JP3747812B2 - 走行装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラを走行手段とする作業機などの走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クローラを走行手段とする作業機などの走行装置として、農業用のコンバインを例に従来の技術を説明する。コンバインはクローラを構成する無限履帯の接地面積を広くし、水田など軟弱な圃場でも自由に走行して刈取作業などの農業作業を可能としている。
【0003】
コンバインは動力源としてエンジンを搭載し、エンジンの発生する動力をコンバインの走行、刈取、脱穀などに使用するが、そのクローラは、エンジンの動力を走行トランスミッションにより変速して伝動して駆動する。走行トランスミッションは、静油圧式無段変速装置(以下、無段変速装置をHSTという)、歯車列機械的変速手段、差動歯車装置、クラッチ手段、ブレーキ手段などにより構成されている。
【0004】
コンバインを直進走行させるときは、左右一対のクローラを等速で駆動し、コンバインを左右に旋回させるときは、左右のクローラに速度差を与えて駆動し、高速側のクローラを外側に、低速側、停止側または後退側のクローラを内側とする旋回が可能な構成としている。
【0005】
コンバインを用いて圃場に植立する穀稈の刈取及び脱穀などを行うことにより、収穫作業の省力化と能率化が進展してきた。コンバインは走行装置としてクローラを用いるために、その運転操作は必ずしも容易ではなかったが、コンバインの走行トランスミッションに無段階変速できる走行用油圧無段変速装置(以下、走行用HSTという)および旋回用の油圧無段変速装置(以下、旋回用HSTという)を用いることにより、コンバインの走行、操舵の運転操作はきわめて容易に行えるようになった。
【0006】
さらに差動歯車装置を備えた走行トランスミッション補助伝動系を備えた構成を用いて微速前進時の旋回確実性を向上させたコンバインが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
差動歯車装置を備えた走行トランスミッション伝動系を備えたコンバインは、その旋回操作性が従来のコンバインに比較して良い利点はあるが、製造コストが高くなり、コンバインが高価格になる欠点があった。
【0008】
そこで、本発明の課題は従来の走行トランスミッション基本伝動系を備えた走行系に、走行トランスミッション基本伝動系をそのままにして、差動歯車装置を備えた走行トランスミッション補助伝動系を組み付けることが可能な走行装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成により解決される。
請求項1記載の発明は、 エンジンからの駆動力を左右一対の車軸(11L、11R)へ断続的に伝動可能な左右のサイドクラッチ(44L、44R)と、該左右のサイドクラッチ(44L、44R)と同軸上に設けたエンジンからの駆動力を常時伝動するセンタギア(40)を含む変速用歯車機構を備えた走行トランスミッション基本伝動機構と、前記左右のサイドクラッチ(44L、44R)とそれぞれ連動する各ギア(8L、8R)を設け、該各ギア(8L、8R)間に亘って設けられた差動変速機構を備えた走行装置において、前記差動変速機構は、前記各ギア(8L、8R)からの動力を受けて左右一対の車軸(11L、11R)への走行駆動力をそれぞれ緩旋回、ゼロ旋回又は逆転旋回させるための差動歯車装置(6)を備え、さらに前記差動歯車装置(6)に対して直進時の動力を伝動する直進用クラッチ(81)と旋回時に動力伝動する旋回用クラッチ(82)とを同一の回転軸であるクラッチ軸(70)上に設けた変速伝動系を備え、該差動変速機構を走行トランスミッション基本伝動機構に対して着脱可能にした走行装置である。
【0010】
