JP4561171B2 - セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト Download PDF

Info

Publication number
JP4561171B2
JP4561171B2 JP2004139030A JP2004139030A JP4561171B2 JP 4561171 B2 JP4561171 B2 JP 4561171B2 JP 2004139030 A JP2004139030 A JP 2004139030A JP 2004139030 A JP2004139030 A JP 2004139030A JP 4561171 B2 JP4561171 B2 JP 4561171B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive paste
ceramic
external electrode
electronic component
internal electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004139030A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005322751A (ja
Inventor
康司 清水
哲也 喜住
隆宏 岡
孝 大村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2004139030A priority Critical patent/JP4561171B2/ja
Publication of JP2005322751A publication Critical patent/JP2005322751A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4561171B2 publication Critical patent/JP4561171B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Description

金属粉末を導電成分とする導電ペーストを、卑金属を主たる成分とする内部電極を備えたセラミック素子に、塗布し、焼き付けることにより、セラミック素子に内部電極と導通するように外部電極を形成する工程を備えたセラミック電子部品の製造方法および、それに用いられる導電ペーストに関し、特に、中性あるいは弱酸化性の雰囲気中で導電ペーストを焼き付ける工程を備えたセラミック電子部品の製造方法および、それに用いられる導電ペーストに関する。
内部電極を備えたセラミック素子の表面に、内部電極と導通する外部電極が配設された構造を有する電子部品の代表的なものの1つに積層セラミックコンデンサがある。
この積層セラミックコンデンサは、例えば、図2に示すように、セラミック素子51中に、複数の内部電極52a,52bがセラミック層53を介して積層され、かつ、セラミック層53を介して互いに対向する内部電極52a,52bが交互にセラミック素子51の逆側の端面54a,54bに引き出されて、該端面に形成された外部電極55a,55bに接続された構造を有している。
そして、外部電極55a,55bの表面には、通常、はんだ喰われを抑制するためのNiめっき膜56a,56bが形成され、さらに、その上に、はんだ付け性を向上させるためのSnめっき膜57a,57bが形成された構成とされることが多い。
そのため、外部電極55a,55bの表面に、NiめっきやSnめっきなどのめっきを施す工程で、外部電極55a,55bの内部、さらにはセラミック素子51の内部にめっき液が浸入し、特性を劣化させる場合がある。
このようなめっき液の浸入を抑制、防止して、信頼性を確保しようとすると、外部電極の、Niめっき液やSnめっき液に対するシール性能を高くすることが必要となり、そのためには、外部電極を緻密化することが必要になる。
そこで、従来は、
(a)外部電極を構成する金属粉末の粒径を小さくする
(b)導電ペーストの焼き付け温度を高くする
などの方策を採用して、外部電極の緻密化を図ってきた。
しかしながら、金属粉末の粒径が小さい場合、外部電極の形状が悪くなったり、焼き付け後に亀裂や膨れ(ブリスタ)が発生したりしやすく、外部電極の緻密化と信頼性の確保との両立が困難であった。
また、導電ペーストの焼き付け温度を高くした場合、
(a)焼き付け中に、外部電極の金属成分が内部電極に拡散して、内部電極が膨張し、セラミック素子にクラックが発生する
(b)焼き付け後の冷却工程における熱膨張差により、外部電極からセラミック素子に圧縮応力が働き、セラミック素子に残留応力が発生する
などの要因により製品の信頼性が低下するという問題点がある。
さらに、上記(a),(b)の現象が生じると、めっきの浸入を招きやすくなり、この点でも、製品の信頼性が低下するという問題点がある。
また、軟化温度の低いガラスフリットを用いる方法もあるが、金属粉末の粒径が大きいままで軟化温度の低いガラスフリットを用いたとしても、低い焼成温度で緻密性を確保することは困難であるのが実情である。
さらに、金属粉末の粒径が小さく、かつガラスフリットの軟化点が低い場合には、比較的低温で金属の焼結が起こるため、酸化、分解されずに残留する樹脂が内部に封止され、この樹脂がガラス化することにより、外部電極とセラミック素子との間に水ぶくれ状の隙間(ブリスタ)が発生し、製品の外観を損なうばかりでなく、外部電極と内部電極との接続信頼性を低下させるという問題点がある。
