JP2011207776A - アディポネクチン産生促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】発芽玄米に含有されるステロール配糖体に着目し、その新しい作用機序について、明らかにする。
【解決手段】発芽玄米由来のステロール配糖体を有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アディポネクチン産生促進剤に関する。
本出願人、本発明者等は、発芽玄米に着目して、研究開発を続けており、発芽玄米そのものの開発及び発芽玄米に含まれている成分の機能に関する発明など多数の提案をしている。
機能成分に着目した提案として、例えば、特許文献1(特開2008−266326号公報)は、発芽玄米全脂質画分を有効成分とする神経障害若しくは糖尿病性神経障害予防若しくは改善剤を提案している。
特許文献2(特開2006−316018号公報)は、発芽玄米の糠から抽出したアリラトースBを含有するグルココルチコイド受容体拮抗剤、アドレナリンβ3受容体作動剤が提案されている。
特許文献3(特開2006−316016号公報)は、発芽玄米の糠から抽出した特定の化学構造のリゾホスファチジルコリンを含有するインスリン受容体作動剤が提案されている。
アディポネクチンは、脂肪細胞から特異的に産生および分泌されるタンパク質であり、循環器系疾患、糖尿病、肥満などの生活習慣病と密接に関連することが知られている。血中でのアディポネクチンの産生を促進する成分の研究・開発が進められ、多数の提案が成されている。
特許文献4(特開2009−209080号公報)には、大豆蛋白加水分解物を有効成分とし、特に大豆蛋白加水分解物がジペプチド又は/及びトリペプチドを主成分とするオリゴペプチド混合物であるような組成物が、アディポネクチン分泌促進作用があり、血中アディポネクチン濃度を強く亢進することが開示されている。
特許文献5(特開2009−249341号公報)には、紅麹抽出物およびプロアントシアニジンを有効成分とする、アディポネクチン産生促進剤が開示されている。
特許文献6(特開2009−249341号公報)には、レスベラトロールを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤が開示されている。
特開2008−266326号公報 特開2006−316018号公報 特開2006−316016号公報 特開2009−209080号公報 特開2009−249341号公報 特開2009−249341号公報
本発明者は、発芽玄米に含有されるステロール配糖体画分に着目し、その新しい作用機序について、明らかにすることを本発明の課題とする。特に、アディポネクチン産生促進剤を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.発芽玄米由来のステロール配糖体を有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
2.発芽玄米由来のステロール配糖体が、発芽玄米糠由来のステロールであることを特徴とする1.記載のアディポネクチン産生促進剤。
3. 1.又は2.に記載されたアディポネクチン産生促進剤を含有する飲食品。
4. 1.又は2.に記載されたアディポネクチン産生促進剤を含有するペットフード。
本発明は、発芽玄米由来のステロール配糖体にアディポネクチンの産生促進作用があることを明らかにした。特に、発芽玄米由来のステロール配糖体は、発芽玄米の糠の部分より抽出して利用することができる。
この発芽玄米由来のステロール配糖体を医薬、飲食品等の形態で摂取することにより、アディポネクチンの産生を促進することができる。これによりアディポネクチンが関与する種々のインスリン抵抗性を改善し、メタボリックシンドロームに基づく種々の病態の治療・予防に役立つことが期待される。
これは、ペット用としても活用できる。また、発芽玄米由来であるので、安全性が高く、風味にも問題ないから、使用性の観点でも優れている。
食餌誘導肥満マウスの血中adiponectin量を示すグラフ。 食餌誘導肥満マウスの単位脂肪重量あたりのadiponectin分泌量を示すグラフ。
本発明に使用する発芽玄米から抽出された植物ステロール配糖体画分(以下「ASG」若しくは「P-ASG」と称する場合がある)は、発芽玄米から得た糠をヘキサンで中性脂質を除去し、得られた残渣をさらに有機溶媒にて抽出した総脂質画分に含まれ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分離・濃縮することが出来る。
本発明は、この発芽玄米由来のステロール配糖体を有効成分とする安全な抗老化剤および抗酸化剤である。摂取方法は、経口、注射により行うことができ、医薬、飲食品、食品添加剤、ペット用の医薬剤、ペット用飼料の添加剤として活用することができる。通常食用にしている発芽玄米由来の成分であるので、安全性が高い。
