JP2006111806A - 回路接続材料及びそれを用いた回路接続構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 回路と回路を電気的に接続する回路接続材料と回路電極を有する基板との間の密着力を向上させ、マイグレーションを発生しにくい回路接続材料及びこれを用いた回路接続構造体を提供する。
【解決手段】 (a)ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)ラジカル発生剤、(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を含む回路接続材料。エポキシ硬化剤を含有しないことが好ましく、また、回路接続材料100重量部に対し、(d)成分を1〜20重量部配合することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル等の回路電極とICチップ等との回路電極との導通接続と固定に用いられる回路接続材料及びそれを用いた回路接続構造体に関する。
液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)等とICチップ等を接続する手段として、異方導電性接着剤が用いられている。この異方導電性接着剤は、まず液晶パネル基板、PDP基板に仮固定され、さらにその上からICチップを加熱圧着することにより接続を行う。異方導電性接着剤の中には、電極間の導通を得るための導電粒子が混合され、樹脂としては、熱可塑、熱硬化、または熱可塑と熱硬化の混合系が用いられる(例えば特許文献1参照)。また、導電粒子を含まず、樹脂のみからなる回路接続材料も知られている(例えば特許文献2参照)。樹脂の代表的なものには熱可塑系としてスチレン系、ポリエステル系があり、また熱硬化系としてはエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、またシリコーン樹脂系が知られている。熱可塑系、熱硬化系ともに接続する為に、加熱加圧が必要である。熱可塑系では、樹脂を流動させ被着体との密着を得るため、また熱硬化系では更に樹脂の硬化反応を行うためである。しかし最近では、隣接する電極が接近しており(1〜15μm)、電極間のマイグレーションが発生し易い。特にガラス基板としてアルカリガラス、また、金属と金属酸化物からなる積層電極を用いた場合にマイグレーションが発生し易くなる。また、マイグレーションの発生する部位として、異方導電フィルムによる接続部に限って観察すると特にガラス基板電極を用いた場合では、異方導電フィルムとガラス基板の界面にマイグレーションが発生し易く、特にAgを含有する電極を用いた場合に、マイグレーションが発生し易くなる。
特開昭55−104007号公報 特開昭60−2602430号公報
本発明は、前記のマイグレーションを防止するものであり、請求項1に記載の発明は仮固定した後、回路接続材料と回路電極を有する基板との間の密着力を向上させ、マイグレーションを発生しにくい回路接続材料を提供するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて基板との密着力を制御できる回路接続材料を提供するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に加えて一定方向の電気導通性の高い回路接続材料を提供するものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の回路接続材料を用いた回路接続構造体を提供するものである。
本発明は、[1](a)ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)ラジカル発生剤、(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を含む回路接続材料に関する。
また、本発明は、[2](d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を除いた回路接続材料100重量部に対し、前記(d)成分を1〜20重量部配合してなる前記[1]に記載の回路接続材料に関する。
また、本発明は、[3]さらに(e)導電性粒子を含む前記[1]または前記[2]に記載の回路接続材料に関する。
また、本発明は、[4]前記[1]ないし前記[3]のいずれかに記載の回路接続材料を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続した回路接続構造体に関する。
本発明の回路接続材料は、回路電極の腐食が見られず、また、良好な密着力が得られることによりマイグレーション防止効果に優れる。この回路接続材料を用い、回路電極を有する基板に適用すると、隣接する電極が1〜15μmと接近した場合でも、電極間のマイグレーションが防止され、接続信頼性に優れた回路接続構造体が得られる。
本発明は、(a)ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)ラジカル発生剤、(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を含む回路接続材料である。
本発明で使用する(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましく、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂やナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に1個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることが可能である。これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na+、Cl等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがマイグレーション防止のために好ましい。
