特徴とする[13]に記載の培養用基材。
【0021】
[15][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする医用・生体材料。
[16]医用・生体材料がコーティング剤、皮膚補修用インプラント剤、代用硝子体、コンタクトレンズ、創傷保護材、人工角膜、薬剤徐放剤、縫合糸、止血剤、人工血管、接合剤または人工皮膚であることを特徴とする[15]に記載の医用・生体材料。
【0022】
[17][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする食品。
[18]食品がスープ、タレ、水産練製品、畜肉練製品、健康食品または飲料であることを特徴とする[17]に記載の食品。
【0023】
【発明の実施の形態】
タンパク質の性質と調製
本発明に用いられるタンパク質の調製法、および物理化学的性質を説明する。本発明にかかるタンパク質は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(分子量マーカーとの比較)による測定において57キロダルトン付近の分子量を与える。またN末端アミノ酸配列解析によれば下記の配列を有する。
Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro−
【0024】
本発明のタンパク質は、アミノ酸分析によれば、その構成はプロリンおよびヒドロキシプロリンに富む。また炭化水素分析によればアラビノース、マンノース、ガラクトース、キシロースなどの糖鎖により高度に修飾されているが、この糖鎖はこのタンパク質の性質の一部には関係するものの、機能上不可欠な要素ではない。エクステンシンなどに代表されるいわゆるヒドロキシプロリンリッチグリコプロテイン(HRGP)との関連が推測されたが、通常HRGPは膜結合タンパク質として存在しているのに対し本タンパク質がおもに可溶画分に遊離で得られること、またフィブロネクチンとの結合性がありフィブロネクチン修飾ゲルとのアフィニティにより容易に分離できることなど既知のHRGPとは明らかに異なる特性を持つ。可溶画分として得られること、繰り返し使用が可能なアフィニティゲルにより精製できることは、経済性、利便性の点から好ましく、従来の植物由来HRGPにはない、該タンパク質の優れた特徴である。また、このようなタンパク質が皮膚外用剤成分、細胞培養、組織培養、器官培養用基材、または食品の添加物として用いられた事例はない。
【0025】
本発明は植物体またはその処理物から得ることができる。植物の種類は問わないが、好適にはイネ科植物があげられる。イネ科植物の例としては、イネ、アキノエノコロ、イヌビエ 、イヌムギ 、エノコログサ、オヒシバ 、カモガヤ 、カモジグサ 、カラスムギ、クサヨシ コバンソウ、シバ、シマスズメノヒエ、ジュズダマ、ススキ、スズメノカタビラ、スズメノチャヒキ、スズメノテッポウ、セイバンモロコシ、チガヤ、チカラシバ、チヂミザサ、ヒエガエリ、ヒメコバンソウ、ムラサキエノコロなどがあげられる。
【0026】
更に好適には、植物処理物として、イネより採取される、いわゆる米糠、米胚芽をあげることができる。ちなみに米糠とは、「玄米を精白する際、搗(つ)かれて取れる種皮や胚芽の粉末(大辞林)」である。
【0027】
該タンパク質は、例えばShojiらの報告(Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 65(5), 1181−1186(2001))に準じて調製することができる。米胚芽・米糠より、少なくとも中性付近のトリス−EDTA緩衝液(ここで、トリスとはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのことであり、一般にトリスと略称される。)によって可溶画分として抽出され、溶媒による抽出や酸・アルカリ処理などを要しない。得られた可溶画分を硫酸アンモニウム沈殿し、沈殿分を遠心分離により得る。これを同緩衝液により再溶解し透析後、溶液をブタ血清由来フィブロネクチンで修飾したアフィニティゲル担体に接触させることによりゲルに吸着させ、高濃度の尿素溶液で溶出させる。なおそれぞれの工程において、プロテアーゼ活性による分解や変性をさけるためにPMSF、ベンズアミジンなどのプロテアーゼ阻害剤の使用、また低温下での取り扱いなど、目的タンパク質の保護のための対策を講じることは好ましい。
【0028】
動物成分との相互作用、特に、特異的なコラーゲン接着性物質として知られるフィブロネクチンへの親和性に基づいてタンパク質を選抜・精製することにより、従来より知られる類似の植物由来タンパク質とは異なる、高い生体親和性、とくにコラーゲンとの高い類似性を与える該タンパク質を得ることができる。
【0029】
皮膚用外用剤
本発明にかかる皮膚外用剤は、標記タンパク質、および/または標記タンパク質の処理物を0.0001%以上含むことを特徴とする。本発明にかかる皮膚外用剤に用いられる標記タンパク質の処理物は、酸性、アルカリ性下の熱分解物、プロテアーゼやペプチダーゼによる加水分解物、微生物による分解物、糖鎖を除去したタンパク質などでよい。本タンパク質の加水分解物には、該タンパク質あるいはその加水分解により得られるペプチドのアミノ酸配列と同等のアミノ酸配列を有するよう調製された合成ペプチドも含む。加水分解物は、通常の、タンパク質の分解によりペプチドを得る手法と同様に得られたものでよい。加水分解物と同等のペプチドは、該タンパク質またはその加水分解物のアミノ酸配列情報に基づき、通常知られるペプチド合成法により合成されたものでよく、またアミノ酸配列情報に基づき合成された、該配列をコードする人工DNA配列を導入した組み換え体により生産されたものであってもよい。
【0030】
ペプチドの平均分子量は200〜10,000ダルトンでよいが、とくに皮膚への浸透性を期待する場合、その一部または全部の分子量が1000ダルトン以下であるとよく、このようなペプチドを当該タンパク質の加水分解産物全体より分子量に基づいてゲル濾過などの方法により分画分取したもの、またはこのようなペプチドのアミノ酸配列の解析結果を元に合成された、該ペプチドに相当する配列を有する合成ペプチドでもよい。
【0031】
本発明にかかる皮膚外用剤は、化粧品であっても、医薬部外品であっても、医薬品であってもよい。化粧品としては、例えば、クリーム、エッセンス、化粧水、乳液、パウダー、ムースとして使用可能である。また、例えば、マニキュア、リップクリーム、パック、ネイルケア剤、歯磨き、うがい薬、浴用剤、シャンプー、リンス、ヘアトニック、ヘアクリーム、養毛剤、育毛剤、頭皮用剤を有用な用途としてあげることができる。医薬品または医薬部外品としては、例えば、乾皮症の治療薬、薬用化粧品、育毛剤などが挙げられる。
【0032】
本発明にかかる皮膚外用剤には既存の乳化剤を本発明のタンパク質またはその加水分解産物以外の成分を溶解する目的、及び化粧料の本来の目的である保湿性、洗浄性等を付加する目的で、一般的な濃度で添加することもできる。
【0033】
本発明にかかる皮膚外用剤は、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム等のL−アスコルビン酸リン酸エステル類又はその塩類、L−アスコルビン酸グルコシド、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレート等のL−アスコルビン酸の誘導体及びその塩類、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンEニコチネート、ビタミンE酢酸エステル、ユビキノン及びこれらのビタミン誘導体又は塩類、アスタキサンチン等のカロチノイド類、グルタチオン、グルタチオンペルオキシターゼ、SOD、クエン酸類、リン酸類、ポリフェノール類、漢方薬、海草類、無機物等の抗酸化物質を含むことができる。
【0034】
本発明にかかる皮膚外用剤は、パラアミノ酸系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾフラン系、サリチルサン系、クマリン系、アゾール系等の紫外線吸収剤に代表される安定剤を含むことができる。
【0035】
本発明にかかる皮膚外用剤は、通常使用されている美白化粧原料を併用又は混用してもよく、使用できる美白原料の例としては、コウジ酸、プラセンターエキス、アルブチン等がある。
【0036】
