JP2004054053A - 画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光体上に形成された静電潜像を乾式トナーにより現像する現像工程と、次いで形成されたトナー像を転写紙に対して圧力のみで転写同時定着する一次定着工程と、更に一次定着した転写紙上のトナー像を定着ローラを有する加熱加圧定着装置に通すことにより定着する二次定着工程を有する画像形成方法であって、トナーとして、該トナーの体積固有抵抗が1×109Ω・cm以上、重量平均粒径が3.0〜10.0μmの非磁性トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成方法、さらに詳しくはその画像形成方法を採用したプリンタや複写機などの画像形成装置による画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成法には、多くの工程が必要になる。即ちスキャナーや光学系で原稿を電気信号に変換する。プリンターの場合は直接プロッターの信号で入力する。次いで電気信号をレーザー等の書きこみにより、感光体に光学像として照射され、帯電している感光体上に静電潜像を作る。その潜像に対し、現像工程でトナーに代表される有色微粉末を静電的に付着させる。更に転写工程で転写紙に静電的に転写される。最近、カラーの分野では中間転写体上に3〜4色のトナー像を転写し、転写紙に転写する方式も多く用いられている。そして、転写紙上にトナーを熱などにより溶融、固着させ、画像を形成する。
【0003】
以上のすべての工程で画像(潜像も含めて)の劣化は発生する。特に現像、転写、定着の各工程での画像の劣化が大きいことは周知の通りである。
この内、現像工程では、トナーの小径化、球形化、キャリアの小径化などで、改善されてきている。現在、転写工程でのチリ、ニジミ、などでの画像劣化が大きい。また定着工程でもトナーを転写紙に融着させる過程でトナーの溶融によるトナー像の広がりで劣化することがある。
以上の劣化現象で特に転写工程での画像劣化が大きい。
【0004】
そこで、転写工程と定着工程を同時に行うことが提案されている。
例えば、特開昭55−87156号公報にはアモルファスシリコーン感光体を用いて加熱定着ロールを用いて用紙への転写と定着を同時に行う方法が提案されている。また特開平6−175512号公報にも重合トナーを用いた熱エネルギーで転写と定着を同時に行う方法が提案されている。
また、特開平7−5776号公報には、アモルファスシリコーン感光体を用い、トナーとしてカプセルトナーを用いて圧力ローラに転写バイアスを印加する方法が提案されている。カプセルトナーを用いる方法として特開平5−107796号公報、特開平6−230599号公報など多くの提案がされている。
いずれにしても圧力は大きく、機構上や転写紙搬送上、システムとして大きくなり、実用上問題となって実用化はなされていない。
【0005】
以上のように、熱や圧力で転写と同時に定着する方式は完全定着する技術として提案されている。しかし、熱で転写と定着を同時に行う方式では、感光体周りが高温になり、現像、クリーニング装置などでトナーに大きなストレスがかかり、実用上問題が大きい。
また、転写定着時を圧力のみで行う方式では転写定着性の面から980N/cm2以上が必要であるなど、装置の大型化や転写紙の定着じわの発生などの不利な点がある。
また前述の公報記載のものではカプセルトナーを用いているが、カプセルトナーは実用的には問題が多く、特に現像と定着の両立ができておらず、またコストが高すぎるなどの問題があり、汎用的に利用されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を鑑み、カプセルトナーを使用することなく、従来から知られている粉砕法や重合法により得られる一般的に製造されるトナーを使用できる画像形成装置において、転写による画像劣化の無い転写、すなわち転写時にトナーを転写紙に固着させる方法を採用し、なおかつ従来報告されている転写定着時の圧力をより低圧にすることにより、画像劣化のない高品位の画質の画像を得ることができる画像形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために、画像形成装置は、感光体ドラム、転写搬送ベルトを含む転写手段などで構成され、該感光体ドラム上に形成されたトナー像は、感光体と転写手段に挟まれた転写紙に圧力を加えることで転写と同時に転写紙にトナーの固着が行ない、圧力のみで転写と同時に固着された転写紙上のトナー像を、転写紙を転写ベルトにより運搬し、下流プロセスに設けられた熱による定着手段を通すことで定着させることにより、転写時に画像劣化のない高品位の画質の画像を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、下記(1)〜(9)の画像形成方法が提供される。
(1)感光体上に形成された静電潜像を乾式トナーにより現像する現像工程と、次いで形成されたトナー像を転写紙に対して圧力のみで転写同時定着する一次定着工程と、更に一次定着した転写紙上のトナー像を定着ローラを有する加熱加圧定着装置に通すことにより定着する二次定着工程を有する画像形成方法であって、トナーとして、該トナーの体積固有抵抗が1×109Ω・cm以上、重量平均粒径が3.0〜10.0μmの非磁性トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(2)前記トナーの粒径の分散度(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.3以下であることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成方法。
(3)前記トナーの平均円形度が0.92〜0.99であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の画像形成方法。
(4)前記トナーのガラス転移温度Tgが50〜65℃であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成方法。
(5)前記トナーの軟化温度Tmが100〜160℃であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成方法。
(6)前記トナーの溶融粘度が1000PaSとなる温度が120〜170℃であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成方法。
(7)前記トナーのゆるみ見掛け密度が0.3g/cc以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成方法。
(8)前記感光体が、表面摩擦係数が0.70以下の有機光半導体であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成方法。
(9)前記感光体が、導電性支持体上に感光層と金属酸化物を含有した保護層を設けた有機感光体であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明で用いる画像形成装置全体の概略図である。
該画像形成装置は、周知の電子写真方式を用い内部に記録媒体であるドラム状感光体1を備えている。感光体1の周囲には矢印で示す回転方向に沿って、電子写真複写行程を実施する帯電器2、露光手段3、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段6および定着手段7が配置されている。
