JP4488152B2 - 走行装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラを走行手段とする作業機などの走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クローラを走行手段とする作業機などの走行装置として、農業用のコンバインを例に従来の技術を説明する。コンバインはクローラを構成する無限履帯の接地面積を広くし、水田など軟弱な圃場でも自由に走行して刈取作業などの農業作業を可能としている。
【0003】
コンバインは動力源としてエンジンを搭載し、エンジンの発生する動力をコンバインの走行、刈取、脱穀などに使用するが、そのクローラは、エンジンの動力を走行トランスミッションにより変速して駆動する。走行トランスミッションは、静油圧式無段変速装置(以下、無段変速装置をHSTという)、歯車列機械的変速手段、クラッチ手段、ブレーキ手段などにより構成されている。
【0004】
コンバインを直進走行させるときは、左右一対のクローラを等速で駆動し、コンバインを左右に旋回させるときは、左右のクローラに速度差を与えて駆動し、高速側のクローラを外側に、低速側、停止側または後退側のクローラを内側とする旋回が可能な構成としている。
【0005】
コンバインは走行装置としてクローラを用いるために、その運転操作は必ずしも容易ではなかったが、コンバインの走行トランスミッションに無段階変速できる走行用油圧無段変速装置(以下、走行用HSTという)および旋回用の油圧無段変速装置(以下、旋回用HSTという)を用いることにより、コンバインの走行、操舵の運転操作はきわめて容易に行えるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、走行用HSTおよび旋回用HSTは高価であり、コンバインの価格が高くなる欠点がある。
【0007】
本発明の課題は、差動歯車(デフェレンシャル)装置と同等の旋回性能を備え、かつコスト的にも不利でない走行トランスミッション基本伝動系を備え、しかもその操作性が良い走行装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成により解決される。
請求項1記載の発明は、エンジンからの駆動力を入力した後、複数段に副変速する副変速機構70と、副変速後の駆動力を左右一対の車軸b、bへ断続的に伝動可能な左右のサイドクラッチ17R、17Lと、左右のサイドクラッチ17R、17Lに連動する遊星歯車機構71と、該遊星歯車機構71の出力を左右一対の車軸b、bへ伝動する出力軸5系とを備えた走行装置において、前記遊星歯車機構71は、左右のサイドクラッチ17R、17Lの出力ギア18R、18Lにそれぞれ噛合するキャリア20R、20Lと、該キャリア20R、20Lにそれぞれ遊嵌する遊星ギア21R、21Lと、キャリア20R、20Lにそれぞれ遊嵌し、遊星ギア21R、21Lにそれぞれ噛合した遊星ギア23R、23Lと、該遊星ギア23R、23Lとそれぞれ噛合し、かつ走行装置の出力軸5側に動力伝達する出力ギア24R、24Lと、遊星ギア21R、21Lにそれぞれ噛合したサンギアZ1R、Z1Lと、該サンギアZ1R、Z1Lに動力を伝達する駆動軸4とからなる走行装置である。
【0009】
請求項1記載の発明により、例えば右側旋回時は、サンギアZ1Rは、直進時と同様に駆動軸4との一体化により一定の回転数で回転しているが、パワステレバー88の傾動操作角度に応じてキャリア20Rの回転数が減速していき、回転ギアZ4Rの回転数も減速していく。このように、旋回外側と内側とが同方向回転で且つ旋回内側の車軸bが外側の車軸bより低速回転している間は緩速旋回する。また、キャリア20Rの回転数がサンギアZ1Rの回転数の、例えば1/3(これはギア比によって変更可能)となると、ギアZ4Rは零回転となり、旋回内側の車軸bが回転停止した時はブレーキターンとなる。さらに、キャリア20Rの回転数が減速していくと、ギアZ4Rは逆転状態となり、旋回外側の車軸bと内側の車軸bとが逆方向回転してスピンターンとなる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記遊星歯車機構71のキャリア20R、20Lに、それぞれキャリアブレーキ33R、33Lを直結して設け、該キャリア20R、20Lの回転速度が制御される構成を備えた前記遊星歯車走行装置である。
