JP3990605B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成方法、さらに詳しくはその画像形成方法を採用したプリンタや複写機などの画像形成装置による画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成法には、多くの工程が必要になる。即ち、スキャナーや光学系で原稿を電気信号に変換する。プリンターの場合は直接プロッターの信号で入力する。電気信号をレーザー等の書きこみにより、感光体に光学像として照射され、帯電している感光体上に静電潜像を作る。次にその潜像に対し、現像工程でトナーに代表される有色微粉末を静電的に付着させる。更に転写工程で転写紙に静電的に転写される。最近、カラーの分野では中間転写体上に3〜4色のトナー像を転写し、転写紙に転写する方式も多く用いられている。そして、転写紙上にトナーを熱などにより溶融、固着させ、画像を形成する。
【0003】
以上のすべての工程で画像(潜像も含めて)の劣化は発生する。特に現像、転写、定着の各工程での画像の劣化が大きいことは周知の通りである。
この内、現像工程では、トナーの小径化、球形化、キャリアの小径化などで、改善されてきている。現在、転写工程でのチリ、ニジミ、などでの画像劣化が大きい。また定着工程でもトナーを転写紙に融着させる過程でトナーの溶融によるトナー像の広がりで劣化することがある。
以上の劣化現象で特に転写工程での画像劣化が大きい。
【0004】
そこで、転写工程と定着工程を同時に行うことが提案されている。
例えば、特開昭55−87156号公報にはアモルファスシリコーン感光体を用いて加熱定着ロールを用いて用紙への転写と定着を同時に行う方法が提案されている。また特開平6−175512号公報にも重合トナーを用いた熱エネルギーで転写と定着を同時に行う方法が提案されている。
また、特開平7−5776号公報には、アモルファスシリコーン感光体を用い、トナーとしてカプセルトナーを用いて圧力ローラに転写バイアスを印加する方法が提案されている。カプセルトナーを用いる方法として特開平5−107796号公報、特開平6−230599号公報など多くの提案がされている。
【0005】
しかしながら、上記の特開昭55−87156号公報や特開平6−175512号公報では定着の熱が直接感光体に伝達する。感光体に耐熱性の良い感光体を用いれば良いが、感光体周りの現像部、トナー、クリーニング部にも定着できる温度まで伝達するため、冷却装置を設けるなどの対応が考えられるが感光体の回転スピードから考慮すると事実上困難である。
特開平7−5776号公報ではカプセルトナーを用い、転写に静電気を用いているため、転写工程の画像劣化防止は十分ではない。また、特開平5−107796号公報も含めてカプセルトナーを用い圧力ローラで定着する方法が多く提案されているが、カプセルトナーは実用的には問題が大きく、特に、現像と定着の両立ができていない、またコストが高すぎるなどの問題があり、汎用的に利用されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を鑑み、転写による画像劣化の無い転写、同時定着方法において電界による転写を用いず、圧力で転写紙上に仮定着をし、感光体上のトナー像をそのまま転写紙に転移して、別に配置された本定着装置により定着を行うことにより、画像劣化のない高品位の画質を得ることができる画像形成方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために、ドラム状感光体と2つのローラに張った転写紙搬送用の無端ベルトと本定着装置を配置し、かつ感光体と搬送ベルトの一方のローラが当接するように配置し、転写紙を挟んで転写、搬送できるようにし、感光体とベルト駆動ローラに圧力を与え、転写紙に感光体上のトナーを仮定着(一次定着)し搬送ベルトで搬送し、更に搬送ベルトで仮定着した転写紙を搬送し本定着装置(二次定着)を通すことにより、画像の劣化の無い良質の画像を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、
(1)感光体上に形成した静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、次いで形成されたトナー像を圧力により転写紙に転写と同時に定着する一次定着と、さらに一次定着した転写紙を搬送し加熱手段を通過させることにより熱定着させる二次定着を有する画像形成方法にであって、現像として一成分現像で現像を行い、該トナーが、軟化温度Tmが100〜160℃、重量平均粒径が3.0〜10.0μm、トナーの粒径の分散度(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.4以下、かつ体積固有抵抗が6×10 8 Ωcm以上1×10 9 Ωcm以下の磁性一成分トナーであり、該トナーのテープ剥離法により測定される転写紙への定着性が、一次定着<二次定着であることを特徴とする画像形成方法、
(2)前記トナーの平均円形度が0.92以上であることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成方法、
(3)前記トナーのガラス転移温度Tgが50〜70℃であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の画像形成方法、
(4)前記トナーの溶融粘度が1000PaSとなる温度が120〜170℃であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成方法、
(5)前記トナーのゆるみ見掛け密度が0.27g/cc以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成方法、
(6)前記感光体が、OPC感光体であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成方法、
(7)前記感光体が、表面摩擦係数が0.60以下の有機光半導体であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成方法、
(8)前記感光体が、導電性支持体上に感光層と金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成方法、
が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明で用いる画像形成装置全体の概略図である。
該画像形成装置は、周知の電子写真方式を用い内部に記録媒体であるドラム状感光体1を備えている。感光体1の周囲には矢印で示す回転方向に沿って、電子写真複写行程を実施する帯電器2、露光手段3、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段6および定着手段7が配置されている。
