JP3937299B2 - 支持体つき接着剤及びそれを用いた回路接続構造体 - Google Patents

支持体つき接着剤及びそれを用いた回路接続構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体つき接着剤及びそれを用いた回路接続構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
相対する多数の電極を有する被接続部材を接続するための接続材料として、異方性導電膜(以下、ACFという)が使用されている。このACFはプリント配線基板、LCD用ガラス基板、フレキシブルプリント基板等の基板や、IC、LSI等の半導体素子やパッケージなどの被接続部材を接続する際、相対する電極同士の導通状態を保ち、隣接する電極同士の絶縁を保つように電気的接続と機械的固着を行う接続材料である。
【0003】
このようなACFの多くは熱硬化性樹脂を含有する接着剤成分と、必要により配合される導電性粒子とを含むフィルム状に形成されており、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の支持体に積層した状態で製品化されている。そして使用に際しては、ACFを被接続部材に転写して仮圧着後、支持体から剥離して熱圧着を行い、熱硬化性樹脂を硬化させて部材間の機械的固着を得るとともに、対向する電極間を直接または導電性粒子を介して接触させて電気的接続を得ている。
【0004】
このような製品としてのACFはまず、支持体上にACFを幅10〜50cm程度に形成して一旦巻き取り(これを原反と呼ぶ)、この原反を巻きだしカッターの刃などを用いて連続的に幅1〜5mm程度の細幅に裁断して再度巻き取り(スリット工程と呼ぶ)実際の製品として供給されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スリットを行うと接着剤(ACF)と支持体の界面から接着剤が剥離してしまい、量産時の歩留まりが低下してしまう問題点があった。
本発明はスリット時に接着剤と支持体の界面から接着剤が剥離することを効果的に抑制し、量産時の歩留まりを飛躍的に向上できる支持体つき接着剤及びそれを用いた回路接続構造体を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に|A‐B|≦20(mN/m)が成立する支持体と接着剤とを組み合わせた支持体つき接着剤である。請求項[1]記載の発明はスリット時に接着剤と支持体の界面から接着剤が剥離することを効果的に抑制し、量産時の歩留まりを飛躍的に向上できる支持体つき接着剤を提供するものである。
本発明は、[2]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、接着剤を配置する面の反対面の表面張力(C)が接着剤を配置する面の表面張力(A)と同じかそれよりも低い値である支持体を用いる上記[1]に記載の支持体つき接着剤である。請求項[2]記載の発明は請求項[1]記載の発明に加えて原反の巻き取り時やスリット後のリール品の支持体背面に接着剤が転写しにくい支持体つき接着剤を提供するものである。
本発明は、[3]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、接着剤を配置する面の表面粗さRaが0.05〜1μmで、かつ、最大表面粗さRmaxが0.1〜10μmの範囲の支持体を用いる上記[1]または上記[2]に記載の支持体つき接着剤である。請求項[3]記載の発明は請求項[1]、[2]記載の発明に加えてより、スリット時の安定性を高めた支持体つき接着剤を提供するものである。
本発明は、[4]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、支持体が厚み10〜250μmのフィルムである上記[1]ないし上記[3]のいずれかに記載の支持体つき接着剤である。請求項[4]記載の発明は、請求項[1]〜[3]記載の発明に加えて接着剤の厚み精度の高い支持体つき接着剤を提供するものである。
本発明は、[5]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、ポリマー(a)、ラジカル重合性化合物(b)、ラジカル発生剤(c)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含む接着剤を用いる上記[1]ないし上記[4]のいずれかに記載の支持体つき接着剤である。請求項[5]記載の発明は請求項[1]〜[4]記載の発明に加えて短時間接着性と接続体の信頼性の高い支持体つき接着剤を提供するものである。
本発明は、[6]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、ポリマー(a)、エポキシ樹脂(e)、潜在性硬化剤(f)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含む接着剤を用いる上記[1]ないし上記[4]のいずれかに記載の支持体つき接着剤である。請求項[6]記載の発明は、請求項[1]〜[4]記載の発明に加えて接続体の接着強度の高い支持体つき接着剤を提供するものである。
また、本発明は、[7]支持体つき接着剤の支持体を除去した接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続した接続構造体であって、支持体つき接着剤が上記[1]ないし上記[6]のいずれかに記載の支持体つき接着剤である回路接続構造体である。請求項[7]記載の発明は請求項[1]〜[6]記載の支持体付き接着剤を用いた回路接続構造体を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の支持体とはシート状、フィルム状のものであり、厚み10〜250μmのフィルムが望ましい。また、支持体の接着剤を配置する面の表面粗さRaが0.05〜1μmで、かつ、最大表面粗さRmaxが0.1〜10μmの範囲であることが望ましく、表面粗さRaが0.1〜5.0μmでかつ最大表面粗さRmaxが0.5〜8μmの範囲であることがより望ましい。支持体の接着剤を配置する面の表面粗さRaが1μmを超えて大きい場合、または最大表面粗さRmaxが10μmを超える場合、配置される接着剤の厚みの均一性が低下する傾向がある。支持体の接着剤を配置する面の表面粗さRaが0.05μm未満の場合または最大表面粗さRmaxが0.1μm未満の場合、スリット性には影響しないが、仮圧着後の支持体の剥離性が低下する傾向がある。支持体の表面粗さ、最大表面粗さは規格により表面粗さ計で測定することができる。