ASGは、発芽玄米の糠成分から極微量抽出される成分であるので、ASGを医薬あるいは飲食品、ペット用医薬や飼料に応用する場合は、抽出されたASG そのものを使用するのであって、発芽玄米そのものあるいは発芽玄米の粉末などASG を抽出する前の状態で使用することは想定されていない。
本発明は、医薬、食品添加物、食品およびペットフード、動物用医薬として利用することができる。剤型は、公知の方法により助剤とともに任意の形態に製剤化して、経口投与することができる。カプセル剤又は錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液状として投与できる。
投与量は、投与方法と、患者の年齢、病状や一般状態等によって変化し得るが、 動物試験の結果より成人では体重1kg当たり通常、1日当たりの有効成分として0.4〜600mgが妥当である。
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、一般食品や健康食品に配合することができ、また、食品添加物の成分とすることもできる。配合する食品は特に限定されず、例えば食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、ドーナツ、ケーキ等のベーカリー食品、うどん、そば、中華麺、焼きそば、パスタ等の麺類、天ぷら、コロッケ等のフライ類、カレー、シチュー、ドレッシング等のソース類、ふりかけ類、かまぼこ等の練り製品、ジュース等の飲料、スナック菓子、米菓、飴、ガム等の菓子類を挙げることができる。
ペットには、犬、猫、ハムスター、リス等の哺乳類の飼料として適している。本発明のペットフードの形態は特に限定されるものではなく、例えばドライタイプ、ウェットタイプ、セミモイストタイプ、ビスケットタイプ、ソーセージタイプ、ジャーキータイプ、粉末、顆粒、カプセルなどが挙げられる。
<発芽玄米由来のステロール配糖体>
1.糠成分を採取する発芽玄米は、公知の方法により調製することができる。本出願人は、発芽玄米について多数の提案をしており、例えば、特許第3423927号公報、特許第3611804号公報、特許第3738025号公報等に開示された発芽玄米の製法によって得ることができる。
2.本出願人は、先に、発芽玄米から抽出したステロール配糖体を国際公開(WO2009/110612)として提案した。本願発明で使用するASGは、このステロール配糖体を含んでいることが判明している。このステロール配糖体をASGと略称する。このASGは、アディポネクチン産生促進作用があることを解明した。
[肥満マウス(C57BL/6j)を用いた評価]
発芽玄米に含有されるステロール配糖体画分を食餌誘導性肥満マウス(C57BL/6j)に投与し、血中adiponectinおよび単位脂肪重量あたりのadiponectin分泌量を測定した。
<大豆ステロール配糖体画分(S-ASG画分)の調製>
試験に用いたS-ASG画分の抽出は大豆粉末(20年度 北海道産とよまさり)5kgを用いて行った。大豆粉末(500g)が浸る量のヘキサンを加え十分に撹拌した後ガーゼでろ過を行い、脱脂糠を得た。その後、ヘキサンを揮発させた脱脂大豆粉末を1.5kgに対してクロロホルム:メタノール1:1を(3L)加えて総脂質画分(TL)を抽出し、抽出液をエバポレーターで乾固させ乾固物を得た。
乾固物は300mlのクロロホルム:ヘキサン=1:1に溶解し、クロロホルムで膨潤させた直径10cm×長さ100cm (メルク社製シリカゲル60を80cm充填)のカラムに全溶解液をアプライした。溶液がイアトロビーズに全てしみ込んだ後、クロロホルム:ヘキサン=1:1(7,840ml)、クロロホルム(20,160ml)、クロロホルム:メタノール=9:1(10,080ml)の順でそれぞれを通液した。クロロホルム:メタノール=9:1の通液により分離した溶液だけを全て採取した。
採取した溶液はエバポレーターで乾固させS-ASG画分として試験に供した。
<玄米ステロール配糖体画分(B-ASG画分)の調製>
試験に用いたB-ASG画分の抽出は玄米を搗精して得られた糠5kg(搗精度10%)を用いて行った。玄米糠(500g)が浸る量のヘキサンを加え十分に撹拌した後ガーゼでろ過を行い、脱脂糠を得た。その後、ヘキサンを揮発させた脱脂糠1.5 kgに対してクロロホルム:メタノール1:1を(3L)加えて総脂質画分(TL)を抽出し、抽出液をエバポレーターで乾固させ乾固物を得た。
