JP2004031216A - 導電性ペースト - Google Patents

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近藤 孝司
Hiroshi Tachika
田近 弘
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Abstract

【課題】ノンハロゲンでの難燃性、導電性、接着性、耐熱性、可撓性、耐マイグレーション性などの特性、特に高温度域での接着性と耐マイグレーション性に特に優れた導電性ペーストを提供する。
【解決手段】分子内にリンを含有する有機樹脂(A)、導電性微粉末(B)を含む導電性ペーストに関する。分子内にリンを含有する有機樹脂(A)がポリエステル樹脂及び/又は変性ポリエステル樹脂であることを特徴とする導電性ペーストに関する。さらにリン及び/又は窒素を分子内に含有するノンハロゲン難燃剤を含有する導電性ペーストに関する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃性に優れた導電性ペーストに関するものであり、さらに詳しくはフィルムまたは回路基板などに印刷または塗布して用いるものである。用途としては、回路用、導電性接着剤などに用いられるもので、難燃性を兼ね備えるものである。
【0002】
【従来の技術】
導電性ペーストは、有機樹脂に導電性微粉末を分散して作成されるもので、回路用、導電性接着剤などの分野で幅広く使用されている。公知の技術としては、ポリウレタンをバインダーに用いたものとしては特開昭59−206459号公報、ポリエステルをバインダーに用いたものとしては特開平1−159906号公報などが挙げられる。しかし、これらの導電性ペーストに使用されるバインダー樹脂は本質的に可燃性であるため、家電用途、OA機器、自動車用途を中心とした「UL規格でV−0」などの高度な難燃性が要求される用途には使用できない。難燃性が要求される具体的用途としては、フレキシブルプリント配線板(FPC)、メンブレン回路などの回路用、電子部品、チップ部品などを接着する接着剤、コンデンサー端子部などに用いられる。
また、耐熱性を付与する目的でポリイミド系樹脂をバインダーに用いたものとして特開昭54−78492号公報などが挙げられるが、これらの耐熱性樹脂系の導電性ペーストは比較的良好な難燃性を有するものの、アミド系などの高沸点の特殊な溶剤にしか溶解せず、従って乾燥温度が200℃以上必要である場合が多く作業性が悪く、特にPETフィルムなどの耐熱性のない基材には使用できない。また、フィルムに塗布した場合はカールが発生する問題もある。
【0003】
一般的に、樹脂を含む組成物に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、ハロゲン含有高分子化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が挙げられる。しかしながら、この方法には一部で燃焼時にハロゲンガスやダイオキシンが発生すると言われている。さらには、難燃剤の配合により、導電性、接着性、可撓性などの重要な導電性ペーストの特性が損なわれる。
【0004】
また、難燃剤としては、近年、これらハロゲン系難燃剤の環境への悪影響を低減する為、ハロゲンを全く含まない、即ちハロゲンフリーの難燃剤が知られている。ハロゲンフリーの難燃処方については、たとえばリン系難燃剤の配合が採用されている。しかし、リン酸エステル等のリン含有難燃剤で難燃性を付与するには、ハロゲン系難燃剤以上に大量に配合しなければならず、導電性、接着性、可撓性などの特性が低下する可能性があり、難燃剤がブリードアウトする可能性もある。
【0005】
このような背景の中、ハロゲン系難燃剤を全く含まず、難燃性や耐熱性に優れ、さらには導電性、接着性、耐屈曲性、耐マイグレーションなどの諸特性に優れた導電性ペーストの開発が強く要望されるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、これら従来の導電性ペーストに不足している難燃性、導電性、接着性、可撓性、耐熱性、耐マイグレーション性などの特性をノンハロゲン系により提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解決するために、鋭意検討した結果、分子内にリンを含有する有機樹脂と導電性微粉末を含む導電性ペーストは驚くべきことにハロゲンフリーで高度の難燃性が得られ、導電性、接着性、可撓性に優れ、さらには高温時の接着強度に優れ、耐湿性、耐マイグレーション性などの耐久性にも優れることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下のような導電性ペーストに関する。
【0008】
(1)分子内にリンを含有する有機樹脂(A)及び導電性微粉末(B)を含む導電性ペースト。
【0009】
(2)分子内にリンを含有する有機樹脂(A)がポリエステル樹脂及び/又は変性ポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)記載の導電性ペースト。
【0010】
