JP2003347148A - 導電性ペースト及び積層セラミック電子部品 - Google Patents

導電性ペースト及び積層セラミック電子部品

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JP2003347148A
JP2003347148A JP2002152579A JP2002152579A JP2003347148A JP 2003347148 A JP2003347148 A JP 2003347148A JP 2002152579 A JP2002152579 A JP 2002152579A JP 2002152579 A JP2002152579 A JP 2002152579A JP 2003347148 A JP2003347148 A JP 2003347148A
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plating
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Yoshihiro Kawaguchi
義博 川口
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部電極との接続信頼性が高く、めっき付き
性及び緻密性に優れた外部電極を効率よく形成すること
が可能な外部電極ペースト及びこれを用いて外部電極が
形成された積層セラミック電子部品を提供する。 【解決手段】 Cu粉末又はCuを主成分とする金属粉
末と、ZnOを含有せず、Al23、TiO2及びZr
2のうちの少なくとも1種を合計量で2〜10mol%の
割合で含有するホウ珪酸アルカリガラス系フリットと、
有機ビヒクルとを配合する。ホウ珪酸アルカリガラス系
フリットとして、ガラス軟化点温度が450〜500℃
の範囲にあるものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、導電性ペースト
及び積層セラミック電子部品に関し、詳しくは、積層セ
ラミック電子部品の外部電極を形成するのに用いられる
導電性ペースト及び導電性ペーストを用いて外部電極が
形成される積層セラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサなどの積層セ
ラミック電子部品は、電子製品の回路構成部品として広
く使用されている。この積層セラミックコンデンサは、
例えば、図2に示すように、セラミック素子51中に、
複数の内部電極52がセラミック層53を介して積層さ
れ、かつ、セラミック層53を介して互いに対向する内
部電極52a,52bが交互にセラミック素子51の逆
側の端面に引き出されて、該端面に形成された外部電極
54a,54bに接続された構造を有している。
【0003】そして、このような構造を有する積層セラ
ミックコンデンサは、通常、例えば、図3に示すよう
に、スクリーン印刷法などの方法により、導電ペースト
を塗布して表面に内部電極パターン52を形成したセラ
ミックグリーンシート53aを積層するとともにその上
下両面側に、内部電極が形成されていないセラミックグ
リーンシート(ダミーシート)53bを積層、圧着し、
焼成した後、焼成後の積層体(セラミック素子)51の
両側端面に導電ペーストを塗布し、焼き付けて一対の外
部電極54a,54b(図2)を形成することにより製
造されている。
【0004】また、この積層セラミックコンデンサは、
セラミック素子51の表面に配設された導電膜である外
部電極54a,54bを、例えばプリント基板のはんだ
付けランドにはんだ付けすることにより実装され、使用
されるものであり、外部電極54a,54bの特性を向
上させるために、その表面にNiめっき膜を形成し、さ
らにその上にSnめっき膜又ははんだめっき膜などを形
成することが行われる。
【0005】ところで、上述の外部電極の形成に用いら
れる導電性ペースト(外部電極ペースト)は、Cuなど
をはじめとする導電性粉末、ガラスフリット、溶剤及び
バインダーなどから構成され、導電性ペーストを塗布し
た後の焼き付けは、窒素雰囲気などの中性又は還元性雰
囲気中で行われる。
【0006】このように中性又は還元性雰囲気中で焼き
付けを行うことにより、バインダーが高熱によって分解
除去され、Cuとガラスフリットからなる外部電極が、
セラミック素子の表面に形成され、Cuはガラスフリッ
トによってセラミック素子の表面に接着されると同時
に、外部電極を構成するCuと内部電極(例えば、Ni
内部電極)とが金属的に接合して電気的に接続すること
により、コンデンサとしての静電容量の確保が可能とな
