JP2004034734A - 風向調整装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】作動孔21間の間隔(A)を、軸ピン10と作動ピン12との間隔(B)よりも大きく設定し(A>B)た。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ケースの吹出口に配置される風向調整装置に関し、特に吹出口のルーバによる全閉状態の遮蔽度をより高めることができる風向調整装置を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空気調整装置が搭載された自動車等には、インストルメントパネル等に、吹出口を車内側に向けたケースが設置されている。このケースの吹出口には、風向を調整する風向調整装置が設けられている(類似技術として、特開2001−158226号公報参照)。
【0003】
この種の風向調整装置は、一端部に形成された軸ピンを中心にして開閉自在な複数のルーバを吹出口に並設した構造で、そのうちの最も端部に位置する1つを基準ルーバとして、この基準ルーバを開閉操作するようになっている。基準ルーバの操作力はリンクを介して他のルーバに伝達され、基準ルーバを閉める方向に操作した場合は、他のルーバも連動して吹出口を遮蔽した全閉状態が得られ、基準ルーバを開く方向に操作した場合は、基準ルーバ及び他のルーバが空気の吹出方向に向いた開状態が得られる。
【0004】
全閉状態では、ルーバの他端部が、隣接するルーバの一端部に、吹出口の内部側から当接し、ケース内の空気通路を遮断した状態となる。そのため、完全な全閉状態が得られれば、空気を遮断するエアダンパが不要になることから、部品点数の削減及び組付け工数の低減が図れるなどの効果を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、吹出口の全閉状態が、単にルーバの他端部を、隣接するルーバの一端部に当接させるだけの構造であったため、ルーバ製造時における寸法誤差や、組立後における温度変化に起因したルーバの寸法変化等により、ルーバの他端部が、隣接するルーバの一端部に完全に当接せず、隙間が生じるおそれがある。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、吹出口のより完全な全閉状態が得られる風向調整装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ケースに吹出口を形成し、該吹出口に一方向一端側から他方側へ向けて複数のルーバを並設し、各ルーバの一端部両端に形成した軸ピンを、吹出口の両側の内壁に一方向に沿って所定間隔ごとに形成された複数の軸孔にそれぞれ挿入し、ルーバの片側に形成した作動ピンを、リンクの長手方向に沿って所定間隔ごとに形成された複数の作動孔にそれぞれ挿入し、吹出口の一端側に位置する基準ルーバを操作して、該基準ルーバを軸ピンを中心にして開閉させ、該基準ルーバの操作力をリンクを介して他のルーバに伝達することにより、ルーバの他端部を隣接するルーバの一端部に重ね合わせた状態で吹出口を遮蔽する全閉状態と、ルーバを空気の吹出方向へ向けた状態で吹出口を開放する開状態とが得られる風向調整装置であって、前記リンクにおける作動孔間の間隔(A)を、基準ルーバにおける軸ピン同士を結ぶ線と作動ピンとの間隔(B)よりも大きく設定する(A>B)ことを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、基準ルーバの回転に関連する間隔(B)よりも、他のルーバの回転に関連する間隔(A)の方が大きく設定されているため、基準ルーバを完全に閉めきる前に、他のルーバの他端部が、隣接するルーバの一端部に先当たりする。従って、その後に基準ルーバを閉める操作力は、他のルーバの他端部を隣接するルーバの一端部に押し付ける力として作用し、多少の寸法誤差があっても、押圧された状態となっているため、ルーバ間に隙間は発生しない。
【0009】
