JP2013227420A - 回路接続材料、回路接続構造体、接着フィルム及び巻重体。 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ラジカル重合型でありながら、回路部材を接続後に高温高湿環境下に放置した場合でも、回路部材との界面における剥離気泡の発生を十分に抑制でき且つ十分な接続信頼性を維持できる回路接続材料を提供すること。
【解決手段】
相対向する二つの回路部材を電気的に接続するための回路接続材料であって、熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤及び無機微粒子を含有し、ラジカル重合性化合物の含有量が、回路接続材料の全量基準で40質量%未満であり、ラジカル重合性化合物のうち分子量が1000を超える化合物の含有量が、回路接続材料の全量基準で20質量%以上であり、無機微粒子の含有量が、回路接続材料の全量基準で5〜30質量%である、回路接続材料。
【選択図】図1
ラジカル重合型でありながら、回路部材を接続後に高温高湿環境下に放置した場合でも、回路部材との界面における剥離気泡の発生を十分に抑制でき且つ十分な接続信頼性を維持できる回路接続材料を提供すること。
【解決手段】
相対向する二つの回路部材を電気的に接続するための回路接続材料であって、熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤及び無機微粒子を含有し、ラジカル重合性化合物の含有量が、回路接続材料の全量基準で40質量%未満であり、ラジカル重合性化合物のうち分子量が1000を超える化合物の含有量が、回路接続材料の全量基準で20質量%以上であり、無機微粒子の含有量が、回路接続材料の全量基準で5〜30質量%である、回路接続材料。
【選択図】図1
Description
本発明は、相対向する二つの回路部材を電気的に接続するための回路接続材料、並びに、それを用いた回路接続構造体、接着フィルム及び巻重体に関する。
半導体素子及び液晶表示素子において、素子中の種々の部材を結合させる目的で従来から種々の回路接続材料が使用されている。回路接続材料に要求される特性は、接着性をはじめとして、耐熱性、高温高湿状態における信頼性等、多岐に渡る。
また、回路接続材料で接着する被着体としては、例えば、プリント配線板、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネ―ト等の有機基材、銅及びアルミニウム等の金属基材、並びに、ITO、IZO、SiN及びSiO2等の無機基材が挙げられ、多種多様な表面状態を有する基材が用いられる。そのため、回路接続材料は、各被着体にあわせた分子設計が必要である(例えば特許文献1〜2)。
従来から、半導体素子用又は液晶表示素子用の回路接続材料としては、高接着性及び高信頼性を示すエポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂組成物が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような熱硬化性樹脂組成物の構成成分としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応性を有するフェノール樹脂等の硬化剤、及び、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進する熱潜在性触媒が一般に用いられている。
上述の回路接続材料は、実際の工程では、170〜250℃の温度で1〜3時間硬化することにより、所望の接着を得ていた。しかしながら、最近の半導体素子の高集積化及び液晶素子の高精細化に伴い、素子間及び配線間ピッチが狭小化し、硬化時の加熱によって、周辺部材に悪影響を及ぼす恐れが出ている。
また、低コスト化のためには、スループットを向上させる必要性があり、より低温かつ短時間での硬化、換言すれば低温速硬化での接着が要求されている。この低温速硬化を達成するためには、活性化エネルギーの低い熱潜在性触媒を使用する必要があり、室温付近での貯蔵安定性を兼備することが非常に難しい。
近年、アクリレート誘導体及び/又はメタアクリレート誘導体(以後、(メタ)アクリレート誘導体とよぶ)とラジカル重合開始剤である過酸化物とを併用した、ラジカル硬化型接着剤が注目されている。ラジカル硬化型接着剤は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、短時間硬化が可能である(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、ラジカル硬化型接着剤は、(メタ)アクリレートの硬化収縮がエポキシ樹脂の硬化収縮と比較して大きいため、接続構造体を例えば85℃85%RHといった高温高湿環境下に放置した場合、回路部材と回路接続材料との界面に剥離気泡が生じてしまうことが多い。これを解決するために(メタ)アクリレートの配合量を少なくした場合、回路部材と回路接続材料との界面における剥離は抑制できても、接着強度が低くなったり、相対する電極間の電気的接続を維持できなくなってしまう。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ラジカル重合型でありながら、回路部材を接続後に高温高湿環境下に放置した場合でも、回路部材との界面における剥離気泡の発生を十分に抑制でき且つ十分な接続信頼性を維持できる回路接続材料と、該回路接続材料を用いて作製された回路接続構造体と、該回路接続材料からなる接続材料層を備える接着フィルムと、該接着フィルムの巻重体と、を提供することを目的とする。
本発明は、相対向する二つの回路部材を電気的に接続するための回路接続材料であって、熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤及び無機微粒子を含有し、上記ラジカル重合性化合物の含有量が、上記回路接続材料の全量基準で40質量%未満であり、上記ラジカル重合性化合物のうち分子量が1000を超える化合物の含有量が、上記回路接続材料の全量基準で20質量%以上であり、上記無機微粒子の含有量が、上記回路接続材料の全量基準で5〜30質量%である、回路接続材料を提供する。
本発明の回路接続材料は、ラジカル硬化型であるため、低温且つ短時間で回路部材同士を接着することができる。また、本発明の回路接続材料によれば、回路部材を接続後に高温高湿環境下に放置した場合でも、回路部材との界面における剥離気泡の発生が十分に抑制され、且つ十分な接続信頼性が維持される。
本発明の回路接続材料において、上記ラジカル重合性化合物のうち分子量が1000以下の化合物の含有量は、上記回路接続材料の全量基準で15質量%以下であることが好ましい。
本発明の回路接続材料において、上記無機微粒子の平均粒子径は1μm未満であってよい。
本発明の回路接続材料は、導電性粒子が分散されていてもよい。導電性粒子を分散させることにより、回路接続材料に導電性又は異方導電性を付与することができ、このおうな回路接続材料は、回路電極を有する回路部材同士を接続するための用途等により好適に用いることができる。また、このような回路接続材料で接続することにより、接続された回路電極間の接続抵抗を十分に低減することができる。
すなわち、本発明は、上記回路接続材料と該回路接続材料中に分散された導電性粒子とを含有する異方導電性接着剤であってもよい。なお、本明細書中「回路接続材料の全量」には導電性粒子は含まれない。
本発明の回路接続材料の形状は、フィルム状とすることができる。このような回路接続材料は取扱い性に優れる。
本発明において、上記二つの回路部材のうち少なくとも一方は、ガラス基板であってよい。また、上記二つの回路部材のうち少なくとも一方は、フレキシブル基板であってよい。本発明の回路接続材料はこのような回路部材の接続に好適に使用することができる。