る。
【0007】そして、このような外部電極形成用の導電
性ペーストに配合されるガラスフリットとしては、外部
電極とセラミック素子との接着性を確保するため、ある
いは外部電極を緻密化させるために、溶融時の粘度が低
い低粘性のガラスフリットが用いられることが多い。そ
して、低粘性のガラスフリットとしては、ホウ珪酸鉛系
ガラスやホウ珪酸亜鉛系のガラスフリットが一般的に用
いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年の、積層
セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の
小型、大容量化に伴い、積層セラミック電子部品を構成
する内部電極層や誘電体層は多層化するとともに薄層化
する傾向にある。そして、このような薄層化した積層セ
ラミック電子部品においては、内部電極(例えばNi内
部電極)とセラミックの熱膨張率の相違から、内部電極
がセラミック素子の端面に十分に露出せず、端面から後
退した(端面に埋もれた)状態になる場合があり、外部
電極と内部電極の接続信頼性が低下するという問題点が
ある。特に内部電極がNi又はNiを主要成分とする材
料からなるものである場合、外部電極と内部電極の接続
信頼性の低下が問題になりやすい。
【0009】このような問題点を解消する方法として、
内部電極を表面に露出させるために、バレル研磨などの
方法を用いて機械的な加工を行う方法が提案されている
が、この方法は、セラミック素子に機械的な衝撃を与
え、クラックを誘発する要因になりかねないことからあ
まり好ましくないのが実情である。
【0010】また、従来の低粘性のホウ珪酸亜鉛ガラス
フリットを用いた外部電極ペーストでは、特に、セラミ
ックとしてチタン酸バリウム系セラミックが用いられて
いる場合に、ガラスフリット中の酸化亜鉛(ZnO)と
セラミック素子との反応によって形成される結晶相によ
り、内部電極と外部電極の金属的な接合が物理的に阻害
され、コンデンサとして所定の静電容量を得ることがで
きなくなるという問題がある。
【0011】また、従来の導電性ペーストにおいては、
用いられているガラスフリットの種類により、形成され
た外部電極にめっきを施す際に、ガラスフリットがめっ
き液に全く溶けないことによるめっき付き不良や、ガラ
スフリットがめっき液に溶けすぎることによる外部電極
の緻密性の劣化が生じるというような問題点がある。
【0012】なお、上述の問題点は、積層セラミックコ
ンデンサの場合に限らず、積層セラミックインダクタ、
積層セラミックサーミスタ、多層セラミック基板等の他
の積層セラミック電子部品の場合にも当てはまるもので
ある。
【0013】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、積層セラミック電子部品の外部電極を形成するの
に用いられる導電性ペーストであって、内部電極との接
続信頼性が高く、めっき付き性及び緻密性に優れた外部
電極を効率よく形成することが可能な外部電極ペースト
及びこれを用いて外部電極が形成された、外部電極と内
部電極の接続信頼性の高い積層セラミック電子部品を提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)の導電性ペーストは、積層セ
ラミック電子部品の外部電極形成用の導電性ペーストで
あって、(a)Cu粉末又はCuを主成分とする金属粉末
と、(b)ZnOを含有せず、Al23、TiO2及びZ
rO2のうちの少なくとも1種を合計量で2〜10mol%
の割合で含有するホウ珪酸アルカリガラス系フリット
と、(c)有機ビヒクルとを含有することを特徴としてい
る。
【0015】積層セラミック電子部品の外部電極形成用
の導電性ペーストにおいて、Cu粉末又はCuを主成分
とする金属粉末と、ZnOを含有せず、Al23、Ti
2及びZrO2のうちの少なくとも1種を合計量で2〜
10mol%の割合で含有するホウ珪酸アルカリガラス系
フリットと、有機ビヒクルとを含有する組成とすること
により、それを用いて形成される積層セラミック電子部
品の外部電極と内部電極との接続信頼性を確保すること
が可能になるとともに、外部電極のめっき付き性と緻密
性を向上させることが可能になる。
【0016】すなわち、本願発明(請求項1)の導電性
ペーストにおいては、Al23、TiO2及びZrO2
うちの少なくとも1種を合計量で2〜10mol%の割合
で含有するホウ珪酸アルカリガラス系フリットが用いら
れており、このガラスフリットは、低粘性で、緻密性に
優れ、かつ、細部にまで回り込んで、内部電極との接続
