JP2004028136A - 走行車等の駐車ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行車等の走行用ミッションケースにおける駐車ブレーキ構成の複雑さと、遊星ギヤ機構におけるブレーキ性能保持についての改善。
【解決手段】ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1の操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3の遊星ギヤ機構Pにより、操向作用や旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、遊星ギヤ軸3の軸端部に駐車ブレーキ5を取り付け、この駐車ブレーキ5と遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6との間にブレーキピストン7を配置し、駐車ブレーキ5のブレーキケース5aにブレーキライニング5bを設け、このブレーキライニング5bの制動用にキャリアブレーキ6の固定側ケース8を利用すると共に、キャリアブレーキ6のブレーキライニング6aにオイルを強制通過可能に、駐車ブレーキ5の回転体9の作用による循環回路cを設けたことを特徴とする駐車ブレーキ装置の構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1の操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3の遊星ギヤ機構Pにより、操向作用や旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、遊星ギヤ軸3の軸端部に駐車ブレーキ5を取り付け、この駐車ブレーキ5と遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6との間にブレーキピストン7を配置し、駐車ブレーキ5のブレーキケース5aにブレーキライニング5bを設け、このブレーキライニング5bの制動用にキャリアブレーキ6の固定側ケース8を利用すると共に、キャリアブレーキ6のブレーキライニング6aにオイルを強制通過可能に、駐車ブレーキ5の回転体9の作用による循環回路cを設けたことを特徴とする駐車ブレーキ装置の構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行車等の駐車ブレーキ装置に関し、ギヤ連動機構を有する走行用ミッションケースにおいて、遊星ギヤ機構の軸端部に駐車ブレーキ装置を設けているもの等の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
走行車等に設けられている走行用ミッションケースにおいて、副変速部による変速動力を操向クラッチの入・切を経て遊星ギヤ機構のキャリアブレーキの強弱作用により、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能とするギヤ連動機構を有しているものであって、従来では、このギヤ連動機構における連動経路の操向クラッチ軸より上手側に位置する軸端部に駐車ブレーキを取り付けているもの等が一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、該駐車ブレーキを、走行用ミッションケースのギヤ連動機構における操向クラッチを支承する軸より上手側に位置する軸の端部に取り付けているものにおいては、この駐車ブレーキの制動時に、ブレーキライニングの制動圧力を受け止めるための受圧板を別に設ける必要があり、構成が複雑になると共に、余分のスペースを必要とし、コスト的にも不利となる。
【0004】
また、遊星ギヤ機構のキャリアブレーキは、遊星ギヤ機構の回転数を調整するために、ブレーキライニングを或る程度滑らせる半ブレーキ状態での使用が主となることから、発熱による摩擦力の低下により、ブレーキ性能を保持し難いと共に、ライニングの耐久性の劣化を生じるものであった。
【0005】
そこで、このような、走行用ミッションケースにおける駐車ブレーキの構成の複雑化と、遊星ギヤ機構のキャリアブレーキにおけるブレーキ性能保持についての改善を行う。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1に軸承した操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3に軸装した遊星ギヤ機構Pにより、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、該遊星ギヤ軸3の一方の軸端部に駐車ブレーキ5を取り付け、この駐車ブレーキ5と遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6との間に油圧作用のブレーキピストン7を配置し、該駐車ブレーキ5のブレーキケース5aにブレーキライニング5bを設けると共に、このブレーキライニング5bの制動受圧板として該キャリアブレーキ6の固定側ケース8を利用したことを特徴とする駐車ブレーキ装置の構成とする。
【0007】
このような構成により、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を行うとき、左又は右の操向クラッチ2を切り作用させると同時に、左又は右のキャリアブレーキ6をブレーキピストン7の油圧作用により押圧し、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右側への操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該遊星ギヤ機構Pを軸装する遊星ギヤ軸3の一方の軸端部に、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した状態の駐車ブレーキ5を脱着容易に取り付けると共に、この駐車ブレーキ5の制動時には、ブレーキライニング5bの制動圧力を受け止める受圧板として、キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面を利用して制動駐車を行わせる。
【0008】
請求項2の発明は、ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1に軸承した操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3に軸装した遊星ギヤ機構Pにより、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、該遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けオイルを強制通過可能に、該駐車ブレーキ5の回転体9の遠心力作用による循環回路cを設けたことを特徴とする請求項1記載の駐車ブレーキ装置の構成とする。
【0009】
このような構成により、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を行うとき、左又は右の操向クラッチ2を切り作用させると同時に、左又は右のキャリアブレーキ6をブレーキピストン7の油圧作用により押圧し、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右側への操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該キャリアブレーキ6の可動側軸受部を介し、該駐車ブレーキ5のブレーキライニング5bの作動用回転体9の遠心力作用により、該キャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けてオイルの循環回路cを強制通過させて、ブレーキライニング6aの冷却を行わせる。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明では、上記作用の如く、操向クラッチ2の切り作用と同時に、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該遊星ギヤ軸3端部のブレーキピストン7の外側へ、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した駐車ブレーキ5を取り付けることにより、駐車ブレーキ5のみの脱着が容易となりメンテナンス性を向上できると共に、キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面を、この駐車ブレーキ5の制動時にブレーキライニング5bの制動圧力を受け止める受圧板として利用することにより、スペースを小さくコンパクトに構成でき、コスト的にも有利となる。