本発明にかかる皮膚外用剤は、通常使用されている既存の保湿性成分を併用又は混用してもよく、使用できる保湿性成分の例としては、コラーゲン(可溶化コラーゲン、水溶性コラーゲン、を含む)およびその加水分解物、ゼラチン、エクステンシンなどの植物抽出保湿成分、いわゆるpseudocollagen(シュードコラーゲン)、酵母抽出エキス、L−プロリン、ヒドロキシプロリンなどのアミノ酸類、セラミド、ヒアルロン酸、トレハロース、ムチン、ヒポタウリン、脂肪酸エステル類、グリセロール、スクアラン等がある。
【0037】
本発明にかかる皮膚外用剤は、抗炎症成分または消炎成分を併用又は混用することもできる。本発明の化粧料に添加できる消炎成分としてはサリチル酸誘導体型消炎剤、アニリン誘導体型消炎剤、鎮けい剤、ピラゾロン誘導体型消炎剤、インドメタシン系消炎剤、メフェナム酸系消炎剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、抗炎酵素剤、グリチルリチン等の生薬系抗炎症剤等があるが特に限定されない。
【0038】
その他、本発明の皮膚外用剤に添加しうる添加物として、化粧品原料基準外成分規格1993追補、薬事日報社等の化粧品添加物規格書等に掲載された既存の添加物を通常の目的で添加することができる。
【0039】
本発明にかかる皮膚外用剤は、良好な皮膚の保護、保湿性を有する。皮膚にうるおいを与えてきめを整え、しっとりとした肌に保ち、また乾燥した肌には水分を補い柔軟性を与える、などの効果を有する。また本発明の皮膚外用剤に適用されるタンパク質、およびその加水分解物は、皮膚用外用剤に良好な皮膚の保護・保湿性を与え、あるいはこのような目的で調製される皮膚用外用剤の皮膚保護・保湿効果を高める。
【0040】
本発明にかかる皮膚外用剤、並びにその用に供されるイネ科植物由来タンパク質およびその加水分解物は、ドライスキン、敏感肌、肌荒れなど皮膚の乾燥に由来する様々な症状の改善、健全な皮膚の状態の維持・保護に有用である。
【0041】
細胞培養、組織培養、または器官培養用基材
本発明にかかる細胞培養用基材は、標記タンパク質、および/または標記タンパク質の処理物を0.001%以上含むことを特徴とする。本発明にかかる細胞培養用基質に用いられる標記タンパク質の処理加水分解物は、酸性、アルカリ性下の熱分解物、プロテアーゼやペプチダーゼによる加水分解物、微生物による分解物、糖鎖を除去したタンパク質などでよく、取得の方法は特に問わない。本タンパク質の加水分解物には、該タンパク質あるいはその加水分解により得られるペプチドのアミノ酸配列と同等のアミノ酸配列を有するよう調製された合成ペプチドも含む。加水分解物は、通常の、タンパク質の分解によりペプチドを得る手法と同様に得られたものでよい。加水分解物と同等のペプチドは、該タンパク質またはその加水分解物のアミノ酸配列情報に基づき、通常知られるペプチド合成法により合成されたものでよく、またアミノ酸配列情報に基づき合成された、該配列をコードする人工DNA配列を導入した組み換え体により生産されたものであってもよい。
【0042】
本発明の実施の形態の一つとしては、培養細胞を用いる試験研究分野、また再生医療分野における器官培養の培養基材への利用を挙げることができる。
【0043】
具体的には、たとえば細胞培養におけるゲル上培養法においては、標記タンパク質0.1〜10%含む水溶液を、無菌的にシャーレに分注し、そのままゲル化するまで乾燥、または30℃〜60℃の範囲で加温後、放冷することによりゲル化させる。ゲル上に細胞分散液を塗沫しインキュベートすることにより、一般に知られるコラーゲン、ゼラチン等を用いた単層培養と同様に、細胞接着因子依存の細胞培養を良好に行うことができる。
【0044】
また具体的には、たとえば細胞培養のコート培養法においては、標記タンパク質加水分解ペプチド0.1?10%含む水溶液を、無菌的にシャーレ等に塗り広げて常温で乾燥する。これを1回ないし数回繰り返したのち、表面に一般的に知られる培地成分を適宜含む水溶液を塗沫浸透させたのち、細胞分散液を塗沫しインキュベートすることにより、一般に知られるコラーゲン、ゼラチン等を用いたコート培養法と同様に培養を行うことができる。なお培地成分は、コーティングに用いる標記タンパク質加水分解ペプチド水溶液にあらかじめ添加しておくこともできる。
【0045】
また、組織培養においては、たとえば接着依存性細胞の増殖・分化を改善するために培養容器のコーティング剤として用いられるコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン等の一部または全部を標記タンパク質、および/またはその加水分解物に置き換えて用いることができる。コーティングの方法は常法でよく、たとえば、市販のプラスチック製シャーレに、標記タンパク質を0.1〜1000ppm 程度溶解した緩衝液を全面に拡がるよう分注し、数十分から24時間程度静置したのち液を除去し緩衝液で洗浄する。このようにして処理されたシャーレにあらかじめ種々の既知培地で培養された細胞を播種し、増殖用の培地を加え培養する。このようにしてコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン等を用いた場合と同様に、細胞接着因子依存の組織培養を良好に実施することができる。
【0046】
これら細胞、組織、器官培養用培地には、DCCM、LPM、ADC、BME、DME、MEM、マッコイ5A、M199、ハムF−10、ハムF−12、RPMI−1640、フィッシャー培地、シュナイダー培地等、一般的に知られる構成の培地成分、アール平衡塩溶液、ハンクス平衡塩溶液、ダルベッコPBS、スピナー塩溶液など一般に知られる平衡塩類組成成分、および必要に応じ更に種々の細胞増殖因子、抗生物質、ビタミン類、ホルモン類、酸・アルカリなどのpH調整剤、血清、その他生物由来成分等を加えることができる。
【0047】
本発明の異なる実施の形態の一つとしては、以上述べた試験研究・調製用培地基材のみでなく、生体上においてその細胞・組織・器官への親和性の高さを利用し、in vivoにおいて細胞分裂や組織形成を促し外科的治療の効果を高める、もしくは生体を健全に保つ医用・生体材料、たとえばコーティング剤、皮膚補修用インプラント剤、代用硝子体、コンタクトレンズ、創傷保護材、人工角膜、薬剤徐放剤、縫合糸、止血剤、人工血管、接合剤、人工皮膚、等の基材そのもの、もしくは表面処理、含浸処理の材料としての適用を含む。同様の目的でこれら分野にはコラーゲン、およびその加水分解物が広く用いられているが、本発明にかかる植物由来タンパク質、もしくはその加水分解物でその機能を代替することにより、直接人体に接する動物由来材料の動物病原性への懸念を解消することができる。
【0048】
食品
本発明にかかる食品は、標記タンパク質、および/または標記タンパク質の処理物を0.0001%以上含むことを特徴とする。本発明にかかる食品に用いられる標記タンパク質の加水分解物は、酸性、アルカリ性下の熱分解物、プロテアーゼやペプチダーゼによる加水分解物、微生物による分解物、糖鎖を除去したタンパク質などでよく、取得の方法は特に問わない。本タンパク質の加水分解物には、該タンパク質あるいはその加水分解により得られるペプチドのアミノ酸配列と同等のアミノ酸配列を有するよう調製された合成ペプチドも含む。加水分解物は、通常の、タンパク質の分解によりペプチドを得る手法と同様に得られたものでよい。加水分解物と同等のペプチドは、該タンパク質またはその加水分解物のアミノ酸配列情報に基づき、通常知られるペプチド合成法により合成されたものでよく、またアミノ酸配列情報に基づき合成された、該配列をコードする人工DNA配列を導入した組み換え体により生産されたものであってもよい。
【0049】
米糠は元来、玄米や、漬物の原料、いわゆる糠床などとして古来より食用に共されてきたものであり、その栄養価や健康増進機能は経験的に知られるところである。よってその抽出物についても同様に人体に摂取されてきた長い歴史があり、その安全性が高いことは言うまでもない。また本発明にかかる抽出タンパク質のアミノ酸組成は、グリシン、および通常の生体タンパク質にはほとんど見られないプロリン、ヒドロキシプロリンを高い比率で含む点において、植物由来ながら動物由来タンパク質であるコラーゲンに類似するという、稀な特徴を有する。コラーゲン、またはその加水分解物は、様々な機能を付与する目的で食品・飲料等に添加されているが、本発明のタンパク質、またはその加水分解物によれば、食品の物性に大きな変化を与えず、コラーゲンが付与する機能、たとえば栄養機能や食品の食感、成形性、テクスチャなどを、コラーゲンに代替し、付与することができ、動物由来の材料を用いることに起因する病原性に対する懸念を解消することができる。本発明にかかるタンパク質またはその加水分解物の適用の対象となる食品の性状、形態に特に限定はないが、具体的にコラーゲンが用いられている食品の例としてはスープ、タレ、水産練製品、畜肉練製品、健康食品、飲料等を挙げることができ、これら食品の製造工程において、用いられるコラーゲンの一部または全部を、該タンパク質、またはその加水分解物に置き換えることにより、本発明の目的が達せられる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するがこれらは本発明の内容を限定するものではない。
