JPH11214240A - 積層セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents

積層セラミック電子部品およびその製造方法

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JPH11214240A
JPH11214240A JP10012347A JP1234798A JPH11214240A JP H11214240 A JPH11214240 A JP H11214240A JP 10012347 A JP10012347 A JP 10012347A JP 1234798 A JP1234798 A JP 1234798A JP H11214240 A JPH11214240 A JP H11214240A
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Japan
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conductive paste
electronic component
multilayer ceramic
ceramic electronic
metal
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JP10012347A
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Inventor
Takaharu Miyazaki
孝晴 宮崎
Takeshi Yamana
毅 山名
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱衝撃特性と耐湿負荷特性とに優れる、積
層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品を
提供する。 【解決手段】 セラミック層2と内部導体8,9との間
に、中間層10を配置し、中間層10を形成するため、
内部導体8,9に含まれるNiのような導電性金属と同
種の導電性金属と酸化物または有機金属とを含む導電性
ペーストを付与し、積層体3の焼成時に、この導電性ペ
ーストをも焼成する。酸化物または有機金属は、好まし
くは、Ti、Zr、Ta、Hf、Nbおよび希土類元素
からなる群から選ばれた少なくとも1つの元素の酸化物
または有機金属とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、積層セラミック
電子部品およびその製造方法に関するもので、特に、積
層セラミック電子部品の内部導体の形成態様およびそれ
を形成するために用いられる導電性ペーストの改良に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサ等の積層セラ
ミック電子部品は、複数の積層されたセラミック層と、
これらセラミック層間の特定の界面に沿って形成された
内部導体とを含む、積層体を備えている。このような積
層セラミック電子部品において、内部導体は、通常、導
電性金属からなる粉末および有機ビヒクル等を溶剤中に
分散させた導電性ペーストを焼成することによって形成
される。より詳細には、積層セラミック電子部品を製造
するに当たり、焼成によりセラミック層となるセラミッ
クグリーンシートの特定のものの上に、内部導体となる
べき導電性ペーストを印刷により付与した後、これら複
数のセラミックグリーンシートを積層し、プレスし、次
いで焼成する、各工程が実施され、焼成工程において、
セラミック層の焼結と同時に内部導体の焼結が達成され
る。
【0003】したがって、内部導体となる導電性ペース
トに含まれる導電性金属は、セラミックの焼成温度より
高い融点を有していなければならず、この要望を満たす
とともに、低コスト化を可能とするため、たとえば、ニ
ッケルが当該導電性金属として使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ニッケ
ルのような卑金属を内部導体として用いる積層セラミッ
ク電子部品において、セラミック層の薄層化および多層
化が進むと、焼成時の内部導体とセラミック層との収縮
の差や熱膨張率の差によって、内部導体とセラミック層
との界面に残留応力が大きく生じ、この影響により耐熱
衝撃特性が悪くなるという問題がある。また、高温・高
湿下における信頼性(いわゆる耐湿負荷特性)について
も、セラミック層の薄層化および多層化が進むと、同様
に悪くなるという問題に遭遇する。
【0005】このような問題を解決するため、たとえば