【0010】
露光手段3は、スキャナー31で読みとったデータ、及び図示しないPC等外部より送られた画像信号を変換し、ポリゴンモータ32でレーザ光をスキャンさせミラー33を通して読み取られた画像信号を基に感光体1上に静電潜像を形成する。この感光体1は有機感光体の他アモルファスシリコーン感光体等既存の感光体を用いることが出来る。
感光体1上に形成された静電潜像は、現像手段4によってトナー画像が形成され、そのトナー画像を転写するための転写材が転写材の貯蔵されている転写材バンク101、106から給紙ローラ102、107で給紙され給紙コロ103、108で給送される。コロ104は感光体上トナー像と同期を取って転写材を搬送する為のレジストコロ104であり、転写材は転写手段5に送られ静電転写される。トナー像が載った転写材は、転写ベルト53を通して定着手段7に搬送、定着された後に、機外へ排出される。
【0011】
一方、未転写部や汚れの付着した感光体1はクリーニング手段6に搭載されているブレード61よりクリーニングされ次の作像ステップに入る。ここでは感光体1のクリーニング効率向上の他、(後述する)転写時での転写材との離型性向上効果を考慮してステアリン酸亜鉛63と感光体1の間にブラシ62が設けられ感光体1上の残留トナー等をブレード61でクリーニングし易くすること及びステアリン酸亜鉛63を感光体に塗布する様にしている。
【0012】
定着手段7は(後述する)転写手段5で組成変形されたトナーを完全に定着する為に、本発明では必要な構成である。
基本構成としてはハロゲンランプ等の加熱手段74(以下「ヒータ」という。)を有する定着ローラ71と、圧接される加圧ローラ72とを備えている。
定着ローラ71は、例えば外径φ50の芯金(図示せず)表面にゴム硬度:42HS(アスカC)程度のシリコーンゴム等の弾性層を好ましくは400μmの厚みに設け、更にトナーの粘性による付着を防止する目的で、フッ素樹脂等の離型性の良い樹脂表層が形成されている。弾性層の厚みは画像品質と定着時の熱伝達効率を考慮して通常は100〜500μm程度が好ましい。また樹脂表層は、PFAチューブ等で構成され、その厚みは機械的劣化を考慮して10〜50μm程度の厚みが好ましい。この様な構成の定着ローラを使用することで、定着での画像品質は格段に向上する。定着ローラ71の外周面には、温度検知手段が設けられ、定着ローラ71の表面温度を例えば約165℃にほぼ一定に保つようにヒータ74が制御されている。
加圧ローラ72は例えば外径φ38の芯金表面にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなオフセット防止層が被覆されている。定着ローラ71と同様に芯金の中にヒータ73を設けても良い。特に弾性層を設けない場合、停止時ローラ72の温度が良く低下する為、配置した方が定着ローラ71の表面温度を安定に保つことが容易となる。
【0013】
このような構成の定着器において、定着ローラ71と加圧ローラ72とが、例えば面圧:9.3N/cm2の加圧力で圧接されて定着ニップ幅:約10mmを構成している。定着手段7は感光体とは別の駆動手段(図示せず)により転写材を挟持搬送する為、駆動される。この際、定着ローラ71はヒータ74によって所定の温度に制御されており、転写材上のトナー像は、両ローラ間を通過するときに、圧力を受けながら熱溶融し、ローラ対を出て冷却されることによって永久像として転写材に定着される。
定着ローラに弾性層を設けることで、トナー像の表面及び転写紙との接点がより密着され、定着性やミクロな濃度ムラや光沢の不均一が少なくなり、品位の良い定着画像を得ることが出来る。
【0014】
次に、本発明の特徴的な構成について説明する。
本発明の特徴は転写手段5にある。従来の転写プロセスは静電気を利用した静電転写方式であるが、本発明は圧力を利用して転写する点にある。更に、後述するトナーとの組み合わせにより、従来より小さい加圧力で転写と仮定着(組成変形状態のトナー像)を行う点にある。従来のごとく大きな圧力を利用して転写・定着を行うと転写ローラ等に制約され充分な転写機構が容易に作れないばかりか強い押圧力により画像を劣化させたり、転写材がちぎれる等の欠点を持つ。更に、感光体を高硬度な例えばA−Siの様な感光体で構成しなければならず、画像形成装置全体が高価になるばかりか、使用出来る感光体が圧力に耐える種類の感光体に限られ汎用性がなくなる。本発明の転写手段は、本発明のトナーを用い、従来の静電的な転写効果でなく、弱い圧力との併用により、有機感光体等汎用性のある感光体との組み合わせでも可能な新規な転写方式である。
【0015】
転写装置は転写ベルト53と転写ローラ52とテンションローラ54から構成されている。
転写ローラ52は金属シリンダの表面に例えば硬度80Hs(アスカC硬度計にて)程度のシリコンゴム材料を1mm厚で構成し弾性体構造とした。これは本発明の重要な構造ではないが、転写ベルト53上の面圧バラツキを良く吸収してくれること及び面圧を確保し易いので好都合である。例えば、接触幅は約0.8mm、押圧力は面圧で150N/cm2になっている。面圧が300N/cm2以上になると転写率は向上するが、圧力が高くて感光体上のトナーを押しつぶす為、画像の劣化につながる。80N/cm2以下だと充分な転写特性や定着性(組成変形状態)が得られない。面圧はローラの硬度や接触幅によって決定されることであるが、約100〜200N/cm2が好ましい範囲である。転写材への定着性(組成変形状態)が約35%以上を確保することが出来、転写率が約89%以上確保出来る面圧で決定されれば、本発明の効果が発揮出来る。本発明では例えば150N/cm2に設定して、転写率を約93%、定着性:40%を確保している。転写ローラ52は圧力転写する為の重要なローラであることの他、圧接領域で感光体と転写ベルト53が略同速度となる様、感光体と同期して駆動している。
【0016】
転写ベルト53は本発明の特徴とする所ではないが、上述の圧力や感光体表面に圧接キズ等の損傷を与えない材質・形状であれば本発明の効果が得られる。ここでは基材を例えばシームレスのポリイミドフィルムで構成し、その外側に硬度80Hs(アスカC硬度計にて)程度のシリコンゴム材料を500μm厚みで設け、更にその上にフッ素樹脂層を設けてある。
この様な構成の転写ベルトを搭載することで、必要な加圧力を容易に確保しながら感光体との速度変動を抑え、転写ベルト53上のトナー汚れ等も防止出来る。
この転写ベルト53はローラ54との間に架けられており、適当なテンションもかかる様になっている。
【0017】
本発明で用いられる感光体は、表面硬度:20kg/mm2(ビッカース硬度)以上あれば、本発明の効果が十分に得られ好ましい。トナーは上述のごとく転写での押圧力:約80〜300N/cm2程度であるから、感光体硬度を下げると感光体が破壊され良好な静電特性を示さない。
