JP5668429B2 - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック電子部品に関し、詳しくは、セラミック素体の表面に外部電極が配設された構造を有するセラミック電子部品に関する。
代表的なセラミック電子部品の一つに、複数の内部電極がセラミック層を介して互いに対向するように積層されたセラミック素体の両端部に、内部電極と導通するように外部電極が配設された構造を有する積層セラミックコンデンサがある。
そして、上述のような積層セラミックコンデンサの外部電極は、通常、セラミック素子の表面に外部電極形成用の、ガラス成分を含有する導電性ペーストを塗布した後、焼き付け処理を行うことにより形成されている。
ところで、近年、上述のような積層セラミックコンデンサをはじめとする電子部品をはんだ実装するにあたって、水溶性フラックスを用いてはんだ実装する方法が広く用いられるようになっている。
しかしながら、このような水溶性フラックスは、浸食性が高く、外部電極に含まれるガラス成分や、セラミック素体を構成するセラミックと外部電極との界面に形成される、外部電極中のガラスとセラミックとの反応層を浸食する。
その結果、外部電極表面、あるいは外部電極端部から、セラミック素体内部への水分浸入パスが形成され、電子部品の耐湿性が低下するという問題点がある。
そこで、このような問題点を解消するものとして、内部電極がセラミック素体に埋設されるとともに、内部電極と電気的に接続された外部電極がセラミック素体の両端部に形成された積層セラミックコンデンサであって、セラミック素体がジルコン酸カルシウム系化合物を主成分とするとともに、外部電極が、Cu,Ni、およびCu−Ni合金のいずれかを主成分とする導電性材料とガラス成分とを含有し、ガラス成分が、B23を8〜36mol%、SiO2を31〜62mol%、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物のうちの少なくともいずれか一方を総計で9〜43mol%、ZnOを0〜3mol%含む積層セラミックコンデンサが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、外部電極形成用の導電性ペーストに含有させるガラスとして、特許文献1の実施例に示されている、B23:8mol%、SiO2:45mol%、BaO:18mol%、CaO:25mol%のガラスを用いた場合、ガラス自身の耐水溶性フラックス溶解性が低く、水溶性フラックスを用いたはんだ実装後のガラスが溶解して、耐湿性を低下させるという問題点がある。また、アルカリ土類金属の含有率が低い場合には、外部電極中のガラスがセラミックと反応し、反応部が浸食されるという問題点がある。
なお、上記問題点は、積層セラミックコンデンサに限られるものではなく、積層コイル部品、積層バリスタなどの他の積層セラミック電子部品や、積層型でないセラミック電子部品、例えば、チップ型の正特性サーミスタやチップ抵抗など、セラミック素体の表面に外部電極が形成された構造を有する種々のセラミック電子部品に当てはまるものである。
特開2005−228904号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、外部電極の水溶性フラックスに対する耐浸食性に優れ、かつ、水溶性フラックスを用いたはんだ実装後においても高い耐湿性を有するセラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のセラミック電子部品は、
セラミック素体と、前記セラミック素体の表面に形成された外部電極とを備えたセラミック電子部品であって、
前記外部電極が、
前記セラミック素体の表面に形成された、アルカリ土類金属の含有率が37〜45mol%の範囲にあり、かつ、SiO 2 およびB 2 3 を含有するガラスを含む下層外部電極と、
前記下層外部電極上に形成された、SiO2の含有率が50〜55mol%の範囲にあるガラスを含む上層外部電極と
を備え、かつ、
前記下層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合が、17〜25vol%の範囲にあり、
前記上層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合が、5〜18vol%の範囲にあること
を特徴としている。