ところで、電子部品に外部電極を形成することに関し、乾燥後の塗膜の接着力を高めて外部電極の厚みを薄くかつ均一にすることができるようにした導電性ペーストおよびそれを用いた電子部品が提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1の導電ペーストは、金属粉末と、平均分子量が1万〜70万の範囲にあるメチルメタクリレートの重合体からなる有機樹脂と、芳香族炭化水素含有アルコールとを含むものであり、乾燥後の塗膜の接着力が高く、外部電極の厚みを薄くかつ均一にすることが可能になり、信頼性を確保しつつ、電子部品の小型化を実現することができるとされている。
しかし、上記特許文献1の発明によれば、乾燥後の塗膜の接着力を高めて外部電極の厚みを薄くかつ均一にすることは可能になるが、3〜8μmというような粒径の小さい金属粉末が用いられていることから、比較的低温で金属の焼結が起こるため、条件によっては、有機樹脂が内部に封止され、ブリスタを発生させる場合があるものと推測される。
特開2003−263922号公報
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、外部電極とセラミック素子との間にブリスタが発生することを防止しつつ、緻密な外部電極を形成することが可能で、信頼性の高い積層セラミック電子部品を製造することが可能なセラミック電子部品の製造方法、および、それに用いるのに適した導電ペーストを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、発明者等は種々の実験、検討を行い、導電ペーストを弱酸化性あるいは低酸素濃度の雰囲気中で焼き付けを行う場合、導電ペースト中の樹脂などが分解して生成した残留炭素がガラスと金属粉末との濡れ性を阻害し、低温での緻密化を妨げること、比較的低温度で分解するアクリル樹脂を用いた場合、低温でガラスの濡れが開始するようになり、低温で緻密化することが可能になることなどの知見を得た。
そして、かかる知見に基づいて、さらに実験、検討を行うことにより、本願発明を完成した。
すなわち、本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、
導電ペーストを、卑金属を主たる成分とする内部電極を備えたセラミック素子に塗布し、焼き付けることにより、セラミック素子の表面に内部電極と導通する外部電極を形成する工程を備えたセラミック電子部品の製造方法において、
前記導電ペーストとして、
(a)卑金属を主たる成分とする金属粉末と、
(b)軟化温度が500〜550℃であるガラスフリットと、
(c)平均分子量が150000以上、760000以下で、熱重量分析における分解開始温度が150℃以上、250℃以下であるアクリル樹脂と、
(d)溶剤と
を含有する導電ペーストを用いることを特徴としている。
また、本願請求項2のセラミック電子部品の製造方法は、前記導電ペーストの熱機械分析における収縮開始温度が750〜800℃であって、前記導電ペーストを750〜800℃で焼き付けることにより、前記外部電極を形成することを特徴としている。
また、本願請求項3のセラミック電子部品の製造方法は、前記セラミック電子部品の内部電極が、卑金属のニッケルを主たる成分とする内部電極であり、前記導電ペーストを構成する金属粉末が、卑金属の銅を主たる成分とする金属粉末であることを特徴としている。
また、本願発明(請求項4)の導電ペーストは、卑金属を主たる成分とする内部電極を備えたセラミック素子に、塗布し、焼き付けることにより、セラミック素子の表面に内部電極と導通する外部電極を形成するために用いられる導電ペーストであって、
(a)卑金属を主たる成分とする金属粉末と、
(b)軟化温度が500〜550℃であるガラスフリットと、
(c)平均分子量が150000以上、760000以下で、熱重量分析における分解開始温度が150℃以上、250℃以下であるアクリル樹脂と、
(d)溶剤と
を含有することを特徴としている。
また、本願請求項5の導電ペーストは、熱機械分析における収縮開始温度が750〜800℃であることを特徴としている。
また、本願請求項6の導電ペーストは、前記金属粉末が、卑金属の銅を主たる成分とする金属粉末であることを特徴としている。
本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、導電ペーストを、卑金属を主たる成分とする内部電極を備えたセラミック素子に塗布し、焼き付けることにより、セラミック素子の表面に内部電極と導通する外部電極を形成する工程を備え、かつ、導電ペーストとして、(a)卑金属を主たる成分とする金属粉末と、(b)軟化温度が500〜550℃であるガラスフリットと、(c)平均分子量が150000以上、760000以下で、熱重量分析における分解開始温度が150℃以上、250℃以下であるアクリル樹脂と、(d)溶剤とを含有する導電ペーストを用いるようにしているので、従来の導電ペーストに比べて、焼き付け工程において、比較的低温で残留炭素がなくなり、焼結を低い温度で開始させることが可能になるとともに、上記アクリル樹脂に軟化温度が500〜550℃と比較的軟化温度の低いガラスフリットを組み合わせていることから、低温で外部電極を焼結させることが可能になり、低い焼き付け温度で外部電極の緻密化を図ることが可能になる。