【0011】
請求項2記載の発明により、キャリア20にキャリアブレーキ33を接続することにより、サイドクラッチ17R又はサイドクラッチ17Lを「切」った場合に、その「切」側の、例えば摩擦多板式のキャリアブレーキ33R又は33Lの油圧制御で自動方向修正時の追従性確保が容易となる。
【0012】
また、旋回時の遊星歯車機構71の制御を従来方式、即ち遊星歯車機構71を用いない走行系と同様に、パワステレバー88の操作で行うことができ、オペレータに負担が掛からない利点もある。
【0013】
【発明の効果】
請求項1記載の発明により、緩速旋回、ブレーキ旋回、スピン旋回を容易に行うことができ、旋回内側のクローラ83に任意の回転方向、回転速度を与えて、特に湿田での駆動力確保、旋回の安定性が向上する。
【0014】
請求項2記載の発明により、「切」側のサイドクラッチ17に対応したキャリアブレーキ33の油圧制御で自動方向修正時の追従性確保が容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて具体的に説明する。
図1は本発明のコンバインの前面図であり、図2は本発明のコンバインの左側面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、コンバイン81の車体フレーム82の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ83を有する走行装置本体84を配設し、車体フレーム82の前端側に分草具85を備えた刈取装置86が設けられている。刈取装置86は車体フレーム82の上方の支点を中心にして上下動する刈取装置支持フレーム(図示せず)で支持されているので、コンバインに搭乗したオペレータが操縦室87のパワステレバー88を前後に傾倒操作することにより、刈取装置支持フレーム(図示せず)と共に上下に昇降する構成である。
【0017】
車体フレーム82の上方には、刈取装置86から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送して脱穀、選別する脱穀装置89と該脱穀装置89で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク90が載置され、グレンタンク90の後部にオーガ91を連接して、グレンタンク90内の穀粒をコンバインの外部に排出する構成としている。
【0018】
すなわち、コンバインはオペレータが操縦室87において主変速HSTレバー92および副変速レバー93を操作し、エンジン35(図10)の動力を図3、図5に示す走行トランスミッションケース94内の主変速機の走行用HST9および副変速軸1に設けられる歯車変速手段及び後述の遊星歯車機構71を介して変速し、左右のクローラ83、83に伝動して任意の速度で走行する。
【0019】
また、コンバインは、オペレータが操縦室87においてパワステレバー88を左右に傾倒操作することにより各種旋回走行することができる。すなわち、パワステレバー88をコンバインを旋回させようとする方向に傾倒操作することにより、図3、図5に示す走行ミッションケース94内のサイドクラッチ17等が作動し、左右のクローラ駆動スプロケット31R、31Lに選択的に伝動されるので、左右のクローラ83、83に速度差が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0020】
次に、伝動装置の構成について説明する。
図3は本発明の実施の形態の走行装置の断面図、図4はその一部拡大図、図5はその側面図、図6はその伝動線図、図7は遊星歯車機構71の外観斜視図、図8はその側断面図である。
【0021】