また、前記セラミック素体を構成するセラミック材料は、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト型複合酸化物を主成分とするものであることが好ましい。
また、本発明は、前記セラミック素体が、セラミック層を介して内部電極が積層された構造を有するものであり、前記外部電極が、前記セラミック素子の表面に、前記内部電極と導通するように配設されているセラミック電子部品、すなわち、積層型セラミック電子部品により好適に用いられる。
本発明のセラミック電子部品は、外部電極を、セラミック素体の表面に形成された、アルカリ土類金属の含有率が37〜45mol%の範囲にあり、かつ、SiO 2 およびB 2 3 を含有するガラスを含む下層外部電極と、下層外部電極上に形成された、SiO2の含有率が50〜55mol%の範囲にあるガラスを含む上層外部電極とを備えた構成としているので、SiO2を上記の割合で含有する上層外部電極により、外部電極の水溶性フラックスに対する耐浸食性を確保するとともに、アルカリ土類金属を上記の割合で含有し、セラミック素体を構成するセラミックとの反応の生じにくい下層外部電極により、水溶性フラックスに対する耐浸食性の低い、セラミックと外部電極中のガラスとの反応生成物の生成を抑制、防止することが可能になる。その結果、外部電極全体として、例えば、アジピン酸あるいはプロピオン酸などを主たる成分とする水溶性フラックスに対する耐浸食性に優れ、はんだ実装後における耐湿性にも優れた、信頼性の高いセラミック電子部品を提供することが可能になる。
なお、下層外部電極中のガラスに含まれるアルカリ土類金属の含有率は、37〜45mol%の範囲にあることが望ましいが、これは、アルカリ土類金属の含有率が37mol%未満になると、ガラスがセラミックと反応しやすくなり、45mol%を超えるとガラス化しにくくなることによる。
また、本発明において、通常、下層外部電極の厚みは10〜15μm、上層外部電極の厚みは20〜30μm程度とすることが望ましい。
これは、下層外部電極および上層外部電極の厚みを上述の範囲とすることにより、外部電極が厚くなり過ぎることによる弊害(小型化の妨げ、材料費の増大、実装時の姿勢安定性の低下)などを回避しつつ、水溶性フラックスに対する耐浸食性、および、はんだ実装後における耐湿性を十分に確保することが可能になることによる。
また、本発明のセラミック電子部品においては、下層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合を、17〜25vol%の範囲とし、上層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合を、5〜18vol%の範囲としているので、外部電極の水溶性フラックスに対する十分な耐浸食性を確保することが可能になるとともに、はんだ実装後における耐湿性にも優れた、信頼性の高いセラミック電子部品をより確実に提供することが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
なお、下層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合を、17〜25vol%の範囲とすることが好ましいのは、上層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合を17vol%以上とすることで、下層外部電極が十分に緻密化するため内部電極との接合が容易になり、25vol%以下とすることで、過剰なガラスが上層外部電極との界面に染み出すことを抑制できるため、上層外部電極に含まれるガラスと相溶して耐酸性を低下させるおそれをなくせることによる。
また、上層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合を、5〜18vol%の範囲とすることが好ましいのは、上層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合が5vol%以上とすることで、上層外部電極が十分に緻密化するため下層外部電極を露出させることなく確実に覆うことができ、18vol%以下とすることで、上層外部電極表面に過剰なガラスが染み出すことを抑制できるため、上層外部電極表面に確実にめっき膜を形成できることによる。
