JP2001323224A - 接着剤組成物、それを用いた回路端子の接続方法及び回路端子の接続構造 - Google Patents

接着剤組成物、それを用いた回路端子の接続方法及び回路端子の接続構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路端子を支持する基板が有機絶縁物質、ガ
ラスから選ばれる少なくとも一種からなる回路部材及び
表面が窒化シリコン、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂
から選ばれる少なくとも一種でコーティングもしくは付
着した回路部材に対して、特に温度サイクルや高温放置
後も低抵抗の電気接続が得られる電気・電子用の接着剤
組成物、それを用いた回路端子の接続方法及び回路端子
の接続構造を提供する。 【解決手段】 (1)加熱により遊離ラジカルを発生す
る硬化剤、(2)ラジカル重合性物質、(3)フィルム
形成材を必須成分として含有する接着剤組成物、フィル
ム形成材のガラス転移温度が80〜200℃が好まし
い。第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の
接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子
と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した
第一の接続端子と第二の接続端子の間に前記の接着剤組
成物を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の
接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路端
子の接続方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤組成物、そ
れを用いた回路端子の接続方法及び回路端子の接続構造
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、精密電子機器の分野では生産性の
向上の点から、回路間の接続を行う工程における接続時
間が短くなってきている。このため、回路接続部材は十
分な接続時間が得られないため、電気的な接続信頼性を
確保できない恐れがある。この問題を解決するため、低
温速硬化性に優れ且つ、可使時間を有する電気・電子用
の接着剤組成物が開発されている(例えば特開平11−
97825号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記回
路接続部材は温度サイクルや高温放置により接続部分の
電気抵抗値が上昇し、接続信頼性が低下するという問題
があった。特に、回路端子を支持する基板がガラスの場
合、または回路部材表面が窒化シリコン、シリコーン樹
脂、ポリイミド樹脂でコーティング、もしくはこれらの
樹脂が回路部材表面に付着していた場合、著しく接続信
頼性が低下する問題があった。本発明は、回路端子を支
持する基板が有機絶縁物質、ガラスから選ばれる少なく
とも一種からなる回路部材及び表面が窒化シリコン、シ
リコーン樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる少なくとも
一種でコーティングもしくは付着した回路部材に対し
て、特に温度サイクルや高温放置後も低抵抗の電気接続
が得られる電気・電子用の接着剤組成物、それを用いた
回路端子の接続方法及び回路端子の接続構造を提供する
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の接着剤組成物
は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路
電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する接着
剤組成物であって、(1)加熱により遊離ラジカルを発
生する硬化剤、(2)ラジカル重合性物質、(3)フィ
ルム形成材を必須成分として含有する接着剤組成物であ
り、フィルム形成材のガラス転移温度が80〜200℃
であるのが好ましく、100℃〜180℃であるがより
好ましい。フィルム形成材のガラス転移温度が80℃未
満の場合、回路電極間を接続後、温度サイクル試験や高
温放置試験を行うと接続部分の電気抵抗値が上昇してし
まうので好ましくなく、また200℃を超えて高い場
合、回路電極間を接続する際、接着剤の流動性が低下し
電気抵抗値が上昇するので好ましくない。さらに、本発
明に用いられるフィルム形成材は、フェノキシ樹脂であ
ると好ましい。本発明では、(1)加熱により遊離ラジ
カルを発生する硬化剤、(2)ラジカル重合性物質、
(3)フィルム形成材に導電性粒子を含有すると好まし
い接着剤組成物である。導電性粒子として、表面が、
金、銀、白金属の金属から選ばれる少なくとも一種で構
成されるものを使用することが好ましい。本発明の回路
端子の接続方法は、第一の接続端子を有する第一の回路
部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、
第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前
記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に
上記の接着剤組成物を介在させ、加熱加圧して前記対向
配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接
続させるものである。接続端子の少なくとも一方の表面
が金、銀、錫、白金族の金属、インジユウム−錫酸化物
(IT0)から選ばれる少なくとも一種で構成させるこ
とができる。回路端子を支持する基板を有機絶縁物質、
ガラスから選ばれる少なくとも一種で構成させることが
できる。少なくとも一方の回路部材表面が窒化シリコ
ン、シリコーン化合物、ポリイミド樹脂から選ばれる少
なくとも一種でコーティングもしくは付着していること
ができる。本発明の回路端子の接続構造は、上記した第
一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端
子を有する第二の回路部材とが、第一の接続端子と第二
の接続端子を対向して配置されており、前記対向配置し
た第一の接続端子と第二の接続端子の間に上記の接着剤
組成物が介在されており、前記対向配置した第一の接続
端子と第二の接続端子が電気的に接続されているもので
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で使用するフィルム形成材
としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹
脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリ
ウレタン樹脂等が拳げられる。フィルム形成材とは、液
状物を固形化し、構成組成物をフィルム形状とした場合
に、そのフィルムの取扱いが容易で、容易に裂けたり、
割れたり、べたついたりしない機械特性等を付与するも
のであり、通常の状態でフィルムとしての取扱いができ
るものである。このフィルム形成材のガラス転移温度
は、接続信頼性の点から80〜200℃であるのが好ま
しく、さらに好ましくは100〜180℃である。ここ
で規定したガラス転移温度とは、フィルム形成材を示差
走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移温度で
ある。フィルム形成材の中でも接着性、相溶性、耐熱
性、機械強度に優れることからフェノキシ樹脂が好まし
い。フェノキシ樹脂は2官能フェノール類とエピハロヒ
ドリンを高分子量まで反応させるか、又は2官能エポキ
シ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより
得られる樹脂である。具体的には、2官能フェノール類
1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015とを
アルカリ金属水酸化物の存在下で非反応性溶媒中で40
〜120℃の温度で反応させることにより得ることがで
きる。また、樹脂の機械的特性や熱的特性の点からは、
特に2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類の配
合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9
〜1/1.1としアルカリ金属化合物、有機リン系化合
物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で沸点が12
0℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン
系、アルコール系等の有機溶剤中で反応固形分が50重
量部以下で50〜200℃に加熱して重付加反応させて
得たものが好ましい。2官能エポキシ樹脂としては、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビス
フェノールS型エポキシ樹脂などがある。2官能フェノ
ール類は2個のフェノール性水酸基を持つもので、例え
ば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビ
スフエノール類などが挙げられる。フェノキシ樹脂はラ
ジカル重合性の官能基により変性されていてもよい。フ
ェノキシ樹脂は、単独で用いても、2種類以上を混合し
て用いてもよい。
【0006】本発明で使用する加熱により遊離ラジカル
を発生する硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合
物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するも
のであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライ
フ等により適宜選定されるが、高反応性とポットライフ
の点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、
半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ま
しく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減
期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ま
しい。接続時間を10秒以下とした場合、硬化剤の配合
量は十分な反応率を得るためにラジカル重合性物質とフ
ィルム形成材の合計100重量部に対して、0.1〜3
0重量部とするのが好ましく1〜20重量部がより好ま
しい。硬化剤の配合量が0.1重量部未満では、十分な
反応率を得ることができず良好な接着強度や小さな接続
抵抗が得られにくくなる傾向にある。配合量が30重量
部を超えると、接着剤組成物の流動性が低下したり、接
続抵抗が上昇したり、接着剤組成物のホットライフが短
くなる傾向にある。
【0007】硬化剤は、ジアシルパーオキサイド、パー
オキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキ
シケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパー
オキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定でき
る。また、回路部材の接続端子の腐食を押さえるため
に、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は500
0ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解
後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。具体
的には、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイ
ド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドか
ら選定され、高反応性が得られるパーオキシエステルか
ら選定されることがより好ましい。上記硬化剤は、適宜
混合して用いることができる。
【0008】パーオキシエステルとしては、クミルパー
オキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキ
シル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、
t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチル
パーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチル
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパー
オキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−へキ
シルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチル
パーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ
イソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ
−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチル
パーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(m−トルオイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−
ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキ
シアセテート等が挙げられる。
【0009】ジアルキルパーオキサイドとしては、α,
α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベ
ンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブ
チルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0010】ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソ
プロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイ
ドロパーオキサイド等が拳げられる。
【0011】ジアシルパーオキサイドとしては、イソブ
チルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパー
オキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、オタタノイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシ
ニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエ
ン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0012】パーオキシジカーボネートとしては、ジ−
n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシ
クロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エ
トキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エ
チルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシ
ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3
メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げら
れる。
【0013】パーオキシケタールとしては、1,1−ビ
ス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオ
キシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げ
られる。
【0014】シリルパーオキサイドとしては、t−ブチ
ルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチ
ル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビ
ニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニ
ルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニル
シリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパ
ーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパー
オキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオ
キサイド等が挙げられる。
【0015】これらの加熱により遊離ラジカルを発生す
る硬化剤は、単独又は混合して使用することができ、分
解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、こ
れらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分
子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可
使時間が延長されるために好ましい。
【0016】本発明で使用するラジカル重合性物質とし
ては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であ
り、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物
等が挙げられる。ラジカル重合性物質はモノマー、オリ
ゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマ
ーとオリゴマーを併用することも可能である。アクリレ
ート(これに対応したメタクリレートも挙げられる)の
具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレ
ート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジアクリレート、トリメチロールプロパント
リアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリ
レート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロ
パン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フ
ェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ
ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニ
ルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ト
リス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ウ
レタンアクリレート等が挙げられる。これらは単独又は
併用して用いることができ、必要によってはハイドロキ
ノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止
剤を適宜用いてもよい。また、ジシクロペンテニル基及
び/又はトリシクロデカニル基および/またはトリアジ
ン環を有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
【0017】マレイミド化合物としては、分子中にマレ
イミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例え
ば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、
N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−
p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイ
レンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフエニレン
ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメ
チル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,
4−(3’3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレ
イミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフ
ェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4、4−ジ
フェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジ
フェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’
−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,
4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス
(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マ
レイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビ
ス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカ
ン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−
マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼ
ン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)
フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が拳げられる。こ
れらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
【0018】本発明の接着剤組成物には、アクリル酸、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはアク
リロニトリルのうち少なくとも一つをモノマー成分とし
た重合体又は共重合体を使用することができ、グリシジ
ルエーテル基を含有するグリシジルアクリレートやグリ
シジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムを
併用した場合、応力緩和に優れるので好ましい。これら
アクリルゴムの分子量(重量平均)は接着剤の凝集力を
高める点から20万以上が好ましい。
【0019】本発明の接着剤組成物には、さらに、充填
剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、
チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹
脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有すること
もできる。充填剤を含有した場合、接続信頼性等の向上
が得られるので好ましい。充填剤の最大径が導電粒子の
粒径未満であれば使用でき、5〜60体積部(接着剤樹
脂成分100体積部に対して)の範囲が好ましい。60
体積部を超えると信頼性向上の効果が飽和することがあ
り、5体積部未満では添加の効果が少ない。
【0020】カップリング剤としてはケチミン、ビニル
基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネ
ート基含有物が、接着性の向上の点から好ましい。具体
的には、アミノ基を有するシランカップリング剤とし
て、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン等が拳げられる。ケチミンを有するシ
ランカップリング剤として、上記のアミノ基を有するシ
ランカップリング剤に、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物を反応さ
せて得られたものが挙げられる。
【0021】本発明の接着剤組成物は導電性粒子が無く
ても、接続時に相対向する回路電極の直接接触により接
続が得られるが、導電粒子を含有した場合、より安定し
た接続が得られる。導電性粒子としては、Au、Ag、
Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、
十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cu
等の遷移金属類ではなくAu、Ag、白金属の貴金属類
が好ましくAuがより好ましい。また、Ni等の遷移金
属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよ
い。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチッ
ク等に前記した導通層を被覆等により形成し最外層を貴
金属類とした場合や熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧に
より変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増
加し信頼性が向上するので好ましい。貴金属類の被覆層
の厚みは良好な抵抗を得るためには、100オングスト
ローム以上が好ましい。しかし、Ni等の遷移金属の上
に貴金属類の層をもうける場合では、貴金属類層の欠損
や導電粒子の混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等に
より生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し保存性
低下を引き起こすため、300オングストローム以上が
好ましい。そして、厚くなるとそれらの効果が飽和して
くるので最大1μmにするのが望ましいが制限するもの
ではない。導電性粒子は、接着剤樹脂成分100体積部
に対して0.1〜30体積部の範囲で用途により使い分
ける。過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等を防止
するためには0.1〜10体積部とするのがより好まし
い。
【0022】本発明の接着剤組成物をフィルムに成形
し、接着剤組成物を2層以上に分割し、加熱により遊離
ラジカルを発生する硬化剤を含有する層と導電性粒子を
含有する層に分割した場合、ポットライフの向上が得ら
れる。本発明の接着剤組成物は、ICチップとチップ搭
載基板との接着や電気回路相互の接着用のフィルム状接
着剤として使用することもできる。すなわち、第一の接
続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有
する第二の回路部材とを第一の接続端子と第二の接続端
子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子
と第二の接続端子の間に本発明の接着剤組成物(フィル
ム状接着剤)を介在させ、加熱加圧して前記対向配置し
た第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させ
ることができる。このような回路部材としては半導体チ
ップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部
品、プリント基板等の基板等が用いられる。これらの回
路部材には接続端子が通常は多数(場合によっては単数
でもよい)設けられており、前記回路部材の少なくとも
1組をそれらの回路部材に設けられた接続端子の少なく
とも一部を対向配置し、対向配置した接続端子間に本発
明の接着剤を介在させ、加熱加圧して対向配置した接続
端子同士を電気的に接続して回路板とする。回路部材の
少なくともl組を加熱加圧することにより、対向配置し
た接続端子同士は、直接接触により又は接着剤組成物中
の導電性粒子を介して電気的に接続することができる。
本発明の接着剤組成物は、接続時に接着剤が溶融流動し
相対向する回路電極の接続を得た後、硬化して接続を保
持するものであり、接着剤の流動性は重要な因子であ
る。厚み0.7mm、15mm×15mmのガラスを用
いて、厚み35μm、5mm×5mmの回路接続用樹脂
組成物からなる回路用接続材料をこのガラスに挟み、1
50℃、2MPa、10秒で加熱加圧を行った場合、初
期の面積(A)と加熱加圧後の面積(B)を用いて表さ
れる流動性(B)/(A)の値は1.3〜3.0である
ことが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ま
しい。1.3未満では流動性が悪く、良好な接続が得ら
れない場合があり、3.0を超える場合は、気泡が発生
しやすく信頼性に劣る場合がある。
【0023】本発明の接着剤組成物は、示差走査熱量計
(DSC)を用いた10℃/minの昇温速度における
測定において、発熱量の立ち上がり温度(Ta)が70
℃〜110℃の範囲内で、ピーク温度(Tp)がTa+
5〜30℃であり、かつ終了温度(Te)が160℃以
下であることが好ましい。本発明の回路端子の接続方法
は、ラジカル重合による硬化性を有する接着剤組成物を
接続端子の表面が、金、銀、銅、白金族の金属、インジ
ユウム−錫酸化物(IT0)から選ばれる少なくとも一
種から構成される接続端子(電極回路)に形成した後、
もう一方の接続端子(回路電極)を位置合わせし加熱、
加圧して接続することができる。本発明においては、接
続端子を支持する基板がポリイミド樹脂等の有機絶縁物
質、ガラスから選ばれる少なくとも一種からなる回路部
材及び表面が窒化シリコン、シリコーン化合物、ポリイ
ミド樹脂、シリコーン樹脂から選ばれる少なくとも一種
でコーティングもしくは付着した回路部材に対して特に
良好な接着強度が得られる電気・電子用の接着剤組成物
の提供が可能となる。
【0024】
【実施例】(実施例1)ビスフェノールA型エポキシ樹
脂とビスフェノールAからガラス転移温度が80℃のフ
ェノキシ樹脂を合成した。この樹脂50gを、重量比で
トルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸
エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/5
