JP2008111091A - 接着剤フィルム及び回路接続材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子材料の接続部において、エレクトロマイグレーションの発生を十分に抑制できる接着剤フィルムを提供すること。
【解決手段】硬化性樹脂組成物からなる接着剤フィルムであって、ガラス基板上に形成されたインジウムスズ酸化物からなる被覆層の表面上に60℃、1MPa、2秒間の条件で加熱及び加圧して仮圧着されたときの25℃、55%RH、引張り速度50mm/minにおける90°ピール強度が10N/m以上であり、上記条件で加熱及び加圧して仮圧着され、さらに60℃、90%RHの高温高湿環境に100時間保持された後の上記90°ピール強度が10N/m以上である、接着剤フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤フィルム及び回路接続材料に関する。
ディスプレイ用パネル、プリント配線板、ICチップなどの電子材料を接続する手段として、絶縁性、導電性又は異方導電性の接着剤フィルムが用いられている。従来、このような接着剤フィルムには、高接着性と高信頼性の点からエポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。かかる熱硬化性樹脂の構成成分としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応性を有するフェノール樹脂等の硬化剤、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進する熱潜在性触媒が一般に用いられている。
熱潜在性触媒は、接着剤の硬化温度及び硬化速度に大きな影響を及ぼすことが知られている。そこで、室温での貯蔵安定性と加熱時の速い硬化速度とを兼ね備えた接着剤を得るために、熱潜在性触媒として種々の化合物が提案されてきた。実際の製造工程では、熱潜在性触媒を用いて、170〜250℃の温度で1〜3時間保持して熱硬化性樹脂を硬化させることにより所望の接着を得ていた。
近年では、上述の熱硬化性樹脂と、アクリレート誘導体やメタアクリレート誘導体などのラジカル重合性化合物及びラジカル発生剤である過酸化物等とを併用した、ラジカル硬化型の接着剤フィルムも注目されている。ラジカル硬化は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、ラジカル硬化型の接着剤フィルムは短時間での硬化が可能である(例えば、特許文献2、3参照)。
特開平1−113480号公報 特開2002−203427号公報 国際公開第98/044067号パンフレット
しかし、本発明者らの検討によれば、電極としての導電体膜で被覆されたガラス基板を用いた場合、接着剤フィルムとガラス基板との接続部、すなわち接着剤フィルムとガラス基板との界面においてマイグレーションが発生し易くなっており、特に電気回路の微細部位、すなわち隣接する電極が互いに特に接近している部位においてマイグレーションが発生し易くなっていることが判明した。
そこで、本発明では、電子材料の接続部において、エレクトロマイグレーションの発生を十分に抑制できる接着剤フィルム、及びかかる接着剤フィルムを備える回路接続材料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、マイグレーションの発生は、接着剤フィルムを硬化させたときに完全に硬化していない部位や実質的に硬化していない部位、すなわち未硬化部が残存することによる、基板と接着剤フィルムとの接着力の低下に起因していることを見出した。
例えば、従来のラジカル硬化系回路接続材料からなる従来の接着剤フィルムを用いた場合、60℃、1MPa、2秒間の条件で加熱及び加圧してガラス基板上に形成されたインジウムスズ酸化物の被覆層の表面上に仮圧着された接着剤フィルムの90°ピール強度は10N/m程度であり、60℃、90%RHの高温高湿環境に100時間保持後の90°ピール強度は5N/m程度である。
一方、従来のエポキシ硬化系回路接続材料からなる従来の接着剤フィルムを用いた場合、支持体から接着剤の剥離を容易にするため、60℃、1MPa、2秒間の条件で加熱及び加圧してガラス基板上に形成されたインジウムスズ酸化物の被覆層の表面上に仮圧着された接着剤フィルムの90°ピール強度は8N/m程度であり、60℃、90%RHの高温高湿環境に100時間保持した後の90°ピール強度は20N/m程度である。なお、上述の90°ピール強度は、全て25℃、55%RH、引張り速度50mm/minの測定環境における値である。
このように90°ピール強度が低い接着剤フィルムを用いると、硬化後にも未硬化部が一部残存するためマイグレーションが発生する傾向があるが、90°ピール強度が一定値以上の接着剤フィルムを用いれば、硬化後に未硬化部が残存しないために接近した電極を有する接続体においてもマイグレーションの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、硬化性樹脂組成物からなる接着剤フィルムであって、ガラス基板上に形成されたインジウムスズ酸化物からなる被覆層の表面上に60℃、1MPa、2秒間の条件で加熱及び加圧して仮圧着されたときの25℃、55%RH、引張り速度50mm/minにおける90°ピール強度が10N/m以上であり、上記条件で加熱及び加圧して仮圧着され、さらに60℃、90%RHの高温高湿環境に100時間保持された後の上記90°ピール強度が10N/m以上である、接着剤フィルムを提供する。