【0051】
(実施例1)
市販の米糠5kgを、20Lの緩衝液A(組成:50mM トリス、0.1M塩化ナトリウム、3mM アジ化ナトリウム、0.3mM EDTA、10mM 6−アミノヘキサン酸、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、1mM ベンズアミジン塩酸塩、pH=7.5)に懸濁し抽出を行った。不溶物をガーゼでこし取り、さらにろ液を9000回転、10分の遠心分離を行い上清を回収した。得られた抽出液を冷却下攪拌しつつ、硫酸アンモニウムを少量ずつ70%飽和となるまで加えた。不溶化分を含む液全体を、15000回転、10分の遠心分離に供し、沈殿を分取、再度上記緩衝液Aに溶解し、セルロースチューブに封入して同緩衝液にて透析した。透析後の溶液を、あらかじめ緩衝液Aで平衡化したセファロース4B(ファルマシア社製)ゲル充填カラムに通じた。通過した液を回収し、引き続き、あらかじめ緩衝液Aで平衡化した、フィブロネクチン修飾セファロース4B(ブロモシアン活性化セファロース4B(ファルマシア社製)に、1mg/mL湿ゲル の比率でブタ由来フィブロネクチン(コスモバイオ社製)を修飾化したもの)ゲル充填カラムに通じた。さらに同緩衝液にて洗浄したのち、吸着分を、4M 尿素、1M 塩化ナトリウムを含む緩衝液Aを通じ溶出させた。溶出液をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、クマシーブリリアントブルーR250染色において単一のバンドを示し、分子量マーカーとの比較によれば57キロダルトン付近の分子量を与えた。この溶出液全量を、セルロースチューブに封入し0.05M炭酸水素アンモニウムに対して透析した。なおここまでの全工程は、4℃冷却下にて実施した。更に凍結乾燥して塩を除き、乾燥粉体約200mgを得た。このようにして得られる米糠抽出タンパク質Aを以下の実施例にて用いた。
【0052】
(実施例2)
米糠抽出タンパク質A 100mgを、0.05mM 炭酸−炭酸アンモニウム(pH7.5)溶液に溶解した。市販プロテアーゼ(Bacillus licheniformis由来、7−15units/mgタンパク、シグマ社製)0.1mgを添加し、35℃、6時間インキュベートしたのち、全量を分画分子量10,000の限外濾過膜に通じた。ろ液を回収して凍結乾燥し、乾燥粉体約68mgを得た。このようにして得られる米糠抽出タンパク質A加水分解物を以下の実施例にて用いた。
【0053】
(実施例3)
次の処方に従い常法により化粧水を調製した。
米糠抽出タンパク質A 1.0%
エチルアルコール 39.6%
1,3−ブチレングリコール 9.5%
ヒマシ油 4.9%
メチルパラベン 0.2%
グリシン 0.5%
精製水 残分
【0054】
(実施例4)
実施例3の処方において、米糠抽出タンパク質Aに換えて、実施例2に示す米糠抽出タンパク質A加水分解物を同量添加した化粧水を調製した。
【0055】
(実施例5)
次の処方に従い常法により乳液を製造した。
米糠抽出タンパク質A 1.0%
アボガド油 11.0%
ベヘニルアルコール 0.6%
ステアリン酸 0.4%
グリセリン脂肪酸エステル 0.9%
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 1.1%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.4%
1,3−ブチレングリコール 10.1%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.4%
精製水 残分
【0056】
(実施例6)
実施例5の処方において、米糠抽出タンパク質Aに換えて、実施例2に示す米糠抽出タンパク質A加水分解物を同量添加した乳液を調製した。
【0057】
(実施例7)
次の処方に従い常法によりクリームを製造した。
米糠抽出タンパク質A 1.0%
スクワラン 11.1%
ステアリン酸 7.8%
ステアリルアルコール 6.0%
ミツロウ 1.9%
プロピレングリコールモノステアレート 3.1%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.1%
1,3−ブチレングリコール 11.9%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.4%
精製水 残分
【0058】
(実施例8)
実施例7の処方において、米糠抽出タンパク質Aに換えて、実施例2に示す米糠抽出タンパク質A加水分解物を同量添加したクリームを調製した。
【0059】
(比較例1)
実施例3の処方において、米糠抽出タンパク質Aのみを除いた化粧水を調製した。
【0060】
(比較例2)
実施例5の処方において、米糠抽出タンパク質Aのみを除いた乳液を調製した。
【0061】
(比較例3)
実施例7の処方において、米糠抽出タンパク質Aのみを除いたクリームを調製した。
【0062】
(実施例9〜14および比較例4〜6)
実施例3〜8、比較例1〜3のとおり調製された化粧料を30歳〜40歳の女性3名の前腕屈側部に朝夕1日2回、7日間塗布し、8日目朝の角質水分量を、インピーダンスメーター(IBS社製 SKICON−200)を用いた高周波インダクタンス法による伝導度測定値を指標に比較した。使用開始日朝(塗布前)の伝導度測定の結果を100としたときの伝導度の相対値(三人の平均値)を実施例9〜14、比較例4〜6として表1に示した。米糠抽出タンパク質A、および当該タンパク質加水分解物を含有する化粧料において、伝導度の向上、すなわち角質水分量の増大が見られ、比較例に対しいずれも有意な保湿作用の向上を認めた。
【0063】
【表1】
【0064】
(実施例15)
実施例1で調製したタンパク質Aを10μg/mL溶解しろ過滅菌したPBS緩衝液を、市販のポリスチレン製60mmシャーレに無菌的に5mL分注し、無菌下、常温で静置した。24時間後、液を吸引除去し、さらに常温下風乾した。このシャーレに、10% FBS(ウシ胎児血清、Sigma社製)を含むRD培地(RPMI1640と DMEを1:1で混合したもの)であらかじめ定常期まで培養したヒト神経芽細胞 IMR−32懸濁液(CFM−PBSで1回洗浄し少量のRD培地におよそ2×104個/mLとなるよう再懸濁したもの)を5mL播種し、CO2インキュベーターにて2時間培養した。細胞の伸展を位相差顕微鏡による検鏡像で確認したのち、BSA(fraction V、5mg/mL)、EGF(ヒト、リコンビナント10ng/mL )、トランスフェリン(10μg/mL)、インスリン(1μg/mL)(以上Sigma社製)、を含むRD培地に交換し、引き続き72時間培養した。培養液を吸引除去し、CMF−PBS 5mLで細胞表面を洗浄したのち、37℃に加温しておいた0.25%トリプシン/0.02%EDTA液を5mL添加し37℃で保持した。10分間保持後、位相差顕微鏡による検鏡で細胞の分散を確認したのち、血清添加培養液1mLを加え、全量を遠心分離した。細胞沈澱に血清添加培養液5mLを加えピペッティングして分散させた。得られた分散細胞の総数を、Thomaの計算板にて計数し、培養後総細胞数を算出した。結果を表2に示す。
【0065】
(比較例7)
実施例15で、タンパク質Aを、市販コラーゲン(Sigma社製、type III 酸可溶性、ウシアキレス腱由来)に代えたほかは同様にして培養後の総細胞数を算出した。結果を表2に示す。
【0066】
(比較例8)
実施例15で、シャーレのタンパク質A溶液による処理を省いたほかは同様にして、培養を試みたが、細胞の着生、伸展が認められなかった。
【0067】
【表2】
【0068】
(実施例16)
