JP2009074027A - 接着剤、及び回路部材の接続構造体 - Google Patents

接着剤、及び回路部材の接続構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】低温かつ短時間で硬化して、回路部材を接続した場合であっても優れた接着強度を有する回路部材の接続構造体を得ることができ、かつ得られる接続構造体の高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができ、更には貯蔵安定性に優れる接着剤、及びそれを用いた接続構造体を提供すること。
【解決手段】(a)熱可塑性樹脂、(b)ラジカル重合性化合物、及び(c)ラジカル重合開始剤を含有してなる接着剤であって、(b)ラジカル重合性化合物が分子内に1つ以上のイソシアヌル酸構造を有する接着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤、及び回路部材の接続構造体に関する。
半導体素子及び液晶表示素子において、素子中の種々の部材を結合させる目的で従来から種々の接着剤が使用されている。このような用途に用いる接着剤に対しては、接着強度をはじめとして、耐熱性、高温高湿環境下(例えば、85℃/85%RH)における接続信頼性等多岐に渡る特性が要求されている。また、接着に使用される被着体としては、プリント配線板や、ポリイミド等の有機基材をはじめ、銅、アルミニウム等の金属やITO、SiN、SiO等の多種多様な表面状態を有する基材が用いられている。よって、各被着体にあわせた接着剤の分子設計が必要である。
従来から、上記半導体素子や液晶表示素子用の接着剤としては、高接着強度でかつ高接続信頼性を示すエポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂との反応性を有するフェノール樹脂等の硬化剤、及びエポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進する熱潜在性触媒を構成成分として含有するものが一般に用いられている。
熱潜在性触媒は硬化温度及び硬化速度を決定する重要な因子となっており、室温での貯蔵安定性と加熱時の硬化速度の観点から種々の化合物が用いられてきた。実際の工程では、170〜250℃、1〜3時間の硬化条件で硬化することにより、所望の接着強度を得ていた。
しかしながら、最近の半導体素子の高集積化、液晶素子の高精細化に伴い、素子間及び配線間ピッチが狭小化し、硬化時の加熱によって、周辺部材に悪影響を及ぼすおそれが出てきた。さらに低コスト化のためには、スループットを向上させる必要性があり、より低温でかつ短時間での硬化、換言すれば低温速硬化での接着が要求されている。この低温速硬化を達成するためには、活性化エネルギーの低い熱潜在性触媒を使用する必要があるが、活性化エネルギーの低さと室温付近での貯蔵安定性とを兼備することが非常に難しいことが知られている。
これに対して最近、アクリレート誘導体やメタアクリレート誘導体等のラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤である過酸化物とを併用した、ラジカル硬化型接着剤が注目されている。ラジカル硬化型接着剤は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、短時間で硬化することが可能である(例えば、特許文献2参照)。また、エーテル結合によって柔軟性及び可とう性を付与したウレタンアクリレート化合物をラジカル重合性化合物として使用するラジカル硬化型接着剤も提案されている(特許文献3、4参照)。
特開平1−113480号公報 特開2002−203427号公報 特開2001−262079号公報 特開2002−285128号公報
しかしながら、特許文献2等に記載されている従来のラジカル硬化型接着剤は、硬化時の硬化収縮が大きいために、エポキシ樹脂を用いた場合と比較して、接着強度に劣るという問題がある。
また、特許文献3、4等に記載されているラジカル硬化型接着剤は、分子内にエーテル結合を有しているために、硬化後の弾性率やガラス転移温度等の接着剤物性が低下し、さらに吸水率が上昇する。このため、半導体素子や液晶表示素子の接着剤として使用したときに、高温高湿環境下(例えば、85℃/85%RH)における十分な接続信頼性が得られないという問題がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、低温かつ短時間(例えば、160℃で10秒間)で硬化して、回路部材を接続した場合であっても優れた接着強度を有する回路部材の接続構造体を得ることができ、かつ得られる接続構造体の高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができ、更には貯蔵安定性に優れる接着剤、及びそれを用いた接続構造体を提供することを目的とする。なお、本明細書中、「接続構造体の高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができる」とは、高温高湿環境下に長時間おかれた場合であっても、回路部材間の接着強度の低下と、相対する接続端子間における接続抵抗の上昇とを十分に抑制することができることをいう。
上記目的を達成するために、本発明は、(a)熱可塑性樹脂、(b)ラジカル重合性化合物、及び(c)ラジカル重合開始剤を含有してなる接着剤であって、(b)ラジカル重合性化合物が分子内に1つ以上のイソシアヌル酸構造を有する接着剤を提供する。
本発明の接着剤によれば、低温かつ短時間で硬化して、回路部材を接続した場合であっても優れた接着強度を有する回路部材の接続構造体を得ることができ、かつ得られる接続構造体の高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができ、更には貯蔵安定性に優れる。