本発明の請求項1記載の発明によれば、走行トランスミッション補助伝動系を走行トランスミッション基本伝動系に対して着脱することができ、新しい操舵走行トランスミッションと従来型の操舵走行トランスミッションとを組替えできる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、前記差動変速機構の差動歯車装置(6)は、前記各ギア(8L、8R)からの動力を受けて回転する左右一対のサイドギア(9L、9R)と、各サイドギア(9L、9R)に連結された差動軸(50L、50R)と、該差動軸(50L、50R)の回転数を変動させるデフケース(54)と、該デフケース(54)と一体回転するリングギア(53)を備え、前記差動変速機構の変速伝動系は、前記センターギア(40)からのエンジンからの動力を常時受け、さらに直進時直進用クラッチ(81)を介してクラッチ軸(70)に前記動力を伝動し、旋回時に旋回用クラッチ(82)を介してクラッチ軸(70)に前記動力を伝動するカウンタ軸(60)と、直進時及び旋回時にクラッチ軸(70)からの動力を前記差動歯車装置(6)のリングギア(53)にそれぞれ伝達するクラッチ軸(70)と一体のセンタギア(71)を備えた請求項1記載の走行装置である。
【0012】
本発明の上記請求項2記載の発明によれば、走行トランスミッション補助伝動系のカウンタ軸60(A軸)、クラッチ軸70(B軸)及び差動軸50L、50R(C軸)を単一のケーシングに軸装することができ、このケーシングを一つの単位として走行トランスミッション基本伝動系に対して容易に着脱することができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の発明によれば、走行トランスミッション補助伝動系を走行トランスミッション基本伝動系に対して着脱することにより、新しい操舵操行トランスミッションと従来型の操舵操行トランスミッションとを組替えでき、両形態の走行トランスミッション伝動系を低コストで生産することができる。
さらに、直進用クラッチ81と旋回用クラッチ82とを独立して「入」、「切」の操作をする構成とした場合にはそれぞれ油圧シリンダ等のアクチュエータを必要として高価になり、また、このように複数のアクチュエータの切換タイミングを制御することは難しいが、本発明では低コストでクラッチ軸70(B軸)を構成することができ、また、両クラッチ81、82の切換タイミングを機械的に調整することが可能であり、複雑な制御を省くことができる。
【0014】
また本発明の請求項2記載の発明によれば、走行トランスミッション補助伝動系のカウンタ軸60(A軸)、クラッチ軸70(B軸)及び差動軸50L、50R(C軸)を単一のケーシングに軸装することができ、このケーシングを一つの単位として走行トランスミッション基本伝動系に対して容易に着脱することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明のコンバインの前面図であり、図2は本発明のコンバインの左側面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、コンバイン1の車体フレーム2の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3を有する走行装置本体4を配設し、車体フレーム2の前端側に分草具5を備えた刈取装置9が設けられている。刈取装置9は車体フレーム2の上方の支点を中心にして上下動する刈取装置支持フレーム(図示せず)で支持されているので、コンバイン1に搭乗したオペレータが操縦台20の操向レバー23を前後に傾倒操作することにより、刈取装置支持フレーム(図示せず)と共に上下に昇降する構成である。
【0017】
車体フレーム2の上方には、刈取装置9から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送して脱穀、選別する脱穀装置10と該脱穀装置10で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク13が載置され、グレンタンク13の後部にオーガ15を連接して、グレンタンク13内の穀粒をコンバイン1の外部に排出する構成としている。
【0018】
すなわち、コンバイン1は、オペレータが操縦室20において主変速HSTレバー21および副変速レバー22を操作し、エンジン(図示せず)の動力を図3、図4に示す走行トランスミッション14の主変速機のHST18および副変速機24の歯車変速手段を介して変速し、左右のクローラ3に伝動して任意の速度で走行する。
【0019】