したがって、本願発明によれば、ブリスタの発生などを招いたりすることなく、緻密な外部電極を備えた信頼性の高いセラミック電子部品を確実に製造することが可能になる。
なお、本願発明においては、導電ペーストを構成するアクリル樹脂として、平均分子量が150000以上のアクリル樹脂を用いることが望ましいが、これは、平均分子量が150000未満になると分解温度が高くなり、外部電極の緻密化を阻害することによる。
また、本願発明においては、導電ペーストを構成するアクリル樹脂として、平均分子量が150000以上のアクリル樹脂を用いることにより、基本的な効果を得ることができるが、ペーストの粘度が高くなりハンドリングが悪くなるため、流動性の見地からは、平均分子量が760000までのアクリル樹脂を用いることが望ましい。
また、本願発明においては、導電ペーストを構成するアクリル樹脂として、熱重量分析における分解開始温度が250℃以下であるアクリル樹脂を用いることが望ましいが、これは、熱重量分析における分解開始温度が250℃を超えると 外部電極の緻密化を阻害することによる。
また、本願発明においては、導電ペーストを構成するアクリル樹脂として、熱重量分析における分解開始温度が250℃以下であるアクリル樹脂を用いることにより、基本的な効果を得ることができるが、分解温度が150℃未満では、導電ペーストの乾燥工程においても分解が始まるため、乾燥性の見地からは、熱重量分析における分解開始温度が150℃以上のアクリル樹脂を用いることが望ましい。
また、本願発明では、ガラスフリットとして、軟化温度が500〜550℃であるガラスフリットを用いることが望ましいが、これは、軟化温度が500℃未満のものを用いると、より低温で焼結が進み、ブリスタが発生したり、表面にガラスが浮いたりしてNiめっき付き性が劣化し、また、550℃を超えるものを用いると、ガラスの軟化による金属の焼結が得られず、緻密性が劣化することによる。
また、請求項2のセラミック電子部品の製造方法のように、導電ペーストとして、熱機械分析における収縮開始温度(焼結収縮開始温度)が750〜800℃である導電ペーストを用い、導電ペーストを750〜800℃で焼き付けることにより、外部電極が焼結するまで樹脂を分解させて除去することが可能になり、ブリスタの発生を抑制しつつ、緻密な外部電極を形成することが可能になり、外部電極の緻密性が高く、信頼性の高いセラミック電子部品を確実に製造することが可能になる。
また、請求項3のセラミック電子部品の製造方法のように、セラミック電子部品の内部電極が、卑金属のニッケルを主たる成分とする内部電極であり、導電ペーストを構成する金属粉末が、卑金属の銅を主たる成分とする金属粉末である場合、弱酸化性あるいは低酸素濃度の条件で焼き付けが行われるが、その場合にも、ブリスタの発生を抑制、防止して、緻密な外部電極を確実に形成することが可能になる。
また、本願発明(請求項4)の導電ペーストは、卑金属を主たる成分とする金属粉末と、軟化温度が500〜550℃であるガラスフリットと、平均分子量が150000以上、760000以下で、熱重量分析における分解開始温度が150℃以上、250℃以下であるアクリル樹脂と、溶剤とを含有しており、この導電ペーストを、セラミック素子に外部電極を形成する場合に用いることにより、ブリスタの発生がなく、緻密性の高い外部電極を確実に形成することが可能になり、信頼性の高いセラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
また、請求項5の導電ペーストは、熱機械分析における収縮開始温度が750〜800℃であることから、ブリスタの発生を抑制、防止しつつ、樹脂を分解、酸化させることが可能になり、さらに確実に信頼性の高い外部電極を形成することが可能になる。
また、請求項6の導電ペーストのように、金属粉末が、卑金属の銅を主たる成分とする金属粉末である場合、通常は、還元性の雰囲気で焼き付けが行われるが、その場合にも、ブリスタの発生を抑制、防止して、緻密な外部電極を確実に形成することが可能になる。
したがって、ブリスタの発生のない外部電極を備えた信頼性の高いセラミック電子部品をさらに確実に製造することが可能になる。
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[実施例1]
図1は、この実施例1の方法で外部電極を形成することにより製造した積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図である。
この積層セラミックコンデンサ10は、図1に示すように、セラミック素子1中に、複数の内部電極2a,2bが、チタン酸バリウム系セラミックを主成分とする厚み5μmのセラミック層3を介して積層され、かつ、セラミック層3を介して互いに対向する内部電極2a,2bが交互にセラミック素子1の逆側の端面4a,4bに引き出されて、該端面に形成された外部電極5a,5bに接続された構造を有している。
また、この積層セラミックコンデンサ10の寸法は、長さ:2.0mm、幅1.25mm、高さ1.25mmである。
そして、外部電極5a,5bの表面には、はんだ喰われを抑制するためのNiめっき膜6a,6bが形成され、さらに、その上に、はんだ付け性を向上させるためのSnめっき膜7a,7bが形成されている。
