JP3975746B2 - 回路接続材料及びそれを用いた回路接続体の製造方法 - Google Patents

回路接続材料及びそれを用いた回路接続体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路接続材料及びそれを用いた回路接続体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
相対する多数の電極を有する被接続部材を接続するための接続材料として、回路接続材料(以下、ACFという)が使用されている。このACFはプリント配線基板、LCD用ガラス基板、フレキシブルプリント基板等の基板や、IC、LSI等の半導体素子やパッケージなどの被接続部材を接続する際、相対する電極同士の導通状態を保ち、隣接する電極同士の絶縁を保つように電気的接続と機械的固着を行う接続材料である。
【0003】
このようなACFの多くは熱硬化性樹脂を含有する接着剤成分と、必要により配合される導電性粒子とを含むフィルム状に形成されており、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の支持体に積層した状態で製品化されている。そして使用に際しては、ACFを被接続部材に転写して仮圧着後、支持体を剥離して熱圧着を行い、熱硬化性樹脂を硬化させて部材間の機械的固着を得るとともに、対向する電極間を直接または導電性粒子を介して接触させて電気的接続を得る。
【0004】
このような製品としてのACFはまず、PETフィルム等の支持体上にACFを幅10〜50cm、長さ10〜100m程度に形成して一旦巻き取り(これを原反と呼ぶ)、この原反を巻きだしカッターの刃などを用いて連続的に幅1〜5mm程度の細幅に裁断して再度巻き取り(スリット工程と呼ぶ)実際の製品として供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スリット工程を行うとACFと支持体の界面から接着剤が剥離してしまい、量産時の歩留まりが低下してしまう問題点があった。また、スリット性を向上させるためにACFの構成材料の組成や種類を変更するとACFそのものの重要な特性である接着強度や回路接続体の電気抵抗が上昇してしまう不具合が発生し、両者を両立させることがしばしば困難であった。
本発明はスリット時に接着剤と支持体の界面から接着剤が剥離することを効果的に抑制し、量産時の歩留まりを飛躍的に向上できるとともに、回路接続体の電気抵抗の上昇が起こりにくく、接着強度も低下しにくい回路接続材料を提供するものである。
【0006】
われわれは上記課題を鋭意検討した結果、硬化前の接着剤の引張破壊強さと引張破壊伸びと、硬化後の接着剤のガラス転移温度(Tg)とを制御することで、スリット性と接着強度や回路接続体の電気抵抗を同時に満足できることを発見し、本発明に至った。請求項1に記載の発明は、フィルム状の支持体と、前記支持体に積層された接着剤とを備え、支持体は、接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続するに際し、接着剤から剥離されるものであり、接着剤は、硬化前の引張破壊強さが0.1〜5N/mmであり且つ硬化前の引張破壊伸びが50〜600%であると共に、硬化後のガラス転移温度が80〜200℃であることを特徴とする回路接続材料であり、製造時のスリット歩留まりが高く、さらに回路接続体の電気抵抗の上昇が起こりにくく、接着強度も低下しにくい回路接続材料を提供するものである。
請求項2に記載の発明は、接着剤が、フィルム形成材(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル発生剤(C)を含む請求項1に記載の回路接続材料であり、請求項1に記載の発明に加えて、特に短時間での接着性に優れる回路接続材料を提供するものである。
請求項3に記載の発明は、接着剤が、フィルム形成材(A)、エポキシ樹脂(D)、潜在性硬化剤(E)を含む請求項1に記載の回路接続材料であり、請求項1に記載の発明に加えて、特に接着後の接着強度の低下が抑制された回路接続材料を提供するものである。
請求項4に記載の発明は、接着剤が、さらに、導電性粒子(F)を含む請求項1〜3のいずれかに一項に記載の回路接続材料であり、請求項1〜3のいずれかに記載の発明に加えて、回路を接続した際の接続抵抗が格段に低い回路接続材料を提供するものである。
請求項5に記載の発明は、フィルム状の支持体と、この支持体に積層された接着剤とを備え、硬化前の接着剤の引張破壊強さが0.1〜5N/mmであり且つ硬化前の接着剤の引張破壊伸びが50〜600%であると共に、硬化後の接着剤のガラス転移温度が80〜200℃である回路接続材料を用いて、相対向する電極間が電気的に接続された回路接続体を製造する方法であって、支持体を接着剤から剥離して、接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する、回路接続体の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フィルム状の支持体と、前記支持体に積層された接着剤とを備え、支持体は、接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続するに際し、接着剤から剥離されるものであり、接着剤は、硬化前の引張破壊強さが0.1〜5N/mmであり且つ硬化前の引張破壊伸びが50〜600%であると共に、硬化後のガラス転移温度が80〜200℃であることを特徴とする回路接続材料に関する。また、本発明は、接着剤がフィルム形成材(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル発生剤(C)を含む回路接続材料に関する。また、本発明は、接着剤がフィルム形成材(A)、エポキシ樹脂(D)、潜在性硬化剤(E)を含む回路接続材料に関する。また、本発明はさらに、接着剤が導電性粒子(F)を含む回路接続材料に関する。また、本発明はフィルム状の接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間が電気的に接続された回路接続体の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の回路接続材料とは、相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続することができる接着剤材料を指し、好ましくは、フィルム状の形態である。
