JP2008272605A - 水素透過膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で、生産性よく、水素を選択的に透過・分離する性能に優れ、膜厚が0.1〜5μmの水素透過膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基板(1)の上に、スパッタリング法により、順次、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第1表面層膜(2)を形成し、その上に、膜厚が0.1〜5μmのZr−Ni合金またはNb−Zr−Ni合金からなる非晶質合金層膜(3)を形成し、さらに、その上に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第2表面層膜(4)を形成させた後、基板(1)と第1表面層膜(2)との間を剥離させることにより、第1表面層膜/非晶質合金層膜/第2表面層膜からなる積層膜(5)を得る。
【選択図】図1
【解決手段】基板(1)の上に、スパッタリング法により、順次、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第1表面層膜(2)を形成し、その上に、膜厚が0.1〜5μmのZr−Ni合金またはNb−Zr−Ni合金からなる非晶質合金層膜(3)を形成し、さらに、その上に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第2表面層膜(4)を形成させた後、基板(1)と第1表面層膜(2)との間を剥離させることにより、第1表面層膜/非晶質合金層膜/第2表面層膜からなる積層膜(5)を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、水素を含む混合ガスから水素を選択的に透過および分離する水素透過膜およびその製造方法に関する。
近年、深刻化している大気の環境の悪化を改善するための手段の一つとして、低公害エネルギーの利用が求められてきており、それに伴って、新しい低公害エネルギーの開発が進められている。このような低公害エネルギーの一つとして、水素を使用したエンジンあるいは燃料電池がある。これらの装置において燃料として使用する水素を効率よく安価に製造することが、この低公害エネルギーの普及に役立つことになる。
水素を精製する方法としては、選択的に水素のみを透過させる水素透過膜を使用することにより、水素を含む混合ガスから水素を分離する水素分離法が知られている。特に、パラジウム(Pd)は、常温で約900倍の体積の水素を原子として吸収することができるため、従来から水素透過膜として広く利用されてきている。
Pd膜を利用した水素ガスの分離・精製のプロセスについて、以下に示す。
炭化水素燃料などを改質することにより改質ガスを得て、得られた改質ガスである混合ガスを所定温度で加圧して、PdまたはPd合金の薄膜の一方側に供給し、一定の温度まで加熱すると、膜表面に接触している水素分子が原子状に解離し、Pdと固溶体を形成して膜内に取り込まれる。このとき、混合ガスに含有する多くの不純物や、水素以外のガス成分は、Pdと反応しないため、PdまたはPd合金の薄膜内に取りこまれることなく、薄膜の一方側に残存する。
このように、PdまたはPd合金に取り込まれ、吸蔵された水素原子は、薄膜の両側に設定した水素の分圧の差によって生じた膜厚方向の水素吸蔵量の差によって、水素吸蔵量が多い一方側から、水素吸蔵量が少ない他方側へ拡散し、他方側の膜表面で再び水素分子になる。
このようにして、改質ガスから水素ガスを選択的に分離することができ、完全に精製される。精製後の水素純度は、7N(99.99999%)以上あり、通常は、投入された水素の95%以上を精製できるといわれている。
このように、水素を選択的に透過・分離する水素透過膜は、従来から、半導体用のシリコン製造工程などにおいて、高純度水素の精製装置に使用されている。また、近年では、低公害エネルギーとしても注目されている燃料電池において、その燃料に用いる水素ガスの精製・分離装置への適用も検討されている。
水素透過膜の水素透過流量J(molH2・m-2・sec-1)は、水素透過係数φ(molH2・m-1・sec-1・Pa-0.5)、加圧側の水素分圧Ph(Pa)、透過側の水素分圧Pl(Pa)、および水素透過膜の膜厚d(m)を用いて、次式のように表される。
J=φ・(Ph0.5−Pl0.5)/d