(3)さらにリン及び/又は窒素を分子内に含有するノンハロゲン難燃剤(C)を含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の導電性ペースト。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃性に優れた導電性ペーストの構成成分として用いられる分子内にリンを含有する有機樹脂(A)は、用途に応じて使い分けられれば特に限定されるものではないが、接着性と可撓性の観点から、ポリエステル樹脂及び/又は変性ポリエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂にリンを導入する方法としては、リン原子を含有するモノマーを共重合する方法が簡便で好ましい。ポリエステル樹脂にリン化合物を共重合する方法としては、下記一般式[1]〜[2]で示される含リンジカルボン酸類、一般式[3]、[4]で示される含リンモノカルボン酸類、一般式[5]で示されるリン含有ポリアルコールなどを共重合成分として用いる方法が好ましい。
【0012】
一般式[1]
【化1】
Figure 2004031216
、Rの具体例としては水素原子、メチル、エチル、プロピル、フェニルのような炭化水素基である。RとRは同じであっても良いし、又相異なっていても良い。RとRは水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシエチルオキシエチルのような炭化水素基またはヒドロキシ基置換基である。なお、炭化水素基は他の官能基で置換されていても良い。nは0〜10である。
【0013】
一般式[2]
【化2】
Figure 2004031216
はメチル、エチル、ブチルなどのアルキル基である。
【0014】
一般式[3]
【化3】
Figure 2004031216
は水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシエチルオキシエチルのような炭化水素基またはヒドロキシ基置換基である。なお、炭化水素基は他の官能基で置換されていても良い。
【0015】
一般式[4]
【化4】
Figure 2004031216
は水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシエチルオキシエチルのような炭化水素基またはヒドロキシ基置換基である。なお、炭化水素基は他の官能基で置換されていても良い。
【0016】
一般式[5]
【化5】
Figure 2004031216
はメチル、エチル、ブチルなどのアルキル基である。
【0017】
本発明に用いるリンを含有する有機樹脂(A)に含まれるリン原子の含有量は難燃性及び密着性、耐湿性の面から有機樹脂(A)100重量%あたり、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.3重量%以上である。上限は5.0重量%以下が好ましく、より好ましくは4.0重量%以下である。リンを含有することにより、難燃性を付与できるだけでなく理由は定かではないが非常に優れた耐熱性(高温時の接着性)、耐マイグレーション性が得られる。なお、リン化合物として、リン酸金属塩を用いることも可能であるが、耐水性、耐湿性、耐マイグレーション性を高いレベルに維持するためには、塩構造をとらないこと、すなわち、樹脂中でリン酸エステルやリン酸構造となっていることが好ましい。特にはリン酸エステル構造となっていることが好ましい。
樹脂中のリン含有量は原子吸光法、蛍光X線法や、樹脂を湿式分解した後、モリブデンブルーで発色させて、その含有量を比較決定する方法等公知の方法で測定できる。
【0018】
該ポリエステル樹脂に共重合できるリンを含まない酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、炭素数12〜28の2塩基酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジ
カルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、2−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールA、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールS、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸、水素添加ナフタレンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
【0019】
この内、難燃性と塗膜物性の面から芳香族ジカルボン酸を全酸成分の60モル%以上用いることが好ましい。さらには、溶剤溶解性からテレフタル酸とイソフタル酸を併用することが好ましい。
【0020】
その他のジカルボン酸としてはセバシン酸が好ましく、これを共重合することにより、硬化皮膜を柔軟にすることができる。
【0021】
また、発明の内容を損なわない範囲で、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価のカルボン酸、フマール酸などの不飽和ジカルボン酸、さらに、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩などのスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸を併用してもよい。また、ポリエステル樹脂を重合後、無水トリメリット酸、無水フタル酸などの酸無水物を後付加して酸価を付与してもよい。スルホン酸金属塩基やカルボキシル基(酸価の付加)などの極性基導入により、フィラーの分散性を向上でき、とくに後述する分散性の悪いリン及び/又は窒素含有の難燃剤を併用する際に好ましい。
【0022】
