JP2019005684A - 水素分離装置及び水素分離システム - Google Patents

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Hideo Yoshinaga
英雄 吉永
湯川 宏
Hiroshi Yugawa
宏 湯川
西村 睦
Mutsumi Nishimura
睦 西村
佳久 松本
Yoshihisa Matsumoto
佳久 松本
智憲 南部
Tomonori Nanbu
智憲 南部
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Abstract

【課題】水素を分離するための技術を向上させる。【解決手段】水素分離装置は、水素を透過する非パラジウム系金属又は非パラジウム系金属の合金により形成された水素透過膜50と、水素を含む原料気体を水素透過膜50の一次側の表面に供給するための原料気体供給流路26と、水素透過膜50の二次側の表面へ透過した水素を回収するための水素回収流路と、原料気体供給流路26から供給された原料気体を水素透過膜50の一次側の表面に沿って分配するための所定の幅の流路を形成するために、水素透過膜50の一次側の表面から所定の幅だけ離隔して配置された流路形成部の一例である流配フランジ60とを備える。【選択図】図8

Description

本開示は水素分離技術に関し、とくに、気体に含まれる水素を分離するための水素分離装置及び水素分離システムに関する。
近年、水素が様々な分野において注目され、重要な役割を果たしている。例えば、家庭用燃料電池型コージェネレーションシステムや燃料電池自動車などにおいて、新しいエネルギーとして水素が利用されている。また、気相エピタキシャル成長法を用いたSiウェハ半導体材料の結晶成長や加工におけるキャリアガスとして、高純度水素ガスが使用されている。
特開2016−59902号公報
固体高分子型燃料電池では、一酸化炭素等の不純物ガスによって負極触媒が被毒されるため、高純度の水素ガスを使用することが求められる。例えば、燃料電池自動車では、99.99%以上の高純度水素を供給する必要がある。また、半導体材料の結晶成長や加工におけるキャリアガスとして水素を使用する場合、不純物の混入によって半導体特性が低下することを避けるため、99.9999999%以上の超高純度水素ガスが必要とされる。さらに、アンモニアやメタノール等の薬品を製造する原料としても、高純度水素が必要とされている。なお、副生水素や水素キャリアからの分解ガスなど水素以外の気体成分を含む水素混合ガスからも高純度の水素ガスを分離回収する技術が要求されている。このように、高純度の水素の需要が益々高まっているため、高純度の水素を高効率かつ安定的に供給する技術が求められている。
水素を含む原料気体から水素を分離する技術として、本発明者らによる特許文献1がある。本発明者らは、特許文献1に記載された発明を更に改良し、本開示の技術に想到した。
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、水素を分離するための技術を向上させることである。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の水素分離装置は、水素を透過する非パラジウム系金属又は非パラジウム系金属を主たる金属とする合金により形成された水素透過膜と、水素を含む原料気体を水素透過膜の一次側の表面に供給するための原料気体供給流路と、水素透過膜の二次側の表面へ透過した水素を回収するための水素回収流路と、水素透過膜の表面との間の距離が所定の距離以下となるように配置された多孔質の支持体とを備える。
本発明の別の態様もまた、水素分離装置である。この水素分離装置は、水素を透過する非パラジウム系金属又は非パラジウム系金属を主たる金属とする合金により形成された水素透過膜と、水素を含む原料気体を水素透過膜の一次側の表面に供給するための原料気体供給流路と、水素透過膜の二次側の表面へ透過した水素を回収するための水素回収流路と、原料気体供給流路から供給された原料気体を水素透過膜の一次側の表面に沿って分配するための所定の幅の流路を形成するために、水素透過膜の一次側の表面から所定の幅だけ離隔して配置された流路形成部とを備える。
本発明の更に別の態様は、水素分離システムである。この水素分離システムは、水素分離装置を複数備え、上流側の水素分離装置において水素透過膜を透過しなかった気体が、下流側の水素分離装置の原料気体供給流路に供給される。
本開示によれば、水素を分離するための技術を向上させることができる。
実施の形態に係る水素分離装置の構成を示す図である。 実施の形態に係る水素分離装置の水素透過膜及び一次側ガスケットの上面を概略的に示す図である。 比較実施例1による試験終了後の破断した水素透過膜を示す図である。 第1の実施の形態に係る水素分離装置の構成を示す図である。 第1の実施の形態に係る水素分離装置に備えられた支持体の斜視図である。 第1の実施の形態に係る水素分離装置の別の例を示す図である。 実施例1による試験終了後の水素透過膜を示す図である。 第2の実施の形態に係る水素分離装置の構成を概略的に示す図である。 第2の実施の形態に係る水素分離装置の流配フランジの上面を概略的に示す図である。 実施例2及び比較実施例2の水素透過試験の結果を示す図である。 実施例3において使用した水素分離装置の構成を概略的に示す図である。 第3の実施の形態に係る水素分離システムの構成を概略的に示す図である。