また、コンバイン1は、オペレータが操縦台20において操向レバー23を左右に傾倒操作することにより各種旋回走行することができる。すなわち、操向レバー23をコンバイン1を旋回させようとする方向に傾倒操作することにより、図3、図4に示す走行トランスミッション14内のクラッチが作動し、左右のクローラ駆動スプロケット25Lまたは25Rに選択的に伝動されるので、左右のクローラ3、3に速度差が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0020】
本実施の形態のコンバインの走行ミッション装置14を展開して示す断面図を図3、図4に示し、図5に走行ミッションケースの左側面図を示し、図6に差動歯車装置のギアの回転数の関係図を示す。
【0021】
走行ミッション装置14は、図3に示すa〜e軸からなる走行トランスミッション基本伝動系と図4に示すカウンタ軸60(A軸)、クラッチ軸70(B軸)及び差動軸50L、50R(C軸)を備えている走行トランスミッション補助伝動系を備えている。
【0022】
本実施の形態のコンバインの走行ミッション装置14は図5の走行ミッションケースの左側面図に示すようにカウンタ軸60(A軸)、クラッチ軸70(B軸)及び差動軸50L、50R(C軸)からなる走行トランスミッション補助伝動系統とa軸〜e軸からなる走行トランスミッション基本伝動系とをそれぞれグループ化して配置したことに特徴がある。
【0023】
まず、走行ミッション装置14のa軸〜e軸からなる走行トランスミッション基本伝動系を説明する。
図示しないエンジンからの動力は走行用HST18に伝動され、正・逆転の切換えや変速回転動力が出力軸17(a軸)から出力される構成としている。そして、主変速レバー21により走行用HST18の増減速の変速と前後進(正・逆転の切換え)の切換えができる構成としている。
【0024】
そして、操向レバー23の操作により、後述のサイドクラッチ44L、44Rの「入」・「切」により増減速の変速操作により差動歯車装置6の駆動により旋回操行ができる構成としている。
【0025】
そして、走行トランスミッションケース12内には、副変速装置24とサイドブレーキ7L、7Rと差動歯車装置6が設けられ、伝動下手側に軸架した左右のホイールシャフト11L、11Rから駆動スプロケット25L、25Rを介して走行クローラ(図示せず)に動力を伝動する構成としている。
【0026】
副変速装置24は、出力軸17の広幅伝動ギア26からの動力が伝動される変速軸27(b軸)上に一体に設けられた大ギア28と中ギア29と小ギア30と副変速軸33(c軸)上に設けられた変速大ギア34、変速中ギア35及び変速小ギア36から構成される。変速軸27上に一体に設けられたギア28〜30は変速軸27の軸方向に摺動自在に軸装して変速可能に構成している。そして、上記変速軸27は、端部をミッションケース12から外側に延長して刈取伝動プーリ31(刈取PTOプーリ)を軸着して車速に同調した回転動力を後述する刈取前処理装置(図示せず)の回転各部に入力できる構成としている。
【0027】
そして、副変速軸33は、前記変速軸27の伝動下手側に軸架し、前記小ギア30に噛合する変速大ギア34、前記中ギア29に噛合する変速中ギア35、前記大ギア28に噛合する変速小ギア36及び後述のブレーキ軸41L、41R(d軸)に動力を伝動するセンターギア40に噛合する伝動ギア37をそれぞれ軸着している。
【0028】
つぎに、左右のサイドブレーキ7L、7Rは、上記副変速軸33の伝動下手側の左右のブレーキ軸41L、41R上に設けられている、ブレーキ軸41L、41R上にはそれぞれクラッチギア43L、43Rがスプライン係合しており、前記センターギア40にはクラッチギア43L、43Rが係合、解放自在の内周ギアが備えられている。また、クラッチギア43L、43Rはスリーブ42L、42R上にスプライン係合し、さらに、スリーブ42L、42Rは左右のブレーキ軸41L、41R上にそれぞれ遊嵌している。
【0029】
ギアドック式に噛合したクラッチギア43L、43Rとセンタギア40の内周ギアからなる構成をサイドクラッチ44L、44Rと呼ぶことにする。
【0030】
また、ブレーキ軸41L、41R上にはスリーブ42L、42Rがそれぞれ遊嵌しており、スリーブ42L、42Rと従動ギア8L、8Rがそれぞれ固着している。そして従動ギア8L、8Rをそれぞれ固定しているスリーブ42L、42Rが左右従動側回転体45L、45Rとそれぞれスプライン係合している。
【0031】