(b)ラジカル重合性化合物は、下記一般式(1)で表される化合物及び/又は下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。これにより、接着剤の耐熱性及び接着性がさらに向上する。
Figure 2009074027
(ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(A)〜(C)で表される基を示す。Rは下記一般式(B)又は(C)で表される基を示す。aは1〜8の整数を示す。)
Figure 2009074027
(ここでR、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。b、c、d及びeはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す。)
Figure 2009074027
(ここでR、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアミノアルキル基、又は下記一般式(D)で表される基を表す。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは下記一般式(D)で表される基である。)
Figure 2009074027
(ここでR10は水素原子又はメチル基を示す。Xは炭素数2〜10のアルキレンオキサイド基を示す。fは1〜10の整数、gは0〜10の整数を示す。)
上述の接着剤は、(d)分子内に少なくとも一つ以上のリン酸基を有するビニル化合物(以下、「(d)リン酸基含有ビニル化合物」という。)をさらに含有してなることが好ましい。これにより、低温かつ短時間の硬化条件において、より優れた接着強度を得ることができる。
(a)熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、高温高湿環境下で長時間おかれた場合の接着強度の低下をより高度に抑制することができる。
上述の接着剤は、(e)導電性粒子をさらに含有することが好ましい。これにより、接着剤に導電性又は異方導電性を付与することができるため、接着剤を、接続端子を有する回路部材同士の接続用途等により好適に使用することが可能となる。また、上記接着剤を介して電気的に接続した接続端子間の接続抵抗を十分に低減することができる。
また、本発明は、第1の接続端子を有する第1の回路部材と、第2の接続端子を有する第2の回路部材とを、第1の接続端子と第2の接続端子とを対向して配置し、対向配置した第1の接続端子と第2の接続端子との間に、上述の接着フィルムを介在させ、加熱加圧して、第1の接続端子と第2の接続端子とを電気的に接続させてなる回路部材の接続構造体を提供する。
かかる接続構造体は、上述の接着フィルムを用いているため、回路部材間の接着強度を十分に高くすることができ、かつ高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができる。
本発明によれば、低温かつ短時間で硬化して、回路部材を接続した場合であっても優れた接着強度を有する回路部材の接続構造体を得ることができ、かつ得られる接続構造体の高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができ、更には貯蔵安定性に優れる接着剤、及びそれを用いた接続構造体を提供することができる。
本発明の接着剤は、(a)熱可塑性樹脂、(b)ラジカル重合性化合物、及び(c)ラジカル重合開始剤を含有してなる。
(a)熱可塑性樹脂としては、特に制限なく公知のものを用いることができるが、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を用いることができる。これらの中で、高温高湿環境下で長時間おかれた場合の接着強度の低下をより高度に抑制することができる点で、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、及びポリイミド樹脂が好ましい。
これらの樹脂は単独であるいは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、これらの樹脂中にはシロキサン結合やフッ素置換基が含まれていてもよい。これらは、混合する樹脂同士が完全に相溶するか、若しくはミクロ相分離が生じて白濁する状態であれば好適に用いることができる。上記樹脂の分子量は大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また接着剤としての流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。
これらの樹脂の分子量は特に制限を受けるものではないが、5,000〜150,000であると好ましく、10,000〜80,000であるとより好ましい。この分子量が、5,000未満ではフィルム形成性が劣る傾向があり、また150,000を超えると他の成分との相溶性が悪くなる傾向がある。
(b)ラジカル重合性化合物は、分子内に1つ以上のイソシアヌル酸構造を有する。これにより、接着剤の耐熱性及び接着強度が向上する。
(b)ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性を有するアクリロイル基又はメタクリロイル基(以後、(メタ)アクリロイル基と呼ぶ)やビニル基、アリル基を分子内に2つ以上有する化合物であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基を分子内に2つ以上有する化合物であることが特に好ましい。
(b)ラジカル重合性化合物好適な具体例としては、下記一般式(1)で表される化合物及び(2)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物は、必要に応じて単独であるいは混合して用いることができる。
Figure 2009074027
(ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(A)〜(C)で表される基を示す。Rは下記一般式(B)又は(C)で表される基を示す。aは1〜8の整数を示す。)
Figure 2009074027
(ここでR、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。b、c、d及びeはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す。)
Figure 2009074027
(ここでR、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアミノアルキル基、又は下記一般式(D)で表される基を表す。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは下記一般式(D)で表される基である。)
Figure 2009074027
(ここでR10は水素原子又はメチル基を示す。Xはエチレンオキサイド基(−CH−CH−O−)やプロピレンオキサイド基(−CH(CH)−CH−O−又は−CH−CH(CH)−O−)に代表される炭素数2〜10のアルキレンオキサイド基を示す。fは1〜10の整数、gは0〜10の整数を表す。)
(b)ラジカル重合性化合物の添加量は、(a)熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは30〜250質量部であり、より好ましくは50〜150質量部である。添加量が30質量部未満の場合には、接着剤の硬化後の耐熱性が低下する傾向があり、また、150質量部を超える場合には、接着剤をフィルム状にして使用する場合のフィルム形成性が低下する傾向がある。
(c)ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている過酸化物やアゾ化合物等公知の化合物を用いることができるが、安定性、反応性、相溶性の観点から、1分間半減期温度が90〜175℃であり、かつ分子量が180〜1,000である過酸化物が好ましい。
このような過酸化物の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2種類以上を混合して用いることができる。
(c)ラジカル重合開始剤としては、150〜750nmの光照射によってラジカルを発生する化合物を用いることができる。このような化合物としては、特に制限なく公知の化合物を用いることができるが、例えば、Photoinitiation,Photopolymerization,and Photocuring,J.−P. Fouassier,Hanser Publishers(1995年)、p17〜p35に記載されているα−アセトアミノフェノン誘導体やホスフィンオキサイド誘導体が光照射に対する感度が高いので好ましい。これらの化合物は、単独で用いても、上述の過酸化物やアゾ化合物と混合して用いてもよい。
(c)ラジカル重合開始剤の添加量は、(a)熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部であり、より好ましくは1〜30質量部である。添加量が0.1質量部未満の場合、十分な硬化性が得られない傾向にあり、また、50質量部を超える場合には、貯蔵安定性が低下する傾向がある。
上述の接着剤は、(d)リン酸基含有ビニル化合物をさらに含有してなることが好ましい。(d)リン酸基含有ビニル化合物としては、特に制限なく公知のものを用いることができるが、下記一般式(3)〜(5)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2009074027
(ここでR11は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基、R12は水素原子又はメチル基、W及びXはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。)
Figure 2009074027
(ここでR13は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基、Y及びZはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。)
Figure 2009074027
(ここでR14は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基、R15は、水素原子又はメチル基、A及びBはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。)
(d)リン酸基含有ビニル化合物の具体例としては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシエチルアクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、2,2’−ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルホスフェート、EO変性リン酸ジメタクリレート、リン酸変性エポキシアクリレート、リン酸ビニル等が挙げられる。
(d)リン酸基含有ビニル化合物の添加量は、(a)熱可塑性樹脂50質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部である。添加量が0.1質量部未満の場合、接着強度が低下する傾向にあり、また、15質量部を超える場合には、硬化後の接着剤の弾性率やガラス転移温度等の物性が低下し、接着剤の接続信頼性が低下する傾向がある。