【0010】
露光手段3は、スキャナー31で読みとったデータ、及び図示しないPC等外部より送られた画像信号を変換し、ポリゴンモータでレーザ光32をスキャンさせミラー33を通して読み取られた画像信号を基に感光体1上に静電潜像を形成する。この感光体1は有機感光体の他アモルファス等既存の感光体を用いることが出来る。
感光体1上に形成された静電潜像は、現像手段4によってトナー画像が形成され、そのトナー画像を転写するための転写材が転写材の貯蔵されている転写材バンク101、106から給紙ローラ102、107で給紙され給紙コロ103、108で給送される。コロ104は感光体上トナー像と同期を取って転写材を搬送する為のレジストコロ104であり、転写材は転写手段5に送られ静電転写される。トナー像が載った転写材は、転写ベルト53を通して定着手段7に搬送、定着された後に、機外へ排出される。
一方、未転写部や汚れの付着した感光体1はクリーニング手段6によりクリーニングされ次の作像ステップに入る。
【0011】
定着手段7は(後述する)転写手段5で半溶解されたトナーを完全に定着する為に、本発明では必要な構成である。
基本構成としてはハロゲンランプ等の加熱手段74(以下「ヒータ」という。)を有する定着ローラ71と、圧接される加圧ローラ72とを備えている。
定着ローラ71は、例えば外径φ50の芯金(図示せず)表面にゴム硬度:42HS(アスカC)程度のシリコーンゴム等の弾性層を好ましくは400μmの厚みに設け、更にトナーの粘性による付着を防止する目的で、フッ素樹脂等の離型性の良い樹脂表層が形成されている。弾性層の厚みは画像品質と定着時の熱伝達効率を考慮して通常は100〜500μm程度が好ましい。また樹脂表層は、PFAチューブ等で構成され、その厚みは機械的劣化を考慮して10〜50μm程度の厚みが好ましい。この様な構成の定着ローラを使用することで、定着での画像品質は格段に向上する。定着ローラ71の外周面には、温度検知手段が設けられ、定着ローラ71の表面温度を例えば約165℃にほぼ一定に保つようにヒータ74が制御されている。
加圧ローラ72は例えば外径φ38の芯金表面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなオフセット防止層が被覆されている。定着ローラ71と同様に芯金の中にヒータ73を設けている。このヒータは定着手段7における安定化作用の他に後述する熱転写で重要な構成である。詳細は後述する。芯金(図示せず)表面には、シリコーンゴム等の弾性層を設けも良いが、この例ではベルト温度の安定性を加味して配置していない。
【0012】
このような構成の定着器において、定着ローラ71と加圧ローラ72とが、例えば面圧:9.3N/cm2の加圧力で圧接されて定着ニップ幅:約10mmを構成している。定着手段7は感光体駆動手段(図示せず)と同期して駆動され、転写材を挟持搬送する。この際、定着ローラ71はヒータ74によって所定の温度に制御されており、転写材上のトナー像は、両ローラ間を通過するときに、圧力を受けながら熱溶融し、ローラ対を出て冷却されることによって永久像として転写材に定着される。
定着ローラに弾性層を設けることで、トナー像の表面及び転写紙との接点がより密着され、定着性やミクロな濃度ムラや光沢の不均一が少なくなり、品位の良い定着画像を得ることが出来る。
【0013】
次に、本発明の特徴的な構成について記載する。
本発明の特徴は転写手段5にある。従来の転写プロセスは静電気を利用した静電転写方式であるが、本発明は圧力を利用して転写する点にある。更に、後述するトナーとの組み合わせにより、従来より小さい加圧力で転写と仮定着(組成変形状態のトナー像)を行う点にある。従来のごとく大きな圧力を利用して転写・定着を行うと転写ローラ等に制約され充分な転写機構が容易に作れないばかりか強い押圧力により画像を劣化させたり、転写材がちぎれる等の欠点を有する。更に、感光体を高硬度な例えばA−Siの様な感光体で構成しなければならず、画像形成装置全体が高価になるばかりか、使用出来る感光体が圧力に耐える種類の感光体に限られ汎用性がなくなる。本発明の転写方式は、本発明のトナーを用いることで、従来の静電的な転写効果でなく、弱い圧力との併用により、有機感光体等汎用性のある感光体との組み合わせでも可能な新規な転写方式である。
【0014】
転写ローラ52は金属シリンダの表面に例えば硬度80Hs(アスカC硬度計にて)程度のシリコンゴム材料を1mm厚で構成し弾性体構造とした。これは本発明の重要な構造ではないが、転写ベルト53上の面圧バラツキを良く吸収してくれること及び面圧を確保し易いので好都合である。例えば接触幅は約0.8mm、押圧力は面圧で150N/cm2になっている。面圧が300N/cm2以上になると転写率は向上するが、圧力が高くて感光体上のトナーを押しつぶす為、画像の劣化につながる。80N/cm2以下だと充分な転写特性や定着性(組成変形状態)が得られない。面圧はローラの硬度や接触幅によって決定されることであるが、約100〜200N/cm2が好ましい範囲である。転写材への定着性(組成変形状態)が約35%以上を確保することが出来、転写率が約89%以上確保出来る面圧で決定されれば、本発明の効果が十分に発揮出来る。この例では150N/cm2に設定して、転写率を約93%、定着性:40%を確保している。転写ローラ52は圧力転写する為の重要なローラであることの他、圧接領域で感光体と転写ベルト53が略同速度となる様、感光体と同期して駆動している。
【0015】
転写ベルト53は本発明の特徴とする所ではないが、上述の圧力や感光体表面に圧接キズ等の損傷を与えない材質・形状であれば本発明の効果が得られる。ここでは基材を例えばシームレスのポリイミドフィルムで構成し、その外側に硬度80Hs(アスカC硬度計にて)程度のシリコンゴム材料を500μm厚みで設け、更にその上にフッ素樹脂層を設けてある。
この様な構成の転写ベルトを搭載することで、必要な加圧力を容易に確保しながら感光体との速度変動を抑え、転写ベルト53上のトナー汚れ等も防止出来る。
この転写ベルト53はローラ54との間に架けられており、適当なテンションもかかる様になっている。
【0016】
本発明で用いられる感光体は、例えば表面硬度:20kg/mm2(ビッカース硬度)以上あれば、本発明の効果が得られる。トナーは上述のごとく転写での押圧力:約80〜300N/cm2程度であるから、感光体硬度を下げると感光体が破壊され良好な静電特性を示さない。
ここで、転写率及び定着率とは下記式で表すことができる。
転写率=〔転写材上トナー重量/現像後の感光体上トナー重量〕×100(%)
定着率=〔クロックメータ試験後の画像濃度/クロックメータ試験前の画像濃度〕×100(%)
クロックメータ試験とはJIS L 0823 摩擦試験機I型に準じて行われる。摩擦子径:φ15mm、測定布:白綿布(JIS L 0803)を8.8Nの荷重にて、画像を10回(往復)摺擦する。この時の摺察前(クロックメータ試験前の画像濃度)と後(クロックメータ試験後の画像濃度)を反射濃度計(X−Rite508分光濃度計:エックスライト社製)にて測定する。
この例では表面硬度:30kg/mm2(ビッカース硬度)を有する電荷輸送層にポリカーボネートを主原料とした有機感光体を用いたが、通常20〜40kg/mm2である。これに非晶質カーボンを数μm程度の薄膜をコートすると約300程度に向上する。又、Se−Te感光体では約60kg/mm2程度、As2Se3感光体にポリエステル及びシリカを混練したコート層を設けると150kg/mm2程度を示した。これらの感光体全てにおいて本発明の効果が期待出来ることは勿論である。