市販の牛皮由来ゼラチン(Sigma社製、強度表示約175ブルーム)と、実施例2で調製したタンパク質A加水分解物を、合計が6.67%(w/v)となるよう様々な比率で水に加え、さらに砂糖10%(w/v)を加え、全体を加熱溶解後、胴径8cm、深さ10cm、口径(内径)3cmのガラス瓶に90mLづつ分注し、10℃で17時間冷却し、モデル食用ゼリーを調製した。冷却固化したゼリーの入った瓶を、ラボジャッキに設置し、直径13mmの平型プローブを取り付けてスタンドに固定したフォースゲージの先端に向けてゆっくりと押し上げた。ゼリー表面がフォースゲージの先端に触れた時点からさらに4mm押し上げた時点でゲージを読みとり、ゲル強度値とした。各組成に対して得られたゲル強度値を表3に示した。ゼラチンを50%まで置き換えても、良好に固化し、食用ゼリーにおいてもゼラチンを置換できることが判明した。
【0069】
(比較例9)
実施例16より、タンパク質A加水分解物を除いて同様にモデル食用ゼリーを調製し、同様にゲル強度を測定した。結果を表3に示した。ゼラチン量の減少に従い、急速にゲル強度が低下した。
【0070】
【表3】
【0071】
(実施例17)
6週齢のラット(体重170〜194g、平均180g)に、1週間の20%カゼイン(関東化学社製、ミルクカゼイン)食によるプレフィードを行ったのち、カゼイン、市販コラーゲン(Sigma社製、タイプI ウシアキレス腱由来)、実施例1で調製のタンパク質Aを、様々な比率で混合し合計15%タンパクとなるよう調製したモデル餌に切換え、35週齢まで育成し体重を測定した。結果を表4に示す。コラーゲンをタンパク質aに置き換えたモデル餌においてもコラーゲン添加時と同等の体重増加が見られ、栄養成分としてコラーゲンに代替可能であることが示された。またいずれの試験区においてもラットに異常所見は終始認められなかった。食餌中において当該タンパク質がコラーゲンと同等の栄養として機能することが示された。
【0072】
【表4】
【0073】
【発明の効果】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物を含む皮膚外用剤は、ドライスキン、敏感肌、肌荒れなど皮膚の乾燥に由来する様々な症状の改善、健全な皮膚の状態の維持・保護に有用である。
【0074】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物を含む細胞培養、組織培養、または器官培養用基材によれば、試験研究用、また再生医療用として、細胞接着因子依存の細胞、組織、器官培養を良好に行うことができるほか、in vivoにおいて細胞分裂や組織形成を促し外科的治療の効果を高める、もしくは生体を健全に保つために有用な医用・生体材料を提供することができる。
【0075】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物によれば、栄養価や食感に優れる安全な食品を提供することができる。
【0076】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物はいずれの用途においても、動物由来の病原性の問題がなく、安全で、経済的に、コラーゲンの機能を代替することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コラーゲンの代替となりうる特性を有するタンパク質および/またはその処理物を含有する組成物およびその用途に関する。
【0002】
更に、コラーゲンの代替となりうる特性を有するタンパク質と該タンパク質を用いた処理物を化粧品、細胞培養用基材、組織培養用基材、器官培養用基材、生体材料、医用材料、食品へ応用することに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、コラーゲン、およびその処理物は、その優れた特性から様々な応用がなされてきた。
【0004】
コラーゲン、その熱処理物であるゼラチン、さらにはコラーゲンの加水分解物であるコラーゲンペプチド等、動物由来のコラーゲン関連物質は、その保湿性、肌への「なじみ」の良さに起因する優れた使用感、また皮膚に投与した際の、皮膚中で外的刺激からのバリア機能を担っているコラーゲンマトリクスへの補完作用や、皮膚が本来持つコラーゲン合成機構との相互作用などへの期待から、広く化粧品組成物として利用されるに至っている。
【0005】
また、コラーゲンは元来、生理的には、動物の体の構造の維持、補強という役割を果たしている。生体内では、細胞間マトリックスとして細胞の発生、分化、形態形成などにおいて重要な役割を担う物質として知られている。よってコラーゲンおよびその処理物の物理特性は、動物細胞との親和性が高く、医学・生物学的研究における細胞培養、組織培養、また器官培養の基材として好適であり、ゲル、皮膜、ビーズなど様々な形態で応用されている。
【0006】
またコラーゲンは生体を構成する主要なタンパク質であり、生体親和性が高く、加工性がよく、抗原性が低いことなどから、液状、ゲル状、フィルム状、チューブ状などの形態に加工され、生体材料や医用材料として好適に用いられている。
【0007】
さらに、コラーゲンは、食品としては、一般に食用に共されているタンパク質、特に植物性タンパクに不足、欠落しているアミノ酸を補う動物性食用タンパク質として、その特徴的なアミノ酸構成から、栄養補助成分として広く食品、飲料に添加されている。また可食性の成形性付与材としての特徴から、ソーセージのケーシング材、水産練食品の成形助剤等にも用いられている。さらに、コラーゲンの加水分解物であるゼラチンもまた、広く食用に共されている。
【0008】
昨今、家畜伝染病、とくに人への感染が疑われているウシ海綿状脳症などの問題から、家禽由来材料の安全確保に対する負担が増大している。ウシ海綿状脳症に関しては使用部位の限定や産地の非発生地域への限定、また検査体制の確立により、その供与体の安全性には十分な保証がなされるようになりつつあるものの、こうした病害の世界的な流行は、特に直接人体に接触し、あるいは摂取される材料およびその組成物のイメージに多大な影響を与えるだけでなく、供給量の大幅な変動の可能性、それに伴う価格変動などのリスクを含んでいる。
【0009】
またこのような問題を避け魚介由来のコラーゲンに移行する動きもあるが、魚介特有の臭気の問題、その対策としての鮮度保持や素材の選別、低温環境生物由来であることによる熱安定性の低さ、気候変動に伴う漁獲変動による供給量の不安定性、余剰材料の廃棄処理の問題などがコスト高を招く要因となっており、費用対効果の点では家畜由来のものに比べ依然課題がある。
【0010】
プロリンおよびヒドロキシプロリン含量の多い植物由来のタンパク質として、エクステンシン(extensin)をはじめとするいわゆるヒドロキシプロリンリッチグリコプロテイン(HRGP)が知られる。たとえば特開平6−80700では、シカクマメ由来のヒドロキシプロリンに富む新規タンパク質が、またWO96/20284では、そのようなタンパク質の化粧的、薬学的調製物への利用が開示されている。しかしながらその調製源が特定植物の培養細胞という特殊なものであること、結合性タンパク質であり分離精製が煩雑であることなどの課題があり、またその用途も一部の外用剤に限定されるものであった。
【0011】
本発明と同等のアミノ酸配列を構造中の一部に有するタンパク質の存在については、Caellesらの報告(Plant Molecular Biology 18:617−619(1992))、Shojiらの報告(Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 65(5), 1181−1186(2001))が知られるが、当該配列を有するタンパク質、およびその処理物のコラーゲン代替組成物としての可能性についての検討事例はない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、皮膚外用剤、細胞培養用基質、生体材料、医用材料、食品等の成分として、多くの分野で不可欠な機能を担っているコラーゲンに対して、安全かつ効果的に代替することができる材料であるタンパク質および/または該タンパク質を加水分解等の処理をした処理物であるコラーゲン代替処理組成物を提供することを課題の一つとする。
【0013】
また、該コラーゲン代替処理組成物の化粧品、細胞培養用基材、組織培養用基材、器官培養用基材、生体材料、医用材料、食品への応用を課題の一つとする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み、動物あるいは魚介以外の材料、特に、植物由来の物質に注目し、鋭意検討を重ねた。その結果、イネ科植物の植物体、あるいはその一部分、特に、安定に供給され、肥料・飼料として以外はほとんど未利用の資源である「米糠」から可溶性画分として調製される特有のタンパク質、およびその加水分解物が、既存のコラーゲンを代替しうる優れた特徴を有することを見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち本発明は例えば以下に示すものである。
