JP4794703B2 - 回路接続材料、回路端子の接続構造および回路端子の接続方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料、回路端子の接続構造および回路端子の接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂系接着剤は、高い接着強さが得られ、耐水性や耐熱性に優れること等から、電気・電子・建築・自動車・航空機等の各種用途に多用されている。中でも一液型エポキシ樹脂系接着剤は、主剤と硬化剤との混合が不必要であり使用が簡便なことから、フィルム状、ペースト状、粉体状の形態で使用されている。この場合、エポキシ樹脂と硬化剤及び変性剤との多様な組み合わせにより、特定の性能を得ることが一般的である(例えば、特開昭62−141083号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭62−141083号公報に示されるようなエポキシ樹脂系のフィルム状接着剤は、作業性に優れるものの、20秒程度の接続時間で140〜180℃程度の加熱、10秒では180〜210℃程度の加熱が必要であった。
この理由は、短時間硬化性(速硬化性)と貯蔵安定性(保存性)の両立により良好な安定性を得ることを目的として、常温で不活性な触媒型硬化剤を用いているために、硬化に際して十分な反応が得られないためである。
近年、精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅、電極間隔が極めて狭くなっている。このため、従来のエポキシ樹脂系を用いた回路接続材料の接続条件では、配線の脱落、剥離や位置ずれが生じるなどの問題があった。また、生産効率向上のために10秒以下への接続時間の短縮化が求められてきており、低温速硬化性が必要不可欠となっている。
本発明は、低温速硬化性に優れかつ、可使時間を有する電気・電子用の回路接続材料を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路接続材料は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料であって、下記(1)〜(3)の成分を必須とする回路接続材料である。
(1)加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤
(2)分子量10000以上の水酸基含有樹脂
(3)ラジカル重合性物質
(4)フタル酸ジアリル
加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤として、半減期10時間の温度が40℃以上かつ、半減期1分の温度が180℃以下である硬化剤が好ましく、パーオキシエステルが使用できる。
ラジカル重合性物質中には式1で示されるラジカル重合性物質を含有することができる。
分子量10000以上の水酸基含有樹脂としてはフェノキシ樹脂、特にカルボキシル基含有のエラストマーで変性されたフェノキシ樹脂、エポキシ基含有のエラストマーで変性されたフェノキシ樹脂が好ましい。
上記の回路接続材料には、導電性粒子を含有することができる。
【0005】
本発明の回路端子の接続構造は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とが、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に上記の回路接続材料が介在されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子が電気的に接続されているものである。
本発明の回路端子の接続方法は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に上記の回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させるものである。
接続端子の少なくとも一方の表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属で構成されることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定されるが、高反応性とポットライフの点から、半減期10時間の温度が40℃以上かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物が好ましい。
配合量は、分子量10000以上の水酸基含有樹脂とラジカル重合性物質の和100重量部に対し0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0007】
硬化剤は、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定できる。また、回路部材の接続端子の腐食を抑えるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。
具体的には、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドから選定され、高反応性が得られるパーオキシエステルから選定されることがより好ましい。
上記硬化剤は、適宜混合して用いることができる。
【0008】
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、tーヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ2ーエチルヘキサノネート、2,5,ージメチルー2,5ージ(2ーエチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート、tーヘキシルパーオキシ2ーエチルヘキサノネート、tーブチルパーオキシ2ーエチルヘキサノネート、tーブチルパーオキシイソブチレート、1,1ービス(tーブチルパーオキシ)シクロヘキサン、tーヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tーブチルパーオキシー3,5,5ートリメチルヘキサノネート、tーブチルパーオキシラウレート、2,5,ージメチルー2,5,ージ(mートルオイルパーオキシ)ヘキサン、tーブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tーブチルパーオキシ2ーエチルヘキシルモノカーボネート、tーヘキシルパーオキシベンゾエート、tーブチルパーオキシアセテート等が使用できる。
【0009】
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’ビス(tーブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5,ージメチルー2,5,ージ(tーブチルパーオキシ)ヘキサン、tーブチルクミルパーオキサイド等が使用できる。
【0010】
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が使用できる
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5,−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が使用できる。