0の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液とし
た。固形重量比でフェノキシ樹脂50g、ジシクロペン
テニルジアルコールジアクリレート49g、リン酸エス
テル型アクリレート1g、t−ヘキシルパーオキシ−2
−エチルヘキサノネート5gとなるように配合し、導電
性粒子を5体積%配合分散させ、厚み80μmの片面を
表面処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)フ
ィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱
風乾燥により、接着剤層の厚みが20μmのフィルム状
接着剤組成物を得た。
【0025】(実施例2)臭素化ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂とビスフェノールAからガラス転移温度が1
10℃のフェノキシ樹脂を合成したほかは実施例1と同
様にしてフィルム状接着剤組成物を得た。
【0026】(実施例3)ビスフェノールA型エポキシ
樹脂とビスフェノールSからガラス転移温度が130℃
のフェノキシ樹脂を合成したほかは実施例1と同様にし
てフィルム状接着剤組成物を得た。
【0027】(実施例4)臭素化ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂と臭素化ビスフェノールSからガラス転移温
度が160℃のフェノキシ樹脂を合成したほかは実施例
1と同様にしてフィルム状接着剤組成物を得た。
【0028】(比較例1)ビスフェノールF型エポキシ
樹脂とビスフェノールAからガラス転移温度が60℃の
フェノキシ樹脂を合成したほかは実施例1と同様にして
フィルム状接着剤組成物を得た。
【0029】(比較例2)分子内に複素環を有するエポ
キシ樹脂と臭素化ビスフェノールAからガラス転移温度
が205℃のフェノキシ樹脂を合成したほかは実施例1
と同様にしてフィルム状接着剤組成物を得た。
【0030】(回路の接続)バンプ面積50μm×50
μm、ピッチ100μm、高さ20μmの金バンプを配
置したICチップと厚み1.1mmのガラス上にインジ
ユウム−錫酸化物(ITO)を蒸着により形成したIT
O基板(表面抵抗<20Ω/□)とを、上記接着剤組成
物を用い160℃、100MPa(バンプ面積当たり)
で10秒間加熱加圧して接続した。このとき、液状の接
着剤組成物はITO基板上に塗布し、フィルム状接着剤
組成物はあらかじめlTO基板上に、接着剤組成物の接
着面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加
熱加圧して仮接続し、その後、PETフィルムを剥離し
てICチップと接続した。
【0031】(接続抵抗の測定)回路の接続後上記接続
部の電気抵抗値を、初期と、−40℃/30minと1
00/30minの温度サイクル槽中に500サイクル
保持した後に2端子測定法を用いマルチメータで測定し
た。その測定結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1よりフィルム形成剤のガラス転移温度
(Tg)が80〜200℃である実施例1〜4は、Tg
が60℃の比較例1とTgが205℃の比較例2に比べ
接続抵抗値の温度サイクル後の接続抵抗値が低く優れた
電気接続を示す。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、接続端子を支持する基
板がポリイミド樹脂等の有機絶縁物質、ガラスから選ば
れる少なくとも一種からなる回路部材及び表面がシリコ
ーン樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる少なくとも一種
でコーティングもしくは付着した回路部材に対して良好
な接着強度が得られる電気・電子用の接着剤組成物の提
供が可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 廣澤 幸寿 茨城県下館市大字五所宮1150番地 日立化 成工業株式会社五所宮事業所内 (72)発明者 後藤 泰史 茨城県下館市大字五所宮1150番地 日立化 成工業株式会社五所宮事業所内 Fターム(参考) 4J040 DB031 DB032 DD071 DD072 EB081 EB082 EC061 EC062 EC171 EC172 ED001 ED002 EE061 EE062 EF001 EF002 EG001 EG002 FA141 FA151 FA171 FA181 FA291 GA03 GA05 GA08 HA026 HA066 HB41 HC18 HD32 JB02 JB10 KA12 KA32 LA02 LA07 LA09 MA02 MA05 MA10 NA20 PA30 PA33 5F044 LL11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)加熱により遊離ラジカルを発生す
    る硬化剤、(2)ラジカル重合性物質、(3)フィルム
    形成材を必須成分として含有する接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 フィルム形成材のガラス転移温度が、8
    0〜200℃である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 フィルム形成材がフェノキシ樹脂である
    請求項1または請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 導電性粒子をさらに含有する請求項1な
    いし請求項3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. 【請求項5】 第一の接続端子を有する第一の回路部材
    と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一
    の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対
    向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載の接着剤組成物を
    介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端
    子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路端子の接
    続方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも一方の接続端子の表面が金、
    銀、錫、白金族の金属、インジユウム−錫酸化物(lT
    0)から選ばれる少なくとも一種で構成される請求項5
    に記載の回路端子の接続方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方の接続端子を支持する基
    板が有機絶縁物質、ガラスから選ばれる少なくとも一種
    で構成される請求項5または請求項6に記載の回路端子
    の接続方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも一方の回路部材表面が窒化シ
    リコン、シリコーン化合物、ポリイミド樹脂から選ばれ
    る少なくとも一種でコーティングもしくは付着している
    請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の回路端子の
    接続方法。
  9. 【請求項9】 請求項5ないし請求項8のいずれかに記
    載の回路端子の接続方法で得られる回路端子の接続構
    造。
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