【0011】
請求項2の発明では、上記作用の如く、操向クラッチ2の切り作用と同時に、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該キャリアブレーキ6の可動側軸受部を介して駐車ブレーキ5の回転体9の遠心力作用により、ブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けオイルの循環回路cを強制通過させて効果的に冷却を行わせ、半ブレーキ状態での使用が主となるブレーキライニング6aの摩擦力の低下を防止し、ブレーキ性能を保持できると共に、ライニングの耐久性向上を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施例を走行車等としてのコンバインについて図面に基づき説明する。
図13はコンバインの全体構成を示すもので、車台10の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ11を張設した走行装置12を配設すると共に、該車台10上に、フィードチェン13に挟持して搬送供給される穀稈を脱穀処理した穀粒を選別回収して一時貯留するグレンタンク14と、このタンク14に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ15を備えた脱穀装置16を載置配設し、この脱穀装置16の後端部に排藁処理装置17を装架構成させる。
【0013】
該脱穀装置16の前方に、前端側から未刈穀稈を分草する分草体18と、分草した穀稈を引き起こす引起部19と、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部20と、刈り取った穀稈を掻き込むと共に搬送途上において扱深さを調節して該フィードチェン13へ引き継ぎを行う供給調節搬送部22等を有する刈取装置21を、油圧駆動による刈取昇降シリンダ23により土壌面に対して昇降自在なるよう該車台10の前端部へ懸架配設して構成させる。
【0014】
該刈取装置21の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置24と、操作のための操作席25を設け、この操作席25の下方にエンジン26を搭載し、後方側に前記グレンタンク14を配置すると共に、操作装置24と操作席25を覆うキャビン27を設け、これらの走行装置12,脱穀装置16,刈取装置21,操作装置24,エンジン26,キャビン27等によってコンバインの車体28を構成させる。
【0015】
該走行装置12は、車台10の前部側に走行用ミッションケース4を装架しており、このミッションケース4のギヤ伝動機構として、図5,図6に示す如く、該エンジン26から油圧式無段変速装置Hの可変ポンプ29に軸止した入力プーリ30を駆動可能に伝動ベルトを張設すると共に、この可変ポンプ29によって一体的に駆動する油圧モータ31から第1軸としての入力軸32に入力連動し、この入力軸32に入力ギヤ33を軸回転して構成させる。
【0016】
該入力ギヤ33と、第2軸としての変速駆動軸34に軸回転する変速伝動ギヤ35とを噛合連動させ、この変速駆動軸34に軸遊転する中速ギヤ36(標準作業速)及び低速ギヤ37(倒伏作業速)と、該中速ギヤ36の延長ボス部に重接遊転する高速ギヤ38(走行速)と、該変速駆動軸34に軸回転するシフト用クラッチ39とを適宜位置に配列して構成させる。
【0017】
図4に示す如く、該シフト用クラッチ39は、外周にシフタ溝40aと内周にクラッチ爪40bを設けた可動リング40を、該変速駆動軸34に軸回転する固定リング41の外周に対し該クラッチ爪40bを噛合させて左右摺動可能に係合重接して構成させる。
【0018】
図示しないシフタの作用により中立位置の該可動リング40を右に摺動させ、該クラッチ爪40bと低速ギヤ37のクラッチ爪37aを噛合させたときは低速変速となり、中立位置の該可動リング40を左に摺動させ、該クラッチ爪40bと中速ギヤ36のクラッチ爪36aを噛合させたときは中速変速となり、更に、該可動リング40を左に摺動させ、該クラッチ爪40bと高速ギヤ38のクラッチ爪38aを噛合させたときは高速変速となるよう構成させる。
【0019】
第3軸としての変速伝動軸42に、該中速ギヤ36,低速ギヤ37,高速ギヤ38と、各々常時噛合連動させる中速伝動ギヤ43,低速伝動ギヤ44,高速伝動ギヤ45を軸回転させると共に、変速された動力を伝動する変速伝動ギヤ46を変速伝動軸42に軸回転して構成させる。21aは、該変速駆動軸34の外側端部に軸回転する刈取装置21駆動用の刈取駆動プーリを示す。
【0020】
図1,図2に示す如く、該変速伝動軸42の変速伝動ギヤ46と、第4軸としての操向クラッチ軸1のセンターに軸回転する操向センタギヤ47とを噛合連動させ、この操向センタギヤ47の両側に左右の操向ギヤ48を軸遊転し、車体28の直進操向及び旋回作用時に、油圧作用のクラッチライニング2aと圧縮バネ2bにより左右の操向クラッチ2を接続と非接続状態に制御を行い、車体28の直進時には左右の操向クラッチ2を接続状態とし操向ギヤ48を軸回転させる構成とする。
【0021】
該操向クラッチ軸1の操向センタギヤ47と、第5軸としての遊星ギヤ軸3に軸回転する遊星センタギヤ49とを噛合連動させると共に、この遊星センタギヤ49の両側に、左右対称の遊星ギヤ機構Pを配置して構成させる。
該遊星ギヤ機構Pは(左右対称であり片側についてのみ説明する)、該操向クラッチ軸1の操向ギヤ48と、遊星ギヤ軸3に軸遊転する短円筒形状のキャリア50の外周ギヤ50aとを噛合連動させると共に、キャリア50の内周面側に、外径の異なる2連の遊星大径ギヤ51a,遊星小径ギヤ51bと別の遊星ギヤ52とを、キャリア50に固定した支持軸51cと支持軸52aとによって各3個宛交互に軸遊転配置して構成させる。
【0022】
該遊星ギヤ軸3の両端部に左右のサンギヤ53を各々軸回転配置し、このサンギヤ53と該各遊星大径ギヤ51aとを各々噛合連動させ、各遊星小径ギヤ51bと各遊星ギヤ52とを各々噛合連動させると共に、各遊星ギヤ52と遊星ギヤ軸3に軸遊転する外径の異なる2連ギヤの出力小径ギヤ54aとを噛合連動して構成させる。
【0023】
図3に示す如く、該キャリア50の一端部に、ブレーキピストン7の油圧力を受けたブレーキライニング6aの作用により、キャリアブレーキ6を制動状態と非制動状態とに制御可能に接続させ、該遊星ギヤ軸3の軸端部を支承する該キャリアブレーキ6の固定側ケース8にブレーキピストン7を保持させると共に、片方の該固定側ケース8に、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した駐車ブレーキ5を脱着容易に組み付けて構成させる。
【0024】
該駐車ブレーキ5は、外部の駐車ブレーキアーム55の回動により、該ブレーキライニング5bを、該キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面fに押圧して制動させると共に、該ブレーキライニング5bの内径側を、該遊星ギヤ軸3端部に軸回転する回転体9と係合させることにより駐車制動可能に構成させる。
【0025】
該2連ギヤの出力小径ギヤ54aと一体形成の出力大径ギヤ54bと、第6軸としての走行中間軸56に軸遊転する外径の異なる2連ギヤの走行中間大径ギヤ57aとを噛合連動させると共に、該2連ギヤの走行中間大径ギヤ57aと一体形成の左右の走行中間小径ギヤ57bと、第7軸としての左右の走行減速軸58の各一端部に軸回転する左右の減速大径ギヤ59とを噛合連動して構成させる。
【0026】
該走行減速軸58の各他端部に軸回転する左右の減速小径ギヤ60と、第8軸としての左右の車軸61の各一端部に軸回転する左右の車軸ギヤ62とを噛合連動し、左右の車軸61の各他端部に、前記走行クローラ11を駆動する左右の走行駆動輪63を軸回転可能に取付け構成させる。
【0027】
前記走行装置12の走行用ミッションケース4の作用と、刈取装置21の昇降作用と、脱穀装置16の排穀オーガ15の昇降作用と、車体28に対する走行クローラ11のローリング及びピッチング作用とを各々油圧制御回路Hによって実行可能に接続構成させる。
【0028】