該ポリエステル樹脂に使用されるグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、TCDグリコールなどの脂環族グリコール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。この内、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、さらに耐湿性の面より、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。さらに、難燃性の面より、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族環含有のグリコールが好ましい。
【0023】
また、発明の内容を損なわない範囲でトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリンなどの多価ポリオールを併用してもよい。
【0024】
該変性ポリエステル樹脂としては前述したリン含有ポリエステル樹脂をベースにしたポリエステルウレタン樹脂、ウレタン−アクリレート変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
該ポリエステルウレタン樹脂に用いられるイソシアネート成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−キシリレンジイソシアネート、1,3ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】該ポリエステルウレタン樹脂に用いられる鎖延長剤としては、上述の該ポリエステル樹脂に用いられるグリコール成分がここでも使用できるが、接着性の観点から、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸のようなカルボン酸含有グリコールも、要求特性に合わせて使用される。
該ウレタン−アクリレート変性ポリエステル樹脂に用いられるアクリレート化合物としては、1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基と1個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコ−ル等のグリコールのモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメチロールエタン等のトリオール化合物のモノ(メタアクリレート)及びジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の4価以上のポリオールのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアクリルエーテル等のヒドロキシル基含有アクリル系化合物が挙げられる。
【0026】
該エポキシ変性ポリエステルはポリエステル樹脂に付与したカルボキシル基とエポキシ樹脂を触媒存在下で反応して得られる。
【0027】
以上説明した本発明の構成成分であるリンを含有する有機樹脂(A)は非結晶性であることが好ましく、非結晶性にすることにより良好な溶剤溶解性が得られる。リンを含有する有機樹脂(A)の分子量は数平均分子量で3000以上が好ましく、より好ましくは8000以上、最も好ましくは12000以上である。上限は特に定めるものではないが、樹脂の重合作業性より100000以下が好ましい。分子量が3000未満では、硬化後も脆く、機械的強度が不足する可能性があり、接着性や、各種耐久性が劣る場合がある。また、分子量が100000を超えると溶液粘度が大きくなり、印刷、ディスペンサー等で使用する場合、作業性が悪化する可能性がある。
【0028】
また、リンを含有する有機樹脂(A)の好ましいガラス転移点は、回路用に用いる場合は−10℃以上が好ましく、より好ましくは0℃以上である。上限は特に限定しないが、通常80℃以下であるが、耐屈曲性を重視する場合は25℃以下が好ましい。ガラス転移点温度が−15℃未満では硬度が不足し、耐コネクター挿抜性などが低下する可能性がある。接着剤として使用する場合の好ましいガラス転移点温度は−30℃以上が好ましく、より好ましくは−20℃以上である。上限は接着性の面から25℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以下である。
25℃を越えると接着力が低下する傾向にある。
【0029】
また、バインダー樹脂成分として、本発明のリンを含有する有機樹脂(A)に、その他の共重合ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、水素添加ポリブタジエン系樹脂、シリコン樹脂、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)などの変性セルロース類、ロジン、水素添加ロジンなどを特性を落とさない範囲で配合できる。
【0030】
さらに、UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー光線や過酸化物による硬化性を付与する目的で、(メタ)アクリレート化合物などの光重合性の官能基を有する化合物を配合できる。例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トルイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、n,n−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸メタアクリレート、n−メチルビニルピロリドン、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルサクシネート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのモノ(メタ)アクリレート化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピパリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロヘンタニルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。また、特に難燃性に優れる点で、5価のリン原子を有する一般式[6]、[7]で示される(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0031】