本開示の実施の形態として、非パラジウム(Pd)系金属、例えば、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などの5族に属する金属又は非Pd系金属を主たる金属とする合金(以下、単に「非Pd系合金」ともいう)により形成された水素透過膜を利用した水素分離装置について説明する。まず、実施の形態に係る水素分離装置の概要について説明し、つづいて、水素分離装置を改良するにあたって本発明者らが認識した課題と、その課題を解決するための手段について説明する。
[水素分離装置の構成]
図1は、実施の形態に係る水素分離装置の構成を示す。本図は、水素分離装置10の断面を概略的に示す。水素分離装置10は、水素を選択的に透過する非Pd系金属又は非Pd系合金により形成された水素透過膜50と、水素を含む原料気体を水素透過膜50の一次側の表面に供給するための原料気体供給流路26と水素透過膜50を透過しなかった原料気体を排出するための原料気体排出流路28とが形成された一次側配管20と、水素透過膜50の二次側の表面へ透過した水素を回収するための水素回収流路32が形成された二次側配管30と、水素透過膜50を一次側配管20と二次側配管30との間に気密に挟持するための一次側ガスケット40及び二次側ガスケット42とを備える。一次側配管20は、同軸に配置された外管22と内管24の二重構造になっており、内管24の内側が原料気体供給流路26として機能し、外管22と内管24の間が原料気体排出流路28として機能する。
一次側配管20の原料気体排出流路28の内径も、二次側配管30の水素回収流路32の内径も、水素透過膜50から遠い部分においては、一次側ガスケット40及び二次側ガスケット42の内径より細くされているが、一次側配管20と二次側配管30が水素透過膜50を介して接続される開口部分においては、一次側ガスケット40及び二次側ガスケット42の内径と同じ内径まで拡張されている。すなわち、一次側配管20の開口にも、二次側配管30の開口にも、一次側ガスケット40及び二次側ガスケット42の内径と同じ内径を有する凹部が形成されている。これにより、水素透過膜50の全体を効率良く利用して水素を分離することができる。
原料気体供給流路26は、図示しないレギュレーターを介して、水素を含む原料気体を生成する水素発生装置又は水素を含む原料気体を貯蔵する貯蔵タンクなどに接続される。水素を含む原料気体は、レギュレーターにより所定の圧力に調整されて、原料気体供給流路26から水素透過膜50の一次側の表面に供給される。水素回収流路32は、水素透過膜50を透過して水素回収流路32に到達した水素を回収するための構成に接続される。
水素透過膜50は、V、Nb、Taなどの5族元素の純金属、又は、5族元素に鉄(Fe)やニッケル(Ni)などの元素が添加された合金により形成される。従来、Pd又はPdの合金により形成されたPd系の水素透過膜の研究開発が広く行われてきたが、Pdは希少かつ高価な金属であることに加えて、水素透過能が不十分であることから、本発明者らは、その代替材料として、5族元素などの非Pd系金属又は非Pd系合金により形成された水素透過膜の設計開発を行ってきた。
面心立方(fcc)格子構造をもつPdに比べて、体心立方(bcc)格子構造をもつV、Nb、Taなどの5族金属は、水素の拡散の活性化エネルギーが小さいため、低温における水素の拡散係数が大きいという特徴がある。したがって、これらの金属又は合金により形成された水素透過膜を使用することにより、比較的低温においても高い水素透過速度が得られると考えられる。とくに、Vは、水素の拡散の活性化エネルギーが小さく、水素透過膜の材料として好適である。また、これらの金属及び合金は、Pd及びPd合金に比べれば十分に安価であるため、製造コストの観点からも好適である。
VやNbなどの5族元素は、多量の水素が固溶することで機械的性質が著しく劣化する水素脆化を起こすことが知られている。具体的には、水素濃度が約0.2(H/M)を超えると、延性−脆性遷移が起こる。したがって、水素透過膜の水素脆性破壊を回避するためには、固溶水素濃度を0.2(H/M)以下に制御する必要がある。本発明者らの知見によれば、5族元素よりも水素との親和性が小さい元素、例えば、Fe、Ni、コバルト(Co)、銅(Cu)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などを5族元素に添加することにより、固溶水素濃度を抑制することができる。したがって、5族元素に上記の元素を添加した合金により水素透過膜50を形成することにより、水素分離装置10の使用中に水素透過膜50が水素脆化して破断してしまうことを避けることができる。
他方で、金属中に異種元素を固溶させると、固溶強化によって強度が増す上、水素透過膜50を形成するために金属を圧延すると、加工硬化によっても強度が増すので、5族元素に添加する異種元素の量を多くし過ぎると、合金を圧延して水素透過膜50を形成するのが難しくなる。したがって、原料気体の種類及び水素の含有量、原料気体の圧力及び温度、必要な水素の純度、単位時間当たりの水素の回収量、水素分離装置10の耐用期間、水素分離装置10の製造コストなどの条件に応じて、水素分離装置10を使用する際の温度、一次側の圧力、二次側の圧力などの運転条件が決定されると、決定された運転条件に適した合金の組成を決定し、決定した組成の合金により水素透過膜50を形成してもよい。水素透過膜50を形成する合金の組成は、合金の水素溶解特性を表す圧力−組成−等温線(Pressure-composition-isotherm、PCT曲線)に基づいて決定してもよい。例えば、水素透過膜50は、原子百分率で0〜15%のFeを含むVの合金により形成されてもよい。Feの含有量を上記の範囲とすることにより、合金の強度を圧延加工が可能な程度にし、加工性を向上させることができる。温間圧延(熱間圧延)により水素透過膜50を形成する場合には、Feの含有量を原子百分率で0〜15%とするのが好適であり、冷間圧延により水素透過膜50を形成する場合には、Feの含有量を原子百分率で0〜12%とするのが好適である。圧延加工をより容易にする観点から、Feの含有量を原子百分率で0〜10%とするのが更に好適である。