また、本発明の支持体は、接着剤を配置する面の反対面の表面張力(C)が接着剤を配置する面の表面張力(A)と同じかそれよりも低い値である支持体であること望ましい。接着剤を配置する面の反対面の表面張力(C)が接着剤を配置する面の表面張力(A)を超えて大きい値の場合、原反の保管時、またはスリット後に巻き取った製品の接着剤層が支持体の接着剤が形成されていない面に転写する傾向がある。
【0008】
本発明の接着剤とはポリマー(a)、ラジカル重合性化合物(b)、ラジカル発生剤(c)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含むと好ましいものである。
本発明で使用するポリマー(a)しては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。このポリマーは、接着剤にフィルム形成材としての機能を付与することができる。フィルム形成材とは、液状物を固形化し、構成組成物をフィルム形状とした場合に、そのフィルムの取扱いが容易で、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりしない機械特性等を付与するものであり、通常の状態でフィルムとしての取扱いができるものである。
ポリマー(a)の中でも接着性、相溶性、耐熱性、機械強度に優れることからフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂は2官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより得られる樹脂である。具体的には、2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015とをアルカリ金属水酸化物の存在下において非反応性溶媒中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、樹脂の機械的特性や熱的特性の点からは、特に2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1としアルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で反応固形分が50重量部以下で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、メチル置換ビフェニルジグリシジルエーテルなどが挙げられる。2官能フェノール類は2個のフェノール性水酸基を持つもので、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、メチル置換ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシビフェニル、メチル置換ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類などが挙げられる。フェノキシ樹脂はラジカル重合性の官能基や、その他の反応性化合物により変性されていてもよい。フェノキシ樹脂は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0009】
本発明で使用するラジカル重合性化合物(b)としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物、スチレン誘導体等が挙げられる。ラジカル重合性化合物はモノマー、オリゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。 アクリレート(メタクリレート)の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンチニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ウレタンアクリレート類、これらのアクリレートに対応するメタクリレート等が挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができ、必要によってはハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。また、ジシクロペンチニル基及び/又はトリシクロデカニル基および/またはトリアジン環を有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
【0010】
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロへキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロへキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)へキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、支持体の接着剤を配置しない面の表面張力(C)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との関係において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に|A‐B|≦20(mN/m)で、支持体の接着剤を配置しない面の表面張力(C)が接着剤を配置する面の表面張力(A)と同じかそれよりも低い値で、支持体の接着剤を配置する面の表面粗さRaが0.05〜1μmで、最大表面粗さRmaxが0.1〜10μmの範囲で、かつ、支持体の厚みが10〜250μmのフィルムである支持体と接着剤とを組み合わせた支持体つき接着剤である。請求項[1]記載の発明はスリット時に接着剤と支持体の界面から接着剤が剥離することを効果的に抑制し、量産時の歩留まりを飛躍的に向上できる支持体つき接着剤を提供するものである。また、原反の巻き取り時やスリット後のリール品の支持体背面に接着剤が転写しにくい支持体つき接着剤を提供でき、スリット時の安定性を高めた支持体つき接着剤を提供するものである。また、接着剤の厚み精度の高い支持体つき接着剤を提供するものである。本発明は、[]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、ポリマー(a)、ラジカル重合性化合物(b)、ラジカル発生剤(c)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含む接着剤を用いる上記[1]に記載の支持体つき接着剤である。