【0017】
定着手段7では転写材上トナーが既に組成変形状態で入力される為、定着ローラ71の温度は従来より低い温度や低い加圧力で本来の定着性能を得ることが出来る。又、加圧ローラ72に配置されたヒータにより転写紙通過時の加圧ローラ温度低下も防止出来、効率良く定着出来る様になる為、安定して均一な画像を得ることが出来る。
【0018】
この様に圧力を利用して、転写時のトナーを組成変形することが本発明の効果に重要な点であるが、本発明の効果を得る為にはトナーの物性も重要である。すなわち、出来るだけ低い転写圧で転写材にトナーがめり込み、トナー間に粘着性が得られることが重要である。そして、上記したように、感光体のビッカース硬度は20kg/mm2以上、転写時の面圧は300N/cm2以下が、本発明の転写手段を用いた場合充分な効果が発揮されて好ましい。
【0019】
本発明は、感光体上に形成された静電潜像を乾式トナーにより現像し、次いで形成されたトナー像を転写紙に対して圧力のみで転写同時定着する一次定着装置と、更に1次定着した転写紙上のトナー像を定着ローラを有する加熱加圧定着装置に通すことにより定着する二次定着装置とを有する画像形成装置を使用する画像形成方法において、トナーとして、該トナーの体積固有抵抗が1×109Ω・cm以上、重量平均粒径が3.0〜10.0μmの非磁性トナーを用いることを特徴とするものであり、該トナーの転写紙への定着性が一次定着<二次定着であることを特徴とするものである。
【0020】
圧力により転写紙に転写と同時に定着する一次定着においては、感光体上に形成されたトナー像は密に現像されることが重要である。もし密に現像されない場合、転写時に圧力が不均一となり、一次定着性にばらつきが生じる。トナー像を密に現像するためには、帯電量が高く均一であることが好ましく、その電荷(帯電量)をトナーに保持するためにはトナーの体積固有抵抗が高いことが必要であり、1×109Ω・cm以上であることが重要である。1×109Ω・cm未満の場合はトナー像は疎に現像され、転写時に圧力が不均一となり、転写時の定着性にばらつきが生じる。トナーの体積固有抵抗は1×1010〜5×1011Ω・cmが好ましい。
トナーの体積固有抵抗の測定は、トナー3.0gを6t/cm2の荷重をかけ直径40mmの円盤状のペレットにしたものをTR−10C型誘電体損測定器(安藤電気株式会社)にて測定する。なお周波数は1KHz、RATIOは11×10−9Ωcmである。
【0021】
また、トナーの重量平均粒径は3.0〜10.0μmが重要である。トナー粒径が小さいほど画像品質は優れる。10.0μmより大きい場合は画像品質が悪くなることが有るため好ましくない。また、3.0μmより小さい場合はトナーの生産性が悪化することや、流動性の悪化が顕著となり、キャリアとの摩擦帯電性に問題が生じるため好ましくない。
【0022】
本発明はトナーの粒径の分散度(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.3以下であることが好ましい。分散度が1.3以上の場合、一次定着での転写、定着圧が均一に加わり難くなるため圧力定着性にばらつきが発生して好ましくない。
重量平均粒径、個数平均粒径の測定はCoulter MULTISIZER
IIeを使用した。
また、表1に本発明に使用されるトナーの粒径分布の一例を示す。なお、アパーチャー径は100μmである。
【0023】
【表1】
【0024】
画像品質については、トナー像の転写後、定着後の体積及び面積が変化し画像品質が悪化する。この現象はデジタル現像の場合が特に顕著であり、独立したドットの再現性が大きく影響を受ける。
ハーフトーンの濃度は一様であるべきだが、ミクロな濃度むらが生じていると、肉眼で見たときにざらついた印象をあたえる。
ざらつきの物理的評価値は粒状度(granularity)である。
ノイズは濃度変動の周波数特性であるウィナースペクトラム(Wiener Spectrum)によって測定できる。
平均値が0である濃度変動成分をf(x)とすると
F(u)=∫f(x)exp(−2πiux)dx (1)
WS(u)=F(u)2 (2)
(ここでuは空間周波数である。)
粒状度(GS)は、WSと視覚の周波数特性(Visual Transfer Function: VTF)の積を積分した値で、下記式(3)で表される。
GS=exp(−1.8<D>)∫WS(u)1/2VTF(u)du (3)
Exp(−1.8<D>)は濃度と人の知覚する明るさの差を補正するための係数である。<D>は濃度の平均値を表す。
粒状度は画像のなめらかさの主観評価と高い相関がある。
粒状度の値が小さいほど滑らかな高画質となり、逆に大きいとざらついたプアな画像品質となる。
【0025】
本発明はトナーの平均円形度が0.92以上であることが好ましく、0.92〜0.99が特に好ましい。平均円形度が0.92未満の場合、トナー粒子が不定形となり感光体上でのトナー像の集合状態が不均一となり、一次定着での転写、定着性が悪化する。
平均円形度の測定は(株)SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定することができる。測定は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整した後0.45μmのフィルターを通した液50〜100mlに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、試料を1〜10mg加える。これを、超音波分散機で1分間の分散処理を行い、粒子濃度を5000〜15000個/μlに調整した分散液を用いて測定を行なう。CCDカメラで撮像した2次元の画像面積と、同一の面積を有する円の直径を円相当径として、円相当径で0.6μm以上をCCDの画素の精度から有効とし平均円形度の算出に用いる。平均円形度は、各粒子の円形度の算出を行い、この各粒子の円形度を足し合わせ、全粒子数で割り算することによって得ることができる。各粒子の平均円形度は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割ることにより算出することができる。
平均円形度が0.92以上のトナーは、機械的な衝撃による粉砕や、熱処理による方法などで作ることができる。
【0026】
本発明はトナーのガラス転移温度Tgが50〜70℃であることが好ましい。Tgが50℃より低い場合、トナーの保存性が悪化する。また70℃より高い場合、二次定着における熱定着性が悪化する。
Tgの測定はASTM D3418−82に準じて行う。DSC曲線は一度昇温、降温させた後、昇温速度10℃/minで測定されたDSC曲線を用いる。
【0027】
本発明はトナーの軟化温度Tmが100〜160℃であることが好ましい。Tmが100℃より低い場合、Tgと同様に保存性が悪化する。また160℃より高い場合もTgと同様に二次定着における熱定着性が悪化する。
軟化温度Tmの測定はフローテスターCFT−500C(島津製作所)で測定する。測定条件は、押出圧力:1.9612MPa、昇温速度:6℃/min、ダイ径:1.0mm、ダイ長さ:1.0mmの条件下にて1/2流出した時の温度をTmとする。
【0028】