【0018】
上述の中で、転写率及び定着率とは下記式で表すことができる。
転写率=〔転写材上トナー重量/現像後の感光体上トナー重量〕×100(%)
定着率=〔クロックメータ試験後の画像濃度/クロックメータ試験前の画像濃度〕×100(%)
クロックメータ試験とはJIS L 0823 摩擦試験機I型に準じて行われる。摩擦子径:φ15mm、測定布:白綿布(JIS L 0803)を8.8Nの荷重にて、画像を10回(往復)摺擦する。この時の摺察前(クロックメータ試験前の画像濃度)と後(クロックメータ試験後の画像濃度)を反射濃度計(X−Rite508 分光濃度計:エックスライト社製)にて測定する。
【0019】
次に重要な感光体特性は表面粗さである。トナーが圧力を受けることで転写材に定着する為には凸凹面にトナーがめり込むことが必要となる。本発明での転写・仮定着とは、感光体上トナーが感光体と転写材に挟まれて押圧され、凸凹の大きい転写材にめり込んで転写材側にトナーが転移する訳だが、この時転写材に直接接しているトナーの多くが転写材にめり込み、トナーどおしはトナーにある樹脂成分や他のトナー材料によって付着する程度が望ましい。完全にめり込む程ではないので、仮定着(一次定着)と表現した。これを転写時の圧力によって達成することから、前述した様にトナー特性や感光体の表面状態が重要となる。感光体が凸凹であれば、転写材の転写率が低下するばかりでなく、感光体クリーニングに負担が掛かる。更に、現像後の感光体上トナーの形成状態も重要である。好ましくは、現像した後トナーが感光体上に一層キレイに並んでいることがよい。このことで本発明の転写を実施すれば、完全な転写率を得て高画質化が達成出来る。本発明トナーを用いることで(例えば、転写材の)表面粗さ(Rz):20μm程度以上あれば転写・仮定着に有効であることがわかった。従って、感光体の表面粗さはそれより小さいことが必要であり、本発明で用いる感光体の表面粗さは、例えば表面粗さ(Rz):0.98μmなる有機感光体が好ましい。実験の結果、感光体の表面粗さは(Rz):4μm以下であれば本発明の転写手段を実施することで、転写率を確保出来、クリーニングにも負担の掛からないことを見い出した。
【0020】
ここで表面粗さ(Rz)とは、JIS B 016−1994 表面粗さ一定義に準じた計算式を用い、以下のように定義される。
商品名:VK−8500(キーエンス社)の表面粗さモードで被測定物(感光体・転写材等)を測定し、十点平均粗さ(Rz)を求める。この十点平均粗さとは、粗さ曲線からその平均線方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線と直交する方向に最も高い山から5点(Yp1・2・3・4・5)の絶対値平均と、最も低い谷から5点(Yv1・2・3・4・5)の絶対値平均との和を求め、この値を「μm」であらわす。ここで、ノイズ成分を除去することも重要であるが、本発明でもノイズ除去した後の粗さを算出した。上述した種々の感光体では、表面粗さ(Rz):0.6〜1.5μmであり、転写材に例えば商品名:Type6000(リコー製)なる普通紙の表面粗さ(Rz):30〜60μmである。更にざら紙なる転写材で、(Rz):150μmである。本発明で用いるトナー粒径はおよそ6μm程度であるから、感光体の表面粗さはトナー径の1/2程度以下が好ましく、転写材の表面粗さは現在の現像技術を加味するとトナー径の3倍程度以上が好ましい。
【0021】
次に重要な感光体特性は、表面の摩擦係数である。図1のごとくクリーニング手段6にはステアリン酸亜鉛63が搭載され、摩擦係数:1.1を達成している。ステアリン酸亜鉛63の潤滑効果により、クリーニング性向上の他、圧接されたトナーが感光体と粘着する力を弱めた結果トナー間の粘着力が勝り、転写率向上となっている。ステアリン酸亜鉛63を設けるにより転写率は5%向上した。
これら全ての感光体特性を採用することで、本発明の効果が最も発揮されるが、環境変動や経時での安定性が画質に及ぼす影響もあるので、上記特性を適時組み合わせることで可能である。
【0022】
定着手段7では転写材上トナーが既に組成変形状態で入力される為、定着ローラ71の温度は従来より低い温度や低い加圧力で本来の定着性能を得ることが出来る。又、加圧ローラ72に配置されたヒータにより転写紙通過時の加圧ローラ温度低下も防止出来、効率良く定着出来る為、安定して均一な画像を得ることが出来る。
【0023】
この様に圧力を利用して、転写時のトナーを組成変形することが本発明の効果に重要な点であるが、本発明の効果を得る為にはトナーの物性も重要となる。すなわち、出来るだけ低い転写圧で転写材にトナーがめり込み、トナー間に粘着性が得られることが重要である。そして、上記したように感光体のビッカース硬度は20kg/mm2以上、転写時の面圧は300N/cm2以下が、本発明の転写手段を用いた場合充分な効果が発揮されて好ましい。
本発明においては感光体上に一層キレイに並んでいるトナー像を現像手段で達成することで本発明での効果が発揮される。
以下に述べるトナーが本発明を達成するに容易な特性である。
【0024】
本発明は、感光体上に形成した静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、次いで形成されたトナー像を圧力により転写紙に転写と同時に定着する一次定着と、さらに一次定着した転写紙を搬送し加熱手段を通過させることにより熱定着させる二次定着を有する画像形成方法であって、該トナーの軟化温度Tmが100〜160℃、重量平均粒径が3.0〜10.0μmの磁性一成分トナーであり、該トナーの転写紙への定着性が一次定着<二次定着であることを特徴とするものである。
【0025】
圧力により転写紙に転写と同時に定着する一次定着においては、感光体上に形成されたトナー像は密に現像されることが重要である。もし密に現像されない場合、転写時に圧力が不均一となり、一次定着性にばらつきが生じる。本発明のトナーの軟化温度Tmは100〜160℃であることが重要である。Tmが100℃より低い場合、保存性が悪化する。また160℃より高い場合、二次定着における熱定着性が悪化する。
軟化温度Tmの測定はフローテスターCFT−500C(島津製作所)で測定する。測定条件は、押出圧力:1.9612MPa、昇温速度:6℃/min、ダイ径:1.0mm、ダイ長さ:1.0mmの条件下にて1/2流出した時の温度をTmとする。
【0026】
トナーの重量平均粒径は3.0〜10.0μmであることが重要である。トナー粒径が小さいほど画像品質は優れる。10.0μmより大きい場合は画像品質が悪くなることが有るため好ましくない。また、3.0μmより小さい場合はトナーの生産性が悪化することや、流動性の悪化が顕著となり好ましくない。