【0011】
パーオキシジカーボネートとしては、ジーnープロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネト、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が使用できる。
【0012】
パーオキシケタールとしては、1,1,ービス(tーヘキシルパーオキシ)ー3,3,5ートリメチルシクロヘキサン、1,1ービス(tーヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1ービス(tーブチルパーオキシ)−3,3,5ートリメチルシクロヘキサン、1、1ー(tーブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2ービス(tーブチルパーオキシ)デカン等が使用できる。
【0013】
シリルパーオキサイドとしてはt−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が使用できる。
これらの遊離ラジカルを発生する硬化剤は単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。
また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0014】
本発明で用いるラジカル重合性物質としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。ラジカル重合性物質はモノマー、オリゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
アクリレート(メタクリレート)の具体例てしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2ーヒドロキシ1.3ジアクリロキシプロパン、2,2ービス〔4ー(アクリロキシメトキシ)フェニル〕プロパン、2,2ービス〔4ー(アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート等がある。これらは単独または併用して用いることができ、必要によっては、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。また、ジシクロペンテニル基および/またはトリシクロデカニル基および/またはトリアジン環を有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
【0015】
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1ーメチルー2、4ービスマレイミドベンゼン、N,N’ーmーフェニレンビスマレイミド、N,N’ーPーフェニレンビスマレイミド、N,N’ーmートルイレンビスマレイミド、N,N’ー4,4ービフェニレンビスマレイミド、N,N’ー4,4ー(3,3’ージメチルービフェニレン)ビスマレイミド、N,N’ー4,4ー(3,3’ージメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’ー4,4ー(3,3’ージエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’ー4,4ージフェニルメタンビスマレイミド、N,N’ー4,4ージフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’ー4,4ージフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’ー3,3’ージフェニルスルホンビスマレイミド、2,2ービス(4ー(4ーマレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2ービス(3ーsーブチルー4ー8(4ーマレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1ービス(4ー(4ーマレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’ーシクロヘキシリデンービス(1ー(4マレイミドフェノキシ)ー2ーシクロヘキシルベンゼン、2,2ービス(4ー(4ーマレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができる。これらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
【0016】
また、上記のラジカル重合性物質に式1で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質を併用すると金属等の無機物表面での接着強度が向上する。
配合量は、分子量10000以上の水酸基含有樹脂とラジカル重合性物質の和100重量部に対し0.1〜10重量部用いるのが好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質は、無水リン酸と2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応物として得られる。具体的には、モノ(2ーメタクリロイルオキシエチル)アッシドポスフェート、ジ(2ーメタクリロイルオキシエチル)アッシドポスフェート等がある。これらは単独でもまた組み合わせても使用できる。
【0017】
【化2】
式1
【0018】
本発明の回路接続材料には、フタル酸ジアリルが添加される。配合量は、分子量10000以上の水酸基含有樹脂とラジカル重合性物質の和100重量部に対し0.1〜10重量部用いるのが好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
【0019】
本発明で用いる分子量10000以上の水酸基含有樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などのポリマーが使用でき、硬化時の応力緩和性に優れ、水酸基による接着性が向上する。各ポリマーをラジカル重合性の官能基で変性したものは耐熱性が向上するためより好ましい。このような場合は分子量10000以上の水酸基含有樹脂であり、かつラジカル重合性物質でもある。
これらポリマーの分子量は10000以上が好ましいが1000000以上になると混合性が悪くなる傾向にある。
【0020】
分子量10000以上の水酸基含有樹脂としては、Tgが40℃以上で分子量10000以上の水酸基含有樹脂が使用され、フェノキシ樹脂を使用することができる。分子量10000以上の水酸基含有樹脂は、カルボキシル基含有エラストマー、エポキシ基含有エラストマー、ラジカル重合性の官能基によって変性されていてもよい。またラジカル重合性の官能基で変性したものは耐熱性が向上するため好ましい。
フェノキシ樹脂は、カルボキシル基含有のエラストマーで変性されたフェノキシ樹脂、エポキシ基含有のエラストマーで変性されたフェノキシ樹脂を使用することができる。
【0021】