エンジンの出力軸に取り付けられたエンジンプーリとベルトで巻回された入力プーリ8を介して走行用HST9の入力軸7にエンジンからの動力が伝達される。そして、走行用HST9の出力軸10の駆動により、該出力軸10に設けられたギア11に噛合する副変速機構70の副変速軸1のギア12を介して該副変速軸1が駆動する。該副変速軸1には上記ギア12の他に大ギア14aと中ギア14bと小ギア14cとが設けられ、該副変速ギア14a、14b、14cとそれぞれ噛合するカウンタ軸2の小ギア15a、中ギア15b、大ギア15cを介して該カウンタ軸2が駆動する。
【0022】
図示しないシフタの切換えによって、副変速ギア14a、14b、14cとカウンタ軸2のギア15a、15b、15cとの噛合位置が切り換わり、これによりカウンタ軸2は高速、中速、低速にそれぞれ変速されて駆動する。また、上記副変速軸1の一端には刈取出力プーリ13が取り付けられ、刈取装置86を駆動する刈取入力プーリ8(図3参照)とベルト(図示せず)で巻回されている。副変速軸1と刈取出力プーリ13との間にはワンウェイクラッチが介装されている。
【0023】
上記カウンタ軸2の駆動により、同じカウンタ軸2に設けられた上記ギア15bと噛合するセンターギア16を介してサイドクラッチ軸3が駆動する。
【0024】
上記サイドクラッチ軸3には、そのセンターギア16に対して左右対称にクラッチ17Rとクラッチ17Lの2つの摩擦多板式クラッチが介装されており、前記パワステレバー88の傾動操作により、その傾動操作角度(図示しないポテンショメータにより検出)に応じて油圧シリンダを作動し、クラッチ17Rとクラッチ17Lをそれぞれ接続状態と非接続状態とに制御する。機体の直進時には、左右のクラッチ17Rとクラッチ17Lは共に圧縮バネ(図示せず)と油圧により常時接続状態となって駆動力を伝達する。
【0025】
また、上記サイドクラッチ軸3に設けたセンターギア16は遊星歯車機構71の駆動軸4に固定されたセンターギア19と噛合する。
【0026】
ここで、上記遊星歯車機構について図3、図4、図6ないし図8を参照して説明する。
【0027】
遊星歯車機構71は上記駆動軸4のセンターギア19に対してコンバインの進行方向に対して左右対称に設けられている。右側の遊星歯車機構71は浅い円筒形を横にした形状のキャリア20Rの内周面側に、ギア径の異なる2つのギアZ2R及びZ3Rからなる遊星ギア21Rがキャリア20Rに固定された中心軸21Raに遊嵌し、またキャリア20Rに固定された中心軸21Rbに遊嵌する遊星ギア23Rとをそれぞれ3個づつ交互に配設し、一方の遊星ギア21Rはその中心軸21Raによって上記キャリア20Rに回転自在に軸支され、またもう一方の遊星ギア23Rはその中心軸21Rbによって上記キャリア20Rに回転自在に軸支される。また、上記キャリア20Rの周面には2種類の開口孔38と39が穿設され、一方の開口孔38からは遊星ギア21RのギアZ2Rの一部外周が露出し、もう一方の開口孔39からは遊星ギア23Rの一部外周が露出する。
【0028】
また、前記駆動軸4に固定されたサンギアZ1Rは前記キャリア20Rの中心に配設され、キャリア20Rが駆動軸4側に軸受けされて駆動軸4の周りを回転自在に構成している。さらに、ギア径の異なる2つのギアZ4Rと出力ギア24Rを有する回転ギア22Rは上記キャリア20Rの内方に装填されると共に駆動軸4側に軸受けされて駆動軸4の回りを回転自在に構成している。
【0029】
ここで、図6を参照してわかるように、上記サンギアZ1Rは遊星ギア21RのギアZ2Rと噛合し、遊星ギア21RのギアZ3Rは遊星ギア23Rと噛合し、さらに該遊星ギア23Rは回転ギア22RのギアZ4Rと噛合する。また、前記サイドクラッチ軸3に介装されたサイドクラッチギア18Rは上記キャリア20RのギアZ5Rと噛合する。
【0030】
上記キャリア20Rには、摩擦多板式のブレーキ33R(ブレーキケース62Rに係合する)が連結されており、パワステレバー88の傾動操作により、その傾動操作角度(図示しないポテンショメータにより検出)に応じて図示しない油圧シリンダを作動し、ブレーキ33Rを連続的に摩擦力を変化させてその回転速度を制御する。
