JP2015047080A - 乳化組成物 - Google Patents

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Kaori Aibe
かおり 相部
喜子 久保田
Yoshiko Kubota
喜子 久保田
智文 酒井
Tomofumi Sakai
智文 酒井
政稔 本城
Masatoshi Honjo
政稔 本城
伊藤 幸彦
Yukihiko Ito
幸彦 伊藤
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Abstract

【課題】アシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物を配合する乳化組成物を提供する。【解決手段】米糠抽出物(A)と乳化剤(B)と水(C)とを混合して乳化させる。【選択図】図1

Description

本発明は、米糠抽出物を含有する乳化組成物に関する。
米糠は玄米を精白する過程で産出される際に出る果皮、種皮、胚芽などの部分のことである。米糠には種々の有用な成分が含有されている。代表的な成分として、フィチン酸、イノシトール、フェルラ酸、γ−オリザノール、食物繊維、蛋白質、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンE、ミネラルなどを例示することができる。これらの成分を利用した米糠の抽出物配合食品や飲料が以下のように提案されている。特許文献1(特開平11−146774号公報)には米糠エキスを配合した健康飲料が記載されている。特許文献2(特開2004−75636号公報)には米糠から抽出した、コラーゲン様の作用を有するタンパク質の加水分解物を配合した食品が提案されている。特許文献3(特開2007−185109号公報)には米糠由来セラミドを配合した美容飲料が記載されている。
さらに最近注目されている米糠から抽出される成分としてはアシル化ステロール配糖体がある。アシル化ステロール配糖体の生理作用として、血糖上昇抑制(特許文献4:特開2011−57597号公報)、脂質代謝改善(特許文献5:特開2011−57598号公報)、エネルギー代謝亢進(特許文献6:特開2011−57599号公報)作用、アディポネクチン産生促進(特許文献7:特開2011−20776号公報)などの作用が知られている。このような多様な作用を有する米糠由来のアシル化ステロール配糖体を飲食品に配合することが検討されている。
特開平11−146774号公報 特開2004−75636号公報 特開2007−185109号公報 特開2011−57597号公報 特開2011−57598号公報 特開2011−57599号公報 特開2011−207776号公報
本発明者は、アシル化ステロール配糖体を飲食品に配合しようとして、米糠抽出物を用いて検討を行った。ところが、アシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物は極めて水に分散または溶解し難く、特に飲料に配合した場合には、油状に飲料表面に浮遊してしまった。このため、アシル化ステロール配糖体を飲料に配合することは困難であった。
本発明はアシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物を水や飲料に容易に配合するための乳化組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)米糠抽出物(A)と、グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)と、水(C)を含有する乳化組成物。
(2)米糠抽出物(A)が、アシル化ステロール配糖体を3〜15質量%含有する米糠抽出物であることを特徴とする(1)に記載の乳化組成物。
(3)グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)がHLB11以上のグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする(1)または(2)に記載の乳化組成物。
(4)グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)がHLB11以上のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステルとHLB2以下のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物であることを特徴とする(1)または(2)に記載の乳化組成物。
(5)HLB11以上のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が、ヘキサグリセリンのモノ脂肪酸エステルであることを特徴とする(3)または(4)に記載の乳化組成物。
(6)HLB2以下のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が、ポリグリセリンの縮合リシノレイン酸エステルであることを特徴とする(4)に記載の乳化組成物。
