JP4380145B2 - 導電ペースト及びセラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

導電ペースト及びセラミック電子部品の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、セラミック素子に外部電極が配設された構造を有するセラミック電子部品の製造方法及びそれに用いられる導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、代表的なセラミック電子部品の一つである積層セラミックコンデンサは、図1に示すように、複数の内部電極(例えばNi電極)1がセラミック層2を介して互いに対向するように配設され、かつ、交互に逆側の端面3a,3bに引き出されたセラミック素子5に、内部電極1と導通するように一対の外部電極(例えばCu電極)4a,4bが配設された構造を有している。
【0003】
図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを製造する場合、外部電極(Cu電極)4a,4bは、通常、セラミック素子5に導電ペースト(Cuペースト)を塗布し、焼き付けることにより形成されており、耐はんだくわれ性及びはんだ付き性を確保するため、さらにその上に電解めっき法などの方法によりNiめっき膜6を形成し、さらにその上に、Snめっき膜(又はSn−Pbめっき膜)7を形成するようにしている。
【0004】
ところで、外部電極4a,4bの状態やめっき条件などによっては、めっき工程で、Niめっき液や、Snめっき液又はSn−Pbめっき液などが、外部電極4a,4bに形成された微細孔や微細な隙間などを通って、セラミック素子5の内部にまで浸入する場合がある。このようにセラミック素子5の内部にまでめっき液が浸入すると、内部電極1を構成するNiとセラミック素子5の接合部分の酸化物を還元してしまうことがある。そして、接合部分の酸化物が還元されてしまうと、セラミック素子5の内部に残留する応力が解放され、クラックが発生して、積層セラミックコンデンサの信頼性を著しく低下させるという問題点がある。
【0005】
このような問題点を解決するための方法として、外部電極(Cu電極)を緻密にしてNiめっき液や、Snめっき液又はSn−Pbめっき液などがセラミック素子の内部にまで浸入しないようにする方法が考えられるが、外部電極が緻密になりすぎると、外部電極中に含まれるガラス成分(結合剤)が外部電極の表面に析出し、その上に形成されるNiめっき膜や、Snめっき膜又はSn−Pbめっき膜が、外部電極の表面に均一に形成されなくなり、はんだ付き不良による実装不良を引き起こすという問題点がある。
【0006】
また、比表面積が1.0〜2.0m2/gのCu粉末を導電成分とする導電性ペーストを用いて外部電極(Cu端子電極)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、この特許文献1の方法においては、Cu粉末の形態はリン片状粉でもよく、またリン片状粉と球状粉との混合粉のいずれでもよいとされている。
【0007】
しかし、特許文献1の方法は、形成された後の外部電極がめっき工程で、Niめっき液や、Snめっき液又はSn−Pbめっき液が外部電極を通過して、セラミック素子の内部にまで浸入すること、及びそれによって内部電極とセラミック素子の接合部分の酸化物が還元されることによる上述のような弊害については考慮されておらず、めっき工程で、Niめっき液や、Snめっき液又はSn−Pbめっき液などが通過することのない外部電極を形成することは容易でないのが実情である。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−3133号公報
【0009】
本願発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ガラス成分(結合剤)が外部電極の表面に析出したり、めっき液が外部電極を通過してセラミック素子の内部に浸入したりすることを防止することが可能で、信頼性の高いセラミック電子部品を製造するためのセラミック電子部品の製造方法及びそれに用いられる導電ペーストを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、
セラミック素子に外部電極が配設された構造を有するセラミック電子部品を製造する方法であって、
比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、ガラス粉末と、バインダーと、有機溶剤とを含有する導電ペーストをセラミック素子の所定の領域に塗布する工程と、
導電ペーストが塗布されたセラミック素子を熱処理して、導電ペーストを焼き付けることにより、Cuを主成分とする外部電極を形成する工程と、
前記外部電極上にめっき膜を形成する工程と、
を具備することを特徴としている。
【0011】