【0031】
なお、以上は右側の差動伝動機構について説明したが、左側の差動伝動機構についても構成は同じである。
【0032】
また、駐車ブレーキ25は、駆動軸4の駆動を停止することにより、機械を停止することができる。
【0033】
そして、左右のサイドクラッチ17R、17Lが「入」、つまり接続状態のときは、サイドクラッチ軸3の駆動力は、サイドクラッチギア18R、18Lへ伝達されると同時に、駆動軸4のセンターギア19を介して該駆動軸4へも伝達され、遊星歯車機構71のサンギアZ1と同じ位置関係を保って回転する出力ギア24R、24Lに伝達される。出力ギア24R、24Lの駆動力は出力歯車機構72を構成する互いに噛合関係にあるギア26R、26L、ギア27R、27L、ギア28R、28L、ギア29R、29L、ギア30R、30Lへと順に伝達され、左右の車軸b、bを駆動し、左右の車軸b、bにそれぞれ取り付けられたスプロケット31R、31Lがクローラ83を回転させる。
【0034】
以上の構成において、エンジン35が始動し、機体の直進走行時には、走行用HST9の出力軸10より副変速軸1及びカウンタ軸2へと動力が伝達される。そして、カウンタ軸2のギア15bと噛合するサイドクラッチ軸3のセンターギア16を介して該サイドクラッチ軸3が駆動する。直進時は左右のサイドクラッチ17R、17Lが共に「入」になっていて接続状態である。したがって、サイドクラッチ軸3の駆動力は左右のサイドクラッチギア18R、18Lに伝達され、該サイドクラッチギア18R、18Lがともに回転駆動する。
【0035】
そして、上記左右のサイドクラッチギア18R、18Lとそれぞれ噛合する遊星歯車機構71のキャリア20R、20Lに動力が伝達されると同時に、上記サイドクラッチ軸3のセンターギア16と噛合する駆動軸4のセンターギア19に動力が伝達され、該駆動軸4が回転駆動する。該駆動軸4の回転により、サンギアZ1R、Z1Lが回転し、さらに互いに噛合関係にある遊星ギア21R、21LのギアZ2R、Z2L、ギアZ3R、Z3L、遊星ギア23R、23L、回転ギア22R、22LのギアZ4R、Z4L、出力ギア24R、24Lへと順に駆動力が伝達される。直進時は駆動軸4のセンターギア19と上記キャリア20R、20Lの回転数が同じになるようにサンギアZ1とキャリア20のギア上下が設定されているので、サンギアZ1、キャリア20及び遊星ギア23の位置関係が変わらず回転する。
そして、左右の車軸b、bが同方向へ同速で回転駆動する。
【0036】
次に、機体の旋回時について説明する。
前記パワステレバー88を、例えば右側に倒して機体を右旋回させる場合、パワステレバー88を傾動操作すると、この傾動操作側のサイドクラッチ17Rの摩擦多板式ディスクの押圧を解除し、キャリアブレーキ33Rの摩擦板の押圧力を調整していく。これにより、パワステレバー88の傾動操作角に応じて、サンギアZ1R、遊星ギア21RのギアZ2R、ギアZ3R、回転ギア22RのギアZ4Rのギア変速比によって旋回時の出力ギア24Rの回転数が変わる。
【0037】
図9は上記キャリア20R、サンギアZ1R、回転ギアZ4Rの回転数の関係を示す線図である。
右側旋回時は、前記サンギアZ1Rは、直進時と同様に駆動軸4との一体化により一定の回転数で回転している。そして、パワステレバー88の傾動操作角度に応じて前記キャリア20Rの回転数が減速していくと、前記回転ギアZ4Rの回転数も減速していく。このように、旋回外側と内側とが同方向回転で且つ旋回内側が外側より低速回転している間は緩やかな旋回角度での旋回(ここでは「マイルドターン」と称する)となる。そして、キャリア20Rの回転数がサンギアZ1Rの回転数の1/3(遊星ギア比を1/3に設定しておくとサンギアZ1Rの回転数の1/3になる。すなわちギア比によってこの回転数は変更可能である。)となると図示するようにギアZ4Rは零回転となり、旋回内側の車軸bが回転停止した時はブレーキターンとなる。さらに、キャリア20Rの回転数が減速していくと、ギアZ4Rは逆転状態となり、旋回外側と内側とが逆方向回転してスピンターンとなる。図8では上記ギアZ4が逆転する場合の他のギアの回転方向を矢印で示している。
