JP2003320226A - 水素透過膜および水素抽出装置 - Google Patents

水素透過膜および水素抽出装置

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JP2003320226A
JP2003320226A JP2002125149A JP2002125149A JP2003320226A JP 2003320226 A JP2003320226 A JP 2003320226A JP 2002125149 A JP2002125149 A JP 2002125149A JP 2002125149 A JP2002125149 A JP 2002125149A JP 2003320226 A JP2003320226 A JP 2003320226A
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membrane
permeable membrane
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permeable
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Satoshi Aoyama
智 青山
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素透過膜を水素が透過する際に、膜強度が
不十分となるのを防止する技術を提供する。 【解決手段】 水素抽出装置10は、水素透過膜20
と、補強部材34,36と、流路部材30,32とを備
える。水素透過膜20と流路部材30との間には、水素
を含有する改質ガスの流路が形成される。水素透過膜2
0と流路部材32との間には、水素透過膜20によって
改質ガスから抽出された水素が混入するパージガスの流
路が形成される。水素透過膜20は、複数の触媒層24
を備え、水素抽出の動作は、主としてこの触媒層24が
形成される領域において行なわれる。また、触媒層24
を形成しない領域では、水素透過膜20内に水素原子が
固溶する程度が抑えられるため、膜強度が充分に確保さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水素を選択的に
透過させる水素透過膜および水素抽出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水素を含有する気体から水素を抽
出する装置としては、水素を選択的に透過させる性質を
有する金属を備える水素透過膜を利用する装置が知られ
ている。このような装置では、水素透過膜の一方の面
に、水素を含有する混合気体を接触させると、上記混合
気体中の水素が水素透過膜を透過して、水素透過膜の他
方の面において純度の高い水素を得ることができる。
【0003】このような水素透過膜のとして、バナジウ
ム(V)等の水素透過性能の高い金属膜の両側に、パラ
ジウム(Pd)膜を形成する構成が提案されている(例
えば、特開平11−276866号公報など)。パラジ
ウムは、水素透過に関わる触媒機能を有しているが、水
素透過性能ではV等に及ばない。そのため、上記構成と
することで、水素透過膜の性能を向上させることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水素透
過膜には、従来、水素を透過する際に膜強度が低下して
しまうという問題があった。すなわち、水素原子が水素
透過膜内を透過する際には、水素透過膜を構成する金属
結晶内に水素原子が固溶するが、これによって金属格子
間の結合力が弱まり、膜強度が低下してしまう。そのた
め、水素透過膜の強度の向上が望まれていた。さらに、
水素抽出装置においては、水素透過効率を向上させるた
めに水素透過膜の薄型化が図られている。水素透過膜の
薄型化は、膜強度の低下を引き起こすため、水素透過膜
の強度を向上させる要請は、さらに強まっている。
【0005】本発明は、上述した従来の課題を解決する
ためになされたものであり、水素透過膜を水素が透過す
る際に、膜強度が不十分となるのを防止する技術を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記目的を達成するために、本発明は、水素を選択的に透
過させる水素透過膜であって、水素を透過させる機能を
有する金属層で構成された膜基材と、水素透過能が相対
的に高い第1の領域と水素透過能が相対的に低い第2の
領域とが前記膜基材の中に形成されるように、前記膜基
材に設けられた水素透過能調整部とを備えることを要旨
とする。
【0007】このような水素透過膜によれば、水素を透
過させる際に、上記第2の領域においては膜内部に水素
原子が固溶する程度が抑えられる。そのため、このよう
な領域では膜強度の低下が抑えられ、水素透過膜全体の
強度を向上させることができる。上記水素透過能調整部
は、前記膜基材の表面近傍に設けられていることとして
も良い。
【0008】このような本発明の水素透過膜において、
前記金属層は、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タ
ンタル(Ta)から選択される元素を含んでいることと
すればよい。上記した各元素は、5族元素である。これ
らの元素は、水素透過性能が極めて高く、これらの元素
を膜基材に含有させることで、水素透過膜における水素
透過性能をより向上させることができる。
【0009】本発明の水素透過膜において、前記水素透
過能調整部は、前記膜基材の一方の面の近傍に形成さ
れ、前記水素透過膜上に存在する水素を前記膜基材内に
固溶させる第1の触媒部と、前記膜基材の他方の面の近
傍に形成され、前記膜基材を透過した水素を該水素透過
膜外に放出させる第2の触媒部と、を備え、前記第1の
領域は、前記膜基材のそれぞれの面において、前記第1
の触媒部と前記第2の触媒部とが形成される領域を含
み、前記第2の領域は、前記膜基材の両方の面におい
て、前記第1の触媒部と前記第2の触媒部とのいずれも
形成されない領域を含むこととしても良い。
【0010】上記第1の領域では、水素透過膜の一方の
面上に存在する水素を膜内部に透過させて他方の面側に
放出する反応が活発に進行するため、このような領域に
おいて、水素を透過させる反応を所望の程度に充分に行
なうことが可能となる。また、上記第2の領域では、上
記第1の触媒部を介して膜内部に固溶した水素が透過す
る現象に関与することが少ないため、膜強度が損なわれ
ることがなく、水素透過膜全体の強度を維持するために
働くことができる。
【0011】このような水素透過膜において、前記第1
の触媒部と前記第2の触媒部の内の少なくとも一方は、
前記水素透過膜表面において複数に分離された形状を有
しており、前記水素透過膜表面において、前記複数に分
離された触媒部以外の領域は互いに連続していることと
しても良い。
【0012】このような構成とすることで、水素を透過
させる反応が抑制される第2の領域が、膜内で互いに連
続した形状に形成されるため、水素透過膜全体の強度を
さらに向上させることができる。
【0013】上記水素透過膜において、前記第1の触媒
部と前記第2の触媒部とは、前記膜基材を間に挟んで対
向する位置にあることとしても良い。このような構成と
すれば、第1の触媒部と第2の触媒部とが重なって形成
される領域では、水素を透過させる動作がより活発に進
行する。このような場合に、第1の触媒部と第2の触媒
部とを、ほぼ同じ大きさに形成しても良い。
【0014】また、このとき、前記第1の触媒部は、前
記第2の触媒部よりも大きな面積を有することとしても
良い。通常は、水素透過の動作を律速するのは、第2の
触媒部において水素分子を放出する反応ではなく、第1