この式から、膜厚dが薄いほど、水素透過流量Jが増加することが理解される。例えば、温度を400℃、加圧側の水素分圧を0.2MPa、透過側の水素分圧を常圧とした条件で、膜厚が20μmであるPd膜の水素透過流量Jが20mL/min・cm2であった場合、膜厚を1/20の1μmにすると、水素透過流量Jは、20倍の400mL/min・cm2まで増加する。ここで、Pdの使用量は膜厚に比例するので、Pdの使用量は1/20となる。このため、膜厚を薄くすることは、水素透過膜の水素透過性および材料費の両面から有利である。
以上に示したPd系水素透過膜は、高価な材料であるので、安価な材料として、Pd系の合金以外にも、以下の文献に示すようにいろいろな種類の合金を用いて作製した水素透過合金膜が存在する。
例えば、特許文献1には、ニッケル(Ni)またはコバルト(Co)を含有するバナジウム(V)合金からなる水素透過膜が記載されている。この水素透過膜は、結晶質金属材料であって、アーク熔解法で厚さ1mmのV−Ni系合金膜を形成し、その表面にパルスメッキ法で厚さ約10nmのPdを被覆することにより得られる。しかしながら、圧延法で膜化しようとすると、ピンホールや膜の破損が生じて、20μm以下まで薄くするのは困難である。さらに、水素脆化して割れやすいという問題がある。
これに対して、本出願人は、特許文献2において、基板上に、スパッタリング法を利用して、順次、Pd膜、5A族金属およびCuの合金膜、さらにその上にPd膜を形成させた後、基板から、Pd膜/合金膜/Pd膜からなる積層膜を剥離することにより得られる、膜厚が0.5〜50μm程度の水素透過膜を、提案している。しかしながら、水素脆化しやすいというという問題がある。
非特許文献1によれば、非晶質材料は、結晶質の材料に比べて水素脆化を起こし難いことが知られており、以下に示す非晶質の水素透過膜が提案されている。
特許文献3には、液体急冷法を用いて得られ、非晶質ジルコニウム−ニッケル(Zr−Ni)系合金からなる水素透過膜が記載されている。この水素透過膜は、液体急冷法で、厚さが30〜40μmのZr−Ni系合金のリボン状非晶質膜とすることにより得られる。
さらに、特許文献4では、液体急冷法により得られ、アモルファス結晶構造を有するニオブ(Nb)合金からなる厚さが30μm程度の水素透過膜が提案されている。
このように液体急冷法を用いれば、水素脆化に強いとされる非晶質の水素透過膜材料を、膜厚30μmに膜化することができる。しかしながら、液体急冷法では、膜厚5μm以下の薄膜を作製しようとすると、多量のピンホールが発生したり、破損したりするため、安定して膜を製造することが困難になるという問題がある。
特許第1946438号公報
特開2006−722号公報
特許第3079225号公報
特開2004−42017号公報
山浦真一、木村久道、井上明久、「金属ガラスと水素」、「金属」、株式会社アクネ技術センター、Vol.75 (2005)No.1,P.48
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて、安価で、かつ、生産性よく、水素を選択的に透過・分離する性能に優れ、膜厚が0.1〜5μmの水素透過膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る水素透過膜は、膜厚が0.1〜5μmの非晶質合金層膜の両側に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる表面層膜が形成されていることを特徴とする。
前記非晶質合金層膜は、非晶質のZr−Ni合金または非晶質のNb−Zr−Ni合金により形成されていることが好ましい。
本発明に係る水素透過膜は、スパッタリング法を用いて、基板上に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第1表面層膜を形成し、その上に、膜厚が0.1〜5μmの非晶質合金層膜を形成し、さらにその上に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第2表面層膜を形成させた後、基板と第1表面層膜との間を剥離させることにより、第1表面層膜/非晶質合金層膜/第2表面層膜からなる積層膜である水素透過膜を得ることにより、製造される。
前記基板として、ガラス、酸化物もしくは窒化物を被覆したガラス、酸化物もしくは窒化物を被覆したシリコンウエハー、酸化物もしくは窒化物を被覆した金属、および、樹脂からなる群から選ばれる1種を用いることができる。
本発明によれば、水素を透過・分離する性能に優れ、膜厚が薄い水素透過膜を、安価で、かつ、生産性よく、得ることができ、得られた水素透過膜を水素ガスの精製・分離装置に適用することで、エンジンや燃料電池の燃料として用いる水素を効率良く得ることが可能となり、工業的な価値は大きい。