本発明はトナーの溶融粘度が1000PaSとなる温度が120〜170℃であることが好ましい。120℃より低い場合、二次定着においてホットオフセット現象が発生し易くなる。また170℃より高い場合、二次定着における熱定着性が悪化する。
溶融粘度の測定はフローテスターCFT−500C(島津製作所)で測定した値であり、測定条件は、押出圧力:1.9612MPa、昇温速度:6℃/min、ダイ径:1.0mm、ダイ長さ:1.0mmの条件下にて測定する。
なお、溶融粘度ηは下記の式により求める。
溶融粘度η=τ/γ=πD4P/128LQ
ただし、P:押出圧力(Pa)Q=X/10×A/t
D:ダイ径(mm)
L:ダイ長さ(mm)
t:計測時間(s)
X:計測時間tに対するピストンの移動量(mm)
A:ピストンの断面積(mm2)
溶融粘度ηが1000PaSとなる温度を求める。
【0029】
本発明はトナーのゆるみ見掛け密度が0.3g/cc以上であることが好ましい。0.3g/cc未満の場合、トナーの凝集性が強くなり、感光体上でのトナー像厚みが不均一となり一次定着での転写、定着性が悪化する。
ゆるみ見掛け密度はパウダーテスター(PTN型:ホソカワミクロン社製)を用い測定する。
【0030】
本発明は感光体の表面摩擦係数が0.70以下の有機光半導体であることが好ましい。該表面摩擦係数が0.70より高い場合、一次定着で転写、定着する際に感光体との離型性が悪くなり、一次定着での画像品質が悪化する。
感光体の表面摩擦係数を低くする方法として、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど脂肪酸金属塩を感光体表面に均一に塗布することや、感光体の電荷輸送層中にシリコーンオイルを含有させること等により可能であり、また最も一般的な手段はトナー中に添加する方法である。
表面摩擦係数の測定は協和界面化学(株)社製、全自動摩擦摩耗解析装置を用い測定する。この時接触子として3mmステンレス球を用いる。
【0031】
また、本発明は感光体が導電性支持体上に感光層と金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体であることが好ましい。
金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体を用いた場合、一次定着で加圧ロールによる圧力が加わっても機械的強度が強いため、感光体の膜削れが少なく、安定した画像品質を得ることができる。
また、感光体の保護層中に含有する金属酸化物としては、アルミナ、酸化チタン、シルカの中から選ばれる一種であることが望ましい。
保護層は耐摩耗性を向上する目的で、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂中にシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの各種金属酸化物を添加したものが用いられるが、特に膜削れ防止効果が高いアルミナ、酸化チタン、シリカが好ましい。
【0032】
次に本発明に使用するトナーの材料について説明する。
本発明で使用される結着樹脂としては従来公知の樹脂が全て使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。
【0033】
本発明では特にポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合によって得られる。使用されるアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメタ)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0034】
また上記の樹脂は単独使用も可能であるが、二種類以上併用しても良い。
また、これら樹脂の製造方法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合いずれも使用できる。
【0035】
本発明においてトナーに使用される離型剤として公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。
カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。
モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。
酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。
これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分100重量部に対し、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
【0036】
また外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0037】
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤などが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0038】
本発明に使用するトナーには荷電制御剤をトナー粒子に内添、またはトナー粒子に外添して用いることが好ましい。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となり、特に本発明では荷電制御剤を用いることにより前記のトナー濃度を制御しない現像方法に用いた場合、有効である。トナーに用いられる荷電制御剤としては従来より公知の物でよく、正極性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレートを単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系化合物、有機四級アンモニウム塩の如き極性制御剤が特に好ましく用いられる。
【0039】
負極性制御剤としては、例えば有機金属化合物、キレート化合物が有効である。その例としてはアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジタ−シャリ−ブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸あるいはサリチル酸系の金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体、モノアゾ金属錯体またはサリチル酸系金属塩が好ましい。
【0040】
前記の荷電制御剤は、微粒子状として用いることが好ましく、具体的には、3μm以下の個数平均粒径が好ましい。
トナーに使用される荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、通常0.1〜20重量部の範囲、好ましくは0.2〜10重量部で用いられる。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し実用的でない。また20重量部を越える場合にはトナーの帯電量が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0041】