一般式[6]
【化6】
Figure 2004031216
は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。
【0032】
一般式[7]
【化7】
Figure 2004031216
10、R11は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。
【0033】
一般式[6]で示されるリン原子を有する(メタ)アクリレート化合物の代表例としてはモノ(メタアクリロイルオキシエチル)ホスフェート、モノ(メタアクリロイルオキシプロピル)ホスフェートなどのリン酸モノエステル(メタ)アクリレートである。一般式[7]で示されるリン原子を有する(メタ)アクリレート化合物の代表例としてはビス(メタアクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ビス(メタアクリロイルオキシプロピル)ホスフェートなどのリン酸ジエステル(メタ)アクリレートである。
【0034】
本発明に使用する導電性微粉末(B)は、カーボンブラック、グラファイト粉などの炭素系のフィラー、銀粉、金粉、白金粉、パラジウム粉などの貴金属粉、銅粉、アルミ粉、真鍮粉などの卑金属粉、銀などの貴金属でめっき又は合金化した卑金属粉などが挙げられる。
【0035】
この内、高度の導電性と信頼性が必要な用途には、銀粉単独または銀粉を主体とすることが好ましい。銀粉の形状としては、公知のフレーク状(リン片状)、粟状、球状、樹枝状(デンドライト状)、図1に示したような銀の1次粒子径が好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、上限は好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である1次粒子が3次元状に凝集したもので、凝集体の光散乱法による50%平均粒子径が好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、上限は好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下の2次粒子をなすものなどがあるが、この内、主に導電性の面からはフレーク状銀粉、接着性の面からは上記球状の1次粒子が3次元状に結合した形状の銀粉が特に好ましい。フレーク状銀粉としては光散乱法による平均粒子径(50%D)が1μm以上が好ましく、より好ましくは2μm以上である。上限は、15μmが好ましく、より好ましくは8μm、さらに好ましくは5μmである。
【0036】
銀粉より導電性、信頼性は劣るが比較的低抵抗かつ低コストが必要な用途では、アルミ粉、銅粉、真鍮粉、ニッケル粉などの非貴金属分、これらの非貴金属分を銀などの貴金属でめっき又は合金化した金属粉末を使用しても良い。
【0037】
抵抗値が高くても良い場合は、信頼性、コスト面からカーボンブラック、グラファイトを用いることが好ましい。これらは、銀粉などの貴金属粉と併用して使用しても良い。
【0038】
導電性微粉末の他に、シリカ、タルク、マイカ、硫酸バリウムなどの無機フィラーを特性を損なわない範囲で配合してもよい。
【0039】
本発明の導電性ペーストには、難燃性を向上させる目的で公知のノンハロゲン系難燃剤を配合できる。リンを含有するノンハロゲン系難燃剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ジメチルエチルホスフォスフェート等のリン酸エステル化合物や、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルグリシジルホスフェート等の酸性リン酸エステル化合物、フェニレンビスフェニルグリシジルホスフェート等の縮合リン酸エステル化合物、ポリリン酸塩化合物、赤リン等のリン単体等が挙げられる。
【0040】
さらには、リンを含むノンハロゲン難燃剤は高い難燃性を達成するために、さらに窒素を含むものであることが好ましい。これらの例としては、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ホスファゼン等が挙げられる。また、リンを含むノンハロゲン系難燃剤はポリリン酸塩であることも好ましい。これらの中でも最も好ましい難燃剤は、リン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン複塩、ポリリン酸メラム複塩、ポリリン酸メレム複塩、ポリリン酸アンモニウム、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸メラミン塩、1−ヒドロキシエチレリデン−1,1’−ジホスホン酸メラミン塩等等が挙げられる。
【0041】