本発明の水素透過膜は、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第1表面層膜と、その上に形成され、膜厚が0.1〜5μmの非晶質合金層膜と、さらにその上に形成され、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第2表面層膜とからなる。
非晶質合金層膜は、PdまたはPd合金の代替材料として知られ、液体急冷法で非晶質化が可能な材料であって、水素透過・分離性能を有するZr−Ni合金、Nb−Zr−Ni合金、Nb−Zr−Ni−Ti合金などから選択することができ、また、これらの代替材料も用いることができる。液体急冷法による非晶質化が困難な材料では、靱性が不足して水素脆化を生じやすい。
また、非晶質合金層膜の表面は、水素分子の解離および再結合触媒能が不十分であるために、非晶質合金層膜が単独では、実質的に水素原子が浸入できず、水素透過性能が得られない。これに対して、PdまたはPd合金は、良好な触媒能を有するので、本発明においては、非晶質合金層膜の両表面に、膜厚が0.01〜0.1μmであるPdまたはPd合金からなる表面層膜を形成する。
非晶質合金層膜は、膜厚が0.1〜5μmであることが好ましい。膜厚が厚いと水素透過流量が減少するばかりでなく、製造コストが増加してしまうので、膜厚が5μm以下であることが必要である。また、水素透過性能上、膜厚が薄いほど水素透過量が増加するので、膜厚が薄いほど好ましい。ただし、非晶質合金層膜の膜厚を0.1μmより薄くすると、機械的強度が不足し、基板から剥離することが困難になったり、破損しやすくなったりするので、0.1μm以上の膜厚が必要である。
第1表面層膜または第2表面層膜を形成するPdまたはPd合金の膜は、一方において、水素が非晶質合金層膜の中へ溶け込むための触媒性能を有し、他方において、水素ガス分子として再結合させるための触媒性能を有する。また、非晶質合金層膜が酸化して劣化するのを防止するバリア性能を有する。
第1表面層膜または第2表面層膜を形成する材料としては、純Pdのほか、Ag、Cu、Yまたは希土類元素などを含むPd合金から適宜選択して用いることができる。
第1表面層膜または第2表面層膜は、膜厚が0.01〜0.1μmであることが好ましい。第1表面層膜または第2表面層膜の膜厚が厚いと、製造コストが増加してしまうので、膜厚は0.1μm以下であることが好ましい。一方、第1表面層膜または第2表面層膜の膜厚が0.01μm未満になると、バリア性能が不十分となるため、好ましくない。
また、基板上に第1表面層膜を施さないで、非晶質合金層膜を直接に基板上に形成すると、非晶質合金層膜と基板の密着力が強すぎて、積層膜を基板から剥がすことが困難となる。
本発明に係る水素透過膜を得るための製造方法は、次の通りである。すなわち、基板上に、スパッタリング法により、順次、PdまたはPd合金からなる第1表面層膜を形成し、その上に、Zr−Ni合金またはNb−Zr−Ni合金からなる非晶質合金層膜を形成し、さらにその上に、PdまたはPd合金からなる第2表面層膜を形成させた後、基板と第1表面層膜との間を剥離することにより、第1表面層膜/非晶質合金層膜/第2表面層膜からなる積層膜である水素透過膜を得る。
水素透過膜の製造方法の一実施例について、図1に説明図を示す。
まず、(A)基板(1)をスパッタリング装置内にセットし、(B)基板(1)の上に、スパッタリング法により、PdまたはPd合金からなる第1表面層膜(2)を形成し、(C)その上に、Zr−Ni合金またはNb−Zr−Ni合金からなる非晶質合金層膜(3)を形成し、(D)さらにその上に、PdまたはPd合金からなる第2表面層膜(4)を形成させ、(E)その後、第1表面層膜(2)/非晶質合金層膜(3)/第2表面層膜(4)からなる積層膜(5)を基板(1)から剥離する。
非晶質合金層膜を形成する場合において、Zr−Ni合金またはNb−Zr−Ni合金ターゲットをスパッタリングしてもよいし、あるいは、これらの合金の主成分の金属ターゲットと第2成分および第3成分の金属ターゲットを同時にスパッタリングしてもよい。また、非晶質合金層膜を得るために使用するターゲットは、非晶質である必要はなく、市販の金属ターゲットを使用することができる。
基板としては、ガラス、酸化物もしくは窒化物を被覆したガラス、酸化物もしくは窒化物を被覆したシリコンウエハー、酸化物もしくは窒化物を被覆した金属、および、樹脂から、適宜選択して使用することができる。このうち、ガラスからなる基板は、比較的均一に成膜が可能であり、かつ、成膜後に水素透過膜を剥離しやすいので好ましい。