[1]N末端アミノ酸配列がアミノ酸配列番号1で表される配列を有するタンパク質および/または該タンパク質の処理物であることを特徴とするコラーゲン代替組成物。
配列番号1 Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro−
【0016】
[2]タンパク質が、植物および/または植物の一部より得られるタンパク質であることを特徴とする[1]に記載のコラーゲン代替組成物。
[3]植物がイネ科植物であることを特徴とする[2]に記載のコラーゲン代替組成物。
[4]植物および/または植物の一部が米糠であることを特徴とする[2]または[3]に記載のコラーゲン代替組成物。
[5]植物および/または植物の一部より得られるタンパク質がトリス−EDTA緩衝液の可溶画分であることを特徴とする[2]に記載のコラーゲン代替組成物。
【0017】
[6]タンパク質の処理物が、加水分解処理したものであることを特徴とする[5]に記載のコラーゲン代替組成物。
[7]加水分解処理が、タンパク質分解酵素によるものであることを特徴とする[6]に記載のコラーゲン代替組成物。
【0018】
[8]植物よりトリス−EDTA緩衝液を用いて可溶画分を抽出する工程を含むことを特徴とするN末端アミノ酸配列がアミノ酸配列番号1で表される配列を有するタンパク質および/または該タンパク質の処理物であるコラーゲン代替組成物の製造方法。
配列番号1 Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro−
【0019】
[9][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
[10]皮膚外用剤がクリーム、エッセンス、化粧水、乳液、パウダーまたはムースであることを特徴とする[9]に記載の皮膚外用剤。
[11]皮膚外用剤がマニキュア、リップクリーム、パック、ネイルケア剤、歯磨き、浴用剤、シャンプー、リンス、ヘアトニックまたはヘアクリームであることを特徴とする[9]に記載の皮膚外用剤。
[12]皮膚外用剤がうがい薬、養毛剤、育毛剤または頭皮用剤であることを特徴とする[9]に記載の皮膚外用剤。
【0020】
[13][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする培養用基材。
[14]培養用基材が、細胞培養、組織培養または器官培養用基材であることを特徴とする[13]に記載の培養用基材。
【0021】
[15][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする医用・生体材料。
[16]医用・生体材料がコーティング剤、皮膚補修用インプラント剤、代用硝子体、コンタクトレンズ、創傷保護材、人工角膜、薬剤徐放剤、縫合糸、止血剤、人工血管、接合剤または人工皮膚であることを特徴とする[15]に記載の医用・生体材料。
【0022】
[17][1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする食品。
[18]食品がスープ、タレ、水産練製品、畜肉練製品、健康食品または飲料であることを特徴とする[17]に記載の食品。
【0023】
【発明の実施の形態】
タンパク質の性質と調製
本発明に用いられるタンパク質の調製法、および物理化学的性質を説明する。本発明にかかるタンパク質は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(分子量マーカーとの比較)による測定において57キロダルトン付近の分子量を与える。またN末端アミノ酸配列解析によれば下記の配列を有する。
Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro−
【0024】
本発明のタンパク質は、アミノ酸分析によれば、その構成はプロリンおよびヒドロキシプロリンに富む。また炭化水素分析によればアラビノース、マンノース、ガラクトース、キシロースなどの糖鎖により高度に修飾されているが、この糖鎖はこのタンパク質の性質の一部には関係するものの、機能上不可欠な要素ではない。エクステンシンなどに代表されるいわゆるヒドロキシプロリンリッチグリコプロテイン(HRGP)との関連が推測されたが、通常HRGPは膜結合タンパク質として存在しているのに対し本タンパク質がおもに可溶画分に遊離で得られること、またフィブロネクチンとの結合性がありフィブロネクチン修飾ゲルとのアフィニティにより容易に分離できることなど既知のHRGPとは明らかに異なる特性を持つ。可溶画分として得られること、繰り返し使用が可能なアフィニティゲルにより精製できることは、経済性、利便性の点から好ましく、従来の植物由来HRGPにはない、該タンパク質の優れた特徴である。また、このようなタンパク質が皮膚外用剤成分、細胞培養、組織培養、器官培養用基材、または食品の添加物として用いられた事例はない。
【0025】
本発明は植物体またはその処理物から得ることができる。植物の種類は問わないが、好適にはイネ科植物があげられる。イネ科植物の例としては、イネ、アキノエノコロ、イヌビエ 、イヌムギ 、エノコログサ、オヒシバ 、カモガヤ 、カモジグサ 、カラスムギ、クサヨシ コバンソウ、シバ、シマスズメノヒエ、ジュズダマ、ススキ、スズメノカタビラ、スズメノチャヒキ、スズメノテッポウ、セイバンモロコシ、チガヤ、チカラシバ、チヂミザサ、ヒエガエリ、ヒメコバンソウ、ムラサキエノコロなどがあげられる。
【0026】
更に好適には、植物処理物として、イネより採取される、いわゆる米糠、米胚芽をあげることができる。ちなみに米糠とは、「玄米を精白する際、搗(つ)かれて取れる種皮や胚芽の粉末(大辞林)」である。
【0027】
該タンパク質は、例えばShojiらの報告(Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 65(5), 1181−1186(2001))に準じて調製することができる。米胚芽・米糠より、少なくとも中性付近のトリス−EDTA緩衝液(ここで、トリスとはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのことであり、一般にトリスと略称される。)によって可溶画分として抽出され、溶媒による抽出や酸・アルカリ処理などを要しない。得られた可溶画分を硫酸アンモニウム沈殿し、沈殿分を遠心分離により得る。これを同緩衝液により再溶解し透析後、溶液をブタ血清由来フィブロネクチンで修飾したアフィニティゲル担体に接触させることによりゲルに吸着させ、高濃度の尿素溶液で溶出させる。なおそれぞれの工程において、プロテアーゼ活性による分解や変性をさけるためにPMSF、ベンズアミジンなどのプロテアーゼ阻害剤の使用、また低温下での取り扱いなど、目的タンパク質の保護のための対策を講じることは好ましい。
【0028】
動物成分との相互作用、特に、特異的なコラーゲン接着性物質として知られるフィブロネクチンへの親和性に基づいてタンパク質を選抜・精製することにより、従来より知られる類似の植物由来タンパク質とは異なる、高い生体親和性、とくにコラーゲンとの高い類似性を与える該タンパク質を得ることができる。
【0029】
皮膚用外用剤
本発明にかかる皮膚外用剤は、標記タンパク質、および/または標記タンパク質の処理物を0.0001%以上含むことを特徴とする。本発明にかかる皮膚外用剤に用いられる標記タンパク質の処理物は、酸性、アルカリ性下の熱分解物、プロテアーゼやペプチダーゼによる加水分解物、微生物による分解物、糖鎖を除去したタンパク質などでよい。本タンパク質の加水分解物には、該タンパク質あるいはその加水分解により得られるペプチドのアミノ酸配列と同等のアミノ酸配列を有するよう調製された合成ペプチドも含む。加水分解物は、通常の、タンパク質の分解によりペプチドを得る手法と同様に得られたものでよい。加水分解物と同等のペプチドは、該タンパク質またはその加水分解物のアミノ酸配列情報に基づき、通常知られるペプチド合成法により合成されたものでよく、またアミノ酸配列情報に基づき合成された、該配列をコードする人工DNA配列を導入した組み換え体により生産されたものであってもよい。
【0030】
ペプチドの平均分子量は200〜10,000ダルトンでよいが、とくに皮膚への浸透性を期待する場合、その一部または全部の分子量が1000ダルトン以下であるとよく、このようなペプチドを当該タンパク質の加水分解産物全体より分子量に基づいてゲル濾過などの方法により分画分取したもの、またはこのようなペプチドのアミノ酸配列の解析結果を元に合成された、該ペプチドに相当する配列を有する合成ペプチドでもよい。