この積層セラミックコンデンサ10を製造するにあたっては、まず、以下に説明する方法により卑金属を主たる成分とする内部電極を備えたセラミック素子を製造した。
チタン酸バリウム系のセラミック材料を主成分とするセラミックグリーンシートの表面に、卑金属粉末(この実施例ではニッケル粉末)を導電成分とする導電ペーストを印刷して、内部電極パターン配設シートを作製した。
それから、この内部電極パターン配設シートを積層するとともに、その上下に内部電極パターンの配設されていないセラミックグリーンシートを積層することによりマザー積層体を形成した。
そして、このマザー積層体をプレスした後、切断して個々のセラミック素子に分割し、所定の条件で脱脂した後、中性または弱酸化性の雰囲気で焼成して、図1に示すような構造を有するセラミック素子1を得た。
次に、以下に説明する方法により、セラミック素子1の両端側に外部電極5a,5bを形成した。外部電極5a,5bを形成するにあたっては、まず、以下に説明するような組成を有する導電ペーストを作製した。
(a)銅粉末 : 70重量%
(b)ガラスフリット : 5重量%
(c)アクリル樹脂 : 5重量%
(d)溶剤 : 20重量%
ただし、(a)の銅粉末(卑金属粉末)としては、直径が2μmの球状の銅粉末と、長径が15μmの鱗片状の銅粉末とを、重量比で70:30となるように混合したものを用いた。
また、(b)のガラスフリットとしては、B−Si−Zn−Ca−Li(軟化点約530℃)の酸化物を主成分としたものを用いた。
また、(c)のアクリル樹脂としては、平均分子量が200000で、分解開始温度は熱重量分析(TG)で180℃のものを使用した。
なお、アクリル樹脂量の配合割合は、導電ペーストに対して5重量%となるような割合とし、(d)の溶剤と配合して用いた。
また、(d)の溶剤としては、ターピネオールを用いた。
上述のようにして作製した導電ペースト(外部電極)の収縮開始温度(焼結収縮開始温度)を熱機械分析(TMA)により測定したところ、収縮開始温度は780℃であった。
そして、セラミック素子を導電ペーストに浸漬する浸漬法により、上述の導電ペーストをセラミック素子の両端部に塗布し、ピーク温度780℃の連続炉で焼き付けることにより、外部電極5a,5b(図1参照)を形成した。
その後、Niめっきを施して、外部電極5a,5bの表面に、はんだ喰われを抑制するためのNiめっき膜6a,6bを形成し、さらに、Snめっきを施して、Niめっき膜6a,6bの表面に、はんだ付け性を向上させるためのSnめっき膜7a,7bを形成した。これにより、図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを得た。
上述のようにして導電ペーストを焼き付けることにより外部電極5a,5bを形成した状態において、外部電極5a,5bの側面および端面を観察してブリスタの発生の有無を確認したところ、ブリスタの発生は認められなかった(試料数n=1000)。
また、外部電極5a,5bの表面に、Niめっき膜6a,6bを形成し、さらに、Niめっき膜6a,6bの表面に、Snめっき膜7a,7bを形成した状態で、外部電極を切断し、露出した端面を研磨してその状態を観察したところ、外部電極の内部に空隙や空孔などの発生は認められず、非常に緻密な外部電極が形成されていることが確認された。
また、内部電極と外部電極の界面にはクラックは認められなかった。
さらに、この積層セラミックコンデンサについて、125℃、32Vの条件で高温負荷試験を行った後、および70℃、相対湿度95%、16Vの条件で耐湿負荷試験(試料数nはいずれも100個)を行った後、絶縁抵抗を測定した。その結果、いずれの場合にも、試験時間1000hrにおいて絶縁抵抗の低下は認められず、良好な信頼性が得られることが確認された。
[実施例2]
アクリル樹脂として、平均分子量が700000で、分解開始温度が熱重量分析(TG)で150℃のアクリル樹脂を使用したことを除いて、上記実施例1の場合と同様の条件で導電ペーストを作製した。
なお、この導電ペーストの収縮開始温度を熱機械分析(TMA)により測定したところ、収縮開始温度は750℃であった。
それから、導電ペーストを上記実施例1の場合と同様の方法でセラミック素子に塗布し、ピーク温度750℃の連続炉で焼き付けることにより外部電極を形成した後、外部電極の表面にNiめっき膜を形成し、さらに、Niめっき膜の表面にSnめっき膜を形成した。
外部電極を形成した状態において、外部電極の側面および端面を観察してブリスタの発生の有無を確認したところ、ブリスタの発生は認められなかった(試料数n=1000)。
また、外部電極の表面に、Niめっき膜を形成し、Niめっき膜の表面に、Snめっき膜を形成した状態で、外部電極を切断し、露出した端面を研磨してその状態を観察したところ、外部電極の内部に空隙や空孔などの発生は認められず、非常に緻密な外部電極が形成されていることが確認された。
また、内部電極と外部電極の界面にはクラックは認められなかった。
[比較例]
比較のため、導電ペーストを構成するアクリル樹脂として、平均分子量が50000と本願発明の範囲よりも小さく、かつ、分解開始温度が熱重量分析(TG)で290℃と、本願発明の範囲よりも高いものを用い、他の条件は、上記実施例1の場合と同じにして導電ペーストを作製した。
この導電ペーストの収縮開始温度を熱機械分析(TMA)により測定したところ、収縮開始温度は820℃であった。