比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とをCu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、ガラス粉末と、バインダーと、有機溶剤とを含有する導電ペーストをセラミック素子の所定の領域に塗布して焼き付けることにより、ガラス成分(結合剤)の表面への析出や、めっき液のセラミック素子内部への浸入などを引き起こすことのない信頼性の高いセラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
すなわち、導電ペーストを構成するCu粉末として、フレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを配合したCu粉末を用いることにより、外部電極の厚みを確保し、かつ、適度な緻密さを確保するとともに、耐めっき液浸透性を向上させることが可能になり、ガラス成分(結合剤)の表面への析出や、めっき液のセラミック素子内部への浸入を防止することが可能な外部電極を効率よく形成することができるようになる。
【0012】
なお、フレーク状Cu粉末の比表面積Sを0.5〜0.992/gの範囲とするのが好ましいのは、比表面積Sが0.5m2 /g未満になると、電極の焼き付け後にガラス成分が電極表面に析出し、比表面積Sが0.992 /gを超えると、電極の内部にボイドが発生し、めっき液がセラミック素子の内部に浸入することによる。
【0013】
また、フレーク状Cu粉末の長径Bを21.1〜32.8μmの範囲とすることが好ましいのは、長径Bを上記範囲とすることにより、電極の焼き付け後にガラス成分が電極表面に析出すること、電極内部にボイドが発生すること、めっき液がセラミック素子の内部に浸入することなどを防止できることによる。
【0014】
また、フレーク状Cu粉末の厚みTを0.92〜1.55μmの範囲とすることが好ましいのは、フレーク状Cu粉末の厚みTが0.92μm未満になると、電極の焼き付け後に、電極の内部にボイドが発生し、めっき液がセラミック素子の内部に浸入し、厚みTが1.55μmを超えると、焼き付け後にガラス成分が電極表面に析出することによる。
【0015】
また、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合を10〜50重量%の範囲としたのは、フレーク状Cu粉末の割合が10重量%未満になると、電極の焼き付け後にガラス成分が電極表面に析出し、また、フレーク状Cu粉末の割合が50重量%を超えると、電極の内部にボイドが発生し、めっき液がセラミック素子の内部に浸入することによる。
【0016】
また、請求項2のセラミック電子部品の製造方法は、前記外部電極上にめっき膜を形成する工程が、前記外部電極上にNiめっき膜を形成し、さらに該Niめっき膜上にSnめっき膜又はSn−Pbめっき膜を形成する工程を備えたものであることを特徴としている。
【0017】
外部電極上にNiめっき膜を形成し、さらに該Niめっき膜上にSnめっき膜又はSn−Pbめっき膜を形成するようにした場合、はんだ付き性に優れた外部電極を形成することが可能になるとともに、はんだ付け工程で、Niめっき液や、Snめっき液又はSn−Pbめっき液がセラミック素子の内部にまで浸入することを防止して、信頼性の高いセラミック電子部品を確実に製造することが可能になる。
【0018】
また、請求項3のセラミック電子部品の製造方法は、前記セラミック素子が、セラミック中にNiを主成分とする卑金属内部電極が配設された構造を有する積層セラミックコンデンサ素子であって、前記卑金属内部電極と導通するように前記外部電極を形成することにより製造されるセラミック電子部品が積層セラミックコンデンサであることを特徴としている。
【0019】
本願発明をセラミック中にNiを主成分とする卑金属内部電極が配設された構造を有する積層セラミックコンデンサの製造方法に適用した場合、積層セラミックコンデンサ素子の内部へのめっき液の浸入がなく、かつ、外部電極のはんだ付き性に優れた信頼性の高い積層セラミックコンデンサを効率よくしかも低コストで製造することが可能になり特に有意義である。
【0020】
また、本願発明(請求項4)の導電ペーストは、
セラミック素子に外部電極が配設され、前記外部電極表面にめっき膜が形成された構造を有するセラミック電子部品を製造する工程において、前記外部電極を形成するために用いられる導電ペーストであって、
比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、
ガラス粉末と、
バインダーと、
有機溶剤と
を含有することを特徴としている。
【0021】
本願発明(請求項4)の導電ペーストは、比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、ガラス粉末と、バインダーと、有機溶剤とを含有しているので、本願発明の導電ペーストを用いることにより、適度な緻密さを備え、かつ、ガラス成分(結合剤)の表面への析出がなく、めっき液のセラミック素子の内部への浸入を防止することが可能な外部電極を効率よく形成することができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0023】