左右従動側回転体45L、45Rはそれぞれミッションケース12との間に多数の摩擦板を介してサイドブレーキ7L、7Rを構成している。スリーブ42L、42Rとミッションケース12との間にスプリング49L、49Rが設けられ、スリーブ42L、42Rは常時センターギア40側に付勢されているが、それぞれシフター47L、47Rでスプリング49L、49Rの付勢力に打ち勝つ方向に移動可能な構成になっている。
【0032】
クラッチギア43L、43Rはホイールシャフトギア48L、48Rと常時係合していて、ギア48L、48Rにそれぞれ固定されたホイールシャフト11L、11Rを介して該ホイールシャフト11L、11R(e軸)が固定されている駆動スプロケット25L、25Rを回転させ、駆動スプロケット25L、25Rにそれぞれ固定された走行クローラを駆動する。
【0033】
また、走行ミッション装置14のA軸〜C軸から成る走行トランスミッション補助伝動系を説明する。
走行トランスミッション補助伝動系は、前記センターギア40から動力伝動される入力ギア61を中央に設けカウンター軸60(A軸)と直進用クラッチ81と旋回用クラッチ82をそれぞれ備えたクラッチ軸70(B軸)と差動歯車装置6の差動軸50L、50R(C軸)を備えている。
【0034】
センターギア40から動力伝動される入力ギア61を中央に設けたカウンタ軸60には直進用クラッチ81に動力伝達するための出力ギア62が固着されている。入力ギア61のカウンター軸60の取り付け部とは反対側の側面側にそれぞれ設けられた爪クラッチ61a、63aを介して第二カウンタ軸63(A軸の一部を構成している)が設けられており、該第二カウンタ軸63にはシフターギア64がスプライン係合している。該シフターギア64にはスピン入切クラッチ65が一体的に設けられており、該スピン入切クラッチ65がミッションケース12の内壁に設けられた爪クラッチ66と係合自在になっている。また出力ギア62には円筒状回転体73Rの外周面に設けられたギア69が常時係合しており、またシフターギア64には円筒状回転体73Lの外周面に固定されたギア68が常時係合している。
【0035】
直進用クラッチ81と旋回用クラッチ82を両側に備えたクラッチ軸70の中央部にはセンターギア71が固定され、またその両側に直進用クラッチ係合用と旋回用クラッチ係合用の回転体74R、74Lがそれぞれ設けられている。直進用クラッチ81と旋回用クラッチ82のクラッチ軸70にはそれぞれ円筒状回転体72R、72Lがそれぞれスプライン係合されており、また、出力ギア62とシフターギア64は円筒状回転体73R、73Lの外周ギア69、68にそれぞれ常時係合しており、これら円筒状回転体72Rと円筒状回転体73Rにそれぞれスプライン係合している多数の摩擦板を設けて直進用クラッチ81を構成し、円筒状回転体72Lと円筒状回転体73Lにもそれぞれスプライン係合している多数の摩擦板を設けて旋回用クラッチ82を構成している。
【0036】
また回転体74Rと円筒状回転体72Rとの間には圧縮バネ75Rが設けられ、また回転体74Lと円筒状回転体72Lとの間にも圧縮バネ75Lがそれぞれ設けられている。
【0037】
クラッチ軸70はスラストベアリング76でスラスト方向の支持がなされているが、油口77から圧油の導入がない場合には圧縮バネ75L(バネの付勢力、圧縮バネ75L>圧縮バネ75R)によって直進用クラッチ81が「入」となる。油口77から圧油の導入があると、クラッチ軸70とセンタギア71が図4の左側に移動し、旋回用クラッチ82が「入」となる。このとき、バネ75Lは圧縮される。バネ75Rは油圧力を補助するために設けられている。
【0038】
従って直進用クラッチ81は常時「入」状態を保ち、旋回用クラッチ82は常時「切」状態を保っている。油口77から圧油を導入してクラッチ軸70の直進用クラッチ81側の端部を押圧することにより、クラッチ軸70とセンタギア71を矢印A方向に移動させると、直結クラッチ81は解放(「切」状態)となり、旋回用クラッチ82が係合(「入」状態)となる。
【0039】
センターギア71には差動歯車装置6のリングギア53が常時係合している。差動歯車装置6は、中間ベベル歯車52の外周に設けたデフケース54と一体のリングギア53を設けており、また、左右一組の差動軸50L、50Rには側部ベベル歯車51L、51Rがそれぞれスプライン係合しており、また、側部歯車51L、51Rには左右のサイドギア9L、9Rがそれぞれ固定している。これらサイドギア9L、9Rはそれぞれ従動ギア8L、8Rに常時係合している。