また、セラミック素体を構成するセラミック材料が、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト型複合酸化物を主成分とするものである場合、下層外部電極(下層外部電極形成用の導電性ペースト)に含まれるガラスにもアルカリ土類金属が含まれていることから、下層外部電極形成用の導電性ペーストに含まれるガラスと、セラミック素体を構成するセラミックとの相互拡散が、確実に抑制されることになるため好ましい。
また、本発明において、セラミック素体が、セラミック層を介して内部電極が積層された積層型のセラミック素体であり、外部電極が、内部電極と導通するように配設されたものである場合、すなわち、積層型セラミック電子部品に本発明が適用された場合、水溶性フラックスを用いたはんだ実装後のセラミック電子部品(積層セラミック電子部品)の内部に水分が浸入して特性が劣化したりすることを効率よく抑制、防止することが可能になり、信頼性の高い積層型セラミック電子部品を提供することが可能になる。
本発明の一実施例にかかる積層セラミック電子部品(積層セラミックコンデンサ)の構成を示す正面断面図である。
以下に本発明の実施の形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
この実施例1では、積層セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを例にとって説明する。
図1は本発明の一実施例(実施例1)にかかる積層セラミックコンデンサの構成を示す正面断面図である。
この積層セラミックコンデンサは、図1に示すように、セラミック素体(セラミック積層体)10の内部に、誘電体層であるセラミック層1を介して、複数の内部電極層3(3a,3b)が積層され、かつ、セラミック素体10の両端面には、交互に逆側の端面に引き出された内部電極3(3a,3b)と導通するように一対の外部電極5が配設された構造を有している。
そして、外部電極5は、セラミック素体10の端面から側面に回り込むように、セラミック素体10の表面に形成されている。また、外部電極5は、アルカリ土類金属の含有率が所定の範囲(本発明では37〜45mol%の範囲)にあるガラスを含む下層外部電極5aと、下層外部電極5a上に形成された、SiO2の含有率が所定の範囲(本発明では50〜55mol%の範囲)にあるガラスを含む上層外部電極5bとを備えた2層構造とされている。
さらに、外部電極5の表面には、Niめっき、Snめっきの順にめっき処理を施すことにより形成されたNiめっき膜6aおよびSnめっき膜6bが形成されている。
また、下層外部電極5aに含まれるガラスの無機固形分中の割合は、所定の範囲(本発明では17〜25vol%の範囲)とされている。
また、上記の積層セラミックコンデンサにおいて、上層外部電極5bに含まれるガラスの無機固形分中の割合は、所定の範囲(本発明では5〜18vol%の範囲)とされている。
上記の積層セラミックコンデンサを作製にするにあたっては、まず、例えば、BaTiO3系のセラミックを主たる成分とするセラミックグリーンシートを用意する。
そして、このセラミックグリーンシートに、内部電極形成用の導電性ペーストが所定のパターンとなるように印刷した後、導電性ペーストの印刷されたセラミックグリーンシートおよび導電性ペーストの印刷されていないセラミックグリーンシート(外層用シート)を所定の順序で積層した後、圧着し、所定の位置でカットして個々の素子に分割する。そして、この素子を焼成することにより、図1に示すようなセラミック素体10を得る。
それから、このセラミック素体10の両端側に、以下の手順で一対の外部電極5を形成する。
まず、重量平均分子量16万のブチルメタクリレート(BMA)ポリマー24wt%をテルペン系溶剤に溶解し有機ビヒクルとする。この有機ビヒクルとCu粉、および組成の異なる各種ガラスを表1および表2に示す体積比で秤量し、3本ロールミルで分散することにより、上層外部電極用の導電性ペースト(表1のペーストA,B,C,D)および下層外部電極用の導電性ペースト(表2のペーストE,F,G,H)を得た。
Figure 0005668429
Figure 0005668429
次に、これら導電性ペーストを表3に示す組み合せで用いて、図1に示すように、下層外部電極5aと、上層外部電極5bとを備えた2層構造の外部電極5を形成した。
具体的には、まず、セラミック素体10を、下層外部電極用の導電性ペーストに浸漬して塗布し、150℃で乾燥させた後、N2雰囲気中、900℃をピークとする温度プロファイルにて20分間焼成して下層外部電極5aを形成した。