請求項2記載の発明は、基準ルーバ又はリンクと、吹出口の内壁との間に、基準ルーバの全閉状態での回動位置を所定の力で保持するストッパ手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、全閉状態まで閉めきった基準ルーバは、その全閉状態での回動位置が、ストッパ手段により保持され、他のルーバに対して押付力を及ぼし続けることができるので、風圧に耐え得る。
【0011】
請求項3記載の発明は、ルーバの他端部がクランク状に曲折形成され、全閉状態におけるルーバの表面が連続面になることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、ルーバの他端部がクランク状に曲折形成されているため、全閉状態におけるルーバの表面が連続面となり、意匠的効果が高まる。
【0013】
請求項4記載の発明は、吹出口が長手方向で湾曲しており、リンクに形成した作動孔が、基準ルーバに関連する作動孔を除き、長手方向他端側から一端側へ向けて漸次空気吹出方向での長さが長くなる長孔になっていることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、ケースの吹出口が湾曲した状態であっても、各ルーバの作動ピンの移動量がほぼ同じになるため、吹出口の開状態において、各ルーバを略同一方向に向けて、平行風を吹き出すことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図7は、この発明の第1実施形態を示す図である。ケース1は上下方向(長手方向)に長い断面形状を有する角筒状で、自動車の図示せぬインストルメントパネルの右側に設置される(左側には別のケースが設置される)。このケース1は、車内側に上下方向で湾曲した形状の吹出口2を有し、該吹出口2の周囲にはカバー3が取付けれている。
【0017】
ケース1の内部には縦方向でのルーバ4が設けられている。このルーバ4は上下の支点5を中心に左右に回転自在で、空気の吹出方向を左右に変化させる。このルーバ4の奥側にはシャフト6が設けられ、このシャフト6がカバー3から露出した操作ダイヤル7の一部に係合している。従って、この操作ダイヤル7を回転させることにより、ルーバ4を左右に回転させることができる。
【0018】
そして、吹出口2には横方向でのルーバ8、9が上下方向に沿って7枚設けられている。各ルーバ8、9は一端部8a、9aに左右方向(幅方向)へ突出する軸ピン10が形成されている。ルーバ8、9の他端部8b、9bは吹出口2の内部側へ向けてクランク状に曲折形成されている(但し、一番上のルーバ9を除く)。
【0019】
また、ルーバ8の右端における他端部8bに接近した位置には、ストッパピン11が右側へ突出した状態で形成されている。更に、ルーバ8、9の左端の他端部8b、9bに相当する位置には、作動ピン12が左側に突出した状態で形成されている。
【0020】
7つのルーバ8、9のうち、最も下側に位置するのが基準ルーバ8で、この基準ルーバ8だけ一端部8aに操作部13が形成されている。
【0021】
ケース1の吹出口2における内壁は、それぞれスペーサ14、15にて形成されている。スペーサ14、15には、その長手方向に沿って7つの軸孔16が形成されている。この軸孔16にはルーバ8、9の軸ピン10が挿入され、ルーバ8、9が該軸ピン10を中心に回転自在に取付けられた状態となる。尚、図2、図3、図5、図6等は、スペーサ15側から見た図であるが、ルーバ8、9との関係を分かりやすくするため、ルーバ8、9を手前に図示している。
【0022】
軸孔16の間の間隔(C)は等間隔で、基準ルーバ8における軸ピン10同士を結ぶ線と作動ピン12との間隔(B)と略同じであり、各ルーバ8、9を回転させることにより、ちょうどルーバ8、9の他端部8b、9bが隣接するルーバ9の一端部9aに対して、吹出口2の内部側から重なるようになっている。
【0023】
右側のスペーサ15における最下端の軸孔16と、その上の軸孔16の間には、凹部17が形成され、その凹部17の片側が弾性片18により形成されている。この弾性片18の先端19は凹部17の底部から若干離れた状態になっている。この凹部17内には基準ルーバ8のストッパピン11が係合し、このストッパピン11と弾性片18とで、この実施形態のストッパ手段20が形成される。該ストッパ手段20は、弾性力で保持するのみならず、摩擦力でも保持可能である。
