JP3889944B2 - 回路接続用接着フィルム及びそれを用いた回路板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回路接続用接着フィルムおよびそれを用いた回路板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂系接着剤は、高い接着強さが得られ、耐水性や耐熱性に優れること等から、電気・電子・建築・自動車・航空機等の各種用途に多用されている。中でも一液型エポキシ樹脂系接着剤は、主剤と硬化剤との混合が不必要であり使用が簡便なことから、フィルム状・ペースト状・粉体状の形態で使用されている。この場合、エポキシ樹脂と硬化剤及び変性剤との多様な組み合わせにより、特定の性能を得ることが一般的である。(例えば、特開昭62−141083号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭62−141083号公報に示されるフィルム状接着剤は、作業性に優れるものの、20秒程度の接続時間で140〜180℃程度の加熱、10秒では180〜210℃程度の加熱が必要であった。この理由は、短時間硬化性(速硬化性)と貯蔵安定性(保存性)の両立により良好な安定性を得ることを目的として、常温で不活性な触媒型硬化剤を用いているために、硬化に際して十分な反応が得られないためである。近年、精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅、電極間隔が極めて狭くなっている。このため、従来のエポキシ樹脂系を用いた回路接続材料の接続条件では、配線の脱落、剥離や位置ずれが生じるなどの問題があった。また、生産効率向上のために10秒以下への接続時間の短縮化が求められてきており、低温速硬化性が必要不可欠となっている。本発明の目的は、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ、可使時間を有すると共にフィルムがリールに巻かれたテープ状製品を長時間保管しても転写性に支障なく使用でき、上記各特性のバランスに優れた電気・電子用の回路接続用接着フィルム及びそれを用いた回路板の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続用接着フィルムであって、前記回路接続用接着フィルムが加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤、ラジカル重合性物質、及びフィルム形成性高分子を必須とし、前記遊離ラジカルを発生する硬化剤の半減期10時間の温度が40℃以上で、かつ半減期1分の温度が200℃以下であり、前記回路接続用接着フィルムは、前記電極間を電気的に接続する前に、その上に設けられていた剥離性PETフィルムを剥離されるものであり、前記接着フィルムのフレキシブル基板に対する仮固定力が40〜160gf/cmであり、前記仮固定力は、PWB(プリント配線基板)あるいはガラス基板に前記回路接続用接着フィルムを80℃、1MPa、3秒で仮圧着し、前記剥離性PETフィルムを剥離後、フレキシブル基板を23℃、0.5MPa、5秒で圧着し、引張り方向90°にて、引張り速度50 mm /min、測定温度23±3℃で測定される前記フレキシブル基板と前記回路接続用接着フィルムとの仮固定力であり、前記PWBは、FR−4、厚み1.1 mm 、1Oz(オンス)銅箔、ピッチ0.2mm、電極幅/電極スペース=1/1、であり、前記ガラス基板は、15〜20Ω/角、スパッタ全面電極、厚み1.1mm、であり、前記フレキシブル基板は、75μmポリイミドフィルム、1/2Oz(オンス)銅箔錫メッキ、ピッチ0.2mm、電極幅/電極スペース=1/1であることを特徴とする回路接続用接着フィルムである。前記回路接続用接着フィルムには更に導電性粒子を必須成分として含有することもできる。本発明の回路板の製造方法は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に上記の回路接続用接着フィルムを介在させ、加熱加圧して前期対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものであり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定されるが、高反応性とポットライフの点から、半減期10時間の温度が40℃以上かつ、半減期1分の温度が200℃以下の有機過酸化物が好ましい。この場合、配合量は0.05〜10重量%程度であり0.1〜5重量%がより好ましい。具体的には、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどから選定できる。また、回路部材の接続端子の腐食を抑えるために、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドから選定されることが好ましく、高反応性が得られるパーオキシエステルから選定されることがより好ましい。
【0006】
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5,-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0007】
パーオキシジカーボネート類としては、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-(3-メチル-3-メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
【0008】
パーオキシエステル類としては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ2-エチルヘキサノネート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0009】