本発明で使用する(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂は、(d)を除いた回路接続材料100重量部に対し、1〜20重量部配合することが好ましく、2〜15重量部であると更に好ましい。0.5重量部未満だと、回路接着材料と基板との密着性があまり向上せず、20重量部を超えると、低分子成分の割合が大きすぎるため仮固定不良となってしまう。
このような(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を使用することによって電極間のマイグレーションが防止される作用については明確にされていないが、エポキシ基と(1)ガラス基板および(2)電極に含まれる酸性点または金属酸化物中の金属原子とのなんらかインターラクションのためであると考えられる。特にITO(IndiumTinOxide) 電極を有する基板と半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品のような素子を接続する際には、この効果が顕著に現れる。したがって、本発明に係る回路接続材料においては、(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を含有しているが、エポキシ硬化剤を含有する必要はない。
本発明で使用する(a)ポリマーしては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これは、回路接続材料をフィルム形状にするためのフィルム形成材としての機能を有すればよい。フィルム形成材とは、液状物を固形化し、構成組成物をフィルム形状とした場合に、そのフィルムの取扱いが容易で、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりしない機械特性等を付与するものであり、通常の状態でフィルムとしての取扱いができるものである。
(a)ポリマーの中でも接着性、相溶性、耐熱性、機械強度に優れることからフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂は2官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより得られる樹脂である。具体的には、2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015モルとをアルカリ金属水酸化物の存在下において非反応性溶剤中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、樹脂の機械的特性や熱的特性の点からは、特に2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1としアルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で反応固形分が50重量部以下で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、メチル置換ビフェニルジグリシジルエーテルなどがある。2官能フェノール類は2個のフェノール性水酸基を持つもので、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、メチル置換ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシビフェニル、メチル置換ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類などが挙げられる。フェノキシ樹脂はラジカル重合性の官能基や、その他の反応性化合物により変性されていてもよい。フェノキシ樹脂は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明で使用する(b)ラジカル重合性化合物としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物、スチレン誘導体等が挙げられる。ラジカル重合性物質はモノマー、オリゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
アクリレート(メタクリレート)の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンチニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ウレタンアクリレート類、これらのアクリレートに対応するメタクリレート等が挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができ、必要によってはハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。また、ジシクロペンチニル基及び/又はトリシクロデカニル基および/またはトリアジン環を有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロへキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロへキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)へキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
本発明の回路接続材料には、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリロニトリルのうち少なくとも一つをモノマー成分とした重合体又は共重合体を使用することもでき、共重合体系アクリルゴムを併用した場合、応力緩和に優れるので好ましい。これらアクリルゴムの分子量(重量平均)は回路接続材料の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。