の触媒部において水素原子を膜内部に固溶する反応であ
る。そのため、このような構成とすることで、水素透過
の動作を損なうことなく膜強度を高めることができ、ま
た、第2の触媒部を形成するために要する材料を削減す
ることが可能となる。
【0015】上記した本実施例の水素透過膜において、
前記第1および第2の触媒部は、パラジウム(Pd)、
白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(R
u)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、金(Au)、
レニウム(Re)、ニッケル(Ni)から成る群より選
択される少なくとも1種類の金属元素を含有することと
しても良い。水素を透過させる性質を有する膜基材上
に、これらの元素を含有する触媒部を形成することで、
この触媒部において水素透過に関わる反応を進行させる
ことができる。
【0016】本発明の水素透過膜において、前記水素透
過能調整部は、前記第1の触媒部と前記膜基材との間、
および、前記第2の触媒部と前記膜基材との間の、少な
くとも一方において形成され、水素原子が透過するのを
抑制する阻害層を備えることとしても良い。
【0017】このような構成とすれば、阻害層において
水素原子の透過が妨げられることで、前記第2の領域が
形成され、この阻害層の近傍においては水素原子が固溶
する程度を抑えることができる。
【0018】また、本発明の水素透過膜において、前記
第2の領域は、前記水素を透過させる金属とは異なる元
素を含み、これによって前記膜基材が水素を透過させる
働きを低下させていることとしても良い。すなわち、水
素透過能調整部が、水素を透過させる金属とは異なる元
素を含むことで、前記第2の領域が形成されることとし
ても良い。このような領域では、膜基材に水素原子が固
溶する程度が抑えられ、膜強度が確保される。
【0019】また、本発明の水素透過膜において、前記
金属層は、複数種の金属元素を含み、前記第2の領域
は、前記複数種の金属元素の内、水素を透過させる働き
が比較的小さい元素を、前記第1の領域に比べてより大
きい割合で含有していることとしても良い。すなわち、
水素透過能調整部において、水素を透過させる働きがよ
り小さい元素をより大きな割合で含有することで、前記
第2の領域が形成されることとしても良い。ここで、水
素を透過させる働きが比較的小さい元素とは、この元素
の混入される量が増すほど上記金属層における水素透過
能が低下する元素であれば良く、実質的には水素透過能
を有しない元素であっても良い。
【0020】本発明は、上記以外の種々の形態で実現可
能であり、例えば、水素透過膜の製造方法や、水素透過
膜を備える水素抽出装置などの形態で実現することが可
能である。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて以下の順序で説明する。 A.システムの全体構成: B.水素抽出装置10の構成: C.水素透過膜20の構成: D.水素透過膜20の製造方法: E.第2〜7実施例: F.変形例:
【0022】A.システムの構成:図1は、実施例とし
ての水素抽出装置を備える燃料電池システム50の概略
構成を示す説明図である。燃料電池システム50は、改
質燃料を貯蔵する燃料タンク52、水を貯蔵する水タン
ク54、改質燃料および水の昇温と混合を行なう蒸発・
混合部56、改質反応を促進する改質触媒を備える改質
器58、水素抽出装置10、燃料電池60、ブロワ62
を主な構成要素としている。
【0023】燃料タンク52が貯蔵する改質燃料は、改
質器58で進行する改質反応に供されるものであり、こ
の改質燃料としては、ガソリンなどの液体炭化水素や、
メタノールなどのアルコールやアルデヒド類、あるいは
天然ガスなど、改質反応によって水素を生成可能な種々
の炭化水素系燃料を選択することができる。蒸発・混合
部56は、燃料タンク52から供給される改質燃料およ
び水タンク54から供給される水を気化・昇温させると
共に両者を混合するための構造である。
【0024】蒸発・混合部56から排出された改質燃料
と水との混合ガスは、改質器58において改質反応に供
されて改質ガス(水素リッチガス)を生成する。ここ
で、改質器58には、用いる改質燃料に応じた改質触媒
が備えられており、この改質燃料を改質する反応に適し
た温度となるように、改質器58の内部温度が制御され
る。また、改質器58で進行する改質反応は、水蒸気改
質反応や部分酸化反応、あるいは両者を組み合わせたも
のなど種々の態様を選択することができ、改質触媒は、
このように改質器58内で進行させる改質反応に応じた
ものを選択すればよい。
【0025】改質器58で生成された改質ガスは、水素
抽出装置10内の改質ガス流路に供給されて、改質器5
8内においてこの改質ガスから水素が分離・抽出され
る。抽出された水素は、水素抽出装置10内のパージガ
ス流路から排出されて、燃料電池60のアノード側に対
して燃料ガスとして供給される。また、燃料電池60の
カソード側に対しては、ブロワ62から圧縮空気が酸化
ガスとして供給される。これら燃料ガスおよび酸化ガス
を利用して、燃料電池60では電気化学反応によって起
電力が生じる。なお、本実施例の水素抽出装置10で
は、改質ガスから水素を抽出する際に、パージガスを用
いることとしたが、パージガスについては後述する。
【0026】また、図1では、燃料電池システムとして
の主要な構成要素を示したが、上記したように改質燃料
としては種々のものが選択可能であり、用いる改質燃料
に応じて燃料電池システム50の構成は適宜変更すれば
よい。例えば、用いる改質燃料が硫黄分を含有する場合
には、蒸発・混合部56に先立って脱硫器を設けて改質
燃料の脱硫を行なうこととすればよい。あるいは、改質
器58と水素抽出装置10との間にさらに、改質ガス中
の一酸化炭素濃度を低減する装置を設けることとしても
良い。改質ガス中の一酸化炭素濃度を低減する装置とし
ては、例えば、一酸化炭素と水蒸気とから二酸化炭素と
水素を生じるシフト反応を促進するシフト触媒を備える
シフト部や、改質ガス中の一酸化炭素を優先的に酸化す
る一酸化炭素選択酸化反応を促進するCO選択酸化触媒
を備えるCO選択酸化部などを挙げることができる。
【0027】B.水素抽出装置10の構成:図2は、水
素抽出装置10の構成を示す分解斜視図である。水素抽
出装置10は、水素透過膜20と、補強部材34,36
と、流路形成部材30,32とを備えている。
【0028】水素透過膜20は、水素を透過させる金属
からなる薄膜状の膜基材と、この膜基材の両方の面上に
それぞれ複数個ずつ形成される触媒層24(図2では、
補強部材34と接する面上に形成される触媒層24だけ
を示した)とを備えている。上記複数の触媒層24は、
いずれも略同一の大きさの長方形状に形成されており、
縦横に規則的に配置されている。この触媒層24におい
て、水素抽出に関わる反応が実際に進行する。水素透過
膜20の詳しい構成については後述する。
【0029】補強部材34,36は、水素透過膜20が
損傷するのを防止して水素抽出装置10の耐久性を高め
るために、水素透過膜20を両側から挟持するように配
設する金属製の薄板状部材である。補強部材34,36
は、水素抽出装置10の内部環境において安定である金
属によって構成されている。この補強部材34,36の
厚みは、水素抽出装置10に給排されるガス圧や、水素
抽出装置10に要求される強度、あるいは水素抽出装置
10に対する小型化・軽量化の要求等を考慮して、適宜
設定すればよい。本実施例では、補強部材34,36の
厚みは、いずれも100μmとした。補強部材34,3
6は、それぞれ、複数の穴部35,37を備えている。
補強部材34が備える穴部35は、この補強部材34と
接する水素透過膜の面上に形成される触媒層24に対応
