JP2000058375A - 積層セラミック電子部品及びその製造方法 - Google Patents

積層セラミック電子部品及びその製造方法

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JP2000058375A
JP2000058375A JP10230325A JP23032598A JP2000058375A JP 2000058375 A JP2000058375 A JP 2000058375A JP 10230325 A JP10230325 A JP 10230325A JP 23032598 A JP23032598 A JP 23032598A JP 2000058375 A JP2000058375 A JP 2000058375A
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貞範 板谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度や耐熱衝撃性に優れた積層セラミ
ック電子部品及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 導電成分である金属粉末と、SiO2
末と、有機ビヒクルとを含有する導電ペーストを用いて
内部電極を形成する。また、導電ペースト中のSiO2
粉末の割合を、導電ペースト中の金属粉末とSiO2
末の合計量(重量)に対して、40〜6000ppmの割
合とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、積層セラミック
電子部品に関し、詳しくは、セラミック中に内部電極が
配設された構造を有する積層セラミック電子部品及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】代表的な積層セラミック電子部品の一つ
である積層セラミックコンデンサは、通常、図5に示す
ように、複数の内部電極51がセラミック層52を介し
て互いに対向して配設された素子53の両端側に、交互
に逆側の端面に引き出された内部電極51と導通するよ
うに外部電極54a,54bを配設することにより形成
されている。
【0003】そして、このような積層セラミックコンデ
ンサは、図6に示すように、導電ペーストをスクリーン
印刷法などの方法で印刷して内部電極パターン61(焼
成後に内部電極51(図5)となる)を形成したセラミ
ックグリーンシート62と、その上下両面側に配設され
る内部電極パターンの形成されていない外層用のセラミ
ックグリーンシート63を積層して圧着した後、所定の
条件で焼成し、得られた積層体(素子53(図5))
に、導電ペースト(外部電極形成用ペースト)を塗布、
焼き付けして外部電極54a,54b(図5)を形成す
る工程を経て製造されている。
【0004】なお、実際には、多数の内部電極パターン
が印刷されたマザーセラミックグリーンシートを積層、
圧着して、複数の素子を含むマザー積層体を形成し、こ
れを所定の位置でカットして個々の素子を切り出した
後、焼成し、外部電極を形成することにより、一度に多
数の積層セラミックコンデンサを製造する方法が一般的
に用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
積層セラミックコンデンサの中には、誘電体として、優
れた特性を有するPb系複合ペロブスカイト誘電体セラ
ミックを用いたものがある。この、Pb系複合ペロブス
カイト誘電体セラミックは、誘電特性に優れており、そ
れを用いた積層セラミックコンデンサは、大きな静電容
量を得ることができるという特徴を有しているが、機械
的強度や耐熱衝撃性が、チタン酸バリウムやチタン酸ス
トロンチウムなどを用いたものに比べて劣るという問題
点があり、外部からの機械的衝撃や、熱的衝撃により、
内部にクラックが発生して、絶縁抵抗が低下し、場合に
よってはショートに至ることがある。
【0006】なお、上記問題点は、積層セラミックコン
デンサの場合に限られるものではなく、積層LC複合部
品や積層インダクタなどの種々の積層セラミック電子部
品にあてはまるものである。
【0007】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、機械的強度や耐熱衝撃性に優れた積層セラミック
電子部品及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)の積層セラミック電子部品の
製造方法は、セラミック中に内部電極が配設された構造
を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、
導電成分である金属粉末と、SiO2粉末と、有機ビヒ
クルとを含有する導電ペーストを用いて内部電極を形成
することを特徴としている。
【0009】また、請求項2の積層セラミック電子部品
の製造方法は、セラミック中に内部電極が配設された構
造を有する積層セラミック電子部品の製造方法であっ