【0027】
本発明はトナー粒径の分散度(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.4以下であることが好ましい。分散度が1.4以上の場合、一次定着での転写、定着圧が均一に加わり難くなるため圧力定着性にばらつきが発生して好ましくない。
重量平均粒径、個数平均粒径の測定はCoulter MULTISIZER IIeを使用した。またアパーチャー径は100μmである。
【0028】
また、表1に本発明に使用されるトナーの粒径分布の一例を示す。なお、測定はCoulter MULTISIZER IIeを使用した。またアパーチャー径は100μmである。
【0029】
【表1】
【0030】
一次定着と二次定着の定着性は「一次定着<二次定着」であることが重要である。一次定着は、静電的な転写によるトナーの飛び散りを防止することが目的であるので、完全に定着させる必要はなく、転写紙に固定される程度で良い。また、一次定着性を向上させるために圧力を上げすぎると、トナー像や転写紙の潰れが発生し、画像品質を悪化させるため好ましくない。一次定着の圧力は好ましくは0.1〜30Kg/cm2、より好ましくは0.5〜15Kg/cm2である。また一次定着の温度は40〜80℃が好ましい。
二次定着の圧力は0.5〜30Kg/cm2が好ましく、温度は160〜185℃が好ましい。
【0031】
画像品質については、トナー像の転写後、定着後の体積及び面積が変化し画像品質が悪化する。この現象はデジタル現像の場合が特に顕著であり、独立したドットの再現性が大きく影響を受ける。
ハーフトーンの濃度は一様であるべきだが、ミクロな濃度むらが生じていると、肉眼で見たときにざらついた印象をあたえる。
ざらつきの物理的評価値は粒状度(granularity)である。
ノイズは濃度変動の周波数特性であるウィナースペクトラム(Wiener Spectrum)によって測定できる。
平均値が0である濃度変動成分をf(x)とすると
F(u)=∫f(x)exp(−2πiux (1)
WS(u)=F(u)2 (2)
(ここでuは空間周波数である。)
粒状度(GS)は、WSと視覚の周波数特性(Visual Transfer Function:VTF)の積を積分した値で、下記の式(3)で表される。
GS=exp(−1.8<D>)∫WS(u)1/2VTF(u)du (3)
Exp(−1.8<D>)は濃度と人の知覚する明るさの差を補正するための係数である。<D>は濃度の平均値を表す。
粒状度は画像のなめらかさの主観評価と高い相関がある。
粒状度の値が小さいほど滑らかな高画質となり、逆に大きいとざらついたプアな画像品質となる。
【0032】
低抵抗トナーを用いて誘導電荷で現像する方式に於いては、トナーに電荷が蓄積されにくいため、電荷による転写が難しい。従って圧力のみにより転写紙に転写と同時に定着する一次定着においては、感光体上に形成されたトナー像は画像品質を悪化させることなく転写、定着される。トナー抵抗は1×109Ωcm以下が好ましい。1×109Ωcmより高い場合は現像において電荷注入が発生しにくくなるため、画像品質が悪化する。
トナーの体積固有抵抗の測定は、トナー3.0gを6t/cm2の荷重をかけ直径40mmの円盤状のペレットにしたものをTR−10C型誘電体損測定器(安藤電気株式会社)にて測定する。なお周波数は1KHz、RATIOは11×10−9である。
【0033】
本発明のトナーは平均円形度が0.92以上であることが好ましい。平均円形度が0.92未満の場合、トナー粒子が不定形となり感光体上でのトナー像の集合状態が不均一となり、一次定着での転写、定着性が悪化する。
平均円形度の測定は(株)SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定することができる。測定は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整した後0.45μmのフィルターを通した液50〜100mlに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、試料を1〜10mg加える。これを、超音波分散機で1分間の分散処理を行い、粒子濃度を5000〜15000個/μlに調整した分散液を用いて測定を行なう。CCDカメラで撮像した2次元の画像面積と、同一の面積を有する円の直径を円相当径として、円相当径で0.6μm以上をCCDの画素の精度から有効とし平均円形度の算出に用いる。平均円形度は、各粒子の円形度の算出を行い、この各粒子の円形度を足し合わせ、全粒子数で割り算することによって得ることができる。各粒子の平均円形度は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割ることにより算出することができる。
平均円形度が0.92以上のトナーは、機械的な衝撃による粉砕や、熱処理による方法などで作ることができる。
【0034】
本発明はトナーのガラス転移温度Tgが50〜70℃であることが好ましい。Tgが50℃より低い場合、トナーの保存性が悪化する。また70℃より高い場合、二次定着における熱定着性が悪化する。
Tgの測定はASTM D3418−82に準じて行う。DSC曲線は一度昇温、降温させた後、昇温速度10℃/minで測定されたDSC曲線を用いる。
【0035】
本発明はトナーの溶融粘度が1000PaSとなる温度が120〜170℃であることが好ましい。120℃より低い場合、二次定着においてホットオフセット現象が発生し易くなる。また170℃より高い場合、二次定着における熱定着性が悪化する。
溶融粘度の測定はフローテスターCFT−500C(島津製作所)で測定した値であり、測定条件は、押出圧力:1.9612MPa、昇温速度:6℃/min、ダイ径:1.0mm、ダイ長さ:1.0mmの条件下にて測定する。
なお、溶融粘度ηは下記の式により求める。
溶融粘度η=τ/γ=πD4P/128LQ
ただし、P:押出圧力(Pa)Q=X/10×A/t
D:ダイ径(mm)
L:ダイ長さ(mm)
t:計測時間(s)
X:計測時間tに対するピストンの移動量(mm)
A:ピストンの断面積(mm2)
溶融粘度ηが1000PaSとなる温度を求める。
【0036】
本発明はトナーのゆるみ見掛け密度が0.27g/cc以上であることが好ましい。0.27g/cc未満の場合、トナーの凝集性が強くなり、感光体上でのトナー像厚みが不均一となり一次定着での転写、定着性が悪化する。
ゆるみ見掛け密度はパウダーテスター(PTN型:ホソカワミクロン社製)を用い測定する。
【0037】
本発明は感光体が有機光半導体(OPC感光体)であることが好ましい。更に、本発明は感光体の表面摩擦係数が0.60以下の有機光半導体であることが好ましい。該表面摩擦係数が0.60より高い場合、一次定着で転写、定着する際に感光体との離型性が悪くなり、一次定着での画像品質が悪化する。
