近年、自動車の車内前部に配設されるインストルメントパネルは、その上面から前面にかけての表面が、水平に近い非常に緩やかな湾曲傾斜面として形成される傾向にあり、インストルメントパネル自体の高さも低くなる傾向にある。このようなインストルメントパネルの前面に装着される空気吹出調整用レジスタは、図15(b)のように、ベゼル61の高さが比較的低いH2に制限され、そのベゼル61の傾斜角度βは、水平面から約30度程度と比較的小さい下向き傾斜角度となる。このため、この種のインストルメントパネルで使用されるレジスタは、リテーナ62内の通風路60の高さH3が比較的小さくなり、通風路60内に前可動ルーバ63の縦フィンを並設し、その後部に後可動ルーバ64の横フィンを並設した場合、通風路60を通過する送風の圧力損失が増大し、送風時の騒音や風速の低下を生じさせやすいという課題があった。また、図15(b)のように、後可動ルーバの複数の横フィンにおける軸心位置の配列の傾斜が緩やかになるため、上向きの風向調整も難しくなる課題があった。
一方、上面から前面にかけての表面が水平に近い非常に緩やかな前面傾斜部として形成される形態のインストルメントパネルに装着されるレジスタとして、従来、1枚のルーバ体と導風板を備えた風向調整装置が、上記特許文献1で提案されている。
この従来の風向調整装置は、通風ダクトの傾斜した開口部の上部に、1枚のルーバ体が回動可能に軸支され、そのルーバ体の下側前方に1枚の導風板が回動可能に取り付けられて構成される。この風向調整装置を使用して、送風を上方に向ける場合、ルーバ体を上方に向けるように回動し、且つ下側前方の導風板を下側に回動させる。一方、送風を上方から正面に変える場合、上記状態からルーバ体の角度を正面側に向けるように調整し、送風を下方に変える場合は、ルーバ体の先端角度を下側に狭窄するよう調整し、且つ導風板を上側に上げるように回動させて調整する。
しかし、上記風向調整装置は、上向き下向きの風向調整を1枚のルーバ体の回動調整によって行なうため、中間方向から上向き方向或いは中間方向から下向き方向にかけての風向の微調整が難しい。また、ルーバ体を回動調整して、風向を上方に向け又は下方に向けたとき、ルーバ体によって通風路が狭窄されるため、送風の圧力損失が大きく、騒音や風量低下を招きやすいという問題があった。
さらに、この風向調整装置では、風向を正面に向ける際または上方に向ける際に導風板を下げるように操作するが、このとき、導風板がベゼルの前面の内側に移動するため、レジスタの意匠面に大きな窪みが発生し、レジスタの見栄えが悪化する課題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、ベゼルの上面から前面にかけての表面が水平に近い緩やかな傾斜面として形成されるレジスタにおいて、上下の風向調整を良好に実施可能で、通風時の圧力損失も低減することができる空気吹出調整用レジスタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の空気吹出調整用レジスタは、上面から前面にかけての表面が水平に近い緩やかな傾斜面として形成されるベゼルを有し、該ベゼルの下部に通風路を有したリテーナが取着された空気吹出調整用レジスタであって、該リテーナの通風路内の高さが、その底面を下方に拡張することにより、該ベゼルの空気吹出口の高さより大きく形成され、該リテーナの通風路に、後可動ルーバの複数の横フィンが通風方向に沿って並設され、該複数の横フィンの軸が通風方向に沿った同一平面上に配置されたことを特徴とする。
ここで、上記請求項1の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項2のように、リテーナの通風路の基本通風方向を斜め下方とし、リテーナの底面をベゼルの空気吹出口に向かう部分で上向きに傾斜して形成することができる。