なお、水素透過膜50の両表面には、一次側の表面における水素分子から水素原子への解離反応、及び二次側の表面における水素原子から水素分子への再結合反応を促進するための触媒層として、Pd又はPd系合金が被覆される。これにより、水素透過速度を向上させることができる。Pd又はPd系合金の被覆に代えて、水素透過膜50の両表面に酸化処理を施してもよい。
図1に示した水素分離装置10においては、原料気体供給流路26及び水素回収流路32が水素透過膜50に対して垂直に設けられるが、別の例では、原料気体供給流路26又は水素回収流路32が水素透過膜50に平行に設けられてもよいし、任意の方向に設けられてもよい。また、図1に示した水素分離装置10においては、原料気体排出流路28も水素透過膜50に対して垂直に設けられるが、別の例では、水素透過膜50を透過しなかった原料気体は、水素透過膜50の外周の近傍に設けられた排出口から排出されてもよい。
図2は、実施の形態に係る水素分離装置の水素透過膜及び一次側ガスケットの上面を概略的に示す。水素透過膜50は、円形状に形成され、一次側ガスケット40及び二次側ガスケット42は、リング状に形成される。後述するように、水素透過膜50には一次側と二次側の圧力差などに起因する応力がかかるが、水素透過膜50を円形状に形成することにより、水素透過膜50の一部に応力が集中することを防ぎ、水素透過膜50の破断を防ぐことができる。
[第1の実施の形態:水素透過膜の破断を防ぐための支持体]
[第1の実施の形態が解決しようとする課題]
上述したように、水素透過膜50の一次側には、水素を含む原料気体が所定の圧力で供給されるので、一次側と二次側の圧力差により水素透過膜50に応力が発生する。また、熱膨張や水素の溶解による格子の膨張によっても応力が発生する。水素透過膜50の径が小さい場合には、圧力差や膨張などによる応力が生じても耐性が維持できるが、径が大きくなると耐性が維持できずに水素透過膜50が破断してしまう場合があることが、本発明者らの実験により明らかになった。上述したように、5族元素は多量の水素が固溶することで水素脆化を起こすので、5族元素の金属又は合金により形成された水素透過膜を使用する場合には、Pd系水素透過膜を使用する場合よりも、破断を防ぐための対策が更に重要となる。
[比較実施例1]
Feを原子百分率で10%含むVの合金(V−10%Fe)により形成された水素透過膜50(厚さ:100μm、直径:60mm)を、銅製の一次側ガスケット40(厚さ:2mm、外径:60mm、内径:52mm)と銅製の二次側ガスケット42(厚さ:0.6mm、外径:60mm、内径:50mm)で挟持し、図1に示した水素分離装置10とした。この水素分離装置10を350℃に昇温し、原料気体供給流路26から0.4MPaの圧力で純水素を供給し、水素回収流路32の圧力を0.1MPaに調整して水素透過試験を行ったところ、水素透過膜50が破断した。図3は、比較実施例1による試験終了後の破断した水素透過膜50を示す。
[課題を解決するための手段]
水素透過膜50の応力解析をしたところ、一次側と二次側の圧力差に伴って、水素透過膜50の中央部において二次側に向けて大きな応力が発生することが分かった。したがって、第1の実施の形態に係る水素分離装置10においては、水素透過膜50の破断を防ぐために、水素透過膜50の二次側に、水素透過膜50の表面との間の距離が所定の距離以下となるように配置された多孔質平板状の支持体を設ける。これにより、水素透過膜50の面外変形の変位量が所定の距離以下となるように水素透過膜50を支持することができるので、水素透過膜50の破断を防ぐことができ、長期間継続して使用可能な水素分離装置10を提供することができる。
図4は、第1の実施の形態に係る水素分離装置の構成を示す。本図に示す水素分離装置10は、図1に示した水素分離装置10の構成に加えて、支持体として機能する多孔質フィルター52及び金網54を備える。その他の構成は、図1と同様である。
図5は、第1の実施の形態に係る水素分離装置に備えられた支持体の斜視図である。二次側配管30に形成された水素回収流路32の開口に、支持体として機能する多孔質フィルター52及び金網54が設けられる。多孔質フィルター52及び金網54の表面の面積は、水素透過膜50の表面の面積と同じ、又は、水素透過膜50の表面の面積よりも広くされる。これにより、水素透過膜50の全体を支持体により支持することができるので、水素透過膜50にかかる応力が一部に集中するような場合であっても、水素透過膜50の破断を防ぐことができる。