感光体の表面摩擦係数を低くする方法として、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど脂肪酸金属塩を感光体表面に均一に塗布することが考案されているが、最も一般的な手段はトナー中に添加する方法である。
表面摩擦係数の測定は協和界面化学(株)社製、全自動摩擦摩耗解析装置を用い測定する。この時接触子として3mmステンレス球を用いる。
【0038】
本発明は感光体が導電性支持体上に感光層と金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体であることが好ましい。
金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体を用いた場合、一次定着で加圧ロールによる圧力が加わっても機械的強度が強いため、感光体の膜削れが少なく、安定した画像品質を得ることができる。
また、感光体の保護層中に含有する金属酸化物としては、アルミナ、酸化チタン、シルカの中から選ばれる一種であることが望ましい。
保護層は耐摩耗性を向上する目的で、フッ素樹脂、シリコーン樹脂中にシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの各種金属酸化物を添加したものが用いられるが、特に膜削れ防止効果が高いアルミナ、酸化チタン、シリカが好ましい。
【0039】
次に本発明で用いるトナーを構成する各成分について説明する。
本発明で使用される結着樹脂としては従来公知の樹脂が全て使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。
【0040】
本発明では特にポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合によって得られる。使用されるアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメタ)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸,1,2,5−ベンゼントリカルボン酸,1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸,1,2,4−ナフタレントリカルボン酸,1,2,5−ヘキサントリカルボン酸,1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン,1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0041】
また上記の樹脂は単独使用も可能であるが、二種類以上併用しても良い。
また、これら樹脂の製造方法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合いずれも使用できる。
【0042】
本発明においてトナーに使用される離型剤として公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。
カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。
モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。
酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。
その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。
これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分100重量部に対し、通常1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
【0043】
また外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0044】
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤などが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0045】
本発明のトナー(現像剤)は、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
【0046】
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0047】
本発明においてトナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料の全てが適用される。具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、オイルブラック、アゾオイルブラックなど特に限定されない。
着色剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。
【0048】
本発明においてトナーに使用される磁性体としては、酸化鉄、マグネタイト、フェライトなどの従来より使用されている全ての公知の磁性微粉末を使用することができる。
磁性体の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、通常15〜50重量部である。
【0049】
本発明のトナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、結着樹脂、磁性体、離型剤、着色剤、その他場合によっては帯電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練した後、冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕で粉砕し、その後分級し得られる。
上記トナーに無機無粉末を添加するにはスーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いる。
【0050】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
【0051】
参考例1
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 85重量部
(重量平均分子量:190000、Tm:113℃)