【0031】
本発明にかかる皮膚外用剤は、化粧品であっても、医薬部外品であっても、医薬品であってもよい。化粧品としては、例えば、クリーム、エッセンス、化粧水、乳液、パウダー、ムースとして使用可能である。また、例えば、マニキュア、リップクリーム、パック、ネイルケア剤、歯磨き、うがい薬、浴用剤、シャンプー、リンス、ヘアトニック、ヘアクリーム、養毛剤、育毛剤、頭皮用剤を有用な用途としてあげることができる。医薬品または医薬部外品としては、例えば、乾皮症の治療薬、薬用化粧品、育毛剤などが挙げられる。
【0032】
本発明にかかる皮膚外用剤には既存の乳化剤を本発明のタンパク質またはその加水分解産物以外の成分を溶解する目的、及び化粧料の本来の目的である保湿性、洗浄性等を付加する目的で、一般的な濃度で添加することもできる。
【0033】
本発明にかかる皮膚外用剤は、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム等のL−アスコルビン酸リン酸エステル類又はその塩類、L−アスコルビン酸グルコシド、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレート等のL−アスコルビン酸の誘導体及びその塩類、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンEニコチネート、ビタミンE酢酸エステル、ユビキノン及びこれらのビタミン誘導体又は塩類、アスタキサンチン等のカロチノイド類、グルタチオン、グルタチオンペルオキシターゼ、SOD、クエン酸類、リン酸類、ポリフェノール類、漢方薬、海草類、無機物等の抗酸化物質を含むことができる。
【0034】
本発明にかかる皮膚外用剤は、パラアミノ酸系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾフラン系、サリチルサン系、クマリン系、アゾール系等の紫外線吸収剤に代表される安定剤を含むことができる。
【0035】
本発明にかかる皮膚外用剤は、通常使用されている美白化粧原料を併用又は混用してもよく、使用できる美白原料の例としては、コウジ酸、プラセンターエキス、アルブチン等がある。
【0036】
本発明にかかる皮膚外用剤は、通常使用されている既存の保湿性成分を併用又は混用してもよく、使用できる保湿性成分の例としては、コラーゲン(可溶化コラーゲン、水溶性コラーゲン、を含む)およびその加水分解物、ゼラチン、エクステンシンなどの植物抽出保湿成分、いわゆるpseudocollagen(シュードコラーゲン)、酵母抽出エキス、L−プロリン、ヒドロキシプロリンなどのアミノ酸類、セラミド、ヒアルロン酸、トレハロース、ムチン、ヒポタウリン、脂肪酸エステル類、グリセロール、スクアラン等がある。
【0037】
本発明にかかる皮膚外用剤は、抗炎症成分または消炎成分を併用又は混用することもできる。本発明の化粧料に添加できる消炎成分としてはサリチル酸誘導体型消炎剤、アニリン誘導体型消炎剤、鎮けい剤、ピラゾロン誘導体型消炎剤、インドメタシン系消炎剤、メフェナム酸系消炎剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、抗炎酵素剤、グリチルリチン等の生薬系抗炎症剤等があるが特に限定されない。
【0038】
その他、本発明の皮膚外用剤に添加しうる添加物として、化粧品原料基準外成分規格1993追補、薬事日報社等の化粧品添加物規格書等に掲載された既存の添加物を通常の目的で添加することができる。
【0039】
本発明にかかる皮膚外用剤は、良好な皮膚の保護、保湿性を有する。皮膚にうるおいを与えてきめを整え、しっとりとした肌に保ち、また乾燥した肌には水分を補い柔軟性を与える、などの効果を有する。また本発明の皮膚外用剤に適用されるタンパク質、およびその加水分解物は、皮膚用外用剤に良好な皮膚の保護・保湿性を与え、あるいはこのような目的で調製される皮膚用外用剤の皮膚保護・保湿効果を高める。
【0040】
本発明にかかる皮膚外用剤、並びにその用に供されるイネ科植物由来タンパク質およびその加水分解物は、ドライスキン、敏感肌、肌荒れなど皮膚の乾燥に由来する様々な症状の改善、健全な皮膚の状態の維持・保護に有用である。
【0041】
細胞培養、組織培養、または器官培養用基材
本発明にかかる細胞培養用基材は、標記タンパク質、および/または標記タンパク質の処理物を0.001%以上含むことを特徴とする。本発明にかかる細胞培養用基質に用いられる標記タンパク質の処理加水分解物は、酸性、アルカリ性下の熱分解物、プロテアーゼやペプチダーゼによる加水分解物、微生物による分解物、糖鎖を除去したタンパク質などでよく、取得の方法は特に問わない。本タンパク質の加水分解物には、該タンパク質あるいはその加水分解により得られるペプチドのアミノ酸配列と同等のアミノ酸配列を有するよう調製された合成ペプチドも含む。加水分解物は、通常の、タンパク質の分解によりペプチドを得る手法と同様に得られたものでよい。加水分解物と同等のペプチドは、該タンパク質またはその加水分解物のアミノ酸配列情報に基づき、通常知られるペプチド合成法により合成されたものでよく、またアミノ酸配列情報に基づき合成された、該配列をコードする人工DNA配列を導入した組み換え体により生産されたものであってもよい。
【0042】
本発明の実施の形態の一つとしては、培養細胞を用いる試験研究分野、また再生医療分野における器官培養の培養基材への利用を挙げることができる。
【0043】
具体的には、たとえば細胞培養におけるゲル上培養法においては、標記タンパク質0.1〜10%含む水溶液を、無菌的にシャーレに分注し、そのままゲル化するまで乾燥、または30℃〜60℃の範囲で加温後、放冷することによりゲル化させる。ゲル上に細胞分散液を塗沫しインキュベートすることにより、一般に知られるコラーゲン、ゼラチン等を用いた単層培養と同様に、細胞接着因子依存の細胞培養を良好に行うことができる。
【0044】
また具体的には、たとえば細胞培養のコート培養法においては、標記タンパク質加水分解ペプチド0.1?10%含む水溶液を、無菌的にシャーレ等に塗り広げて常温で乾燥する。これを1回ないし数回繰り返したのち、表面に一般的に知られる培地成分を適宜含む水溶液を塗沫浸透させたのち、細胞分散液を塗沫しインキュベートすることにより、一般に知られるコラーゲン、ゼラチン等を用いたコート培養法と同様に培養を行うことができる。なお培地成分は、コーティングに用いる標記タンパク質加水分解ペプチド水溶液にあらかじめ添加しておくこともできる。
【0045】
また、組織培養においては、たとえば接着依存性細胞の増殖・分化を改善するために培養容器のコーティング剤として用いられるコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン等の一部または全部を標記タンパク質、および/またはその加水分解物に置き換えて用いることができる。コーティングの方法は常法でよく、たとえば、市販のプラスチック製シャーレに、標記タンパク質を0.1〜1000ppm 程度溶解した緩衝液を全面に拡がるよう分注し、数十分から24時間程度静置したのち液を除去し緩衝液で洗浄する。このようにして処理されたシャーレにあらかじめ種々の既知培地で培養された細胞を播種し、増殖用の培地を加え培養する。このようにしてコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン等を用いた場合と同様に、細胞接着因子依存の組織培養を良好に実施することができる。
【0046】
これら細胞、組織、器官培養用培地には、DCCM、LPM、ADC、BME、DME、MEM、マッコイ5A、M199、ハムF−10、ハムF−12、RPMI−1640、フィッシャー培地、シュナイダー培地等、一般的に知られる構成の培地成分、アール平衡塩溶液、ハンクス平衡塩溶液、ダルベッコPBS、スピナー塩溶液など一般に知られる平衡塩類組成成分、および必要に応じ更に種々の細胞増殖因子、抗生物質、ビタミン類、ホルモン類、酸・アルカリなどのpH調整剤、血清、その他生物由来成分等を加えることができる。
【0047】