【0024】
ルーバ9の左側には、長手方向に沿って7つの作動孔21を有するリンク22が設けられている。この作動孔21にはルーバ8、9の作動ピン12が挿入され、7つのルーバ8、9が連動して回転するになる。このリンク22の作動孔21は、基準ルーバ8に関連する一番下を除き、上側から漸次空気吹出方向での長さが長くなった長孔になっているが、一番下を除き、下側から漸次上側に向けて空気吹出方向での長さが長くなったものでも良い。そして、リンク22におけるこれらの作動孔21間の間隔(A)は等間隔で、基準ルーバ8における軸ピン10同士を結ぶ線と作動ピン12との前記間隔(B)よりも大きく設定されている(A>B)。
【0025】
次に作用を説明する。ルーバ8、9を開ける場合は、一番下の基準ルーバ8の操作部13を手で持って上側に持ち上げる。すると、基準ルーバ8が軸ピン10を中心に回転し、基準ルーバ8の他端部8bが下がって開いた状態になる。基準ルーバ8が回転すると、他のルーバ9もリンク22を介して連繋されていることから連動して回転し、全てのルーバ8、9が開いた状態となる。
【0026】
しかも、吹出口2が上下方向で湾曲していても、リンク22の作動孔21が前述のような長孔になっているため、各ルーバ9の作動ピン12の移動量がほぼ同じになり、吹出口2の開状態において、各ルーバ9は略同一方向を向いた状態になる。従って、開状態の吹出口2から、車内側へ向けて平行風を吹き出すことができる。
【0027】
そして、ルーバ8、9を閉める場合には、基準ルーバ8の操作部13を手で持って下に下げる。すると、基準ルーバ8が軸ピン10を中心に回転し、基準ルーバ8の他端部8bが上がって閉じた状態になる。基準ルーバ8が回転すると、他のルーバ9もリンク22を介して連繋されていることから連動して回転し、全てのルーバ8、9が閉じた全閉状態となる。
【0028】
特に、ルーバ8、9を閉める場合において、基準ルーバ8の回転に関連する前記間隔(B)よりも、他のルーバ9の回転に関連する前記間隔(A)の方が大きく設定されているため、基準ルーバ8を完全に閉めきる前に、他のルーバ9の他端部9bが、隣接するルーバ9の一端部9aに先当たりする。
【0029】
従って、その後に基準ルーバ8を閉める操作力は、他のルーバ9の他端部9bを、隣接するルーバ9の一端部9aに押し付ける力として作用し、多少の寸法誤差があっても、ルーバ9間に隙間は発生しない。全閉位置まで閉めきった基準ルーバ8は、ストッパピン11が凹部17内の弾性片18の先端19に係合することにより、その全閉状態での回動位置が保持され、他のルーバ9に対して押付力を及ぼし続けることができる。
【0030】
再度、ルーバ8、9を開状態にする場合は、基準ルーバ8の操作部13を上側に動かすと、ストッパピン11が弾性片18の先端19を乗り越えて、基準ルーバ8の全閉位置での保持状態は解除される。
【0031】
更に、この実施形態では、ルーバ8、9の他端部8b、9bをクランク状に曲折形成したため、全閉状態におけるルーバ8、9の表面が連続面となり、見映えが良い。
【0032】
図8は、この発明の第2実施形態を示す図である。この実施形態では、リンク23を基準ルーバ24及び他のルーバ(図示省略)の右側に配置した。そのリンク23の作動孔25は円形で、先の実施形態ように長孔になっていない。リンク23の作動孔25間の間隔(A)や、その他の寸法関係は先の実施形態と同様である。
【0033】
そして、ストッパピン26は基準ルーバ24に形成せず、リンク23の対応位置に形成した。右側のスペーサ27には、リンク23のストッパピン26が移動自在に挿入される円弧状の切欠28が形成され、その切欠28の内部には弾性変形可能な突起29が設けられている。従って、基準ルーバ24の全閉位置は、リンク23のストッパピン26が切欠28内の突起29に係合することにより保持される。また、この実施形態では、リンク23の作動孔25が長孔でないため、開状態においてルーバ24等は上下に開いた拡散角度となり、開状態の吹出口から、車内側へ向けて拡散風を吹き出すことができる。その他の構成及び作用効果は、先の実施形態と同様につき、共通部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0034】