請求項[]記載の発明は請求項[1]記載の発明に加えて短時間接着性と接続体の信頼性の高い支持体つき接着剤を提供するものである。本発明は、[]支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、ポリマー(a)、エポキシ樹脂(e)、潜在性硬化剤(f)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含む接着剤を用いる上記[1]に記載の支持体つき接着剤である。請求項[]記載の発明は、請求項[1]記載の発明に加えて接続体の接着強度の高い支持体つき接着剤を提供するものである。また、本発明は、[]支持体つき接着剤の支持体を除去した接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続した接続構造体であって、支持体つき接着剤が上記[1]ないし上記[]のいずれかに記載の支持体つき接着剤である回路接続構造体である。請求項[]記載の発明は請求項[1]〜[]記載の支持体付き接着剤を用いた回路接続構造体を提供するものである。
【0012】
本発明で使用するラジカル発生剤(c)としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定されるが、高反応性とポットライフの点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ましい。接続時間を10秒以下とした場合、ラジカル発生剤(c)の配合量は十分な反応率を得るためにラジカル重合性化合物(b)とポリマー(a)の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部とするのが好ましく1〜20重量部がより好ましい。ラジカル発生剤(c)の配合量が0.1重量部未満では、十分な反応率を得ることができず良好な接着強度や小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。ラジカル発生剤(c)の配合量が30重量部を超えると、接着剤組成物の流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、接着剤組成物のポットライフが短くなる傾向にある。
【0013】
ラジカル発生剤(c)の具体例としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定できる。また、回路部材の接続端子の腐食を押さえるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましい。具体的には、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドから選定され、高反応性が得られるパーオキシエステル、パーオキシケタールから選定されることがより好ましい。上記硬化剤は、適宜混合して用いることができる。
【0014】
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニツクパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0015】
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルへキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
【0016】
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、t−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0017】
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0018】
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0019】
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0020】
シリルパーオキサイドとしては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
【0021】
これらの加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、単独又は混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0022】
本発明の接着剤組成物は導電性粒子(d)が無くても、接続時に相対向する回路電極の直接接触により接続が得られるが、導電性粒子(d)を含有した場合、より安定した接続が得られる。
導電性粒子(d)としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等が挙げられ、十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cu等の遷移金属類ではなくAu、Ag、白金属の貴金属類が好ましくAuがより好ましい。また、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成し最外層を貴金属類としたものでもよい。プラスチックに導通層を被覆等により形成した場合や熱溶融金属粒子の揚合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し、回路部材の回路端子の厚みばらつきを吸収し信頼性が向上するので好ましい。貴金属類の被覆層の厚みは良好な抵抗を得るためには、100オングストローム以上が好ましい。しかし、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の層をもうける場合では、貴金属類層の欠損や導電性粒子(d)の混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し保存性低下を引き起こすため、300オングストローム以上が好ましい。そして、厚くなるとそれらの効果が飽和してくるので最大1μmにするのが望ましいが制限するものではない。導電性粒子(d)は、接着剤樹脂成分100体積部に対して0.1〜30体積部の範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子(d)による隣接回路の短絡等を防止するためには0.1〜10体積部とするのがより好ましい。