また、その他の一般的なノンハロゲン難燃剤を添加することができる。例えば、メラミンシアヌレート、メラミン等のメラミン系誘導体、グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、硫酸グアニル尿素等のグアニジン系誘導体が挙げられる。この内、難燃性、耐ブリード性の面からメラミンシアヌレートが特に好ましい。ホウ素系化合物は、ホウ酸、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。また、水酸化アルミニウムなどの水和金属化合物、シリコン化合物、シリコン系樹脂などの公知の化合物も挙げられる。また、難燃助剤としてアンチモン化合物などを配合してもよい。
【0042】
これらリン及び/又は窒素を分子内に含有するノンハロゲン難燃剤(C)の配合量は有機樹脂(A)100重量部に対して5重量部以上が好ましく、より好ましくは10重量部以上である。上限は、基材への接着性、導電性などの塗膜物性を考慮して200重量部以下が好ましく、より好ましくは150重量部以下、最もこのましくは100重量部以下である。5重量部未満では難燃性に対する効果が発揮されないことがある。
【0043】
本発明の導電性ペーストには、特性を損なわない範囲で、リンを含む有機樹脂(A)に反応し得る硬化剤を配合しても良い。硬化剤の好ましい配合量は、有機樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上が好ましく、上限は30重量部以下が好ましい。硬化剤の種類は限定しないが接着性、耐水性、硬化性などからイソシアネート化合物が特に好ましい。さらに、これらのイソシアネート化合物ブロック化して使用することが貯蔵安定性から好ましい。イソシアネート化合物以外の硬化剤としては、メチル化メラミン、ブチル化メラミン、ベンゾグアナミン、尿素樹脂などのアミノ樹脂、酸無水物、イミダゾール類、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの公知の化合物が挙げられる。
【0044】
イソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、及びこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0045】
ブロックイソシアネート化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類,エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第三級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、イミダゾール類、尿素類、ジアリール化合物類、重亜硫酸ソーダ等も挙げられる。このうち、硬化性よりオキシム類、イミダゾール類、アミン類がとくに好ましい。
これらの架橋剤には、その種類に応じて選択された公知の触媒あるいは促進剤を併用することもできる。
【0046】
本発明の導電性ペーストは通常溶剤に有機樹脂(A)を溶解して使用する。その種類に制限はなく、エステル系、ケトン系、エーテルエステル系、塩素系、アルコール系、エーテル系、炭化水素系などが挙げられる。このうち、スクリーン印刷する場合はエチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブアセテート、イソホロン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなどの高沸点溶剤が好ましい。
【0047】
本発明の導電性ペーストをUV(紫外線)硬化して使用する場合は、公知の光開始剤を配合することができる。ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン−i−プロピルエーテル、ベンゾイン、α−メチルベンゾインなどのベンゾイン類、9,10−アントラキノン、1−クロルアントラキノン、2−クロルアントラキノン、2−エチルアントラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ジベンゾスベロンなどのスベロン類、ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントンなどの含イオウ化合物類、メチレンブルー、エオシン、フルオレセインなどの色素類、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられ、単独又は2種以上併用して使用できる。また、必要に応じてn−ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリエチルアミン等の光増感剤を配合してもよい。このうち、硬化性より2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンが好ましく、配合量は密着性などからバインダー樹脂100重量部に対して5重量部以下が好ましい。
【0048】
本発明の導電性ペーストはフィルム、シートまたは基板に印刷又は塗布、乾燥、硬化することで回路パターンを形成することができる。また、ディスペンサー、メタルマスク印刷、スクリーン印刷、ディピングなどにより塗布し、導電性接着剤として使用できる。
【0049】
本発明の導電性ペーストを塗布する方法は、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、スクリーン印刷、タンポ印刷等公知の方法が用いられ、用途によって最適のものが使用される。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるものは重量部を示す。また、各測定項目は以下の方法に従った。
【0051】
1.組成分析