パーオキシケタール類では、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス-(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1、1-(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2-ビス-(t-ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0010】
ジアルキルパーオキサイド類では、α,α’ビス-(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0011】
ハイドロパーオキサイド類では、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0012】
これらの遊離ラジカル発生剤は単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。
また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0013】
本発明で用いるラジカル重合性物質としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。ラジカル重合性物質はモノマー、オリゴマーいずれの状態で用いることが可能であり、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
アクリレートの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシメトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ウレタンアクリレート及びそれらに対応するメタクリレート等が挙げられる。
これらは単独または併用して用いることができ、必要によっては、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。また、ジシクロペンテニル基および/またはトリシクロデカニル基および/またはトリアジン環を有する場合は、耐熱性が向上するので好ましい。
【0014】
また、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質を0.1〜10重量部用いた場合、金属等の無機物表面での接着強度が向上するので好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、などを挙げることができる。これらは、単独あるいは併用して用いたり、アリルフェノール、アリルフェニルエーテル、安息香酸アリルなどのアリル化合物と併用して用いてもよい。
【0015】
また、本発明に用いるフィルム形成性高分子には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂などが用いられ、これらの中でも水酸基等の官能基を有する樹脂は接着性が向上するためより好ましい。また、これらの高分子をラジカル重合性の官能基で変性したものも用いることができる。これら高分子の分子量は10000以上が好ましいが1000000以上になると混合性が悪くなる。
さらに、充填材、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
【0016】
充填材を含有した場合、接続信頼性等の向上が得られるので好ましい。充填材の最大径が導電粒子の粒径未満であれば使用でき、5〜60体積%の範囲が好ましい。60体積%以上では信頼性向上の効果が飽和する。
カップリング剤としては、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から好ましい。
また、接着剤の応力を緩和するため、ゴム粒子を分散することもでき、特にシリコーン微粒子が好ましく用いられる。シリコーン微粒子としては平均粒径が0.1〜20μmであり、室温(25℃)での弾性率が0.1〜100MPaの微粒子が使用できる。
【0017】
導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、十分なポットライフを得るためには、表層はNi、Cuなどの遷移金属類ではなくAu、Ag、白金族の貴金属類が好ましくAuがより好ましい。また、Niなどの遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成し最外層を貴金属類プラスチックを核とした場合や熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加したり接続端子の厚みばらつきを吸収し接続信頼性が向上するので好ましい。貴金族類の被覆層の厚みは良好な抵抗を得るためには、100Å以上が好ましい。しかし、Ni等の遷移金属の上に貴金属類の層を設ける場合では、貴金属類層の欠損や導電粒子の混合分散時に生じる貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生しポットライフ低下引き起こすため、300Å以上が好ましい。導電性粒子は、接着剤成分100体積に対して0.1〜30体積%の範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等を防止するためには0.1〜10体積%とするのがより好ましい。
【0018】
また、本構成の回路接続用接着フィルムを2層以上に分割し、遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する層と導電性粒子を含有する層に分離した場合、従来の高精細化可能の効果に加えて、ポットライフの向上が得られる。