【0040】
上記構成からなるギア機構において、直進時は左右のサイドクラッチ44L、44Rが係合したままであり、エンジン動力は副変速装置24の副変速軸33の伝動下手側のブレーキ軸41L、41Rと係合しているセンターギア40から左右の走行系に動力がそれぞれ伝動される。左側の走行系ではセンターギア40から伝動される動力はクラッチギア43Lからホイールシャフトギア48L、ホイールシャフト11L、駆動スプロケット25Lを順次回転させ、駆動スプロケット25Lに固定された走行クローラを駆動する。同様に右側の走行系ではセンターギア40の動力はクラッチギア43Rからホイールシャフトギア48R、ホイールシャフト11R、駆動スプロケット25Rを順次回転させ、駆動スプロケット25Rに固定された走行クローラを駆動する。
このとき直進クラッチ81は「入」で、旋回用クラッチ82は「切」である。
【0041】
また、直進時の差動歯車装置6の状態は次の通りである。
▲1▼ 従動ギア8L、8Rが共に回転しているので、サイドギア9L、9Rは同じ方向に共に等速回転し、従って、デフケース54と該デフケース54と一体のリングギア53も同じ方向にサイドギア9L、9Rと等速回転する。さらに、▲2▼センターギア40に常時係合する入力ギア61から出力ギア62、円筒状回転体73R、直結クラッチ81、円筒状回転体72R、クラッチ軸70、センタギア71、リングギア53に順次動力伝達される。
【0042】
このようにリングギア53は上記▲1▼、▲2▼の二系統から回動されるので上記▲1▼、▲2▼の二系統からのリングギア53への変速比を同じに設定する。従ってサイドクラッチ44L又は44Rを「切」にしたとき、上記▲2▼の伝動系統からの動力がそれぞれ従動ギア8L、8Rに伝わるので、ショックが防止される。
【0043】
次に前記ギア機構の右旋回時の作動について説明する。
操向レバー23を右側に傾斜させることで、サイドクラッチ44Rを「切」にすると、図示しない機構により油口77から圧油が導入され、クラッチ軸70が矢印A方向に移動する。クラッチ軸70の矢印A方向への移動により直結クラッチ81を「切」として、旋回用クラッチ82を「入」とする。これによりシフターギア64とギア68の変速比の関係によりリングギア53の回転数が変化する。これはシフターギア64からギア68及び円筒状回転体73Lを経由して旋回用クラッチ82の摩擦板、円筒状回転体72L、クラッチ軸70及びセンターギア71を順次経由してリングギア53を回転させるが、シフターギア64とギア68の変速比の関係によりリングギア53の回転数が決まるからである。
【0044】
図6に示すように右旋回時にはサイドクラッチ44Lが「入」状態であるので、従動ギア8Lの回転がサイドギア9Lに伝動され、サイドギア9Lの回転数は一定となるが、リングギア53の回転数が旋回用クラッチ82の摩擦力が強くなるに従い減速して行くと、それに比例してサイドギア9Rの回転数が減少していく。リングギア53の回転数がサイドギア9Lの1/2になると、サイドギア9Rはゼロ回転となり、サイドギア9Rから従動ギア8R、スリーブ42R、クラッチギア43R、ホイールシャフトギア48R、ホイールシャフト11R及び駆動スプロケット25Rを順次回転させていた駆動力がゼロになり、右クローラにブレーキが利いているのではないが右クローラが回転しない、いわゆるブレーキ旋回が行われる。
【0045】
さらにリングギア53が減速していくと、サイドギア9Rは逆転回転をして右クローラが逆回転し、いわゆる急旋回が行われる。
【0046】
ここで、旋回用クラッチ82が完全に接続するとシフターギア64とギア68の変速比に基づく一定回転数でリングギア53が回転するのでシフターギア64とギア68の変速比をリングギア53の回転数がサイドギア9Lの1/2になるように設定することで前記した、いわゆるブレーキ旋回までは可能であるが、急旋回をできないようにすることが可能である。
【0047】
こうして、デフケース54の回転数をサイドギア9Lの1/2に固定できるため、サイドギア9R側の差動軸50Rを確実に停止させ、これによって完全なブレーキターン状態を得ることができる。このため、急旋回するとコンバインが沈下したり、走行負荷が増大するおそれがある湿田等での走行時に、急旋回を牽制することができ、適応性が向上する。
【0048】