また、上記請求項1または2の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項3のように、リテーナの通風路に並設される後可動ルーバの複数の横フィンは、リテーナの底面と平行な位置まで回動可能であり、複数の横フィンが底面と平行な位置まで回動されたとき、該底面に沿った空気流を遮断し、横フィンの上方をのみ空気流が通過するように構成することができる。
また、上記請求項1の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項4のように、後可動ルーバの前方に前可動ルーバが配設され、該前可動ルーバには、複数の縦フィンが縦方向の枢軸を介して左右に回動可能に枢支され、該前可動ルーバの各縦フィンを左右に回動させると共に、該後可動ルーバの各横フィンを上下に傾動させるための操作ノブを設けることができる。
また、上記請求項4の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項5のように、上記操作ノブは、前記ベゼルの一部に設けた開口部から露出して、左右方向に摺動可能で且つ上下方向に回動可能に配設され、該操作ノブは、両側を略水平に軸支された操作ノブ異形軸に摺動可能に外嵌され、該操作ノブにはカバー部材が被せられ、該カバー部材に設けた係合部がリンクアームを介して前可動ルーバの縦フィンの縦フィン軸に連結され、該操作ノブ異形軸の軸に軸着された連結アームがリンクバーを介して、前記後可動ルーバの複数の横フィンの横フィン軸にリンクアームを介して連結され、操作ノブの左右への摺動操作によって前可動ルーバの縦フィンが左右に回動し、操作ノブの回動操作によって後可動ルーバの複数の横フィンが上下に傾動するように構成することができる。
また、上記請求項4の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項6のように、上記リテーナ内の通風路における後可動ルーバの後方に、ダンパが軸支され、ダンパのダンパ軸が通風方向に沿った中央水平面上に配置され、ダンパを開放した際、該ダンパのダンパ板が該後可動ルーバの横フィンと同一平面上で位置するように構成することができる。さらに、上記請求項4の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項7のように、前可動ルーバと後可動ルーバとの間の傾斜吹出口に、異物の落下を防止する網部を設けることができる。
また上記請求項4の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項8のように、前記リテーナの傾斜吹出口の前方に前可動ルーバ室が該傾斜吹出口より下側に延設された延設部を含んで形成され、該前可動ルーバ室内に複数の縦フィンが上下の軸支部を介して左右に回動可能に軸支され、該前可動ルーバ室の下側にリンクケース部が設けられると共に、前記ベゼルの下部に設けた開口部から露出して前記操作ノブとカバー部材が左右に摺動可能で上下に回動可能に配設され、該リンクケース部に配設されたリンク部材を介して該カバー部材の係合部が連結されるように構成することができる。
さらに上記請求項4の空気吹出調整用レジスタにおいては、請求項9のように、上記操作ノブが外嵌される操作ノブ異形軸の端部に連結した連結アームに、リンクバーがリンク結合され、該リンクバーには、リンクアームを介して前記後可動ルーバの各横フィンの軸が連結されるように構成することができる。
上記構成の請求項1の空気吹出調整用レジスタによれば、リテーナの通風路内の高さが、その底面を下方に拡張することにより、ベゼルの空気吹出口の高さより大きく形成され、リテーナの通風路に、後可動ルーバの複数の横フィンが通風方向に沿って並設されるため、ベゼルの空気吹出口が水平に近い緩やかな傾斜面として形成されていても、横フィンと横フィンの間隙が狭窄されることはなく、送風時の圧力損失を増大させずに、低騒音で、斜め下方から上方まで良好な指向性をもって送風することができる。