重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、H−NMR分析を行なって決定した。
【0052】
2.数平均分子量
テトラヒドロフランを溶離液としたウォーターズ社製ゲルろ過浸透クロマトグラフィー(GPC)150cを用いて、カラム温度35℃、流量1ml/分にてGPC測定を行なった結果から計算して、ポリスチレン換算の測定値を得た。ただしカラムは昭和電工(株)shodex KF−802,804,806を用いた。
【0053】
3.酸価
ポリエステル0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、樹脂10g当たりの当量(eq/10g)を求めた。指示薬はフェノールフタレインを用いた。
【0054】
4.ガラス転移温度
セイコーインスツルメンツ(株)製、示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220を用いて、昇温速度20℃/分にて測定することにより求めた。
【0055】
5.テストピース(I)の作成
厚みが75μmのアニール処理をしたPETフィルムに、導電性ペーストを所定の乾燥膜厚になるようにスクリーン印刷し、130℃で30分乾燥したものをテストピース(I)とした。印刷パターンは25×65mmのベタを用いた。
【0056】
6.テストピース(II)の作成
ポリフッ化エチレンシートに導電性ペーストを所定の乾燥膜厚になるようにアプリケーターで塗布し、130℃で30分乾燥後、さらに150℃で30分乾燥した。ついで、塗膜を剥離しテストピース(II)とした。
【0057】
7.比抵抗
テストピース(I)を用いて、膜厚とシート抵抗を測定し、これらより比抵抗を算出した。シート抵抗は4深針抵抗器を用いて測定した。比抵抗は乾燥膜厚5〜10μmで測定した。
【0058】
8.密着性
JIS K5400に準じて、テストピース(I)を用いて碁盤目セロハンテープ剥離により評価した。100/100が接着性良好で0/100が接着性不良である。密着性は乾燥膜厚5〜10μmで評価した。
【0059】
9.接着強度
導電性ペーストを厚みが38μmのアニール処理をしたPETフィルムに乾燥膜厚が15〜20μmになるようにスクリーン印刷し、100℃で30分乾燥した。ついで、銅箔面を重ね合わせ、150℃、圧力2.5kgf/cmで5秒間プレスして接着した。得られたラミネートフィルムを10mm幅にカットしT型剥離を行った。測定温度20℃、つかみ移動速度50mm/分で測定した。
【0060】
10.耐久性
テストピース(I)を用いて評価した。耐湿性40℃、95%RH×500H、耐寒性−40℃×500H、耐熱衝撃性−40℃←→60℃、各30分、500サイクルの環境下に放置後、塗膜外観、密着性、硬度、比抵抗により評価した。それぞれ、密着性は変化なし、比抵抗およびシート抵抗は変化率+10%以下のものを良好と判断した。
【0061】
11.耐熱性
9.と同様の方法で、加熱型引っ張り試験機を用いて80℃にて接着力を測定した。
【0062】
12.耐マイグレーション性
厚みが100μmのアニール処理をしたPETフィルムに導電性ペーストを、図2に示す中央に1.5mmのギャップのある、線幅2mm、長さ85mmのパターンを、乾燥膜厚が5〜8μmになるようにスクリーン印刷し、130℃×30分乾燥したものをテストピースとした。ついで、上記ギャップ間に注射器(ニプロシリンッジ1ml(ニプロ(株)製)で蒸留水0.04mlを滴下し、定電圧電圧電源(高砂製作所(株)製)で10V印加し、デジタルマルチメーター(武田理研(株)製)で電流値を測定し、電流値が0.1mAになるまでの時間を測定し、5回の測定値の平均値で評価した。数値が大きいほど耐マイグレーション性は良好である。
【0063】
13.難燃性
テストピース(II)を米国のアンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)で規格されたサブジェクト94号(UL94)の薄手材料垂直燃焼試験法(94VTM−0法)に基づき評価した。乾燥膜厚は20〜30μmで測定した。
(判定)難燃性クラス94VTM−0、94VTM−1、94VTM−2で評価を実施し、合格したレベルで示した。例えば、VTM−0が不合格でVTM−1が合格したものの難燃性はVTM−1と記した。VTM−2にも不合格なものは不合格と記した。
【0064】
14.耐屈曲性
厚み75μmのアニール処理PETフィルム上に導電性ペーストを線幅0.5mm、長さ75mmのパターンをスクリーン印刷し、130℃×30分加熱硬化(加熱乾燥)したものを試料とし、加重50g/cm、R=0の条件で同一箇所で360°屈曲を繰り返し、導体の抵抗値がkΩオーダーに達するまでの回数で評価した。また、印刷パターンの乾燥膜厚は6〜8μmで評価した。
【0065】
合成例.リンを共重合したポリエステル樹脂a
テレフタル酸149部、イソフタル酸149部、2−(10H−9−oxa−10−phospha−10−phenanthrylmethyl)succinate P−oxide(以下、PPMSと略す)69部、1,6−ヘキサンジオール472部をオートクレーブに仕込み、220〜240℃で3時間エステル化反応を実施した。次いでテトラブチルチタネート0.07部を仕込み、反応系を20分間かけて5mmHgまで減圧し、この間250℃まで昇温し、250℃で重縮合反応を30分間行い、リンを共重合した樹脂としてポリエステル樹脂aを得た。該ポリエステル樹脂の組成はテレフタル酸/イソフタル酸/PPMS//ヘキサンジオール=45/45/10//100(モル比)、数平均分子量は3500、酸価15当量/10g、ガラス転移温度10℃であった。結果を表1に示す。
【0066】