次いで、セラミック素体10の、下層外部電極5aが形成された部分を、上層外部電極用の導電性ペーストに浸漬して塗布し、下層外部電極5aの場合と同じ方法および条件で乾燥、焼成することにより、下層外部電極5aと上層外部電極5bを備えた2層構造の外部電極5を形成した。
それから、Niめっき、Snめっきの順に電解めっき処理を行って、外部電極5の表面に、Niめっき膜6aとSnめっき膜6bを順に形成した。これにより、図1に示すような積層セラミックコンデンサが得られる。
そして、このようにして作製した積層セラミックコンデンサを、水溶性フラックス(この実施例1では、アジピン酸を主たる成分とする水溶性フラックス)を用いて、はんだ実装した。それから、125℃、95%RH、6.3Vの条件にて耐湿試験を行った。その結果を表3に示す。
さらに、実装後の外部電極を切断し、その断面を研磨して、外部電極内のガラス溶解状態、セラミック素体を構成するセラミックと外部電極との境界部における、セラミックと外部電極との反応部(セラミック反応部)の生成の有無、ガラス部の耐フラックス溶解性(浸食状態)を確認した。その結果を表3に併せて示す。
Figure 0005668429
表3に示すように、表2のペースト(導電性ペースト)E,Fを用いて下層外部電極を形成した試料番号1〜8の試料においては、セラミック反応部が存在しないことが確認された。これは、表2のペースト(導電性ペースト)E,Fが、アルカリ土類金属であるBaを多く含むため、同様にアルカリ土類金属を多く含むセラミック(セラミック素体を構成するセラミック(BaTiO3系セラミック))との相互拡散が少なくなることによるものと考えられる。
一方、それ以外の試料(試料番号9〜16の試料)は、セラミック素体を構成するセラミックと、外部電極との界面にセラミック反応部が生成しており、いずれの試料にも一様にフラックス浸食が認められた。これは、外部電極を形成する工程(すなわち、下層外部電極用の導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより下層外部電極を形成する工程)で生成するガラスとセラミックとの反応部(セラミック反応部)が耐フラックス性に乏しいことによるものと考えられる。
また、表1のペースト(導電性ペースト)C,Dを用いて上層外部電極を形成した試料番号3,4,7,8,11,12,15,16の試料の場合、ガラス自身は水溶性フラックスに溶解しないことが確認され、また、これら以外の試料(試料番号1,2,5,6,9,10,13,14の試料)では、ガラスが水溶性フラックスに溶解することが確認され、耐湿性も低下した。
上記の結果から、下層外部電極中のガラスとセラミックとが反応せず、かつ、上層外部電極のガラスが水溶性フラックスで浸食されない、試料番号3,4,7,8の試料(すなわち、本発明の要件を備えた試料)のみが、水溶性フラックス実装後の耐湿性を満足することが確認された。
重量平均分子量16万のブチルメタクリレート(BMA)ポリマー24wt%をテルペン系溶剤に溶解し有機ビヒクルとする。
この有機ビヒクルとCu粉、および組成の異なる各種ガラスを表4に示すような体積比で秤量し、3本ロールミルで分散することにより、表4の導電性ペースト(表4のペーストI,J,K,L,M,N)を得た。
Figure 0005668429
次に、これら導電性ペーストを、表5に示す組み合せで用いて、下層外部電極5aと、上層外部電極5bとを備えた2層構造の外部電極5を形成した(図1参照)。
具体的には、実施例1の場合と同様にして作製したセラミック素体10を、下層外部電極用の導電性ペーストに浸漬して塗布し、150℃で乾燥させた後、N2雰囲気中、900℃をピークとする温度プロファイルにて20分間焼成して下層外部電極5aを形成した。
次いで、セラミック素体10の、下層外部電極5aが形成された部分を、上層外部電極用の導電性ペーストに浸漬して塗布し、下層外部電極5aの場合と同じ方法および条件で乾燥、焼成することにより、下層外部電極5aと上層外部電極5bを備えた2層構造の外部電極5を形成した。
それから、Niめっき、Snめっきの順に電解めっき処理を行って、外部電極5の表面に、Niめっき膜6aとSnめっき膜6bを順に形成した。これにより、図1に示すような積層セラミックコンデンサが得られる。
そして、このようにして作製した積層セラミックコンデンサを、実施例1の場合と同様に、水溶性フラックス(この実施例2でも、アジピン酸を主たる成分とする水溶性フラックス)を用いて、はんだ実装した。それから、125℃、95%RH、6.3Vの条件にて耐湿試験を行った。そのを表5に示す。