また、請求項2の空気吹出調整用レジスタによれば、リテーナの通風路の基本通風方向を斜め下方とし、リテーナの底面をベゼルの空気吹出口に向かう部分で上向きに傾斜して形成したから、後可動ルーバの横フィンを斜め上方に向けたとき、リテーナの底面の傾斜部分が通風路の底部付近に流れる空気流を横フィンと同じ方向に誘導し、効率の良い送風を行うことができる。
また、請求項3の空気吹出調整用レジスタによれば、複数の横フィンがそれらの軸を含む同一平面まで回動されたとき、通風路の底面に沿った空気流を遮断し、横フィンの上方をのみ空気流が通過するように下向きの送風が行われるから、後可動ルーバの横フィンによる通風抵抗は殆ど零となり、圧力損失が小さく、騒音の少ない斜め下向きの送風を良好に行うことができる。
また、請求項4の空気吹出調整用レジスタによれば、後可動ルーバの前方に前可動ルーバが配設され、前可動ルーバには、複数の縦フィンが縦方向の枢軸を介して左右に回動可能に枢支され、前可動ルーバの各縦フィンを左右に回動させると共に、後可動ルーバの各横フィンを上下に傾動させるための操作ノブを設けたから、1つの操作ノブの操作により風向を上下左右に調整する、つまり、操作ノブを上下に回動操作したときには、後可動ルーバの上下の傾動角度が変更されて、風向が上下に調整され、操作ノブを左右方向に摺動させたときには、前可動ルーバの左右の角度が変更されて、風向を左右に調整することができる。
また、請求項6の空気吹出調整用レジスタによれば、ダンパを設けることにより、送風を遮断することができ、ダンパを開放させたときには、ダンパのダンパ板を後可動ルーバの横フィンと同一平面上に位置させることができ、これにより、斜め下方への送風を効率よく行なうことができる。
また、請求項7の空気吹出調整用レジスタによれば、水平面から緩やかに前下がりに傾斜したベゼルの開口部(傾斜吹出口)から内部に異物を落下させやすい構造のレジスタであっても、網部によって、傾斜吹出口から異物の落下を防止することができる。
また、請求項8の空気吹出調整用レジスタによれば、前可動ルーバの縦フィンが傾斜吹出口の下方まで延設された延設部まで延びるため、風向を下側に向けた際の空気流の左右の風向を、良好に調整することができる。
また、請求項9の空気吹出調整用レジスタによれば、操作ノブの回動操作に応じて、後可動ルーバの複数の横フィンにおける上下方向の角度を、良好に調整することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は空気吹出調整用レジスタの正面図を示し、図2はその平面図を示している。また、図3はその斜視図を示し、図4はその左側面図を示し、図5はその右側面図を示し、図6はその分解斜視図を示している。
1はレジスタの正面から上部の意匠面を形成し、空気吹出口11を有したベゼル、2はベゼル1の下側に取り付けられ、内部に形成した通風路20に前可動ルーバ3、後可動ルーバ4を設けたリテーナである。図6に示すように、リテーナ2は、方形断面を有したダクト状に形成され、内部に通風路20を設けている。そして、図8に示すように、リテーナ2の通風路20内の上流側の高さH4は、通風路20の底面を下方に拡張することにより、その下流側である、ベゼル1の空気吹出口11の高さH5より大きく形成されている。さらに、リテーナ2の通風路20に、後可動ルーバ4の2枚の横フィン41,42が、通風方向に沿って延びる同一平面つまり中央水平面O上に沿って配置される。
さらに、リテーナ2の前部は斜め上方に向けて湾曲に傾斜して形成され、その底面から前方にかけて、緩やかに上方に湾曲した湾曲傾斜面22が形成されている。そして、リテーナ2の前部には、前面が斜め上方を向くように傾斜した傾斜吹出口21が形成されている。湾曲傾斜面22は、リテーナ2の底面とその傾斜吹出口21の下部を接続し、通風路20の底部を流れる空気流を湾曲傾斜面22により斜め上方に送風するように形成されている。