合成例.リンを共重合したポリエステル樹脂b、c、d、e
リンを共重合したポリエステル樹脂aと同様にして合成した。ただし合成に用いるモノマーは表1に記載のものを用いた。結果を併せて表1に示す。
【0067】
合成例.リンを共重合したウレタン変性ポリエステル樹脂f
温度計、撹拌機、冷却器を具備した反応容器中に合成例のポリエステル樹脂a100部とシクロヘキサノンを仕込み、80℃で溶解後、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)6.8部及びジブチル錫ジラウレート0.05部を仕込み、固形分濃度50%、70〜80℃で3時間以上かけて残存イソシアネートが無くなるまで反応させ、ウレタン変性ポリエステル樹脂fを得た。数平均分子量は25,000、酸価14当量/10g、ガラス転移点温度15℃であった。
【0068】
比較合成例.比較ポリエステル樹脂g、h
同様にしてポリエステル樹脂g、hを得た。比較ポリエステル樹脂g、hはリン化合物を共重合していないので本発明の範囲外である。表2に示す。
【0069】
比較合成例.比較ウレタン変性ポリエステル樹脂i
合成例のウレタン変性ポリエステルfと同様の方法で、ポリエステル樹脂aの代わりにリンを含まない比較ポリエステル樹脂gを用いてウレタン変性ポリエステル樹脂iを合成した。得られたウレタン変性ポリエステル樹脂の数平均分子量は23000、酸価が4当量/10g、ガラス転移点温度が5℃であった。
【0070】
銀粉(A)
レーザー光散乱法による50%平均粒子径が4.5μm、タップ密度が3.1g/cm、比表面積が0.7m/gの市販のフレーク状銀粉を使用した。
【0071】
銀粉(B)
球状の1次粒子が三次元状に結合した形状で、一次粒子の平均粒子径が走査型電子顕微鏡より0.5μmであり、レーザー光散乱法による50%平均粒子径が11μm、比表面積が1.62m/gの銀粉を使用した。この銀粉のタップ密度は0.8g/cmであった。形状を図1に示す。
【0072】
実施例.1
リンを共重合したポリエステル樹脂aをブチルセロソルブアセテートに固形分35%で溶解した。この樹脂溶液9.3固形部に銀粉(A)89重量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット3量体のメチルエチルケトオキシムブロック体1.7固形部、レベリング剤0.5部、硬化触媒としてのジブチルチンジラウレート0.2部を配合し、3本ロールで3回分散を行い導電性ペーストを得た。このペーストの比抵抗は5.5×10−5Ω・cmと良好であり、塗膜外観、密着性、耐久性も良好であった。難燃性を評価したところ、難燃剤を配合しないにもかかわらずVTM−1に合格した。また、マイグレーション性は、リンを含まないポリエステルを用いた比較例1〜5と比較して非常に優れていることが分かる。結果を表3に示す。
【0073】
実施例.2〜6
ポリエステル樹脂b〜f(fはウレタン変性ポリエステル樹脂)を用いて、実施例.1と同様に評価した。結果を表3に示す。ノンハロゲン系難燃剤を配合した系においては、良好な塗膜物性を維持したまま、高度の難燃性であるVTM−0を達成している。また、比較例1〜5と比較して、耐マイグレーション性、耐熱性(高温時の接着力)に優れていることが分かる。
【0074】
比較例.1〜5
実施例と同様にして、比較樹脂g、h、iを評価した。これらのものは難燃性が不良であり、難燃剤なしでは不合格であった。また、ハロゲン系難燃剤を配合した比較例3では、VTM−2の難燃性しかなく、環境に対する負荷が懸念される。また、いずれも耐マイグレーション性が不充分であり、水酸化アルミニウムを多量に配合した比較例4では、比抵抗、密着性、耐久性が不良であった。また、比較例2、5で明らかなように耐熱性も劣る。結果を表4に示す。
【0075】
実施例、比較例の内、実施例1、3、4、5、比較例1、3、4は印刷回路基板用途、それ以外のものは接着用途を意図したものである。
【0076】
【表1】
Figure 2004031216
【0077】
【表2】
Figure 2004031216
【0078】
【表3】
Figure 2004031216
【0079】
【表4】
Figure 2004031216
【0080】
【発明の効果】
本発明の導電性ペーストは、ノンハロゲンにもかかわらず難燃性優れ、さらに導電性、接着性、可撓性などの基本物性のほか、優れた耐熱性、耐マイグレーション性を有しており、それをフィルム、シートまたは基板などに塗布、乾燥、硬化することにより、優れた特性を有する回路基板を提供したり、部品実装をするすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】球状の1次粒子が3次元状に結合した形状の銀粉の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】耐マイグレーション評価用のテストパターンである。
【符号の説明】
1.PETフィルム
2.スクリーン印刷パターン

Claims (3)

  1. 分子内にリンを含有する有機樹脂(A)及び導電性微粉末(B)を含む導電性ペースト。
  2. 分子内にリンを含有する有機樹脂(A)がポリエステル樹脂及び/又は変性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
  3. さらにリン及び/又は窒素を分子内に含有するノンハロゲン難燃剤(C)を含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の導電性ペースト。
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