【0023】
本発明の接着剤組成物には、さらに、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、難燃化剤、色素、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
充填剤を含有した場合、接続信頼性等の向上が得られるので好ましい。充填剤の最大径が導電性粒子(d)の粒径未満であれば使用でき、5〜60体積部(接着剤樹脂成分100体積部に対して)の範囲が好ましい。60体積部を超えると信頼性向上の効果が飽和することがあり、5体積部未満では添加の効果が少ない。
【0024】
カップリング剤としてはケチミン、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から好ましい。具体的には、アクリル基を有するシランカップリング剤として、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、アミノ基を有するシランカップリング剤として、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ケチミンを有するシランカップリング剤として、上記のアミノ基を有するシランカップリング剤に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物を反応させて得られたものが挙げられる。
カップリング剤を用いる場合の添加量は、接着剤のその他の配合の合計100重量部に対して0.5〜30重量部混合することが好ましい。カップリング剤の配合量が0.5重量部未満の場合、実質的な添加効果が得られない傾向があり、30部を超える場合、支持体上へ接着剤を形成した際の接着剤層の形成能力が低下し、膜厚強度が低下する傾向がある。
【0025】
また、本発明の接着剤は、ポリマー(a)、エポキシ樹脂(e)、潜在性硬化剤(f)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含むものでもよい。
本発明で使用するエポキシ樹脂(e)としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂やナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独にあるいは2種以上を混合して用いることが可能である。これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na+、Cl-等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがエレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0026】
本発明で使用する潜在性硬化剤(f)としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等が挙げられる。これらは、単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。潜在性硬化剤(f)の配合量は十分な反応率を得るためにポリマー(a)とエポキシ樹脂(e)の合計100重量部に対して、0.1〜60重量部とするのが好ましく1〜20重量部がより好ましい。潜在性硬化剤(f)の配合量が0.1重量部未満では、十分な反応率を得ることができず良好な接着強度や小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。潜在性硬化剤(f)の配合量が60重量部を超えると、接着剤組成物の流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、接着剤組成物のポットライフが短くなる傾向にある。
【0027】
本発明の支持体上に接着剤を配置する方法としては、接着剤成分を溶媒に溶解させて、支持体上に塗布して乾燥させる方法、接着剤成分を加温して流動性を確保しそのまま支持体上に塗布して冷却する方法等、いずれの方法を用いてもよい。支持体上に配置する接着剤は単層でもよく、組成の異なる2層以上を重ねて構成してもよい。2層以上を構成する場合には導電性粒子(d)を含まない層(SO1)と、導電性粒子(d)を含む層(SO2)を支持体、SO1、SO2の順で配置することが望ましいが、これに制限されるものではない。かくして支持体つき接着剤を得ることができる。
【0028】
本発明の支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)は、接着剤を塗布する前の支持体を用い、その接着剤を塗布する面の表面張力を指す。
本発明の接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)は、支持体付き接着剤の接着面に粘着テープ等を用いて室温(25℃)で貼り付けて、支持体を剥離した際の、接着剤側の剥離面の表面張力を指す。
本発明において支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤について、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に|A‐B|≦20(mN/m)が成立することが必要で、|A‐B|≦15(mN/m)が成立することがより望ましく、|A‐B|≦10(mN/m)が成立することがさらに望ましく、|A‐B|≦5(mN/m)が成立することが最も望ましい。支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に|A‐B|≦20(mN/m)が成立しない場合(すなわちAとBの値が20以上離れる場合)、スリット性が低下し、量産歩留まりが低下する傾向がある。
【0029】
支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)、接着剤を配置する面の反対面の表面張力(C)はそれぞれの表面に水とジヨードメタンの液滴を形成し、その接触角から算出することができる。
【0030】
本発明の支持体付き接着剤は、COG実装やCOF実装における、フレキシブルテープやガラス基板とICチップとの接着剤として使用することもできる。すなわち、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の支持体つき接着剤の支持体を除去した接着剤を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させることができる。