特公平7−56850号公報には、アルミノシリケート
層によってニッケル内部導体とセラミック層とを接合し
たセラミック積層コンデンサが開示されている。しか
し、このセラミック積層コンデンサは、耐熱衝撃特性を
考慮したものではない。また、特開平6−290985
号公報には、マグネシウム、ジルコニウム、タンタルお
よび希土類元素より選ばれる少なくとも1つの元素の酸
化物を添加した、内部電極用ニッケル導電ペーストが開
示されている。しかし、この内部電極用ペーストは、耐
湿負荷特性を考慮したものではない。
【0006】また、特開平7−176448号公報に
は、金属レジネートを含有する導電性ペーストが開示さ
れている。しかし、この導電性ペーストは、耐湿負荷特
性を考慮したものではない。そこで、この発明の目的
は、耐熱衝撃特性と耐湿負荷特性とに優れる、積層セラ
ミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品およびそ
の製造方法を提供しようとすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意研究した結果、積層セラミック電子部品に備える
積層体において、セラミック層と内部導体との間に中間
層を形成し、この中間層の形成のために、生の積層体の
段階で、導電性金属と酸化物または有機金属とを含む導
電性ペーストを付与しておけば、得られた積層セラミッ
ク電子部品の耐熱衝撃特性および耐湿負荷特性を改善で
きることを見い出し、この発明をなすに至ったものであ
る。
【0008】すなわち、この発明に係る積層セラミック
電子部品は、複数の積層されたセラミック層と、セラミ
ック層間の特定の界面に沿って形成されかつ導電性金属
を含む内部導体と、セラミック層と内部導体との間に形
成された中間層とを有する、積層体を備えるものであっ
て、中間層は、導電性金属および酸化物または有機金属
を含む導電性ペーストを焼成して得られたものであるこ
とを特徴としている。
【0009】この発明は、また、複数の積層されたセラ
ミック層と、セラミック層間の特定の界面に沿って形成
されかつ導電性金属を含む内部導体と、セラミック層と
内部導体との間に形成された中間層とを有する、積層体
を備える、積層セラミック電子部品を製造する方法にも
向けられる。この製造方法は、セラミック層となるセラ
ミックグリーンシートを用意する工程と、導電性金属を
含む、内部導体となる第1の導電性ペーストを用意する
工程と、導電性金属および酸化物または有機金属を含
む、中間層となる第2の導電性ペーストを用意する工程
と、複数のセラミックグリーンシートが積層されるとと
もに、第1の導電性ペーストからなる膜および第2の導
電性ペーストからなる膜が少なくとも一部において互い
に重なるようにセラミックグリーンシート間の特定の界
面に沿ってそれぞれ形成された、生の積層体を作製する
工程と、生の積層体を焼成する工程とを備えることを特
徴としている。
【0010】この発明に係る積層セラミック電子部品の
製造方法において、上述の生の積層体を作製する工程
は、好ましくは、特定のセラミックグリーンシート上
に、第1の導電性ペーストからなる膜および第2の導電
性ペーストからなる膜を少なくとも一部において互いに
重なるようにそれぞれ形成する工程と、第1および第2
の導電性ペーストからなる各膜が形成されたセラミック
グリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシート
を積層する工程とを備える。
【0011】また、上述のセラミックグリーンシート上
に第1の導電性ペーストからなる膜および第2の導電性
ペーストからなる膜を形成する工程は、好ましくは、セ
ラミックグリーンシート上に第1の導電性ペーストから
なる膜を形成する工程と、第1の導電性ペーストからな
る膜上に第2の導電性ペーストからなる膜を形成する工
程とを備える。
【0012】この発明において、上述の酸化物または有
機金属は、Ti、Zr、Ta、Hf、Nbおよび希土類
元素からなる群から選ばれた少なくとも1つの元素の酸
化物または有機金属であることが好ましい。また、中間
層の形成のための導電性ペーストにおいて、酸化物また
は有機金属の含有量が、導電性金属および当該酸化物ま
たは有機金属の合計含有量に対して、金属換算で0.1
〜5wt%であることが好ましい。
【0013】また、中間層に含まれる導電性金属は、好
ましくは、ニッケルのような卑金属を主成分とするもの
である。また、好ましくは、中間層に含まれる導電性金
属は、内部導体に含まれる導電性金属と同種のものとさ
れる。また、この発明は、好ましくは、積層セラミック