多孔質フィルター52及び金網54は、水素透過膜50を透過した水素を効率良く水素回収流路32へ導くために二次側配管30の開口に設けられた凹部を埋めるように設けられる。すなわち、多孔質フィルター52及び金網54は、高さの合計が凹部の高さと同程度であり、底面の直径が凹部の内径と同程度である略円筒形の形状を有する。二次側ガスケット42の内径は、凹部の内径よりも若干小さくされているので、多孔質フィルター52と水素透過膜50とは二次側ガスケット42の厚み分の距離だけ離隔して配置される。これにより、水素透過膜50が面外変形して多孔質フィルター52に押し付けられたとしても、水素透過膜50と多孔質フィルター52とが溶着してしまうのを防ぐことができる。
多孔質フィルター52は、弾力性、柔軟性、クッション性を有するものであることが好ましい。例えば、多孔質フィルター52は、金属繊維を焼結した多孔質焼結体であってもよい。これにより、水素透過膜50にかかる応力を吸収し、水素透過膜50の破断をより効果的に防ぐことができる。
多孔質フィルター52及び金網54は、水素分離装置10の使用中に気体を発生せず、水素と化学反応しない材質により形成される。水素透過膜50の二次側には、高純度の水素が高濃度で存在することになり、強い還元雰囲気に晒されるので、そのような環境においても還元反応を起こさない材質により多孔質フィルター52及び金網54が形成されるのが好ましい。また、多孔質フィルター52は、水素透過膜50と直接接触する可能性があるので、水素透過膜50を形成する金属又は合金との間で合金を形成したり化学反応を起こしたりしない材質により形成されるのが好ましい。多孔質フィルター52及び金網54は、例えば、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、アルミナなどにより形成されてもよい。水素透過膜50と直接接触する可能性がある支持体を、水素透過膜50を形成する金属又は合金、又は、水素透過膜50の表面に被覆されたPd又はPd合金などとの間で合金を形成したり、化学反応を起こしたりするような物質により形成する場合には、支持体と水素透過膜50との間に、水素透過膜50との間で合金を形成したり化学反応を起こしたりしないような物質により形成された膜又は層を配置してもよい。これにより、支持体が水素や水素透過膜との間で化学反応を起こすなどして、水素透過膜50の水素透過性能や回収される水素の純度などに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
多孔質フィルター52及び金網54は、水素透過膜50を透過した水素ガスが十分な流速で通過することが可能な程度の濾過径及びポロシティ(多孔度、空隙率、気孔率)を有するのが好ましい。
図6は、第1の実施の形態に係る水素分離装置の別の例を示す。本図では、説明の簡略化のために、二次側の構成のみを示す。図6(a)の例では、二次側ガスケット42の内径が凹部の内径と同じにされており、金網54が、二次側配管30の開口に設けられた凹部を埋めるように設けられ、多孔質フィルター52が、二次側ガスケット42の厚み分の隙間を埋めるように設けられる。すなわち、金網54は、高さが凹部の高さと同程度であり、底面の直径が凹部の内径と同程度である略円筒形の形状を有し、多孔質フィルター52は、厚さが二次側ガスケット42の厚さと同程度であり、底面の直径が二次側ガスケット42の内径と同程度である円板状の形状を有する。上述したように、多孔質フィルター52は、弾力性、柔軟性、クッション性を有する材質により形成されるので、多孔質フィルター52が水素透過膜50と接するように設けられた場合であっても、水素透過膜50にかかる応力を吸収し、水素透過膜50の破断を防ぐことができる。
図6(b)の例では、二次側配管30の開口に金網54が固定され、多孔質フィルター52が省略される。このように、水素透過膜50が面外変形により破断に至る程度の変位量よりも短い距離であれば、水素透過膜50の二次側の表面と支持体の表面とが離隔して配置されてもよい。二次側配管30の開口に多孔質フィルター52のみが設けられ、金網54が省略されてもよい。また、水素透過膜50の二次側の表面から所定の変位量以下の距離を隔てて、多孔質フィルター52と金網54が設けられてもよい。二次側ガスケット42の厚さが所定の変位量よりも薄い場合は、二次側配管30の端面と同じ高さに表面が位置するように支持体が設けられ、二次側ガスケット42の厚み分だけ水素透過膜50から離隔されてもよい。二次側ガスケット42の厚さが所定の変位量よりも厚い場合は、二次側配管30の端面から突出するように支持体が設けられてもよい。
[実施例1]
図4に示した水素分離装置10において、ステンレス鋼繊維フィルター(濾過径:30μm、厚さ:0.6mm)と、ステンレス鋼製金網を支持体として使用し、比較実施例1と同じ条件で水素透過試験を行ったところ、水素透過膜50は破断しなかった。図7は、実施例1による試験終了後の水素透過膜50を示す。
この水素分離装置10における水素透過膜50の応力解析をしたところ、二次側ガスケット42の内端面の部分に応力が集中することが分かった。実際、二次側ガスケット42として一次側ガスケット40と同じ厚さ(2mm)のガスケットを用いた場合、二次側ガスケット42の内端面において割れが生じた。したがって、二次側ガスケット42の厚さは薄い方が好ましく、例えば、2mm未満、好ましくは0.6mm以下、より好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.4mm以下であってもよい。これにより、水素透過膜50が破断する可能性をより低減させることができる。