本発明で使用する(c)ラジカル発生剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定されるが、高反応性とポットライフの点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ましい。接続時間を10秒以下とした場合、(c)ラジカル発生剤の配合量は十分な反応率を得るためにラジカル重合性化合物(b)とポリマー(a)の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部とするのが好ましく1〜20重量部がより好ましい。ラジカル発生剤(c)の配合量が0.1重量部未満では、十分な反応率を得ることができず良好な接着強度や小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。ラジカル発生剤(c)の配合量が30重量部を超えると、回路接続材料の流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、回路接続材料のポットライフが短くなる傾向にある。
(c)ラジカル発生剤の具体例としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定できる。また、回路電極を有する基板の接続端子の腐食を押さえるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましい。具体的には、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドから選定され、高反応性が得られるパーオキシエステル、パーオキシケタールから選定されることがより好ましい。上記硬化剤は、適宜混合して用いることができる。
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニツクパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルへキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、t−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
シリルパーオキサイドとしては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
これらの加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、単独又は混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
本発明の回路接続材料は、(e)導電性粒子が無くても、接続時に相対向する回路電極の直接接触により接続が得られるが、導電性粒子(e)を含有した場合、より安定した接続が得られる。
導電性粒子(e)としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cu等の遷移金属類ではなくAu、Ag、白金属の貴金属類が好ましくAuがより好ましい。また、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成し最外層を貴金属類としたものでもよい。プラスチックに導通層を被覆等により形成した場合や熱溶融金属粒子の揚合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し、回路電極を有する基板の回路電極の厚みばらつきを吸収し信頼性が向上するので好ましい。貴金属類の被覆層の厚みは良好な抵抗を得るためには、100オングストローム以上が好ましい。しかし、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の層をもうける場合では、貴金属類層の欠損や導電性粒子(e)の混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し保存性低下を引き起こすため、300オングストローム以上が好ましい。そして、厚くなるとそれらの効果が飽和してくるので最大1μmにするのが望ましいが制限するものではない。導電性粒子(e)は、回路接続材料100体積部に対して0.1〜30体積部の範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子(e)による隣接回路の短絡等を防止するためには0.1〜10体積部とするのがより好ましい。
本発明の回路接続材料には、さらに、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、難燃化剤、色素、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
充填剤を含有した場合、接続信頼性等の向上が得られるので好ましい。充填剤の最大径が導電性粒子(e)の粒径未満であれば使用でき、5〜60体積部(回路接続材料100体積部に対して)の範囲が好ましい。60体積部を超えると信頼性向上の効果が飽和することがあり、5体積部未満では添加の効果が少ない。
カップリング剤としてはケチミン、ビニル基、アクリル基、アミノ基及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から好ましい。具体的には、アクリル基を有するシランカップリング剤として、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、アミノ基を有するシランカップリング剤として、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ケチミンを有するシランカップリング剤として、上記のアミノ基を有するシランカップリング剤に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物を反応させて得られたものが挙げられる。
カップリング剤を用いる場合の添加量は、回路接続材料のその他の配合の合計100重量部に対して0.5〜30重量部混合することが好ましい。カップリング剤の配合量が0.5重量部より少ない場合、実質的な添加効果が得られない傾向があり、30部を超える場合、支持体上に回路接続材料を形成した際の回路接続材料層の形成能力が低下し、膜厚精度が低下する傾向がある。
本発明の回路接続材料を支持体上に配置する方法としては、回路接続材料を溶剤に溶解させて、支持体上に塗布して乾燥させる方法、回路接続材料を加温して流動性を確保した後、溶剤、支持体上に塗布させる方法等、いずれの方法を用いてもよい。支持体上に配置する回路接続材料は単層でもよく、組成の異なる2層以上を重ねて構成してもよい。2層以上を構成する場合には導電性粒子(e)を含まない層(SO1)と、導電性粒子(e)を含む層(SO2)を支持体、SO1、SO2の順で配置することが望ましいが、これに制限されるものではない。かくして支持体つき回路接続材料を得ることができる。