本発明はまた、対向配置された一対の回路部材と、上記回路接続材料の硬化物を含み、上記一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部材と、を備える、回路接続構造体を提供する。
本発明の回路接続構造体は、上記回路接続材料の硬化物を含む接続部材により回路部材同士が接着されているため、高温高湿条件下に放置した場合でも、回路部材と接続部材との界面における剥離気泡の発生が十分に抑制され、且つ十分な接続信頼性が維持される。
本発明はまた、フィルム基材と、該フィルム基材の一方面上に設けられた上記回路接続材料を含むフィルム状接着剤と、を備える、接着フィルムを提供する。このような接着フィルムは、上記回路接続材料を含むフィルム状接着剤を備えるため、回路部材同士の接続に好適に利用することができる。また、本発明の接着フィルムは、リール状に巻き重ねて保管することができる。
従来の回路接続材料をフィルム基材の一方面上に塗布してリール状にして巻き重ねた場合、フィルム基材の他方面上にフィルム状接着剤が転写して、有効に使用できなくなる場合がある。これに対して本発明の接着フィルムでは、フィルム状接着剤が上記回路接続材料を含むものであるため、リール状に巻き重ねた場合でもフィルム基材の他方面上へのフィルム状接着剤の転写が、十分に抑制される。
本発明はさらに、上記接着フィルムをリール状に巻き重ねてなる、巻重体を提供する。本発明の巻重体は、回路部材同士の接続に好適に利用することができる。また、本発明の巻重体では、フィルム基材の他方面上へのフィルム状接着剤の転写が、十分に抑制される。
本発明によれば、ラジカル重合型でありながら、回路部材を接続後に高温高湿環境下に放置した場合でも、回路部材との界面における剥離気泡の発生を十分に抑制でき且つ十分な接続信頼性を維持できる回路接続材料と、該回路接続材料を用いて作製された回路接続構造体と、該回路接続材料からなる接続材料層を備える接着フィルムと、該接着フィルムの巻重体と、が提供される。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はそれに対応するメタクリル酸を示し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
本実施形態の回路接続材料は、熱可塑性樹脂(以下、場合により「(a)成分」と称する。)と、ラジカル重合性化合物(以下、場合により「(b)成分」と称する。)と、ラジカル重合開始剤(以下、場合により「(c)成分」と称する。)と、無機微粒子(以下、場合により「(d)成分」と称する。)と、を含有し、相対向する二つの回路部材を電気的に接続するために好適に使用することができる。
本実施形態において、ラジカル重合性化合物の含有量は、回路接続材料の全量基準で40質量%未満であり、ラジカル重合性化合物のうち分子量が1000を超える化合物の含有量は、回路接続材料の全量基準で20質量%以上であり、無機微粒子の含有量は、回路接続材料の全量基準で5〜30質量%である。
本実施形態の回路接続材料は、ラジカル硬化型であるため、低温且つ短時間で回路部材同士を接着することができる。また、本実施形態の回路接続材料によれば、回路部材を接続後に高温高湿環境下に放置した場合でも、回路部材との界面における剥離気泡の発生が十分に抑制され、且つ十分な接続信頼性が維持される。
(a)成分としては、公知の熱可塑性樹脂を特に制限なく使用でき、公知の熱可塑性樹脂を複数種混合して使用することもできる。
(a)成分は、フィルム形成性が一層向上する観点から、ガラス転移温度が25℃以上の樹脂を少なくとも1種含むことが好ましい。このような樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。また、(a)成分は、ガラス転移温度が25℃未満の樹脂を含有していてもよい。なお、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は一般的にDSC法やDVE法によって求めることができ、本明細書においてガラス転移温度はDSC法を用いて求めた値を示す。
(a)成分の熱可塑性樹脂中には、シロキサン結合又はフッ素置換基(例えば、フッ素原子、フッ化アルキル基又はフッ化アリール基)が含まれていてもよい。
(a)成分として二種以上の熱可塑性樹脂を混合して用いる場合、混合する熱可塑性樹脂同士が完全に相溶するか、ミクロ相分離が生じて白濁状態となることが好ましい。
回路接続材料は、(a)成分として、ガラス転移温度が25℃以上の樹脂を少なくとも1種含有することが好ましく、その樹脂の重量平均分子量は5000〜200000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましい。
(a)成分のうち、ガラス転移温度が25℃以上の樹脂は、重量平均分子量が5000未満の場合、回路接続材料の接着力が劣る傾向や、フィルム形成性が十分に得られない傾向があり、重量平均分子量が200000を超える場合、回路接続材料の他の成分との相溶性に劣り、回路接続材料の流動性を低下させることがある。これに対して、重量平均分子量が上記範囲の熱可塑性樹脂によれば、回路接続材料の接着力の低下及び流動性の低下を十分に抑制することができ、接続信頼性を一層向上させることができる。
なお、本発明において、重量平均分子量は、GPC法で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
回路接続材料は、(a)成分として、公知のゴム成分を含有していてもよい。ゴム成分の添加により、応力緩和及び接着性の向上が期待できる。ゴム成分の具体例としては、アクリルゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール及びポリ−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
ゴム成分の重量平均分子量は、200000〜1000000であることが好ましい。ゴム成分の重量平均分子量が200000未満であると十分な応力緩和効果が得られなくなる場合があり、1000000を超えると回路接続材料の流動性が低下する場合がある。すなわち、重量平均分子量が上記範囲にあるゴム成分によれば、回路接続材料の流動性の低下を十分に抑制しつつ、一層優れた応力緩和効果を得ることができる。
ゴム成分としては、接着性向上の観点から、高極性基であるシアノ基又はカルボキシル基を側鎖又は末端に有するゴム成分が好ましい。また、ゴム成分は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(b)成分としては、公知のラジカル重合性化合物を使用することができる。また(b)成分は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施形態において、(b)成分の含有量は回路接続材料の全量基準で40質量%未満であり、20質量%以上である。
また、本実施形態において、(b)成分としては、分子量が1000を超える化合物(以下、場合により「(b−1)成分」と称する。)を主として使用する。(b−1)成分の含有量は、回路接続材料の全量基準で20質量%以上であり、好ましくは25質量%以上である。(b−1)成分の含有量を20質量%以上とすることにより、上述の本発明の効果を顕著に得ることができる。
(b−1)成分の分子量は、好ましくは20000以下であり、より好ましくは15000以下である。なお、(b−1)成分が分子量分布を有する場合は、(b−1)成分の重量平均分子量を、(b−1)の分子量とみなすことができる。