[実施形態1]
この実施形態1では、セラミック電子部品として、図1に示すように、複数の内部電極1がセラミック層2を介して互いに対向するように配設され、かつ、交互に逆側の端面3a,3bに引き出されたセラミック素子5に、内部電極1と導通するように外部電極4a,4bが配設され、さらに、耐はんだくわれ性及びはんだ付き性を確保するために、外部電極4a,4bの上にNiめっき膜6及びSnめっき膜7が配設された構造を有する積層セラミックコンデンサを製造する場合を例にとって説明する。
【0024】
(1)まず、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体粉末(セラミック粉末)と、バインダー、可塑材、溶剤を混合したスラリーをドクターブレード法などの方法で成形したセラミックグリーンシートの表面に内部電極となる導電ペーストを印刷して電極印刷シートを形成する。
なお、この実施形態1では、導電ペーストとしてNi粉末を主たる導電成分とする卑金属導電ペーストを用いた。
(2)そして、この電極印刷シートと、導電ペーストの印刷されていないセラミックグリーンシート(上下両面側のカバーシート)を所定枚数積層し、圧着することにより、積層圧着体を形成する。
(3)それから、この積層圧着体を所定の位置でカットし、個々の未焼成のセラミック素子を切り出す。
(4)次に、この未焼成のセラミック素子を、窒素雰囲気中において脱バインダーした後、N2−H2−H2O雰囲気中、約1300℃の温度条件で焼成することにより、セラミック素子(外部電極を形成する前の積層セラミックコンデンサ素子)を得る。
【0025】
(5)次いで、Cu粉末、ガラス粉末、バインダー、及び有機溶剤を配合し、混練してなる導電ペーストを、ディッピング法などの方法によりセラミック素子(積層セラミックコンデンサ素子)に塗布した後、焼き付け炉にて約850℃で焼き付けを行い、外部電極(Cu厚膜電極)を形成する。
この実施形態1では、外部電極4a,4bを形成するための導電ペーストとして、平均粒径が約2μmの略球形状のCu粉末と、表1に示すような比表面積S、長径B、厚みTを有するフレーク状Cu粉末を、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が20重量%となるように配合したCu粉末と、ホウケイ酸亜鉛系のガラス粉末と、バインダー(この実施形態1ではアクリル系樹脂)、及び有機溶剤(この実施形態1ではエチレングリコールモノブチルエーテル系溶剤)を配合し、混練してなる導電ペーストを用いた。
また、この実施形態1で用いられているフレーク状Cu粉末は、球状のCu粉末を扁平に押し潰すことにより製造されたものであって、表1に示すような比表面積を有するものが用いられている。
【0026】
(6)それから、外部電極(Cu厚膜電極上)に電解めっきを施して、Niめっき膜を形成した後、Niめっき膜上にさらにSnめっき膜を形成することにより、図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを得た。
この実施形態1で形成した外部電極の平均膜厚は約50μm、Niめっき膜の膜厚は約2μm、Snめっき膜の膜厚は約3μmである。
【0027】
それから、上述のようにして得た各試料(積層セラミックコンデンサ)について、めっき付き不良によるはんだ付き不良(実装不良)の発生率と、信頼性不良の発生率(70℃,95%RH,30Vでの耐湿負荷試験における1000hr経過後のショート不良の発生率)を調べた。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004380145
【0029】
なお、表1において、試料番号に*印を付したものは、本願発明の範囲外のものである。
【0030】
表1に示すように、
比表面積S:0.5〜0.992/g
長径B :21.1〜32.8μm
厚みT :0.921.55μm
の要件を満たすフレーク状Cu粉末を用いた試料(試料番号8〜13の試料)においては、焼き付けることにより形成された外部電極の表面にガラスの析出がなく、めっき付き性が良好で、それによるはんだ付き不良(実装不良)が発生せず、しかも、めっき液の浸入による信頼性不良の発生がないことが確認された。
【0031】
これに対し、比表面積S、長径B、厚みTのいずれかが上述の本願発明の要件を満たさない試料(試料番号1〜7,14,15の試料)については、はんだ付き不良(実装不良)あるいはめっき液の浸入による信頼性不良が発生することが確認された。
【0032】
[実施形態2]
以下に説明する方法により、図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを製造した。
【0033】