第1の実施の形態の水素分離装置によれば、水素透過膜が所定の距離を超えて面外変形しないように支持することができるので、水素透過膜の破断を防ぐことができる。したがって、長期間継続して使用可能な水素分離装置を提供することができる。また、水素脆化を起こしうる5族元素又はその合金により形成された水素透過膜を水素分離装置に使用することができるので、パラジウム系金属又はその合金により水素透過膜を形成する場合に比べて、水素透過性能を向上させることができるとともに、水素分離装置の製造コストを低減させることができる。
なお、上記の例では、水素透過膜50の二次側に支持体を設けたが、別の例では、水素透過膜50の一次側に支持体を設けてもよいし、一次側と二次側の双方に支持体を設けてもよい。水素透過膜50の径が大きい場合は、圧力差により二次側に大きな応力がかかり、水素透過膜50が二次側に面外変形するが、水素透過膜50の径が小さい場合は、熱膨張や水素の溶解による格子膨張に起因して、水素透過膜50が一次側に面外変形する場合もある。このような場合には、水素透過膜50の一次側に支持体を設けることが望ましい。これにより、水素透過膜50が破断する可能性をより低減させることができる。
[第2の実施の形態:原料気体の流路の改善]
[第2の実施の形態が解決しようとする課題]
水素分離装置の一部の応用においては、水素を含む原料気体として、水素キャリアとなるアンモニアを分解した気体を利用することが想定されている。そこで、原料気体としてアンモニア分解ガスを模擬した水素窒素混合ガス(水素濃度:74.6%)を使用して水素透過試験を行ったところ、原料気体として純水素を使用して水素分圧を同条件にした場合と比較すると、水素透過性が著しく低下することが分かった。これは、不純物気体成分による濃度分極が生じたためであると考えられる。したがって、濃度分極による水素透過性の低下を改善する技術が必要であると本発明者らは認識した。
[課題を解決するための手段]
このように、水素以外の気体成分を含む水素混合ガスを原料気体として水素分離装置に供給する場合には、水素透過膜50全体に原料気体中の水素を分配する必要があると本発明者らは認識した。そこで、第2の実施の形態に係る水素分離装置10は、原料気体供給流路から供給された原料気体を水素透過膜の一次側の表面に沿って分配するための所定の幅の流路を形成するために、水素透過膜の一次側の表面から所定の幅だけ離隔して配置された流路形成部を備える。
図8は、第2の実施の形態に係る水素分離装置の構成を概略的に示す。本図では、説明の簡略化のため、一次側の構成のみを示す。第2の実施の形態に係る水素分離装置10は、図1又は図4に示した水素分離装置10の構成に加えて、流路形成部として機能する流配フランジ60を備える。その他の構成は、図1又は図4に示した水素分離装置10と同様である。
図9は、第2の実施の形態に係る水素分離装置の流配フランジの上面を概略的に示す。図9(a)に示すように、流配フランジ60は、ドーナツ状の形状を有し、一次側配管20の内管24の開口から外周方向へ垂直に突出するように設けられる。図8に示すように、流配フランジ60は、水素透過膜50に略平行となるように設けられ、水素透過膜50の一次側の表面と流配フランジ60の水素透過膜50側の表面の間に、原料気体供給流路26から供給される原料気体を水素透過膜50の一次側の表面に沿って水素透過膜50全体に分配するための流路が形成される。流配フランジ60は、一次側配管20の開口に設けられた凹部の内径よりも小さい外径を有しており、水素透過膜50を透過しなかった原料気体は、流配フランジ60の外周の外側の隙間から原料気体排出流路28に導かれる。
図9(b)に示すように、流配フランジ60の水素透過膜50に面する表面には、溝62が形成されてもよい。図9(b)の例では、螺旋状の溝62が形成されるが、別の例では、直線、曲線、格子などの形状の溝が形成されてもよい。これにより、原料気体が溝62に沿って流れやすくすることができるので、水素を含む原料気体を水素透過膜50の全体に速やかに分配することができる。更に別の例では、流配フランジ60の水素透過膜50に面する表面に、溝に代えて凹凸が形成されてもよい。流配フランジ60の水素透過膜50に面する表面に溝や凹凸などを形成することにより、原料気体が水素透過膜表面で乱流をおこし、水素透過膜50の一次側の表面に滞留した窒素などの不純物気体成分を速やかに排出させることができる。これにより、水素透過膜50の一次側の表面における水素濃度を高めることができ、濃度分極を低減させることができるので、水素透過膜50の水素透過性能を向上させることができる。
[実施例2・比較実施例2]
流配フランジ60の効果を確認するために、比較実施例2として図4に示した流配フランジ60を備えない水素分離装置10と、実施例2として図8に示した流配フランジ60を備えた水素分離装置10を使用して水素透過試験を行った。なお、実施例2の水素分離装置10の二次側は、比較実施例2と同様に図4に示した支持体を備えた水素分離装置10の二次側の構成とした。
Feを原子百分率で10%含むVの合金(V−10%Fe)により形成された水素透過膜50(厚さ:100μm、直径:60mm)を、銅製の一次側ガスケット40(厚さ:2mm、外径:60mm、内径:52mm)と銅製の二次側ガスケット42(厚さ:0.6mm、外径:60mm、内径:50mm)で挟持し、実施例2及び比較実施例2において使用する水素分離装置10を構成した。この水素分離装置10を350℃に昇温し、原料気体供給流路26から水素窒素混合ガス(水素濃度:74.6%)を一次側圧力0.54MPa(水素分圧:0.4MPa)まで導入し、二次側圧力を0.1MPaに調整して水素透過試験を行った。なお、水素窒素混合ガスによる水素透過試験では、ブリード(Bleed)ガスの流量を変化させて評価を行った。