回路接続材料は、(b)成分として分子量が1000以下の化合物(以下、場合により「(b−2)成分」と称する。)を含有していてもよい。(b−2)成分の含有量は、回路接続材料の全量基準で15質量%以下であることが好ましく、12.5質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。また、(b−2)成分の含有量は、2.5質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよい。
本実施形態において、(b−1)成分の含有量C1に対する(b−2)成分の含有量C2の比(質量比)C2/C1は、好ましくは0〜0.75であり、より好ましくは0.05〜0.4であり、さらに好ましくは0.075〜0.35である。
(b−1)成分としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等のオリゴマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基にエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールを付加させた化合物に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入した化合物等の多官能(メタ)アクリレート;が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、(b−2)成分としては、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
回路接続材料は、(b)成分として、分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも1種含有することが好ましく、(b−1)成分として、分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも1種含有することがより好ましい。
(b)成分としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましいが、(b)成分としてアリル基、マレイミド基及びビニル基等の活性ラジカルによって重合する官能基を有する化合物を用いることもできる。このような(b)成分の具体例としては、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、N−ビニルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチロールアクリルアミド、4,4‘−ジフェニルメタンビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)へキサン等が挙げられる。
また、回路接続材料は、(b)成分として、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物を含有していてもよい。リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物としては、例えば、下記式(2)〜(4)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物が挙げられる。このような化合物を配合することで、金属等の無機物表面に対する接着強度が一層向上し、回路電極同士の接着に一層有効な回路接続材料が得られる。
式(2)中、R5は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R6は水素原子又はメチル基を示し、w及びxは各々独立に1〜8の整数を示す。式中、R5同士、R6同士、w同士及びx同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(3)中、R7は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、y及びzは各々独立に1〜8の整数を示す。式中、R7同士、y同士及びz同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(4)中、R8は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R9は水素原子又はメチル基を示し、a及びbは各々独立に1〜8の整数を示す。
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシエチルアクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、2,2’−ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルホスフェート、EO変性リン酸ジメタクリレート、リン酸変性エポキシアクリレート及びリン酸ビニル等が挙げられる。
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は、回路接続材料の全量基準で0.01〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
また、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物として、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させた化合物を用いることもできる。このようなリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物としては、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等がある。なお、リン酸エステル構造を有する化合物は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物は、(b−1)成分であっても(b−2)成分であってもよく、(b−2)成分であることが好ましい。
(c)成分のラジカル重合開始剤としては、例えば、加熱により分解して遊離ラジカルを発生する化合物が挙げられ、過酸化物及びアゾ化合物等の公知の化合物を用いることができる。
(c)成分は、安定性、反応性及び相溶性を兼ね備える観点から、1分間半減期温度が90〜175℃であり、且つ分子量が180〜1000である過酸化物を、好適に用いることができる。ここで「1分間半減期温度」とは、半減期が1分となる温度をいい、「半減期」とは、化合物の濃度が初期値の半分に減少するまでの時間をいう。
(c)成分の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、3−メチルベンゾイルパーオキサイド、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。なお、(c)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の化合物を混合して用いてもよい。
(c)成分としては、光照射(例えば、波長150nm〜750nmの光照射)によってラジカルを発生する化合物を用いることもできる。
このような化合物としては、例えば、Photoinitiation,Photopolymerization,and Photocuring,J.−P. Fouassier,Hanser Publishers(1995年)、p17〜p35に記載されているα−アセトアミノフェノン誘導体及びホスフィンオキサイド誘導体が、光照射に対する感度が高いためより好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、上記過酸化物又はアゾ化合物と混合して用いてもよい。
回路部材の回路電極の腐食を抑えるために、(c)成分に含有される塩素イオン及び有機酸の量は、それぞれ10000質量ppm以下であることが好ましく、5000質量ppm以下であることがより好ましい。なお、この上限値以下であれば回路電極の腐食が十分に抑制されることから、(c)成分に含有される塩素イオン及び有機酸の量は、500質量ppm以上であってもよい。