本発明に用いるトナーの着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料の全てが適用される。具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、オイルブラック、アゾオイルブラックなど特に限定されないが、特にアセチレンブラックやケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックを用いることによって、本発明に使用するトナーの体積固有抵抗値を制御するは可能である。
着色剤の使用量は、一般に結着樹脂100重量部に対し1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
【0042】
本発明のトナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、粉砕法としては例えば結着樹脂、離型剤、着色剤、その他場合によっては荷電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練する。ここで、練り温度、練り速度等の混練条件を変更し、カーボンブラックの分散性を変えることにより、本発明に使用するトナーの体積固有抵抗値を制御することは可能である。混練後は冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕機で粉砕し、その後分級し得られる。
上記トナーに無機無粉末を添加するにはスーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いる。
【0043】
本発明の画像形成方法は、一成分現像方式でも、また二成分現像方式でも行なうことができる。
二成分現像方式の場合、本発明において現像剤を構成するキャリアの核体粒子としては、公知のものでよく例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;前記強磁性体微粒子と樹脂との複合体等が挙げられる。
本発明で用いられるキャリアはより耐久性を長くする目的で、表面を樹脂で被覆する構成になっていてもよい。
被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル系樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素系樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられるが、中でも本発明で使用する被覆樹脂としてはトナースペントに対する余裕度が高いシリコーン樹脂又はその変成品が好ましい。
【0044】
シリコーン系樹脂としては、従来から知られているいずれのシリコーン系樹脂であってもよく、下記式(1)で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン及びアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変成したシリコーン樹脂が挙げられる。
【化1】
(式中、R1は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又はフェニル基、R2及びR3は水素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数2〜4のアリケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基又は下記式(2)で示される基である。
【化2】
上記式中R4、R5はヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k、l、m、n、o、pは1以上の整数を示す。
上記各置換基は未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。)
【0045】
また本発明で用いられるキャリアは、その体積固有抵抗を制御するために被覆層中に導電性付与材料を分散しても良い。分散される導電性付与材料は従来より公知の物でよく、例えば鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられる。
この中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物を用いることにより、少量の導電性微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能で、更に被覆層の耐摩耗性に優れたキャリアを得ることが可能である。これらの導電性微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、被覆樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましく、さらには5〜20重量部が好ましい。
【0046】
また、キャリア被覆層中には核体粒子との接着性を向上させたり導電性付与剤の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を添加しても良い。
本発明で用いるシランカップリング剤としては、下記一般式で示される化合物である。
【化3】
YRSiX3
(式中、Xはけい素原子に結合している加水分解基で、例えばクロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、プロペノキシ基、Yは有機マトリックスと反応する有機官能基で、例えばビニル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。Rは炭素原子数1〜20のアルキル基又はアルキレン基である。)
前記シランカップリング剤の中でも、特に負帯電性を有する現像剤を得るにはYにアミノ基を有するアミノシランカップリング剤が好ましく、正帯電性を有する現像剤を得るにはYにエポキシ基を有するエポキシシランカップリング剤が好ましい。
【0047】
被覆層の形成法としては、従来と同様、キャリア核体粒子の表面に被覆層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。被覆層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
また、現像剤として使用する際は通常キャリア100重量部に対してトナーが2〜10重量部の割合で混合し、現像剤として用いることが好ましい。
【0048】
次に本発明において用いられる電子写真感光体について説明する。
本発明においては、導電性基体上に感光層を設けてなる電子写真感光体として広く一般に知られたものを使用することができるが、低価格、生産性及び無公害等の利点を有する有機系の感光材料を用いたものが好ましく、中でも電荷発生物質と電荷移動物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体が性能面から最も好ましく用いられる。
本発明において用いることのできるドラム状の導電性支持体としては、Al、Ni、Fe、Cu、Au等の金属または合金;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチック又はガラス等の絶縁性基板上にAl、Ag、Au等の金属膜又はIn2O3、SnO2等の金属酸化物膜を設けたもの等が例示できる。
機能分離型の感光体は、これらの導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層して形成される。電荷発生層は電荷発生物質のみから形成されていても、あるいは電荷発生物質がバインダー樹脂中に均一に分散されて形成されていてもよい。電荷発生層はこれらの成分を適当な溶媒中に分散し、これを導電性支持体上に塗布、乾燥することにより形成される。