本発明の硬化前の回路接続材料とは、室温(20〜25℃)や冷蔵保管している際には、急激な化学変化は起こさないが、加熱または活性光線の照射または超音波など外部エネルギーの供給によって、硬化反応しうる状態の回路接続材料である。
本発明の硬化前の回路接続材料の引張破壊強さ及び引張破壊伸びは、JIS K7127−1989に基づき、試験速度は毎分200mm±20mmで測定できる。
本発明の硬化前の回路接続材料の引張破壊強さは0.1〜5N/mmであることが望ましく、0.3〜4.5N/mmであることがさらに望ましく、0.5〜4N/mmであることが最も望ましい。
硬化前の回路接続材料の引張破壊強さが0.1N/mm未満の場合、回路接続材料の性能が低く、回路接続体の電気抵抗の上昇や接着強度が低下する傾向があり、一方、5N/mmを超える場合、スリット時に回路接続材料が支持体フィルムから剥離する傾向がある。
本発明の硬化前の回路接続材料の引張破壊伸びは50〜600%であることが望ましく、70〜550%であることがさらに望ましく、100〜500%であることが最も望ましい。
硬化前の回路接続材料の引張破壊伸びが50%未満の場合、スリット時に回路接続材料が支持体フィルムから剥離する傾向があり、一方、600%を超える場合、回路接続材料の性能が低く、回路接続体の電気抵抗の上昇や接着強度が低下する傾向がある。
【0009】
本発明の硬化後の回路接続材料とは、硬化前の回路接続材料に、加熱または活性光線の照射または超音波など外部エネルギーの供給を行い硬化反応させたものである。硬化反応を進行させる条件は回路接続材料をDSC測定することにより、観察された発熱ピークの終了温度から容易に見つけることができる。
本発明の硬化後の回路接続材料の反応率は、硬化前の回路接続材料のDSCでの発熱量を100%とした場合、20%以下、すなわち反応率は80%以上を指す。
硬化後の回路接続材料のTg(ガラス転移温度)は、DMA(動的粘弾性測定装置、Dynamic Mechanical Analyzer)測定を行うことでそのtanδピーク温度として測定することができる。
本発明の硬化後の回路接続材料のTgは、80〜200℃であることが望ましく、90〜180℃であることがさらに望ましく、100〜160℃であることが最も望ましい。硬化前の回路接続材料のTgが、80℃未満の場合、回路接続材料の性能が低く、回路接続体の電気抵抗の上昇や接着強度が低下する傾向があり、一方、200℃を超える場合、スリット時に回路接続材料が支持体フィルムから剥離する傾向がある。
【0010】
本発明の回路接続材料は、フィルム形成材(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル発生剤(C)を必須として含むものが好ましい。
フィルム形成材(A)しては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。フィルム形成材とは、液状物を固形化し、構成組成物をフィルム形状とした場合に、そのフィルムの取扱いが容易で、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりしない機械特性等を付与するものであり、通常の状態でフィルムとしての取扱いができるものである。フィルム形成材(A)の中でも接着性、相溶性、耐熱性、機械強度に優れることからフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂は、2官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより得られる樹脂である。具体的には、2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015モルとをアルカリ金属水酸化物等の触媒の存在下において非反応性溶媒中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、樹脂の機械的特性や熱的特性の点からは、特に2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1としアルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で反応固形分が50重量部以下で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、メチル置換ビフェニルジグリシジルエーテルなどが挙げられる。2官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基を持つもので、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、メチル置換ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシビフェニル、メチル置換ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類などが挙げられる。フェノキシ樹脂はラジカル重合性の官能基や、その他の反応性化合物により変性されていてもよい。フェノキシ樹脂は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0011】