該油圧制御回路Sは、図7に示す如く、油タンク64から油圧ポンプ65により供給される圧油を、走行系油圧回路Rとして減圧弁66を介し設定圧力(二次圧)を保持させ、左右の固定絞り67とクラッチ切替電磁弁68を経て前記左右の操向クラッチ2へ各々供給可能に接続すると共に、この油路途中から左右のブレーキ圧力調整用の電磁比例減圧弁69を経て前記左右のキャリアブレーキ6へ各々供給可能に接続して構成させる。
【0029】
次に、油圧ポンプ65により供給される圧油を、作業系油圧回路Wとしてシーケンス弁70を介し主リリーフ弁71により設定圧力(一次圧)を保持させ、上昇用切替弁72aと下降用切替弁72b、及び各調整弁72cと72d,リリーフ弁72e,チェック弁付き絞り弁72fを組合わせた昇降電磁弁72(電磁比例流量制御弁)を経て、該刈取装置21の刈取昇降シリンダ23及び脱穀装置16の排穀オーガ15用オーガシリンダ15aへ、各々切替電磁弁73を介して供給可能に接続して構成させる。
【0030】
該刈取昇降電磁弁72を経た圧油を、切替電磁弁74aと組合せたアンロード弁74へ供給すると共に、車体28の水平制御作用を行う左右のローリング切替電磁弁75から逆止め弁75a及びチェック弁付き絞り弁75bを経た左右のローリングシリンダ76と、ピッチング流量制御電磁弁77から逆止め弁77aを経たピッチングシリンダ78とに各々供給可能に接続して構成させる。
【0031】
エンジン26からの動力を油圧式無段変速装置Hの可変ポンプ29へ入力し、この可変ポンプ29によって駆動される油圧モータ31による主変速動力を入力軸32に入力連動し、この入力軸32の入力ギヤ33から変速駆動軸34の変速伝動ギヤ35へ連動させる。
【0032】
この連動により変速駆動軸34のシフト用クラッチ39を、中立位置から右へ摺動させたときは、低速ギヤ37を駆動すると共に変速伝動軸42の低速伝動ギヤ44へ連動して低速変速となり、中立位置から左へ摺動させたときは、中速ギヤ36を駆動すると共に変速伝動軸42の中速伝動ギヤ43へ連動して中速変速となり、更に、この中速位置から左へ摺動させたときは、高速ギヤ38を駆動すると共に変速伝動軸42の高速伝動ギヤ45へ連動して高速変速となる。
【0033】
このように低・中・高速の変速を行った副変速部による動力を、該変速伝動軸42の変速伝動ギヤ46から操向クラッチ軸1の操向センタギヤ47へ連動させると共に、この操向センタギヤ47の連動時に、左右の操向クラッチ2を同時に入り(接続状態)としたときは車体28の直進を行わせることができる。
【0034】
また、車体28の旋回作用を行わせるときは、左(又は右)の操向クラッチ2の切り(非接続状態)と同時に、左(又は右)のキャリアブレーキ6に対し旋回作用力に応じて制動圧力を電磁比例減圧弁69によって立ち上げることにより、左(又は右)のサンギヤ53及びキャリア50とその遊星大径ギヤ51a,遊星小径ギヤ51b,遊星ギヤ52によるギヤ減速比によって、出力小径ギヤ54aを経て出力大径ギヤ54bの回転数が低下する。
【0035】
この回転数の低下により、該左(又は右)のキャリア50の回転数とサンギヤ53の回転数とのギヤ比によって、徐々に回転数が低下していく左(又は右)の出力大径ギヤ54bと、該右(又は左)の操向クラッチ2の入りによる通常回転数の右(又は左)の出力大径ギヤ54bから、各々左右の走行中間大径ギヤ57aへ連動させる。
【0036】
この左右の走行中間大径ギヤ57aを経て走行中間小径ギヤ57bから、左右の走行減速軸58の減速大径ギヤ59を経て減速小径ギヤ60を駆動させ、この減速小径ギヤ60から左右の車軸61の車軸ギヤ62へ連動し、この車軸ギヤ62による通常回転数の右(又は左)の走行駆動輪63に対し、左(又は右)の走行駆動輪63を減速させて旋回作用を行わせる。
【0037】
以上の作用を行うものにおいて、前記の如く、駐車ブレーキ5を、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した状態で、遊星ギヤギヤ軸3のキャリアブレーキ6を押圧するブレーキピストン7の外側に取り付けることにより、駐車ブレーキ5のみの脱着が容易となりメンテナンス性を向上できると共に、該キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面fを、駐車ブレーキ5の制動時にブレーキライニング5bの制動受圧板として利用することができ、コンパクト化を図ることができる。
【0038】
また、別に設けたオイルクーラ(図示せず)による冷却後のミッションオイルを、該キャリアブレーキ6の固定側ケース8を介して、駐車ブレーキ5のブレーキライニング5bの内径側に係合して回転する回転体9の遠心力作用により、キャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けオイルの循環回路cを強制通過(図1参照)させて効果的に冷却を行わせ、半ブレーキ状態での使用が主となるブレーキライニング6aの摩擦力の低下を防止し、ブレーキ性能を保持させると共に、ライニングの耐久性向上を図ることができる。
【0039】
また、前記操向クラッチ2のクラッチライニング2aとキャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの容量を、半ブレーキ状態での使用が主となるキャリアブレーキ6側を、入・切のみの使用となる操向クラッチ2側より大きく構成することにより、微妙な旋回作用が行い易くなると共に耐久性の面でも効果がある。
【0040】
また、図8に示す如く、該操向ラッチ2を、クラッチピストン2cの油圧力による可動側軸受部2dの摺動によりクラッチライニング2aと圧縮バネ2bを作用させて入・切するとき、操向ラッチ2の切りによる操向作用(方向修正)では応答性を向上させるため短時間で切り作用できることが必要であり、操向クラッチ2の入りによる旋回作用では大きなトルクを必要とする。
【0041】
このため、クラッチピストン2cの油圧作用油の容積を切り側bに対し入り側aを大きく構成することにより、切り側bでは該ピストン2cの戻り量が減り瞬時に切ることができると共に、入り側aでは大きなトルクを得ることができる。(切り側bでは圧縮バネ2bを押圧するトルクのみでよい)
また、前記図8に示す如く、該操向ラッチ2において、クラッチピストン2cと可動側軸受部2dを支承する2個のスラスト軸受sを、該ピストン2cの内径側と外形側の円周方向に重列配置構成することにより、従来の如く、2個並べて直列配置しているものに対し操向ラッチ2の幅方向の寸法が小さくなり、該ミッションケース4自体もコンパクト化できると共に、スラスト軸受sの容量も大きくでき耐久性が向上する。
【0042】
また、該ミッションケース4の車軸61に走行駆動輪63を取り付ける方法として、図9,図10に示す如く、この走行駆動輪63を円周方向に2個以上に分割すると共に、この分割した分割駆動輪63aをハブ63b及びフランジ63cにより挟み付け固定して構成させる。
【0043】
このような構成により、該走行駆動輪63を分割して車軸61に固定することにより、前記走行クローラ11を装着したままで走行駆動輪63の交換が可能であるから、従来の如く、走行クローラ11を取り外して交換するものに対し大幅な工数低減ができると共に、走行駆動輪63の固定を、ハブ63b及びフランジ63cによる二重締結を行うため確実に固定することができる。
【0044】
なお、該フランジ63cは走行駆動輪63そのものの固定と、走行駆動輪63を車軸61軸端に固定する機能とを合わせもっているから、部品を増やすことなく固定確実化を図ることができる。
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの走行系油圧回路Rにおいて、従来では、電装系のトラブルや各電磁弁の塵埃詰まり等により、該操向クラッチ2の入りとブレーキ圧力調整用の電磁比例減圧弁69が同時に作動したような場合、操向クラッチ2が接続状態のままキャリアブレーキ6を制動することになり、メカロックにより、各ギヤ及び操向クラッチ2,キャリアブレーキ6等の破損が発生し、該ミッションケース4の故障を招き走行不能となる恐れがある。
【0045】
このため、該操向クラッチ2の切り側回路kに電磁比例減圧弁69を並列に配置構成することにより、操向クラッチ2を接続した状態では電磁比例減圧弁69は昇圧しないためキャリアブレーキ6が制動されることがなく、メカロックによる該ミッションケース4の故障を防止することができる。
【0046】
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの走行系油圧回路Rにおいて、従来では、上記の如きメカロックによる該ミッションケース4の故障が発生しない場合でも、該操向クラッチ2のクラッチピストン2cの作動に時間が掛かるときは、圧油の流量を全て操向クラッチ2側に取られ該電磁比例減圧弁69の昇圧の遅れに繋がり、該キャリアブレーキ6の回転制御に遅れを生じ旋回作用のタイミング遅れを招く。