【0049】
電荷発生物質としては、例えばシーアイピグメントブルー25(カラーインデックス(CI)21180)、シーアイピグメントレッド52(CI45100)、シーアイベーシックレッド3(CI45210)等の他に、ポルフィリン骨格を有するフタロシアニン系顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号に記載)、スチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−138229号に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133455号に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132547号に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17734号に記載)、カルバゾール骨格を有するトリスアゾ顔料(特開昭57−195767号、同57−195758号に記載)、等、更にはシーアイピグメントブルー16(CI74100)等のフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI173410)等のインジゴ顔料、アルゴスカーレッドB(バイオレット社製)インダンスレンスカーレットR(バイエル社製)等のペリレン系顔料、スクエアリック顔料等の有機顔料:Se、Se合金、CdS、アモルファスSi等の無機顔料を使用することができる。
【0050】
バインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド等が用いられる。
バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対して通常5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部が適当である。
ここで用いられる溶媒としてはテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロメタン、エチルセルソルブ等の単独溶媒または混合溶媒が好ましい。
電荷発生層の平均膜厚は、通常0.01〜2μm、好ましくは0.1〜1μmである。
【0051】
電荷輸送層は電荷輸送物質、バインダー樹脂及び必要ならば可塑剤、レベリング剤を適当な溶媒に溶解し、これを電荷発生層上に塗布し乾燥することにより形成される。
電荷輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−スチルベン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。
【0052】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送層を形成するための溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、モノクロルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン及びこれらの混合溶媒が望ましい。
電荷輸送層の膜厚は、通常10〜100μm、好ましくは20〜40μmである。
【0053】
尚、本発明においては、接着性、電荷ブロッキング性を向上させるために、必要に応じて導電性支持体と電荷発生層との間に中間層を設けてもよい。また、導電性基体上に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層された逆層構造をとっていても良く、また最表面層が耐摩耗性向上等の目的で設けられた保護層であっても良い。
【0054】
本発明においては、感光体の電荷輸送層中にシリコーンオイルを含有させることによって、感光体の表面摩擦係数を任意に制御できる。
本発明において用いることのできるシリコーンオイルとしては一般に上市されているものであれば何でも良く、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイルの他に、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、高級脂肪酸変性、エポキシ変性、アルコール変性、ポリエーテル変性、アルキル・ポリエーテル変性、フッ素変性等に代表される各種変性シリコーンオイルのいずれも好ましく用いることができる。
また、本発明におけるこれらのシリコーンオイルの添加量は、電荷輸送層中の樹脂に対して0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%の範囲が良い。0.01重量%未満である場合には、シリコーンオイルによる摩擦係数低減の効果が十分に発揮されず、本発明の効果を得ることができない。また、添加量が5重量%より多くなると、逆に感光体表面の付着力が増し、良好な転写特性を維持することが難しくなる。
【0055】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
実施例1
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス(分子量900) 5重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 5重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて150℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径7.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.40)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーAを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例1の現像剤を得た。
【0057】
実施例2
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス(平均粒径:900μm) 5重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 8重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径5.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.20)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーBを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例2の現像剤を得た。
【0058】
実施例3
<トナー処方>
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 88重量部
(重量平均分子量:55000、Tg:52℃)