図10は、実施例2及び比較実施例2の水素透過試験の結果を示す。流配フランジ60を備えた実施例2の水素分離装置10と、流配フランジ60を備えない比較実施例2の水素分離装置10のそれぞれについて、ブリードガスの流量と、その時の水素透過度をプロットした。図10から分かるように、流配フランジ60を設けることにより、設けない場合よりも高い水素透過度が得られることが分かった。
[実施例3]
流配フランジ60により形成される原料気体の流路の幅の効果を確認するために、図8に示した流配フランジ60を備えた水素分離装置10において、一次側ガスケット40の厚さを変えて水素透過度を測定した。図11は、実施例3において使用した水素分離装置10の構成を概略的に示す。図11(a)(b)(c)に示す水素分離装置10のいずれにおいても、一次側配管20の端面と同じ高さの位置に流配フランジ60が設けられるので、一次側ガスケット40の厚さが、流配フランジ60により形成される原料気体の流路の幅となる。一次側ガスケット40の厚さは、図11(a)の水素分離装置10では4mm、図11(b)の水素分離装置10では2mm、図11(c)の水素分離装置10では1mmである。
Feを原子百分率で10%含むVの合金(V−10%Fe)により形成された水素透過膜50(厚さ:100μm、直径:42mm)を、上記の厚さの銅製の一次側ガスケット40(外径:42mm、内径:36mm)と銅製の二次側ガスケット42(厚さ:0.6mm、外径:42mm、内径:34mm)で挟持し、実施例3において使用する水素分離装置10を構成した。この水素分離装置10を350℃に昇温し、原料気体供給流路26から水素窒素混合ガス(水素濃度:74.6%)を一次側圧力0.54MPa(水素分圧:0.4MPa)まで導入し、二次側圧力を0.1MPaに調整して水素透過試験を行った。ブリードガスの流量を毎分2Lとした時のそれぞれの水素分離装置10による水素透過度を表1に示す。
表1から分かるように、一次側ガスケット40の厚さが薄い方がより高い水素透過性能が得られた。すなわち、流配フランジ60により形成される原料気体の流路の幅が狭い方が、より高い水素透過性能が得られる。したがって、流配フランジ60により形成される原料気体の流路の幅は、好ましくは4mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下としてもよい。しかし、一次側ガスケット40の厚さを極端に薄くすると、流配フランジ60と水素透過膜50が接着してしまい、水素透過性能が悪化する可能性があるので、流配フランジ60は水素透過膜50に接着しない程度に水素透過膜50から離隔して設けられるのが好ましい。
第2の実施の形態に係る水素分離装置によれば、水素透過膜の全体に速やかに原料気体を分配することができるとともに、水素透過膜の一次側の表面に滞留しうる水素以外の気体を速やかに排出することができるので、濃度分極に起因する水素透過性能の低下を防ぐことができ、水素を分離する効率を向上させることができる。
[第3の実施の形態:水素の分離効率の改善]
[第3の実施の形態が解決しようとする課題]
第2の実施の形態において説明したように、原料気体に含まれる水素を水素分離装置10により分離する際に、原料気体の流速を速くすると水素透過膜による水素透過性能が改善されて効率良く水素を分離回収することができるが、一部の水素は水素透過膜の表面に接触することなく原料気体排出流路28から排出されることになる。応用によっては、原料気体に含まれる水素をできる限り残さず分離回収しなければならない場合もありうるので、水素の収率を向上させる技術が必要であると本発明者らは認識した。
[課題を解決するための手段]
したがって、第3の実施の形態に係る水素分離システムは、水素分離装置10を複数備え、それらを直列に接続して多段階の水素の分離回収を実行する。すなわち、上流側の水素分離装置10において水素透過膜50を透過しなかった気体を、下流側の水素分離装置10の原料気体供給流路26に供給して、原料気体中に残存した水素を再び分離回収する。
図12は、第3の実施の形態に係る水素分離システムの構成を概略的に示す。水素分離システム70は、複数の水素分離装置10を備える。本図の例では、水素分離システム70は、3つの水素分離装置10a、10b、及び10cを備える。水素を含む原料気体は、まず、1段階目の水素分離装置10aの原料気体供給流路26aに供給される。水素分離装置10aにおいて水素透過膜50を透過した水素は、水素回収流路32aから配管74を介して回収される。水素分離装置10aにおいて水素透過膜50を透過しなかった原料気体は、原料気体排出流路28aから配管72aを介して2段階目の水素分離装置10bの原料気体供給流路26bに供給される。水素分離装置10bにおいて水素透過膜50を透過した水素は、水素回収流路32bから配管74を介して回収される。水素分離装置10bにおいて水素透過膜50を透過しなかった原料気体は、原料気体排出流路28bから配管72bを介して3段階目の水素分離装置10cの原料気体供給流路26cに供給される。3段階目以降の水素分離装置10についても同様である。