コンデンサに適用される。この場合には、積層体の端面
上の互いに異なる位置に複数の外部電極が設けられ、複
数の内部導体は、いずれかの外部電極に電気的に接続さ
れるように、それぞれの端縁を端面に露出させた状態で
それぞれ形成されている。
【0014】また、この発明において、セラミック層
は、好ましくは、チタン酸バリウムを主成分とする誘電
体セラミックからなる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態に
よる積層セラミックコンデンサ1を示す断面図である。
図1を参照して、積層セラミックコンデンサ1は、複数
の積層された誘電体セラミック層2を有する積層体3
と、この積層体3の第1および第2の端面4および5上
にそれぞれ設けられる第1および第2の外部電極6およ
び7とを備える。積層セラミックコンデンサ1は、全体
として直方体形状のチップタイプの電子部品を構成す
る。
【0016】積層体3の内部には、内部導体としての第
1の内部電極8と第2の内部電極9とが交互に配置され
る。第1の内部電極8は、第1の外部電極6に電気的に
接続されるように、各端縁を第1の端面4に露出させた
状態で誘電体セラミック層2間の特定の複数の界面に沿
ってそれぞれ形成され、他方、第2の内部電極9は、第
2の外部電極7に電気的に接続されるように、各端縁を
第2の端面5に露出させた状態で誘電体セラミック層2
間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される。
【0017】また、積層体3の内部であって、誘電体セ
ラミック層2と内部電極8および9との各間には、中間
層10が形成される。中間層10は、導電性金属と酸化
物または有機金属とを含む導電性ペーストが積層体3の
焼成時に焼成されて得られるものである。中間層10の
ための導電性ペーストに含まれる導電性金属は、好まし
くは、内部電極8および9に含まれる導電性金属と同種
のものとされる。たとえば、内部電極8および9に含ま
れる導電性金属として、ニッケルのような卑金属を主成
分とするものが用いられるとき、中間層10における導
電性金属も、ニッケルのような卑金属を主成分とするも
のとされる。
【0018】この実施形態では、中間層10は、図1に
示すように、内部電極8または9と全面において重なる
ように形成されたが、一部において重なるように形成さ
れてもよい。また、中間層10は、内部電極8または9
の各一方面に沿って形成されたが、各両面に沿って形成
されてもよい。この積層セラミックコンデンサ1を製造
するため、焼成によって、たとえばチタン酸バリウムを
主成分とする誘電体セラミックが得られるように、所定
のセラミック成分を含むスラリーが調製され、このスラ
リーを用いて、誘電体セラミック層2となるセラミック
グリーンシートが作製される。
【0019】また、内部電極8および9となるべき第1
の導電性ペーストが用意される。第1の導電性ペースト
は、たとえばニッケルのような卑金属を主成分とする導
電性金属の粉末と有機ビヒクルとを溶剤中に分散させた
ものである。また、中間層10となるべき第2の導電性
ペーストが用意される。第2の導電性ペーストは、たと
えばニッケルのような卑金属を主成分とする導電性金属
の粉末と酸化物または有機金属の粉末と有機ビヒクルと
を溶剤中に分散させたものである。有機金属としては、
金属レジネートまたは金属アルコキシドの形態を適用す
ることができる。なお、第2の導電性ペーストにおい
て、酸化物または有機金属は、これを粉末の状態で添加
するのではなく、導電性金属の表面をコーティングした
状態で含有させてもよい。
【0020】上述した第1および第2の導電性ペースト
に含まれる導電性金属としては、好ましくは、ニッケル
のような卑金属を主成分とするものが用いられるが、ニ
ッケルの他、銀、金、白金、パラジウム、銅などを用い
てもよい。また、上述の酸化物または有機金属は、T
i、Zr、Ta、Hf、Nbおよび希土類元素からなる
群から選ばれた少なくとも1つの元素の酸化物または有
機金属であることが好ましい。
【0021】また、第2の導電性ペーストにおいて、酸
化物または有機金属の含有量は、導電性金属および当該
酸化物または有機金属の合計含有量に対して、金属換算
で0.1〜5wt%であることが好ましい。0.1wt%未
満の場合には、得られた積層セラミックコンデンサ1の
耐熱衝撃試験および耐湿負荷試験において不良が発生し
やすくなる傾向があり、他方、5wt%を超える場合に
は、静電容量の低下や等価直列抵抗の増大といった問題
が発生しやすくなる傾向があるからである。
【0022】次いで、特定のセラミックグリーンシート
上に、内部電極8および9となるべき膜が、たとえばス