上述の接着剤は、(e)導電性粒子をさらに含有してなることが好ましい。(e)導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等が挙げられる。また、(e)導電性粒子は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核に上述の金属、金属粒子やカーボンを被覆したものであってもよい。(e)導電性粒子が、プラスチックを核とし、この核に上述の金属、金属粒子やカーボンを被覆したものや熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので、回路部材同士を接続する際に、導電性粒子と電極との接触面積が増加して信頼性が向上するので好ましい。
またこれらの導電性粒子の表面を、さらに高分子樹脂等で被覆した微粒子を(e)導電性粒子として用いてもよい。このような微粒子は、導電性粒子の添加量を増加した場合の粒子同士の接触による短絡を抑制し、回路電極間の絶縁性を向上させることができることができるので好ましい。導電性粒子の表面を高分子樹脂等で被覆した粒子は、単独で又は他の導電性粒子と混合して用いることができる。
(e)導電性粒子の平均粒径は、分散性、導電性の点から、1〜18μmであることが好ましい。
(e)導電性粒子の添加量は、特に制限は受けないが、接着剤の全体積を基準として、0.1〜30体積%とすることが好ましく、0.1〜10体積%とすることがより好ましい。添加量が、0.1体積%未満であると導電性が劣る傾向にあり、30体積%を超えると回路の短絡が生じやすくなる傾向にある。なお、(e)導電性粒子の添加量(体積%)は23℃の硬化前の各成分の体積をもとに決定される。なお、各成分の体積は、比重を利用して質量を体積に換算することで求めることができる。また、体積を測定しようとする成分を溶解したり膨潤させたりせず、その成分をよくぬらすことができる適当な溶媒(水、アルコール等)をメスシリンダー等に入れ、そこへ測定対象の成分を投入して増加した体積をその成分の体積として求めることもできる。
上述の接着剤には、分子内に1つ以上のイソシアヌル酸構造を有する(b)ラジカル重合性化合物の他に、他のラジカル重合性化合物を併用することもできる。このようなラジカル重合性化合物としては、スチレン誘導体やマレイミド誘導体のように、ラジカルによって重合する化合物であれば、特に制限なく公知のものを用いることができる。
このようなラジカル重合性化合物の具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等のオリゴマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
また、流動性の調節を目的に、ラジカル重合性化合物として、単官能(メタ)アクリレートを使用することもできる。単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2種類以上を混合して用いることができる。
上述の接着剤は、橋架け率の向上を目的として、上述の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の他に、アリル基、マレイミド基、ビニル基等の活性ラジカルによって重合する官能基を有する化合物を含有してもよい。このような化合物の具体例としては、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、N−ビニルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドアクリルアミド等が挙げられる。
上述の接着剤は、硬化速度の制御や貯蔵安定性の付与のために、安定化剤を含有していてもよい。このような安定化剤としては、特に制限なく公知の化合物を用いることができるが、ベンゾキノンやハイドロキノン等のキノン誘導体、4−メトキシフェノールや4−t−ブチルカテコール等のフェノール誘導体、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルや4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のアミノキシル誘導体、テトラメチルピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン誘導体が好ましい。
安定化剤の添加量は、(a)熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が0.01質量部未満の場合、安定化剤の添加効果が小さい傾向にあり、また、30質量部を超える場合には、安定剤と他の成分との相溶性が低下するおそれがある。
上述の接着剤は、アルコキシシラン誘導体やシラザン誘導体に代表されるカップリング剤及び密着向上剤、レベリング剤等の接着助剤を含有していてもよい。接着助剤としては、下記一般式(6)で表される化合物が好ましい。この化合物は、単独であるいは2種類以上を混合して用いることができる。
Figure 2009074027
(ここでR16、R17及びR18はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、アリール基、R19は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、イソシアナート基、イミダゾール基、メルカプト基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、ウレイド基、グリシジル基、Cは1〜10の整数を示す。)
上述の接着剤は、応力緩和及び接着性向上を目的に、ゴム成分を含有していてもよい。ゴム成分の具体例としては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリン基をポリマ末端に有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトンが挙げられる。