て、導電成分である金属粉末と、SiO2粉末と、有機
ビヒクルとを含有する導電ペーストを用いてセラミック
グリーンシートに内部電極パターンを形成する工程と、
前記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーン
シートを積層、圧着して積層体を形成する工程と、前記
積層体を焼成する工程とを含むことを特徴としている。
【0010】本願発明の請求項1又は請求項2の積層セ
ラミック電子部品の製造方法は、SiO2粉末を含有さ
せた導電ペーストを用いて内部電極を形成するようにし
ているので、積層セラミック電子部品の機械的強度及び
耐熱衝撃性を向上させることが可能になり、信頼性の高
い積層セラミック電子部品を提供することが可能にな
る。なお、SiO2粉末を含有する導電ペーストを用い
て内部電極を形成した場合に、機械的強度及び耐熱衝撃
性を向上させることが可能になるのは、焼成工程での内
部電極の急激な収縮が抑制され、セラミックとの収縮差
が緩和されるためであると考えられる。また、本願発明
において用いられる導電ペーストを構成する金属粉末と
しては、Pd、Ag、Ag−Pd、その他種々の導電金
属粉末を用いることが可能である。また、有機ビヒクル
としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、硝化綿、エチ
ルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなど
を各種の有機溶剤に溶解したものなど、種々のものを用
いることが可能である。
【0011】また、請求項3の積層セラミック電子部品
の製造方法は、前記セラミックが、Pb系複合ペロブス
カイト誘電体セラミックであることを特徴としている。
【0012】Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミッ
クは、機械的強度や耐熱衝撃性が必ずしも十分ではない
が、Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミックを用い
た積層セラミック電子部品に本願発明を適用することに
より、機械的強度や耐熱衝撃性を向上させることが可能
になり、優れた誘電特性を生かした積層セラミック電子
部品を得ることが可能になる。なお、Pb系複合ペロブ
スカイト誘電体セラミックを用いた積層セラミック電子
部品において、SiO2粉末を含有する導電ペーストを
用いて内部電極を形成した場合に、機械的強度及び耐熱
衝撃性を向上させることが可能になるのは、焼結時に、
Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミック中のPbO
とSiO2が900℃以上の高温で結びついてガラス化
し、内部電極とセラミックの界面に析出して接合強度を
高めるためと考えられる。
【0013】また、請求項4の積層セラミック電子部品
の製造方法は、導電ペースト中の前記SiO2粉末の割
合を、導電ペースト中の金属粉末とSiO2粉末の合計
量(重量)に対して、40〜6000ppmの割合とした
ことを特徴としている。
【0014】導電ペースト中のSiO2粉末の配合割合
を、導電ペースト中の金属粉末とSiO2粉末の合計量
(重量)に対して、40〜6000ppmの割合とするこ
とにより、導電性などの内部電極として要求される性能
を損なうことなく、積層セラミック電子部品の強度を向
上させることが可能になり、本願発明を実効あらしめる
ことができる。
【0015】また、請求項5の積層セラミック電子部品
の製造方法は、前記導電ペーストを構成する導電成分が
Ag−Pd粉末であり、Ag−Pd粉末中のAgの割合
が70〜85重量%の範囲にあることを特徴としてい
る。
【0016】導電ペーストを構成する導電成分として、
Agの割合が70〜85重量%の範囲にあるAg−Pd
粉末を用いることにより、誘電体として、Pb系複合ペ
ロブスカイト誘電体セラミックなどを用いた、比較的低
温で焼成される積層セラミック電子部品を効率よく製造
することができるようになる。
【0017】また、本願発明(請求項6)の積層セラミ
ック電子部品は、請求項1〜5のいずれかに記載の方法
により製造され、セラミック中に内部電極が配設された
構造を有する積層セラミック電子部品であって、内部電
極中に、SiO2が、内部電極を構成する金属とSiO2
との合計量(重量)に対して40〜6000ppmの割合
で含有されていることを特徴としている。
【0018】内部電極中に、SiO2を、内部電極を構
成する金属とSiO2との合計量(重量)に対して40
〜6000ppmの割合で含有させることにより、積層セ
ラミック電子部品の機械的強度及び耐熱衝撃性を向上さ
せることが可能になり、信頼性を高めることができる。
【0019】また、請求項7の積層セラミック電子部品
は、前記セラミックが、Pb系複合ペロブスカイト誘電
体セラミックであることを特徴としている。
【0020】Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミッ
クを用いた積層セラミック電子部品に本願発明を適用す
ることにより、機械的強度や耐熱衝撃性を向上させるこ
とが可能になり、優れた誘電特性を生かした積層セラミ
ック電子部品を得ることが可能になる。
【0021】また、請求項8の積層セラミック電子部品
は、前記内部電極を構成する導電成分がAg−Pd合金
であり、Ag−Pd合金中のAgの割合が70〜85重
量%の範囲にあることを特徴としている。
【0022】内部電極を、Agの割合が70〜85重量
%の範囲にあるAg−Pdから形成するようにした場
合、例えば、誘電体として、比較的低温で焼成されるP
b系複合ペロブスカイト誘電体セラミックなどを用いた
場合にも、機械的強度や耐熱衝撃性を向上させることが
可能になり、本願発明を実効あらしめることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示
して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、この実施形態では、積層セラミック電子部品とし
て、積層セラミックコンデンサを例にとって説明する。
【0024】[積層セラミックコンデンサ]図1は本願
発明の一実施形態にかかる積層セラミックコンデンサの
断面図である。この積層セラミックコンデンサは、図1
に示すように、複数の内部電極1がセラミック層2を介
して互いに対向して配設された素子3の両端側に、交互
に逆側の端面に引き出された内部電極1と導通するよう
に外部電極4a,4bが配設された構造を有している。
【0025】そして、この積層セラミックコンデンサに
おいては、素子3がPb系複合ペロブスカイト誘電体セ
ラミックであるPb(Mg13Nb23)O2を用いて
形成されている。また、内部電極としては、金属成分
(Ag−Pd合金)とSiO2の合計量に対して、Si
2を40〜6000ppmの割合で含有するAg−Pd合
金から形成されている。また、Ag−Pd合金として
は、AgとPdの割合(重量比)が、Ag70〜85
%、Pd30〜15%の範囲のものが用いられている。
【0026】上記の積層セラミックコンデンサは、Si
2粉末を40〜6000ppmの割合で含有する内部電極
を備えており、それ自体では必ずしも機械的強度や耐熱
衝撃性が十分ではないPb系複合ペロブスカイト誘電体
セラミックであるPb(Mg1/3Nb23)O2が用い
られているにもかかわらず、機械的強度や耐熱衝撃性に
優れ、十分な信頼性を備えている。
【0027】[積層セラミックコンデンサの製造方法]
次に、上記積層セラミックコンデンサを製造する方法に
ついて説明する。まず、Ag−Pd合金とSiO2と有
機ビヒクル(例えば、エチルセルロースをターピネオー
ルに溶かしたもの)を混練して作製した導電ペースト
を、図2に示すように、Pb系複合ペロブスカイト誘電
体セラミックを用いたセラミックグリーンシート(マザ
ーセラミックグリーンシート)12上に、スクリーン印
刷法を用いて印刷することにより所定の内部電極パター
ン11(焼成後に内部電極1(図1)となる)を形成す
る。
【0028】それから、内部電極パターン11の形成さ
れた複数枚のセラミックグリーンシート12と、その上
下両面側に配設される、内部電極パターンの形成されて
いない外層用のセラミックグリーンシート13を積層、
圧着して、図3に示すようなマザー積層体14を形成す
る。
【0029】そして、このマザー積層体14を所定の位
置でカットして、図4に示すような個々の素子3を切り
出し、所定の条件で焼成する。
【0030】それから、得られた素子3に、導電ペース
ト(外部電極形成用ペースト)を塗布して焼き付けるこ
とにより外部電極4a,4b(図1)を形成する。な
お、外部電極4a,4bは、素子3の焼成前に外部電極
形成用ペーストを塗布しておき、素子3の焼成と同時に
焼付けを行って形成するようにしてもよい。これによ
り、図1に示すような積層セラミックコンデンサが得ら
れる。
【0031】[性能確認試験1]上記の積層セラミック
コンデンサの性能を確認するために、以下の方法で、比
較用の試料(比較例)と、本願発明の実施形態にかかる
試料(実施例)を作製し、その特性を測定した。
【0032】試料の作成 まず、Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミック材料
として、Pb(Mg13Nb23)O2からなるセラミ
ック材料を粉砕した後、これをセラミックグリーンシー
トに加工した。次に、表1に示すように、AgとPdの
割合が、Ag70〜85%、Pd30〜15%の範囲に
あるAg−Pd粉末に、有機ビヒクルと、表1に示すよ
うな添加成分を配合し、混練して導電ペースト(電極ペ
ースト)を作製した。なお、表1において、試料番号に
*印を付したものは本願発明の範囲内の実施例であり、
その他は本願発明の範囲外の比較例である。
【0033】
【表1】
【0034】ただし、Ag−Pd粉末、有機ビヒクル、