【0038】
このように、ギア変速比を設定すれば、上述のマイルドターン及びブレーキターン並びに1/3スピンターンが可能となる。そして、キャリア20Rの回転速度をキャリアブレーキ33Rの摩擦板の押圧力の調整で制御することで、前記1/3スピンターンまで無段階変速制御が可能となる。
【0039】
こうして旋回内側のクローラ83に任意の回転方向、回転速度を与えることができ、特に湿田での駆動力確保、旋回の安定性が向上する。
【0040】
また、サイドクラッチ17Rとキャリアブレーキ33Rとを介在することにより、サイドクラッチ17Rを「切」った場合に、摩擦多板式のキャリアブレーキ33Rの油圧制御で自動方向修正時の追従性確保が容易となる。
【0041】
また、旋回時の遊星歯車機構71の制御を従来の旋回用HSTを用いる変速機構と同じく、パワステレバー88の操作で行うことができ、オペレータに負担が掛からない利点もある。
【0042】
なお、いずれかの伝動軸の回転数を回転センサで検出して油圧シリンダへフィードバック制御することにより、より正確な旋回制御が行える。例えばキャリア20RのギアZ5Rの回転数を検出する回転センサ34(図5)を設ける。
【0043】
以上は右旋回時について説明したが、左旋回の場合は、前記サイドクラッチ17Lが切りとなり、あとは上述した右旋回の場合の動作と同様である。
【0044】
ここで、図10に示した油圧配置図について説明すると、エンジン35を始動すると、オイルタンク52から走行用HST9に送油されトランスミッション内の駆動系を作動させた後、オイルクーラ54を経て、エンジン35に隣接したギアポンプ50により送油圧を得てコントロールバルブ56を駆動させる。コントロールバルブ56からの送油の一部でトランスミッションのサイドクラッチ17及びキャリアブレーキ33を作動させ、他の一部でコントロールバルブ53を経て刈取上下シリンダ58、オーガ上下シリンダ59、車体のピッチングシリンダ60、ローリングシリンダ61R、61Lを作動させることができる。
【0045】
上記遊星歯車機構71で遊星ギア23R、23Lにそれぞれ噛合する回転ギア22R、22LのギアZ4R、Z4Lと下手側の出力歯車機構72の伝動ギアであるギア26R、26Lにそれぞれ噛合する出力ギア24R、24Lは駆動軸4に遊嵌された中空筒に一体的に設けられており、キャリア20内部の遊星ギア系の下手側の出力歯車機構72の伝動ギア系へ出力する。また、回転ギア22R、22LのギアZ4R、Z4Lと出力ギア24R、24Lを二段ギアとして一体構成とすることで組立が容易になる。
【0046】
また、出力ギア24R、24Lをトランスミッションのサイド側でなく、中央寄りに設けたため、下手側の出力歯車機構72の伝動ギア系をミッション中央寄りに配置でき、トランスミッションの幅方向をコンパクト化できる。
【0047】
さらに、遊星歯車機構71から下手側のホイルシャフト6R、6Lへ伝動する出力ギア24R、24Lを、キャリア20R、20Lとセンターギア19の間に設けているので、センターギア19より下手側の出力歯車機構72の伝動ギア系の配置をトランスミッションの中央寄りに配置でき、トランスミッションの幅方向の寸法を小さくできる。
【0048】
また、遊星歯車機構71の出力ギア24R、24Lの外径を、キャリア20R、20Lと出力歯車機構72のセンターギア19の外径より小さくしたので、ユニット化した遊星歯車機構71を組み付けたり、取り外したりする場合に、遊星歯車機構より上手側のサイドクラッチ17R、17Lの各ギア18R、18Lと下手側の出力歯車機構72の伝動ギア系との干渉がなく、作業が極めて容易である。
【0049】
また、上手側のサイドクラッチ17R、17Lをサイドクラッチ出力ギア18R、18L及び下手側の遊星歯車機構71の出力ギア24R、24Lより外側に配置したので、サイドクラッチ17R、17Lをミッションケース94の側面側に配置でき、サイドクラッチ17R、17Lの組立、分解が容易である。