上記ゴム成分としては、接着性向上の観点から、高極性基であるシアノ基、カルボキシル基を側鎖あるいは末端に含むゴムが好ましく、さらに流動性向上の観点から、液状ゴムがより好ましい。液状ゴムの具体例としては、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリン基をポリマ末端に含有する液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状カルボキシル化ニトリルゴムが挙げられ、極性基であるアクリロニトリル含有量が10〜60%であるものが好ましい。また、ポリブタジエンやアクリルゴムの核体をメタクリル酸メチルやスチレン等の重合性モノマーでグラフト化したコアシェル粒子を用いることもできる。これらの化合物は、単独であるいは2種類以上を混合して用いることができる。
上述の接着剤は、常温で液状である場合にはペースト状にして用いることができる。室温で固体の場合には、加熱して使用する他、溶剤を使用してペースト化して用いてもよい。使用できる溶剤としては、接着剤の各成分との反応性が十分に小さく、かつ十分な溶解性を示すものであれば、特に制限は受けないが、常圧での沸点が50〜150℃であるものが好ましい。沸点が50℃未満の場合、室温で放置すると揮発するおそれがあり、開放系での使用が制限される。また、沸点が150℃を超えると、溶剤を揮発させることが難しく、接着後の接続信頼性に悪影響を及ぼすおそれがある。
上述の接着剤はフィルム状にして用いることもできる。接着剤の各成分に必要により溶剤等を加える等した溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、離形紙等の剥離性基材上に塗布し、あるいは不織布等の基材に前記溶液を含浸させて剥離性基材上に載置し、溶剤等を除去することにより、フィルム状にすることができる。フィルム状として使用すると取扱性等の点から一層便利である。
上述の接着剤は加熱及び加圧を併用することにより、被着体を接着させることができる。加熱温度は、特に制限は受けず、例えば100〜250℃とすることができるが、硬化時の加熱による周辺部材への悪影響を十分に抑制するために、100〜180℃とすることが好ましい。圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば、特に制限は受けないが、一般的には0.1〜10MPaが好ましい。これらの加熱及び加圧の時間は、0.5秒〜120秒間とすることができるが、低コスト化の点から、0.5秒〜10秒とすることが好ましい。例えば、140〜200℃、3MPa、10秒の加熱でも接着させることが可能である。
上述の接着剤は、熱膨張係数の異なる異種の被着体の接着剤として使用することができる。具体的には、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィルム等に代表される回路接続材料、CSP用エラストマー、CSP用アンダーフィル材、LOCテープ、ダイアタッチフィルム等に代表される半導体素子接着材料として使用することができる。
本発明の回路部材の接続構造体は、第1の接続端子を有する第1の回路部材と、第2の接続端子を有する第2の回路部材とを、第1の接続端子と第2の接続端子とを対向して配置し、対向配置した第1の接続端子と第2の接続端子との間に、上述の接着フィルムを介在させ、加熱加圧して、第1の接続端子と第2の接続端子とを電気的に接続させてなる接続構造体である。
図1は、本発明の回路部材の接続構造体の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の接続構造体は、相互に対向する第1の回路部材20及び第2の回路部材30を備えており、第1の回路部材20と第2の回路部材30との間には、これらを接続する回路接続部材10が設けられている。
第1の回路部材20は、回路基板(第1の回路基板)21と、回路基板21の主面21a上に形成される回路電極(第1の回路電極)22とを備えている。なお、第1の回路基板21の主面21a上には、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
一方、第2の回路部材30は、回路基板(第2の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第2の回路電極)32とを備えている。また、回路基板31の主面31a上にも、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
第1及び第2の回路部材20,30としては、電気的接続を必要とする電極が形成されているものであれば特に制限はない。具体的には、液晶ディスプレイに用いられているITO等で電極が形成されているガラス又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンチップ等が挙げられ、これらは必要に応じて組み合わせて使用される。このように、本実施形態では、プリント配線板やポリイミド等の有機物からなる材質をはじめ、銅、アルミニウム等の金属やITO(indium tin oxide)、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO)等の無機材質のように多種多様な表面状態を有する回路部材を用いることができる。
回路接続部材10は、上述の接着剤の硬化物からなるものである。この回路接続部材10は、樹脂11及び導電性粒子7を含有している。導電性粒子7は、対向する回路電極22と回路電極32との間のみならず、主面21a,31a同士の間にも配置されている。回路部材の接続構造においては、回路電極22,32が、導電性粒子7を介して電気的に接続されている。即ち、導電性粒子7が回路電極22,32の双方に直接接触している。
ここで、導電性粒子7は、先に説明した(e)導電性粒子であり、樹脂11は、上述の接着剤の硬化物である。