及び添加成分の配合割合は下記の通りである。 ・Ag−Pd粉末:50.0重量% ・有機ビヒクル :49.9重量% ・添加成分 : 0.1重量% なお、有機ビヒクルとしては、エチルセルロースをター
ピネオールに溶かしたものを用いた。また、添加成分と
しては、本願発明の実施例としては、SiO2を用い、
比較例では、表1に示すようなPb−B−Siガラス、
Pb−B−Si−Caガラス、Pb−B−Si−Naガ
ラスなどを用いた。
【0035】次に、このようにして作製した導電ペース
トを用い、上記の[積層セラミックコンデンサの製造方
法]で述べた方法に準じる方法により、導電ペーストの
セラミックグリーンシートへの印刷、セラミックグリー
ンシートの積層、圧着、カット、焼成、外部電極の形成
の諸工程を経て試験用の積層セラミックコンデンサ(試
料)を作製した。
【0036】特性の測定 それから、このようにして作製した積層セラミックコン
デンサ(試料)について、以下の試験を行った。
【0037】(a)はんだ浸漬後の絶縁抵抗不良率の測定
試験 試料を350℃、及び400℃の溶融はんだに10cm/
secの速度で浸漬して引き上げた後、絶縁抵抗を測定し
て、絶縁抵抗不良率を調べた(n=200)。
【0038】(b)おもり落下後の絶縁抵抗不良率、静電
容量、及び誘電損失の測定試験 試料に3gのおもりを3cmの高さから落下させた後、絶
縁抵抗を測定して、絶縁抵抗不良率を調べるとともに、
静電容量及び誘電損失を測定した(n=100)。
【0039】上記試験の結果を表1に併せて示す。表1
より、SiO2を添加した本願発明の実施例の試料(試
料番号3,4)では、はんだ浸漬後の絶縁抵抗不良率
や、おもり落下後の絶縁抵抗不良率、静電容量、及び誘
電損失などの諸特性について、他の比較例に比べて良好
な結果が得られていることがわかる。これは、電極中
にSiO2を添加することにより、焼成工程での内部電
極の急激な収縮が抑制され、セラミックとの収縮差が緩
和されたためであり、また、焼結時に、Pb系複合ペ
ロブスカイト誘電体セラミック中のPbOとSiO2
900℃以上の高温で結びついてガラス化し、内部電極
とセラミックの界面に析出して接合強度を高めたためで
あると考えられる。
【0040】これに対して、試料番号5〜10の比較例
のように、最初からガラス材料を添加した場合には、セ
ラミックの焼結領域である900℃以上の温度でガラス
材料が素子中に拡散して、誘電体のペロブスカイト構造
を破壊してしまうため、特性が劣化するものと考えられ
る。
【0041】また、Ag−Pd合金中のAgとPdの割
合(重量比)が、Ag/Pd=90/10とAgの割合
が高い場合(試料番号13)、セラミック焼結温度であ
る930℃付近でAgがセラミック中に拡散してしまう
ため、静電容量が低く、電極としての特性がよくないこ
とがわかる。
【0042】また、Ag−Pd合金中のAgとPdの割
合(重量比)が、Ag/Pd=50/50の場合(試料
番号14)、はんだ浸漬試験での絶縁抵抗不良率が高
く、また、誘電損失も大きくなるため、好ましくない。
これは、Pdの比率が高いため、セラミック焼結過程で
Pdの酸化膨張により、内部にデラミネーションが発生
しやすくなるためであると考えられる。
【0043】上記の結果より、Ag−Pd合金中のAg
とPdの割合(重量比)は、Agが70〜85、Pdが
30〜15の範囲とすることが好ましい。
【0044】[性能確認試験2] 試料の作成 上記の性能確認試験1の場合と同様に、誘電体セラミッ
クとしてPb系複合ペロブスカイト誘電体セラミックを
用いて積層セラミックコンデンサ(試料)を作製し、性
能を確認した。なお、ここでは、導電ペーストとして、
AgとPdの重量比が、Ag/Pd=70/30と、A
g/Pd=85/15の2種類のAg−Pd粉末(金属
粉末)を用い、この金属粉末に有機ビヒクル(ここでは
エチルセルロースをターピネオールに溶かしたものを使
用)と、表2に示すような量のSiO2(添加成分)を
配合し、混練することにより作製したものを用いた。な
お、表2において、試料番号に*印を付したものは本願
発明の範囲内の実施例であり、その他は本願発明の範囲
外の比較例である。
【0045】
【表2】
【0046】なお、Ag−Pd粉末、有機ビヒクル、及
びSiO2の配合割合は下記の通りである。 ・Ag−Pd粉末:50.0重量% ・SiO2 :10〜5000ppm (但し、金属粉末とSiO2粉末の合計量(重量)に対
するSiO2の割合としては20〜10000ppmであ
る) ・有機ビヒクル :残部
【0047】特性の測定 それから、このようにして作製した積層セラミックコン
デンサ(試料)について、(a)はんだ浸漬後の絶縁抵抗
不良率の測定試験、及び(b)おもり落下後の絶縁抵抗不
良率、静電容量、及び誘電損失の測定試験を行った。な
お、測定試験の内容については、上記の[性能確認試験
1]の場合と同様である。測定試験の結果を表2に併せ
て示す。
【0048】表2より、Ag/Pd(重量比)=70/
30の導電ペーストを用いた場合(試料番号21〜2
7)における、SiO2の好ましい添加量範囲(金属粉