する位置に設けられ、これらと略同一形状に形成されて
いる。また、補強部材36が備える穴部37は、この補
強部材36と接する水素透過膜の面上に形成される触媒
層24に対応する位置に設けられ、これらと略同一形状
に形成されている。
【0030】流路形成部材30,32は、水素透過膜2
0との間に、ガス流路を形成するために、上記補強部材
34,36のさらに外側に配設する部材である。流路形
成部材30,32を構成する材料としては、チタン(熱
膨張係数が5族金属に近い)、銅(熱伝導率が高い)、
アルミニウム(軽量)を始めとする種々の金属を選択す
ることができる。特に、補強部材34,36と同種の金
属によって構成することとすれば、後述する拡散接合を
より容易に行なうことが可能になる。また、流路形成部
材30は、その表面に、凸部31を備える凹凸形状を有
し、この凹凸形状によって水素透過膜20との間に、水
素含有気体である改質ガスが通過する改質ガス流路を形
成する。同様に、流路形成部材32は、その表面に、凸
部33を備える凹凸形状を有する。そして、この凹凸形
状によって水素透過膜20との間に、水素透過膜20を
透過した水素が流入するパージガスが流れるパージガス
流路を形成する。なお、凸部31,33において、隣り
合う凸部間の距離は、水素透過膜20上に設けられた触
媒層24の一辺の長さに略等しくなっている。そして、
流路形成部材30,32は、後述するように、凸部3
1,33が触媒層24に重ならないように配設される
【0031】ここで、パージガスとは、水素透過膜によ
る水素抽出の効率を向上させるために、抽出された水素
が流入する側の流路に供給するガスを指す。すなわち、
水素抽出装置10では、パージガス流路にパージガスを
流して、水素透過膜を透過して改質ガスから抽出された
水素をパージガスによって運び去ることによって、パー
ジガス流路側における水素濃度を常に低く抑え、水素抽
出の効率の確保を図っている。パージガスとしては、水
素抽出装置10から取り出した水素を用いる後の工程で
不都合を生じない気体であって、充分に水素濃度が低い
気体を、目的に応じて適宜選択すればよい。本実施例で
は、既述したように、パージガスとして水蒸気を用いて
いる。なお、本実施例のようにパージガスとして水蒸気
を用いる場合には、燃料電池60に先立って凝縮器を設
け、燃料ガスとして燃料電池60に供給する水素ガス中
の過剰な水蒸気を取り除くこととしても良い。
【0032】水素抽出装置10を組み立てる際には、上
記各部材を図2に示した順序で積層して、隣接する部材
同士を接合させる。なお、積層の際には、流路形成部材
30,32が備える凸部31,33の端面が、補強部材
34,36が備える穴部35,37や、水素透過膜20
が備える触媒層24とは重ならないように、各部材を配
設している。また、各部材の接合は、拡散接合によって
行なった。拡散接合とは、接合したい金属部材同士を、
融点よりも低い温度で加熱・加圧し、原子の拡散を利用
して接合する周知の接合方法である。なお、各部材の接
合方法としては、上記した拡散接合の他、ろう付けや溶
接など、他の方法を用いることとしても良い。
【0033】上記のように組み立てた水素抽出装置10
は、改質器58から改質ガスが排出される流路57(図
1参照)、および、燃料電池60に燃料ガスを供給する
流路59(図1参照)に対して接続される。これによっ
て、改質器58から排出された改質ガスは、流路形成部
材30と水素透過膜20との間に形成される改質ガス流
路内に供給される。この改質ガスは、補強部材34の穴
部35を介して、水素透過膜20の面のうちの補強部材
34と接する側の面上の触媒層24に到達する。そし
て、改質ガス中の水素は、水素透過膜20のもう一方の
面上に形成された触媒層24上に透過して、補強部材3
6の穴部37を介して、流路形成部材32と水素透過膜
20との間に形成されるパージガス流路内のパージガス
に混入する。その後、上記水素は、パージガスと共に燃
料電池60側に排出される。
【0034】C.水素透過膜20の構成:図3は、水素
透過膜20の構成を表わす断面図である。既述したよう
に、水素透過膜20は、膜基材22と、この膜基材22
の両面にそれぞれ複数個形成される触媒層24とを備え
ている。図3に示すように、本実施例の水素透過膜20
では、膜基材22の一方の面上に形成される触媒層24
と、他方の面上に形成される触媒層24とは、膜基材2
2を間に挟んで互いに一致する位置に設けられている。
なお、図3では、補強部材34,36および流路形成部
材30,32の記載は省略しており、改質ガスとパージ
ガスとが、水素透過膜20のそれぞれの面上を対向する
向きに流れる様子を矢印で示した。
【0035】このような水素透過膜20において、水素
分子は、図4に示すような工程で、この水素透過膜20
を透過すると考えられている。すなわち、水素分子は、
まず、改質ガス流路側の触媒層24において2つの水素
原子に解離する。解離した水素原子は、この触媒層24
および膜基材22内を順次透過して、対向する面上の触
媒層24へと到達する。なお、このように水素原子が水
素透過膜20内を透過する際には、水素原子は、水素透
過膜20を構成する金属結晶内に固溶した状態となって
いると考えられる。そして、対向する面上の触媒層24
において、水素原子は再結合し、水素分子となる。
【0036】改質ガス流路側の触媒層24は、上記した
ように、改質ガス流路を流れる改質ガス中に含まれて水
素透過膜20上に存在する水素を、膜基材22内に固溶
させる働きを有する。また、パージガス流路側の触媒層
24は、膜基材22を透過した水素を、パージガス流路
内に放出させる働きを有する。このような反応を促進す
る活性を有する金属としては、パラジウム(Pd)、白
金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、
イリジウム(Ir)、銀(Ag)、金(Au)等の貴金
属や、レニウム(Re)、ニッケル(Ni)およびこれ
らの合金を挙げることができる。触媒層24は、上記し
た金属の中から選択される1種以上の金属を備える。
【0037】膜基材22は、上記したように、触媒層2
4において取り込まれた水素原子を、内部に固溶した状
態で、対向する面側の触媒層24へと透過させる。この
ような水素透過性を有する金属としては、バナジウム
(V)、ニオブ(Nb)、Ta(タンタル)といった5
族の金属およびこれらの合金を挙げることができる。膜
基材22は、上記した金属の中から選択される1種以上
の金属を備える。
【0038】なお、図4では、本実施例の水素透過膜2
0として、膜基材22はバナジウム(V)で構成し、触
媒層24はパラジウム(Pd)で構成する様子を示し
た。上記したように、Pdは、水素の解離・再結合を促
進する触媒としての機能と、水素を透過させる機能とを
有しているが、水素透過性能は、Pdに比べるとVのほ
うがかなり優れている。
【0039】D.水素透過膜20の製造方法:図5は、
水素透過膜20の製造工程を示す説明図である。水素透
過膜20を製造する際には、まず、膜基材22として用
いる薄板状金属部材を用意する(ステップS100)。
この薄板状金属部材の厚さは、他の部材と共に積層して
水素抽出装置10を構成したときの強度や、水素透過の
効率などを考慮して適宜設定すればよい。例えば、この
薄板状金属部材は、1〜数10μmの厚さの箔状の部材
とすることができる。
【0040】その後、上記薄板状金属部の両面それぞれ
に、所定の形状の複数の触媒層24を形成して(ステッ
プS110)、水素透過膜20を完成する。本実施例で
は、上記膜基材22としてのバナジウム箔の表面をエッ
チングによって清浄して、酸化物などの不純物を表面か
ら除去した後に、触媒層24であるパラジウム(Pd)
層を形成した。このような触媒層24は、触媒層24の