回路接続用接着フィルムの形成は、これら少なくとも遊離ラジカルを発生する硬化剤、ラジカル重合性物質、及びフィルム形成性高分子からなる組成物を有機溶剤に溶解あるいは分散により、液状化して、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリテトラフルオロエチレンのような剥離性支持フィルム上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去することにより行われる。この時用いる溶剤は、芳香族炭化水素系と含酸素系の混合溶剤が組成物の溶解性を向上させるため好ましい。
【0019】
本発明のフレキシブル基板に対する仮固定力は、PWB(プリント配線基板)あるいはガラス基板に接続材料を80℃、1MPa、3秒で仮圧着し、剥離性PETフィルムを剥離後、フレキシブル基板を23℃、0.5MPa、5秒で圧着する。引張り方向90°にて、引張り速度50mm/minでフレキシブル基板と接続材料の仮固定力を測定温度23±3℃で測定する。基材の仕様は以下の通りである。
フレキシブル基板;75μmポリイミドフィルム、1/2Oz(オンス)銅箔錫メッキ、ピッチ0.2mm、電極幅/電極スペース=1/1
PWB基板;FR−4、厚み1.1mm、1Oz(オンス)銅箔、ピッチ0.2mm、
電極幅/電極スペース=1/1
ガラス基板;15〜20Ω/角、スパッタ 全面電極、厚み1.1mm
本発明では、回路接続用接着フィルムの仮固定力は、40gf/cm〜160gf/cmの範囲内にある必要がある。仮固定力が160gf/cmを超えると粘着性が強すぎ、数10m以上のフィルムがリールに巻かれたテープ状製品では、長時間室温に放置された場合、接着フィルム層が剥離性支持フィルムに背面転写をし、所望の接着フィルムをリールから引き出せないという問題が発生しやすくなる。一方、仮固定力が40gf/cmを下回ると粘着性が弱すぎ、回路基板への転写ができないという問題が発生する。
【0020】
本発明の遊離ラジカルを発生する硬化剤によるラジカル重合性物質の硬化反応に基づく発熱量は、DSC(昇温速度:10℃/min)によって求めることができる。本発明の回路接続用接着フィルムは、発熱量が60〜220J/gであるように硬化剤、ラジカル重合性物質、フィルム形成性高分子などの配合量が調整される。さらに、好ましい発熱量は、120〜210J/gである。接着剤の発熱量が、220J/gを超えると接着剤の硬化収縮力及び弾性率の増大等によって内部応力が増大し、回路同士を接続した際、回路基板が反り、接続信頼性の低下や電子部品の特性低下を引き起こす問題を生じる。また、発熱量が60J/gを下回ると接着剤の硬化性が不充分であり、接着性及び接続信頼性の低下を引き起こすという問題を生じる。
【0021】
本発明の回路接続用接着フィルムは、ICチップと基板との接着や電気回路相互の接着用のフィルム状接着剤として特に有用である。本発明の回路接続用接着フィルムは、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ長い可使時間を有し、フィルムがリールに巻かれたテープ状製品を長時間保管しても接着フィルム層が剥離性支持フィルムに背面転写することなく接着フィルムをリールから引き出せないという問題が発生せず、また、接着フィルムの粘着性が弱すぎ、回路基板への転写ができないという問題が発生しない転写性が良好で回路接続用接着フィルムの上記各特性のバランスに優れた電気・電子用の回路接続材料を提供することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、それぞれの配合比は表1にまとめて示した。
(実施例1)
フィルム形成材としてフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45,000)とポリウレタン樹脂を用いた。
ラジカル重合性物質としてウレタンアクリレート、リン酸エステル型アクリレート(共栄社油脂株式会社製、商品名P−2M)を用いた。
遊離ラジカル発生剤としてt−へキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート(日本油脂株式会社製商品名:パーキュアHO、半減期10時間の温度が70℃、半減期1分の温度が133℃)の50重量%DOP(ジオクチルフタレート)溶液を用いた。
【0023】
導電性粒子として、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層、このニッケル層の外側に、厚み0.04μmの金層を設けた平均粒径5μmの導電性粒子を作製し使用した。
シリコーン微粒子として、平均粒径が2μmの微粒子を用いた。シリコーン微粒子は、20℃でメチルトリメトキシシランを300rpmで攪拌したpH12のアルコール水溶液に添加し、加水分解、縮合させ作製した。この球状粒子は、25℃での弾性率が8MPaであり、平均粒径は2μmであった。
シリコーン微粒子100重量部を重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤100重量部に分散した。
【0024】
固形重量比でフェノキシ樹脂25g、ポリウレタン樹脂25g、ウレタンアクリレート樹脂25g、リン酸エステル型アクリレート1g、平均粒径が2μmのシリコーン微粒子5g、t−へキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート5gとなるように配合したメチルケトン溶液を作製し、さらに導電性粒子を3体積%配合分散させ、厚み80μmの片面を表面処理した剥離性PETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥により、接着剤層の厚みが35μmの回路接続用接着フィルム(長さ50m)を得た。得られた接着フィルムを2mm幅に裁断し、内径40mm、外径48mmのプラスチック製リールの側面(厚み2.5mm)に接着フィルムを内側にして50m巻きつけ、テープ状の回路接続用接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムの仮固定力は、120gf/cmであった。また、この接着フィルムのDSCによる発熱量は170J/gでった。