リテーナ2の傾斜吹出口21上に嵌着されるベゼル1には、縦に長い長方形状の空気吹出口11が形成され、リテーナ2側の傾斜吹出口21は、ベゼル1の空気吹出口11の下側に重なるように連通する。また、図3のように、ベゼル1の下部には、可動ルーバ操作用のノブ用開口部12が形成され、左側の端部にはダンパ操作用のノブ用開口部13が形成される。そして、下部のノブ用開口部12には、前可動ルーバ3と後可動ルーバ操作用の操作ノブ8が配置され、左端のノブ用開口部13には、ダンパを操作するダンパ操作ノブ6が配置される。ベゼル1の空気吹出口11とリテーナ2の傾斜吹出口21の水平軸に対する傾斜角度は、その下部を前方に突き出し、その上部を後方に引き込むように、前面が斜め上方を向くように、緩く傾斜して形成されている。
図5、図8に示すように、リテーナ2内の通風路20の基本通風方向は、中央水平面O上に設定され、中央水平面O上の送風方向に沿った中央線がこのレジスタの基本通風方向となっている。リテーナ2はこの中央水平面O上の基本通風方向が、図8の如く、やや下方を向くようにベゼル1の下部に取り付けられている。また、リテーナ2前部の傾斜吹出口21(ベゼル1の空気吹出口11)に沿った吹出口平面Sとこの中央水平面Oとの角度θは、傾斜吹出口21の傾斜角度をなすもので、通常のレジスタに比べ小さく、例えば約22度に設定される。この傾斜角度θは、レジスタが装着される自動車のインストルメントパネルの前部の傾斜角度に一致し、スラントタイプのインストルメントパネル、つまりパネルの上面から前面にかけての表面が、水平に近い非常に緩やかな湾曲傾斜面として形成されるインストルメントパネルに、本レジスタは使用される。また、本レジスタの傾斜吹出口21の傾斜角度θは、上記のように約22度に設定されるが、必ずしもこの角度に限定されるものではなく、例えば約18度〜約30度の範囲で設定することができる。なお、通風路20の通風方向に沿って中央の水平面に設定される中央水平面Oは、上又は下にずらして中央を外れた平面とすることもできる。
さらに、図6、図8に示すように、リテーナ2の前部つまり傾斜吹出口21には、ハニカム状の網部28が、上方からの異物の侵入(落下)を阻止するために設けられ、また、その前部には、トレイ状の前可動ルーバ室23が形成されている。この前可動ルーバ室23は、前可動ルーバ3を収容するように薄い箱型に形成され、傾斜吹出口21の開口部からさらに下部に延びるトレイ状の延設部23aが設けられる。延設部23aの下端に、前可動ルーバ3の各縦フィン31の軸を支持する縦フィン保持部26が形成され、それに対応したリテーナ2の上部に縦フィン保持部25が設けられている。さらに、延設部23aの下端部つまり前可動ルーバ室23の下部には、操作ノブ用保持部24とリンクケース部27が設けられている。
操作ノブ用保持部24は、操作ノブ異形軸7を回動可能に水平に支持する軸支部を両側壁部に設けて形成される。図6に示すように、操作ノブ異形軸7には、操作ノブ8がその上を摺動可能に且つ回動を阻止した状態で外嵌され、操作ノブ8を回動方向に操作すると、操作ノブ異形軸7自体が両側の軸支部を介して回動する。操作ノブ異形軸7の一方の軸端部には、連結アーム7aが連結されている。
操作ノブ8は、図7に示すように、上部が半円形状に形成され、その下部には二又状に分離して4本の係止脚部8bが形成され、摺動保持部材8aの上からその外側に嵌め込まれる。摺動保持部材8aは、操作ノブ異形軸7上に嵌合しその軸方向のみに摺動可能に形成され、その上部から内側にかけて形成された矩形孔8fに、荷重出し用の弾性部材8cが嵌め込まれる。この弾性部材8cは摺動保持部材8aが操作ノブ異形軸7に外嵌された状態で、操作ノブ異形軸7の上部に接触し、操作荷重を発生させる。摺動保持部材8aの上から操作ノブ8が被せるように嵌め込まれるが、このとき、操作ノブ8の下部には、操作ノブ異形軸7の下側から座板8dが嵌着される。座板8dの四隅に嵌合孔8eが形成され、これら4個の嵌合孔8eに、操作ノブ8の4本の係止脚部8bが差し込まれて嵌着される。これにより、操作ノブ8は、操作ノブ異形軸7上で、適度な操作荷重を生じながら摺動可能に保持される。このような操作ノブ8を外嵌させた操作ノブ異形軸7は、操作ノブ用保持部24の両側の軸支部に、その軸端部が支持されるが、このとき、軸端部には、荷重出し用の弾性部材7b、7cが嵌着され、回動操作時に適正な荷重を発生するようにしている。