形状に応じたマスキングを膜基材22上に施してから、
電解めっきや無電解めっき、スパッタ法、イオンプレー
ティング法、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PV
D)などによって形成する。触媒層24は、既述した水
素透過に関わる触媒機能を有していれば良く、例えば
0.1〜1μm、好ましくは0.2〜0.5μmの厚さ
に形成する。触媒層24を構成する金属の有する水素透
過能が、膜基材22を構成する金属の有する水素透過能
に比べて不十分である場合には、触媒層24をより薄く
形成することが望ましい。
【0041】以上のように構成された本実施例の水素透
過膜20を備える水素抽出装置10によれば、水素透過
膜20において水素の給排に関わる気体(改質ガスある
いはパージガス)と接触する領域のうち、限られた領域
に触媒層24を設けているため、水素透過膜20の強度
を高めて水素抽出装置10の耐久性を向上させることが
できる。このような効果は、水素透過膜20において、
水素透過が起こる程度が部位によって異なることによっ
て得られる。
【0042】水素透過膜20を水素が透過するときに
は、改質ガス流路側に設けられた触媒層24から水素原
子が膜内に入り込み、パージガス流路側に設けられた触
媒層24から水素が放出される。そして、触媒層24が
形成されない膜表面においてはこのような反応が起こら
ない。そのため、水素透過膜20表面の限られた領域に
触媒層24を設けることで、水素透過膜20内におい
て、水素が活発に透過する膜内領域と、水素透過に関わ
る程度が低い膜内領域とが形成される。
【0043】ここで、水素透過膜20内を水素が透過す
る際には、既述したように水素透過膜20を構成する金
属内に水素原子が固溶する状態となる。このような固溶
体はいわゆる侵入型固溶体といわれるものであり、金属
結晶の格子点の隙間に水素が入り込んでおり、このよう
な状態となるとき水素透過性金属の強度は低下する。上
記した水素透過に関わる程度が低い膜内領域は、水素原
子との固溶に起因して膜強度が低下するのが抑えられる
ため、このような膜内領域を形成することによって、水
素透過膜20の強度を高めることができる。また、水素
が固溶するときには、水素透過膜20が膨張する。上記
した水素透過に関わる程度が低い膜内領域は、このよう
な膜膨張が抑えられることにより、水素透過膜20に歪
みが生じるのが抑えられ、膜の耐久性をさらに向上させ
ることができる。
【0044】また、本実施例の水素透過膜20は、膜表
面において触媒層24を島状に形成されており、触媒層
24が形成されていない領域が互いに連続する状態とな
る。そのため、上記水素透過に関わる程度が低い膜内領
域も互いに連続して形成され、膜全体の膨張が効果的に
抑えられて、水素透過膜20の強度を高める効果がさら
に向上する。特に、本実施例の水素透過膜20では、触
媒層24は、膜を挟んで互いに一致する位置に形成され
ているため、水素原子が固溶する程度の小さい膜内領域
が確実に形成され、膜強度を容易に確保することができ
る。さらに、本実施例の水素抽出装置10では、穴部3
5,37を備える補強部材34,36を配設しているた
め、水素抽出の効率を低下させることなく、水素透過膜
20の耐久性をさらに高めることができる。
【0045】E.第2〜7実施例: (E−1)第2実施例:図6は、第2実施例の水素透過
膜120の構成を表わす断面図である。第2実施例の水
素透過膜120は、第1実施例と同様の水素抽出装置に
おいて用いられるものであり、ここでは膜の構成につい
て説明する。なお、第1実施例の水素透過膜20と共通
する部分には同じ参照番号を付し、詳しい説明を省略す
る。水素透過膜120は、膜基材22と、その表面に形
成される複数の触媒層24,124とを備えている。触
媒層24,124,は、第1実施例の触媒層24と同様
に長方形状に形成されており、膜基材22上において、
縦横に規則的に配置されている。ここで、第2実施例の
水素透過膜120では、改質ガス流路側に形成される触
媒層24と、パージガス流路側に形成される触媒層12
4とは、膜を挟んで互いに対応する位置に形成されてい
るが、触媒層24は、触媒層124に比べて小さく形成
されている。また、このような水素透過膜120を備え
る水素抽出装置では、補強部材34,36が備える穴部
35,37は、それぞれ、触媒層24、124に対応す
る大きさおよび位置に形成すれば良い(図示せず)。
【0046】このような水素透過膜120によれば、膜
強度を向上する効果をさらに効果的に得ることができ
る。触媒層24をより広く形成すると、水素が活発に透
過する膜内領域が、改質ガス側の表面近くでより広く形
成され、このような膜内領域は水素原子が固溶すること
で膨張する。ここで、改質ガスから水素を抽出する際に
は、改質ガス側の水素分圧を高めて水素抽出効率を向上
させるために、通常は、パージガスに比べて改質ガスの
圧力を高くする。そのため、改質ガス側の触媒層24を
より広く形成することによって、膜が膨張しようとする
ことで水素透過膜120から改質ガスに対向して働く応
力を強めることができ、膜強度を維持する上で有利とな
る。
【0047】なお、水素が透過する際には、パージガス
流路側における触媒層で進行する反応の方が、改質ガス
流路側における触媒層で進行する反応に比べて活発に進
行する。そのため、パージガス流路側の触媒層124を
より小さくしても、水素透過の効率が損なわれるおそれ
がない。また、このような構成とすることで、水素透過
の効率を損なうことなく、パージガス側の触媒層を形成
するために用いる金属量を削減することができる。
【0048】(E−2)第3実施例:図7は、第3実施
例の水素透過膜220の構成を表わす断面図である。こ
の水素透過膜220は、第2実施例の水素透過膜120
とほぼ同様の構成を有しているが、改質ガスと接する面
には、全面に触媒層224が設けられている。
【0049】このような水素透過膜220を用いて水素
抽出の動作を行なうと、水素透過膜220では、改質ガ
ス流路側の表面付近では、膜の全面にわたって、水素が
活発に透過する膜内領域が形成される。また、パージガ
ス流路側の表面付近では、触媒層24が形成されない膜
表面の近傍において、水素を透過させる反応がより抑制
された膜内領域が形成される。そのため、水素透過膜2
20によれば、第2実施例の水素透過膜120と同様の
効果を得ることができる。また、触媒層224は、水素
透過膜220の一方の面の全面を覆うように形成される
ため、これを形成するための動作をより簡素化し、より
容易に形成することが可能となる。
【0050】なお、水素透過膜220を備える水素抽出
装置では、図2の水素抽出装置10において水素透過膜
20と流路形成部材30との間に配設した補強部材34
に対応する部材は、設けないこととしても良い。
【0051】(E−3)第4実施例:図8は、第4実施
例の水素透過膜320の構成を表わす断面図である。こ
の水素透過膜320は、第1実施例の水素透過膜20と
類似する構成を有しており、両方の表面のそれぞれにお
いて、膜基材22を間に挟んで互いに一致する位置に、
複数の触媒層324を備えている。さらに、水素透過膜
320では、膜表面に形成されて互いに隣接する触媒層
324間の距離が、膜全体で不均一となっている。すな
わち、水素透過膜320表面において、上流の改質ガス
と接する領域では、隣接する触媒層324間の距離がよ
り広く形成されており、下流の改質ガスと接する領域で
は、隣接する触媒層324間の距離がより狭く形成され
ている。
【0052】このように、改質ガスの上流側と接する領
域ほど、水素が活発に透過する膜内領域が形成される割
合を低くすることで、膜強度を向上させる効果を高める
ことができる。改質ガスの上流側ほど気体中の水素濃度