ポリエチレンワックス(分子量900) 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 2重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて100℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.45)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.15重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は1.2×109Ωcm、Tmは105℃、また平均円形度は0.88、Tgは78℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は115℃、ゆるみ見掛密度は0.26g/ccであった。
上記トナーを用い、表面摩擦係数0.65の感光体を備えた図1に示す画像形成装置にて、後述の評価方法で記載の条件で画像を形成した。
【0052】
参考例2
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 85重量部
(重量平均分子量:367000、Tm:157℃)
ポリエチレンワックス(分子量900) 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 2重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて150℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径4.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.5)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は1.2×109Ωcm、Tmは150℃、また平均円形度は0.88、Tgは78℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は165℃、ゆるみ見掛密度は0.26g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0053】
比較例1
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 92量部
(重量平均分子量:200000、Tm:95℃)
ポリエチレンワックス(平均粒径:900μm) 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 2重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて80℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径7.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.45)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.3重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は1.2×109Ωcm、Tmは90℃、また平均円形度は0.89、Tgは50℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は100℃、ゆるみ見掛密度は0.29g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0054】
比較例2
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 92重量部
(重量平均分子量:400000、Tm:185℃)
ポリエチレンワックス(平均粒径:900μm) 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 2重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて170℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径11.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.41)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.15重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は1.2×109Ωcm、Tmは180℃、また平均円形度は0.89、Tgは75℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は185℃、ゆるみ見掛密度は0.29g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0055】
比較例3
実施例1のトナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を使用し、トナーのテープ剥離法により測定される転写紙への定着性が、一次定着性>二次定着性となるよう、一次定着装置の転写圧力を30Kg/cm2と高く設定した以外は参考例1と同様にして画像を形成した。
【0056】
参考例3
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 93重量部
(重量平均分子量:285000、Tm:145℃)
ポリプロピレンワックス(分子量8000) 3重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径5.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.45)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は9×108Ωcm、Tmは140℃、また平均円形度は0.87、Tgは72℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は170℃、ゆるみ見掛密度は025g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0057】
実施例1
<トナー処方>
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 91重量部
(重量平均分子量:125000、Tm:125℃)
ライスワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて90℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径4.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.36)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は8×108Ωcm、Tmは120℃、また平均円形度は0.91、Tgは72℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は115℃、ゆるみ見掛密度は0.26g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0058】
実施例2
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 91重量部
(重量平均分子量:250000、Tm:150℃)
カルナウバワックス(平均粒径:300μm) 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて140℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.20)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.75重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は8×108Ωcm、Tmは145℃、また平均円形度は0.95、Tgは72℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は172℃、ゆるみ見掛密度は0.25g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0059】
実施例3
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 61重量部
(重量平均分子量:310000、Tm:145℃)
スチレン−n−ブチルアクリレ−ト共重合体
(重量平均分子量:85000、Tm:115℃) 30重量部
カルナウバワックス(平均粒径:300μm) 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて130℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.15)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.75重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は8×108Ωcm、Tmは140℃、また平均円形度は0.95、Tgは65℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は118℃、ゆるみ見掛密度は0.25g/ccであった。
【0060】
実施例4
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 51重量部
(重量平均分子量:310000、Tm:155℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 40重量部
(重量平均分子量:85000、Tm:120℃)
カルナウバワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて145℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径8.5μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.20)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.75重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は6×108Ωcm、Tmは150℃、また平均円形度は0.95、Tgは65℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は140℃、ゆるみ見掛密度は0.26g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0061】
実施例5
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 45重量部
(重量平均分子量:310000、Tm:155℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 46重量部
(重量平均分子量:85000、Tm:120℃)
カルナウバワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて140℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.26)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.75重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は9×108Ωcm、Tmは150℃、また平均円形度は0.95、Tgは65℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は135℃、ゆるみ見掛密度は0.33g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0062】
実施例6
<トナー処方>
ポリエステル樹脂 36重量部
(重量平均分子量:310000、Tm:155℃)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 55重量部
(重量平均分子量:85000、Tm:120℃)
カルナウバワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC
:ケッチェンブラックインターナショナル) 3重量部
帯電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて140℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し、重量平均粒径9.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.20)とした後、ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)1.0重量%を混合しトナーを得た。