(7)米糠抽出物(A)を0.3〜7質量%含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の乳化組成物。
本発明により、アシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物の乳化組成物の提供が可能になる。また米糠抽出物の乳化組成物は、飲料などの飲食品に利用可能である。さらに、アシル化ステロール配糖体はグルカゴン様ペプチド−1;glucagon−like peptide−1(以下、GLP−1と略記する。)の産生促進作用を有することが確認できており、本乳化組成物はGLP−1産生促進剤としても有用である。
アシル化ステロール配糖体を含む米糠抽出物が濃度依存的にヒト大腸細胞由来の培養細胞にGLP−1産生を促進することを示すグラフである。
本発明はアシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物と乳化剤と水を含有する乳化組成物である。本発明の乳化組成物はアシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物(A)とグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)と、水(C)を含有し、乳化安定性の高い組成物である。
本発明に用いる米糠抽出物に含まれるアシル化ステロール配糖体は、通常混合物である。アシル化ステロール配糖体の構成糖は主にグルコースである。また構成ステロールはβ−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール等である。アシル化は主にグルコースの6位が脂肪酸によってアシル化されており、構成脂肪酸は主にリノール酸、オレイン酸、パルミチン酸であることが明らかになっている(帯大研報,10,(1977)507〜514)。
本発明に用いられるアシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物は、アシル化ステロール配糖体を3〜15質量%含有する。さらに本発明に用いられるアシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物は、その他の成分として、トリグリセライド油、レシチン等を含む。また、米糠からのアシル化ステロール配糖体を含有する組成物の抽出方法は任意の方法が選択できる。一般的には有機溶媒抽出法や超臨界抽出法などが例示できる。
<米糠抽出物(A成分)について>
本発明に用いられる米糠抽出物中のアシル化ステロール配糖体の含有量の測定は以下の方法により行うことができる。
(1)米糠抽出物を適量秤取し、クロロホルム/メタノール混液(クロロホルム:メタノール=2:1)を加え、メスフラスコにてメスアップする。
(2)(1)で得られた溶液は成分濃度に応じて適宜希釈し、分析用試料溶液とする。
(3)標品はEsterified Steryl Glucoside(フナコシ社製)とし、高速液体クロマトグラフ法によりアシル化ステロール配糖体の濃度を算出する。
(4)高速液体クロマトグラフ法による分析条件
分析装置:HPLC
移動相A:メタノール:水 = 95:5(v/v)
移動相B:クロロホルム = 100(v/v)
ポンプ:Model 582 solvent delivery system
分析カラム:LiChrospher Si60(5μm)HPLC−Cartridge(MERCK社製)
検出器:荷電化粒子検出器(コロナ ダイオネクス社製)
Injection Volume:20μL
カラムオーブン:40℃(FLO社製 model 502)
分析時間:40min
脱泡装置:uniflows Degasys Ultimate DV3003
流速 :1mL/min
グラジェント条件
以下に示すとおり
0−15分
移動相A:1% → 25%、移動相B: 99% → 75%
15−20分
移動相A:25% → 90%、移動相B: 75% → 10%
20−25分
移動相A:90%、移動相B: 10%
25−30分
移動相A:90% → 1%、移動相B: 10% → 99%
30−40分
移動相A:1%、移動相B: 99%
本発明に用いられる米糠抽出物の抽出方法としては、溶媒抽出法、超臨界抽出法等が挙げられる。
また、具体的な抽出操作を以下に示す。
なお、得られた米糠抽出物をカラムクロマトグラフィーでアシル化ステロール配糖体を再度濃縮してもよい。
<抽出方法1(溶媒抽出法)>
市場に流通している米糠を選別した後にノルマルヘキサンなどの溶媒を用いて脱脂する。得られた油、脱脂米糠等の粗原料を蒸留装置により脱溶媒し、さらにノルマルヘキサン、アセトン、エタノールなどの溶媒によって抽出する。かくして得られた抽出液を、脱溶剤装置を用いて再度脱溶剤することで米糠抽出物を得ることができる。
<抽出方法2(超臨界抽出法)>
第一段階抽出
超臨界二酸化炭素抽出装置によってトリグリセライド油を主成分とする脂質を除去した米糠を得る工程である。通常の精米機で精白率95%に精米して米糠を調製する。米糠を予め脱水し、一般的に実施されている二酸化炭素の超臨界条件下で容易に米糠からトリグリセライド油を主成分とする脂質を選択的に除去する。適切な抽出条件は、例えば、抽出時間1〜5時間、抽出圧力10〜50MPaおよび抽出温度32〜80℃である。好ましくは抽出時間1〜3時間、抽出圧力15〜40MPaおよび抽出温度35〜50℃であり、より好ましくは抽出時間2時間、抽出圧力25MPa付近および抽出温度40℃付近である。