が高く、水素が透過する動作が活発に起こって(水素の
固溶量が増えて)膜強度が低下し易いため、水素が活発
に透過する膜内領域が形成される割合を抑えることで、
膜強度を確保することができるのである。また、改質ガ
スの下流側は水素濃度が低いため、水素透過膜320に
おいてこのような下流側改質ガスと接触する領域では、
水素固溶による膜強度の低下が比較的少なくなる。その
ため、下流側改質ガスと接触する領域では、触媒層32
4の形成される割合を増やして、水素透過量を確保して
も、膜強度が低下してしまうことが少ない。
【0053】なお、水素透過膜320では、改質ガスと
パージガスとは対向する向きに流れるため、パージガス
と接触する面では、パージガスの上流側ほど、触媒層3
24の形成される割合が大きくなっている。これに対し
て、図8の水素透過膜320において、改質ガスとパー
ジガスとを同じ向きに流すこととしても良い。このよう
な場合には、パージガス流路側の面において、下流側の
パージガスと接触する領域ほど、触媒層324が形成さ
れる割合が高くなる。ここで、改質ガスは下流側ほど水
素濃度が低く、パージガスは下流側ほど水素濃度が高く
なる。そのため、改質ガスとパージガスとを同じ向きに
流す場合には、膜を間に介した改質ガスとパージガスと
の間の水素濃度差は、下流側ほど小さくなり、下流側で
の水素透過の効率は低下する。上記のように、下流側の
ガスと接触する領域ほど触媒層324が形成される割合
を高めることで、膜強度を確保しつつ、水素濃度差が小
さい下流側での水素透過を促進することができる。
【0054】上記第4実施例では、各触媒層324の大
きさは略同一で、隣り合う触媒層324間の距離を異な
らせることとした。これに対して、個々の触媒層324
の大きさを、改質ガスの上流側に対応する領域と下流側
に対応する領域とで異ならせることによって、触媒層が
形成される割合を異ならせることとしても良い。
【0055】(E−4)第5実施例:図9は、第5実施
例の水素透過膜420の構成を表わす断面図である。こ
の水素透過膜420は、膜基材22と、膜基材22上に
形成される触媒層424と、膜表面の所定の領域におい
て膜基材22と触媒層424との間に形成される阻害層
26とを備えている。膜基材22および触媒層424
は、既述した実施例と同様の材料によって形成されてい
る。阻害層26は、触媒層424と膜基材22との間の
水素透過を阻害する層であり、膜基材22および触媒層
424を構成する金属に応じて、これらの金属に比べて
水素を透過する機能が充分に低い金属を選択して形成さ
れる。阻害層26を構成する金属としては、例えば、鉄
(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アル
ミニウム(Al)等から選択することができる。
【0056】図10は、水素透過膜420の製造工程を
表わす説明図である。水素透過膜420を製造する際に
は、まず、膜基材22として用いる薄板状金属部材を用
意する(ステップS200)。この工程は、図5におけ
るステップS100と同様の工程である。次に、上記薄
板状金属部材の両面の所定の場所に、阻害層26を形成
する(ステップS210)。ここで、阻害層26を形成
する領域は、図2に示した水素抽出装置においてこの水
素透過膜420を用いたときに、補強部材34,36と
接触する領域に対応する領域である。既述した水素透過
を妨げる金属によって阻害層26を形成する方法として
は、電解めっきや無電解めっき、スパッタ法、イオンプ
レーティング法、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法
(PVD)、ろう付けなど、種々の方法を用いることが
できる。
【0057】阻害層26を形成した後は、この阻害層2
6を備える上記薄板状金属部材の両面全面に、触媒層4
24を形成して(ステップS220)、水素透過膜42
0を完成する。これにより、水素透過膜420は、第1
実施例の水素透過膜20において触媒層24が形成され
る領域と対応する領域では、膜基材22上に触媒層42
4だけが形成される状態となる。また、水素透過膜20
において触媒層24が形成されていない領域と対応する
領域では、膜基材上に阻害層26と触媒層424とが形
成される状態となる。水素透過膜420を用いて水素の
抽出を行なう際には、阻害層26が形成されない領域に
おいては水素透過が活発に行なわれる。しかしながら、
阻害層26が形成される領域では、触媒層424から膜
基材22への水素透過が妨げられることにより、水素透
過の動作が抑制される。
【0058】このような第5実施例の水素透過膜420
によれば、既述した実施例と同様に、水素が活発に透過
する膜内領域と、水素透過に関わる程度が低い膜内領域
とが形成されることにより、膜強度を向上させる効果を
得ることができる。
【0059】なお、水素透過を妨げる阻害層26は、上
記したような金属材料以外の材料、例えば樹脂、セラミ
ックス、または水素透過性を有する金属をその領域のみ
酸化、窒化、炭化させたもの、によって形成しても良
い。水素抽出装置に組み込んだときに、充分安定な材料
であればよい。また、ステップS220とステップS2
10の順序を逆にして、触媒層424上の所定の領域
に、阻害層26を形成することとしても良い。
【0060】さらに、ステップS210において阻害層
26を形成した後に、触媒層424を形成するのに先立
って、熱処理を施し、膜基材22を構成する金属中に、
阻害層26を構成する金属を拡散させることとしても良
い。阻害層26を構成する金属を、膜基材22中に拡散
させる様子を、図11に示す。阻害層26を形成した後
に、このような部材を所定の高温に曝すと、膜基材22
において、阻害層26との接触部を中心にして、阻害層
26を構成する金属が拡散する。図11では、このよう
な拡散が主として起こっている拡散領域27の様子を示
している。このように異なる金属が内部に拡散すると、
膜基材22における水素透過能が低下する。そのため、
上記熱処理を行なえば、水素透過膜420のように阻害
層26によって膜基材22との間の水素透過が妨げられ
るだけでなく、膜基材22内部の所定の領域において、
水素透過が積極的に抑えられ、膜強度が確保される。ま
た、熱処理により異種金属を拡散させる場合には、図1
1に示すように、水素透過が抑えられる拡散領域27
は、膜基材22の膜厚方向に対して傾斜して形成され
る。そのため、水素透過膜を水素抽出装置に組み込んで
水素の抽出を行なう際には、水素透過膜において膜膨張
による応力集中が緩和され、膜強度がさらに向上する。
【0061】なお、通常は、上記熱処理の温度を高くす
るほど、異種金属が内部に拡散する程度が増す。そのた
め、熱処理の温度は、水素抽出装置の使用温度よりも高
い温度に設定することとすればよい。例えば、水素抽出
装置の使用温度が300〜500℃であれば、500〜
700℃で熱処理することとすればよい。あるいは、水
素抽出装置の使用中に、拡散領域27がある程度拡散す
ることを許容するなら、上記熱処理温度を水素抽出装置
の使用温度以下に設定することも可能である。
【0062】(E−5)第6実施例:膜基材22に異種
物質を混入させて、膜基材22の特定領域における水素
透過性を抑える他の構成を、第6実施例として以下に説
明する。図12は、第6実施例の水素透過膜520の製
造工程を表わす説明図である。また、図13は、図12
の製造工程に従って水素透過膜520を製造する様子を
模式的に表わす説明図である。
【0063】水素透過膜520を製造する際には、ま
ず、膜基材22として用いる薄板状金属部材を用意する
(ステップS300)。この工程は、図5におけるステ
ップS100と同様の工程である。次に、上記薄板状金
属部材に対して、イオン注入を行なう(ステップS31