さらに、操作ノブ8の上には、カバー部材9が、その開口部9bから操作ノブ8の上部を突出させるように被せられる。カバー部材9は操作ノブ8と共に操作ノブ異形軸7に対し左右に摺動可能な構造となっており、カバー部材9の前後の縁部は、操作ノブ用保持部24の前後の壁部に、摺動可能に保持されている。
さらに、このカバー部材9の下部には、二又状の係合部9aが設けられ、この係合部9aはリンクアーム29の上端のリンク軸29cに係合する。リンクアーム29は、リンクケース部27の前壁部に突設された軸29aにより軸支され、リンクアーム29の上端にリンク軸29cが設けられ、リンクアーム29の下端に連結軸29bが突設される。操作ノブ8に被せられたカバー部材9は、操作ノブ8と共に摺動したとき、その係合部9aとリンク軸29cを介して、リンクアーム29を回動させる。
図8、図9に示すように、リンクアーム29の下端に連結軸29bが突設され、その連結軸29bがリンクケース部27の側壁に設けた長孔に挿通される。リンクケース部27内には略三角形状のリンク部材32が配設され、図14に示すように、リンク部材32の上部には、前可動ルーバ3の各縦フィン31のリンク部材31eが連結され、リンク部材32の下部にリンクアーム29の連結軸29bが連結される。
これにより、操作ノブ異形軸7上で操作ノブ8を右または左に摺動させると、操作ノブ8と共にカバー部材9が右に摺動し、カバー部材9の係合部9aがリンク軸29cに係合して、リンクアーム29が軸29aを中心に回動する。これにより、リンクアーム29の連結軸29bを介して連結されるリンク部材32が、図14に示すように、右又は左に移動する。略三角形状のリンク部材32における上部4本のリンク軸は、各々リンク部材31eを介して前可動ルーバ3の各縦フィン31の軸に連結されるから、前可動ルーバ3の各縦フィン31が右または左に回動し、操作ノブ8の操作に応じて風向が右または左に調整される。
前可動ルーバ3は、図6に示すように、前可動ルーバ室23内に一定間隔をおいて軸支される4本の縦フィン31と、各縦フィン31の上部の縦フィン軸31aを支持する軸支部31cと、各縦フィン31の下部の縦フィン軸31bを支持する軸支部31dと、各縦フィン軸31bに連結されたリンクアーム31eとを備えて構成される。図6、図8に示すように、軸支部31cと軸支部31dは、各縦フィン31の縦フィン軸31a,31bを保持した状態で、前可動ルーバ室23の上部の縦フィン保持部25と下部の縦フィン保持部26に取り付けられ、これにより、前可動ルーバ3の各縦フィン31は所定の角度範囲で回動可能に支持される。また、各縦フィン31の縦フィン軸31bに連結されるリンク部材31eは、図8のように、略三角形状のリンク部材32の上部に連結され、リンク部材32の下部は、リンクアーム29の下部の連結軸29bに連結される。
さらに、リテーナ2の傾斜吹出口21の直ぐ内側に、後可動ルーバ4が上下の風向調整のために設けられる。この後可動ルーバ4は、通風路20内の通風方向に沿った中央水平面上に2枚の横フィン41,42を並設して構成され、後の横フィン41は大形の方形板から形成、前の横フィン42は幅の狭い方形板から形成される。後の横フィン41の両側に突設された横フィン軸41a、41b及び前の横フィン42の両側に突設された横フィン軸42a、42bは、図8に示すように、通風路20内の中央水平面O上に配置され、リテーナ2の側壁に設けた軸受部に前後して回動可能に支持される。したがって、後可動ルーバ4の2枚の横フィン41,42を中央水平面Oと平行状態とすれば、横フィン41,42は通風路20内の中央水平面Oに沿って平板状にフラットな状態となる。