また、(c)成分は、室温(25℃)、常圧下での24時間の開放放置後の質量保持率が、20質量%以上であることが好ましい。このような質量保持率を有する(c)成分によれば、回路接続材料の保存安定性が一層向上する。なお、質量保持率は、放置前後の重量を測定することにより測定することができる。
(c)成分の含有量は、回路接続材料の全量基準で0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。(c)成分の含有量が上記範囲であると、十分な接着力を得るための反応率と長いポットライフとをより高いレベルで両立することができる。
(d)成分の無機微粒子としては、公知の無機微粒子を特に制限無く用いることができる。(d)成分としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ−アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子が挙げられる。また、(d)成分は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(d)成分の平均粒子径は、1μm未満であることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、回路接続材料中に存在するときの長軸方向のモード径である。(d)成分の平均1次粒子径は、100nm以下であることが好ましく、10〜30nmであることがより好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径は、画像解析により測定される値を示す。
(d)成分としては、分散性に優れることから、表面を有機基で修飾した微粒子を好適に用いることができる。有機基としては、例えば、ジメチルシロキサン基、ジフェニルシロキサン基等が挙げられる。
(d)成分の含有量は、回路接続材料の全量基準で5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。(d)成分の含有量が上記範囲であると、接続する回路電極間の接続抵抗を一層低減することができ、且つ本発明の効果が一層顕著に奏される。
(a)〜(d)成分の合計量は、回路接続材料の全量基準で90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましい。このような回路接続材料によれば本発明の効果が一層顕著に奏される。
本実施形態の回路接続材料は、上記以外の成分を含有していてもよい。例えば、本実施形態の回路接続材料は、下記式(1)で表されるシランカップリング剤を更に含有していてもよい。
式(1)中、R1、R2及びR3は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基又はアリール基を示し、R1、R2及びR3のうち少なくとも一つは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、R4はアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアナート基、イミダゾリル基、メルカプト基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、ウレイド基又はグリシジル基を示し、nは1〜10の整数を示す。
回路接続材料がシランカップリング剤を含有するとき、該シランカップリング剤の含有量は、回路接続材料の全量基準で0.1〜10質量%であることが好ましく、0.25〜5質量%であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が10質量%を超えるとポットライフが短くなる傾向がある。
また、本実施形態の回路接続材料には、硬化速度の制御、貯蔵安定性の付与等の理由で、安定化剤を添加してもよい。安定化剤としては、ベンゾキノン、ハイドロキノン等のキノン誘導体;4−メトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール等のフェノール誘導体;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のアミノキシル誘導体;テトラメチルピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン誘導体;等を好適に用いることができる。
回路接続材料が安定化剤を含有するとき、該安定化剤の含有量は、回路接続材料の全量基準で0.01〜15質量%とすることが好ましく、0.05〜10質量%とすることがより好ましい。安定化剤の含有量が0.01質量%未満であると添加効果が十分に得られない場合があり、15質量%を超えると重合反応が阻害され、低温速硬化性に劣る場合がある。
また、本実施形態の回路接続材料には、応力緩和及び耐熱性の向上を目的として、有機微粒子を添加してもよい。有機微粒子としては、公知の有機微粒子を特に制限なく使用できる。
有機微粒子としては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート−ブタジエン−スチレン微粒子、アクリル−シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等が挙げられる。これらの有機微粒子は、均一な構造でもコア−シェル型構造となっていてもよい。
回路接続材料が有機微粒子を含有するとき、該有機微粒子の含有量は、回路接続材料の全量基準で1.5〜20質量%とすることが好ましく、2〜15質量%とすることがより好ましい。
本実施形態の回路接続材料には、導電性粒子が分散されていてもよい。これにより、回路接続材料に導電性又は異方導電性を付与することができ、このような回路接続材料は、回路電極を有する回路部材同士の接続用途等により好適に用いることができる。また、このような回路接続材料で接続することにより、接続された回路電極間の接続抵抗を十分に低減することができる。
すなわち、本発明は、回路接続材料と該回路接続材料中に分散された導電性粒子とを含有する異方導電性接着剤であってもよい。なお、本明細書中「回路接続材料の全量」には導電性粒子は含まれない。
導電性粒子としては、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、はんだ等の金属からなる金属粒子、カーボン粒子等が挙げられる。また、導電性粒子は、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性材料からなる粒子を核体とし、この核体に上記金属、金属粒子、カーボン等の導電性材料を被覆したものであってもよい。
また、導電性粒子としては、熱溶融金属粒子が好ましい。このような導電性粒子は、加熱加圧による変形性を有するので、回路部材同士を接続する際に、導電性粒子と電極との接触面積が増加して回路部材間の接続信頼性が向上する傾向にある。
導電性粒子の配合量は、異方導電性接着剤の総体積に対して0.1〜30体積%とすることが好ましく、0.1〜10体積%とすることがより好ましい。導電性粒子の配合量が0.1体積%未満であると導電性が劣る傾向があり、30体積%を超えると回路電極間の短絡が生じやすくなる傾向がある。なお、導電性粒子の配合量は、硬化前の回路接続材料の各成分の23℃での体積をもとに決定される。各成分の体積は、比重を利用して質量を体積に換算することで求めることができる。また、体積を測定しようとする成分を溶解したり膨潤させたりせず、その成分をよくぬらすことができる適当な溶媒(水、アルコール等)をメスシリンダー等に入れ、そこへ測定対象の成分を投入して増加した体積をその成分の体積として求めることもできる。