0)。イオン注入とは、放電などにより原子をイオン化
し、高電圧を用いて上記イオンを加速することによっ
て、固体中にイオンを注入する操作をいう。このイオン
注入の動作は、膜基材22に対して、予めマスキングを
施した上で行なう(図13(A)参照)。膜基材22上
に配設したマスク521は、所定の形状の穴部を有して
いる。本実施例では、マスク521は、図2に示した補
強部材34と同様の形状を有することとした。このマス
ク521を介してイオン注入を行なうことで、膜基材2
2におけるマスク521の穴部に対応する領域に対し
て、膜基材22を構成するのとは異なる元素が打ち込ま
れる。注入する元素としては、酸素(O)、窒素
(N)、炭素(C)あるいは、膜基材22を構成するの
とは異なる金属元素を用いることができる。イオン注入
が行なわれて、膜基材22において注入領域523が形
成される様子を、図13(B)に示す。
【0064】その後、マスク521を除去して、膜基材
22上に触媒層524を形成して(ステップS32
0)、水素透過膜520を完成する。完成した水素透過
膜520の様子を図13(C)に示す。なお、触媒層5
24は、既述した実施例の触媒層と同様のものである。
このような水素透過膜520によれば、イオン注入によ
って異種元素を膜基材22に注入することで、限られた
領域で水素透過が抑えられるため、既述した実施例と同
様に膜強度を向上させることができる。
【0065】上記のように、第6実施例では、膜基材2
2として用いる薄板状金属部材に対して、膜基材22を
構成するのとは異なる元素を打ち込んで、水素透過能を
抑えることとした。これに対して、膜基材22が複数種
の金属元素を含有する場合に、膜基材22を構成する金
属元素の内で比較的水素を透過する働きが小さい元素
を、所定の領域にさらに打ち込んで、水素透過能を抑え
ることとしても良い。例えば、上記第6実施例と同様の
方法で水素透過膜を製造する際に、図12に示したステ
ップS300ではバナジウム−ニッケル(V−Ni)合
金から成る薄板状金属部材を用意し、ステップS310
では、注入領域523を形成するために、イオン注入に
よってニッケルを注入することとしても良い。
【0066】なお、図12において、ステップS310
とステップS320との順序を逆にして、膜基材22上
に触媒層524を形成した後に、イオン注入を行なうこ
ととしても良い。注入の際の電圧を制御することによっ
て、固体内にイオンを注入する深さを調節することがで
きるため、触媒層524を先に形成することも可能であ
る。
【0067】また、図12のステップS310におい
て、イオン注入に代えてレーザ照射を行なうこととして
も良い。このようにして水素透過膜620を製造する様
子を、図14に模式的に表わす。既述した実施例と同様
の膜基材22に対してレーザ照射を行なうと(図14
(A))、照射された領域が高温となることによって酸
化される。レーザ照射によって膜基材22の所定の領域
が酸化されて、酸化領域623が形成された様子を図1
4(B)に示す。ここで、レーザ照射は、実施例1の水
素透過膜20において触媒層24が形成されていない領
域に対応する領域に対して行なうこととする。レーザ照
射の後、上記第6実施例の触媒層524と同様の触媒層
524を形成した様子を図14(C)に示す。
【0068】このように、レーザ照射によって膜基材2
2の所定の領域を酸化させることによっても、この領域
において膜基材22の水素透過性を抑えることができ、
既述した実施例と同様に、水素抽出を行なう際の膜強度
を向上させる効果を得ることができる。
【0069】(E−6)第7実施例:また、水素透過膜
と補強部材とを一体化させることによって、水素透過膜
の所定の領域における水素透過性を制限することとして
も良い。このような構成を第7実施例として以下に説明
する。図15は、第7実施例の水素透過膜720の製造
工程を表わす説明図であり、図16は、水素透過膜72
0を製造する様子を模式的に表わした説明図である。水
素透過膜720を製造する際には、まず、膜基材22と
して用いる薄板状金属部材を用意する(ステップS40
0)。この工程は、図5におけるステップS100と同
様の工程である。次に、上記膜基材22上に、図2に示
したのと同様の(水素分離に関わる触媒機能を有しない
金属から成る)補強部材34を接合する(ステップS4
10)。この様子を図16(A)、(B)に示す。接合
の方法としては、拡散接合や、レーザ照射による溶接が
挙げられる。
【0070】その後、触媒層24を形成して(ステップ
S420)、水素透過膜720を完成する。触媒層24
を形成する際には、まず、膜基材22上に接合した補強
部材34の表面を、マスク721で覆う(図16(C)
参照)。そして、既述した実施例と同様にして、触媒層
24を形成する。触媒層24を形成した後にマスク72
1を除去して、水素透過膜720を完成した様子を、図
16(D)に示す。これによって、第1実施例と同様の
形状の触媒層24が、膜基材22上に形成される。な
お、図16では、水素透過膜720の一方の面だけを示
したが、もう一方の面においても、補強部材36を接合
して同様の処理を並行して行なっている。
【0071】このような水素透過膜720によれば、膜
基材22上に触媒機能を有しない補強部材を接合するこ
とで、限られた領域で水素分離に関わる反応が抑えられ
るため、既述した実施例と同様に膜強度を向上させるこ
とができる。特に、接合の際に拡散接合を行なう場合に
は、補強部材を構成する金属が膜基材22内に拡散し
て、膜基材22内において水素透過が抑えられる領域が
形成されるため、このような領域における水素の固溶が
確実に抑えられる。
【0072】なお、上記実施例では、膜基材22上に補
強部材を接合した後に、触媒層24を形成することとし
たが、触媒層24を先に形成した後に、補強部材を接合
する構成も可能である。例えば、膜基材22上の全面
に、あるいは、触媒層24として機能することになる所
定の領域に触媒層24を形成し、その後、補強部材をレ
ーザ照射により接合すればよい。
【0073】また、水素透過性と触媒機能の両方を有す
る金属によって水素透過膜全体を形成する、すなわち膜
基材と触媒層とを同一の金属で形成する場合にも、上記
実施例と同様の構成を適用することができる。例えば、
パラジウムによって、膜基材と触媒層とが一体である水
素透過膜を製造し、その両面に上記補強部材34,36
を拡散接合すれば、補強部材34,36の穴部に対応す
る領域においてだけ水素分離に関わる反応が進行する。
また、補強部材を構成する金属分子が膜内に拡散するこ
とで、補強部材の接合部の近傍の膜内においては、水素
透過能が抑えられる領域が形成される。これによって、
水素抽出の動作の際に膜強度を確保できるという同様の
効果を得ることができる。
【0074】F.変形例:なお、この発明は上記の実施
例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲において種々の態様において実施することが
可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0075】F1.変形例1:既述した実施例の水素抽
出装置では、補強部材34,36は、薄板状部材によっ
て形成し、触媒層を形成していない領域に対応する形状
を有することとしたが、異なる構成としても良い。例え
ば、補強部材を、金属メッシュによって構成することと
しても良い。改質ガスなどの水素含有気体が、改質ガス
流路側の触媒部に到達可能であれば、あるいは、水素透
過膜を透過して膜表面に到達した水素が、パージガス内
に流入可能であればよい。水素透過膜のいずれか一方の
面側にだけ、補強部材を配設することとしても良い。
【0076】また、補強部材を設けないこととしても良