また、本発明の回路接続材料にアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリロニトリルのうち少なくともひとつをモノマー成分とした重合体または共重合体であり、グリシジルエーテル基を含有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムを併用した場合、応力緩和に優れるので好ましい。これらアクリルゴムの分子量(重量平均)は接着剤の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。
【0022】
さらに、充填材、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
充填材を含有した場合、接続信頼性等の向上が得られるので好ましい。充填材の最大径が導電粒子の粒径未満であれば使用でき、5〜60体積部(接着剤樹脂成分100体積部に対して)の範囲が好ましい。60体積部を超えると信頼性向上の効果が飽和ことがあり、5体積部未満では添加の効果が少ない。
カップリング剤としては、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から好ましい。
【0023】
本発明の回路接続材料は導電性粒子がなくても、接続時に相対向する回路電極の直接接触により接続が得られるが、導電粒子を含有した場合、より安定した接続が得られる。
導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cuなどの遷移金属類ではなくAu、Ag、白金族の貴金属類が好ましくAuがより好ましい。
また、Niなどの遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成し最外層を貴金属類プラスチックを核とした場合や熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性が向上するので好ましい。貴金族類の被覆層の厚みは良好な抵抗を得るためには、100オングストロ−ム以上が好ましい。しかし、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の層を設ける場合では、貴金属類層の欠損や導電粒子の混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し保存性低下引き起こすため、300オングストロ−ム以上が好ましい。導電性粒子は、接着剤樹脂成分100部(体積)に対して0.1〜30部(体積)の範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等
を防止するためには0.1〜10部(体積)とするのがより好ましい。
【0024】
また、回路接続材料を2層以上に分割し、遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する層と導電粒子を含有する層に分離した場合、ポットライフの向上が得られる。
【0025】
本発明の回路用接続材料は、ICチップとチップ搭載基板との接着や電気回路相互の接着用のフィルム状接着剤として使用することもできる。
本発明の回路接続材料は、例えばフェイスダウン方式により半導体チップを基板と接着フィルムで接着固定すると共に両者の電極どうしを電気的に接続する場合にも使用できる。
すなわち、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の接続材料(フィルム状接着剤)を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させることができる。
このような回路部材としては半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板等が用いられる。
これらの回路部材には接続端子が通常は多数(場合によっては単数でも良い)設けられており、前記回路部材の少なくとも1組をそれらの回路部材に設けられた接続端子の少なくとも一部を対向配置し、対向配置した接続端子間に接着剤を介在させ、加熱加圧して対向配置した接続端子どうしを電気的に接続して回路板とする。
回路部材の少なくとも1組を加熱加圧することにより、対向配置した接続端子どうしは、直接接触により又は異方導電性接着剤の導電粒子を介して電気的に接続することができる。
【0026】
本発明の回路用接続材料は、接続時に接着剤が溶融流動し相対向する回路電極の接続を得た後、硬化して接続を保持するものであり、接着剤の流動性は重要な因子である。厚み0.7mm、15mm×15mmのガラスを用いて、厚み35μm、5mm×5mmの回路用接続材料をこのガラスにはさみ、150℃2MPa10sで加熱加圧を行った場合、初期の面積(A)と加熱加圧後の面積(B)を用いて表わされる流動性(B)/(A)の値は1.3〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ましい。1.3未満では流動性が悪く、良好な接続が得らない場合があり、3.0を超える場合は、気泡が発生しやくす信頼性に劣る場合がある。
本発明の回路用接続材料の硬化後の40℃での弾性率は100〜2000MPaが好ましく、1000〜1800MPaがより好ましい。
【0027】
本発明の回路電極の接続方法は、ラジカル重合による硬化性を有する回路接続材料を表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属である一方の電極回路に形成した後、もう一方の回路電極を位置合わせし加熱、加圧して接続することができる。
【0028】
【作用】
本発明においては、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ可使時間を有する電気・電子用の回路接続材料を提供が可能となる。
【0029】
【実施例】
実施例1
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45,000)50gを、重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とした。
ラジカル重合性物質としてトリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート(共栄社油脂株式会社製、商品名80MFA)を用いた。
遊離ラジカル発生剤としてtーヘキシルパーオキシ2ーエチルヘキサノネートの50重量%DOP溶液(日本油脂株式会社製、商品名パーキュアHO)を用いた。
ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.04μmの金層を設け、平均粒径10μmの導電性粒子を作製した。
固形重量比でフェノキシ樹脂50g、トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート樹脂49g、フタル酸ジアリル1g、tーヘキシルパーオキシ2ーエチルヘキサノネート5gとなるように配合し、さらに導電性粒子を3体積%配合分散させ、厚み80μmの片面を表面処理したPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥により、接着剤層の厚みが35μmの回路接続材料を得た。
(回路の接続)