本実施形態の回路接続材料は、上述の各成分を溶剤を用いずに混合して製造することができる。また、上述の各成分を、該各成分を溶解又は分散できる溶剤とともに混合して製造することもできる。
本実施形態の回路接続材料は、フィルム状にして用いることができる。フィルムの形状とすることで、回路接続材料の取扱性が極めて良好になる。
具体的には、例えば、回路接続材料に必要に応じて溶剤等を加えて調製した溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、剥離紙等の剥離性基材上に塗布した後、溶剤を除去することにより、フィルム状の回路接続材料(以下、場合により「フィルム状接着剤」と称する。)を得ることができる。また、回路接続材料に必要に応じて溶剤等を加えて調製した溶液を、不織布等の基材に含浸させて剥離性基材上に載置し、溶剤を除去することによっても、フィルム状接着剤を得ることができる。また、混合時に導電性粒子を配合することで、フィルム状接着剤に導電性粒子を分散させることができる。
溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエンを好適に用いることができる。
図1は、本発明の回路接続材料の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、上記回路接続材料をフィルム状に成形してなるものである。フィルム状接着剤1は、取り扱いが容易であり、被着体上へ容易に設置することができる。そのため、フィルム状接着剤1によれば、接続作業を容易に行うことができる。
フィルム状接着剤1は、2種以上の層からなる多層構造(図示せず)を有していてもよい。また、フィルム状接着剤1には、導電性粒子(図示せず)が分散されていてもよい。導電性粒子が分散されたフィルム状接着剤は、異方導電性フィルム状接着剤として好適に利用することができる。すなわち、本発明は、上記回路接続材料と導電性粒子とを含有する、異方導電性フィルム状接着剤であってもよい。
本実施形態の回路接続材料(例えば、フィルム状接着剤1)を用いた被着体の接続方法としては、例えば、加熱及び加圧を併用した接続方法が挙げられる。この方法において、加熱温度は100〜250℃であることが好ましい。また、圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.1〜10MPaであることが好ましい。これらの加熱及び加圧は、0.5秒〜120秒の範囲で行うことが好ましい。また、上記回路接続材料によれば、例えば、加熱温度150〜200℃及び圧力3MPaの条件にて10秒間の加熱及び加圧を行うことで、被着体同士を十分に接着させることができる。
本実施形態の回路接続材料は、熱膨張係数の異なる異種の被着体の接着剤として好適に使用することができる。具体的には、例えば、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィルム等に代表される回路接続材料として、又は、CSP用エラストマー、CSP用アンダーフィル材、LOCテープ等に代表される半導体素子接着材料として、好適に使用することができる。
本実施形態の回路接続材料は、フィルム基材の一方面上においてフィルム状に形成されていてもよい。
すなわち、本発明は、フィルム基材と該フィルム基材の一方面上に設けられ、上記回路接続材料を含むフィルム状接着剤と、を備える接着フィルムであってもよい。このような接着フィルムは、フィルム基材を剥離することで上述のフィルム状接着剤として好適に用いることができる。
接着フィルムでは、フィルム状接着剤が上述の特定の構成を有する回路接続材料を含むため、フィルム基材の他方面とフィルム状接着剤とが接するようにリール状に巻き重ねた場合でも、フィルム基材の他方面上へのフィルム状接着剤の転写が十分に抑制される。
従来の回路接続材料で同様の巻重体を作製した場合、フィルム基材間から回路接続材料が染み出す場合があるが、この接着フィルムでは、フィルム状接着剤が上述の特定の構成を有する回路接続材料を含むため、リール状に巻き重ねた場合でも、フィルム状基材間からのフィルム状接着剤の染み出しが十分に抑制される。そのため、接着フィルムは、リール状に巻き重ねた巻重体として好適に保管することができ、取扱性に一層優れる。
フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンが挙げられる。
接着フィルムは、例えば、幅5mm以下(好ましくは0.5〜5.0mm)、長さ1m以上(好ましくは10〜500m)とすることができる。このようなサイズの接着フィルムは、リール状に巻き重ねて保管することが望ましいため、上述の効果が特に有効となる。
接着フィルムは、フィルム状接着剤上に設けられた保護フィルムを更に備えていてもよい。保護フィルムは、被着体の接続前に剥離する必要があるため、剥離性に優れることが望ましい。
以下、本実施形態の回路接続材料を用いて、回路基板の主面上に回路電極が形成された回路部材同士を接続する場合の一例について、説明する。なお、以下の説明では、回路接続材料に導電性粒子を分散させて異方導電性接着剤とした場合を例示したが、回路接続材料に導電性粒子を分散させない場合にも同様の方法により回路部材同士の接続を行うことができる。
異方導電性接着剤を、回路基板上の相対向する回路電極間に配置し、加熱加圧することにより、対向する回路電極間の電気的接続と回路基板間の接着とを行い、回路部材同士を接続することができる。
回路基板としては、例えば、ガラス基板;ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の有機物からなるフレキシブル基板;が挙げられる。ここで、回路基板としては、一方がガラス基板であり、他方がフレキシブル基板である場合に特に本発明の効果が大きい。また、回路基板としては、ガラス/エポキシ等の無機物と有機物とを組み合わせた基板を用いることもできる。
図2は、本発明の回路接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す回路接続構造体は、相互に対向する第一の回路部材20及び第二の回路部材30を備えており、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間には、これらを接続する接続部材10が設けられている。
第一の回路部材20は、回路基板(第一の回路基板)21と、回路基板21の主面21a上に形成される回路電極(第一の回路電極)22とを備えている。なお、回路基板21の主面21a上には、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
一方、第二の回路部材30は、回路基板(第二の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第二の回路電極)32とを備えている。また、回路基板31の主面31a上にも、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
第一及び第二の回路部材20,30としては、電気的接続を必要とする電極が形成されているものであれば特に制限はない。具体的には、液晶ディスプレイに用いられているITO、IZO等で電極が形成されているガラス又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンチップ等が挙げられ、これらは必要に応じて組み合わせて使用される。このように、本実施形態では、プリント配線板やポリイミド等の有機物からなる材質をはじめ、銅、アルミニウム等の金属やITO(indium tin oxide)、窒化ケイ素(SiNx)、二酸化ケイ素(SiO2)等の無機材質のように多種多様な表面状態を有する回路部材を用いることができる。