信頼性の高い外部電極を効率よく形成することが可能に
なるとともに、ZnOを含有していないことから、セラ
ミックとして、チタン酸バリウム系セラミックが用いら
れている場合にも、内部電極と外部電極の金属的な接合
を物理的に阻害するような結晶相が形成されることがな
いため、十分な特性を備えた積層セラミックコンデンサ
などの積層セラミック電子部品を実現することが可能に
なる。
【0017】また、Al23、TiO2及びZrO2のう
ちの少なくとも1種を合計量で2〜10mol%の割合で
含有するホウ珪酸アルカリガラス系フリットを用いてい
るので、該ホウ珪酸アルカリガラス系フリットを含む導
電性ペーストを塗布して、焼き付けることにより形成し
た外部電極にめっきを施す際に、ガラスがめっき液に全
く溶けないことによるめっき付き不良を生じることがな
く、また、ガラスがめっき液に溶けすぎることによる外
部電極の緻密性の劣化を生じることがなく、信頼性の高
い外部電極を形成することが可能になる。
【0018】また、請求項2の導電性ペーストは、請求
項1の導電性ペーストにおいて、前記ホウ珪酸アルカリ
ガラス系フリットが、ガラス軟化点温度:450〜50
0℃の範囲のものであることを特徴としている。
【0019】ホウ珪酸アルカリガラス系フリットとし
て、ガラス軟化点温度が450〜500℃の範囲にある
ものを用いることにより、外部電極のめっき付き性およ
び緻密性に関して、良好な特性を確保することが可能に
なり有意義である。すなわち、ガラス軟化点温度が45
0℃未満のものを用いると形成される外部電極のめっき
付き性が低下し、ガラス軟化点温度が500℃を超える
ものを用いると形成される外部電極の緻密性が低下す
る。
【0020】また、本願発明(請求項3)の積層セラミ
ック電子部品は、積層された複数のセラミック層と、前
記セラミック層間に配設されたNi又はNiを主成分と
する材料からなる内部電極と、請求項1又は2記載の導
電性ペーストを塗布して焼き付けることにより形成さ
れ、前記内部電極に電気的に接続された外部電極とを具
備することを特徴としている。
【0021】本願発明(請求項3)の積層セラミック電
子部品は、積層された複数のセラミック層と、セラミッ
ク層間に配設されたNi又はNiを主成分とする材料か
らなる内部電極と、請求項1又は2記載の、ZnOを含
有せず、Al23、TiO2及びZrO2のうちの少なく
とも1種を合計量で2〜10mol%含有するホウ珪酸ア
ルカリガラス系フリットを用いた導電性ペーストを塗布
して焼き付けることにより形成された外部電極とを備え
ており、外部電極と内部電極とが確実に接続された信頼
性の高い積層セラミック電子部品を提供することが可能
になる。
【0022】また、請求項4の積層セラミック電子部品
は、前記内部電極が静電容量を取得できるように配置さ
れた積層セラミックコンデンサであることを特徴として
いる。
【0023】積層セラミックコンデンサは近年、特にセ
ラミック層及び内部電極の多層化、薄層化が進み、内部
電極と外部電極の接続信頼性が問題になりやすいが、か
かる積層セラミックコンデンサに本願発明を適用するこ
とにより、多層化、薄層化が進んだ積層セラミックコン
デンサにおいても、内部電極との接続信頼性の高い外部
電極を確実に形成することが可能になり、所望の特性を
備えた信頼性の高い積層セラミックコンデンサを実現す
ることが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】本願発明における導電性ペースト
は、Cu粉末又はCuを主成分とする金属粉末と、Zn
Oを含有せず、Al23、TiO2及びZrO2のうちの
少なくとも1種を合計量で2〜10mol%含有するホウ
珪酸アルカリガラス系フリットと、有機ビヒクルとを配
合し、混練することにより作製される。
【0025】Al23、TiO2及びZrO2は、一般的
にガラスの化学的耐久性を向上させることが知られてい
るが、Al23、TiO2及びZrO2のうちの少なくと
も1種を合計量で2〜10mol%の割合でホウ珪酸アル
カリガラス系フリット中に含有させることにより、該ホ
ウ珪酸アルカリガラス系フリットを含む導電性ペースト
を塗布して、焼き付けることにより形成した外部電極に
めっきを施す際に、ガラスがめっき液に全く溶けないこ
とによるめっき付き不良を生じることがなく、また、ガ
ラスがめっき液に溶けすぎることによる外部電極の緻密
性の劣化を生じることもなく、信頼性の高い外部電極を
形成することができるようになる。
【0026】さらに、ホウ珪酸アルカリガラス系フリッ
トとして、ガラス軟化点温度が450〜500℃の範囲
にあるホウ珪酸アルカリガラス系フリットを用いた場