クリーン印刷によって第1の導電性ペーストをもって形
成される。次いで、上述の第1の導電性ペースト膜上
に、中間層10となるべき膜が、たとえばスクリーン印
刷によって第2の導電性ペーストをもって形成される。
【0023】次いで、上述のように互いに重なる第1お
よび第2の導電性ペースト膜を形成したセラミックグリ
ーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積
層され、プレスされた後、必要に応じてカットされる。
このようにして、複数のセラミックグリーンシート、お
よびセラミックグリーンシート間の特定の界面に沿って
それぞれ形成された複数の内部電極8および9ならびに
中間層10を積層したものであって、内部電極8および
9の各端縁を端面4または5に露出させている、生の状
態の積層体3が作製される。
【0024】なお、生の積層体3は、複数のセラミック
グリーンシートが積層されるとともに、第1の導電性ペ
ースト膜および第2の導電性ペースト膜が少なくとも一
部において互いに重なるようにセラミックグリーンシー
ト間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された形態をな
していればよく、このような形態を得るため、上述した
ように、セラミックグリーンシート上に第1の導電性ペ
ースト膜をまず形成し、次いで、第1の導電性ペースト
膜上に第2の導電性ペースト膜を形成する他、たとえ
ば、セラミックグリーンシート上に第2の導電性ペース
ト膜をまず形成し、次いで、第2の導電性ペースト膜上
に第1の導電性ペースト膜を形成するようにしてもよ
い。また、セラミックグリーンシート上に、予め、第1
の導電性ペースト膜および第2の導電性ペースト膜をそ
れぞれ形成しておき、これら第1の導電性ペースト膜お
よび第2の導電性ペースト膜が形成されたセラミックグ
リーンシートを積層するのではなく、各セラミックグリ
ーンシートの積層の段階で、第1の導電性ペースト膜お
よび第2の導電性ペースト膜をそれぞれ形成するように
してもよい。
【0025】次いで、この積層体3は還元性雰囲気下で
焼成される。これによって、セラミックグリーンシート
は焼結されて誘電体セラミック層2となると同時に、内
部電極8および9ならびに中間層10も焼結される。次
いで、焼成された積層体3における第1および第2の内
部電極8および9の露出した各端縁にそれぞれ電気的に
接続されるように、積層体3の第1および第2の端面4
および5上に、それぞれ、第1および第2の外部電極6
および7が形成される。
【0026】なお、外部電極6および7は、通常、その
材料となる金属粉末を含む導電性ペーストを焼成後の積
層体3上に塗布して焼き付けることによって形成される
が、焼成前の積層体3上に塗布して、積層体3の焼成と
同時に焼き付けることによって形成されるようにしても
よい。その後、必要に応じて、外部電極6および7は、
Ni、Cu、Ni−Cu合金等からなるめっき層11お
よび12によってそれぞれ被覆される。また、さらに、
これらめっき層11および12上に、半田、錫等からな
る第2のめっき層13および14が形成されてもよい。
【0027】次に、この発明をより具体的な実施例に基
づき説明する。なお、言うまでもないが、この発明の範
囲内における実施可能な形態は、このような実施例のみ
に限定されるものではない。
【0028】
【実施例1】この実施例において作製しようとする積層
セラミックコンデンサは、図1に示すような構造の積層
セラミックコンデンサ1である。誘電体セラミック層の
ための非還元性誘電体セラミックとして、たとえば特公
昭56−46641号公報に記載されたセラミック、す
なわち、組成式{(Ba 1-x Cax )O}m (Ti1-y
Zry )O2 で表され、m、xおよびyが、それぞれ、 1.005≦ m ≦1.03 0.02 ≦ x ≦0.22 0 < y ≦0.20 となるセラミックが得られるように、セラミック原料粉
末を、秤量、混合および仮焼したものを用意し、これに
ポリビニルブチラール系バインダおよびエタノール等の
有機溶剤を加えて、ボールミルにより湿式混合し、セラ
ミックスラリーを調製した。しかる後、セラミックスラ
リーをドクターブレード法によりシート成形し、厚み1
1μmの矩形のグリーンシートを得た。
【0029】他方、平均粒径0.5μmのNiを主成分
とする導電性金属粉末100重量部に対して、エチルセ
ルロース樹脂3重量部とブチルセロソルブ溶剤とを添加
し、これらを、ロールミルを用いて混練し、第1の導電
性ペーストを得た。また、平均粒径0.5μmのNiを
主成分とする導電性金属粉末と、平均粒径0.3μmの