接続部材10は、絶縁性物質11及び導電性粒子7を含有している。導電性粒子7は、対向する回路電極22と回路電極32との間のみならず、主面21a,31a同士間にも配置されている。この回路接続構造体においては、回路電極22,32が、導電性粒子7を介して電気的に接続されている。即ち、導電性粒子7が回路電極22,32の双方に直接接触している。
ここで、導電性粒子7は、先に説明した導電性粒子であり、絶縁性物質11は、上記回路接続材料の硬化物である。
この回路接続構造体においては、上述したように、対向する回路電極22と回路電極32とが導電性粒子7を介して電気的に接続されている。このため、回路電極22,32間の接続抵抗が十分に低減される。従って、回路電極22,32間の電流の流れを円滑にすることができ、回路の持つ機能を十分に発揮することができる。なお、接続部材10が導電性粒子7を含有していない場合には、回路電極22と回路電極32とが直接接触することで、電気的に接続される。
接続部材10は、上記回路接続材料の硬化物と導電性粒子とから構成されていることため、回路部材20又は30に対する接続部材10の接着強度が十分に高くなり、信頼性試験(高温高湿試験)後においても安定した性能(良好な接着強度及び接続抵抗)を維持することができる。
次に、図3を参照しながら、上述した回路接続構造体の製造方法の一例について説明する。まず、上述した第一の回路部材20と、フィルム状接着剤40とを用意する(図3(a)参照)。フィルム状接着剤40は、導電性粒子が分散された回路接続材料をフィルム状に成形してなるものであり、回路接続材料5と導電性粒子7とを含む。なお、フィルム状接着剤40に導電性粒子7が分散されていない場合(すなわち、フィルム状接着剤40が回路接続材料5からなる場合)でも、そのフィルム状接着剤は絶縁性接着剤として異方導電性接着に使用でき、このとき回路接続材料はNCP(Non−Conductive Paste)と呼ばれることもある。また、回路接続材料5に導電性粒子7が分散されている場合、その材料はACP(Anisotropic Conductive Paste)と呼ばれることもある。
フィルム状接着剤40の厚さは、6〜50μmであることが好ましい。フィルム状接着剤40の厚さが6μm未満では、回路電極22,32間に回路接続材料5が充填不足となる傾向がある。他方、50μmを超えると、回路電極22,32間の回路接続材料5を十分に排除しきれなくなり、回路電極22,32間の導通の確保が困難となる傾向がある。
次に、フィルム状接着剤40を第一の回路部材20の回路電極22が形成されている面上に載せる。なお、フィルム状接着剤40が支持体(図示せず)上に付着している場合には、フィルム状接着剤40側を第一の回路部材20に向けるようにして、第一の回路部材20上に載せる。このとき、フィルム状接着剤40はフィルム状であり、取り扱いが容易である。このため、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間にフィルム状接着剤40を容易に介在させることができ、第一の回路部材20と第二の回路部材30との接続作業を容易に行うことができる。
そして、フィルム状接着剤40を、図3(a)の矢印A及びB方向に加圧し、フィルム状接着剤40を第一の回路部材20に仮接続する(図3(b)参照)。このとき、加熱しながら加圧してもよい。但し、加熱温度はフィルム状接着剤40(フィルム状接着剤40を構成する回路接続材料5)が硬化しない温度よりも低い温度とする。
続いて、図3(c)に示すように、第二の回路部材30を、第二の回路電極32を第一の回路部材20に向けるようにしてフィルム状接着剤40上に載せる。なお、フィルム状接着剤40が支持体(例えば上述のフィルム状基材(図示せず))上に付着している場合には、支持体を剥離してから第二の回路部材30をフィルム状接着剤40上に載せる。このとき第一及び第二の回路電極22,23が相対向するよう位置合わせをしてから、第二の回路部材30の上から加熱、加圧することで第二の回路部材30を仮固定することができる。こうすることで続く本接続時の電極の位置ずれを抑制することができる。仮固定時の加熱温度はフィルム状接着剤40中の回路接続材料5が硬化しない温度よりも低い温度とし、スループット短縮のため位置合わせから仮固定完了までの時間は5秒以下であることが好ましい。
そして、フィルム状接着剤40を加熱しながら、図3(c)の矢印A及びB方向に第一及び第二の回路部材20,30を介して加圧する。このときの加熱温度は、重合反応が開始可能な温度とする。こうして、フィルム状接着剤40が硬化処理されて本接続が行われ、図2に示すような回路接続構造体が得られる。
ここで、接続条件は先に述べた通り、加熱温度100〜250℃、圧力0.1〜10MPa、接続時間0.5秒〜120秒間であることが好ましい。これらの条件は、使用する用途、回路接続材料、回路部材によって適宜選択され、必要に応じて、後硬化を行ってもよい。
上記のようにして回路接続構造体を製造することにより、得られる回路接続構造体において、導電性粒子7を対向する回路電極22,32の双方に接触させることが可能となり、回路電極22,32間の接続抵抗を十分に低減することができる。
また、フィルム状接着剤40の加熱により、回路電極22と回路電極32との間の距離を十分に小さくした状態で回路接続材料5が硬化して絶縁性物質11となり、第一の回路部材20と第二の回路部材30とが接続部材10を介して強固に接続される。すなわち、得られる回路接続構造体においては、接続部材10が上述の回路接続材料からなる絶縁性物質11を備えることから、回路部材20又は30に対する接続部材10の接着強度が十分に高くなるとともに、電気的に接続した回路電極間の接続抵抗を十分に低減することができる。また、高温高湿環境下に長期間おかれた場合であっても、回路部材20,30と接続部材10との界面における剥離気泡の発生を十分に抑制することができるとともに、接着強度の低下及び接続抵抗の増大を十分に抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(製造例1:熱可塑性樹脂の合成)
還流冷却器、温度計及び撹拌器を備えたセパラブルフラスコに、エーテル結合を有するジオールとしてポリプロピレングリコール(Mn=2000)1000質量部及び溶媒としてメチルエチルケトン4000質量部を加え、40℃で30分間撹拌した。この溶液を70℃まで昇温した後、触媒としてジメチル錫ラウレート1質量部を加え、次いで、この溶液に対して、ジイソシアネート化合物として4,4−ジフェニルメタン−ジイソシアネート125質量部をメチルエチルケトン125質量部に溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。
還流冷却器、温度計及び撹拌器を備えたセパラブルフラスコに、エーテル結合を有するジオールとしてポリプロピレングリコール(Mn=2000)1000質量部及び溶媒としてメチルエチルケトン4000質量部を加え、40℃で30分間撹拌した。この溶液を70℃まで昇温した後、触媒としてジメチル錫ラウレート1質量部を加え、次いで、この溶液に対して、ジイソシアネート化合物として4,4−ジフェニルメタン−ジイソシアネート125質量部をメチルエチルケトン125質量部に溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。
その後、赤外分光光度計でNCO(イソシアネート基)の吸収ピークが見られなくなるまで70℃で撹拌を続け、ポリウレタン樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を固形分濃度が30質量%になるよう調整して、実施例及び比較例で用いた。
得られたポリウレタン樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果、320000であった。GPCの分析条件を下記表1に示す。