乾固物は300mlのクロロホルム:ヘキサン=1:1に溶解し、クロロホルムで膨潤させた直径 10cm×長さ 100cm (メルク社製シリカゲル60を80cm充填)のカラムに全溶解液をアプライした。溶液がイアトロビーズに全てしみ込んだ後、クロロホルム:ヘキサン=1:1(7,840ml)、クロロホルム(20,160ml)、クロロホルム:メタノール=9:1(10,080ml)の順でそれぞれを通液した。クロロホルム:メタノール=9:1の通液により分離した暗緑色の溶液だけを全て採取した。
採取した暗緑色の溶液はエバポレーターで乾固させB-ASG画分として試験に供した。
<発芽米ステロール配糖体画分(P-ASG画分)の調製>
試験に用いたP-ASG画分の抽出は発芽玄米を搗精して得られた糠(搗精度10%)を用いて行った。米糠(500g)が浸る量のヘキサンを加え十分に撹拌した後ガーゼでろ過を行い、脱脂糠を得た。その後、ヘキサンを揮発させた脱脂糠1.5 kgに対してクロロホルム:メタノール1:1を(3L)加えて総脂質画分(TL)を抽出し、抽出液をエバポレーターで乾固させ乾固物を得た。
乾固物は300mlのクロロホルム:ヘキサン=1:1に溶解し、クロロホルムで膨潤させた直径 10cm×長さ 100cm (メルク社製シリカゲル60を80cm充填)のカラムに全溶解液をアプライした。溶液がイアトロビーズに全てしみ込んだ後、クロロホルム:ヘキサン=1:1(7,840ml)、クロロホルム(20,160ml)、クロロホルム:メタノール=9:1(10,080ml)の順でそれぞれを通液した。クロロホルム:メタノール=9:1の通液により分離した暗緑色の溶液だけを全て採取した。
採取した暗緑色の溶液はエバポレーターで乾固させP-ASG画分として試験に供した。
<P−ASG、B−ASG、S−ASG中の総ステロール量の定量>
塩化第二鉄試薬にて各画分の総ステロール量を定量した。定量値は以下の通り。
(評価)
試験には7週齢の雄性C57BL/6j マウスを用いた。被験飼料は、上述の方法で分取したS-ASG画分、B-ASG画分、P-ASG画分を30%脂肪食に添加し、重量調整はいずれもβスターチで行った。 なお、各被験物質は総ステロール量が等量となるように飼料に添加した。
<動物試験>
群分けは1週間の予備飼育後、各群の平均体重に差がないよう無作為に4群(高脂肪飼料群、S-ASG飼料群、B-ASG飼料群及びP-ASG飼料群)に振り分け実施した。飼料は粉末給餌とし、群分け後から、それぞれの被験飼料を12週間自由摂取させた。一般状態は毎日観察した。摂餌量は一週間毎の摂餌量が算出できるよう可能な限り行った。体重は1週間おきに測定した。採血は投与終了翌日に4時間絶食の後、エーテル麻酔下でヘパリンNa加注射筒により実施した。剖検は採血終了後に脇下動脈切断により放血致死させた後に実施し、副睾丸や腎臓の周囲にある脂肪重量を測定した。
<血液分析>
得られた血液は遠心分離し、血漿を分離した。血漿についてアディポネクチンELISA kitを用いて血漿中のアディポネクチン濃度を定量化した。
<統計解析>
得られたデータについては、クリスカルウォーリス検定を行い、有意差があった場合には、多重比較検定としてSteel検定を実施した。各群間の有意水準はP<0.05とした。
[測定結果]
84日間飼育後、血中のアディポネクチン濃度は高脂肪飼料群と比較して、B-ASG飼料群、S-ASG飼料群で有意な差は見られなかったが、P-ASG群でのみ有意に上昇していた。また、単位脂肪重量あたりのアディポネクチン分泌量に関しても高脂肪飼料群に比較してP-ASG群でのみ有意な上昇が見られた。
以下に〔0018〕に開示した調整方法による本発明のP-ASGを用いた処方例を示す。
処方例1
[カプセル剤]
組成
P-ASG乾固物 …100mg
ミツロウ …10mg
ぶどう種子オイル …110mg
上記成分を混合し、ゼラチンおよびグリセリンを混合したカプセル基剤中に充填し、軟カプセルを得た。
処方例2
[錠剤]
組成
P-ASG乾固物 …150mg
セルロース …80mg
デンプン …20mg
ショ糖脂肪酸エステル …2mg
上記成分を混合、打錠し、錠剤を得た。
処方例3
[飲料]
(組 成) (配合;質量%)
果糖ブトウ糖液糖 5.00
クエン酸 10.4
L−アスコルビン酸 0.20
香料 0.02
色素 0.10
ASG乾固物 1.00
乳化剤 0.30
水 81.98

Claims (4)

  1. 発芽玄米由来のステロール配糖体を有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
  2. 発芽玄米由来のステロール配糖体が、発芽玄米糠由来のステロールであることを特徴とする請求項1記載のアディポネクチン産生促進剤。
  3. 請求項1又は2に記載されたアディポネクチン産生促進剤を含有する飲食品。
  4. 請求項1又は2に記載されたアディポネクチン産生促進剤を含有するペットフード。
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