【0047】
このため、該操向クラッチ2側の圧油の流量を該電磁比例減圧弁69側より大きく構成することにより、操向クラッチ2の入・切を素早く行うことができるから、該キャリアブレーキ6の回転制御遅れによる旋回作用のタイミング遅れを解消できる。
【0048】
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの作業系油圧回路Wにおいて、従来では、単一の電磁比例流量制御弁としての昇降電磁弁72により、前記刈取昇降シリンダ23を作動させ該刈取装置21のスピード昇降を行わせていたが、相互の作用タイミングが重複しない刈取昇降シリンダ23と、該脱穀装置16の排穀オーガ15用オーガシリンダ15aとを、該単一の昇降電磁弁72による高速での作動制御を行わせるよう構成することにより、各別に流量制御弁を設けているものより構成を簡素化して安価にできる。
【0049】
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの作業系油圧回路Wにおいて、従来では、刈取作業時において、ピッチング速度が速いと刈高さが乱れ、逆に、湿田でのバランス修正が遅いと該刈取装置21での泥押しが発生し作業性が悪くなるため、ピッチングシリンダ78の作動用として、通常の切替電磁弁に代えピッチング流量制御電磁弁77を設けて構成させることにより、ピッチング時の速度を可変として作業状態により高速・低速の使い分けを可能とし作業性が向上すると共に、ピッチングの効果をより発揮することができる。
【0050】
また、図11に示す如く、前記走行用ミッションケース4の油圧サーボ付油圧式無段変速装置Hでは、チャージポンプ(図示せず)に供給するオイル量が多く、前記油タンク64に返油するドレン回路dに設けたオイルクーラ79に送油するときは、該クーラ79の配管抵抗によりドレン圧力が上昇し該無段変速装置Hの不具合の原因となっていた。
【0051】
このため、該ドレン回路dを流れるドレンオイルの一部を該無段変速装置Hとオイルクーラ79との間に設けた、前記作業系油圧回路Wにオイルを供給するギヤポンプ80に送油することにより、オイルクーラ79に送油されるオイル量が減りドレン圧力の上昇を抑えることができる。
【0052】
なお、このドレンオイルは、該無段変速装置Hにおける高密度のフィルタを通過した塵埃の無いオイルであり、該作業系油圧回路Wの各バルブ類のトラブルを防止できると共に、作業系油圧回路Wに専用のフィルタを設ける必要がなくコストメリットがある。
【0053】
また、該作業系油圧回路Wにおける比例流量制御用としての昇降電磁弁72の作用により、刈取昇降シリンダ23を作動させて該刈取装置21の上下昇降速度を変速可能とするものにおいて、引起部19の回転速度が高速のときは標準速の場合より刈取昇降速度を遅くするよう構成させる。
【0054】
このような構成により、穀稈倒伏時の刈取作業においては、引起し速度を高速とし引起性能を向上させるようにしているから、引起し速度が高速のときは倒伏作業と判断し、より細かな刈高さ調節が容易となるよう刈取昇降速度を遅くすることによって、刈り残しのない倒伏作業を的確に行うことができる。
【0055】
また、前記と同様に、該刈取装置21の上下昇降速度を変速可能とするものにおいて、前記走行用ミッションケース4における副変速部の変速位置が、倒伏作業速のときは標準作業速の場合より刈取昇降速度を遅くするよう構成させる。
このような構成により、倒伏作業速のときは刈り残し防止のため、より細かな刈高さ調節が要求されるから、倒伏作業速の位置に変速したときは自動的に刈取昇降速度を遅くすることにより、微妙な刈高さ設定が容易となり刈り残しの無い作業を容易に行うことができると共に、倒伏作業速では車速が遅くなっているため、刈取昇降速度を遅くしても該刈取装置21の分草体18先端が土壌面に突っ込む等のトラブルに対し対応することができる。
【0056】
また、前記走行クローラ11を車体28に対し上下昇降させるピッチング制御を行う構成について、走行クローラ11は左右共用のため片側についてのみ説明する。図12に示す如く、前記車台10の前側下部に設けた支持枠81にローリングメタル82を固定し、このメタル82に前部ローリングアーム83の中間部を支承し、このアーム83の下端部を転輪フレーム84の前部に回動可能に連結して構成させる。
【0057】
該車台10の後側下部に固定したピッチングメタル85にピッチングアーム86の一端部を支承すると共に、その他端部と、平面視H字状の連結アーム87の一端部とをピン連結し、この連結アーム87の他端部と、後部ローリングアーム88の中間部とをピン連結し、このアーム88の下端部を該転輪フレーム84の後部に回動可能に連結して構成させる。
【0058】
該車台10から上方へ延長した取付枠89に、前記ピッチングシリンダ78が鉛直姿勢となるよう、その固定側をピン連結すると共に、該シリンダ78のピストン先端部と、該ピッチングアーム86の他端部とをピン連結して構成させる。該前部ローリングアーム83の上端部と、後部ローリングアーム88の上部側とを連結杆90によって各々ピン連結し、更に、該アーム88の上端部と、ローリングシリンダ76のピストン先端部とをピン連結すると共に、このシリンダ76が横方向姿勢となるよう、その固定側を該車台10の取付枠91にピン連結して構成させる。
【0059】
該転輪フレーム84の前端部に前記走行駆動輪63を、後端部に後部転輪92を、接地側に複数個の接地転輪93を各々配設し、これらの走行駆動輪63,後部転輪92,接地転輪93等に対し該走行クローラ11を巻き掛け張設して構成させる。
【0060】
前記脱穀装置16において一番穀粒を揚送する揚穀筒94下部に設けた一番メタル95を、該車台10上における該ピッチングシリンダ78の後方に臨ませるよう配設して構成させる。
このような構成とすることにより、該後部ローリングアーム88の上方にピッチングシリンダ78のピストン連結部を配置し、該ピッチングシリンダ78を一番メタル95の前方に鉛直姿勢で配置することにより、ピッチングストロークの拡大が可能になると共に、ピッチングシリンダ78を鉛直姿勢とすることによりローリングシリンダ76との重なりがなくなり、ピッチングシリンダ78及びローリングシリンダ76のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す正面拡大図。
【図2】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す正面線図。
【図3】走行用ミッションケースでの駐車ブレーキの組み付け状態を示す正面拡大図。
【図4】走行用ミッションケースにおける副変速部の変速機構関係を示す正面拡大図。
【図5】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す正面展開図。
【図6】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す側面線図。
【図7】走行装置と刈取装置及び脱穀装置の各制御を行う油圧回路を示すブロック図。
【図8】走行用ミッションケースにおける操向クラッチ関係の機構を示す正面拡大図。
【図9】走行クローラを駆動する走行駆動輪を分割して組み付けた状態を示す正面図。
【図10】走行クローラを駆動する走行駆動輪を分割して組み付けた状態を示す側面図。
【図11】走行用ミッションケースの油圧無段変速装置のドレン回路を示すブロック図。
【図12】走行クローラ制御用のピッチングシリンダの取り付け位置関係を示す側面図。
【図13】コンバインにおける全体構成を示す側面図。
【符号の説明】
1. 操向クラッチ軸
2. 操向クラッチ
3. 遊星ギヤ軸
4. 走行用ミッションケース
5. 駐車ブレーキ
5a.ブレーキケース
5b.ブレーキライニング
6. キャリアブレーキ
6a.ブレーキライニング
7. ブレーキピストン
8. 固定側ケース
9. 回転体
P. 遊星ギヤ機構
c. 循環回路
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行車等の駐車ブレーキ装置に関し、ギヤ連動機構を有する走行用ミッションケースにおいて、遊星ギヤ機構の軸端部に駐車ブレーキ装置を設けているもの等の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