本発明の回路接続材料は、COG実装やCOF実装における、フレキシブルテープやガラス基板とICチップとの回路接続材料として使用することもできる。すなわち、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを第一の接続端子(回路電極)と第二の接続端子(回路電極)を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の回路接続材料を支持体がある場合、支持体を除去した回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させることができる。
これらの回路部材には接続端子が通常は多数(場合によっては単数でもよい)設けられており、前記回路部材の少なくとも1組をそれらの回路部材に設けられた接続端子の少なくとも一部を対向配置し、対向配置した接続端子間に本発明の回路接続材料を介在させ、加熱加圧することで対向配置した接続端子同士を電気的に接続して回路板とし、接続構造体とする。回路部材の少なくとも1組を加熱加圧することにより、対向配置した接続端子同士は、直接接触により又は回路接続材料中の導電性粒子(e)を介して電気的に接続することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実験例1) ポリマー(a)の合成
[フェノキシ樹脂(Ph-1)の合成]
4,4-(9-フルオレニリデン)-ジフェノール45g、3,3',5,5'-テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル50gをN-メチルピロリジオン1000mlに溶解し、これに炭酸カリウム21gを加え、110℃で攪拌した。3時間攪拌後、多量のメタノールに滴下し、生成した沈殿物をろ過してフェノキシ樹脂(Ph-1)を75g得た。分子量を東ソー製GPC8020、カラムは東ソー製TSKgelG3000HXLとTSKgelG4000HXL、流速1.0ml/minで測定した結果、ポリスチレン換算でMn=12,500、Mw=30,300、Mw/Mn=2.42であった。
(実験例2)ポリマー(a)の合成
[フェノキシ樹脂(Ph-2)の合成]
窒素導入管、温度計、冷却管およびメカニカルスターラーを取り付けた2リットルの四つ口フラスコに、テトラブロモビスフェノールA(FG−2000、帝人化成株式会社製商品名)333.83g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−8125、分子蒸留品、エポキシ当量172g/当量,東都化成株式会社製商品名)205.56gおよびN,N−ジメチルアセトアミド1257gを入れ、窒素雰囲気下、均一になるまで撹拌混合した。次に、水酸化リチウム0.94gを添加し、温度を徐々に上げながら120℃で9時間反応させた。反応の追跡は、一定時間ごとに反応溶液の粘度を測定し、粘度が増加しなくなるまで反応を行った。反応終了後、反応溶液を放冷し、これに活性アルミナ(200メッシュ)約420gを加えて一晩放置した。活性アルミナを濾過して、フェノキシ樹脂のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を得た。次いで、窒素導入管、温度計、冷却管およびメカニカルスターラーを取り付けた1リットルの四つ口フラスコに、得られたフェノキシ樹脂のN,N−ジメチルアセトアミド溶液807.62g、末端カルボキシル基含有ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(Hycar CTBNX1009−SP,宇部興産株式会社製商品名)50.88gを入れ、撹拌混合しながら十分に窒素置換した。次に、窒素雰囲気下で撹拌混合し、温度を徐々に上げながら溶剤が還流する状態で8.5時間加熱した。冷却後、多量のメタノールに滴下し、生成した沈殿物をろ過してフェノキシ樹脂(Ph-2)を470g得た。
(実験例3) 回路接続材料組成物(#1)の作製
ポリマー(a)として、上記で合成したフェノキシ樹脂(Ph-1)(Ph-1/トルエン/酢酸エチル=40/30/30重量部)溶液100重量部と、フェノキシ樹脂(Ph-2)(Ph-2/トルエン/酢酸エチル=50/25/25重量部)溶液20重量部と、ラジカル重合性化合物(b)として、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製 M-313)10重量部と、ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製 U-108)40重量部、ラジカル発生剤(c)として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製 パーヘキサTMH)5重量部、導電性粒子(e)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、さらにシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SZ6030)10重量部を混合し回路接続材料組成物(#1)を作製した。
(実験例4) 回路接続材料組成物(#2〜#9)の作製
ポリマー(a)として、フェノキシ樹脂(Ph-1)(Ph-1/トルエン/酢酸エチル=40/40/20重量部)溶液100重量部と、フェノキシ樹脂(Ph-2)(Ph-2/トルエン/酢酸エチル=50/25/25重量部)溶液20重量部と、ラジカル重合性化合物(b)として、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製 M-313)10重量部と、ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製 NKオリゴU-108)40重量部、エポキシ基含有樹脂(d)10重量部(表1参照)、ラジカル発生剤(c)として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製 パーヘキサTMH)5重量部、導電性粒子(e)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、さらにシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SZ6030)10重量部を混合し回路接続材料組成物(#2〜#9)を作製した。