本発明で使用するラジカル重合性化合物(B)、としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物、スチレン誘導体等が挙げられる。ラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。アクリレート(メタクリレート)の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンチニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ウレタンアクリレート類、これらのアクリレートに対応するメタクリレート等が挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができ、必要によってはハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。また、ジシクロペンチニル基及び/又はトリシクロデカニル基および/またはトリアジン環を有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
【0012】
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロへキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロへキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)へキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
【0013】
本発明の回路接続材料には、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリロニトリルのうち少なくとも一つをモノマー成分とした重合体又は共重合体を使用することもでき、グリシジルエーテル基を含有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムを併用した場合、応力緩和に優れるので好ましい。これらアクリルゴムの分子量(重量平均)は回路接続材料の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。
【0014】
本発明の回路接続材料には、さらに、カップリング剤、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、難燃化剤、色素、チキソトロピック剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
【0015】
本発明で使用するラジカル発生剤(C)としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定されるが、高反応性とポットライフの点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ましい。接続時間を10秒以下とした場合、ラジカル発生剤(C)の配合量は、充分な反応率を得るためにラジカル重合性化合物(B)とフィルム形成材(A)の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部とするのが好ましく1〜20重量部がより好ましい。ラジカル発生剤(C)の配合量が0.1重量部未満では、充分な反応率を得ることができず良好な接着強度や小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。ラジカル発生剤(C)の配合量が、30重量部を超えると、回路接続材料の流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、接着剤組成物のポットライフが短くなる傾向にある。
【0016】
ラジカル発生剤(C)の具体例としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定できる。また、回路接続材料の回路電極の腐食を押さえるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましい。具体的には、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドから選定され、高反応性が得られるパーオキシエステル、パーオキシケタールから選定されることがより好ましい。上記硬化剤は、適宜混合して用いることができる。
【0017】
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニツクパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0018】
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルへキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
【0019】
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、t−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0020】
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0021】
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0022】
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0023】
シリルパーオキサイドとしては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
【0024】
これらの加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、単独又は混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0025】
また、本発明の回路接続材料は、フィルム形成材(A)、エポキシ樹脂(D)、潜在性硬化剤(E)を必須として含むものが好ましい。