ポリエチレンワックス(平均粒径:900μm) 5重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径4.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.29)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーCを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例3の現像剤を得た。
【0059】
実施例4
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:280000、Tg:61℃)
カルナウバワックス(平均粒径:300μm) 5重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 6重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて180℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.10)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーDを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例4の現像剤を得た。
【0060】
実施例5
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 40重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:68℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 48重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:60℃)
カルナウバワックス 4重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 5重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて100℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.15)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーEを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例5の現像剤を得た。
【0061】
実施例6
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 80重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:68℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 20重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:60℃)
カルナウバワックス 4重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 8重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.20)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーFを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例6の現像剤を得た。
【0062】
実施例7
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 50重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:68℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 45重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:60℃)
カルナウバワックス 5重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 6重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて140℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.25)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.8重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーGを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例7の現像剤を得た。
【0063】
実施例8
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 30重量部
(重量平均分子量:310000、Tg:68℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 59重量部
(重量平均分子量:85000、Tg:60℃)
カルナウバワックス 5重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 5重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて100℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.20)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%、ステアリン酸亜鉛微粉末0.2重量%を混合し、を混合して表2に示す物性を有するトナーHを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し実施例8の現像剤を得た。
【0064】
実施例9
実施例8において、感光体としてシリカを15重量%含有する保護層を設けた有機感光体を使用した以外は実施例8と同様にした。
【0065】
比較例1
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス 5重量部
(平均粒径:900μm)
ケッチェンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1量量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて100℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.33)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.8重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーJを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し比較例1の現像剤を得た。
【0066】
比較例2