(製造例2:ラジカル重合性化合物の合成)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(アルドリッチ社製、数平均分子量2000)4000質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート238質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.49質量部及びスズ系触媒4.9質量部を仕込み70℃に加熱し、IPDI(イソホロンジイソシアネート)666質量部を3時間かけて均一に滴下し、反応させた。滴下完了後15時間反応を継続し、NCO%(ウレタン基に対するイソシアネート基の量)が0.2%以下となった時点を反応終了とし、ウレタンアクリレートを得た。GPCによる分析の結果、得られたウレタンアクリレートの重量平均分子量は8500であった。なお、GPC分析は表1の条件で行った。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(アルドリッチ社製、数平均分子量2000)4000質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート238質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.49質量部及びスズ系触媒4.9質量部を仕込み70℃に加熱し、IPDI(イソホロンジイソシアネート)666質量部を3時間かけて均一に滴下し、反応させた。滴下完了後15時間反応を継続し、NCO%(ウレタン基に対するイソシアネート基の量)が0.2%以下となった時点を反応終了とし、ウレタンアクリレートを得た。GPCによる分析の結果、得られたウレタンアクリレートの重量平均分子量は8500であった。なお、GPC分析は表1の条件で行った。
(製造例3:導電性粒子の作製)
ポリスチレン粒子の表面上に、厚さ0.2μmのニッケルからなる層を設け、更にこのニッケルからなる層の表面上に、厚さ0.04μmになるように金からなる層を設けた。こうして平均粒子径5μmの導電性粒子を作製した。
ポリスチレン粒子の表面上に、厚さ0.2μmのニッケルからなる層を設け、更にこのニッケルからなる層の表面上に、厚さ0.04μmになるように金からなる層を設けた。こうして平均粒子径5μmの導電性粒子を作製した。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
(a)成分の熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイト社製品名、重量平均分子量45000、表中「PKHC」と表す。)40gをメチルエチルケトン60gに溶解した固形分濃度40質量%の溶液、及び、製造例1で得られたポリウレタン樹脂(表中「PU」と表す。)の固形分濃度30質量%の溶液を用いた。
(a)成分の熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイト社製品名、重量平均分子量45000、表中「PKHC」と表す。)40gをメチルエチルケトン60gに溶解した固形分濃度40質量%の溶液、及び、製造例1で得られたポリウレタン樹脂(表中「PU」と表す。)の固形分濃度30質量%の溶液を用いた。
また、(b)成分のラジカル重合性化合物としては、製造例2で得られたウレタンアクリレート(表中「UA」と表す。)、シクロヘキシルアクリレート(東亞合成株式会社製、表中「CHA」と表す。)、及び、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェ−ト(ライトエステルP−2M、共栄者株式会社製商品名、表中「P−2M」と表す。)を用いた。
また、(c)成分のラジカル重合開始剤としては、t−ヘキシルパーオキシー2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、油脂製品株式会社製商品名、表中「過酸化物」と表す。)を用いた。
また、(d)成分の無機微粒子としてはR711(日本アエロジル製商品名、表中「R711」と表す。)10gを、トルエン45g及び酢酸エチル45gの混合溶媒に分散させ、10質量%の溶液として用いた。
上記各成分を表2に記載の固形分重量比となるよう配合し、次いで製造例3で得られた導電性粒子を、接着剤成分の総体積に対して1.5体積%配合して分散させ、塗工液を得た。得られた塗工液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥を行い、厚さ16μmのフィルム状接着剤を得た。
各実施例及び比較例のフィルム状接着剤において、ラジカル重合性化合物の含有量、分子量が1000を超えるラジカル重合性化合物((b−1)成分)の含有量、分子量1000以下のラジカル重合性化合物((b−2)成分)の含有量及び無機微粒子の含有量は、それぞれの配合量から計算して表3に記載のとおりであった(いずれも回路接続材料(フィルム状接着剤の導電性粒子以外の成分)の全量基準の質量%)。
(実施例7〜12及び比較例5〜8)
実施例1〜6及び比較例1〜4の各フィルム状接着剤を用いて、実施例7〜12及び比較例5〜8の接続構造体を作製した。
実施例1〜6及び比較例1〜4の各フィルム状接着剤を用いて、実施例7〜12及び比較例5〜8の接続構造体を作製した。
具体的には、上記フィルム状接着剤を、70℃の温度にて1MPa、2秒間の条件で厚さ0.2μmの酸化インジウム(ITO)の薄膜が形成されたガラス基板(厚さ1.1mm)に転写にした。次に、このガラス基板と、ライン幅75μm、ピッチ150μm及び厚さ18μmの銅回路500本がエポキシ樹脂系接着剤でポリイミド上に配線されたフレキシブル回路板(FPC)とを、フィルム状接着剤を介して対向するように配置し、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて160℃の温度にて3MPaで10秒間の加熱加圧を行った。これにより、幅2mmにわたりFPC基板とガラス基板(ITO基板)とがフィルム状接着剤の硬化物(接続部材)により接続された接続体(回路接続構造体)を得た。
(回路接続構造体の評価1:初期接続抵抗の評価)
実施例及び比較例で得られた回路接続構造体について、それぞれ隣接回路間の抵抗値(接続抵抗)を、マルチメータで測定した。隣接回路間の抵抗37点の平均を、初期接続抵抗の評価結果とした。評価結果を表4に示す。
実施例及び比較例で得られた回路接続構造体について、それぞれ隣接回路間の抵抗値(接続抵抗)を、マルチメータで測定した。隣接回路間の抵抗37点の平均を、初期接続抵抗の評価結果とした。評価結果を表4に示す。
(回路接続構造体の評価2:初期接着力の評価)
実施例及び比較例で得られた回路接続構造体について、それぞれ接続部材とFPC基板との間の接着力をJIS−Z0237に準じた90度剥離法で測定して、測定された値を初期接着力の評価結果とした。なお、接着力の測定装置は東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。評価結果を表4を示す。
実施例及び比較例で得られた回路接続構造体について、それぞれ接続部材とFPC基板との間の接着力をJIS−Z0237に準じた90度剥離法で測定して、測定された値を初期接着力の評価結果とした。なお、接着力の測定装置は東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。評価結果を表4を示す。
(回路接続構造体の評価3:高温高湿試験後の特性評価)
実施例及び比較例で得られた回路接続構造体を、85℃、85%RHの条件下に250時間保持して、測定サンプルを得た。得られたサンプルについて、上記評価1及び2と同様の方法により、接続抵抗及び接着力の評価を行った。評価結果を表4に示す。