本発明で使用するエポキシ樹脂(D)としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂やナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独にあるいは2種以上を混合して用いることが可能である。これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na+、Cl-等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがエレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0026】
本発明で使用する潜在性硬化剤(E)としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、アミンイミド、ジシアンジアミド等が挙げられる。これらは、単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。潜在性硬化剤(E)の配合量は充分な反応率を得るために、フィルム形成材(A)とエポキシ樹脂(D)の合計100重量部に対して、0.1〜60重量部とするのが好ましく1〜20重量部がより好ましい。潜在性硬化剤(E)の配合量が0.1重量部未満では、充分な反応率を得ることができず良好な接着強度や小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。潜在性硬化剤(E)の配合量が60重量部を超えると、回路接続材料の流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、回路接続材料のポットライフが短くなる傾向にある。
【0027】
本発明の回路接続材料は導電性粒子(F)が無くても、接続時に相対向する回路電極の直接接触により接続が得られるが、導電性粒子(F)を含有した場合、導電性粒子の変形により回路電極の高さばらつきを吸収したり、接触面積が増えることにより、また、回路電極表面の酸化層や不動態層を突き破り接触することにより安定した接続が得られる。
導電性粒子(F)としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cu等の遷移金属類ではなくAu、Ag、白金属の貴金属類が好ましくAuがより好ましい。また、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成し最外層を貴金属類としたものでもよい。プラスチックに導通層を被覆等により形成した場合や熱溶融金属粒子の揚合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し、回路接続材料の回路電極の厚みばらつきを吸収し信頼性が向上するので好ましい。貴金属類の被覆層の厚みは良好な抵抗を得るためには、100オングストローム以上が好ましい。しかし、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の層をもうける場合では、貴金属類層の欠損や導電性粒子(F)の混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し保存性低下を引き起こすため、300オングストローム以上が好ましい。そして、厚くなるとそれらの効果が飽和してくるので最大1μmにするのが望ましいが制限するものではない。導電性粒子(F)は、回路接続材料樹脂成分(すなわち、フィルム形成材(A)、エポキシ樹脂(D)、潜在性硬化剤(E)の合計や、フィルム形成材(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル発生剤(C)の合計)100体積部に対して0.1〜30体積部の範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子(F)による隣接回路の短絡等を防止するためには0.1〜10体積部とするのがより好ましい。
【0028】
本発明の回路接続材料は、COG(チップ・オン・グラス)実装やCOF(チップ・オン・フィルム)実装における、フレキシブルテープやガラス基板とICチップとの回路接続材料として使用することもできる。すなわち、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させることができる。
これらの回路部材には接続端子が通常は多数(場合によっては単数でもよい)設けられており、前記回路部材の少なくとも1組をそれらの回路部材に設けられた接続端子の少なくとも一部を対向配置し、対向配置した接続端子間に本発明の回路接続材料を介在させ、加熱加圧することで対向配置した接続端子同士を電気的に接続して回路板とする。回路部材の少なくとも1組を加熱加圧することにより、対向配置した接続端子同士は、直接接触により又は回路接続材料中の導電性粒子(F)を介して電気的に接続することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(合成実験例1) フィルム形成材(A)の合成
フェノキシ樹脂(Ph−1)の合成
4,4-(9-フルオレニリデン)-ジフェノール 45g、3,3',5,5'-テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル 50gをN-メチルピロリジオン1000mlに溶解し、これに炭酸カリウム21gを加え、110℃で攪拌した。3時間攪拌後、多量のメタノールに滴下し、生成した沈殿物をろ取してフェノキシ樹脂(Ph−1)75gを得た。分子量を東ソー株式会社製GPC8020、カラムは東ソー株式会社製TSKgelG3000HXLとTSKgelG4000HXL、流速1.0ml/minで測定した結果、ポリスチレン換算でMn=12,500、Mw=30,300、Mw・/Mn=2.42であった。
【0030】
(合成実験例2) フィルム形成材(A)の合成
フェノキシ樹脂(Ph−2)の合成