合、外部電極のめっき付き性および緻密性に関して、良
好な特性を確保することができるようになる。
【0027】図1は本願発明の一実施形態にかかる積層
セラミック電子部品である積層セラミックコンデンサを
示す断面図である。この、積層セラミックコンデンサ1
は、セラミック素子10を構成する、積層された複数の
セラミック層2と、所定のセラミック層2間に配設さ
れ、積層方向に関して交互にセラミック素子10の逆側
に引き出された内部電極3a,3bと、セラミック素子
10の互いに対向する端面10a,10bに配設され、
各端面10a,10bに引き出された内部電極3a,3
bと導通する一対の外部電極4a,4bを備えている。
【0028】そして、この実施形態では、内部電極3
a,3bは、Niを主成分とする材料から構成されてお
り、外部電極4a,4bは銅を主成分とする材料から構
成されている。また、外部電極4a,4bは、上述の導
電性ペーストを塗布して焼き付けることにより形成され
ている。そして、外部電極4a,4b上には必要に応じ
て、電解めっきあるいは無電解めっきによるめっき膜が
形成される。この実施形態では、外部電極4a,4b上
に、Niからなる下地めっき膜5a,5bが形成され、
次いで、Snからなる外面めっき膜6a,6bが形成さ
れる。なお、外部電極4a,4b上に形成されるめっき
膜の種類はこれに限られるものではなく、例えば、外面
めっき膜として、はんだめっき膜を形成することも可能
である。
【0029】
【実施例】上記実施形態の外部電極4a,4bの形成に
用いられる導電性ペーストの好ましい条件について、以
下に実施例を示してさらに詳しく説明する。 (1)この実施例では、平均粒径が2μmのCu粉末を用
意するとともに、表1に示すようなガラスフリット1〜
ガラスフリット9の9種類のガラスフリットを用意し
た。なお、ガラスフリットとしては、平均粒径が、2.
0〜3.0μmのものを用いた。
【0030】
【表1】
【0031】(2)それから、これらのCu粉末及びガラ
スフリットを、Cu粉末100体積部に対して、ガラス
フリット23体積部の割合で混合し、さらにテルピネオ
ールにアクリル樹脂20重量%を添加した有機ビヒクル
を適量加え、3本ロールを用いて混合及び分散させるこ
とにより、表1のガラスフリット1〜ガラスフリット9
のガラスフリットを含有する9種類の外部電極形成用の
導電性ペーストを調製した。
【0032】(3)そして、BaTiO3を主成分とする
セラミック材料を用いて、周知の方法により作製され
た、積層セラミックコンデンサ用の焼結済みのセラミッ
ク積層体(セラミック素子10(図1))の端面10
a,10b上に、上記調製した導電性ペーストを塗布
し、150℃に調整した熱風乾燥機で15分乾燥した
後、ベルト炉を用い、窒素雰囲気でピーク温度800℃
にて焼成し、外部電極4a,4bを形成した。なお、こ
の実施例では長さが1.6mm、幅が0.8mm、厚みが
0.8mmで、静電容量が1.0μFの積層セラミックコ
ンデンサを作製した。
【0033】(4)それから、外部電極4a,4bが形成
されたセラミック素子10に対し、電解めっき法によ
り、外部電極4a,4b上にNiめっきを施して下地め
っき膜5a,5bを形成した後、さらに、Snめっきを
施して、Snからなる外面めっき膜6a,6bを形成し
た。
【0034】このようにして作製した積層セラミックコ
ンデンサについて、LCRメーターを用いて静電容量を
測定した。なお、静電容量の測定は周波数1kHz、
0.5Vrmsで測定した。静電容量の測定結果(平均
値)及びばらつきを表2に示す。但し、測定試料数
(n)は100とした。なお、比較のため、焼成済みの
セラミック積層体(セラミック素子)の端面にInGa
電極を形成した試料(比較例)の静電容量の測定結果
(平均値)及びそのばらつき(3CV値)を表2に併せ
て示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2に示すように、InGa電極を用いた
比較例の静電容量の平均値は、1.05μFで、静電容
量のばらつきを表す3CVは6.0%であった。これに
対して、試料No.1〜6、8、9のZnOを含まない
ガラスフリットを配合した導電性ペーストを用いて形成
したCu外部電極を有する積層セラミックコンデンサで
は、静電容量平均値が0.95〜1.05μFの範囲に
あり、かつ、静電容量のばらつきを表す3CVが8.0
%以下であり、積層セラミックコンデンサ本来の静電容
量を確保することができることが確認された。
【0037】しかし、試料No.7の、30mol%のZ
nOを含むガラスフリットを配合した導電性ペーストを