第二段階抽出
第一段階が終了した米糠から、低級アルコールを添加した超臨界二酸化炭素でアシル化ステロール配糖体を含有する画分を抽出する。低級アルコールとしては、エタノールを使用することが好ましい。エタノールは安全性の面からも好ましく、食品や医薬品を製造する際に有機溶媒として最適であり、残留することもほとんどなく、他の有機溶媒と比較して安全性も高い。
適切な超臨界抽出条件として例えば抽出時間0.5〜5時間、抽出圧力10〜50MPaおよび抽出温度32〜80℃の条件で抽出する。好ましくは抽出時間1〜3時間、抽出圧力15〜40MPaおよび抽出温度35〜50℃であり、より好ましくは抽出時間2時間、抽出圧力25MPa付近および抽出温度40℃付近である。
なお超臨界抽出する場合の二酸化炭素の供給量は、第一段階抽出時及び第二段階抽出時とも、米糠1重量に対し二酸化炭素の重量を1〜450倍量とする。好ましくは100〜300倍量、より好ましくは250倍量である。
また、第二段階抽出における二酸化炭素とエタノールの混合比率は、重量比で、50:1〜5:1、好ましくは30:1〜10:1、より好ましくは20:1である。
アシル化ステロール配糖体を3〜15質量%含む米糠抽出物を乳化組成物とする場合は乳化組成物当たり0.3〜7質量%を配合することで、アシル化ステロール配糖体を約0.01〜1質量%含有する乳化組成物を得ることができる。このようなアシル化ステロール配糖体を含有する乳化組成物は、飲用することで生体機能の改善に有効に作用する。
<グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)について>
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステルは、乳化剤として使用する。特にHLB11以上又はHLB2以下のものが好ましい。
乳化剤として用いることのできるグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノパルミテート、テトラグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノミリステート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリントリステアレート、テトラグリセリンペンタステアレート、テトラグリセリンモノオレエート、ペンタグリセリンモノラウレート、ペンタグリセリンモノミリステート、ペンタグリセリンモノステアレート、ペンタグリセリントリステアレート、ペンタグリセリンペンタステアレート、ペンタグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノミリステート、ヘキサグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート、ヘキサグリセリンペンタステアレート、ヘキサグリセリンモノオレエート、オクタグリセリンモノラウレート、オクタグリセリンモノミリステート、オクタグリセリンモノステアレート、オクタグリセリントリステアレート、オクタグリセリンペンタステアレート、オクタグリセリンモノオレエート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノパルミテート、デカグリセリンモノステアレート等が挙げられる。
特に、本発明に用いるHLB11以上の物質としては、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノリノレート、デカグリセリンモノパルミテートなどが挙げられる。
また、本発明に用いるHLB2以下の物質としては、グリセリンモノステアレート、テトラグリセリン縮合リシノレート、ヘキサグリセリン縮合リシノレートなどが挙げられる。
なお、本発明に配合するグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、乳化組成物中に0.5〜4質量%含有させることが好ましい。
<その他添加成分>
本発明の乳化組成物中には、食品に一般的に配合される添加物を配合することができる。例えば、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、酸化防止剤、漂白剤、香料、酸味料、調味料、pH調整剤等を配合することができる。
<本発明の乳化組成物の調製方法>
米糠抽出物とグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステルと水を加熱混合し、撹拌することにより乳化させ、乳化組成物とする。この乳化組成物は飲料や経口剤として使用できる。
また、乳化組成物とすることで、アシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物はアシル化ステロール配糖体の作用する小腸、大腸まで速やかに到達することができ、生体機能を活性化することができる。