これらの回路部材には接続端子が通常は多数(場合によっては単数でもよい)設けられており、前記回路部材の少なくとも1組をそれらの回路部材に設けられた接続端子の少なくとも一部を対向配置し、対向配置した接続端子間に本発明の接着剤を介在させ、加熱加圧することで対向配置した接続端子同士を電気的に接続して回路板とする。回路部材の少なくとも1組を加熱加圧することにより、対向配置した接続端子同士は、直接接触により又は接着剤組成物中の導電性粒子(d)を介して電気的に接続することができる。
【0031】
【実施例】
(支持体の調整)
本実施例で用いた支持体の調整方法を以下に示す。
支持体はPETフィルムG2(帝人株式会社製、厚み50μm)の表面に各種処理を施して用いた。処理方法は表1に示した。
(実験例1)支持体の表面張力の測定
代表例を以下に示す
支持体のロールフィルムの外面と内面について25℃にて水とジヨードメタンの液滴を各5ヶ作製し、その接触角の平均値から表面張力を算出した。接触角の測定には協和界面化学株式会社製自動接触角計CA‐Z型を用いた。
各支持体の表面張力は表1にまとめて示した。
支持体の接着剤を配置する面は、外面と内面のうち、表面張力の値の高い面を用いた。すべての支持体で内面が表面張力の値が高かったので内面を用いた。
【0032】
(実験例2)支持体の表面粗さの測定
代表例を以下に示す
支持体の接着剤形成面(ロールフィルムの内面)について株式会社小阪研究所製表面粗さ測定器SE−2300を用いて、測定長さ2.5mm、測定速度0.1mm/秒で測定した。各支持体の接着剤形成面の表面粗さの測定結果を表1にまとめて示した。
【表1】
Figure 0003937299
【0033】
(実験例3)ポリマー(a)の合成
フェノキシ樹脂(Ph−1)の合成
4,4-(9-フルオレニリデン)-ジフェノール45g、3,3',5,5'-テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル50gをN-メチルピロリジオン1000mlに溶解し、これに炭酸カリウム21gを加え、110℃で攪拌した。3時間攪拌後、多量のメタノールに滴下し、生成した沈殿物をろ取してフェノキシ樹脂(Ph−1)を75g得た。分子量を東ソー株式会社製GPC8020、カラムは東ソー株式会社製TSKgelG3000HXLとTSKgelG4000HXL、流速1.0ml/minで測定した結果、ポリスチレン換算でMn=12,500、Mw=30,300、Mw・/Mn=2.42であった。
【0034】
(実験例4)ポリマー(a)の合成
フェノキシ樹脂(Ph−2)の合成
窒素導入管、温度計、冷却管およびメカニカルスターラーを取り付けた2リットルの四つ口フラスコに、テトラブロモビスフェノールA(FG−2000、帝人化成株式会社製商品名)333.83g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−8125、分子蒸留品、エポキシ当量172g/当量,東都化成株式会社製商品名)205.56gおよびN,N−ジメチルアセトアミド1257gを入れ、窒素雰囲気下、均一になるまで撹拌混合した。次に、水酸化リチウム0.94gを添加し、温度を徐々に上げながら120℃で9時間反応させた。反応の追跡は、一定時間ごとに反応溶液の粘度を測定し、粘度が増加しなくなるまで反応を行った。反応終了後、反応溶液を放冷し、これに活性アルミナ(200メッシュ)約420gを加えて一晩放置した。活性アルミナを濾過して、フェノキシ樹脂のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を得た。次いで、窒素導入管、温度計、冷却管およびメカニカルスターラーを取り付けた1リットルの四つ口フラスコに、得られたフェノキシ樹脂のN,N−ジメチルアセトアミド溶液807.62g、末端カルボキシル基含有ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(Hycar・CTBNX1009‐SP,宇部興産株式会社製商品名)50.88gを入れ、撹拌混合しながら十分に窒素置換した。次に、窒素雰囲気下で撹拌混合し、温度を徐々に上げながら溶剤が還流する状態で8.5時間加熱した。冷却後、多量のメタノールに滴下し、生成した沈殿物をろ取してフェノキシ樹脂(Ph−2)を470g得た。
【0035】
(実験例5)接着剤組成物(#1)の作製
ポリマー(a)として、フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100部と、フェノキシ樹脂(Ph−2)(Ph−2/メチルエチルケトン=50/50重量部)溶液20重量部と、ラジカル重合性化合物(b)として、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製 M−215)30重量部と、ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製 NKオリゴUA512)15重量部、ラジカル発生剤(c)として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製 パーヘキサTMH)5重量部、導電性粒子(d)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、さらにシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SZ6030)10重量部を混合し接着剤組成物(#1)を作製した。
【0036】
(実験例6)接着剤組成物(#2)の作製
ポリマー(a)として、フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液90部と、フェノキシ樹脂(Ph−2)(Ph−2/メチルエチルケトン=50/50重量部)溶液18重量部と、ラジカル重合性化合物(b)として、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製 M−215)35重量部と、ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製 NKオリゴUA512)20重量部、ラジカル発生剤(c)として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製 パーヘキサTMH)5重量部、導電性粒子(d)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、その他にシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SZ6030)10重量部を混合し接着剤組成物(#2)を作製した。