尚、以上の各実施形態では、リンク22、23の作動孔21、25間の間隔(A)を等間隔にしたが、これに限定されず、特に隙間が発生しやすい部分の間隔(A)を他の部分より大きくしたり、或いは間隔(A)を大きくしなくても、隙間が発生しない部分は、間隔(A)を間隔(B)よりも大きくしなくても良い。また、カバー3,スぺーサー14,15など全体的に自動車の後側へ突出する円弧状をなしているが、これに限定されるものではなく、全体が凹状に形成されていても良い。
【0035】
【発明の効果】
この発明によれば、基準ルーバの回転に関連する間隔(B)よりも、他のルーバの回転に関連する間隔(A)の方が大きく設定されているため、基準ルーバを完全に閉めきる前に、他のルーバの他端部が、隣接するルーバの一端部に先当たりする。従って、その後に基準ルーバを閉める操作力は、他のルーバの他端部を隣接するルーバの一端部に押し付ける力として作用し、多少の寸法誤差があっても、押圧された状態となっているため、ルーバ間に隙間は発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る風向調整装置を示す斜視図。
【図2】全閉状態の風向調整装置を示す断面図。
【図3】開状態の風向調整装置を示す断面図。
【図4】基準ルーバとリンクとスペーサを示す斜視図。
【図5】開状態におけるストッパ手段を示す拡大図。
【図6】全閉状態におけるストッパ手段を示す拡大図。
【図7】全閉状態のルーバを示す側面図。
【図8】この発明の第2実施形態に係る基準ルーバとリンクとスペーサを示す斜視図。
【符号の説明】
1 ケース
2 吹出口
8、24 基準ルーバ
9 他のルーバ
8a、9a 一端部
8b、9b 他端部
10 軸ピン
11、26 ストッパピン
12 作動ピン
14、15、27 スペーサ(内壁)
16 軸孔
20 ストッパ手段
21、25 作動孔
22、23 リンク
A 作動孔間の間隔
B 基準ルーバの軸ピンから作動ピンまでの間隔
C 軸孔間の間隔
Claims (4)
- ケースに吹出口を形成し、該吹出口に一方向一端側から他方側へ向けて複数のルーバを並設し、
各ルーバの一端部両端に形成した軸ピンを、吹出口の両側の内壁に一方向に沿って所定間隔ごとに形成された複数の軸孔にそれぞれ挿入し、
ルーバの片側に形成した作動ピンを、リンクの長手方向に沿って所定間隔ごとに形成された複数の作動孔にそれぞれ挿入し、
吹出口の一端側に位置する基準ルーバを操作して、該基準ルーバを軸ピンを中心にして開閉させ、該基準ルーバの操作力をリンクを介して他のルーバに伝達することにより、
ルーバの他端部を隣接するルーバの一端部に重ね合わせた状態で吹出口を遮蔽する全閉状態と、ルーバを空気の吹出方向へ向けた状態で吹出口を開放する開状態とが得られる風向調整装置であって、
前記リンクにおける作動孔間の間隔(A)を、基準ルーバにおける軸ピン同士を結ぶ線と作動ピンとの間隔(B)よりも大きく設定する(A>B)ことを特徴とする風向調整装置。 - 請求項1に記載の風向調整装置であって、
基準ルーバ又はリンクと、吹出口の内壁との間に、基準ルーバの全閉状態での回動位置を所定の力で保持するストッパ手段を設けたことを特徴とする風向調整装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の風向調整装置であって、
ルーバの他端部がクランク状に曲折形成され、全閉状態におけるルーバの表面が連続面になることを特徴とする風向調整装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の風向調整装置であって
吹出口が長手方向で湾曲しており、リンクに形成した作動孔が、基準ルーバに関連する作動孔を除き、長手方向他端側から一端側へ向けて漸次空気吹出方向での長さが長くなる長孔になっていることを特徴とする風向調整装置。
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