走行車等に設けられている走行用ミッションケースにおいて、副変速部による変速動力を操向クラッチの入・切を経て遊星ギヤ機構のキャリアブレーキの強弱作用により、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能とするギヤ連動機構を有しているものであって、従来では、このギヤ連動機構における連動経路の操向クラッチ軸より上手側に位置する軸端部に駐車ブレーキを取り付けているもの等が一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、該駐車ブレーキを、走行用ミッションケースのギヤ連動機構における操向クラッチを支承する軸より上手側に位置する軸の端部に取り付けているものにおいては、この駐車ブレーキの制動時に、ブレーキライニングの制動圧力を受け止めるための受圧板を別に設ける必要があり、構成が複雑になると共に、余分のスペースを必要とし、コスト的にも不利となる。
【0004】
また、遊星ギヤ機構のキャリアブレーキは、遊星ギヤ機構の回転数を調整するために、ブレーキライニングを或る程度滑らせる半ブレーキ状態での使用が主となることから、発熱による摩擦力の低下により、ブレーキ性能を保持し難いと共に、ライニングの耐久性の劣化を生じるものであった。
【0005】
そこで、このような、走行用ミッションケースにおける駐車ブレーキの構成の複雑化と、遊星ギヤ機構のキャリアブレーキにおけるブレーキ性能保持についての改善を行う。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1に軸承した操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3に軸装した遊星ギヤ機構Pにより、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、該遊星ギヤ軸3の一方の軸端部に駐車ブレーキ5を取り付け、この駐車ブレーキ5と遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6との間に油圧作用のブレーキピストン7を配置し、該駐車ブレーキ5のブレーキケース5aにブレーキライニング5bを設けると共に、このブレーキライニング5bの制動受圧板として該キャリアブレーキ6の固定側ケース8を利用したことを特徴とする駐車ブレーキ装置の構成とする。
【0007】
このような構成により、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を行うとき、左又は右の操向クラッチ2を切り作用させると同時に、左又は右のキャリアブレーキ6をブレーキピストン7の油圧作用により押圧し、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右側への操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該遊星ギヤ機構Pを軸装する遊星ギヤ軸3の一方の軸端部に、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した状態の駐車ブレーキ5を脱着容易に取り付けると共に、この駐車ブレーキ5の制動時には、ブレーキライニング5bの制動圧力を受け止める受圧板として、キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面を利用して制動駐車を行わせる。
【0008】
請求項2の発明は、ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1に軸承した操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3に軸装した遊星ギヤ機構Pにより、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、該遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けオイルを強制通過可能に、該駐車ブレーキ5の回転体9の遠心力作用による循環回路cを設けたことを特徴とする請求項1記載の駐車ブレーキ装置の構成とする。
【0009】
このような構成により、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を行うとき、左又は右の操向クラッチ2を切り作用させると同時に、左又は右のキャリアブレーキ6をブレーキピストン7の油圧作用により押圧し、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右側への操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該キャリアブレーキ6の可動側軸受部を介し、該駐車ブレーキ5のブレーキライニング5bの作動用回転体9の遠心力作用により、該キャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けてオイルの循環回路cを強制通過させて、ブレーキライニング6aの冷却を行わせる。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明では、上記作用の如く、操向クラッチ2の切り作用と同時に、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該遊星ギヤ軸3端部のブレーキピストン7の外側へ、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した駐車ブレーキ5を取り付けることにより、駐車ブレーキ5のみの脱着が容易となりメンテナンス性を向上できると共に、キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面を、この駐車ブレーキ5の制動時にブレーキライニング5bの制動圧力を受け止める受圧板として利用することにより、スペースを小さくコンパクトに構成でき、コスト的にも有利となる。
【0011】
請求項2の発明では、上記作用の如く、操向クラッチ2の切り作用と同時に、遊星ギヤ機構Pを適宜回転させ左右操向作用や旋回作用を実行させるものにおいて、該キャリアブレーキ6の可動側軸受部を介して駐車ブレーキ5の回転体9の遠心力作用により、ブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けオイルの循環回路cを強制通過させて効果的に冷却を行わせ、半ブレーキ状態での使用が主となるブレーキライニング6aの摩擦力の低下を防止し、ブレーキ性能を保持できると共に、ライニングの耐久性向上を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施例を走行車等としてのコンバインについて図面に基づき説明する。
図13はコンバインの全体構成を示すもので、車台10の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ11を張設した走行装置12を配設すると共に、該車台10上に、フィードチェン13に挟持して搬送供給される穀稈を脱穀処理した穀粒を選別回収して一時貯留するグレンタンク14と、このタンク14に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ15を備えた脱穀装置16を載置配設し、この脱穀装置16の後端部に排藁処理装置17を装架構成させる。
【0013】
該脱穀装置16の前方に、前端側から未刈穀稈を分草する分草体18と、分草した穀稈を引き起こす引起部19と、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部20と、刈り取った穀稈を掻き込むと共に搬送途上において扱深さを調節して該フィードチェン13へ引き継ぎを行う供給調節搬送部22等を有する刈取装置21を、油圧駆動による刈取昇降シリンダ23により土壌面に対して昇降自在なるよう該車台10の前端部へ懸架配設して構成させる。
【0014】
該刈取装置21の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置24と、操作のための操作席25を設け、この操作席25の下方にエンジン26を搭載し、後方側に前記グレンタンク14を配置すると共に、操作装置24と操作席25を覆うキャビン27を設け、これらの走行装置12,脱穀装置16,刈取装置21,操作装置24,エンジン26,キャビン27等によってコンバインの車体28を構成させる。
【0015】