Ti、Zr、Y、Ta、Hf、Nb、Ce、およびLa
の各酸化物粉末とを、金属換算で以下の表1に示した混
合比率をもって混合するとともに、これらの混合粉末1
00重量部に対して、エチルセルロース樹脂3重量部と
ブチルセロソルブ溶剤とをさらに添加し、これらを、ロ
ールミルを用いて混練し、第2の導電性ペーストを得
た。
【0030】
【表1】 次に、セラミックグリーンシート上に、第1の導電性ペ
ーストを印刷することによって、内部電極となる第1の
導電性ペースト膜を形成し、150℃で10分間乾燥し
た。
【0031】次に、第1の導電性ペースト膜上に、第2
の導電性ペーストを印刷することによって、中間層とな
る第2の導電性ペースト膜を形成し、同じく150℃で
10分間乾燥した。なお、比較例として、上述の第2の
導電性ペースト膜を形成しない試料も作製した。
【0032】次いで、セラミックグリーンシートを、第
1の導電性ペースト膜の引き出されている側が互い違い
となるように複数枚積層し、積層体を得た。得られた積
層体を、空気中にて300℃の温度に加熱し、バインダ
を燃焼させた後、H2 −N2−H2 Oガスからなる還元
性雰囲気中において焼成した。なお、焼成工程におい
て、1300℃で2時間保持し、昇温速度と冷却速度と
は、ともに200℃/hrとした。
【0033】次いで、焼成後の積層体の両端面に銀を含
む導電性ペーストを塗布し、窒素雰囲気中において80
0℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された
外部電極を形成した。その後、外部電極上にNiめっき
層を形成し、さらに、このNiめっき層上に半田めっき
層を形成した。
【0034】このようにして得られた試料となる積層セ
ラミックコンデンサの外形寸法は、幅が1.6mm、長さ
が3.2mm、厚さが1.2mmであり、内部電極間に介在
する誘電体セラミック層の厚みは6μmで、有効誘電体
セラミック層の総数は150であった。これらの試料に
ついて、耐熱衝撃試験および耐湿負荷試験を実施した。
【0035】耐熱衝撃試験については、各試料を、50
個ずつ、325℃に設定した半田槽に2〜3秒浸漬し、
取り出した後、樹脂で固めた状態として研磨し、研磨面
を顕微鏡で観察することによって、クラックの有無を検
査した。また、耐湿負荷試験については、各試料72個
ずつに対して、2気圧、相対湿度95%以上および温度
121℃の下で、直流電圧を16V印加した状態とし
て、250時間経過するまでに絶縁抵抗値(R)が10
6 Ω以下になった試料を不良と判定した。
【0036】その結果、Niを主体とし、これに、T
i、Zr、Y、Ta、Hf、Nb、Ce、およびLaの
各酸化物粉末を添加した第2の導電性ペーストをもって
中間層を形成した試料1−1ないし1−17のすべてに
ついて、耐熱衝撃試験および耐湿負荷試験のいずれにお
いても、全く不良は発生しなかった。これに対して、中
間層を形成しなかった比較例となる試料については、耐
熱衝撃試験で3個/50個、耐湿負荷試験で5個/72
個の不良が発生した。
【0037】
【実施例2】実施例1において添加した酸化物粉末の代
わりに、以下の表2に示す各アルコキシドの粉末を添加
した第2の導電性ペーストを用いたこと以外は、実施例
1と実質的に同一条件、同一方法により、試料となる積
層セラミックコンデンサを作製し、耐熱衝撃試験および
耐湿負荷試験を実施した。
【0038】
【表2】 その結果、Niを主体とし、これに、Ti、Zr、およ
びHfのいずれかのアルコキシドを添加した導電性ペー
ストを用いて作製した試料2−1ないし2−6のすべて
について、耐熱衝撃試験および耐湿負荷試験のいずれに
おいても、全く不良は発生しなかった。
【0039】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、セラ
ミック層と内部導体との間に中間層が形成され、この中
間層は、導電性金属と酸化物または有機金属とを含む導
電性ペーストを焼成して得られたもので構成されるの
で、積層セラミック電子部品の耐熱衝撃特性および耐湿
負荷特性の低下を防ぐことができる。
【0040】また、一般に、積層セラミック電子部品の
内部導体を形成するために用いられる導電性ペーストに
おいて、導電性金属としてニッケルのような卑金属を主
成分とするものが用いられると、セラミック層の薄層化
および多層化が進むに従い、焼成時の内部導体とセラミ
ック層との収縮の差や熱膨張率の差によって、内部導体
とセラミック層との界面に残留応力がより大きく生じ、
この影響により耐熱衝撃特性および耐湿負荷特性が悪く
なるという問題があるが、この発明によれば、上述のよ