また、サイドギア9Rはゼロ回転となるのでクローラ3Rを持ち上げて行う右クローラの着脱作業を安全に行うことができる。
【0049】
また、シフターギア64とギア68の変速比をリングギア53の回転数がサイドギア9Lの回転数の1/2の状態に設定されている場合に、これを2/3倍するようにシフターギア64とギア68の変速比を変更すると、サイドギア9Rの回転数がサイドギア9Lの回転数の1/3になるように設定でき、サイドギア9Rをサイドギア9Lの1/3の緩旋回までの旋回が可能になる。
【0050】
ここで、旋回用クラッチ82の摩擦板を油圧力の制御によって無段階的(連続的)に設定された旋回モードまで制御をすることができる。なお、この旋回用クラッチ82の摩擦板の油圧力の制御は操縦席に設けた図示しない手動操作レバーで行うようにすることができる。
【0051】
また、シフターギア64とギア68の変速比をリングギア53の回転数がサイドギア9Lの回転数の1/3になるように設定することで、図6に示すようにサイドギア9Rをサイドギア9Lの1/3スピンターンにすることができ、コンバインは右急旋回できる。前記サイドギア9Rをサイドギア9Lの1/3の急旋回までの旋回制御は、旋回用クラッチ82の摩擦板を油圧力の制御を無段階的(連続的)に行うことで変速することができる。
【0052】
このとき、クラッチ軸70の回転数をセンサで検出して油圧力の調整のフィードバックをすることが必要である。
【0053】
また、左旋回時にはサイドクラッチ44Lを「切」にすることで、前記右旋回時と同様の制御ができるので説明は省略する。
【0054】
またシフタ67によりシフターギア64を図面左方向にスライドさせて、係合状態の爪クラッチ61a、63aを解放(「切」)にして、さらに左方向にスライドさせて爪クラッチ65、66を係合(「入」)すると、シフターギア64の回転はゼロとなり、従ってリングギア53の回転もゼロになる。この状態は図6に示すP点であり、サイドギア9L、9Rの間には回転数が1:(−1)又は(−1):1の関係が成立し、左右いずれかの急旋回が行われる。これを超倍地旋回と呼ぶ。
【0055】
なお、サイドブレーキ7L、7Rはカウンタ軸60(A軸)、クラッチ軸70(B軸)及び差動軸50L、50R(C軸)を設けるときには不要であり、前記A軸、B軸、C軸が組み込まれていないときには設けておき、ブレーキ旋回が可能にしておく。
【0056】
このように本発明の実施の形態によれば、少なくとも差動歯車装置6と直進用クラッチ81と旋回用クラッチ82とカウンタ軸60のギア系からなる走行トランスミッション補助伝動系を走行トランスミッション基本伝動系に対して着脱することにより、新しい操舵走行トランスミッションと従来型の操舵走行トランスミッションとを組替えできる。
【0057】
このため、走行トランスミッション補助伝動系に関係する部材を着脱するだけで、前記2種類の操舵走行トランスミッション伝動系を適宜組替えることができるため、両形態の走行トランスミッション伝動系を低コストで生産することができる。
【0058】
このとき、図5に示すようにカウンタ軸60(A軸)、クラッチ軸70(B軸)及び差動軸50L、50R(C軸)を走行トランスミッション基本伝動系に対して着脱可能に構成する。なお、これら3軸を単一のケーシングに軸装し、このケーシングごとミッションケースに対して構成するとよい。
【0059】
また、本実施の形態のクラッチ軸70(B軸)は直進用クラッチ81と旋回用クラッチ82とを同一のクラッチ軸70上に配置しているため、該クラッチ軸70(B軸)の摺動操作によって両クラッチ81、82を択一的に「入」作動できるように構成した。
【0060】
直進用クラッチ81と旋回用クラッチ82とを独立して「入」、「切」の操作をする構成とした場合にはそれぞれ油圧シリンダ等のアクチュエータを必要として高価になり、また、このように複数のアクチュエータの切換タイミングを制御することは難しいが、本実施の形態では低コストでクラッチ軸70(B軸)を構成することができる。
【0061】
また、両クラッチ81、82の切換タイミングを機械的に調整することが可能であり、複雑な制御を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のコンバインの前面図を示す。
【図2】 本発明の実施の形態のコンバインの左側面図を示す。
【図3】 本発明の実施の形態のコンバインの走行トランスミッション装置の展開断面図の一部を示す。