この比較例の導電ペーストを、上記実施例1の場合と同様の方法でセラミック素子に塗布し、ピーク温度800℃と、850℃の2つの条件で、連続炉により焼き付けて外部電極を形成した後、外部電極の表面にNiめっき膜を形成し、さらに、Niめっき膜の表面にSnめっき膜を形成した。
また、外部電極の表面にNiめっき膜を形成し、Niめっき膜の表面にSnめっき膜を形成した状態で、外部電極を切断し、露出した端面を研磨して状態を観察したところ、850℃で焼き付けた試料については、外部電極の内部に空隙や空孔の発生は認められず、緻密性は比較的良好であった。
しかし、850℃で焼き付けた試料においては、内部電極と外部電極の界面に、内部電極の膨張によるものと思われるクラックの発生が認められた。そして、この試料について、125℃、32Vの条件で高温負荷試験(100個)を行い、絶縁抵抗を測定したところ、試験時間1000hrにおいて2個のショート不良が発生した。また、70℃、95%、16Vの条件で耐湿負荷試験(100個)を行った後、絶縁抵抗を測定したところ、試験時間1000hrにおいて5個のショート不良が発生した。また、ショート不良が生じた試料を観察して、その原因を調べたところ、内部電極の膨張によるクラックと残留応力の解放によるクラックの発生によるものであるとの所見が得られた。
また、焼き付け温度800℃の試料については、電極内部には空隙がみられ、十分に緻密化していないことがわかった。また、焼き付け温度800℃の試料について、125℃、32Vの条件で高温負荷試験(100個)を行い、絶縁抵抗を測定したところ、試験時間1000hrにおいて3個のショート不良が発生した。また、70℃、95%、16Vの条件で耐湿負荷試験(100個)を行った後、絶縁抵抗を測定したところ、試験時間1000hrにおいて10個のショート不良が発生した。
上述のように、本願発明の要件を満たす、実施例1および2の導電ペーストを用いた場合には、ブリスタやクラックの発生を招くことなく、緻密な外部電極を形成することができたが、本願発明の要件を満たさない上記比較例の導電ペーストを用いた場合には、焼き付け温度を低くしてクラックの発生を防止しようとすると、緻密な外部電極を形成することができず、また、焼き付け温度を高くして外部電極を緻密化しようとすると、クラックの発生を招き、信頼性の高い外部電極を形成することができないことが確認された。
なお、上記実施例では、導電ペーストを構成する金属粉末として卑金属である銅粉末を用いた場合を例にとって説明したが、本願発明においては、金属粉末の種類に特別の制約はなく、ニッケルその他の種々の卑金属粉末を用いることが可能である。
なお、金属粉末としては、球形粉末の場合、0.3μm〜5μm、特に1μm〜3μmの範囲の粒径のもの、鱗片状の粉末の場合、長径が1μm〜30μm、特に10μm〜20μmの範囲の粒径のものを使用するのが望ましい。
また、上記実施例では、セラミック素子が卑金属のニッケルからなる内部電極を備えている場合を例にとって説明したが、内部電極を構成する金属の種類に特別の制約はなく、内部電極が銅その他の種々の卑金属から形成されていてもよい。
また、上記実施例では、セラミック素子を構成するセラミックがチタン酸バリウム系セラミックである場合を例にとって説明したが、セラミック素子を構成するセラミックに特別の制約はなく、例えば、チタン酸ストロンチウム系セラミックなどの他のセラミックからなるものであってもよい。
また、上記実施例では積層セラミックコンデンサを例にとって説明したが、本願発明は積層セラミックコンデンサに限らず、塗布された導電ペーストを焼き付ける工程を経て製造される種々のセラミック電子部品に広く適用することが可能である。
また、上記実施例では、外部電極の表面に形成されるめっき膜がNiめっき膜およびSnめっき膜である場合を例にとって説明したが、本願発明は、Ni合金めっき膜やはんだめっき膜などの他の金属のめっき膜が形成されるような場合にも適用することが可能である。
本願発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
上述のように、本願発明によれば、外部電極と電子部品素子との間にブリスタが発生することを防止しつつ、緻密な外部電極を形成することが可能になり、信頼性の高いセラミック電子部品を製造することが可能になる。
したがって、本願発明は、塗布された導電ペーストを焼き付けることにより外部電極が形成されるようなセラミック電子部品およびそれに用いられる導電ペーストの分野に広く適用することが可能である。
本願発明の一実施形態にかかるセラミック電子部品の製造方法により製造された積層セラミックコンデンサを示す断面図である。 従来のセラミック電子部品(積層セラミックコンデンサ)を示す断面図である。
符号の説明
1 セラミック素子
2a,2b 内部電極
3 セラミック層
4a,4b セラミック素子の端面
5a,5b 外部電極
6a,6b Niめっき膜
7a,7b Snめっき膜
10 積層セラミックコンデンサ

Claims (6)

  1. 導電ペーストを、卑金属を主たる成分とする内部電極を備えたセラミック素子に塗布し、焼き付けることにより、セラミック素子の表面に内部電極と導通する外部電極を形成する工程を備えたセラミック電子部品の製造方法において、
    前記導電ペーストとして、
    (a)卑金属を主たる成分とする金属粉末と、
    (b)軟化温度が500〜550℃であるガラスフリットと、
    (c)平均分子量が150000以上、760000以下で、熱重量分析における分解開始温度が150℃以上、250℃以下であるアクリル樹脂と、