うに、耐熱衝撃特性および耐湿負荷特性の低下を防ぐこ
とができるので、導電性金属としてニッケルのような卑
金属を主成分とするものを問題なく用いることができる
ようになる。したがって、積層セラミック電子部品の低
コスト化ならびにセラミック層の薄層化および多層化に
寄与し得る。
【0041】この発明において、中間層の形成のための
導電性ペーストに含まれる酸化物または有機金属が、T
i、Zr、Ta、Hf、Nbおよび希土類元素からなる
群から選ばれた少なくとも1つの元素の酸化物または有
機金属とされると、耐熱衝撃特性および耐湿負荷特性の
低下を防ぐのにより効果的である。また、中間層の形成
のための導電性ペーストにおいて、酸化物または有機金
属の含有量が、導電性金属および当該酸化物または有機
金属の合計含有量に対して、金属換算で0.1〜5wt%
であるとき、耐熱衝撃特性および耐湿負荷特性の低下
や、たとえば積層セラミックコンデンサにおける静電容
量の低下や、等価直列抵抗の増大を防ぐのにより効果的
である。
【0042】また、この発明において、中間層に含まれ
る導電性金属が内部導体に含まれる導電性金属と同種の
ものであると、中間層と内部導体との接合性がより高め
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミックコ
ンデンサ1を示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ 2 誘電体セラミック層 3 積層体 4 第1の端面 5 第2の端面 6 第1の外部電極 7 第2の外部電極 8 第1の内部電極(内部導体) 9 第2の内部電極(内部導体) 10 中間層

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の積層されたセラミック層と、前記
    セラミック層間の特定の界面に沿って形成されかつ導電
    性金属を含む内部導体と、前記セラミック層と前記内部
    導体との間に形成された中間層とを有する、積層体を備
    える、積層セラミック電子部品であって、 前記中間層は、導電性金属および酸化物または有機金属
    を含む導電性ペーストを焼成して得られたものである、
    積層セラミック電子部品。
  2. 【請求項2】 前記酸化物または有機金属は、Ti、Z
    r、Ta、Hf、Nbおよび希土類元素からなる群から
    選ばれた少なくとも1つの元素の酸化物または有機金属
    である、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 【請求項3】 前記導電性ペーストにおいて、前記酸化
    物または有機金属の含有量が、前記導電性金属および当
    該酸化物または有機金属の合計含有量に対して、金属換
    算で0.1〜5wt%である、請求項1または2に記載の
    積層セラミック電子部品。
  4. 【請求項4】 前記導電性ペーストに含まれる前記導電
    性金属は、卑金属を主成分とするものである、請求項1
    ないし3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  5. 【請求項5】 前記卑金属は、ニッケルである、請求項
    4に記載の積層セラミック電子部品。
  6. 【請求項6】 前記導電性ペーストに含まれる前記導電
    性金属は、前記内部導体に含まれる前記導電性金属と同
    種のものである、請求項1ないし5のいずれかに記載の
    積層セラミック電子部品。
  7. 【請求項7】 前記積層体の端面上の互いに異なる位置
    に設けられる複数の外部電極をさらに備え、複数の前記
    内部導体は、いずれかの前記外部電極に電気的に接続さ
    れるように、それぞれの端縁を前記端面に露出させた状
    態でそれぞれ形成されている、請求項1ないし6のいず
    れかに記載の積層セラミック電子部品。
  8. 【請求項8】 前記セラミック層は、チタン酸バリウム
    を主成分とする誘電体セラミックからなる、請求項1な
    いし7のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  9. 【請求項9】 複数の積層されたセラミック層と、前記
    セラミック層間の特定の界面に沿って形成されかつ導電
    性金属を含む内部導体と、前記セラミック層と前記内部
    導体との間に形成された中間層とを有する、積層体を備
    える、積層セラミック電子部品を製造する方法であっ
    て、 前記セラミック層となるセラミックグリーンシートを用