2枚の横フィン41,42の2対の横フィン軸41a、41b、42a、42bが軸支される軸受部は、軸支板43,44(図6)に軸受孔を設けて形成され、両側の軸支板43,44は、その間に横フィン41、42を支持した状態で、リテーナ2内に挿入され固定される。このとき、横フィン軸41b、42bの各先端に軸着されているリンクアーム41c、42cは、リテーナ2の側壁に設けたスリット孔から外側に出され、図5に示すように、そのリンクアーム41c、42cの下端は、リンクバー45の先端部と中間部に、軸を介して連結される。リンクバー45は、リテーナ2の右側に配設され、その前端部は、軸を介して操作ノブ異形軸7の右端に連結された連結アーム7aの下端に、軸を介して連結される。
これにより、操作ノブ8(操作ノブ異形軸7)をその軸の回りで回動操作すると、操作ノブ異形軸7の軸に軸着された連結アーム7aが回動し、そこに連結されたリンクバー45が前または後に移動する。このリンクバー45の前後の移動により、リンクアーム41c、42cを介して横フィン41,42がその横フィン軸41a、41b、42a、42bを中心に所定範囲で回動し、図8、図11、図13に示すように、横フィン41,42の角度が中央水平面Oに沿った下向きから、約45度の上向き傾斜までの角度範囲内で、調整される。
図8に示すように、リテーナ2内の通風路20の後部には、ダンパ10が水平軸を中心に回動可能に支持される。ダンパ10はダンパ板10aの周囲にシール材10bを嵌着し、ダンパ板10aの両側の中点を、ダンパ軸10c、10dを介して回動可能に支持して構成される。ダンパ軸10c、10dは、通風路20内の中央水平面O上に配置され、一方のダンパ軸10cは、リテーナ2の側壁の外側に突出し、そこにリンクアーム10eが軸着される。
一方、リテーナ2の前部の左側壁部に、ダンパ操作ノブ6用の軸部6aが水平に突設され、この軸部6aにダンパ操作ノブ6の軸中心が回動可能に軸支される。ダンパ操作ノブ6の下部には、リンク部材6bが突設され、図4のように、このリンク部材6bの先端が、リンクバー19を介して上記リンクアーム10eに連結される。ダンパ操作ノブ6を図4のような状態としたとき、リテーナ2内のダンパ10は、図11のように中央水平面O上に位置して開状態となる。一方、ダンパ操作ノブ6を図4の時計方向に回すと、リンクバー19が図4の左側に移動し、ダンパ10は時計方向に回動して図11の仮想線のような閉鎖状態となる。
また、図11のように、ダンパ10が開状態をとり、後可動ルーバ4の横フィン41,42がフラット状態となると、ダンパ板10a、横フィン41,42が中央水平面O上に位置してフラットな状態となる。つまり、リテーナ2内の中央水平面O上に、ダンパ10のダンパ軸10c、10d、横フィン41、42の横フィン軸41a、41b、42a、42bが位置しているため、ダンパ10、横フィン41,42は中央水平面Oに沿ったフラット状態となることができる。さらに、湾曲傾斜面22の上角部近傍には、横フィン42の横フィン軸42a,42bに向けて、固定フィン18がリテーナ2の傾斜吹出口21下部の角部(延設部23aに繋がる角部)から内側に向けて突設されている。この固定フィン18は、横フィン42の横フィン軸42a,42bとリテーナ2の下壁面との間を閉じるように作用する。
上記構成の空気吹出調整用レジスタは、例えば自動車の車室内の前部における水平面から緩やかに前下がりに傾斜したインストルメントパネルの前面傾斜部に装着される。このとき、ベゼル1はインストルメントパネルの前面傾斜部に沿って配置され、リテーナ2内の通風路20の基本通風方向、つまり通風路20内を通る中央水平面Oが、僅かに下方に傾斜して向くように、取り付けられる。