【0025】
【表1】
【0026】
(ブロッキングの評価)
得られたテープ状回路接続用接着フィルムを25℃、60%RHの環境下、30日間放置した後、リールから接着フィルムを引き出した際、接着フィルムが剥離性PETフィルムの背面に転写するブロッキング現象が発生するか評価を行った。ブロッキングがないときは、「なし」として、あるときは、「あり」として評価した。
(回路の接続)
得られたテープ状回路接続用接着フィルムを用いて、ライン幅100μm、ピッチ200μm、厚み18μmの金めっき銅回路を500本有するエポキシ製プリント回路板(PWB)とライン幅100μm、ピッチ200μm、厚み18μmの錫めっき銅回路フレキシブル回路板(FPC)の接続を以下の方法で行った。予めPWB上に、回路接続用接着フィルムの剥離性PETフィルム反対面をPWB面に次のようにして貼り付けた。剥離性PETフィルム側から70℃、1MPaで3秒間加熱加圧してPWB面に回路接続用接着フィルムを仮接続し、その後、剥離性PETフィルムを接着フィルム界面から剥離して、PWB上へ回路接続用接着フィルムの転写を行った。その後、PWBとFPCの位置合わせを行い、150℃、3MPa、10秒の条件で加熱加圧を行い本接続した。
(接続抵抗の測定)
回路の接続後、上記接続部を含むFPCの隣接回路間の抵抗値を、初期と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に500時間保持した後にマルチメータで測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗150点の平均で示した。
(接着力の測定)
回路の接続後、90度剥離、剥離速度50mm/minで接着力測定を行った。接着力は1000gf/cm程度と良好な接着力が得られた。
【0027】
実施例で得られた回路接続用接着フィルムは良好な接続信頼性を示した。また、初期の接続抵抗も低く、高温高湿試験後の抵抗の上昇もわずかであり、高い耐久性を示した。比較例1の仮固定力が35gf/cmと低い値では、回路基板への転写性に劣り、位置合わせが困難になった。また、比較例2の仮固定力が165gf/cmと高い場合、背面転写リールから引き出せないという不具合が生じた。このように、転写性は仮固定力を40〜160gf/cmの範囲にすれば良好な結果が得られた。また、DSCの発熱量を比較的低くした実施例4では、回路接続後の接着力が低くなり、また接続信頼性試験の85℃、85%RH、500h後の接続抵抗が高くなってしまう。リン酸エステル構造のリン酸エステルアクリレートは、配合しない実施例3では、回路接続後の接着力が低くなる。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、従来のエポキシ樹脂系よりも低温速硬化性に優れかつ可使時間を有し、フィルムがリールに巻かれたテープ状製品を長時間保管しても接着フィルム層が剥離性支持フィルムに背面転写することなく接着フィルムをリールから引き出せないという問題が発生せず、また、接着フィルムの粘着性が弱すぎ、回路基板への転写ができないという問題が発生しない転写性が良好で回路接続用接着フィルムの上記各特性のバランスに優れた電気・電子用の回路接続材料を提供することができる。
Claims (5)
- 剥離性PETフィルム上に形成されてなり、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続用接着フィルムであって、前記回路接続用接着フィルムが加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤、ラジカル重合性物質、及びフィルム形成性高分子を必須とし、前記遊離ラジカルを発生する硬化剤の半減期10時間の温度が40℃以上で、かつ半減期1分の温度が200℃以下であり、
前記回路接続用接着フィルムは、前記電極間を電気的に接続する前に、その上に設けられていた剥離性PETフィルムを剥離されるものであり、
前記接着フィルムのフレキシブル基板に対する仮固定力が40〜160gf/cmであり、
前記仮固定力は、PWB(プリント配線基板)あるいはガラス基板に前記回路接続用接着フィルムを80℃、1MPa、3秒で仮圧着し、前記剥離性PETフィルムを剥離後、フレキシブル基板を23℃、0.5MPa、5秒で圧着し、引張り方向90°にて、引張り速度50 mm /min、測定温度23±3℃で測定される前記フレキシブル基板と前記回路接続用接着フィルムとの仮固定力であり、
前記PWBは、FR−4、厚み1.1 mm 、1Oz(オンス)銅箔、ピッチ0.2mm、電極幅/電極スペース=1/1のものであり、
前記ガラス基板は、15〜20Ω/角、スパッタ全面電極、厚み1.1mmのものであり、
前記フレキシブル基板は、75μmポリイミドフィルム、1/2Oz(オンス)銅箔錫メッキ、ピッチ0.2mm、電極幅/電極スペース=1/1のものである
ことを特徴とする回路接続用接着フィルム。 - 前記回路接続用接着フィルムのDSC(示差走査熱量計)による発熱量が60J/g〜220J/gであることを特徴とする請求項1に記載の回路接続用接着フィルム。
- 回路接続用接着フィルムにさらに導電性粒子を必須成分として含有する請求項1又は2に記載の回路接続用接着フィルム。
- ラジカル重合性物質がリン酸エステル構造を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回路接続用接着フィルム。
- 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の回路接続用接着フィルムを介在させ、加熱加圧して前期対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路板の製造方法。
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