用いて形成したCu外部電極を有する積層セラミックコ
ンデンサでは、静電容量の平均値が0.65μFと低
く、目標とする静電容量を確保することができなかっ
た。これは、ZnO系のガラスフリットと、BaTiO
3系セラミックとの反応により、外部電極と内部電極の
接合部近傍に結晶相が析出し、両者の接合を阻害してい
ることによるものと考えられる。
【0038】また、上記の表2の各試料中で接合性が良
好であった試料No.1〜6及び8,9について、外部
電極のめっき付き性と緻密性を調べた。なお、外部電極
のめっき付き性および緻密性の判定は、以下に説明する
方法により行った。
【0039】[めっき付き性]外部電極のめっき付き性
は、Niめっき後の外部電極の表面を拡大鏡を用いて観
察し、下地のCu由来の茶褐色部が少量でも確認できる
ものをめっき付き不良と判定した。
【0040】[緻密性]さらに、積層セラミックコンデ
ンサを長さ方向寸法および厚み方向寸法によって規定さ
れる面(側面)(図1の内部電極3a,3bに垂直な
面)に沿って研磨し、この研磨面を顕微鏡により観察し
て、外部電極の表面(図1の外部電極4a,4bとNi
めっき膜5a,5bとの界面)から、セラミック素子1
0の端面10a,10bにNiめっき液が浸入すること
によるNiめっき膜の形成が少量でも認められたものを
緻密性(シール性)不良と判定した。この方法による判
定は、絶縁抵抗特性、耐湿負荷特性の劣化及び内部電極
層の剥離などの不良率と相関関係があり、緻密性(シー
ル性)の不良率が高くなると、絶縁抵抗特性、耐湿負荷
特性の劣化、及び内部電極層の剥離の不良率も上昇す
る。外部電極のめっき付き性と緻密性を調べた結果を表
3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3に示すように、ZnOを含有せず、A
23、TiO2及びZrO2の少なくとも1種を合計量
で2〜10mol%の割合で含有するホウ珪酸アルカリガ
ラス系フリットを用いた試料No.1〜4の試料につい
ては、外部電極のめっき付き性および緻密性が良好であ
る。
【0043】一方、Al23、TiO2及びZrO2の少
なくとも1種の合計含有率が1mol%で、本願発明の2
〜10mol%の範囲を下回るホウ珪酸アルカリガラス系
フリットを用いた試料No.5については、外部電極の
耐めっき液性が低く、緻密性がよくないことが確認され
た。
【0044】また、Al23、TiO2及びZrO2の少
なくとも1種の合計含有率が11mol%で、本願発明の
2〜10mol%の範囲を上回るホウ珪酸アルカリガラス
系フリットを用いた試料No.6については、外部電極
の耐めっき液性が向上しすぎて、めっき付き性の不良が
生じることが確認された。
【0045】さらに、試料No.8及びNo.9では、
Al23、TiO2及びZrO2の少なくとも1種を合計
量で本願発明の2〜10mol%の範囲で含有するホウ珪
酸アルカリガラス系フリットであっても、試料No.8
のように、ガラス軟化点温度が540℃のガラスフリッ
トを用いた場合には、外部電極の緻密性に若干の劣化が
認められ、また、試料No.9のように、ガラス軟化点
温度が440℃のガラスフリットを用いた場合には、め
っき付き性がやや低下することが確認された。
【0046】上記の結果より、ZnOを含有せず、Al
23、TiO2及びZrO2のうちの少なくとも1種を合
計量で2〜10mol%の割合で含有するホウ珪酸アルカ
リガラス系フリットを用いることにより、内部電極との
接続信頼性が高い外部電極を備えた信頼性の高い積層セ
ラミックコンデンサを得ることが可能になり、さらに、
ガラス軟化点温度が450〜500℃の範囲にあるホウ
珪酸アルカリガラス系フリットを用いることにより、め
っき付き性及び緻密性にも優れた積層セラミックコンデ
ンサが得られることがわかる。
【0047】なお、上記実施形態及び実施例では、積層
セラミックコンデンサを例にとって説明したが、本願発
明は、積層セラミックコンデンサの場合に限らず、積層
セラミックインダクタ、積層セラミックサーミスタ、多
層セラミック基板などの他の積層セラミック電子部品に
も適用することも可能であり、その場合にも、上記実施
形態及び実施例の場合と同様の効果を得ることができ
る。
【0048】本願発明は、その他の点においても上記実
施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の要
旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが
可能である。
【0049】
【発明の効果】本願発明(請求項1)の導電性ペースト