この回路部材の接続構造においては、上述したように、対向する回路電極22と回路電極32とが導電性粒子7を介して電気的に接続されている。このため、回路電極22,32間の接続抵抗が十分に低減される。従って、回路電極22,32間の電流の流れを円滑にすることができ、回路の持つ機能を十分に発揮することができる。なお、回路接続部材10が導電性粒子7を含有していない場合には、回路電極22と回路電極32とが直接接触することで、電気的に接続される。
本実施形態の接続構造体の製造方法、すなわち回路部材20,30の接続方法は、例えば以下のとおりである。まず、回路部材20,30の間に、上述の接着剤を介在させる。このとき、回路電極22及び32が相互に対向するように、回路部材20,30を配置する。次に、回路部材20,30を介して接着剤を加熱しながら、それらの積層方向に加圧して、接着剤の硬化処理を施し回路接続部材10を形成する。硬化処理は、例えば上述の加熱温度、加圧圧力で行うことが可能であり、その方法は接着剤により適宜選択される。
回路接続部材10は、上述の接着剤の硬化物により構成されていることから、回路部材20又は30に対する回路接続部材10の接着強度が十分に高くなり、かつ高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができる。
なお、上述の実施形態においては、導電性粒子を含有する場合について説明したが、本発明の回路部材の接続構造体は、導電性粒子を含有していなくともよい。導電性粒子を含有しない場合には、相対向する電極同士が直接接触することにより電気的に接続される。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
(a)熱可塑性樹脂として、フェノキシ樹脂(PKHM−30:InChem社製商品名)、ブチラール樹脂(デンカブチラール3000−1:電気化学工業社製商品名)、ポリエステルウレタン樹脂(UR−5537:東洋紡社製商品名)、及び下記の方法により調製したウレタン樹脂を準備した。
フェノキシ樹脂及びブチラール樹脂は各々の樹脂40gを、それぞれメチルエチルケトン60gに溶解して、固形分40質量%の溶液として使用した。ポリエステルウレタン樹脂は、メチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒に溶解した状態で使用した。
また、ウレタン樹脂は、平均分子量2,000のポリブチレンアジペートジオール450gと、平均分子量2,000のポリオキシテトラメチレングリコール450gと、1,4−ブチレングリコール100gとをメチルエチルケトン4000g中で均一に混合し、ジフェニルメタンジイソシアネート390gを加えて、50℃にて反応させて得られた重量平均分子量100,000のウレタン樹脂を使用した。
また、(b)ラジカル重合性化合物として、以下のラジカル重合性化合物A〜Cを使用し、その他のラジカル重合性化合物として、以下のラジカル重合性化合物D及びEを使用した。
(1)ラジカル重合性化合物A:
イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(M−325:東亜合成株式会社製商品名、上記一般式(1)においてR及びRが一般式(A)で表される基、Rが一般式(B)で表される基、aが2、bが5、cが1である化合物)
(2)ラジカル重合性化合物B:
イソシアヌル酸変性ウレタントリアクリレート(UA−21:新中村化学工業株式会社製商品名、上記一般式(2)においてR、R及びRが一般式(D)で表される基、R10がメチル基、Xがエチレンオキシド基(−CH−CH−O−)、fが6、gが4である化合物)
(3)ラジカル重合性化合物C:
イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)100g(0.38モル)と、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート178g(1.14モル)と、触媒量のp−ジメチルアミノピリジンとを、トルエン278g中で均一に混合しながら、100℃にて6時間反応させて得られたイソシアヌル酸変性ウレタントリアクリレート(上記一般式(1)においてR、R及びRが一般式(C)で表される基、aが2、dが2、eが1である化合物)
(4)ラジカル重合性化合物D:
2−ヒドロキシエチルアクリレート238g(2.05モル)と、数平均分子量860のポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール(アルドリッチ社製)860g(1モル)と、1,4−シクロヘキサンジメタノール144gと、イソフォロンジイソシアネート666gとを、3時間かけて均一に滴下し、触媒量のジブチルスズジラウレート1.91gの存在下、70〜75℃で加熱して反応させた数平均分子量3,700のウレタンアクリレート
(5)ラジカル重合性化合物E:
EO変性ビスフェノールAジアクリレート(FA−324A;日立化成工業株式会社製商品名)
さらに、(d)リン酸基含有ビニル化合物として、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート(ライトエステルP−2M、共栄社株式会社製商品名)、(c)ラジカル重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO:日本油脂株式会社製商品名)を使用した。また、(e)導電性粒子として、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けた、平均粒径4μm、比重2.5の導電性粒子を使用した。
上述の(a)〜(d)成分を、下記表1に示す配合割合(表中の数値は固形状態での質量部を示す。)で配合し、さらに(e)導電性粒子を1.5体積%(比較例1〜3については3.0体積%)配合して分散させた。得られた分散液を、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によって厚みが20μmのフィルム状接着剤を得た。