さらに、実施例1の場合と同様に、実装後の外部電極を切断し、その断面を研磨して、外部電極内のガラス溶解状態、セラミック素体を構成するセラミックと外部電極との境界部における、セラミックと外部電極との反応部(セラミック反応部)の生成の有無、ガラス部の耐フラックス溶解性(浸食状態)を確認した。その結果を表5に併せて示す。
Figure 0005668429
表5に示すように、表4のペースト(導電性ペースト)K,Nを用いて下層外部電極を形成した試料番号25〜29の試料においては、セラミック反応部が存在しないことが確認された。これは、表4のペースト(導電性ペースト)K,Nが、アルカリ土類金属であるBaを多く含むため、同様にアルカリ土類金属を多く含むセラミック(セラミック素体を構成するセラミック(BaTiO3系セラミック))との相互拡散が少なくなることによるものと考えられる。
一方、それ以外の試料(試料番号17〜24および30〜33の試料)は、セラミック素体を構成するセラミックと、外部電極との界面にセラミック反応部が生成しており、いずれの試料にも一様にフラックス浸食が認められた。これは、外部電極を形成する工程(すなわち、下層外部電極用の導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより下層外部電極を形成する工程)で生成するガラスとセラミックとの反応部(セラミック反応部)が耐フラックス性に乏しいことによるものと考えられる。
また、表4のペースト(導電性ペースト)I,Mを用いて上層外部電極を形成した試料番号17,21,25,29,30の試料の場合、ガラス自身は水溶性フラックスに溶解しないことが確認され、また、これら以外の試料では、ガラスが水溶性フラックスに溶解することが確認され、耐湿性も低下した。
上記の結果から、下層外部電極中のガラスとセラミックとが反応せず、かつ、上層外部電極のガラスが水溶性フラックスで浸食されない、試料番号25,29の試料(すなわち、本発明の要件を備えた試料)のみが水溶性フラックス実装後の耐湿性を満足することが確認された。
重量平均分子量16万のブチルメタクリレート(BMA)ポリマー24wt%をテルペン系溶剤に溶解し有機ビヒクルとする。
この有機ビヒクルとCu粉、および組成の異なる各種ガラスを表6、表7に示すような体積比で秤量し、3本ロールミルで分散することにより、上層外部電極用の導電性ペースト(表6のペーストO,P,Q)および下層外部電極用の導電性ペースト(表7のペーストR,S,T)を得た。
このとき、上層外部電極用の導電性ペーストのガラスとして、表6に示すようSiO2を54mol%含むSi−B−アルカリ系ガラスを用いた。
また、下層外部電極用導電性ペーストのガラスとして、表7に示すように、アルカリ土類金属を合計で37mol%含むB−Zn−アルカリ土類系ガラスを用いた。
Figure 0005668429
Figure 0005668429
次に、これら導電性ペーストを、表8に示す組み合せで用いて、下層外部電極5aと、上層外部電極5bとを備えた2層構造の外部電極5を形成した(図1参照)。
具体的には、実施例1の場合と同様にして作製したセラミック素体10を、下層外部電極用の導電性ペーストに浸漬して塗布し、150℃で乾燥させた後、N2雰囲気中、900℃をピークとする温度プロファイルにて20分間焼成して下層外部電極5aを形成した。
次いで、セラミック素体10の、下層外部電極5aが形成された部分を、上層外部電極用の導電性ペーストに浸漬して塗布し、150℃で乾燥させた後、N2雰囲気中、850℃をピークとする温度プロファイルにて焼成することにより、下層外部電極5aと上層外部電極5bを備えた2層構造の外部電極5を形成した。
それから、Niめっき、Snめっきの順に電解めっき処理を行って、外部電極5の表面に、Niめっき膜6aとSnめっき膜6bを順に形成した。これにより、図1に示すような積層セラミックコンデンサが得られる。
そして、このようにして作製した積層セラミックコンデンサを、実施例1の場合と同様に、水溶性フラックス(この実施例3でも、アジピン酸を主たる成分とする水溶性フラックス)を用いて、はんだ実装した。それから、125℃、95%RH、6.3Vの条件にて耐湿試験を行った。この際の耐湿試験結果を表8に示す。