本発明の異なる実施の形態の一つとしては、以上述べた試験研究・調製用培地基材のみでなく、生体上においてその細胞・組織・器官への親和性の高さを利用し、in vivoにおいて細胞分裂や組織形成を促し外科的治療の効果を高める、もしくは生体を健全に保つ医用・生体材料、たとえばコーティング剤、皮膚補修用インプラント剤、代用硝子体、コンタクトレンズ、創傷保護材、人工角膜、薬剤徐放剤、縫合糸、止血剤、人工血管、接合剤、人工皮膚、等の基材そのもの、もしくは表面処理、含浸処理の材料としての適用を含む。同様の目的でこれら分野にはコラーゲン、およびその加水分解物が広く用いられているが、本発明にかかる植物由来タンパク質、もしくはその加水分解物でその機能を代替することにより、直接人体に接する動物由来材料の動物病原性への懸念を解消することができる。
【0048】
食品
本発明にかかる食品は、標記タンパク質、および/または標記タンパク質の処理物を0.0001%以上含むことを特徴とする。本発明にかかる食品に用いられる標記タンパク質の加水分解物は、酸性、アルカリ性下の熱分解物、プロテアーゼやペプチダーゼによる加水分解物、微生物による分解物、糖鎖を除去したタンパク質などでよく、取得の方法は特に問わない。本タンパク質の加水分解物には、該タンパク質あるいはその加水分解により得られるペプチドのアミノ酸配列と同等のアミノ酸配列を有するよう調製された合成ペプチドも含む。加水分解物は、通常の、タンパク質の分解によりペプチドを得る手法と同様に得られたものでよい。加水分解物と同等のペプチドは、該タンパク質またはその加水分解物のアミノ酸配列情報に基づき、通常知られるペプチド合成法により合成されたものでよく、またアミノ酸配列情報に基づき合成された、該配列をコードする人工DNA配列を導入した組み換え体により生産されたものであってもよい。
【0049】
米糠は元来、玄米や、漬物の原料、いわゆる糠床などとして古来より食用に共されてきたものであり、その栄養価や健康増進機能は経験的に知られるところである。よってその抽出物についても同様に人体に摂取されてきた長い歴史があり、その安全性が高いことは言うまでもない。また本発明にかかる抽出タンパク質のアミノ酸組成は、グリシン、および通常の生体タンパク質にはほとんど見られないプロリン、ヒドロキシプロリンを高い比率で含む点において、植物由来ながら動物由来タンパク質であるコラーゲンに類似するという、稀な特徴を有する。コラーゲン、またはその加水分解物は、様々な機能を付与する目的で食品・飲料等に添加されているが、本発明のタンパク質、またはその加水分解物によれば、食品の物性に大きな変化を与えず、コラーゲンが付与する機能、たとえば栄養機能や食品の食感、成形性、テクスチャなどを、コラーゲンに代替し、付与することができ、動物由来の材料を用いることに起因する病原性に対する懸念を解消することができる。本発明にかかるタンパク質またはその加水分解物の適用の対象となる食品の性状、形態に特に限定はないが、具体的にコラーゲンが用いられている食品の例としてはスープ、タレ、水産練製品、畜肉練製品、健康食品、飲料等を挙げることができ、これら食品の製造工程において、用いられるコラーゲンの一部または全部を、該タンパク質、またはその加水分解物に置き換えることにより、本発明の目的が達せられる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するがこれらは本発明の内容を限定するものではない。
【0051】
(実施例1)
市販の米糠5kgを、20Lの緩衝液A(組成:50mM トリス、0.1M塩化ナトリウム、3mM アジ化ナトリウム、0.3mM EDTA、10mM 6−アミノヘキサン酸、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、1mM ベンズアミジン塩酸塩、pH=7.5)に懸濁し抽出を行った。不溶物をガーゼでこし取り、さらにろ液を9000回転、10分の遠心分離を行い上清を回収した。得られた抽出液を冷却下攪拌しつつ、硫酸アンモニウムを少量ずつ70%飽和となるまで加えた。不溶化分を含む液全体を、15000回転、10分の遠心分離に供し、沈殿を分取、再度上記緩衝液Aに溶解し、セルロースチューブに封入して同緩衝液にて透析した。透析後の溶液を、あらかじめ緩衝液Aで平衡化したセファロース4B(ファルマシア社製)ゲル充填カラムに通じた。通過した液を回収し、引き続き、あらかじめ緩衝液Aで平衡化した、フィブロネクチン修飾セファロース4B(ブロモシアン活性化セファロース4B(ファルマシア社製)に、1mg/mL湿ゲル の比率でブタ由来フィブロネクチン(コスモバイオ社製)を修飾化したもの)ゲル充填カラムに通じた。さらに同緩衝液にて洗浄したのち、吸着分を、4M 尿素、1M 塩化ナトリウムを含む緩衝液Aを通じ溶出させた。溶出液をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、クマシーブリリアントブルーR250染色において単一のバンドを示し、分子量マーカーとの比較によれば57キロダルトン付近の分子量を与えた。この溶出液全量を、セルロースチューブに封入し0.05M炭酸水素アンモニウムに対して透析した。なおここまでの全工程は、4℃冷却下にて実施した。更に凍結乾燥して塩を除き、乾燥粉体約200mgを得た。このようにして得られる米糠抽出タンパク質Aを以下の実施例にて用いた。
【0052】
(実施例2)
米糠抽出タンパク質A 100mgを、0.05mM 炭酸−炭酸アンモニウム(pH7.5)溶液に溶解した。市販プロテアーゼ(Bacillus licheniformis由来、7−15units/mgタンパク、シグマ社製)0.1mgを添加し、35℃、6時間インキュベートしたのち、全量を分画分子量10,000の限外濾過膜に通じた。ろ液を回収して凍結乾燥し、乾燥粉体約68mgを得た。このようにして得られる米糠抽出タンパク質A加水分解物を以下の実施例にて用いた。
【0053】
(実施例3)
次の処方に従い常法により化粧水を調製した。
米糠抽出タンパク質A 1.0%
エチルアルコール 39.6%
1,3−ブチレングリコール 9.5%
ヒマシ油 4.9%
メチルパラベン 0.2%
グリシン 0.5%
精製水 残分
【0054】
(実施例4)
実施例3の処方において、米糠抽出タンパク質Aに換えて、実施例2に示す米糠抽出タンパク質A加水分解物を同量添加した化粧水を調製した。
【0055】
(実施例5)
次の処方に従い常法により乳液を製造した。
米糠抽出タンパク質A 1.0%
アボガド油 11.0%
ベヘニルアルコール 0.6%
ステアリン酸 0.4%
グリセリン脂肪酸エステル 0.9%
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 1.1%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.4%
1,3−ブチレングリコール 10.1%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.4%
精製水 残分
【0056】
(実施例6)
実施例5の処方において、米糠抽出タンパク質Aに換えて、実施例2に示す米糠抽出タンパク質A加水分解物を同量添加した乳液を調製した。
【0057】
(実施例7)
次の処方に従い常法によりクリームを製造した。
米糠抽出タンパク質A 1.0%
スクワラン 11.1%
ステアリン酸 7.8%
ステアリルアルコール 6.0%
ミツロウ 1.9%
プロピレングリコールモノステアレート 3.1%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.1%
1,3−ブチレングリコール 11.9%
メチルパラベン 0.2%
香料 0.4%
精製水 残分
【0058】
(実施例8)
実施例7の処方において、米糠抽出タンパク質Aに換えて、実施例2に示す米糠抽出タンパク質A加水分解物を同量添加したクリームを調製した。
【0059】
(比較例1)
実施例3の処方において、米糠抽出タンパク質Aのみを除いた化粧水を調製した。
【0060】
(比較例2)
実施例5の処方において、米糠抽出タンパク質Aのみを除いた乳液を調製した。
【0061】
(比較例3)
実施例7の処方において、米糠抽出タンパク質Aのみを除いたクリームを調製した。
【0062】
(実施例9〜14および比較例4〜6)
実施例3〜8、比較例1〜3のとおり調製された化粧料を30歳〜40歳の女性3名の前腕屈側部に朝夕1日2回、7日間塗布し、8日目朝の角質水分量を、インピーダンスメーター(IBS社製 SKICON−200)を用いた高周波インダクタンス法による伝導度測定値を指標に比較した。使用開始日朝(塗布前)の伝導度測定の結果を100としたときの伝導度の相対値(三人の平均値)を実施例9〜14、比較例4〜6として表1に示した。米糠抽出タンパク質A、および当該タンパク質加水分解物を含有する化粧料において、伝導度の向上、すなわち角質水分量の増大が見られ、比較例に対しいずれも有意な保湿作用の向上を認めた。