は、Cu粉末又はCuを主成分とする金属粉末と、Zn
Oを含有せず、Al23、TiO2及びZrO2のうちの
少なくとも1種を合計量で2〜10mol%の割合で含有
するホウ珪酸アルカリガラス系フリットと、有機ビヒク
ルとを含有しているので、それを用いて形成される積層
セラミック電子部品の外部電極と内部電極との接続信頼
性を確保することが可能になるとともに、外部電極のめ
っき付き性と緻密性を向上させることが可能になる。
【0050】また、Al23、TiO2及びZrO2のう
ちの少なくとも1種を合計量で2〜10mol%の割合で
含有するホウ珪酸アルカリガラス系フリットを用いてい
るので、該ホウ珪酸アルカリガラス系フリットを含む導
電性ペーストを塗布して、焼き付けることにより形成し
た外部電極にめっきを施す際に、ガラスがめっき液に全
く溶けないことによるめっき付き不良を生じることがな
く、また、ガラスがめっき液に溶けすぎることによる外
部電極の緻密性の劣化を生じることがなく、信頼性の高
い外部電極を形成することができる。
【0051】また、請求項2の導電性ペーストのよう
に、ホウ珪酸アルカリガラス系フリットとして、ガラス
軟化点温度が450〜500℃の範囲にあるものを用い
ることにより、外部電極のめっき付き性および緻密性に
関して、良好な特性を確保することが可能になり有意義
である。
【0052】また、本願発明(請求項3)の積層セラミ
ック電子部品は、積層された複数のセラミック層と、セ
ラミック層間に配設されたNi又はNiを主成分とする
材料からなる内部電極と、請求項1又は2記載の、Zn
Oを含有せず、Al23、TiO2及びZrO2のうちの
少なくとも1種を合計量で2〜10mol%含有するホウ
珪酸アルカリガラス系フリットを用いた導電性ペースト
を塗布して焼き付けることにより形成された外部電極と
を備えており、外部電極と内部電極とが確実に接続され
た信頼性の高い積層セラミック電子部品を提供すること
が可能になる。
【0053】また、積層セラミックコンデンサは近年、
特にセラミック層及び内部電極の多層化、薄層化が進
み、内部電極と外部電極の接続信頼性が問題になりやす
いが、請求項4のように、かかる積層セラミックコンデ
ンサに本願発明を適用することにより、多層化、薄層化
が進んだ積層セラミックコンデンサにおいても、内部電
極との接続信頼性の高い外部電極を確実に形成すること
が可能になり、所望の特性を備えた信頼性の高い積層セ
ラミックコンデンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる積層セラミック
コンデンサを示す断面図である。
【図2】従来の積層セラミックコンデンサの断面図であ
る。
【図3】従来の積層セラミックコンデンサの構成及び製
造方法を説明するための分解斜視図である。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ 2 セラミック層 3a,3b 内部電極 4a,4b 外部電極 5a,5b Niからなる下地めっき膜 6a,6b Snからなる外面めっき膜 10 セラミック素子 10a,10b セラミック素子の互いに対向する端面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】積層セラミック電子部品の外部電極形成用
    の導電性ペーストであって、 (a)Cu粉末又はCuを主成分とする金属粉末と、 (b)ZnOを含有せず、Al23、TiO2及びZrO2
    のうちの少なくとも1種を合計量で2〜10mol%の割
    合で含有するホウ珪酸アルカリガラス系フリットと、 (c)有機ビヒクルとを含有することを特徴とする導電性
    ペースト。
  2. 【請求項2】前記ホウ珪酸アルカリガラス系フリット
    は、ガラス軟化点温度が450〜500℃の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 【請求項3】積層された複数のセラミック層と、 前記セラミック層間に配設されたNi又はNiを主成分
    とする材料からなる内部電極と、 請求項1又は2記載の導電性ペーストを塗布して焼き付
    けることにより形成され、前記内部電極に電気的に接続
    された外部電極とを具備することを特徴とする積層セラ
    ミック電子部品。
  4. 【請求項4】前記内部電極が静電容量を取得できるよう
    に配置された積層セラミックコンデンサであることを特
    徴とする請求項3記載の積層セラミック電子部品。
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