い。このような場合にも、水素透過膜において、水素透
過が活発に進行する領域と水素透過が抑えられた領域と
を有することで、膜強度を向上する効果を得ることがで
きる。このように、補強部材等の支持体を設けずに自立
膜として水素透過膜を用いる場合には、膜強度を確保す
るために、水素透過膜の膜基材の厚みは10μm以上と
することが望ましい。
【0077】F2.変形例2:既述した実施例の水素抽
出装置では、装置内でガス流路を形成するために流路形
成部材30,32が備える凹凸形状は、凸部31,33
によって形成される溝状構造としたが、異なる形状とし
ても良い。例えば、流路形成部材上には、ガス流路を形
成するための凸部を設けず、流路形成部材全体と全体を
凹構造として、触媒部も触媒部を有しない領域も、同様
にガスと接触することとしても良い。
【0078】F3.変形例3:また、流路形成部材と水
素透過膜との間に形成される改質ガス流路内に多孔質体
を配設し、この多孔質体上に改質触媒を担持させて、改
質ガス流路内で改質反応を進行させる構成も可能であ
る。すなわち、水素抽出装置と改質器を一体で形成する
ことも可能である。また、既述したシフト触媒、あるい
はCO選択酸化触媒のような一酸化炭素濃度の低減に関
わる触媒を担持させることとしても良い。
【0079】F4.変形例4:また、上記実施例では、
水素透過膜を間に挟んで改質ガス流路と反対側に設けら
れる流路にパージガスを流すこととしたが、パージガス
を用いない構成も可能である。積極的にパージガスを流
さない場合にも、水素透過膜を間に挟んで設けられた両
側の流路間の水素濃度差に従って、改質ガスから水素を
抽出してこれを回収することができる。
【0080】F5.変形例5:図2に示した水素抽出装
置では、水素透過膜20の面上に、それぞれ改質ガス流
路とパージガス流路とを形成する様子を示したが、この
ような構造を複数積層して、水素抽出装置を構成するこ
ととしても良い。例えば、各流路形成部材を、100μ
m〜1mm程度の薄板状金属部材によって形成し、図2
に示した構造を多数積層すれば、水素抽出装置の小型化
と水素抽出効率の向上を実現することができる。その
際、ガス流路を形成するために流路形成部材上に設ける
凹凸形状や、水素抽出装置に対して改質ガスを給排する
ガス流路との接続の状態によって、ガスの流れは、種々
に設定可能である。例えば、実施例のように改質ガスと
パージガスの流れを対向流とする他、両方のガスを同じ
向きに流したり、ガスの流れの向きを直交させることと
しても良い。
【0081】F6.変形例6:既述した説明では、水素
抽出装置は、改質ガスから水素を抽出することとした
が、改質ガス以外の水素含有ガスから水素を抽出するた
めに、本発明の水素抽出装置を用いることとしても良
い。また、水素透過膜を用いて水素含有ガスから抽出さ
れて、水素抽出装置から排出される水素を、燃料電池以
外の水素を消費する装置に対して供給することとしても
よい。あるいは、このような水素を消費する装置に直接
供給するのではなく、一旦貯蔵することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池システム50の概略構成を示す説明図
である。
【図2】水素抽出装置10の構成を示す分解斜視図であ
る。
【図3】水素透過膜20の構成を表わす断面図である。
【図4】水素透過膜20において改質ガスから水素が抽
出される様子を表わす説明図である。
【図5】水素透過膜20の製造工程を示す説明図であ
る。
【図6】第2実施例の水素透過膜120の構成を表わす
断面図である。
【図7】第3実施例の水素透過膜220の構成を表わす
断面図である。
【図8】第4実施例の水素透過膜320の構成を表わす
断面図である。
【図9】第5実施例の水素透過膜420の構成を表わす
断面図である。
【図10】水素透過膜420の製造工程を表わす説明図
である。
【図11】阻害層26を構成する金属を、膜基材22中
に拡散させる様子を示す説明図である。
【図12】第6実施例の水素透過膜520の製造工程を
表わす説明図である。
【図13】水素透過膜520を製造する様子を模式的に
表わす説明図である。
【図14】水素透過膜620を製造する様子を模式的に
表わす説明図である。
【図15】第7実施例の水素透過膜720の製造工程を
表わす説明図である。
【図16】水素透過膜720を製造する様子を模式的に
表わす説明図である。
【符号の説明】
10…水素抽出装置 20…水素透過膜 22…膜基材 24,124,224,324,424,524…触媒
層 26…阻害層 27…拡散領域 30,32…流路形成部材 31,33…凸部 34,36…補強部材 35,37…穴部 50…燃料電池システム 52…燃料タンク 54…水タンク 56…混合部 57…流路 58…改質器 59…流路 60…燃料電池 62…ブロワ 120…水素透過膜 220…水素透過膜 320…水素透過膜 420…水素透過膜 520…水素透過膜 521,721…マスク 523…注入領域 620…水素透過膜 720…水素透過膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA41 HA41 JA05A JA06A JA07A MA03 MA06 MB04 MB19 MC02X MC90 NA31 NA32 NA33 NA50 NA62 PA04 PB20 PB66 PC80 4G140 FA06 FB09 FC01 FE01

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素を選択的に透過させる水素透過膜で
    あって、 水素を透過させる機能を有する金属層で構成された膜基
    材と、 水素透過能が相対的に高い第1の領域と水素透過能が相
    対的に低い第2の領域とが前記膜基材の中に形成される
    ように、前記膜基材に設けられた水素透過能調整部とを
    備える水素透過膜。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の水素透過膜であって、 前記水素透過能調整部は、前記膜基材の表面近傍に設け
    られている水素透過膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の水素透過膜であ
    って、 前記金属層は、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タ
    ンタル(Ta)から選択される元素を含んでいる水素透
    過膜。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3いずれか記載の水素透
    過膜であって、 前記水素透過能調整部は、前記膜基材の一方の面の近傍
    に形成され、前記水素透過膜上に存在する水素を前記膜
    基材内に固溶させる第1の触媒部と、前記膜基材の他方
    の面の近傍に形成され、前記膜基材を透過した水素を該
    水素透過膜外に放出させる第2の触媒部と、を備え、 前記第1の領域は、前記膜基材のそれぞれの面におい
    て、前記第1の触媒部と前記第2の触媒部とが形成され
    る領域を含み、 前記第2の領域は、前記膜基材の両方の面において、前
    記第1の触媒部と前記第2の触媒部とのいずれも形成さ
    れない領域を含む水素透過膜。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の水素透過膜であって、 前記第1の触媒部と前記第2の触媒部の内の少なくとも
    一方は、前記水素透過膜表面において複数に分離された
    形状を有しており、 前記水素透過膜表面において、前記複数に分離された触