上述したように、5族元素の純金属及び合金は、水素が多量に溶解することにより水素脆化を起こしうるが、水素との親和性が小さい元素を添加して合金とすることにより、水素脆化を起こしにくくすることができる。したがって、1段階目の水素分離装置10aの水素透過膜50は、例えば、原子百分率で10%のFeを含むVの合金により形成される。しかし、2段階目の水素分離装置10bに原料気体として供給される気体は、既に1段階目の水素分離装置10aにより多くの水素が分離された残りの気体であり、含有される水素の量は元の原料気体よりもかなり少ない。したがって、水素脆化を回避するためにVに添加すべきFeの量は、1段階目の水素分離装置10aよりも少なくてよい。
また、2段階目の水素分離装置10bに原料気体として供給される気体に含有される水素の量が少ないため、水素透過膜50の一次側と二次側の水素分圧の差は、1段階目の水素分離装置10bよりも小さくなる。したがって、2段階目の水素分離装置10bにおいては、1段階目の水素分離装置10aよりも高い水素透過膜50の水素透過性能が要求される。この点からも、2段階目の水素分離装置10bの水素透過膜50は、1段階目の水素分離装置10aの水素透過膜50よりもFeの原子百分率が低いV合金により形成されるのが好ましい。
このように、第3の実施の形態に係る水素分離システムにおいては、下流側の水素分離装置10の水素透過膜50を形成する非Pd系合金に含まれる添加元素の原子百分率を、上流側の水素分離装置10の水素透過膜50を形成する非Pd系合金に含まれる添加元素の原子百分率よりも低くする。これにより、水素透過膜50を形成する非Pd合金の水素脆化に起因する水素透過膜の破断を防ぎつつ、複数の水素分離装置を使用してより多くの水素を効率良く分離回収することができる。下流側の水素分圧が低い場合には、下流側の水素分離装置10の水素透過膜50を純V、純Nb、又は純Taにより形成してもよい。また、一次側に供給される原料気体の水素分圧が低い場合には、二次側をポンプなどにより吸引してもよい。下流側の水素分離装置10の水素透過膜50は、Pd又はPd系合金により形成されてもよい。
以上、実施例をもとに本開示を説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の水素分離装置は、水素分離装置は、水素を透過する非パラジウム系金属又は非パラジウム系金属を主たる金属とする合金により形成された水素透過膜と、水素を含む原料気体を水素透過膜の一次側の表面に供給するための原料気体供給流路と、水素透過膜の二次側の表面へ透過した水素を回収するための水素回収流路と、水素透過膜の表面に接するように、又は、水素透過膜の表面との間の距離が所定の距離以下となるように配置された多孔質の支持体とを備える。
この態様によると、水素透過膜に応力が発生したときに、水素透過膜が所定の距離を超えて面外変形しないように支持することができるので、水素透過膜の破断を防ぐことができる。したがって、長期間継続して使用可能な水素分離装置を提供することができる。また、水素脆化を起こしうる5族元素又はその合金により形成された水素透過膜を水素分離装置に使用することができるので、パラジウム系金属又はその合金により水素透過膜を形成する場合に比べて、水素透過性能を向上させることができるとともに、水素分離装置の製造コストを低減させることができる。
水素透過膜は、5族元素の純金属又は5族元素を主たる金属とする合金により形成されてもよい。この態様によると、水素透過性能を向上させることができるとともに、水素分離装置の製造コストを低減させることができる。
支持体は、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、若しくはアルミナ、又は水素透過膜を形成する物質若しくは水素透過膜の表面に被覆された物質と反応を起こさない材質により形成されてもよい。この態様によると、支持体が水素や水素透過膜との間で化学反応を起こすなどして、水素透過性能や回収される水素の純度などに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
支持体の表面の面積は、水素透過膜の表面の面積と同じ、又は、水素透過膜の表面の面積よりも広くてもよい。この態様によると、水素透過膜の全体を支持体により支持することができるので、水素透過膜にかかる応力が一部に集中するような場合であっても、水素透過膜の破断を防ぐことができる。
支持体は、水素透過膜の二次側に設けられてもよい。これにより、水素透過膜の一次側と二次側の圧力差に起因する応力により、水素透過膜が二次側に面外変形して破断してしまうのを防ぐことができる。
原料気体供給流路から供給された原料気体を水素透過膜の一次側の表面に沿って分配するための所定の幅の流路を形成するために、水素透過膜の一次側の表面から所定の幅だけ離隔して配置された流路形成部を更に備えてもよい。この態様によると、水素透過膜の全体に速やかに原料気体を分配して効率良く水素を透過させることができるとともに、水素透過膜の一次側の表面に滞留しうる水素以外の気体を速やかに排出することができるので、水素を分離する効率を向上させることができる。
流路形成部の水素透過膜に面した表面に溝が設けられてもよい。この態様によると、原料気体が溝に沿って流れやすくすることができるので、水素を含む原料気体を水素透過膜の全体に速やかに分配することができる。また、水素透過膜の一次側の表面に滞留した不純物気体成分を速やかに排出させることができるので、水素透過膜の一次側の表面における水素濃度を高めることができ、水素透過膜の水素透過性能を向上させることができる。