【0050】
トランスミッションケース94端面に固定したサイドクラッチ17R、17Lは油圧でオン、オフするが、サイドクラッチ軸3とミッションケース94の間にラジアル軸受37R、37Lの他にスラスト軸受36R、36Lを設けて、これらによりサイドクラッチ軸3を支持する構成にしている。
【0051】
そのため、外部油圧によりピストンを作動させるサイドクラッチ17R、17Lにはサイドクラッチ軸3を介して軸支持ベアリングに大きなスラスト力が加わるが、スラスト軸受36R、36Lを追加することで、これらの軸受部が破損することはない。
【0052】
また、図3、図5で示す構成では遊星歯車機構71のキャリア20R、20Lの回転を制御する摩擦多板式のブレーキ33R、33Lを遊星歯車機構71に組み込んでいるが、キャリア20R、20Lの回転を制御するブレーキ33R、33Lをサイドクラッチ17R、17L側に設け、その下手側に遊星歯車機構71を配置した構成にしても良い。
【0053】
上記構成により、
▲1▼トランスミッション全体の幅寸法を短くでき、刈取伝動パイプと運転席の間の限られたスペースでのミッション搭載が容易となる。
▲2▼クラッチ、ブレーキアッセイと、遊星歯車機構71がそれぞれ独立してメンテナンスが可能となる。
▲3▼1個の走行用HST9と2個の遊星歯車ギア21とギア23のシンプルな構成で旋回内側のクローラ83に駆動力を与えて無段変速による旋回が行える。
【0054】
▲4▼ブレーキ33のブレーキ圧の制御のみでシンプルな旋回制御ができ、故障の発生が少ない。
▲5▼サイドクラッチ17の機構があるため、ACD制御が容易である。
▲6▼サイドクラッチ17の機構があるため、方向修正、条合せが容易である。
▲7▼2個のHST(走行用HSTと旋回用HST)を使用する構成より馬力ロスが少ない。
【0055】
また、図11に示すようにサイドクラッチ17R、17Lとキャリア20R、20Lの回転を制御するブレーキ33R、33Lを遊星歯車機構71の駆動軸4上に左右対称に配置した構成とすることもできる。
【0056】
この場合には、
▲1▼遊星歯車機構71とクラッチ17、ブレーキ33が一体構成となり、組立性、メンテ性が良い。
▲2▼1個の走行用HST9及び2個の遊星歯車(ギア21、ギア23)のシンプルな構成で、旋回内側のクローラ83に駆動力を与えた無段階な旋回が行える。
▲3▼旋回は、ブレーキ圧力の制御のみででき、シンプルな構成であるため故障の発生が少ない。
【0057】
▲4▼サイドクラッチ機構があるため、ACD制御が容易である。
▲5▼サイドクラッチ機構があるため、方向修正、条合わせが容易である。
▲6▼部品点数が少なく、コスト、組立に有利である。
▲7▼2個のHST(走行用HSTと旋回用HST)を使用する構成に比べ、馬力ロスが少ない。
【0058】
また、図12に示すように、駆動軸4R、4Lに分けて左右一対の遊星歯車機構を設け、さらに左右一対のサイドクラッチ17R、17Lとブレーキ33R、33Lをそれぞれ前記左右に分けた遊星歯車機構に連結する。このとき左右一対の遊星歯車機構の出力ギア24R、24Lからの動力はギア26R、26L及びギア28R、28L及びギア32R、32Lを経由して車輪に出力する。
【0059】
上記図12に記載の構成により次のような機能、効果がある。
▲1▼遊星歯車機構71と、クラッチ17及びブレーキ33が一体構成となり、組立性、メンテ性が良い。
▲2▼トランスミッションの幅寸法を短くでき、刈取伝動パイプと操作席の間の限られたスペースでのミッション搭載が容易となる。
▲3▼1個の走行用HST9及び2個の遊星歯車機構(ギア21、ギア23)の組み合わせのシンプルな構成で、旋回内側のクローラ83に駆動力を与えた無段階な旋回が行える。
【0060】
▲4▼旋回はブレーキ圧制御のみで、シンプルであり、故障の発生が少ない。
▲5▼サイドクラッチ機構があるため、ACD制御が容易である。
▲6▼サイドクラッチ機構があるため、方向修正、条合わせが容易である。