該走行装置12は、車台10の前部側に走行用ミッションケース4を装架しており、このミッションケース4のギヤ伝動機構として、図5,図6に示す如く、該エンジン26から油圧式無段変速装置Hの可変ポンプ29に軸止した入力プーリ30を駆動可能に伝動ベルトを張設すると共に、この可変ポンプ29によって一体的に駆動する油圧モータ31から第1軸としての入力軸32に入力連動し、この入力軸32に入力ギヤ33を軸回転して構成させる。
【0016】
該入力ギヤ33と、第2軸としての変速駆動軸34に軸回転する変速伝動ギヤ35とを噛合連動させ、この変速駆動軸34に軸遊転する中速ギヤ36(標準作業速)及び低速ギヤ37(倒伏作業速)と、該中速ギヤ36の延長ボス部に重接遊転する高速ギヤ38(走行速)と、該変速駆動軸34に軸回転するシフト用クラッチ39とを適宜位置に配列して構成させる。
【0017】
図4に示す如く、該シフト用クラッチ39は、外周にシフタ溝40aと内周にクラッチ爪40bを設けた可動リング40を、該変速駆動軸34に軸回転する固定リング41の外周に対し該クラッチ爪40bを噛合させて左右摺動可能に係合重接して構成させる。
【0018】
図示しないシフタの作用により中立位置の該可動リング40を右に摺動させ、該クラッチ爪40bと低速ギヤ37のクラッチ爪37aを噛合させたときは低速変速となり、中立位置の該可動リング40を左に摺動させ、該クラッチ爪40bと中速ギヤ36のクラッチ爪36aを噛合させたときは中速変速となり、更に、該可動リング40を左に摺動させ、該クラッチ爪40bと高速ギヤ38のクラッチ爪38aを噛合させたときは高速変速となるよう構成させる。
【0019】
第3軸としての変速伝動軸42に、該中速ギヤ36,低速ギヤ37,高速ギヤ38と、各々常時噛合連動させる中速伝動ギヤ43,低速伝動ギヤ44,高速伝動ギヤ45を軸回転させると共に、変速された動力を伝動する変速伝動ギヤ46を変速伝動軸42に軸回転して構成させる。21aは、該変速駆動軸34の外側端部に軸回転する刈取装置21駆動用の刈取駆動プーリを示す。
【0020】
図1,図2に示す如く、該変速伝動軸42の変速伝動ギヤ46と、第4軸としての操向クラッチ軸1のセンターに軸回転する操向センタギヤ47とを噛合連動させ、この操向センタギヤ47の両側に左右の操向ギヤ48を軸遊転し、車体28の直進操向及び旋回作用時に、油圧作用のクラッチライニング2aと圧縮バネ2bにより左右の操向クラッチ2を接続と非接続状態に制御を行い、車体28の直進時には左右の操向クラッチ2を接続状態とし操向ギヤ48を軸回転させる構成とする。
【0021】
該操向クラッチ軸1の操向センタギヤ47と、第5軸としての遊星ギヤ軸3に軸回転する遊星センタギヤ49とを噛合連動させると共に、この遊星センタギヤ49の両側に、左右対称の遊星ギヤ機構Pを配置して構成させる。
該遊星ギヤ機構Pは(左右対称であり片側についてのみ説明する)、該操向クラッチ軸1の操向ギヤ48と、遊星ギヤ軸3に軸遊転する短円筒形状のキャリア50の外周ギヤ50aとを噛合連動させると共に、キャリア50の内周面側に、外径の異なる2連の遊星大径ギヤ51a,遊星小径ギヤ51bと別の遊星ギヤ52とを、キャリア50に固定した支持軸51cと支持軸52aとによって各3個宛交互に軸遊転配置して構成させる。
【0022】
該遊星ギヤ軸3の両端部に左右のサンギヤ53を各々軸回転配置し、このサンギヤ53と該各遊星大径ギヤ51aとを各々噛合連動させ、各遊星小径ギヤ51bと各遊星ギヤ52とを各々噛合連動させると共に、各遊星ギヤ52と遊星ギヤ軸3に軸遊転する外径の異なる2連ギヤの出力小径ギヤ54aとを噛合連動して構成させる。
【0023】
図3に示す如く、該キャリア50の一端部に、ブレーキピストン7の油圧力を受けたブレーキライニング6aの作用により、キャリアブレーキ6を制動状態と非制動状態とに制御可能に接続させ、該遊星ギヤ軸3の軸端部を支承する該キャリアブレーキ6の固定側ケース8にブレーキピストン7を保持させると共に、片方の該固定側ケース8に、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した駐車ブレーキ5を脱着容易に組み付けて構成させる。
【0024】
該駐車ブレーキ5は、外部の駐車ブレーキアーム55の回動により、該ブレーキライニング5bを、該キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面fに押圧して制動させると共に、該ブレーキライニング5bの内径側を、該遊星ギヤ軸3端部に軸回転する回転体9と係合させることにより駐車制動可能に構成させる。
【0025】
該2連ギヤの出力小径ギヤ54aと一体形成の出力大径ギヤ54bと、第6軸としての走行中間軸56に軸遊転する外径の異なる2連ギヤの走行中間大径ギヤ57aとを噛合連動させると共に、該2連ギヤの走行中間大径ギヤ57aと一体形成の左右の走行中間小径ギヤ57bと、第7軸としての左右の走行減速軸58の各一端部に軸回転する左右の減速大径ギヤ59とを噛合連動して構成させる。
【0026】
該走行減速軸58の各他端部に軸回転する左右の減速小径ギヤ60と、第8軸としての左右の車軸61の各一端部に軸回転する左右の車軸ギヤ62とを噛合連動し、左右の車軸61の各他端部に、前記走行クローラ11を駆動する左右の走行駆動輪63を軸回転可能に取付け構成させる。
【0027】
前記走行装置12の走行用ミッションケース4の作用と、刈取装置21の昇降作用と、脱穀装置16の排穀オーガ15の昇降作用と、車体28に対する走行クローラ11のローリング及びピッチング作用とを各々油圧制御回路Hによって実行可能に接続構成させる。
【0028】
該油圧制御回路Sは、図7に示す如く、油タンク64から油圧ポンプ65により供給される圧油を、走行系油圧回路Rとして減圧弁66を介し設定圧力(二次圧)を保持させ、左右の固定絞り67とクラッチ切替電磁弁68を経て前記左右の操向クラッチ2へ各々供給可能に接続すると共に、この油路途中から左右のブレーキ圧力調整用の電磁比例減圧弁69を経て前記左右のキャリアブレーキ6へ各々供給可能に接続して構成させる。
【0029】
次に、油圧ポンプ65により供給される圧油を、作業系油圧回路Wとしてシーケンス弁70を介し主リリーフ弁71により設定圧力(一次圧)を保持させ、上昇用切替弁72aと下降用切替弁72b、及び各調整弁72cと72d,リリーフ弁72e,チェック弁付き絞り弁72fを組合わせた昇降電磁弁72(電磁比例流量制御弁)を経て、該刈取装置21の刈取昇降シリンダ23及び脱穀装置16の排穀オーガ15用オーガシリンダ15aへ、各々切替電磁弁73を介して供給可能に接続して構成させる。
【0030】
該刈取昇降電磁弁72を経た圧油を、切替電磁弁74aと組合せたアンロード弁74へ供給すると共に、車体28の水平制御作用を行う左右のローリング切替電磁弁75から逆止め弁75a及びチェック弁付き絞り弁75bを経た左右のローリングシリンダ76と、ピッチング流量制御電磁弁77から逆止め弁77aを経たピッチングシリンダ78とに各々供給可能に接続して構成させる。
【0031】
エンジン26からの動力を油圧式無段変速装置Hの可変ポンプ29へ入力し、この可変ポンプ29によって駆動される油圧モータ31による主変速動力を入力軸32に入力連動し、この入力軸32の入力ギヤ33から変速駆動軸34の変速伝動ギヤ35へ連動させる。
【0032】
この連動により変速駆動軸34のシフト用クラッチ39を、中立位置から右へ摺動させたときは、低速ギヤ37を駆動すると共に変速伝動軸42の低速伝動ギヤ44へ連動して低速変速となり、中立位置から左へ摺動させたときは、中速ギヤ36を駆動すると共に変速伝動軸42の中速伝動ギヤ43へ連動して中速変速となり、更に、この中速位置から左へ摺動させたときは、高速ギヤ38を駆動すると共に変速伝動軸42の高速伝動ギヤ45へ連動して高速変速となる。
【0033】
このように低・中・高速の変速を行った副変速部による動力を、該変速伝動軸42の変速伝動ギヤ46から操向クラッチ軸1の操向センタギヤ47へ連動させると共に、この操向センタギヤ47の連動時に、左右の操向クラッチ2を同時に入り(接続状態)としたときは車体28の直進を行わせることができる。
【0034】
また、車体28の旋回作用を行わせるときは、左(又は右)の操向クラッチ2の切り(非接続状態)と同時に、左(又は右)のキャリアブレーキ6に対し旋回作用力に応じて制動圧力を電磁比例減圧弁69によって立ち上げることにより、左(又は右)のサンギヤ53及びキャリア50とその遊星大径ギヤ51a,遊星小径ギヤ51b,遊星ギヤ52によるギヤ減速比によって、出力小径ギヤ54aを経て出力大径ギヤ54bの回転数が低下する。
【0035】
この回転数の低下により、該左(又は右)のキャリア50の回転数とサンギヤ53の回転数とのギヤ比によって、徐々に回転数が低下していく左(又は右)の出力大径ギヤ54bと、該右(又は左)の操向クラッチ2の入りによる通常回転数の右(又は左)の出力大径ギヤ54bから、各々左右の走行中間大径ギヤ57aへ連動させる。
【0036】
この左右の走行中間大径ギヤ57aを経て走行中間小径ギヤ57bから、左右の走行減速軸58の減速大径ギヤ59を経て減速小径ギヤ60を駆動させ、この減速小径ギヤ60から左右の車軸61の車軸ギヤ62へ連動し、この車軸ギヤ62による通常回転数の右(又は左)の走行駆動輪63に対し、左(又は右)の走行駆動輪63を減速させて旋回作用を行わせる。
【0037】
以上の作用を行うものにおいて、前記の如く、駐車ブレーキ5を、ブレーキケース5aにブレーキライニング5bを装着した状態で、遊星ギヤギヤ軸3のキャリアブレーキ6を押圧するブレーキピストン7の外側に取り付けることにより、駐車ブレーキ5のみの脱着が容易となりメンテナンス性を向上できると共に、該キャリアブレーキ6の固定側ケース8の端面fを、駐車ブレーキ5の制動時にブレーキライニング5bの制動受圧板として利用することができ、コンパクト化を図ることができる。
【0038】
また、別に設けたオイルクーラ(図示せず)による冷却後のミッションオイルを、該キャリアブレーキ6の固定側ケース8を介して、駐車ブレーキ5のブレーキライニング5bの内径側に係合して回転する回転体9の遠心力作用により、キャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けオイルの循環回路cを強制通過(図1参照)させて効果的に冷却を行わせ、半ブレーキ状態での使用が主となるブレーキライニング6aの摩擦力の低下を防止し、ブレーキ性能を保持させると共に、ライニングの耐久性向上を図ることができる。
【0039】
また、前記操向クラッチ2のクラッチライニング2aとキャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの容量を、半ブレーキ状態での使用が主となるキャリアブレーキ6側を、入・切のみの使用となる操向クラッチ2側より大きく構成することにより、微妙な旋回作用が行い易くなると共に耐久性の面でも効果がある。
【0040】
また、図8に示す如く、該操向ラッチ2を、クラッチピストン2cの油圧力による可動側軸受部2dの摺動によりクラッチライニング2aと圧縮バネ2bを作用させて入・切するとき、操向ラッチ2の切りによる操向作用(方向修正)では応答性を向上させるため短時間で切り作用できることが必要であり、操向クラッチ2の入りによる旋回作用では大きなトルクを必要とする。
【0041】
このため、クラッチピストン2cの油圧作用油の容積を切り側bに対し入り側aを大きく構成することにより、切り側bでは該ピストン2cの戻り量が減り瞬時に切ることができると共に、入り側aでは大きなトルクを得ることができる。(切り側bでは圧縮バネ2bを押圧するトルクのみでよい)
また、前記図8に示す如く、該操向ラッチ2において、クラッチピストン2cと可動側軸受部2dを支承する2個のスラスト軸受sを、該ピストン2cの内径側と外形側の円周方向に重列配置構成することにより、従来の如く、2個並べて直列配置しているものに対し操向ラッチ2の幅方向の寸法が小さくなり、該ミッションケース4自体もコンパクト化できると共に、スラスト軸受sの容量も大きくでき耐久性が向上する。
【0042】
また、該ミッションケース4の車軸61に走行駆動輪63を取り付ける方法として、図9,図10に示す如く、この走行駆動輪63を円周方向に2個以上に分割すると共に、この分割した分割駆動輪63aをハブ63b及びフランジ63cにより挟み付け固定して構成させる。
【0043】
このような構成により、該走行駆動輪63を分割して車軸61に固定することにより、前記走行クローラ11を装着したままで走行駆動輪63の交換が可能であるから、従来の如く、走行クローラ11を取り外して交換するものに対し大幅な工数低減ができると共に、走行駆動輪63の固定を、ハブ63b及びフランジ63cによる二重締結を行うため確実に固定することができる。
【0044】
なお、該フランジ63cは走行駆動輪63そのものの固定と、走行駆動輪63を車軸61軸端に固定する機能とを合わせもっているから、部品を増やすことなく固定確実化を図ることができる。
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの走行系油圧回路Rにおいて、従来では、電装系のトラブルや各電磁弁の塵埃詰まり等により、該操向クラッチ2の入りとブレーキ圧力調整用の電磁比例減圧弁69が同時に作動したような場合、操向クラッチ2が接続状態のままキャリアブレーキ6を制動することになり、メカロックにより、各ギヤ及び操向クラッチ2,キャリアブレーキ6等の破損が発生し、該ミッションケース4の故障を招き走行不能となる恐れがある。
【0045】
このため、該操向クラッチ2の切り側回路kに電磁比例減圧弁69を並列に配置構成することにより、操向クラッチ2を接続した状態では電磁比例減圧弁69は昇圧しないためキャリアブレーキ6が制動されることがなく、メカロックによる該ミッションケース4の故障を防止することができる。
【0046】
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの走行系油圧回路Rにおいて、従来では、上記の如きメカロックによる該ミッションケース4の故障が発生しない場合でも、該操向クラッチ2のクラッチピストン2cの作動に時間が掛かるときは、圧油の流量を全て操向クラッチ2側に取られ該電磁比例減圧弁69の昇圧の遅れに繋がり、該キャリアブレーキ6の回転制御に遅れを生じ旋回作用のタイミング遅れを招く。
【0047】
このため、該操向クラッチ2側の圧油の流量を該電磁比例減圧弁69側より大きく構成することにより、操向クラッチ2の入・切を素早く行うことができるから、該キャリアブレーキ6の回転制御遅れによる旋回作用のタイミング遅れを解消できる。
【0048】
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの作業系油圧回路Wにおいて、従来では、単一の電磁比例流量制御弁としての昇降電磁弁72により、前記刈取昇降シリンダ23を作動させ該刈取装置21のスピード昇降を行わせていたが、相互の作用タイミングが重複しない刈取昇降シリンダ23と、該脱穀装置16の排穀オーガ15用オーガシリンダ15aとを、該単一の昇降電磁弁72による高速での作動制御を行わせるよう構成することにより、各別に流量制御弁を設けているものより構成を簡素化して安価にできる。
【0049】
また、前記図7に示す如き油圧制御回路Sの作業系油圧回路Wにおいて、従来では、刈取作業時において、ピッチング速度が速いと刈高さが乱れ、逆に、湿田でのバランス修正が遅いと該刈取装置21での泥押しが発生し作業性が悪くなるため、ピッチングシリンダ78の作動用として、通常の切替電磁弁に代えピッチング流量制御電磁弁77を設けて構成させることにより、ピッチング時の速度を可変として作業状態により高速・低速の使い分けを可能とし作業性が向上すると共に、ピッチングの効果をより発揮することができる。
【0050】
また、図11に示す如く、前記走行用ミッションケース4の油圧サーボ付油圧式無段変速装置Hでは、チャージポンプ(図示せず)に供給するオイル量が多く、前記油タンク64に返油するドレン回路dに設けたオイルクーラ79に送油するときは、該クーラ79の配管抵抗によりドレン圧力が上昇し該無段変速装置Hの不具合の原因となっていた。
【0051】
このため、該ドレン回路dを流れるドレンオイルの一部を該無段変速装置Hとオイルクーラ79との間に設けた、前記作業系油圧回路Wにオイルを供給するギヤポンプ80に送油することにより、オイルクーラ79に送油されるオイル量が減りドレン圧力の上昇を抑えることができる。
【0052】
なお、このドレンオイルは、該無段変速装置Hにおける高密度のフィルタを通過した塵埃の無いオイルであり、該作業系油圧回路Wの各バルブ類のトラブルを防止できると共に、作業系油圧回路Wに専用のフィルタを設ける必要がなくコストメリットがある。
【0053】
また、該作業系油圧回路Wにおける比例流量制御用としての昇降電磁弁72の作用により、刈取昇降シリンダ23を作動させて該刈取装置21の上下昇降速度を変速可能とするものにおいて、引起部19の回転速度が高速のときは標準速の場合より刈取昇降速度を遅くするよう構成させる。
【0054】