【図4】 本発明の実施の形態のコンバインの走行トランスミッション装置の展開断面図の一部を示す。
【図5】 図3、図4に示す走行ミッションケースの左側面図を示す。
【図6】 本発明の実施の形態のコンバインの走行ミッション装置の差動歯車装置のギアの回転数の関係図を示す。
【符号の説明】
1 コンバイン 2 車体フレーム
3 クローラ 4 走行装置本体
5 分装具 6 差動歯車装置
7L、7R サイドブレーキ 8L、8R 従動ギア
9 刈取装置 9L、9R サイドギア
10 脱穀装置 11L、11R ホイ−ルシャフト
12 走行トランスミッションケース 13 グレンタンク
14 走行ミッション装置 15 オーガ
17 出力軸(a軸) 18 走行用HST
20 操縦室 21 主変速レバー
22 副変速レバー 23 操向レバー
24 副変速装置 25L、25R 駆動スプロケット
26 広幅伝動ギア 27 変速軸(b軸)
28 大ギア 29 中ギア
30 小ギア 31 刈取伝動プ−リ
33 副変速軸(c軸) 34 変速大ギア
35 変速中ギア 36 変速小ギア
37 伝動ギア 40 センタ−ギア
41L、41R ブレーキ軸(d軸) 42L、42R スリーブ
43L、43R クラッチギア 44L、44R サイドクラッチ
45L、45R 従動側回転体 47L、47R シフター
48L、48R ホイールシャフトギア
49L、49R スプリング 50L、50R 差動軸(C軸)
51L、51R 側部ベベル歯車 52 中間ベベル歯車
53 リングギア 54 デフケース
60 カウンタ軸(A軸) 61 入力ギア
62 出力ギア 61a、63a 爪クラッチ
63 第二カウンタ軸(A軸) 64 シフターギア
65 スピン入切クラッチ 66 爪クラッチ
67 シフタ 68、69 ギア
70 クラッチ軸(B軸) 71 センターギア
72L、72R 円筒状回転体 73L、73R 円筒状回転体
74L、74R 回転体 75L、75R 圧縮バネ
76 スラストベアリング 77 油口
81 直進用クラッチ 82 旋回用クラッチ

Claims (2)

  1. エンジンからの駆動力を左右一対の車軸(11L、11R)へ断続的に伝動可能な左右のサイドクラッチ(44L、44R)と、該左右のサイドクラッチ(44L、44R)と同軸上に設けたエンジンからの駆動力を常時伝動するセンタギア(40)を含む変速用歯車機構を備えた走行トランスミッション基本伝動機構と、
    前記左右のサイドクラッチ(44L、44R)とそれぞれ連動する各ギア(8L、8R)を設け、該各ギア(8L、8R)間に亘って設けられた差動変速機構を備えた走行装置において、
    前記差動変速機構は、前記各ギア(8L、8R)からの動力を受けて左右一対の車軸(11L、11R)への走行駆動力をそれぞれ緩旋回、ゼロ旋回又は逆転旋回させるための差動歯車装置(6)を備え、さらに前記差動歯車装置(6)に対して直進時の動力を伝動する直進用クラッチ(81)と旋回時に動力伝動する旋回用クラッチ(82)とを同一の回転軸であるクラッチ軸(70)上に設けた変速伝動系を備え
    該差動変速機構を走行トランスミッション基本伝動機構に対して着脱可能にしたことを特徴とする走行装置。
  2. 前記差動変速機構の差動歯車装置(6)は、前記各ギア(8L、8R)からの動力を受けて回転する左右一対のサイドギア(9L、9R)と、各サイドギア(9L、9R)に連結された差動軸(50L、50R)と、該差動軸(50L、50R)の回転数を変動させるデフケース(54)と、該デフケース(54)と一体回転するリングギア(53)を備え
    前記差動変速機構の変速伝動系は、前記センタギア(40)からのエンジンからの動力を常時受け、さらに直進時直進用クラッチ(81)を介してクラッチ軸(70)に前記動力を伝動し、旋回時に旋回用クラッチ(82)を介してクラッチ軸(70)に前記動力を伝動するカウンタ軸(60)と、直進時及び旋回時にクラッチ軸(70)からの動力を前記差動歯車装置(6)のリングギア(53)にそれぞれ伝達するクラッチ軸(70)と一体のセンタギア(71)を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
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