    意する工程と、 導電性金属を含む、前記内部導体となる第1の導電性ペ
    ーストを用意する工程と、 導電性金属および酸化物または有機金属を含む、前記中
    間層となる第2の導電性ペーストを用意する工程と、 複数の前記セラミックグリーンシートが積層されるとと
    もに、前記第1の導電性ペーストからなる膜および前記
    第2の導電性ペーストからなる膜が少なくとも一部にお
    いて互いに重なるように前記セラミックグリーンシート
    間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された、生の積層
    体を作製する工程と、 前記生の積層体を焼成する工程とを備える、積層セラミ
    ック電子部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記生の積層体を作製する工程は、 特定の前記セラミックグリーンシート上に、前記第1の
    導電性ペーストからなる膜および前記第2の導電性ペー
    ストからなる膜を少なくとも一部において互いに重なる
    ようにそれぞれ形成する工程と、 前記第1および第2の導電性ペーストからなる各膜が形
    成された前記セラミックグリーンシートを含む複数の前
    記セラミックグリーンシートを積層する工程とを備え
    る、請求項9に記載の積層セラミック電子部品の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記セラミックグリーンシート上に第
    1の導電性ペーストからなる膜および第2の導電性ペー
    ストからなる膜を形成する工程は、 前記セラミックグリーンシート上に前記第1の導電性ペ
    ーストからなる膜を形成する工程と、 前記第1の導電性ペーストからなる膜上に前記第2の導
    電性ペーストからなる膜を形成する工程とを備える、請
    求項10に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第2の導電性ペーストに含まれる
    前記酸化物または有機金属は、Ti、Zr、Ta、H
    f、Nbおよび希土類元素からなる群から選ばれた少な
    くとも1つの元素の酸化物または有機金属である、請求
    項9ないし11のいずれかに記載の積層セラミック電子
    部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第2の導電性ペーストにおいて、
    前記酸化物または有機金属の含有量が、前記導電性金属
    および当該酸化物または有機金属の合計含有量に対し
    て、金属換算で0.1〜5wt%である、請求項9ないし
    12のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記導電性金属は、卑金属を主成分と
    するものである、請求項9ないし13のいずれかに記載
    の積層セラミック電子部品の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記卑金属は、ニッケルである、請求
    項14に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第2の導電性ペーストに含まれる
    前記導電性金属は、前記第1の導電性ペーストに含まれ
    る前記導電性金属と同種のものである、請求項9ないし
    15のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 前記積層体の端面上の互いに異なる位
    置に複数の外部電極を形成する工程をさらに備え、 前記生の積層体を作製する工程において、前記第1の導
    電性ペーストからなる膜は、いずれかの前記外部電極に
    電気的に接続されるように、その端縁を前記端面に露出
    させた状態で形成される、請求項9ないし16のいずれ
    かに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記セラミックグリーンシートは、焼
    成されたとき、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体
    セラミックとなるセラミック原料を含む、請求項9ない
    し17のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製
    造方法。
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