窒素導入管、温度計、冷却管およびメカニカルスターラーを取り付けた2リットルの四つ口フラスコに、テトラブロモビスフェノールA(FG−2000、帝人化成株式会社製商品名)333.83g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−8125、分子蒸留品、エポキシ当量172g/当量,東都化成株式会社製商品名)205.56gおよびN,N−ジメチルアセトアミド1257gを入れ、窒素雰囲気下、均一になるまで撹拌混合した。次に、水酸化リチウム0.94gを添加し、温度を徐々に上げながら120℃で9時間反応させた。反応の追跡は、一定時間ごとに反応溶液の粘度を測定し、粘度が増加しなくなるまで反応を行った。反応終了後、反応溶液を放冷し、これに活性アルミナ(200メッシュ)約420gを加えて一晩放置した。活性アルミナを濾過して、フェノキシ樹脂のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を得た。次いで、窒素導入管、温度計、冷却管およびメカニカルスターラーを取り付けた1リットルの四つ口フラスコに、得られたフェノキシ樹脂のN,N−ジメチルアセトアミド溶液807.62g、末端カルボキシル基含有ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(Hycar CTBNX1009−SP,宇部興産株式会社製商品名)50.88gを入れ、撹拌混合しながら充分に窒素置換した。次に、窒素雰囲気下で撹拌混合し、温度を徐々に上げながら溶剤が還流する状態で8.5時間加熱した。冷却後、多量のメタノールに滴下し、生成した沈殿物をろ取してフェノキシ樹脂(Ph−2)470gを得た。
【0031】
(実施例1) 硬化前の回路接続材料(#1)の作製
フィルム形成材(A)として、フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100重量部と、フェノキシ樹脂(Ph−2)(Ph−2/メチルエチルケトン=50/50重量部)溶液20重量部と、ラジカル重合性化合物(B)として、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(M−215、東亞合成株式会社製商品名)30重量部と、ウレタンアクリレート(NKオリゴUA512、新中村化学工業株式会社製商品名)15重量部と、ラジカル発生剤(C)として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日本油脂株式会社製商品名)5重量部、導電性粒子(F)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、さらにシランカップリング剤である、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを10重量部と、メチルエチルケトンの1重量%水溶液10重量部を混合し、混合液(SS1)を作製した。これを、厚み50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗工し、70℃、5分間乾燥させて、膜厚25μmの硬化前の回路接続材料(#1)を得た。
【0032】
(実施例2) 硬化前の回路接続材料(#2)の作製
フィルム形成材(A)として、フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100重量部と、エポキシ樹脂(D)と潜在性硬化剤(E)の混合物としてマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(HX3941HP、旭化成工業株式会社製商品名、エポキシ当量185)60重量部、導電性粒子(F)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、さらにシランカップリング剤である、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを10重量部と、メチルエチルケトンの1重量%水溶液10重量部を混合し混合液(SS2)を作製した。これを、厚み50μmのPETフィルム上に塗工し、70℃、5分間乾燥させて、膜厚25μmの硬化前の回路接続材料(#2)を得た。
【0033】
(実施例3) 硬化前の回路接続材料(#3)の作製
ウレタンアクリレート(NKオリゴUA512、新中村化学工業株式会社製商品名)15重量部を20重量部とし、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを10重量部を5重量部とした以外は実施例1と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#3)を得た。
【0034】
(実施例4) 硬化前の回路接続材料(#4)の作製
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを10重量部を5重量部とした以外は実施例2と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#4)を得た。
【0035】
(比較例1) 硬化前の回路接続材料(#1’)の作製
フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100重量部を110重量部とし、フェノキシ樹脂(Ph−2)(Ph−2/メチルエチルケトン=50/50重量部)溶液20重量部を30重量部とした以外は実施例1と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#1’)を得た。
【0036】
(比較例2) 硬化前の回路接続材料(#2’)の作製
フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100重量部の代わりにビスフェノールA型フェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイド社製商品名、重量平均分子量45000)の、PKHC/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部の混合溶液を50重量部とし、フェノキシ樹脂(Ph−2)(Ph−2/メチルエチルケトン=50/50重量部)溶液20重量部を50重量部とし、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(M−215、東亞合成株式会社製商品名)30重量部を20重量部とした以外は実施例3と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#2’)を得た。
【0037】
(比較例3) 硬化前の回路接続材料(#3’)の作製
フェノキシ樹脂(Ph−1)を用いず、フェノキシ樹脂(Ph−2)(Ph−2/メチルエチルケトン=50/50重量部)溶液20重量部を100重量部とし、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(M−215、東亞合成株式会社製商品名)30重量部を50重量部とし、ウレタンアクリレート(NKオリゴUA512、新中村化学工業株式会社製商品名)を用いなかった以外は実施例3と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#3’)を得た。
【0038】
(比較例4) 硬化前の回路接続材料(#4’)の作製
フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100重量部を80重量部とし、フェノキシ樹脂(Ph−2)(Ph−2/メチルエチルケトン=50/50重量部)溶液20重量部を16重量部とし、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(M−215、東亞合成株式会社製商品名)30重量部を35重量部とした以外は実施例3と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#4’)を得た。
【0039】
(比較例5) 硬化前の回路接続材料(#5’)の作製
エポキシ樹脂(D)と潜在性硬化剤(E)の混合物としてマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(HX3941HP、旭化成工業株式会社製商品名、エポキシ当量185)60重量部を25重量部とした以外は実施例4と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#5’)を得た。
【0040】
(比較例6) 硬化前の回路接続材料(#6’)の作製
フィルム形成材(A)として、フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100重量部の代わりに2,6−ジメチル−p−フェニレンオキサイド(PPO、アルドリッチ社製)の20重量%トルエン溶液300重量部を用いた以外は比較例5と同様に操作して硬化前の回路接続材料(#6’)を得た。
【0041】
(硬化前の回路接続材料の引張破壊強さと引張破壊伸びの測定)
JIS K7127−1989に基づき測定した。実施例1〜4、比較例1〜6で得られた硬化前の回路接続材料を幅10mm、長さ50mmの長方形型(1号型試験片)に切断し、これを5個作製した。厚み50μmのPETフィルムをはがしてからSTROGRAPH E‐S(東洋精機株式会社製商品名)を用いて、25℃中で標線間距離20mm、つかみ具間距離30mm、引張り速度毎分200mm±20mmで測定し、5個の平均値から、引張破壊強さ(N/mm)、引張破壊伸びを算出した。測定結果を纏めて表1に示した。
【0042】
(硬化後の回路接続材料のTg測定)
実施例1〜4、比較例1〜6で得られた硬化前の回路接続材料を幅5mm、長さ40mmの長方形型に切断した。このフィルムを、熱風乾燥機を用いて170℃で2時間加熱して、硬化後の回路接続材料を作製した。厚み50μmのPETフィルムをはがしてからDMA測定装置(RSA II、Rheometrics社製商品名)で粘弾性スペクトルを測定し、tanδピークの値をTgとした。測定結果を纏めて表1に示した。
【0043】
(硬化前の回路接続材料のスリット実験)
実施例1〜4、比較例1〜6で得られた硬化前の回路接続材料を長さ10m、幅20mmに切り取り、幅2.0mmに等間隔で9本並べたカッターの刃を用いて1m/分で硬化前の回路接続材料をカッターの刃面に向かって移動させてスリットした。スリット後の、硬化前の回路接続材料のスリット面を目視で観察し、10本すべてでPETフィルムと回路接続材料が密着している場合を○、PETフィルムと回路接続材料が一部でも剥離する場合を×とした。測定結果を纏めて表1に示した。
【0044】
(回路の接続-1)
バンプ面積50μm×50μm、ピッチ100μm、高さ20μmの金バンプを配置したICチップと厚み1.1mmのガラス上にインジュウム−錫酸化物(ITO)を蒸着により形成したITO基板(表面抵抗、≦20Ω/□)とを、上記のスリットされた回路接続材料を用い、石英ガラスと加圧ヘッドで挟み、200℃、100MPa(バンプ面積換算)で10秒間加熱加圧して接続した。このとき、回路接続材料はあらかじめITO基板上に、回路接続材料(#1、#3、#1’〜#4’)の接着面を70℃、0.5MPa(バンプ面積換算)で5秒間加熱加圧して貼り付け、その後、PETフィルムを剥離してICチップと接続した。この回路接続体を回路接続材料1種類に対して10個ずつ作製した。
【0045】
(回路の接続-2)
回路接続材料(#2、#4、#5’、#6’)を用いた場合には220℃、100MPa(バンプ面積換算)、5秒間で接続した。それ以外は回路の接続-1と同様に操作した。
【0046】
(接続信頼性測定方法)
接続信頼性測定用サンプルの接続直後の接続抵抗と、耐湿試験(85℃、85%RH)に500時間放置後の接続抵抗を四端子法で測定した。10サンプルの接続抵抗(Ω)を測定し、その平均値で示した。また、10サンプルのうち1つでも接続抵抗が測定できないものをOPEN不良とした。その結果を纏めて表1に示した。
【0047】
(接着強度測定方法-1)