(1)まず、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体粉末(セラミック粉末)と、バインダー、可塑材、溶剤を混合したスラリーをドクターブレード法などの方法で成形したセラミックグリーンシートの表面に内部電極となる導電ペーストを印刷して電極印刷シートを形成する。
なお、この実施形態2でも、導電ペーストとしてNi粉末を主たる導電成分とする卑金属導電ペーストを用いた。
(2)そして、この電極印刷シートと、導電ペーストの印刷されていないセラミックグリーンシート(上下両面側のカバーシート)を所定枚数積層し、圧着することにより、積層圧着体を形成する。
(3)それから、この積層圧着体を所定の位置でカットし、個々の未焼成のセラミック素子を切り出す。
(4)次に、この未焼成のセラミック素子を、窒素雰囲気中において脱バインダーした後、N2−H2−H2O雰囲気中、約1300℃の温度条件で焼成することにより、セラミック素子(外部電極を形成する前の積層セラミックコンデンサ素子)を得る。
なお、このセラミック素子に別途In−Gaを塗布し、静電容量と絶縁抵抗を測定したところ、静電容量は1.0μF、絶縁抵抗は1000MΩであった。
【0034】
(5)次いで、セラミック素子にCu粉末、ホウケイ酸亜鉛系ガラス粉末、バインダー(アクリル系樹脂)、及び有機溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル系溶剤)を配合し、混練してなる導電ペーストを、ディッピング法などの方法により塗布した後、焼き付け炉にて、表2に示すようなそれぞれの温度条件で焼き付けを行い、外部電極(Cu厚膜電極)を形成する。
【0035】
ただし、この実施形態2では、導電ペーストを構成するCu粉末として、球形状Cu粉末を扁平に押し潰すことにより製造された、
比表面積S:0.62m2 /g
長径B :32.8μm
厚みT :1.21μm
のフレーク状Cu粉末を、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が表2に示すような各割合となるように球形状Cu粉末と配合してなるCu粉末を用いた。
【0036】
(6)それから、外部電極(Cu厚膜電極上)に電解めっきを施して、Niめっき膜を形成した後、Niめっき膜上にさらにSnめっき膜を形成することにより、図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを得た。
なお、この実施形態2で形成した外部電極の平均膜厚は約50μm、Niめっき膜の膜厚は約2μm、Snめっき膜の膜厚は約3μmである。
【0037】
そして、この実施形態2で得た各試料(積層セラミックコンデンサ)について、めっき付き不良によるはんだ付き不良(実装不良)の発生率と、信頼性不良の発生率(70℃,95%RH,30Vでの耐湿負荷試験における1000hr経過後のショート不良の発生率)を調べた。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004380145
【0039】
なお、表2において、試料番号に*印を付したものは、本願発明の範囲外のものである。
表2に示すように、比表面積Sが0.62m2/g、長径Bが32.8μm、厚みTが1.21μmのフレーク状Cu粉末を10〜50重量%の割合で配合したCu粉末を用いた導電ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成した試料(試料番号23〜27の試料)においては、焼き付け後の外部電極の表面にガラスの析出がなく、めっき付き性が良好で、それによるはんだ付き不良(実装不良)が発生せず、しかも、めっき液の浸入による信頼性不良の発生がないことが確認された。
【0040】
これに対し、フレーク状Cu粉末の配合割合が10〜50重量%の範囲を外れた試料(試料番号21,22,28〜30の試料)については、はんだ付き不良(実装不良)あるいはめっき液の浸入による信頼性不良が発生することが確認された。
【0041】
なお、上記実施形態では、積層セラミックコンデンサを例にとって説明したが、本願発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、積層セラミックバリスタ、積層LC複合部品、多層回路基板その他の種々のセラミック電子部品を製造する場合に適用することが可能であり、その場合にも上記実施形態1及び2の場合と同様の効果を得ることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、Niめっき膜上にSnめっき膜を形成するようにしているが、Snめっき膜の代わりにSn−Pbめっき膜を形成するようにしてもよい。
【0043】