送風の風向を調整する際には、ベゼル1の下部のノブ用開口部12から露出した操作ノブ8を操作して風向を調整する。風向を上または下に調整する場合、操作ノブ8を上側または下側に回動操作する。この操作ノブ8の上下方向の回動操作により、操作ノブ異形軸7が回動し、連結アーム7a、リンクバー45、及びリンクアーム41c、42cを介して、後可動ルーバ4の各横フィン41,42がその横フィン軸41a,41b,42a,42bを軸に回動する。これにより、例えば、横フィン41,42が通風路20内で中央水平面O内まで回動すると、横フィン41,42は中央水平面Oに沿ってフラットな状態となり、通風路20の底部の湾曲傾斜面22に沿った空気流は遮断される状態となる(図11)。したがって、レジスタの送風は、これらの横フィン41,42の上面に誘導されて、通風路20の中央水平面Oに沿った方向つまり、僅かに下方を向いた方向に送風が行なわれる。このように、通風路20内の横フィン41,42の上面にそって送風が行われるため、後可動ルーバ4による通風抵抗は殆ど零となり、低騒音、低圧力損失で送風することができる。
一方、操作ノブ8を上側に回動操作すると、連結アーム7a、リンクバー45、及びリンクアーム41c、42cを介して、後可動ルーバ4の各横フィン41,42がその横フィン軸41a,41b,42a,42bを中心に回動し、各横フィン41,42の向きが中央水平面Oからその前部を上方に上げるように回動する(図8、図13)。このとき、リテーナ2内の通風路20を流れる空気は、後可動ルーバ4の横フィン41,42に導かれ、且つ通風路20の底部吹出口近くの湾曲傾斜面22によって、上方に曲げられ、上方に向けて送風が行なわれる。
風向の上下方向の調整は、通風路20内の中央水平面Oに沿って配置された横フィン41,42の上方に向かう角度により決定されるため、操作ノブ8を回して後可動ルーバ4の各横フィン41,42の角度を微調整することにより、図8、図13のように、風向を容易に微調整することができる。
また、風向を上側に調整した場合、リテーナ2の通風路20内には、その上流側の高さH4全体の開口から充分な流量の空気流が流入し、各横フィン41と横フィン42の間隙でも狭窄されずに、斜め上方に向けて効率よく送風される。このため、送風時の圧力損失は小さく、低騒音で、横フィン41,42を向けた斜め下方から上方まで、良好な指向性をもって送風することができる。
さらに、この空気吹出調整用レジスタは、ベゼルの上面から前面にかけての表面が水平に近い緩やかな傾斜面として形成される従来のレジスタとは異なり、前可動ルーバ3と後可動ルーバ4が空気吹出口に配設されるため、後可動ルーバ4の横フィン41,42が開放されたときの開口部(窪み)は外観的に目立つものではなく、良好な意匠性を損なうことはない。
一方、風向を左右に調整する場合、操作ノブ8を左右方向に摺動操作させると、図14に示すように、操作ノブ8と共に移動するカバー部材9の係合部9aが、リンクアーム29を揺動させ、リンクアーム29の連結軸29bがリンク部材32を揺動させ、リンク部材32がその上部に連結された各リンク部材31eを介して前可動ルーバ3の各縦フィン31を、その左右の角度を変えるように、回動させる。
これにより、前可動ルーバ3の各縦フィン31の向きが左右に変わり、操作ノブ8の簡単な摺動操作によって、風向を任意の左右方向に調整することができる。特に、図11のように、後可動ルーバ4の調整によって風向が下側に向けられている場合でも、傾斜吹出口21から送風された空気流は、下方に延設された前可動ルーバ3の下部を通過するため、その縦フィン31によって調整された左右方向に、良好な指向性をもって送風を行うことができる。
一方、送風を遮断する場合は、ダンパ操作ノブ6を操作して、ダンパ10をそのダンパ軸10c、10dを軸に回動させ、通風路20を閉じる。送風時には、ダンパ10を通風路20内で略水平状態まで回動させて、通風路20を開放させるが、このとき、後可動ルーバ4の横フィン41,42が中央水平面O上で水平状態となって、風向を斜め下方に向ける場合、ダンパ10のダンパ板10aは、図11のように、横フィン41,42と共に、中央水平面O上で水平状態となり、斜め下方への送風を効率よく行なうことができる。