金めっきバンプ(50μm×50μm、バンプ高さ15μm、スペース10μm)付きICチップ(1.0mm×10mm×0.55mm)と0.7mm厚のガラスとを上述した回路接続材料(#1、#3、#1’〜#4’)をそれぞれ介在させて、200℃、100MPa(バンプ面積換算)、3秒間で接続した後、ボンドテスタ(Dyge社製)を用いて、ボンディング直後と耐湿試験168時間後のせん断接着強度を測定し、10サンプルの平均値を纏めて表1に示した。
【0048】
(接着強度測定方法-2)
回路接続材料(#2、#4、#5’、#6’)を用いた場合には、220℃、100MPa(バンプ面積換算)、5秒間で接続した。それ以外は接着強度測定方法-1と同様に操作し、その測定結果を表1に示した。
【0049】
(耐湿後の外観検査)
上述した接続信頼性測定用サンプルの耐湿試験後の接続面を金属顕微鏡で観察した。作製した10サンプルのうち、剥離の起きていないものを○とし、剥離が観察されたものを×とし、それぞれのサンプル数を表1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 0003975746
【0051】
本発明の回路接続材料において、硬化前の回路接続材料の引張破壊強さが0.1〜5N/mmでかつ引張破壊伸びが50〜600%であり、硬化後の回路接続材料のTgが80〜200℃である実施例1〜4では、回路接続材料のスリット性が良好であり、さらに全サンプルで良好な接続抵抗を示し、かつ接着強度も高く、さらに耐湿試験後でもその接着強度は低下せず、耐湿試験後の接着面の外観も良好であった。
一方、硬化前の回路接続材料の引張破壊強さが5N/mmを超える、または引張破壊伸びが50%未満または、硬化後の回路接続材料のTgが200℃を超える比較例1,5,6ではスリット性が悪く、硬化前の回路接続材料の引張破壊強さが0.1N/mm未満または、引張破壊伸びが600%を超える、または硬化後の回路接続材料のTgが80℃未満である比較例2〜4では特に耐湿試験後の接続抵抗が悪化し、一部のサンプルで耐湿試験後の接着面の外観が悪化した。
【0052】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、製造時のスリット歩留まりが高く、さらに回路接続体の電気抵抗の上昇が起こりにくく、接着強度も低下しにくい回路接続材料を提供することができる。
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明に加えて、特に短時間での接着性に優れる接着剤を提供することができる。
請求項3に記載の発明は請求項1記載の発明に加えて、特に接着後の接着強度の低下が抑制された接着剤を提供することができる。
請求項4に記載の発明は請求項1〜3に記載の発明に加えて、回路を接続した際の接続抵抗が格段に低い接着剤を提供することができる。
請求項5に記載の発明は請求項1〜4に記載の接着剤を用いた回路接続構体の製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. フィルム状の支持体と、前記支持体に積層された接着剤とを備え、
    前記支持体は、前記接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続するに際し、前記接着剤から剥離されるものであり、
    前記接着剤は、硬化前の引張破壊強さが0.1〜5N/mmであり且つ硬化前の引張破壊伸びが50〜600%であると共に、硬化後のガラス転移温度が80〜200℃であることを特徴とする回路接続材料。
  2. 前記接着剤が、フィルム形成材(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル発生剤(C)を含む、請求項1に記載の回路接続材料。
  3. 前記接着剤が、フィルム形成材(A)、エポキシ樹脂(D)、潜在性硬化剤(E)を含む、請求項1に記載の回路接続材料。
  4. 前記接着剤が、さらに、導電性粒子(F)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  5. フィルム状の支持体と、前記支持体に積層された接着剤とを備え、硬化前の前記接着剤の引張破壊強さが0.1〜5N/mm であり且つ硬化前の前記接着剤の引張破壊伸びが50〜600%であると共に、硬化後の前記接着剤のガラス転移温度が80〜200℃である回路接続材料を用いて、相対向する電極間が電気的に接続された回路接続体を製造する方法であって、
    前記支持体を前記接着剤から剥離して、前記接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する、回路接続体の製造方法。
  6. 前記接着剤が、フィルム形成材(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル発生剤(C)を含む、請求項5に記載の回路接続体の製造方法
  7. 前記接着剤が、フィルム形成材(A)、エポキシ樹脂(D)、潜在性硬化剤(E)を含む、請求項5に記載の回路接続体の製造方法
  8. 前記接着剤が、さらに、導電性粒子(F)を含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の回路接続体の製造方法
  9. フィルム状の支持体と、前記支持体に積層された接着剤とを備え、硬化前の前記接着剤の引張破壊強さが0.1〜5N/mm であり且つ硬化前の前記接着剤の引張破壊伸びが50〜600%であると共に、硬化後の前記接着剤のガラス転移温度が80〜200℃である回路接続材料を用いた回路接続体の製造方法であって、
    第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に、前記支持体が剥離された前記接着剤を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させることを特徴とする、回路接続体の製造方法。
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