Figure 2009074027
〔接着強度、接続抵抗の測定〕
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたフィルム状接着剤について下記の方法により、接着強度及び接続抵抗の測定を行った。
まず、ライン幅25μm、ピッチ50μm、厚み12μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)と、0.2μmの酸化インジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(厚み1.1mm、表面抵抗20Ω/□)とを用意した。これらのフレキシブル回路板とガラスとの間に上述のフィルム状接着剤を介在させ、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて、160℃の温度で3MPaで10秒間の加熱加圧を行って幅2mmにわたり接続し、回路部材の接続構造体を作製した。
この接続構造体の隣接回路間の抵抗値を、接着直後と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に144時間保持した後にマルチメータで測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗37点の平均で示した。
また、この接続構造体の接着強度をJIS−Z0237に準じて90度剥離法で測定し、評価した。ここで、接着強度の測定装置としては、東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。以上のようにして行った接続構造体の接着強度、接続抵抗の測定の結果を下記表2に示した。
Figure 2009074027
実施例1〜6で得られたフィルム状接着剤は、接着直後及び85℃、85%RHの高温高湿槽中に144時間保持(高温高湿処理)した後であっても、良好な接続抵抗及び接着強度を示し、良好な特性を示すことが分かった。これに対して、比較例1では、高温高湿処理後の接続抵抗値が高く、比較例2では接着直後及び高温高湿処理後の接着力が低く、また比較例3では高温高湿処理後の接続抵抗の上昇と接着力の低下がみられた。
以上にように、実施例1〜6で得られたフィルム状接着剤によれば、低温かつ短時間で硬化して、回路部材を接続した場合であっても優れた接着強度を有する回路部材の接続構造体を得ることができ、かつ得られる接続構造体の高温高湿環境下における接続信頼性の低下を十分に抑制することができ、更には貯蔵安定性に優れる。
本発明の回路部材の接続構造体の一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
7…導電性粒子、10…回路接続部材、11…樹脂、20,30…回路部材、21,31…回路基板、22,32…回路電極。

Claims (6)

  1. (a)熱可塑性樹脂、(b)ラジカル重合性化合物、及び(c)ラジカル重合開始剤を含有してなる接着剤であって、
    (b)ラジカル重合性化合物が分子内に1つ以上のイソシアヌル酸構造を有する接着剤。
  2. (b)ラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物及び/又は下記一般式(2)で表される化合物を含む、請求項1記載の接着剤。
    Figure 2009074027
    (ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(A)〜(C)で表される基を示す。Rは下記一般式(B)又は(C)で表される基を示す。aは1〜8の整数を示す。)
    Figure 2009074027
    (ここでR、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。b、c、d及びeはそれぞれ独立に、1〜10の整数を示す。)
    Figure 2009074027
    (ここでR、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアミノアルキル基、又は下記一般式(D)で表される基を表す。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは下記一般式(D)で表される基である。)
    Figure 2009074027
    (ここでR10は水素原子又はメチル基を示す。Xは炭素数2〜10のアルキレンオキサイド基を示す。fは1〜10の整数、gは0〜10の整数を示す。)
  3. (d)分子内に少なくとも一つ以上のリン酸基を有するビニル化合物をさらに含有してなる、請求項1又は2に記載の接着剤。
  4. (a)熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤。
  5. (e)導電性粒子をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤。
  6. 第1の接続端子を有する第1の回路部材と、
    第2の接続端子を有する第2の回路部材とを、
    前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを対向して配置し、
    対向配置した前記第1の接続端子と前記第2の接続端子との間に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着フィルムを介在させ、加熱加圧して、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続させてなる、回路部材の接続構造体。
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