実施例及び比較例で得られた回路接続構造体を、85℃、85%RHの条件下に250時間保持して、測定サンプルを得た。得られたサンプルについて、上記評価1及び2と同様の方法により、接続抵抗及び接着力の評価を行った。評価結果を表4に示す。
また、得られたサンプルについて、顕微鏡(商品名:ECLIPSE L200、(株)ニコン製)を用いて、接続部材とFPC基板との界面、及び接続部材とガラス基板との界面における剥離の有無を調べた。界面剥離が無かったものを「A」、界面剥離がわずかにあったが実用上問題がない程度であったものを「B」、実用上問題がある程度に界面剥離が生じていたものを「C」として評価した。評価結果を表4に示す。
表4に示した結果から明らかなように、実施例7〜12で得られた回路接続構造体は、初期及び高温高湿試験後のいずれの場合も5Ω以下の抵抗値を示し、接続部材と回路部材との界面に剥離気泡等は発生しなかった。
一方、ラジカル重合性化合物の含有量が40質量%以上である比較例1のフィルム状接着剤を用いて得られた比較例5の回路接続構造体では、高温高湿試験後に接続部材と回路部材との界面に剥離が生じた。また、無機微粒子を含まない比較例2のフィルム状接着剤を用いて得られた比較例6の回路接続構造体では、高温高湿試験後、接続抵抗が著しく上昇し、接着力が低下し、接続部材と回路部材との界面に剥離が生じた。また、無機微粒子の含有量が5質量%未満である比較例3のフィルム状接着剤を用いて得られた比較例7の回路接続構造体では、高温高湿試験後、接続抵抗が上昇するとともに、接続部材と回路部材との界面に剥離が生じた。さらに、(b−1)成分の含有量が20質量%未満であり、(b−2)成分の含有量が15質量%を超える比較例4のフィルム状接着剤を用いて得られた比較例8の回路接続構造体では、高温高湿試験後に接続部材と回路部材との界面に剥離が生じた。
(実施例11〜15及び比較例11〜15)
実施例1〜5及び比較例1〜5のフィルム状接着剤の製造に用いた塗工液をそれぞれ、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に10m塗工し、70℃、10分の熱風乾燥を行って、PETフィルム上に厚さ16μmのフィルム状接着剤を形成して、PETフィルムとフィルム状接着剤とを備える接着フィルムを得た。
実施例1〜5及び比較例1〜5のフィルム状接着剤の製造に用いた塗工液をそれぞれ、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に10m塗工し、70℃、10分の熱風乾燥を行って、PETフィルム上に厚さ16μmのフィルム状接着剤を形成して、PETフィルムとフィルム状接着剤とを備える接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムを、幅2mmに裁断し、内径66mmのリール状に巻き重ねて、接着フィルムの巻重体を得た。
(接着フィルムの巻重体の評価)
得られた接着フィルムの巻重体先端部に、75gの荷重を固定して30℃雰囲気下で6時間荷重をぶら下げたまま放置した。放置後の巻重体を観察し、PETフィルム間からのフィルム状接着剤の染み出しの有無を確認した。また、放置後の巻重体から接着フィルムを引き出し、フィルム状接着剤のPETフィルム裏面への転写の有無を確認した。染み出し及び転写のいずれも見られなかった場合を「A」、転写は見られなかったが染み出しが見られた場合を「B」、染み出し及び転写がいずれも見られた場合を「C」として、評価した。評価結果を表5に示す。
得られた接着フィルムの巻重体先端部に、75gの荷重を固定して30℃雰囲気下で6時間荷重をぶら下げたまま放置した。放置後の巻重体を観察し、PETフィルム間からのフィルム状接着剤の染み出しの有無を確認した。また、放置後の巻重体から接着フィルムを引き出し、フィルム状接着剤のPETフィルム裏面への転写の有無を確認した。染み出し及び転写のいずれも見られなかった場合を「A」、転写は見られなかったが染み出しが見られた場合を「B」、染み出し及び転写がいずれも見られた場合を「C」として、評価した。評価結果を表5に示す。
表5に示した結果から明らかなとおり、実施例13〜18で得られた接着フィルムでは30℃75gの荷重下6時間放置後においてもフィルム状接着剤の染み出しは見られず、PETフィルム裏面への転写も見られなかった。一方、比較例9〜11では、巻重体においてPETフィルム間からのフィルム状基材の染み出しが見られた。また、比較例12では、染み出しのみならず、PETフィルム裏面へのフィルム状接着剤の転写が見られた。
1…フィルム状接着剤、5…回路接続材料、7…導電性粒子、10…接続部材、11…絶縁性物質、20…第一の回路部材、21…回路基板(第一の回路基板)、21a…主面、22…回路電極(第一の回路電極)、30…第二の回路部材、31…回路基板(第二の回路基板)、31a…主面、32…回路電極(第二の回路電極)、40…フィルム状接着剤。
Claims (12)
- 相対向する二つの回路部材を電気的に接続するための回路接続材料であって、
熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤及び無機微粒子を含有し、
前記ラジカル重合性化合物の含有量が、前記回路接続材料の全量基準で40質量%未満であり、
前記ラジカル重合性化合物のうち分子量が1000を超える化合物の含有量が、前記回路接続材料の全量基準で20質量%以上であり、
前記無機微粒子の含有量が、前記回路接続材料の全量基準で5〜30質量%である、回路接続材料。 - 前記ラジカル重合性化合物のうち分子量が1000以下の化合物の含有量が、前記回路接続材料の全量基準で15質量%以下である、請求項1に記載の回路接続材料。
- 前記無機微粒子の平均粒子径が1μm未満である、請求項1又は2に記載の回路接続材料。
- 導電性粒子が分散されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路接続材料。
- 形状がフィルム状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路接続材料。
- 前記二つの回路部材のうち少なくとも一方が、ガラス基板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路接続材料。
- 前記二つの回路部材のうち少なくとも一方が、フレキシブル基板である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路接続材料。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路接続材料と、該回路接続材料中に分散された導電性粒子と、を含有する、異方導電性接着剤。
- 対向配置された一対の回路部材と、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路接続材料の硬化物を含み、前記一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部材と、
を備える、回路接続構造体。 - フィルム基材と、該フィルム基材の一方面上に設けられた請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路接続材料を含むフィルム状接着剤と、を備える、接着フィルム。
- 前記フィルム状接着剤が、導電性粒子を更に含む、請求項10に記載の接着フィルム。
- 請求項10又は11に記載の接着フィルムをリール状に巻き重ねてなる、巻重体。
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-
2012
- 2012-04-25 JP JP2012100210A patent/JP2013227420A/ja active Pending
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