基板から剥離させて得た本発明の水素透過膜は、通気性多孔質支持体で支えるなどして使用する。通気性多孔質支持体は、ステンレス鋼(SU316)などの金属粒子を焼結したもの、あるいは、アルミナなどの多孔質セラミックスでも可能である。金属製の通気性多孔質支持体の場合は、通気性多孔質支持体の表面にアルミナなどの熱拡散防止層を施す必要がある。
(実施例1)
スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH2306RDE)に、Pd、Zr、Niの3つのターゲットを取り付け、基板ホルダーに、56×76mmクラウンガラス基板を取りつけて、5×10-4Pa以下まで真空排気した。そして、Arガスを該スパッタリング装置内に導入して、Arガスの圧力を1Paにするとともに、PdターゲットにDC1.0Aのスパッタ電流を投入して、基板上にPd膜を0.05μm形成した。
スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH2306RDE)に、Pd、Zr、Niの3つのターゲットを取り付け、基板ホルダーに、56×76mmクラウンガラス基板を取りつけて、5×10-4Pa以下まで真空排気した。そして、Arガスを該スパッタリング装置内に導入して、Arガスの圧力を1Paにするとともに、PdターゲットにDC1.0Aのスパッタ電流を投入して、基板上にPd膜を0.05μm形成した。
続いて、ZrとNiターゲットにそれぞれDC1.0AとDC1.3Aのスパッタ電流を同時に投入して、Pd膜の上に、Zr−Ni非晶質合金層膜を0.8μm形成した。
再び、Pdターゲットに、DC1.0Aのスパッタ電流を投入して、Zr−Ni非晶質合金層膜の上に、Pd膜を0.05μm形成した。
前記成膜が終了した後、大気中において、クラウンガラス基板から、得られたPd/Zr−Ni/Pdの積層膜を剥離させて、水素透過膜を得た。
得られた水素透過膜をX線回折(XRD)分析した結果、表面層膜であるPdのピーク以外は、ブロードな回折パターンであることから、得られた水素透過膜中のZr−Ni合金膜は、非晶質であった。また、得られた水素透過膜中のZr−Ni合金膜の組成をICP−AES(誘導プラズマ発光分光分析:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)で分析した結果、Niが68at%含有され、残りがZrからなる合金であった。
得られた水素透過膜を直径10mmに切り出した。切り出した水素透過膜を、表面が予めアルミナで0.2μmコーティングされ、熱拡散を防止した直径11mmのステンレス製多孔質支持体の表面に重ねて、本発明者が作製した水素透過測定装置の直径8mmの本体部に取り付け、水素ガスの温度を300℃とし、上流側水素ガス圧0.1MPa、透過側水素ガス圧は常圧として、透過水素流量をマスフローメーター(日本アエラ株式会社製、FM−390)で測定した。得られた透過水素流量を、単位面積(1m2)の水素透過膜を単位時間あたりに透過する水素の量に換算し、さらに、標準状態での体積に換算した値(NL/(min・m-2))で評価した。得られた透過水素流量は、290NL/min/m2であった。
(実施例2)
基板をクラウンガラス製から熱酸化皮膜付きシリコンウエハー製に代えて、該基板の上に、膜厚0.02μmのPd膜/膜厚0.4μmZr−68Ni膜/膜厚0.02μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、573NL/min/m2であった。
基板をクラウンガラス製から熱酸化皮膜付きシリコンウエハー製に代えて、該基板の上に、膜厚0.02μmのPd膜/膜厚0.4μmZr−68Ni膜/膜厚0.02μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、573NL/min/m2であった。
(実施例3)
基板をクラウンガラス製からポリイミドフィルム製に代えて、非晶質合金層膜の材料として、Zr−36Niを用い、膜厚0.08μmのPd膜/膜厚4.0μmのZr−36Ni膜/膜厚0.08μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、143NL/min/m2であった。
基板をクラウンガラス製からポリイミドフィルム製に代えて、非晶質合金層膜の材料として、Zr−36Niを用い、膜厚0.08μmのPd膜/膜厚4.0μmのZr−36Ni膜/膜厚0.08μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、143NL/min/m2であった。