流路形成部の水素透過膜に面した表面に凹凸が設けられてもよい。この態様によると、水素透過膜の一次側の表面に滞留した不純物気体成分を速やかに排出させることができるので、水素透過膜の一次側の表面における水素濃度を高めることができ、水素透過膜の水素透過性能を向上させることができる。
所定の幅は4mm以下であってもよい。この態様によると、水素透過膜の水素透過性能を向上させることができる。
本開示の更に別の態様は、水素分離システムである。この水素分離システムは、水素分離装置を複数備え、上流側の水素分離装置において水素透過膜を透過しなかった気体が、下流側の水素分離装置の原料気体供給流路に供給される。
この態様によると、水素を含む原料気体からより多くの水素を効率良く分離回収することができる。
下流側の水素分離装置の水素透過膜を形成する非パラジウム系合金に含まれる添加元素の原子百分率は、上流側の水素分離装置の水素透過膜を形成する非パラジウム系合金に含まれる添加元素の原子百分率よりも低くてもよい。この態様によると、水素透過膜を形成する非パラジウム系合金の水素脆化に起因する水素透過膜の破断を防ぎつつ、効率良く水素を分離回収することができる。
10・・・水素分離装置、20・・・一次側配管、22・・・外管、24・・・内管、26・・・原料気体供給流路、28・・・原料気体排出流路、30・・・二次側配管、32・・・水素回収流路、40・・・一次側ガスケット、42・・・二次側ガスケット、50・・・水素透過膜、52・・・多孔質フィルター、54・・・金網、60・・・流配フランジ、62・・・溝、70・・・水素分離システム。

Claims (12)

  1. 水素を透過する非パラジウム系金属又は非パラジウム系金属を主たる金属とする合金により形成された水素透過膜と、
    水素を含む原料気体を前記水素透過膜の一次側の表面に供給するための原料気体供給流路と、
    前記水素透過膜の二次側の表面へ透過した水素を回収するための水素回収流路と、
    前記水素透過膜の表面との間の距離が所定の距離以下となるように配置された多孔質の支持体と、
    を備えることを特徴とする水素分離装置。
  2. 前記水素透過膜は、5族元素の純金属又は5族元素を主たる金属とする合金により形成されることを特徴とする請求項1に記載の水素分離装置。
  3. 前記支持体は、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、若しくはアルミナ、又は前記水素透過膜を形成する物質若しくは前記水素透過膜の表面に被覆された物質と反応を起こさない材質により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素分離装置。
  4. 前記支持体の表面の面積は、前記水素透過膜の表面の面積と同じ、又は、前記水素透過膜の表面の面積よりも広いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水素分離装置。
  5. 前記支持体は、前記水素透過膜の二次側に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水素分離装置。
  6. 前記原料気体供給流路から供給された前記原料気体を前記水素透過膜の一次側の表面に沿って分配するための所定の幅の流路を形成するために、前記水素透過膜の一次側の表面から前記所定の幅だけ離隔して配置された流路形成部を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水素分離装置。
  7. 前記流路形成部の前記水素透過膜に面した表面に溝が設けられることを特徴とする請求項6に記載の水素分離装置。
  8. 前記流路形成部の前記水素透過膜に面した表面に凹凸が設けられることを特徴とする請求項6に記載の水素分離装置。
  9. 前記所定の幅は4mm以下であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の水素分離装置。
  10. 水素を透過する非パラジウム系金属又は非パラジウム系金属を主たる金属とする合金により形成された水素透過膜と、
    水素を含む原料気体を前記水素透過膜の一次側の表面に供給するための原料気体供給流路と、
    前記水素透過膜の二次側の表面へ透過した水素を回収するための水素回収流路と、
    前記原料気体供給流路から供給された前記原料気体を前記水素透過膜の一次側の表面に沿って分配するための所定の幅の流路を形成するために、前記水素透過膜の一次側の表面から前記所定の幅だけ離隔して配置された流路形成部と、
    を備えることを特徴とする水素分離装置。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の水素分離装置を複数備え、
    上流側の水素分離装置において水素透過膜を透過しなかった気体が、下流側の水素分離装置の原料気体供給流路に供給されることを特徴とする水素分離システム。
  12. 下流側の水素分離装置の水素透過膜を形成する非パラジウム系合金に含まれる添加元素の原子百分率は、上流側の水素分離装置の水素透過膜を形成する非パラジウム系合金に含まれる添加元素の原子百分率よりも低いことを特徴とする請求項11に記載の水素分離システム。
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