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス(平均粒径:900μm) 5重量部
カーボンブラック(三菱化成 #44) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて100℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径2.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.20)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーKを得た。
キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し比較例2の現像剤を得た。
【0067】
比較例3
比較例2のトナーを、重量平均粒径10.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.40)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合して表2に示す物性を有するトナーLを得た。キャリアとしては平均粒径50μmのマグネタイト粒子にメチルメタクリレート樹脂(MMA)をコート(膜厚0.5μm)したものを用い、トナー濃度5.0重量%の割合で混合し比較例3の現像剤を得た。
【0068】
(評価法)
imagioMF7070(リコー製複写機)の転写、定着部を改造して図1のユニット構成にした試験機(一次定着圧:150N/cm2、二次定着圧:9.3N/cm2、温度165℃)にてプリントしたサンプルを得る。次にプリント画像のドットで作られたグレークケール(ハーフトーン部)を、大日本スクリーン社のGenaScan5000スキャナで1000dpiにて読み込み、画像データを得る。この画像データから、濃度分布に変換し、前記式(3)にて粒状度を評価する。また画像データから1次定着時および2次定着時の定着性を評価した。評価方法は以下の通りである。また初期の感光体摩擦係数をそれぞれ測定した。
◎定着性の評価方法
一次定着性:一次定着後の画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、重量1Kgのスチール製ローラを用い、幅2.5cmの画像上を一往復させる。その後テープを、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、下記式にて定着率を算出する。
二次定着性:一次定着を行わず、別のプリンタのチャージャーにより転写して、二次定着定着のみ行った画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、重量1Kgのスチール製ローラを用い、幅2.5cmの画像上を一往復させる。その後テープを、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、下記式にて定着率を算出する。
定着率(%)=(テープ付着引き剥がし後の画像濃度/テープ付着引き剥がし前の画像濃度)×100
◎画像品質
粒状度の評価
imagioMF7070(リコー製複写機)の転写、定着部を改造して図1のユニット構成にした試験機にてプリントしたサンプルを得る。次にプリント画像のドットで作られたグレークケール(ハーフトーン部)を、大日本スクリーン社のGenaScan5000スキャナで1000dpiにて読み込み、画像データを得る。画像データから、濃度分布に変換し、前記式(3)にて粒状度を評価する。
評価結果は表3に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【発明の効果】
本発明は、感光体上のトナー像を転写紙に対して圧力のみで転写同時定着する一次定着後、更に一次定着した転写紙上のトナー像を定着ローラで加熱加圧定着する二次定着を行なう画像形成方法において、トナーとして体積個有抵抗が1×109Ω・cm以上で、重量平均粒径が3.0〜10.0μmの非磁性トナーを用いることによって、転写時に画像劣化を生じない高品位の画質の画像を得ることができる画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる画像形成装置全体の概略構成図。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電手段
3 露光手段
31 スキャナー
32 レーザー光
33 ミラー
4 現像手段(現像装置)
41 現像スリーブ
5 転写手段
52 転写ローラ
53 転写ベルト
54 ベルト駆動用ローラ
55 クリーニングブレード
6 クリーニング手段
61 クリーニングブレード
62 ファーブラシ
63 ファーブラシクリーニング部材
7 定着手段
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
73 加熱手段(ヒータ)
74 加熱手段(ヒータ)
101 転写材バンク
102 給紙ローラ
103 給紙コロ
104 レジストコロ
105 排紙コロ
106 転写材バンク
107 給紙ローラ
108 給紙コロ
Claims (9)
- 感光体上に形成された静電潜像を乾式トナーにより現像する現像工程と、次いで形成されたトナー像を転写紙に対して圧力のみで転写同時定着する一次定着工程と、更に一次定着した転写紙上のトナー像を定着ローラを有する加熱加圧定着装置に通すことにより定着する二次定着工程を有する画像形成方法であって、トナーとして、該トナーの体積固有抵抗が1×109Ω・cm以上、重量平均粒径が3.0〜10.0μmの非磁性トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
- 前記トナーの粒径の分散度(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.3以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの平均円形度が0.92〜0.99であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記トナーのガラス転移温度Tgが50〜65℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記トナーの軟化温度Tmが100〜160℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記トナーの溶融粘度が1000PaSとなる温度が120〜170℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記トナーのゆるみ見掛け密度が0.3g/cc以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記感光体が、表面摩擦係数が0.70以下の有機光半導体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記感光体が、導電性支持体上に感光層と金属酸化物を含有した保護層を設けた有機感光体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成方法。
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