また、本願発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、セラミック素子を構成するセラミックの種類、内部電極の構成材料などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0044】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、ガラス粉末と、バインダーと、有機溶剤とを含有する導電ペーストをセラミック素子の所定の領域に塗布して焼き付けた後、外部電極上にめっき膜を形成するようにしているので、ガラス成分(結合剤)の表面への析出や、めっき液のセラミック素子内部への浸入などを引き起こすことのない信頼性の高いセラミック電子部品を効率よく製造することができる。
すなわち、本発明においては、導電ペーストを構成するCu粉末として、フレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを配合したCu粉末を用いるようにしているので、耐めっき液浸透性に優れ、めっき液のセラミック素子内部への浸入を防止することが可能な外部電極を効率よく形成することが可能になる。
【0045】
また、請求項2のセラミック電子部品の製造方法のように、外部電極上にNiめっき膜を形成し、さらに該Niめっき膜上にSnめっき膜又はSn−Pbめっき膜を形成するようにした場合、はんだ付き性に優れた外部電極を形成することが可能になるとともに、はんだ付け工程で、Niめっき液や、Snめっき液又はSn−Pbめっき液がセラミック素子の内部にまで浸入することを防止して、信頼性の高いセラミック電子部品を確実に製造することができる。
【0046】
また、請求項3のセラミック電子部品の製造方法のように、本願発明をセラミック中にNiを主成分とする卑金属内部電極が配設された構造を有する積層セラミックコンデンサの製造方法に適用した場合、積層セラミックコンデンサ素子の内部へのめっき液の浸入がなく、かつ、外部電極のはんだ付き性に優れた信頼性の高い積層セラミックコンデンサを効率よくしかも低コストで製造することが可能になり特に有意義である。
【0047】
また、本願発明(請求項4)の導電ペーストは、比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、ガラス粉末と、バインダーと、有機溶剤とを含有しているので、本願発明の導電ペーストを用いることにより、適度な緻密さを備え、かつ、ガラス成分(結合剤)の表面への析出や、めっき液のセラミック素子の内部への浸入を防止することが可能な外部電極を効率よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の一実施形態にかかる方法により製造される積層セラミック電子部品(積層セラミックコンデンサ)の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内部電極
2 セラミック層
3a,3b 端面
4a,4b 外部電極
5 セラミック素子
6 Niめっき膜
7 Snめっき膜

Claims (4)

  1. セラミック素子に外部電極が配設された構造を有するセラミック電子部品を製造する方法であって、
    比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、ガラス粉末と、バインダーと、有機溶剤とを含有する導電ペーストをセラミック素子の所定の領域に塗布する工程と、
    導電ペーストが塗布されたセラミック素子を熱処理して、導電ペーストを焼き付けることにより、Cuを主成分とする外部電極を形成する工程と、
    前記外部電極上にめっき膜を形成する工程と、
    を具備することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記外部電極上にめっき膜を形成する工程が、前記外部電極上にNiめっき膜を形成し、さらに該Niめっき膜上にSnめっき膜又はSn−Pbめっき膜を形成する工程を備えたものであることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記セラミック素子が、セラミック中にNiを主成分とする卑金属内部電極が配設された構造を有する積層セラミックコンデンサ素子であって、前記卑金属内部電極と導通するように前記外部電極を形成することにより製造されるセラミック電子部品が積層セラミックコンデンサであることを特徴とする請求項1または2記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. セラミック素子に外部電極が配設され、前記外部電極表面にめっき膜が形成された構造を有するセラミック電子部品を製造する工程において、前記外部電極を形成するために用いられる導電ペーストであって、
    比表面積Sが0.5〜0.992/g、長径Bが21.1〜32.8μm、厚みTが0.92〜1.55μmの要件を満たすフレーク状Cu粉末と、球形状Cu粉末とを、Cu粉末全体に対するフレーク状Cu粉末の割合が10〜50重量%の割合となるように配合したCu粉末を主成分とする金属粉末と、
    ガラス粉末と、
    バインダーと、
    有機溶剤と
    を含有することを特徴とする導電ペースト。
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