    (d)溶剤と
    を含有する導電ペーストを用いること
    を特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記導電ペーストの熱機械分析における収縮開始温度が750〜800℃であって、前記導電ペーストを750〜800℃で焼き付けることにより、前記外部電極を形成することを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記セラミック電子部品の内部電極が、卑金属のニッケルを主たる成分とする内部電極であり、前記導電ペーストを構成する金属粉末が、卑金属の銅を主たる成分とする金属粉末であることを特徴とする請求項1または2記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 卑金属を主たる成分とする内部電極を備えたセラミック素子に、塗布し、焼き付けることにより、セラミック素子の表面に内部電極と導通する外部電極を形成するために用いられる導電ペーストであって、
    (a)卑金属を主たる成分とする金属粉末と、
    (b)軟化温度が500〜550℃であるガラスフリットと、
    (c)平均分子量が150000以上、760000以下で、熱重量分析における分解開始温度が150℃以上、250℃以下であるアクリル樹脂と、
    (d)溶剤と
    を含有することを特徴とする導電ペースト。
  5. 熱機械分析における収縮開始温度が750〜800℃であることを特徴とする請求項4記載の導電ペースト。
  6. 前記金属粉末が、卑金属の銅を主たる成分とする金属粉末であることを特徴とする請求項4または5記載の導電ペースト。
JP2004139030A 2004-05-07 2004-05-07 セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト Expired - Fee Related JP4561171B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139030A JP4561171B2 (ja) 2004-05-07 2004-05-07 セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139030A JP4561171B2 (ja) 2004-05-07 2004-05-07 セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005322751A JP2005322751A (ja) 2005-11-17
JP4561171B2 true JP4561171B2 (ja) 2010-10-13

Family

ID=35469803

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004139030A Expired - Fee Related JP4561171B2 (ja) 2004-05-07 2004-05-07 セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4561171B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012114784A1 (ja) * 2011-02-24 2012-08-30 株式会社村田製作所 積層セラミック電子部品およびその製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04317309A (ja) * 1991-04-16 1992-11-09 Tdk Corp 積層コンデンサの製造方法
JP2002270457A (ja) * 2001-03-07 2002-09-20 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペーストおよびセラミック電子部品
JP2002348603A (ja) * 2001-05-24 2002-12-04 Murata Mfg Co Ltd 金属粉末の製造方法、金属粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品
JP2003263922A (ja) * 2002-03-07 2003-09-19 Kyocera Corp 導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品
JP2003347148A (ja) * 2002-05-27 2003-12-05 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペースト及び積層セラミック電子部品
JP2004010953A (ja) * 2002-06-06 2004-01-15 Murata Mfg Co Ltd ニッケル粉末の製造方法、ニッケル粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品
JP2004039267A (ja) * 2002-06-28 2004-02-05 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペースト及びセラミック電子部品