(実施例4)
基板をクラウンガラス製から、あらかじめアルミナを0.2μm被覆したアルミニウム製に代えて、表面層膜の材料として、Pdの代わりにPd−23Ag合金を用いて、膜厚0.05μmのPd−23A合金膜/膜厚0.8μmのZr−68Ni膜/膜厚0.05μmのPd−23A合金膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、295NL/min/m2であった。
基板をクラウンガラス製から、あらかじめアルミナを0.2μm被覆したアルミニウム製に代えて、表面層膜の材料として、Pdの代わりにPd−23Ag合金を用いて、膜厚0.05μmのPd−23A合金膜/膜厚0.8μmのZr−68Ni膜/膜厚0.05μmのPd−23A合金膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、295NL/min/m2であった。
(実施例5)
非晶質合金層膜の材料として、Zr−68Niの代わりにNb−29Zr−42Niを用い、膜厚0.05μmのPd膜/膜厚2.0μmのNb−29Zr−42Ni膜/膜厚0.05μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、785NL/min/m2であった。
非晶質合金層膜の材料として、Zr−68Niの代わりにNb−29Zr−42Niを用い、膜厚0.05μmのPd膜/膜厚2.0μmのNb−29Zr−42Ni膜/膜厚0.05μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、785NL/min/m2であった。
(実施例6)
基板をクラウンガラス製から、あらかじめアルミナを0.2μm被覆したアルミニウム製に代えて、表面層膜の材料として、Pdの代わりにPd−23Ag合金を用い、非晶質合金層膜の材料として、Zr−68Niの代わりにNb−29Zr−42Niを用いて、膜厚0.08μmのPd−23Ag膜/膜厚4.0μmのNb−29Zr−42Ni膜/膜厚0.08μmのPd−23Ag膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜における透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、396NL/min/m2であった。
基板をクラウンガラス製から、あらかじめアルミナを0.2μm被覆したアルミニウム製に代えて、表面層膜の材料として、Pdの代わりにPd−23Ag合金を用い、非晶質合金層膜の材料として、Zr−68Niの代わりにNb−29Zr−42Niを用いて、膜厚0.08μmのPd−23Ag膜/膜厚4.0μmのNb−29Zr−42Ni膜/膜厚0.08μmのPd−23Ag膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜における透過水素流量をマスフローメーターで測定したところ、透過水素流量は、396NL/min/m2であった。
(比較例1)
非晶質合金層であるZr−68Ni膜の上に、第2表面層膜としてPd膜を形成しなかったこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定した。しかし、比較例1の水素透過膜からは透過水素ガスを検出できなかった。
非晶質合金層であるZr−68Ni膜の上に、第2表面層膜としてPd膜を形成しなかったこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。その後、実施例1と同様に、得られた水素透過膜の透過水素流量をマスフローメーターで測定した。しかし、比較例1の水素透過膜からは透過水素ガスを検出できなかった。
(比較例2)
膜厚0.02μmのPd膜/膜厚0.05μmのZr−68Ni膜/膜厚0.02μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。しかしながら、水素透過膜をガラス基板から剥離することができなかった。
膜厚0.02μmのPd膜/膜厚0.05μmのZr−68Ni膜/膜厚0.02μmのPd膜からなる積層膜を形成したこと以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。しかしながら、水素透過膜をガラス基板から剥離することができなかった。
(比較例3)