また、本発明の乳化組成物は飲食品として用いることができる。炭酸飲料としてもよい。ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルに充填して、そのまま栄養補助食品として提供することもできる。
以下に参考例、実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
<参考例1:アシル化ステロール配糖体含有抽出物の調製(溶媒抽出)>
市場に流通している米糠を選別し胚乳や異物を除いた米糠を得た。得られた選別済みの米糠10kgに対して50Lのノルマルヘキサンを用い脱脂した。この脱脂作業を3回繰り返し、脱脂米糠を得た。得られた脱脂糠を蒸留装置により溶媒を除去した。得られた脱脂米糠8kgに対し、50Lの割合でエタノールによって70℃にて1時間、3回抽出し、得られた抽出液について、脱溶剤装置を用いてエタノールを除去した。その抽出物をろ過して得た米糠抽出物のアシル化ステロール配糖体の含有量は3.4質量%であった。
<参考例2:溶媒抽出物の濃縮>
参考例1で得られた米糠抽出物20gに対し20mlのヘキサンとクロロホルムを1:1の割合で混合した溶媒を加えた。シリカゲルにヘキサン:クロロホルムを1:1の割合で混合した溶媒を加えて膨潤させ、直径5cm、長さ60cmのカラム内に充填し、その後に、同組成の溶媒を十分に浸透させた。米糠抽出物とヘキサンとクロロホルムの混合溶液をカラム上にアプライし、完全にシリカゲル内に浸透させた。その後、ヘキサンとクロロホルムを1:1の割合で混合した溶媒1000mlを加え、カラム下部から排出した。ヘキサンとクロロホルムの溶媒がすべて排出された後に、さらにクロロホルムを2000ml加え、カラム下部から排出した。クロロホルムがすべて排出された後にクロロホルム:メタノールを9:1の割合で混合した溶媒1000mlを加え、溶出液を回収した。得られた溶出液について、エバポレーターを用いて脱溶媒した。得られた米糠抽出物中のアシル化ステロール配糖体の含有量は12.0質量%であった。
<参考例3:超臨界抽出例1>
予め米糠中に含まれる水分(約9.5%)をほぼ除去し水分量を0.5%以下(水分除去にはフリーズドライ使用)にした米糠を約36.5g採取し、これを、超臨界抽出装置(三菱化工機社製)の耐圧容器(0.5L)に移した。次いで抽出溶媒として二酸化炭素を用いて昇温・昇圧操作を行い、40℃、25MPa、2時間の条件で超臨界二酸化炭素を抽出槽に通して抽出した。抽出液は回収槽に移し、抽出槽に余分な脂質を除去した残留物を得た。
得られた残留物を約12g採取し、次に抽出溶媒として二酸化炭素を用いて、昇温・昇圧操作を行い、40℃、25MPaに達した後、これにエタノール(99.5%)を3.95g/分の流速で供給し1時間抽出し、次いで別の耐圧容器中に抽出液(エタノール抽出液)を回収した。
得られたエタノール抽出液はナスフラスコに移し、エバポレーターにより濃縮乾固し、アシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出画分を得た。
参考例3の米糠抽出物中のアシル化ステロール配糖体の含有量は13.2質量%であった。
<参考例4:超臨界抽出例2>
参考例3と同様、予め乾燥させた米糠を約40g採取し、これを、超臨界抽出装置(三菱化工機社製)の耐圧容器(0.5L)に移した。次いで抽出溶媒として二酸化炭素を用いて、昇温・昇圧操作を行い、40℃、25MPa、2時間の条件で超臨界二酸化炭素を抽出槽に通して抽出した。抽出溶液は回収槽に移し、抽出槽に余分な脂質を除去した残留物を得た。
得られた残留物を約12g採取し、次に抽出溶媒として二酸化炭素を用いて、昇温・昇圧操作を行い、40℃、25MPaに達した後、これにエタノール(99.5%)を3.95g/分の流速で供給し2時間抽出槽に通し、次いで別の耐圧容器中に抽出液(エタノール抽出液)を回収した。
得られたエタノール抽出液はナスフラスコに移し、エバポレーターにより濃縮乾固し、アシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出画分を得た。
参考例4の米糠抽出物中のアシル化ステロール配糖体の含有量は12.4質量%であった。
<乳化組成物の製造>
表1、表2の組成で、実施例1〜5、比較例1〜5の乳化組成物を調製した。
成分7に成分1〜6を混合溶解したものを徐々に、ホモミキサーで撹拌しながら、添加して乳化させ、実施例1〜5の乳化組成物を調製した。
成分9に成分1〜8を混合溶解したものを徐々に添加しながら、ホモミキサーで撹拌し、乳化させて比較例1〜5の乳化組成物を調製した。
<乳化組成物の評価>
各乳化組成物を容量50mLガラス瓶に入れて、室温に放置した。1週間経過後、容器を肉眼で観察し、乳化状態、分離状況を観察し、乳化安定性を評価した。
肉眼での評価は次の3段階評価とした。
○:分離せず安定である。
△:わずかに分離した。
×:乳化できなかった。
評価結果を表1、表2の最下段に示した。実施例1〜4の乳化組成物はいずれも分離やクリームラインの発生が認められない安定な乳化液であった。また実施例5はわずかにクリーム分離が発生したが、振盪することで再分散し、分散した溶液には再分離などの変化は認められなかった。
一方比較例1〜5は調製直後から分離が発生し、安定な乳化組成物は得られなかった。