末(Ag/Pd粉末)とSiO2粉末の合計量(重量)
に対する割合)は、40〜6000ppmの範囲であるこ
とがわかる。なお、SiO2の添加量がこの範囲を下回
ると、焼成工程での内部電極の急激な収縮を抑制する効
果が不十分になり、耐衝撃性が低下するため好ましくな
い。また、SiO2の添加量がこの範囲を超えると、静
電容量の低下や誘電損失の劣化を引き起こすため好まし
くない。なお、これは、SiO2が過剰で、セラミック
中に拡散し、誘電率を変化させるためであると考えられ
る。
【0049】また、Ag/Pd(重量比)=85/15
の導電ペーストを用いた場合(試料番号28〜32)に
おける、SiO2の好ましい添加量範囲(金属粉末(A
g/Pd粉末)とSiO2粉末の合計量(重量)に対す
る割合)も、40〜6000ppmの範囲であることがわ
かる。なお、その理由は、上述の、Ag/Pd(重量
比)=70/30の導電ペーストを用いた場合と同様で
ある。
【0050】なお、上記実施形態では、セラミックとし
て、Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミックを用い
た場合について説明したが、他のセラミックを用いた積
層セラミックコンデンサに適用した場合にも、上記実施
形態に準じた効果を得ることが可能である。
【0051】また、上記実施形態では、内部電極を構成
する金属がAg−Pdである場合について説明したが、
内部電極が他の金属から形成されるような積層セラミッ
ク電子部品にも適用することが可能である。
【0052】また、上記実施形態では、積層セラミック
コンデンサを例にとって説明したが、本願発明は、積層
LC複合部品や積層インダクタなどの種々の積層セラミ
ック電子部品に適用することが可能である。
【0053】本願発明は、さらにその他の点においても
上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の
範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能
である。
【0054】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1及び
2)の積層セラミック電子部品の製造方法は、SiO2
粉末を含有させた導電ペーストを用いて内部電極を形成
するようにしているので、積層セラミック電子部品の機
械的強度及び耐熱衝撃性を向上させることが可能にな
り、信頼性の高い積層セラミック電子部品を提供するこ
とができる。
【0055】また、Pb系複合ペロブスカイト誘電体セ
ラミックは、機械的強度や耐熱衝撃性が必ずしも十分で
はないが、請求項3の積層セラミック電子部品の製造方
法のように、Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミッ
クを用いた積層セラミック電子部品に本願発明を適用す
ることにより、機械的強度や耐熱衝撃性を向上させるこ
とが可能になり、優れた誘電特性を生かした積層セラミ
ック電子部品を得ることが可能になる。
【0056】また、請求項4の積層セラミック電子部品
の製造方法のように、導電ペースト中のSiO2粉末の
配合割合を、導電ペースト中の金属粉末とSiO2粉末
の合計量(重量)に対して、40〜6000ppmの割合
とすることにより、導電性などの内部電極として要求さ
れる性能を損なうことなく、積層セラミック電子部品の
強度を向上させることが可能になり、本願発明を実効あ
らしめることができる。
【0057】また、請求項5の積層セラミック電子部品
の製造方法のように、導電ペーストを構成する導電成分
として、Agの割合が70〜85重量%の範囲にあるA
g−Pd粉末を用いることにより、誘電体として、Pb
系複合ペロブスカイト誘電体セラミックなどを用いた、
比較的低温で焼成される積層セラミック電子部品を効率
よく製造することができる。
【0058】また、本願発明(請求項6)の積層セラミ
ック電子部品は、内部電極中に、SiO2を、内部電極
を構成する金属とSiO2との合計量(重量)に対して
40〜6000ppmの割合で含有させるようにしている
ので、積層セラミック電子部品の機械的強度及び耐熱衝
撃性を向上させることが可能になり、信頼性を高めるこ
とができる。
【0059】また、Pb系複合ペロブスカイト誘電体セ
ラミックは、機械的強度や耐熱衝撃性が必ずしも十分で
はないが、請求項7の積層セラミック電子部品のよう
に、Pb系複合ペロブスカイト誘電体セラミックを用い
た積層セラミック電子部品に本願発明を適用することに
より、機械的強度や耐熱衝撃性を向上させることが可能
になり、優れた誘電特性を生かした積層セラミック電子
部品を得ることが可能になる。
【0060】また、請求項8の積層セラミック電子部品
のように、内部電極を、Agの割合が70〜85重量%
の範囲にあるAg−Pdから形成するようにした場合、
例えば、誘電体として、比較的低温で焼成されるPb系
複合ペロブスカイト誘電体セラミックなどを用いた場合
にも、機械的強度や耐熱衝撃性を向上させることが可能