【0063】
【表1】
【0064】
(実施例15)
実施例1で調製したタンパク質Aを10μg/mL溶解しろ過滅菌したPBS緩衝液を、市販のポリスチレン製60mmシャーレに無菌的に5mL分注し、無菌下、常温で静置した。24時間後、液を吸引除去し、さらに常温下風乾した。このシャーレに、10% FBS(ウシ胎児血清、Sigma社製)を含むRD培地(RPMI1640と DMEを1:1で混合したもの)であらかじめ定常期まで培養したヒト神経芽細胞 IMR−32懸濁液(CFM−PBSで1回洗浄し少量のRD培地におよそ2×104個/mLとなるよう再懸濁したもの)を5mL播種し、CO2インキュベーターにて2時間培養した。細胞の伸展を位相差顕微鏡による検鏡像で確認したのち、BSA(fraction V、5mg/mL)、EGF(ヒト、リコンビナント10ng/mL )、トランスフェリン(10μg/mL)、インスリン(1μg/mL)(以上Sigma社製)、を含むRD培地に交換し、引き続き72時間培養した。培養液を吸引除去し、CMF−PBS 5mLで細胞表面を洗浄したのち、37℃に加温しておいた0.25%トリプシン/0.02%EDTA液を5mL添加し37℃で保持した。10分間保持後、位相差顕微鏡による検鏡で細胞の分散を確認したのち、血清添加培養液1mLを加え、全量を遠心分離した。細胞沈澱に血清添加培養液5mLを加えピペッティングして分散させた。得られた分散細胞の総数を、Thomaの計算板にて計数し、培養後総細胞数を算出した。結果を表2に示す。
【0065】
(比較例7)
実施例15で、タンパク質Aを、市販コラーゲン(Sigma社製、type III 酸可溶性、ウシアキレス腱由来)に代えたほかは同様にして培養後の総細胞数を算出した。結果を表2に示す。
【0066】
(比較例8)
実施例15で、シャーレのタンパク質A溶液による処理を省いたほかは同様にして、培養を試みたが、細胞の着生、伸展が認められなかった。
【0067】
【表2】
【0068】
(実施例16)
市販の牛皮由来ゼラチン(Sigma社製、強度表示約175ブルーム)と、実施例2で調製したタンパク質A加水分解物を、合計が6.67%(w/v)となるよう様々な比率で水に加え、さらに砂糖10%(w/v)を加え、全体を加熱溶解後、胴径8cm、深さ10cm、口径(内径)3cmのガラス瓶に90mLづつ分注し、10℃で17時間冷却し、モデル食用ゼリーを調製した。冷却固化したゼリーの入った瓶を、ラボジャッキに設置し、直径13mmの平型プローブを取り付けてスタンドに固定したフォースゲージの先端に向けてゆっくりと押し上げた。ゼリー表面がフォースゲージの先端に触れた時点からさらに4mm押し上げた時点でゲージを読みとり、ゲル強度値とした。各組成に対して得られたゲル強度値を表3に示した。ゼラチンを50%まで置き換えても、良好に固化し、食用ゼリーにおいてもゼラチンを置換できることが判明した。
【0069】
(比較例9)
実施例16より、タンパク質A加水分解物を除いて同様にモデル食用ゼリーを調製し、同様にゲル強度を測定した。結果を表3に示した。ゼラチン量の減少に従い、急速にゲル強度が低下した。
【0070】
【表3】
【0071】
(実施例17)
6週齢のラット(体重170〜194g、平均180g)に、1週間の20%カゼイン(関東化学社製、ミルクカゼイン)食によるプレフィードを行ったのち、カゼイン、市販コラーゲン(Sigma社製、タイプI ウシアキレス腱由来)、実施例1で調製のタンパク質Aを、様々な比率で混合し合計15%タンパクとなるよう調製したモデル餌に切換え、35週齢まで育成し体重を測定した。結果を表4に示す。コラーゲンをタンパク質aに置き換えたモデル餌においてもコラーゲン添加時と同等の体重増加が見られ、栄養成分としてコラーゲンに代替可能であることが示された。またいずれの試験区においてもラットに異常所見は終始認められなかった。食餌中において当該タンパク質がコラーゲンと同等の栄養として機能することが示された。
【0072】
【表4】
【0073】
【発明の効果】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物を含む皮膚外用剤は、ドライスキン、敏感肌、肌荒れなど皮膚の乾燥に由来する様々な症状の改善、健全な皮膚の状態の維持・保護に有用である。
【0074】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物を含む細胞培養、組織培養、または器官培養用基材によれば、試験研究用、また再生医療用として、細胞接着因子依存の細胞、組織、器官培養を良好に行うことができるほか、in vivoにおいて細胞分裂や組織形成を促し外科的治療の効果を高める、もしくは生体を健全に保つために有用な医用・生体材料を提供することができる。
【0075】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物によれば、栄養価や食感に優れる安全な食品を提供することができる。
【0076】
本発明による、タンパク質および/または該タンパク質の処理物である組成物はいずれの用途においても、動物由来の病原性の問題がなく、安全で、経済的に、コラーゲンの機能を代替することができる。
Claims (18)
- N末端アミノ酸配列がアミノ酸配列番号1で表される配列を有するタンパク質および/または該タンパク質の処理物であることを特徴とするコラーゲン代替組成物。
配列番号1 Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro− - タンパク質が、植物および/または植物の一部より得られるタンパク質であることを特徴とする請求項1に記載のコラーゲン代替組成物。
- 植物がイネ科植物であることを特徴とする請求項2に記載のコラーゲン代替組成物。
- 植物および/または植物の一部が米糠であることを特徴とする請求項2または3に記載のコラーゲン代替組成物。
- 植物および/または植物の一部より得られるタンパク質がトリス−EDTA緩衝液の可溶画分であることを特徴とする請求項2に記載のコラーゲン代替組成物。
- タンパク質の処理物が、加水分解処理したものであることを特徴とする請求項5に記載のコラーゲン代替組成物。
- 加水分解処理が、タンパク質分解酵素によるものであることを特徴とする請求項6に記載のコラーゲン代替組成物。
- 植物よりトリス−EDTA緩衝液を用いて可溶画分を抽出する工程を含むことを特徴とするN末端アミノ酸配列がアミノ酸配列番号1で表される配列を有するタンパク質および/または該タンパク質の処理物であるコラーゲン代替組成物の製造方法。
配列番号1 Asp−Ala−Gly−Gly−Tyr−Gly−Gly−Gly−Tyr−Thr−Pro− - 請求項1〜7のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
- 皮膚外用剤がクリーム、エッセンス、化粧水、乳液、パウダーまたはムースであることを特徴とする請求項9に記載の皮膚外用剤。
- 皮膚外用剤がマニキュア、リップクリーム、パック、ネイルケア剤、歯磨き、浴用剤、シャンプー、リンス、ヘアトニックまたはヘアクリームであることを特徴とする請求項9に記載の皮膚外用剤。
- 皮膚外用剤がうがい薬、養毛剤、育毛剤または頭皮用剤であることを特徴とする請求項9に記載の皮膚外用剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする培養用基材。
- 培養用基材が、細胞培養、組織培養または器官培養用基材であることを特徴とする請求項13に記載の培養用基材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする医用・生体材料。
- 医用・生体材料がコーティング剤、皮膚補修用インプラント剤、代用硝子体、コンタクトレンズ、創傷保護材、人工角膜、薬剤徐放剤、縫合糸、止血剤、人工血管、接合剤または人工皮膚であることを特徴とする請求項15に記載の医用・生体材料。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のコラーゲン代替組成物を含有することを特徴とする食品。
- 食品がスープ、タレ、水産練製品、畜肉練製品、健康食品または飲料であることを特徴とする請求項17に記載の食品。
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