以上の試験から、アシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物を水に分散又は溶解させるためにはグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを乳化剤として用いる必要があることが分かった。また実施例1、3、4に示すようにグリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルを併用すると乳化剤量を減少させることができることが明らかとなった。
<GLP−1産生試験>
本発明の米糠抽出物がGLP−1産生促進効果を有していることを示し、本発明の有用性をさらに説明する。
[細胞培養試験]
NCI−H716細胞(ヒト結腸がん由来細胞)を1×10cellsを75cm の細胞培養フラスコに播種し、10% FBS含有RPMI1640培地で14日間、37℃、5%CO条件下で、培養を行った。なお NCI−H716細胞は、ATCC(American Type Culture Collection)から入手した。 培養後、マトリゲルを塗布した24 well plateに4×10cells/wellとなるように播種し、10%FBS含有DMEM培地で1日間培養を行った。
その後、Hanks緩衝液で2回洗浄し、試験試料を添加し、無血清DMEM培地で2時間培養を行った。培養終了後、培養液中に産生されたGLP−1量を「GLP−1 ELISA kit(Glucagon−Like Peptide−1 Cat#EGLP−35K:Millipore社製)」を用いて測定した。なお、コントロールは 1%DMSOとし、陽性対照として用いたオレオイルエタノールアミド(OEA)は、GLP−1産生促進査証を有することが知られている化合物である。このOEAを100μMとなるように添加した。
[試験物質]
参考例1及び2で得られたアシル化ステロール配糖体(ASG)を含有する米糠抽出物を試験に用いた。ASGを含有する米糠抽出物の濃度が1000μg/ml/1%DMSO(ジメチルスルフォキシド)となるように、DMEM(FBS−,PS−)培地で溶解し、最終培養液中のASGを3.4%含有する米糠抽出物の濃度は、250μg/ml、500μg/ml、1000μg/mlになるように、12.0%含有する米糠抽出物の濃度は333μg/mlになるよう添加した。
[結果]
GLP−1測定結果はDMSOのみの場合に得られる測定値を1としたとき、OEAとASGを含む組成物の相対値として求めた。測定結果を図1に示す。ASGにOEAと同等以上のGLP−1産生促進作用が確認され、さらに濃度依存性も認められた。
なお米糠由来の脂質画分であってASGを含有しないものにはGLP−1産生促進効果が認められなかった。
したがってアシル化ステロール配糖体を含有する乳化組成物はGLP−1産生促進作用を有しており生体機能維持上有用である。また乳化分散したアシル化ステロール配糖体を含有する米糠抽出物は消化管内のGLP−1産生細胞を効率よく刺激してGLP−1産生を促進させるものと考えられる。

Claims (7)

  1. 米糠抽出物(A)と、グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)と、水(C)を含有する乳化組成物。
  2. 米糠抽出物(A)が、アシル化ステロール配糖体を3〜15質量%含有する米糠抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の乳化組成物。
  3. グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)がHLB11以上のグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の乳化組成物。
  4. グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)がHLB11以上のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステルとHLB2以下のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の乳化組成物。
  5. HLB11以上のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)がヘキサグリセリンのモノ脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項3または4に記載の乳化組成物。
  6. HLB2以下のグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはポリグリセリン脂肪酸エステル(B)がポリグリセリンの縮合リシノレイン酸エステルであることを特徴とする請求項4に記載の乳化組成物。
  7. 米糠抽出物(A)を0.3〜7質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の乳化組成物。
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