上述の回路接続材料を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)同士を160℃、3MPaで10秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。この時、あらかじめ一方のFPC上に、回路接続材料の接着面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、PETフィルムを剥離してもう一方のFPCと接続した。
【0030】
実施例2〜4
ラジカル重合性物質としてトリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート、oーアリルフェノール、リン酸エステル型アクリレート(共栄社油脂株式会社製、商品名P2M)を用いて、フェノキシ樹脂/トリヒドロキシエチルグリコールジメタクリレート/oーアリルフェノール/リン酸エステル型アクリレートの固形重量比を50g/48g/1g/1g(実施例2)、30g/68g/1g/1g(実施例3)、70g/28g/1g/1g(実施例4)とした他は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
【0031】
比較例
フェノキシ樹脂(PKHC)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL980、油化シェル株式会社製品名)、イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤(3941HP 株式会社旭化成製商品名)を用いて、フェノキシ樹脂/ビスフェノールA型エポキシ樹脂/イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤の固形重量比を40/20/40とした他は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
【0032】
(接続抵抗の測定)
回路の接続後、上記接続部を含むFPCの隣接回路間の抵抗値を、初期と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に500時間保持した後にマルチメータで測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗150点の平均(x+3σ)で示した。実施例1で得られた回路接続材料は良好な接続信頼性を示した。また、初期の接続抵抗も低く、高温高湿試験後の抵抗の上昇もわずかであり、高い耐久性を示した。また、実施例2〜4の回路接続材料も同様に良好な接続信頼性が得られた。これらに対して、比較例は、硬化反応が不十分であるた接着状態が悪く、初期の接続抵抗が高くなった。
【0033】
(接着力の測定)
回路の接続後、90度剥離、剥離速度50mm/minで接着力測定を行った。比較例は硬化反応が不十分で200gf/cm程度と接着力が低かったが、実施例1〜4では1000gf/cm程度と良好な接着力が得られた。
【0034】
(保存性の評価)
得られた回路接続材料を30℃の恒温槽で30日間処理し、上記と同様にして回路の接続を行い保存性を評価した。
いずれの場合も、30℃の恒温槽で30日間処理しない状態(初期)と同等の接続結果が得られた。
【0035】
(絶縁性の評価)
得られた回路接続材料を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を交互に250本配置した櫛形回路を有するプリント基板とライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)を160℃、3MPaで10秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。この接続体の櫛形回路に100Vの電圧を印加し、85℃85%RH高温高湿試験500時間後の絶縁抵抗値を測定した。
いずれの場合も109Ω以上の良好な絶縁性が得られ絶縁性の低下は観察されなかった。
【0036】
(流動性の評価)
厚み35μm、5mm×5mmの回路用接続材料を用い、これを厚み0.7mm、15mm×15mmのガラスにはさみ、150℃2MPa10sで加熱加圧を行った。初期の面積(A)と加熱加圧後の面積(B)を用いて流動性(B)/(A)の値を求めたところ、実施例1は1.9であり、実施例2〜4についても1.3〜3.0の範囲内であった。
【0037】
(硬化後の弾性率)
実施例1の回路用接続材料の硬化後の40℃での弾性率を測定したところ1500MPaであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ可使時間を有し、回路腐食性が少ない電気・電子用の回路接続材料を提供が可能となる。
Claims (12)
- 相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料であって、下記(1)〜(4)の成分を必須とする回路接続材料。
(1)加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤
(2)分子量10000以上1000000未満の水酸基含有樹脂
(3)アクリレート、メタクリレート又はマレイミド化合物であるラジカル重合性物質
(4)フタル酸ジアリル - 加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤の半減期10時間の温度が40℃以上かつ、半減期1分の温度が180℃以下である請求項1記載の回路接続材料。
- 加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤が、パーオキシエステルである請求項1又は2記載の回路接続材料。
- 分子量10000以上1000000未満の水酸基含有樹脂がフェノキシ樹脂である請求項1〜4各項記載の回路接続材料。
- 分子量10000以上1000000未満の水酸基含有樹脂がカルボキシル基含有のエラストマーで変性されたフェノキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜4各項記載の回路接続材料。
- 分子量10000以上1000000未満の水酸基含有樹脂がエポキシ基含有のエラストマーで変性されたフェノキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜4各項記載の回路接続材料。
- アクリルゴムを含有する請求項1〜7各項記載の回路接続材料。
- 導電性粒子を含有する請求項1〜8各項記載の回路接続材料。
- 異方導電性接着剤である、請求項9記載の回路接続材料。
- 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とが、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に請求項1〜10各項記載の回路接続材料が介在されており、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子が電気的に接続されている回路端子の接続構造。
- 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に請求項1〜10各項記載の回路接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路端子の接続方法。
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