【0037】
(実験例7)接着剤組成物(#3)の作製
ポリマー(a)として、フェノキシ樹脂(Ph−1)(Ph−1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100部と、エポキシ樹脂(e)と潜在性硬化剤(f)の混合物としてマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(HX3941HP;旭化成工業株式会社製商品名、エポキシ当量185)60部、導電性粒子(d)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、その他にシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SZ6030)10重量部を混合し接着剤組成物(#3)を作製した。
【0038】
(実施例、比較例)支持体付き接着剤の作製
実験例5〜7の接着剤組成物(#1〜#3)を各支持体上に塗布して70℃、10分間乾燥させて、膜厚25μmの接着剤層を支持体上に形成した、支持体付き接着剤(SS1〜SS15)を作製した。それぞれの支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)を前記と同様にして測定した結果を表2に示した。
【0039】
(接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)の測定)
上記の実施例で作製した支持体付き接着剤の接着剤面に粘着テープ(ポリイミドテープ)を貼り付け、支持体のみを剥離した。接着剤層の剥離面に25℃にて水とジヨードメタンの液滴を各5ヶ作製し、その接触角の平均値から接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)を算出した。接触角の測定には協和界面化学株式会社製自動接触角計CA‐Z型を用いた。
接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)の測定結果を表2にまとめて示した。
【0040】
(支持体付き接着剤のスリット性)
長さ10m、幅20mmの支持体付き接着剤は、幅2.0mmに等間隔で9本並べたカッターの刃を用いて1m/分で支持体付き接着剤をカッターの刃面に水平に移動させてスリットした。スリット後の支持体付き接着剤のスリット面を目視で観察し、10本すべて支持体と接着剤が密着している場合を○、支持体と接着剤が一部でも剥離した場合を×として評価した。その測定結果を表2に示した。
【0041】
(回路の接続)
バンプ面積50μm×50μm、ピッチ100μm、高さ20μmの金バンプを配置したICチップと厚み1.1mmのガラス上にインジュウム−錫酸化物(ITO)を蒸着により形成したITO基板(表面抵抗、≦20Ω/□)とを、上記接着剤組成物を用い、石英ガラスと加圧ヘッドで挟み、200℃、100MPa(バンプ面積換算)で10秒間加熱加圧して接続した。このとき、フィルム状接着剤組成物はあらかじめITO基板上に、支持体つき接着剤の接着面を70℃、0.5MPa(バンプ面積換算)で5秒間加熱加圧して貼り付け、その後、支持体を剥離してICチップと接続した。このとき、回路の接続ができた場合を○、できなかった場合を×として評価し、その結果を表2に示した。
【0042】
【表2】
Figure 0003937299
【0043】
支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に|A‐B|≦20(mN/m)が成立する支持体と接着剤とを組み合わせた支持体つき接着剤である実施例1〜9では、良好なスリット性を示した。さらに、これら支持体付き接着剤SS1〜SS9を用いて回路の接続を行ったところ導通良好な接続体が作製できた。これに対して支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に|A‐B|≦20(mN/m)が成立しない比較例ではスリット不良が発生した。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に
|A‐B|≦20(mN/m)
が成立する支持体と接着剤とを組み合わせた支持体つき接着剤とすることにより、スリット時に接着剤と支持体の界面から接着剤が剥離することを効果的に抑制し、量産時の歩留まりを飛躍的に向上させることができる。また、これにより導通良好な接続体を作製することができる。

Claims (4)

  1. 支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と、支持体の接着剤を配置しない面の表面張力(C)と、接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との関係において、支持体の接着剤を配置する面の表面張力(A)と接着剤の支持体と接触する面の表面張力(B)との間に|A‐B|≦20(mN/m)で、支持体の接着剤を配置しない面の表面張力(C)が接着剤を配置する面の表面張力(A)と同じかそれよりも低い値で、支持体の接着剤を配置する面の表面粗さRaが0.05〜1μmで、最大表面粗さRmaxが0.1〜10μmの範囲で、かつ、支持体の厚みが10〜250μmのフィルムである支持体と接着剤とを組み合わせた支持体つき接着剤。
  2. 支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、ポリマー(a)、ラジカル重合性化合物(b)、ラジカル発生剤(c)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含む接着剤を用いる請求項1に記載の支持体つき接着剤。
  3. 支持体上に接着剤を配置してなる支持体つき接着剤において、ポリマー(a)、エポキシ樹脂(e)、潜在性硬化剤(f)、導電性粒子(d)のうち少なくとも3つ以上を含む接着剤を用いる請求項1に記載の支持体つき接着剤。
  4. 支持体つき接着剤の支持体を除去した接着剤を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続した接続構造体であって、支持体つき接着剤が請求項1ないし請求項のいずれかに記載の支持体つき接着剤である回路接続構造体。
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