さらに、実施例1の場合と同様に、実装後の外部電極を切断し、その断面を研磨して、外部電極内のガラス溶解状態、セラミック素体を構成するセラミックと外部電極との境界部における、セラミックと外部電極との反応部(セラミック反応部)の生成の有無、ガラス部の耐フラックス溶解性(浸食状態)を確認した。その結果を表8に併せて示す。
Figure 0005668429
表8に示すように、ガラス量の異なる上層外部電極用の導電性ペースト(表6のペーストO,P,Q)と、下層外部電極用の導電性ペースト(表7のペーストR,S,T)を組み合わせて用いた試料番号34〜38の各試料(積層セラミックコンデンサ)は、外部電極が耐湿性だけではなく、緻密性、めっき付き性等に優れており、所望の静電容量を確保することが可能な、特性の良好な積層セラミックコンデンサであることが確認された。
なお、上記実施例1,2および3では、セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを例にとって説明したが、本発明は、内部電極を備えていないセラミック素体の表面に外部電極が配設された構造を有する、例えばチップ型の正特性サーミスタやチップ抵抗、セラミック中に内部電極が配設された構造を有する積層型セラミックコイル部品など、種々のセラミック電子部品に適用することが可能である。
また、上記実施例1,2および3では、外部電極がNiめっき膜とSnめっき膜を備えている場合を例にとって説明したが、めっき膜の種類はこれに限られるものではなく、はんだめっき膜などであってもよい。
また、外部電極がめっき膜を備えていない場合にも本発明を適用することが可能である。
また、上記実施例では、セラミック素体を構成するセラミックがBaTiO3系セラミックである場合を例にとって説明したが、本発明は、セラミック素体を構成するセラミックの種類に特別の制約はなく、セラミック素体を構成するセラミックが、CaZrO3系セラミック、SrTiO3系セラミックなど、アルカリ土類金属を含む種々のペロブスカイト系酸化物を主たる成分とするセラミックを用いたセラミック電子部品に広く適用することが可能である。
また、上記の各実施例では上層外部電極用及び下層外部電極用の導電性ペーストを構成する導電成分としてCu粉を用いたが、Cu粉以外にも、例えば、Ni粉あるいはCu−Ni合金粉などを導電成分として用いることが可能である。
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、 下層外部電極中のガラスを構成するアルカリ土類金属の種類や含有率、上層外部電極中のガラスのSiO2含有率、下層外部電極および上層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
1 セラミック層
3(3a,3b) 内部電極層
5 外部電極
5a 下層外部電極
5b 上層外部電極
6a Niめっき膜
6b Snめっき膜
10 セラミック素体

Claims (3)

  1. セラミック素体と、前記セラミック素体の表面に形成された外部電極とを備えたセラミック電子部品であって、
    前記外部電極が、
    前記セラミック素体の表面に形成された、アルカリ土類金属の含有率が37〜45mol%の範囲にあり、かつ、SiO 2 およびB 2 3 を含有するガラスを含む下層外部電極と、
    前記下層外部電極上に形成された、SiO2の含有率が50〜55mol%の範囲にあるガラスを含む上層外部電極と
    を備え、かつ、
    前記下層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合が、17〜25vol%の範囲にあり、
    前記上層外部電極に含まれる無機固形分中のガラスの割合が、5〜18vol%の範囲にあること
    を特徴とするセラミック電子部品。
  2. 前記セラミック素体を構成するセラミック材料が、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト型複合酸化物を主成分とするものであることを特徴とする請求項記載のセラミック電子部品。
  3. 前記セラミック素体が、セラミック層を介して内部電極が積層された構造を有するものであり、
    前記外部電極が、前記セラミック素子の表面に、前記内部電極と導通するように配設されていること
    を特徴とする請求項1または2記載のセラミック電子部品。
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