本発明により、常温常湿及び高温高湿環境下においてもマイグレーションの発生が十分に抑制された接着剤フィルムを提供することができる。かかる効果が得られる理由は、90°ピール強度が所定の環境下において所定値より高い接着剤フィルムを用いて電子材料を接続した場合、接着剤フィルムの未硬化部の発生が抑制され、電子材料同士の密着性が向上することによるものと考えられる。
また、本発明の接着剤フィルムは、無機陰イオン濃度が50ppm以下であることが好ましい。これにより、上述の特性に加えて、高電界強度を有する回路に対応できる電子材料用の接着剤フィルムを得ることができる。この理由は、無機陰イオン濃度が高くなると有機物の絶縁性が低下するが、無機陰イオン濃度を低くすることによって、絶縁性を向上させることができるためである。
また、上記硬化性樹脂組成物は、フィルム形成材(A)と、ラジカル重合性化合物(B)と、ラジカル発生剤(C)と、を含むことが好ましい。これにより、上述の特性に加えて、電子材料間の接続を短時間で行うことが可能となる。この理由は、ラジカル反応は従来のエポキシ樹脂によるイオン反応より速く進行するためである。
また、上記硬化性樹脂組成物は、フィルム形成材(A)と、エポキシ樹脂(D)と、潜在性硬化剤(E)と、を含むことが好ましい。これにより、上述の特性に加えて、接着剤フィルムの硬化後の接着力を向上させることができる。この理由は、エポキシ樹脂(D)が重合すると、側鎖に極性基ができるためである。
また、上記硬化性樹脂組成物は、さらに導電性粒子(F)を含むことが好ましい。これにより、上述の特性に加えて、接着剤フィルムで電気的に接続される、複数の電子材料間の電気導電性を向上させることができる。この理由は、導電性を有する導電性粒子を接着剤フィルム中に含有させることによって、異なる電子材料に備えられる電極同士が導電性粒子によって電気的に接続されるためである。
本発明はまた、支持体と、該支持体上に設けられた上記本発明の接着剤フィルムと、を備える回路接続材料を提供する。この回路接続材料は、上記本発明の接着剤フィルムを備えるので、かかる回路接続材料を用いて形成された接続体は、マイグレーションの発生を十分に抑制することができる。
本発明によれば、電子材料の接続部において、エレクトロマイグレーションの発生を十分に抑制できる接着剤フィルム、及びかかる接着剤フィルムを備える回路接続材料を提供することができる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
本実施形態にかかる回路接続材料は、支持体と該支持体上に設けられた接着剤フィルムとを備えるものである。この接着剤フィルムは、ガラス基板上に形成されたインジウムスズ酸化物からなる被覆層の表面上に60℃、1MPaで2秒間加熱及び加圧して仮圧着されたときの25℃、55%RH、引張り速度50mm/minにおける90°ピール強度が10N/m以上である。なお、かかる90°ピール強度は、通常回路接続材料の支持体を剥離してから、1時間以内に測定される。
この90°ピール強度は、10〜500N/mであることが好ましく、20〜500N/mであることがより好ましく、50〜200N/mであることが更に好ましい。90°ピール強度が10N/m未満の場合、電極間に電位差が存在するときにマイグレーションが発生し易くなってしまう傾向があり、500N/mを超えるとリペアがしにくくなってしまう傾向がある。ここで、リペアとは、一旦接着剤フィルムで接続された接続体を剥離して、接続体を構成する電子材料の電極付近に残存する接着剤残渣を有機溶剤で除去した後、再度接続して接続体とすることをいう。
また、本実施形態の接着剤フィルムは、温度60℃、90%RHの高温高湿環境に100時間保持した後の25℃、55%RH、引張り速度50mm/minにおける90°ピール強度が10N/m以上である。なお、接着剤フィルム表面に支持体が設けられている場合は、支持体を剥離した後に上記の高温高湿環境に保持して90°ピール強度測定を行う。
上述の高温高湿環境に保持後の90°ピール強度は、10〜500N/mであることが好ましく、20〜500N/mであることがより好ましく、50〜200N/mであることが更に好ましい。この90°ピール強度が10N/m未満の場合、高温高湿環境下において電極間に電位差が存在するときにマイグレーションが発生し易くなってしまう傾向があり、500N/mを超えるとリペアがしにくくなってしまう傾向がある。
すなわち、本実施形態の接着剤フィルムは、硬化前において、高温高湿環境保持前及び高温高湿環境保持後の90°ピール強度が、10N/m以上であることを特徴とするものである。
なお、硬化前の接着剤フィルムとは、接着剤フィルム作製後に、その構成成分の急激な化学変化が発生しておらず、加熱または活性光線の照射または超音波など外部エネルギーの供給によって硬化反応していないものをいう。すなわち、示差熱分析装置(DSC)で測定される発熱量が、10J/g以下のものをいう。
本実施形態の接着剤フィルムの90°ピール強度の測定方法を、以下に説明する。
図1は、本実施形態の接着剤フィルムを用いて作製された、90°ピール強度測定用の試料を模式的に示す断面図である。図2は、90°ピール強度測定用の試料を用いて90°ピール強度を測定する方法を模式的に示す断面図である。
まず、ピール強度測定用の試料を以下の通り作製する。所定のサイズに切り出した回路接続材料の接着剤フィルムを、ガラス基板上にITOからなる被覆層が形成されたITO被覆ガラス基板1に向けて、回路接続材料をITO被覆ガラス基板1の表面上に60℃、1MPa、2秒間の条件で加熱及び加圧して仮圧着する。なお、ここで用いるITO被覆ガラス基板1は、通常の市販品を用いることができる。
仮圧着した回路接続材料から接着剤フィルム2を残して支持体を剥離し、この接着剤フィルム2を覆い被せるようにして、所定のサイズに切り出した粘着テープ3を接着剤フィルム2のITO被覆ガラス基板1との接触面とは反対側の面に貼り付けることによって、ピール強度測定用の試料を得ることができる(図1参照)。
次に、該試料のITO被覆ガラス基板1の接着剤フィルム2が仮圧着された面とは反対側の面を土台に固定し、25℃、55%RHの環境下、接着剤フィルム2に貼り付けられたポリイミド粘着テープ3を引張り試験機で50mm/minの試験速度で図2の矢印の方向(接着剤フィルム2とITO被覆ガラス基板1の界面に対して直交する方向)に引っ張ることによって、90°ピール強度を測定することができる(図2参照)。
本実施形態の接着剤フィルムを、所定温度及び所定湿度の高温高湿環境で所定時間保持するため設備としては、例えば公知の恒温恒湿槽を用いることができる。なお、高温高湿環境に保持した後の90°ピール強度は、回路接続材料から支持体を剥離して得られた接着剤フィルム2を60℃、90%RHの恒温恒湿槽中に100時間放置した後、室温まで冷却し、25℃、55%RHの環境下、接着剤フィルム2に貼り付けられたポリイミド粘着テープ3を引張り試験機で50mm/minの試験速度で図2の矢印の方向(接着剤フィルム2とITO被覆ガラス基板1の界面に対して直交する方向)に引っ張ることによって得られる。
本実施形態の接着剤フィルムは、無機陰イオン濃度が50ppm以下であることが好ましく、20ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。なお、硬化前の接着剤フィルム及び硬化後の接着剤フィルムを用いて測定される両方の無機陰イオン濃度が、上述の上限値以下であることが特に好ましい。
無機陰イオン濃度は、硬化前又は硬化後の接着剤フィルムを水中に浸漬し、100℃に加熱して一定時間保持し、無機陰イオンを抽出して、抽出物を含有する水をイオンクロマトグラフで分析することによって測定することができる。なお、無機陰イオン濃度の測定において、無機陰イオンの抽出時に有機物が分解され、有機陰イオンが検出されることもあるが、有機陰イオンの値とマイグレーションの発生し易さとは関係ないと考えられる。
なお、硬化後の接着剤フィルムとは、加熱、活性光線の照射または超音波など外部エネルギーの供給によって接着剤フィルムの構成成分の化学変化が発生して、硬化反応が終わったものをいう。すなわち、示差熱分析装置(DSC)で測定される発熱量が、40J/g以上のものをいう。
本実施形態の接着剤フィルムを形成する硬化性樹脂組成物は、フィルム形成材(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル発生剤(C)を含むことが好ましい。
フィルム形成材(A)とは、液状の樹脂組成物を固形化する作用を有するポリマーである。フィルム形成材(A)を樹脂組成物に含有させることによって、接着剤組成物をフィルム形状とし通常の状態でフィルムとして取扱いをすることが可能となり、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりすることのない、フィルムとしての取扱いが容易なフィルムを得ることができる。フィルム形成材(A)、すなわち(A)成分としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
上述の(A)成分のうち、優れた接着性、相溶性、耐熱性、機械強度を有する観点から、フェノキシ樹脂が好ましい。フェノキシ樹脂は、2官能フェノール類とエピハロヒドリンとを高分子量になるまで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類とを重付加反応させることにより得られる。具体的には、2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015モルとを、アルカリ金属水酸化物等の触媒の存在下において、非反応性溶媒中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。
フェノキシ樹脂を得る重付加反応は、接着剤フィルムの機械的特性及び熱的特性を良好にする観点から、2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類との配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1として行うことが好ましい。また、この重付加反応は、アルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下、沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中において原料固形分を50質量部以下とし、50〜200℃に加熱して行うことが好ましい。
2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、メチル置換ビフェニルジグリシジルエーテルなどが挙げられる。2官能フェノール類としては、2個のフェノール性水酸基を有するもの、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、メチル置換ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシビフェニル、メチル置換ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類などが挙げられる。
なお、フェノキシ樹脂はラジカル重合性の官能基や、その他の反応性化合物によって変性されていてもよい。上述の種々のフェノキシ樹脂を、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)成分の配合量は、(A)成分とラジカル重合性化合物(B)成分との合計100質量部に対して、40〜60質量部とすることが好ましい。該配合量が40質量部未満の場合、接着剤フィルムが保管中に変形する傾向があり、60質量部を超える場合、圧着する際の流動性が低下する傾向がある。
ラジカル重合性化合物(B)、すなわち(B)成分とは、ラジカルによって重合する官能基を有する物質であり、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物、スチレン誘導体等が挙げられる。(B)成分は、モノマー及びオリゴマーの一方又は双方を用いることができる。
アクリレート及びメタクリレートの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンチニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ウレタンアクリレート類、これらのアクリレートに対応するメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、接着剤フィルムの耐熱性を向上する観点から、アクリレート及びメタクリレートは、ジシクロペンチニル基、トリシクロデカニル基及びトリアジン環からなる群より選択される少なくとも一つを有することが好ましい。また、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を併せて用いてもよい。
マレイミド化合物の具体例としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロへキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロへキシル)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)へキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分として、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリロニトリルのうち、少なくとも一つをモノマー成分とした重合体又は共重合体を含有することができる。なお、応力緩和に優れた接着剤フィルムを得る観点から、これらの重合体又は共重合体とグリシジルエーテル基を含有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムとを併用することが好ましい。
(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、40〜60質量部とすることが好ましい。該配合量が40質量部未満の場合、接着剤フィルムが硬化不足になる傾向があり、60質量部を超える場合、接着剤フィルムを用いて形成された接続構造体の反りが大きくなり、接続信頼性が低下する傾向がある。
ラジカル発生剤(C)、すなわち(C)成分とは、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等に応じて適宜選定される。接着剤フィルムの反応性とポットライフを向上させる観点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ましい。
(C)成分の具体例としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどが挙げられる。(C)成分は、回路接続材料の回路電極の腐食を押さえるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましい。このため、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドが好ましく、このうち、反応性向上の観点から、パーオキシエステル、パーオキシケタールがより好ましい。上記硬化剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルへキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、t−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
シリルパーオキサイドとしては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
上述の種々の(C)成分は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができ、さらに分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。なお、可使時間を延長するためには、ラジカル発生剤(C)をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化することが好ましい。
(C)成分の配合量は、接着剤フィルムの硬化反応において、十分な反応率により接続時間を短時間(10秒以下)とする観点から、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部とすることが好ましく、1〜20質量部とすることがより好ましく、1〜5質量部とすることがさらに好ましい。(C)成分の配合量が0.1質量部未満では、十分な反応率を得ることができず、良好な接着強度や小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。(C)成分の配合量が30質量部を超えると、接着剤フィルムの流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、接着剤組成物のポットライフが短くなる傾向にある。
本実施形態の接着剤フィルムを形成する硬化性樹脂組成物は、フィルム形成材(A)、エポキシ樹脂(D)、潜在性硬化剤(E)を含むことが好ましい。この場合、フィルム形成材(A)の配合量は、フィルム形成材(A)とエポキシ樹脂(D)との合計100質量部に対して、50〜90質量部とすることが好ましい。該配合量が50質量部未満の場合、保管する際に接着剤フィルムが変形する傾向があり、90質量部を超える場合、圧着する際に流動性が低下する傾向がある。
エポキシ樹脂(D)、すなわち(D)成分としては、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールAD等からなる群より選択される少なくとも一種とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラック及びクレゾールノボラックの一方又は双方とから誘導されるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、並びにグリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。(D)成分は、エレクトロマイグレーション防止、すなわちマイグレーション防止の観点から、不純物イオン(Na、Cl等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。
(D)成分の配合量は、(A)成分と(D)成分との合計100質量部に対して、10〜50質量部とすることが好ましい。該配合量が10質量部未満の場合、圧着する際に流動性が低下する傾向があり、50質量部を超える場合、保管する際に接着剤フィルムが変形する傾向がある。
潜在性硬化剤(E)、すなわち(E)成分としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、アミンイミド、及びジシアンジアミド等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができ、さらに分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。なお、可使時間を延長するためには、(E)成分をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化することが好ましい。
(E)成分の配合量は、硬化反応において十分な反応率を得るため、(A)成分と(D)成分の合計100質量部に対して、0.1〜60質量部とすることが好ましく、40〜50質量部とすることがより好ましい。(E)成分の配合量が0.1質量部未満では、十分な反応率を得ることができず、良好な接着強度及び低い接続抵抗が得られ難い傾向がある。一方、(E)成分の配合量が60質量部を超えると、フィルム接着剤の流動性の低下、接続抵抗の上昇、フィルム接着剤のポットライフの短縮などが発生する傾向がある。
本実施形態の接着剤フィルムを形成する硬化性樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の全てを含んでいてもよく、さらに(E)成分を含んでいてもよい。また、本実施形態の接着剤フィルムを形成する硬化性樹脂組成物は、カップリング剤、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、難燃化剤、色素、チキソトロピック剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、及びイソシアネート類等を含有することもできる。
本実施形態の接着剤フィルムは導電性粒子(F)を含まなくても、電子材料の接続において、互いに対向する回路電極の直接接触により電気的接続が得られる。しかし、導電性粒子(F)を含有することにより、該導電性粒子の変形により回路電極の位置や高さのばらつきが吸収されること、及び接触面積が増加等されることによって、一層安定した電気的接続を得ることができる。また、導電性粒子(F)を含有することによって、回路電極表面の酸化層や不動態層を突き破っての接触が可能となる場合があり、電気的接続のより一層の安定化を図ることができる。
導電性粒子(F)、すなわち(F)成分としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン粒子等が挙げられる。導電性粒子(F)の最外層は、十分なポットライフを得る観点から、Ni、Cu等の遷移金属類ではなく、Au、Ag、白金属の貴金属類が好ましく、このうちAuがより好ましい。また、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよく、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に上述の金属等の導通層を被覆等により形成し、最外層を貴金属類としたものでもよい。(F)成分として、プラスチックに導通層を被覆等により形成した粒子又は熱溶融金属粒子を用いることが好ましい。これらの粒子は加熱及び加圧により変形性を有するので、接続時の回路電極との接触面積の増加、及び回路部材の回路端子の厚みばらつきの吸収等の作用を有するので、回路接続の信頼性を向上することができる。
導電性粒子(F)の最外層に設けられる貴金属類の被覆層の厚みは、接続される回路間の抵抗を十分低減する観点から、100Å以上であることが好ましい。ただし、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の被覆層を設ける場合、該厚みは、300Å以上であることが好ましい。この理由は、導電性粒子(F)の混合分散時に発生する貴金属類の被覆層の欠損等によりNi等の遷移金属が接着剤フィルム中に露出し、該遷移金属による酸化還元作用により遊離ラジカルが発生し、接着剤フィルムの保存安定性を低下させてしまうからである。一方、貴金属類の被覆層の厚みの上限は、特に制限はないが製造コストの観点から1μm以下であることが望ましい。
(F)成分の配合量は、接着剤フィルム中の樹脂成分100体積部に対して0.1〜30体積部とすることが好ましく、用途に応じて配合量を調製することができる。なお、(F)成分の配合量は、過剰な(F)成分による隣接回路の短絡等を防止する観点から、0.1〜20体積部とすることがより好ましい。
接着剤フィルムの厚みは、10〜40μmであることが好ましい。この厚みが10μm未満では、被着体の間の空間を完全に埋めることができず、接着力が低下する傾向があり、40μmを超えると圧着する際に樹脂が溢れ出し、周辺部品を汚す傾向がある。
回路接続材料に用いられる支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体の厚みは、20〜75μmであることが好ましい。この厚みが20μm未満では、仮圧着する際に扱い難くなる傾向があり、75μmを超えると、回路接続材料を巻くときに接着剤フィルムと支持体との間にずれが発生する傾向がある。
本実施形態にかかる回路接続材料、すなわち回路接続用接着フィルムは、接着剤成分を溶剤に溶解又は分散させて得られた混合液を、支持体上に塗布して乾燥させ、支持体上に接着剤フィルムを設けることによって得られる。なお、支持体上に接着剤フィルムを設ける他の方法としては、接着剤フィルムの構成成分を加熱して流動性を確保した後、溶剤を加えて支持体上に塗布して乾燥させる方法が挙げられる。
支持体上に設けられる接着剤フィルムは単層でもよく、組成の異なる接着剤フィルムを2層以上重ねて積層してもよい。2層以上を積層する場合には、(F)成分を含まない層(SO1)と(F)成分を含む層(SO2)とを、支持体、SO1、SO2の順に積層することが望ましいが、これに制限されるものではない。
本実施形態の接着剤フィルムは、COG(Chip On Glass)実装やCOF(Chip On Flex)実装における、フレキシブルテープやガラス基板とICチップとの異方導電性接着剤として使用することもできる。例えば、第一の接続端子を有する第一の回路部材と第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子とが対向配置されるように配置し、対向配置された第一の接続端子と第二の接続端子との間に本実施形態の接着剤フィルムを介在させた状態で加熱及び加圧して、第一の接続端子と第二の接続端子とを電気的に接続することができる。
これらの回路部材には、通常接続端子が多数(場合によっては単数でもよい)設けられている。対向配置された回路部材に設けられた接続端子の少なくとも一部を対向配置し、対向配置された接続端子間に本実施形態の接着剤フィルムを介在させた状態で、加熱及び加圧することで対向配置された接続端子同士を電気的に接続して回路板を得ることができる。対抗配置された回路部材の少なくとも一方を加熱及び加圧することにより、対向配置された接続端子同士は、直接接触により電気的に接続される。また、接着剤フィルムが(F)成分を含有する場合には、(F)成分を介した接触及び直接接触の一方又は双方により、電気的に接続される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜16、比較例1〜4)
(A)成分として、フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:YP−50)、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名:PKHC)及びポリビニルブチラール(電気化学工業社製、商品名:3000K)を準備した。(B)成分として、アクリルモノマ(東亞合成株式会社製、商品名:M−215)及びアクリルモノマ(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKオリゴUA512)を準備した。
(C)成分として、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製、商品名:パーヘキサTMH)を準備した。(D)成分として多官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:EP1032H60)及び多官能エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:EXA4850−150)を準備した。(E)成分として潜在性硬化剤(旭化成工業株式会社製、商品名:HX3941)を準備した。(F)成分として、導電粒子(積水化学株式会社製、商品名:ミクロパールAUL3μm品)を準備した。添加剤として二種類のシランカップリング剤、SZ6030及びSH6040(ともに東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、商品名)を準備した。
表1〜表3に示す(A)成分をトルエン/メチルエチルケトン=50/50の混合溶剤に溶解して、(A)成分の濃度が40質量%の溶液を作製した。この溶液に、表1〜表3に示す通り、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)成分及び添加剤を混合し攪拌して混合液を得た。なお、表1〜表3の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分、及び添加剤の値は、質量部を表す。(F)成分の値は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分の合計100体積部に対する体積部を表す。
支持体であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:38μm)上に、この混合液を塗工装置コンマコータで塗布した後、70℃で10分間熱風乾燥することによって接着剤フィルムの厚みが25μmの回路接続材料を作製した。
<90°ピール強度の測定>
作製した回路接続材料を用いて、以下の通り、90°ピール強度測定を行った(図1及び図2参照)。まず、10mm×50mmのサイズに切り出した回路接続材料を、ガラス基板上にITOからなる被覆層が形成されたITO被覆ガラス基板1(ジオマテック製、ITO厚さ:2000〜2500Å)に、回路接続材料の接着剤フィルム2をITO被覆ガラス基板1に向けて、60℃、1MPaの条件で2秒間加熱及び加圧して、回路接続材料をITO被覆ガラス基板1に仮圧着した。
仮圧着した回路接続材料から、接着剤フィルム2を残して支持体を剥離した。次に、10mm×70mmのサイズに切り出したポリイミド製の粘着テープ3(日東電工製、商品名:No.360A、全体厚さ80μm)を、接着剤フィルム2に覆い被せるようにしてゴムロール(質量2kg)を用いて貼り付けて、90°ピール強度測定用の試料を得た(図1参照)。なお、ポリイミド粘着テープ3の貼り付けの際、ポリイミド粘着テープ3にシワが入らないようにした。
該試料のITO被覆ガラス基板1の接着剤フィルム2が仮圧着された面とは反対側の面を土台に固定した。そして、接着剤フィルム2に貼り付けられたポリイミド粘着テープ3を引張り試験機(株式会社東洋製機製作所製、商品名:STROGRAPHE−S)で50mm/minの試験速度で図2の矢印の方向(接着剤フィルム2とITO被覆ガラス基板1の界面に対して直交する方向)に引っ張って接着剤フィルム2を剥離して、90°ピール強度測定を行った(図2参照)。接着剤フィルム2の剥離の際の最大荷重を、90°ピール強度とした。この90°ピール強度(60℃、90%RH保持なし)の測定結果は、表1〜表3に示す通りであった。
次に、上記と同様にして回路接続材料をITO被覆ガラス基板1に仮圧着し、仮圧着した回路接続材料から接着剤フィルム2を残して支持体を剥離した。接着剤フィルム2が仮圧着されたITO被覆ガラス基板1を60℃、90%RHに調整された恒温恒湿槽に100時間保管した。保管後、接着剤フィルム2が仮圧着されたITO被覆ガラス基板1を取り出して室温まで冷却した後、上記と同様にして90°ピール強度測定を行った。この90°ピール強度(60℃、90%RH保持後)の測定結果は、表1〜表3に示す通りであった。
<無機陰イオン濃度の測定>
作製した回路接続材料を用いて、以下の通り、無機陰イオン含量の測定を行った。まず、回路接続材料から支持体であるPETフィルムを剥離して、約0.1gの接着剤フィルムを秤量し、抽出用ルツボに入れた。
この抽出用ルツボに接着フィルムの質量の99倍の水を入れて、100℃以上の高温環境においても接着フィルムや水が出ないようにルツボを密封した。密封したルツボを100℃のオーブンに入れて10時間程度保持して抽出を行い、その後、抽出用ルツボをオーブンから取り出して室温になるまで放置した。
抽出用ルツボ中に得られた抽出液(接着フィルムに含まれていた無機陰イオンが抽出された液)をシリンジで採取し、イオンクロマトグラフ(DIONEX社製、商品名:IC20)を用いて、接着剤フィルム硬化前における接着剤フィルムの無機陰イオン濃度を測定した。測定結果は表1〜表3に示す通りであった。
次に、作製した回路接続材料から支持体を剥離し、接着剤フィルムを180℃のオーブンに1時間保管して硬化させた。硬化後の接着剤フィルムを約0.1g秤量し、抽出用ルツボに入れた。そして、上記と同様にして抽出を行い、接着フィルムの硬化後における無機陰イオン濃度を測定した。測定結果は表1〜表3に示す通りであった。
<腐食試験(マイグレーション試験)>
図3は、マイグレーション試験用の試料を模式的に示す平面図である。図4は、図3のマイグレーション試験用の試料のIV−IV線に沿った断面図である。上記の通り作製した接着剤フィルムを用いて、以下の通り、マイグレーション試験を行った。
作製した回路接続材料の接着剤フィルムを、ガラス基板4の表面にITOくし型電極パターン5が設けられた基板11(テクノプリント社製)のITOくし型電極パターン5が設けられた面に向けて、基板11の表面上に回路接続材料を65℃、1MPa、2秒間の条件で加熱及び加圧して仮圧着した。
仮圧着した回路接続材料から接着剤フィルム2を残して支持体を剥離した。接着剤フィルム2の基板11との接触面とは反対側の面上にシリコーン防湿剤6(GE東芝シリコーン製、商品名:TSE3996ホワイト)をポッティングして、マイグレーション試験用の試料を作製した(図3、4参照)。
このマイグレーション試験用の試料を、20Vの直流電圧をかけながら、温度60℃、90%RHの恒温恒湿槽に100時間放置した。その後、恒温恒湿槽から該試料を取り出し、顕微鏡で観察して腐食の判定を行った。判定基準は、マイグレーションが無いものをa、マイグレーションがわずかに有るものをb、bより多くマイグレーションが有るものをcと判定した。
次に、基板11の代わりに表4に示す基板12〜16を用いて、同様のマイグレーション試験を行った。なお、基板13及び基板15はITOのくし型電極パターンを有するものであり、基板12,基板14及び基板16はA1のくし型電極パターンを有するものである。各基板を用いた場合のマイグレーション試験の結果を表1〜表3に示す。
Figure 2008111091
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Figure 2008111091
Figure 2008111091
表1〜表3に記載されたマイグレーション試験の結果によれば、本発明の回路接続材料を用いることによって、隣接する電極が互いに接近した接続体においてもマイグレーションの発生が抑制できることが確認された。
本実施形態の接着剤フィルムを用いて作製された、90°ピール強度測定用の試料を模式的に示す断面図である。 90°ピール強度測定用の試料を用いて90°ピール強度を測定する方法を模式的に示す断面図である。 マイグレーション試験用の試料を模式的に示す平面図である。 図3のマイグレーション試験用の試料のIV−IV線に沿った断面図である。
符号の説明
1…ITO被覆ガラス基板、2…接着剤フィルム、3…粘着テープ、4…ガラス基板、5…ITOくし型電極パターン、5a…プラス電極、5b…マイナス電極、6…シリコーン防湿剤、11…基板。

Claims (6)

  1. 硬化性樹脂組成物からなる接着剤フィルムであって、
    ガラス基板上に形成されたインジウムスズ酸化物からなる被覆層の表面上に60℃、1MPa、2秒間の条件で加熱及び加圧して仮圧着されたときの25℃、55%RH、引張り速度50mm/minにおける90°ピール強度が10N/m以上であり、
    前記条件で加熱及び加圧して仮圧着され、さらに60℃、90%RHの高温高湿環境に100時間保持された後の前記90°ピール強度が10N/m以上である、接着剤フィルム。
  2. 無機陰イオン濃度が50ppm以下である、請求項1記載の接着剤フィルム。
  3. 前記硬化性樹脂組成物が、フィルム形成材(A)と、ラジカル重合性化合物(B)と、ラジカル発生剤(C)と、を含む、請求項1又は2記載の接着剤フィルム。
  4. 前記硬化性樹脂組成物が、フィルム形成材(A)と、エポキシ樹脂(D)と、潜在性硬化剤(E)と、を含む、請求項1又は2記載の接着剤フィルム。
  5. 前記硬化性樹脂組成物が、さらに導電性粒子(F)を含む、請求項3又は4記載の接着剤フィルム。
  6. 支持体と、前記支持体上に設けられた請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤フィルムと、を備える回路接続材料。
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