基板上に、第1表面層膜としてPd膜を形成せずに、直接、非晶質合金層膜としてZr−68Ni膜を形成した以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。しかしながら、水素透過膜をガラス基板から剥離することができなかった。
基板上に、第1表面層膜としてPd膜を形成せずに、直接、非晶質合金層膜としてZr−68Ni膜を形成した以外、実施例1と同様に行い、水素透過膜を得た。しかしながら、水素透過膜をガラス基板から剥離することができなかった。
表1に示すように、本発明の範囲に属する実施例1〜6の水素透過膜は、143〜785NL/min/m2の水素ガスを透過した。したがって、本発明に係る水素透過膜は、水素ガスの精製・分離に有用であると考えられる。
これに対し、非晶質合金層膜上にPdを形成しない比較例1の水素透過膜を用いた場合には、透過する水素ガスを検出できなかった。また、非晶質合金層膜の膜厚が本発明の0.1〜5μmを満たさない比較例2の水素透過膜を用いた場合には、基板から水素透過膜を剥離することができなかったが、非晶質合金層膜の機械的強度が不足していたためと考えられる。さらに、基板上に直接、非晶質合金層膜を形成した比較例3の水素透過膜を用いた場合には、基板から水素透過合金膜を剥離することができなかったが、非晶質合金層膜と基板の密着力が強すぎたためと考えられる。
1 基板
2 第1表面層膜
3 非晶質合金層膜
4 第2表面層膜
5 積層膜
2 第1表面層膜
3 非晶質合金層膜
4 第2表面層膜
5 積層膜
Claims (5)
- 膜厚が0.1〜5μmの非晶質合金層膜の両側に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる表面層膜が形成されていることを特徴とする水素透過膜。
- 前記非晶質合金層膜が、非晶質のZr−Ni合金または非晶質のNb−Zr−Ni合金からなる請求項1に記載の水素透過膜。
- スパッタリング法を用いて、基板上に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第1表面層膜を形成し、その上に、膜厚が0.1〜5μmの非晶質合金層膜を形成し、さらにその上に、膜厚が0.01〜0.1μmのPdまたはPd合金からなる第2表面層膜を形成させた後、基板と第1表面層膜との間を剥離させることにより、第1表面層膜/非晶質合金層膜/第2表面層膜からなる積層膜である水素透過膜を得ることを特徴とする水素透過膜の製造方法。
- 前記非晶質合金層膜の材料として、Zr−Ni合金またはNb−Zr−Ni合金を用いる請求項3に記載の水素透過膜の製造方法。
- 前記基板が、ガラス、酸化物もしくは窒化物を被覆したガラス、酸化物もしくは窒化物を被覆したシリコンウエハー、酸化物もしくは窒化物を被覆した金属、および、樹脂からなる群から選ばれる1種であることを特徴とする請求項3に記載の水素透過膜の製造方法。
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JP2007115816A Pending JP2008272605A (ja) | 2007-04-25 | 2007-04-25 | 水素透過膜およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008272605A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103432911A (zh) * | 2008-01-24 | 2013-12-11 | 株式会社新生能源研究 | Co2促进输送膜及其制造方法 |
US11772049B2 (en) | 2018-07-12 | 2023-10-03 | Hydrogen Mem-Tech As [No/No] | Gas separation device |
-
2007
- 2007-04-25 JP JP2007115816A patent/JP2008272605A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103432911A (zh) * | 2008-01-24 | 2013-12-11 | 株式会社新生能源研究 | Co2促进输送膜及其制造方法 |
US11772049B2 (en) | 2018-07-12 | 2023-10-03 | Hydrogen Mem-Tech As [No/No] | Gas separation device |
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