このような構成により、穀稈倒伏時の刈取作業においては、引起し速度を高速とし引起性能を向上させるようにしているから、引起し速度が高速のときは倒伏作業と判断し、より細かな刈高さ調節が容易となるよう刈取昇降速度を遅くすることによって、刈り残しのない倒伏作業を的確に行うことができる。
【0055】
また、前記と同様に、該刈取装置21の上下昇降速度を変速可能とするものにおいて、前記走行用ミッションケース4における副変速部の変速位置が、倒伏作業速のときは標準作業速の場合より刈取昇降速度を遅くするよう構成させる。
このような構成により、倒伏作業速のときは刈り残し防止のため、より細かな刈高さ調節が要求されるから、倒伏作業速の位置に変速したときは自動的に刈取昇降速度を遅くすることにより、微妙な刈高さ設定が容易となり刈り残しの無い作業を容易に行うことができると共に、倒伏作業速では車速が遅くなっているため、刈取昇降速度を遅くしても該刈取装置21の分草体18先端が土壌面に突っ込む等のトラブルに対し対応することができる。
【0056】
また、前記走行クローラ11を車体28に対し上下昇降させるピッチング制御を行う構成について、走行クローラ11は左右共用のため片側についてのみ説明する。図12に示す如く、前記車台10の前側下部に設けた支持枠81にローリングメタル82を固定し、このメタル82に前部ローリングアーム83の中間部を支承し、このアーム83の下端部を転輪フレーム84の前部に回動可能に連結して構成させる。
【0057】
該車台10の後側下部に固定したピッチングメタル85にピッチングアーム86の一端部を支承すると共に、その他端部と、平面視H字状の連結アーム87の一端部とをピン連結し、この連結アーム87の他端部と、後部ローリングアーム88の中間部とをピン連結し、このアーム88の下端部を該転輪フレーム84の後部に回動可能に連結して構成させる。
【0058】
該車台10から上方へ延長した取付枠89に、前記ピッチングシリンダ78が鉛直姿勢となるよう、その固定側をピン連結すると共に、該シリンダ78のピストン先端部と、該ピッチングアーム86の他端部とをピン連結して構成させる。該前部ローリングアーム83の上端部と、後部ローリングアーム88の上部側とを連結杆90によって各々ピン連結し、更に、該アーム88の上端部と、ローリングシリンダ76のピストン先端部とをピン連結すると共に、このシリンダ76が横方向姿勢となるよう、その固定側を該車台10の取付枠91にピン連結して構成させる。
【0059】
該転輪フレーム84の前端部に前記走行駆動輪63を、後端部に後部転輪92を、接地側に複数個の接地転輪93を各々配設し、これらの走行駆動輪63,後部転輪92,接地転輪93等に対し該走行クローラ11を巻き掛け張設して構成させる。
【0060】
前記脱穀装置16において一番穀粒を揚送する揚穀筒94下部に設けた一番メタル95を、該車台10上における該ピッチングシリンダ78の後方に臨ませるよう配設して構成させる。
このような構成とすることにより、該後部ローリングアーム88の上方にピッチングシリンダ78のピストン連結部を配置し、該ピッチングシリンダ78を一番メタル95の前方に鉛直姿勢で配置することにより、ピッチングストロークの拡大が可能になると共に、ピッチングシリンダ78を鉛直姿勢とすることによりローリングシリンダ76との重なりがなくなり、ピッチングシリンダ78及びローリングシリンダ76のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す正面拡大図。
【図2】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す正面線図。
【図3】走行用ミッションケースでの駐車ブレーキの組み付け状態を示す正面拡大図。
【図4】走行用ミッションケースにおける副変速部の変速機構関係を示す正面拡大図。
【図5】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す正面展開図。
【図6】走行用ミッションケースのギヤ連動機構における配列状態を示す側面線図。
【図7】走行装置と刈取装置及び脱穀装置の各制御を行う油圧回路を示すブロック図。
【図8】走行用ミッションケースにおける操向クラッチ関係の機構を示す正面拡大図。
【図9】走行クローラを駆動する走行駆動輪を分割して組み付けた状態を示す正面図。
【図10】走行クローラを駆動する走行駆動輪を分割して組み付けた状態を示す側面図。
【図11】走行用ミッションケースの油圧無段変速装置のドレン回路を示すブロック図。
【図12】走行クローラ制御用のピッチングシリンダの取り付け位置関係を示す側面図。
【図13】コンバインにおける全体構成を示す側面図。
【符号の説明】
1. 操向クラッチ軸
2. 操向クラッチ
3. 遊星ギヤ軸
4. 走行用ミッションケース
5. 駐車ブレーキ
5a.ブレーキケース
5b.ブレーキライニング
6. キャリアブレーキ
6a.ブレーキライニング
7. ブレーキピストン
8. 固定側ケース
9. 回転体
P. 遊星ギヤ機構
c. 循環回路
Claims (2)
- ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1に軸承した操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3に軸装した遊星ギヤ機構Pにより、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、該遊星ギヤ軸3の一方の軸端部に駐車ブレーキ5を取り付け、この駐車ブレーキ5と遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6との間に油圧作用のブレーキピストン7を配置し、該駐車ブレーキ5のブレーキケース5aにブレーキライニング5bを設けると共に、このブレーキライニング5bの制動受圧板として該キャリアブレーキ6の固定側ケース8を利用したことを特徴とする駐車ブレーキ装置。
- ギヤ連動機構における操向クラッチ軸1に軸承した操向クラッチ2と遊星ギヤ軸3に軸装した遊星ギヤ機構Pにより、直進時の左右操向作用や各旋回モードによる旋回作用を実行可能な走行用ミッションケース4を有する走行車等において、該遊星ギヤ機構Pのキャリアブレーキ6のブレーキライニング6aの内径側から外径側へ向けオイルを強制通過可能に、該駐車ブレーキ5の回転体9の遠心力作用による循環回路cを設けたことを特徴とする請求項1記載の駐車ブレーキ装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002181561A JP2004028136A (ja) | 2002-06-21 | 2002-06-21 | 走行車等の駐車ブレーキ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002181561A JP2004028136A (ja) | 2002-06-21 | 2002-06-21 | 走行車等の駐車ブレーキ装置 |
Publications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012061977A (ja) * | 2010-09-16 | 2012-03-29 | Kubota Corp | 作業車 |
KR101830972B1 (ko) | 2010-09-16 | 2018-02-21 | 가부시끼 가이샤 구보다 | 작업차 |
CN117489726A (zh) * | 2023-12-28 | 2024-02-02 | 杭叉集团股份有限公司 | 一种叉车用离合与驻车复合分动箱 |
-
2002
- 2002-06-21 JP JP2002181561A patent/JP2004028136A/ja active Pending
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JP2012061977A (ja) * | 2010-09-16 | 2012-03-29 | Kubota Corp | 作業車 |
KR101830972B1 (ko) | 2010-09-16 | 2018-02-21 | 가부시끼 가이샤 구보다 | 작업차 |
CN117489726A (zh) * | 2023-12-28 | 2024-02-02 | 杭叉集团股份有限公司 | 一种叉车用离合与驻车复合分动箱 |
CN117489726B (zh) * | 2023-12-28 | 2024-03-22 | 杭叉集团股份有限公司 | 一种叉车用离合与驻车复合分动箱 |
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