    媒部以外の領域は互いに連続している水素透過膜。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の水素透過膜であ
    って、 前記第1の触媒部と前記第2の触媒部とは、前記膜基材
    を間に挟んで対向する位置にある水素透過膜。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の水素透過膜であって、 前記第1の触媒部は、前記第2の触媒部よりも大きな面
    積を有する水素透過膜。
  8. 【請求項8】 請求項4ないし7いずれか記載の水素透
    過膜であって、 前記第1および第2の触媒部は、パラジウム(Pd)、
    白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(R
    u)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、金(Au)、
    レニウム(Re)、ニッケル(Ni)から成る群より選
    択される少なくとも1種類の金属元素を含有する水素透
    過膜。
  9. 【請求項9】 請求項4ないし8いずれか記載の水素透
    過膜であって、 前記水素透過能調整部は、前記第1の触媒部と前記膜基
    材との間、および、前記第2の触媒部と前記膜基材との
    間の、少なくとも一方において形成され、水素原子が透
    過するのを抑制する阻害層を備える水素透過膜。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし3いずれか記載の水素
    透過膜であって、 前記第2の領域は、前記水素を透過させる金属とは異な
    る元素を含み、これによって前記膜基材が水素を透過さ
    せる働きを低下させている水素透過膜。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし3いずれか記載の水素
    透過膜であって、 前記金属層は、複数種の金属元素を含み、 前記第2の領域は、前記複数種の金属元素の内、水素を
    透過させる働きが比較的小さい元素を、前記第1の領域
    に比べてより大きい割合で含有している水素透過膜。
  12. 【請求項12】 水素を含有する水素含有気体から水素
    を抽出する水素抽出装置であって、 請求項1ないし11いずれか記載の水素透過膜と、 前記水素透過膜の第1の面上に形成され、前記水素含有
    気体が通過する水素含有気体流路と、 前記水素透過膜の第2の面上に形成され、前記水素透過
    膜を透過して前記水素含有気体から抽出された水素が通
    過する水素流路とを備える水素抽出装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の水素抽出装置であっ
    て、 前記水素透過膜は、該水素透過膜において前記水素含有
    気体と接触する領域の内、ガスの流れの上流側に対応す
    る領域ほど、前記第1の領域が形成される割合が低くな
    るように形成されている水素抽出装置。
  14. 【請求項14】 請求項12または13記載の水素抽出
    装置であって、 前記水素含有気体流路と前記水素流路とは、それぞれの
    流路におけるガスの流れの方向が、互いに対向する向き
    となるように形成されている水素抽出装置。
  15. 【請求項15】 請求項12ないし14いずれか記載の
    水素抽出装置であって、 前記水素透過膜の第1の面に隣接して配設され、前記水
    素透過膜との間で前記水素含有気体流路を形成する第1
    の流路部材と、 前記水素透過膜の第2の面に隣接して配設され、前記水
    素透過膜との間で前記水素流路を形成する第2の流路部
    材と、 前記第1の流路部材と前記水素透過膜との間、および、
    前記第2の流路部材と前記水素透過膜との間の内、少な
    くとも一方に設けられる補強部材とをさらに備える水素
    抽出装置。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の水素抽出装置であっ
    て、 前記補強部材は、前記第2の領域の形状に対応する形状
    に形成され、前記第2の領域に重なるように配設される
    水素抽出装置。
  17. 【請求項17】 水素を選択的に透過させる水素透過膜
    の製造方法であって、(a)水素を透過させる機能を有
    する金属層で構成された膜基材を用意する工程と、
    (b)前記膜基材の一方の面上に、前記水素透過膜上に
    存在する水素を前記膜基材内に固溶させる第1の触媒部
    を形成する工程と、(c)前記膜基材の他方の面上に、
    前記膜基材を透過した水素を該水素透過膜外に放出させ
    る第2の触媒部を形成する工程とを備え、 前記第1および第2の触媒部のうちの少なくとも一方
    を、前記膜基材上の限られた領域に形成することによっ
    て、水素を給排するための気体と接触し得る前記水素透
    過膜面において、水素透過能が相対的に高い第1の領域
    と、水素透過能が相対的に低い第2の領域と、を形成す
    る水素透過膜の製造方法。
  18. 【請求項18】 水素を選択的に透過させる水素透過膜
    の製造方法であって、(a)水素を透過させる機能を有
    する金属層で構成された膜基材を用意する工程と、
    (b)前記膜基材の一方の面上に、前記水素透過膜上に
    存在する水素を前記膜基材内に固溶させる第1の触媒部
    を形成する工程と、(c)前記膜基材の他方の面上に、
    前記膜基材を透過した水素を該水素透過膜外に放出させ
    る第2の触媒部を形成する工程と、(d)前記(b)工
    程と前記(c)工程の少なくとも一方に先立って行なわ
    れ、前記膜基材上に、水素原子が透過するのを抑制する
    阻害層を形成する工程とを備える水素透過膜の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 水素を選択的に透過させる水素透過膜
    の製造方法であって、(a)水素を透過させる機能を有
    する金属層で構成された膜基材を用意する工程と、
    (b)前記膜基材の一方の面上に、前記水素透過膜上に
    存在する水素を前記膜基材内に固溶させる第1の触媒部
    を形成する工程と、(c)前記膜基材の他方の面上に、
    前記膜基材を透過した水素を該水素透過膜外に放出させ
    る第2の触媒部を形成する工程と、(e)前記膜基材が
    備える前記水素を透過させる金属に対して、該金属とは
    異なる元素を混入させることによって、異なる元素を混
    入させた領域において水素を透過させる働きを低下させ
    る工程とを備える水素透過膜の製造方法。
  20. 【請求項20】 水素を選択的に透過させる水素透過膜
    の製造方法であって、(a)複数種の金属を含有して、
    水素を透過させる機能を有する金属層で構成された膜基
    材を用意する工程と、(b)前記膜基材の一方の面上
    に、前記水素透過膜上に存在する水素を前記膜基材内に
    固溶させる第1の触媒部を形成する工程と、(c)前記
    膜基材の他方の面上に、前記膜基材を透過した水素を該
    水素透過膜外に放出させる第2の触媒部を形成する工程
    と、(e)前記金属層の所定の領域に対して、該金属層
    を構成する金属のうち比較的水素を透過させる働きが低
    い元素をさらに混入させることによって、前記所定の領
    域において水素を透過させる働きを低下させる工程とを
    備える水素透過膜の製造方法。
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