▲7▼2個のHSTを使用する場合に比べ、馬力ロスが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のコンバインの前面図である。
【図2】 図1のコンバインの左側面図である。
【図3】 図1のコンバインの走行装置の断面図である。
【図4】 図3の一部拡大図である。
【図5】 図1のコンバインの走行装置の側面図である。
【図6】 図1のコンバインの走行装置の伝動線図である。
【図7】 図1のコンバインの走行装置の遊星歯車機構の外観斜視図である。
【図8】 図1のコンバインの走行装置の側断面図である
【図9】 図1のコンバインの走行装置のキャリア、サンギア、回転ギアの回転数の関係を示す線図である。
【図10】 図1のコンバインの走行装置の油圧配置図である。
【図11】 本発明の実施の形態のコンバインの走行装置の伝動線図である。
【図12】 本発明の実施の形態のコンバインの走行装置の伝動線図である。
【符号の説明】
1 副変速軸 2 カウンタ軸
3 サイドクラッチ軸 4 駆動軸
5 駆動軸 6 ホイルシャフト
7 入力軸 8 刈取入力プーリ
9 走行用HST 10 出力軸
11、12 ギア Z1 サンギア
Z2、Z3 ギア Z4 回転ギア
Z5 ギア 13 刈取出力プーリ
14 副変速ギア 15 ギア
16 センターギア 17 サイドクラッチ
18 サイドクラッチギア 19 センターギア
20 キャリア 21a 中心軸
21b 中心軸 21 遊星ギア
22 回転ギア 23 遊星ギア
24 出力ギア 25 駐車ブレーキ
26、27、28、29、30 ギア 31 スプロケット
32 ギア 33 キャリアブレーキ
34 回転センサ 35 エンジン
36 スラスト軸受 37 ラジアル軸受
38、39 開口孔 50 ギアポンプ
52 オイルタンク 53 コントロールバルブ
54 オイルクーラ 56 コントロールバルブ
58 刈取上下シリンダ 59 オーガ上下シリンダ
60 車体のピッチングシリンダ 61 ローリングシリンダ
62 ブレーキケース 70 副変速機構
71 遊星歯車機構 72 出力歯車機構
81 コンバイン 82 車体フレーム
83 走行クローラ 84 走行装置本体
85 分草具 86 刈取装置
87 操縦室 88 パワステレバー
89 脱穀装置 90 グレンタンク
91 オーガ 92 主変速HSTレバー
93 副変速レバー
94 走行トランスミッションケース
b、b 車軸

Claims (2)

  1. エンジンからの駆動力を入力した後、複数段に副変速する副変速機構(70)と、副変速後の駆動力を左右一対の車軸(b、b)へ断続的に伝動可能な左右のサイドクラッチ(17R、17L)と、左右のサイドクラッチ(17R、17L)に連動する遊星歯車機構(71)と、該遊星歯車機構(71)の出力を左右一対の車軸(b、b)へ伝動する出力軸(5)系とを備えた走行装置において、
    前記遊星歯車機構(71)は、左右のサイドクラッチ(17R、17L)の出力ギア(18R、18L)にそれぞれ噛合するキャリア(20R、20L)と、該キャリア(20R、20L)にそれぞれ遊嵌する遊星ギア(21R、21L)と、キャリア(20R、20L)にそれぞれ遊嵌し、遊星ギア(21R、21L)にそれぞれ噛合した遊星ギア(23R、23L)と、該遊星ギア(23R、23L)とそれぞれ噛合し、かつ走行装置の出力軸(5)側に動力伝達する出力ギア(24R、24L)と、遊星ギア(21R、21L)にそれぞれ噛合したサンギア(Z1R、Z1L)と、該サンギア(Z1R、Z1L)に動力を伝達する駆動軸(4)とからなる
    ことを特徴とする走行装置。
  2. 前記遊星歯車機構(71)のキャリア(20R、20L)に、それぞれキャリアブレーキ(33R、33L)を直結して設け、該キャリア(20R、20L)の回転速度が制御される構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
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