になり、本願発明を実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる積層セラミック
電子部品(積層セラミックコンデンサ)を示す断面図で
ある。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる積層セラミック
コンデンサの製造方法の一工程において、マザーセラミ
ックグリーンシートを積層している状態を示す図であ
る。
【図3】本願発明の一実施形態にかかる積層セラミック
コンデンサの製造方法の一工程において作製されたマザ
ー積層体の要部を示す断面図である。
【図4】図3のマザー積層体を所定の位置でカットする
ことにより切り出した素子を示す図である。
【図5】従来の積層セラミック電子部品(積層セラミッ
クコンデンサ)を示す断面図である。
【図6】従来の積層セラミック電子部品(積層セラミッ
クコンデンサ)の製造方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 内部電極 2 セラミック層 3 素子 4a,4b 外部電極 11 内部電極パターン 12 セラミックグリーンシート 13 外層用のセラミックグリーンシート 14 マザー積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高倉 真一 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5E082 AA01 AB03 BC33 BC35 EE04 EE22 EE23 EE29 EE35 FG06 FG26 FG46 FG54 GG10 GG28 KK01 PP03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック中に内部電極が配設された構造
    を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、 導電成分である金属粉末と、SiO2粉末と、有機ビヒ
    クルとを含有する導電ペーストを用いて内部電極を形成
    することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】セラミック中に内部電極が配設された構造
    を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、 導電成分である金属粉末と、SiO2粉末と、有機ビヒ
    クルとを含有する導電ペーストを用いてセラミックグリ
    ーンシートに内部電極パターンを形成する工程と、 前記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーン
    シートを積層、圧着して積層体を形成する工程と、 前記積層体を焼成する工程とを含むことを特徴とする積
    層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 【請求項3】前記セラミックが、Pb系複合ペロブスカ
    イト誘電体セラミックであることを特徴とする請求項1
    又は2記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 【請求項4】導電ペースト中の前記SiO2粉末の割合
    を、導電ペースト中の金属粉末とSiO2粉末の合計量
    (重量)に対して、40〜6000ppmの割合としたこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層セ
    ラミック電子部品の製造方法。
  5. 【請求項5】前記導電ペーストを構成する導電成分がA
    g−Pd粉末であり、Ag−Pd粉末中のAgの割合が
    70〜85重量%の範囲にあることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製
    造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の方法によ
    り製造され、セラミック中に内部電極が配設された構造
    を有する積層セラミック電子部品であって、 内部電極中に、SiO2が、内部電極を構成する金属と
    SiO2との合計量(重量)に対して40〜6000ppm
    の割合で含有されていることを特徴とする積層セラミッ
    ク電子部品。
  7. 【請求項7】前記セラミックが、Pb系複合ペロブスカ
    イト誘電体セラミックであることを特徴とする請求項6
    に記載の積層セラミック電子部品。
  8. 【請求項8】前記内部電極を構成する導電成分がAg−
    Pd合金であり、Ag−Pd合金中のAgの割合が70
    〜85重量%の範囲にあることを特徴とする請求項6又
    は7に記載の積層セラミック電子部品。
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