(実験例5) 回路接続材料組成物(#10〜#17)の作製
ポリマー(a)として、フェノキシ樹脂(Ph-1)(Ph-1/トルエン/酢酸エチル=40/40/20重量部)溶液100重量部と、フェノキシ樹脂(Ph-2)(Ph-2/トルエン/酢酸エチル=50/25/25重量部)溶液20重量部と、ラジカル重合性化合物(b)として、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製 M-313)10重量部と、ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製 NKオリゴUA512)40重量部、エポキシ基含有樹脂(d)としてEP1032H60(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、0.5〜30重量部(表2参照)、ラジカル発生剤(c)として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製 パーヘキサTMH)5重量部、導電性粒子(e)としてNi/Auめっきポリスチレン粒子(平均粒径4μm)10重量部、さらにシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SZ6030)10重量部を混合し回路接続材料組成物(#10〜#17)を作製した。
回路接続材料組成物を支持体として厚み40μmのシリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その上にロールコータで塗布し、70℃、5分間乾燥させて、膜厚30μmの回路接続材料層を支持体上に形成した。
ピール強度の測定方法
くし型電極パターンを有するガラス基板に上記で作製した回路接続材料層(フィルム)(5mm×30mm)を65℃、1MPaの加熱加圧により仮固定をし、フィルムの支持体を除去した。さらに、ポリイミド粘着テープ(日東電工株式会社製、No.360A)(5mm×35mm)をぴったりとフィルム上に貼り付け、90度ピール強度をSTROGRAPH E−S(株式会社東洋製機製作所製)で測定した。その結果を表1および表2に示した。
腐食試験方法
くし型電極パターンを有するガラス基板に上記で作製した回路接続材料層(フィルム)を65℃、1MPaの加熱加圧により仮固定をし、フィルムの支持体を除去した。さらに、フィルム上にシリコーン防湿剤をポッティング(GE東芝シリコーン製TSE3996ホワイト)した(図1、2参照)。その後、0V⇔5Vの周波数1KHzのパルス電圧をかけながら、温度60℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽に300時間放置した。その後、ガラス基板を取り出し、顕微鏡にて観察した。電極が腐食したものを×で、腐食の見られなかったものを○として評価し、その結果を表1および表2に示した。腐食試験ではITO(IndiumTinOxide)のくし型電極を有するガラス基板を使用した。そのラインとスペースの幅はそれぞれ96μmと4μmとした。
Figure 2006111806
・EP1032H60;ジャパンエポキシレジン株式会社製
・YL980;ジャパンエポキシレジン株式会社製
・EP152;ジャパンエポキシレジン株式会社製
・EXA4850-150;大日本インキ化学工業株式会社製
・EP1007;ジャパンエポキシレジン株式会社製
・180S65;ジャパンエポキシレジン株式会社製
・BPA328;株式会社日本触媒製
・HP7200H;大日本インキ化学工業株式会社製
Figure 2006111806
表1に示したように、本発明の(a)ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)ラジカル発生剤、(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を含む回路接続材料において、(d)成分を配合しない比較例1は、電極が腐食した。これに対して、(d)成分の種類を変え、エポキシ硬化剤を含有しない実施例1〜8では、電極の腐食が見られず、良好な密着力が得られ、マイグレーションが防止される。また、表2に示したように、(d)成分を固定し、配合量を0.5〜30重量部変化させた場合、0.5重量部以下と20重量部を超えると腐食が見られるようになった。本実施例では仮固定した回路接続体を高湿度雰囲気中に放置し電極の腐食を試験したが、本圧着しての促進試験においてもマイグレーション発生と仮固定の電極腐食性は相関関係があり、短時間で簡便に評価することができる。
本発明の実施例で用いた腐食試験手段の俯瞰図を示した図である。 本発明の実施例で用いた腐食試験手段の断面図を示した図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 シリコーン防湿剤
3 回路接続材料
4 ITOくし型電極

Claims (4)

  1. (a)ポリマー、(b)ラジカル重合性化合物、(c)ラジカル発生剤、(d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を含む回路接続材料。
  2. (d)少なくとも1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する樹脂を除いた回路接続材料100重量部に対し、前記(d)成分を1〜20重量部配合してなる請求項1に記載の回路接続材料。
  3. さらに(e)導電性粒子を含む請求項1または請求項2に記載の回路接続材料。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回路接続材料を相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続した回路接続構造体。
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