このトナーの体積固有抵抗は9×108Ωcm、Tmは125℃、また平均円形度は0.95、Tgは65℃、溶融粘度が1000PaSとなる温度は125℃、ゆるみ見掛密度は0.35g/ccであった。
上記トナーを用い、表2に示す表面摩擦係数を有する感光体を用いる以外は参考例1と同様の条件で画像を形成した。
【0063】
実施例7
実施例6において、感光体としてシリカを15重量%含有する保護層を設けた有機感光体を使用した以外は、実施例6と同様にして画像を形成した。
【0064】
<評価方法>
◎定着性の評価方法
実施例の評価方法にについて述べる。評価機はリコーImagioMF7070の転写、定着部を改造して行った。ユニット構成は図1の装置の概略図と同じである。現像として一成分方式は図2の現像装置を用い、比較例に二成分現像はリコーImagioMF7070の2段現像ローラ方式を用いた。転写、一次定着の押圧力は面圧で0.5Kg/cm2、ベルト温度は転写効果が最も発揮される70℃に設定した。二次定着は面圧:0.95Kg/cm2の加圧力で圧接されて定着ニップ幅:約10mmを構成し、温度は165〜185℃に設定した。この装置を用いて、600dpiのドットから形成されたグレースケールを中心としたテストチャートをプリントアウトして画像を得た。なお、感光体は導電性支持体上に感光層を設けた感光体で金属酸化物含有保護層を設けない感光体を用いた(実施例7を除く)。
一次定着性:一次定着後の画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、テープの上に布のウェスを引き、指で均一に圧力を与えた後、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、下記式にて定着率を算出する。
二次定着性:(一次定着性+二次定着性)
一次定着、二次定着の定着後画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、指で圧力を掛けた後、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、下記式にて定着率を算出する。
定着率(%)=
(テープで引き剥がした後の画像濃度/引き剥がし前の画像濃度)×100
◎画像品質
粒状度の評価
imagioMF7070(リコー製複写機)の転写、定着部を改造して図1のユニット構成にした試験機にてプリントしたサンプルを得る。次にプリント画像のドットで作られたグレークケール(ハーフトーン部)を、大日本スクリーン社のGenaScan5000スキャナで1000dpiにて読み込み、画像データを得る。画像データから、濃度分布に変換し、前記式(3)にて粒状度を評価する。
評価結果は表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
【発明の効果】
本発明は、感光体上の静電潜像を一成分現像の低抵抗トナーの静電誘導で現像し、転写と同時の例えば40〜80℃程度の低温のベルト温度と圧力での一次定着を行うことで、転写でのトナーのチリ、ニジミなどによる画像の劣化を改善し、更に転写紙を搬送し、二次定着を通すことにより、完全に定着した画像を得る画像形成方法において、一次定着条件や転写条件に合ったトナー特性有するトナーを選択することにより、最終画像として、従来より改良されたドット再現、ライン再現が得られ、粒状度の良い高画質の画像が得られる画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる画像形成装置でデジタルモノクロの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】一成分低抵抗磁性トナーを用いた現像装置の構成概要図である。
【符号の説明】
1 ドラム状感光体
2 帯電器
3 露光手段
31 スキャナー
32 ポリゴンモータ
33 ミラー
4 現像手段
41 現像スリーブ
5 転写手段
52 転写ローラ(一次定着ローラ)
53 転写ベルト
54 テンションローラ
55 転写ベルトクリーニング手段
56 加熱手段
57 温度検知手段
6 クリニーング手段
61 ブレード
62 ブラシ
63 ステアリン酸亜鉛
7 定着手段
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
73 加熱手段
74 加熱手段
101 転写材バンク
102 給紙ローラ
103 給紙コロ
104 レジストコロ
105 紙搬送ガイド手段
106 転写材バンク
107 給紙ローラ
108 給紙コロ
Claims (8)
- 感光体上に形成した静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、次いで形成されたトナー像を圧力により転写紙に転写と同時に定着する一次定着と、さらに一次定着した転写紙を搬送し加熱手段を通過させることにより熱定着させる二次定着を有する画像形成方法にであって、現像として一成分現像で現像を行い、該トナーが、軟化温度Tmが100〜160℃、重量平均粒径が3.0〜10.0μm、トナーの粒径の分散度(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.4以下、かつ体積固有抵抗が6×10 8 Ωcm以上1×10 9 Ωcm以下の磁性一成分トナーであり、該トナーのテープ剥離法により測定される転写紙への定着性が、一次定着<二次定着であることを特徴とする画像形成方法。
- 前記トナーの平均円形度が0.92以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記トナーのガラス転移温度Tgが50〜70℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの溶融粘度が1000PaSとなる温度が120〜170℃であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記トナーのゆるみ見掛け密度が0.27g/cc以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記感光体が、OPC感光体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記感光体が、表面摩擦係数が0.60以下の有機光半導体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記感光体が、導電性支持体上に感光層と金属酸化物を含有した保護層を設けた感光体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
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