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04317309A (ja) * 1991-04-16 1992-11-09 Tdk Corp 積層コンデンサの製造方法
JP2002270457A (ja) * 2001-03-07 2002-09-20 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペーストおよびセラミック電子部品
JP2002348603A (ja) * 2001-05-24 2002-12-04 Murata Mfg Co Ltd 金属粉末の製造方法、金属粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品
JP2003263922A (ja) * 2002-03-07 2003-09-19 Kyocera Corp 導電性ペースト及びそれを用いたチップ型電子部品
JP2003347148A (ja) * 2002-05-27 2003-12-05 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペースト及び積層セラミック電子部品
JP2004010953A (ja) * 2002-06-06 2004-01-15 Murata Mfg Co Ltd ニッケル粉末の製造方法、ニッケル粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品
JP2004039267A (ja) * 2002-06-28 2004-02-05 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペースト及びセラミック電子部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005322751A (ja) 2005-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20180301280A1 (en) Conductive paste for external electrode and method for manufacturing electronic component including the conductive paste for external electrode
KR101834747B1 (ko) 적층 세라믹 전자부품
KR20130051994A (ko) 적층 세라믹 전자부품 및 그 제조방법
WO2010087221A1 (ja) 積層型電子部品
JP5870625B2 (ja) 電極焼結体、積層電子部品、内部電極ペースト、電極焼結体の製造方法、積層電子部品の製造方法
JP5527404B2 (ja) 積層セラミック電子部品
JP2022136766A (ja) セラミック電子部品
WO2020166361A1 (ja) 導電性ペースト、電子部品及び積層セラミックコンデンサ
JP4561171B2 (ja) セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト
EP1383361A2 (en) Copper paste, wiring board using the same, and production method of wiring board
JP2005228610A (ja) 導電性ペースト及びセラミック電子部品
JP5527405B2 (ja) 積層セラミック電子部品
JP2005277058A (ja) セラミック電子部品の製造方法および導電ペースト
JP4765321B2 (ja) 導電性ペースト
JP2006332236A (ja) 導電性ペースト、及び積層セラミック電子部品の製造方法、並びに積層セラミック電子部品
JP5527400B2 (ja) 積層セラミック電子部品
JP5527401B2 (ja) 積層セラミック電子部品
JP5527403B2 (ja) 積層セラミック電子部品
JP2008030995A (ja) 多層セラミック基板およびその製造方法ならびに多層セラミック基板作製用複合グリーンシート
WO2011122407A1 (ja) 金属ベース基板
JP4387150B2 (ja) 積層セラミック電子部品およびその製造方法
JP4581584B2 (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2002298643A (ja) 外部電極用導電性ペースト及びそれを用いた積層セラミックコンデンサ
JP4544838B2 (ja) ビア導体用銅ペーストとそれを用いたセラミック配線基板
JP5527402B2 (ja) 積層セラミック電子部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100706

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100719

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4561171

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees