JP2009173534A - 膜反応器 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素分離膜の表層での水素分圧を高めて、水素分離膜での充分な水素透過速度を得ることができる膜反応器を提供する。
【解決手段】水素分離膜1と通路構成部材2との間にガス通路3を形成すると共に、ガス通路3に、水素分離膜1の面に沿う方向に含水素ガスを流して、水素分離膜1により含水素ガス中の水素を分離する膜反応器M1であって、通路構成部材2における水素分離膜1に対向する通路壁面に、含水素ガスの流れ方向に配列した凹凸としてフィンF1を設けたことにより、水素分離膜1の表層での水素分圧を高めて、充分な水素透過速度及び水素透過量を得た。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素を含むガスから水素ガスを取出すのに用いられる膜反応器に関するものである。
この種の膜反応器としては、一対の保持部により、自立タイプの金属製の水素透過膜を挟持した構造を有するものがあった(特許文献1参照)。両保持部は、片面に複数の溝を等間隔で形成したプレートであって、互いの溝を対向させた状態にして、溝間である凸部同士の間で水素透過膜を挟持している。
そして、膜反応器は、一方及び他方の保持部と水素透過膜との間に、夫々のガス通路を形成しており、一方のガス通路に水素を含有した改質ガスを流通させて、水素透過膜により改質ガス中の水素ガスを分離し、その水素ガスを他方のガス通路から外部に取出すようになっている。
特開2003−165710号公報
ところで、この種の膜反応器では、一方の保持部と水素透過膜との間のガス通路において、水素透過膜の面に沿う方向に改質ガスを流すことになり、この際、ガス通路における改質ガスの流れが層流になる。
このため、上記したような従来の膜反応器では、ガス通路の上流側から下流側に向かうにつれて、水素透過に伴って水素透過膜の表層での水素分圧が低下し、水素透過速度が低下するという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。また、膜反応器における水素透過膜は、改質ガスの流通域と水素ガスの流通域の隔壁でもあることから、構造体としての強度を確保し得る厚さが必要となり、水素透過量を多くするための薄肉化の要求に充分に答えられないという問題点があった。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたものであって、ガス通路の上流側から下流側に至る間において、水素分離膜の表層での水素分圧を高めて、水素分離膜での充分な水素透過速度及び水素透過量を得ることができる膜反応器を提供することを目的としている。
本発明は、水素分離膜と通路構成部材との間にガス通路を形成すると共に、ガス通路に、水素分離膜の面に沿う方向に含水素ガスを流して、水素分離膜により含水素ガス中の水素を分離する膜反応器である。
そして、本発明の膜反応器は、通路構成部材における水素分離膜に対向する通路壁面に、含水素ガスの流れ方向に配列した凹凸を設けた構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
また、本発明の膜反応器は、より好ましい実施形態の一つとして、水素分離膜が、耐熱無機酸化物製の多孔質材から成る支持板とともに水素分離体を構成する水素分離金属膜であると共に、通路構成部材が、水素分離体を間にして組み合わされて同水素分離体の両側にガス通路を形成する一方及び他方の金属製筐体のうちの一方の金属製筐体である。そして、両筐体又は各筐体の一部を構成する枠部材で水素分離金属膜の全周を挟持した構成としている。
本発明の膜反応器は、上記構成を採用したことから、ガス通路の上流側から下流側に至る間において、水素分離膜の表層での水素分圧を高めて、水素分離膜での充分な水素透過速度及び水素透過量を得ることができ、水素ガスの分離効率を向上させることができる。
図1は、本発明の膜反応器の一実施例を説明する図である。
図示の膜反応器M1は、水素分離膜1と通路構成部材2との間に、扁平なガス通路3を形成し、ガス通路3に、図中に矢印で示す如く、水素分離膜1の面に沿う一方向に含水素ガスを流して、水素分離膜1により含水素ガス中の水素ガスを分離する。
水素分離膜1は、例えばパラジウム(Pd)又はパラジウム合金製であり、図示しない多孔質製の支持板等により支持されている。通路構成部材2は、材料がとくに限定されないが、後記するように改質触媒を塗布して加熱する場合には熱伝導性の高い材料が望ましく、例えばステンレス製である。また、分離した水素ガスは、水素分離膜1の他方側(図1中で上側)に形成される第2のガス通路(図示せず)を経て供給先へ送られる。
そして、図示の膜反応器M1は、通路構成部材2における水素分離膜1に対向する通路壁面に、含水素ガスの流れ方向に配列した凹凸が設けてある。より詳しくは、通路構成部材2の通路壁面における凹凸が、含水素ガスの流れ方向を長手方向とするフィンF1により形成してある。
図示の膜反応器M1は、複数のフィンF1を含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向(水平に横切る方向)に所定間隔で平行に配列しており、とくに、図1において流れを横切る方向に配列した四枚のフィンF1を一つのフィン群としたときに、流れ方向に隣接するフィン群同士が流れを横切る方向にずれた配置になっている。
なお、フィンF1は、その材料がとくに限定されないが、通路構成部材2と同じ材料(例えばステンレス)を用いることができ、また、ガス通路3の大きさに応じて、長さ、高さ及び厚さ等の諸寸法が決定される。一例として、フィンF1は、高さが1mm程度で、水素分離膜1との間に0.1mm程度の隙間を形成する。
さらに、図示の膜反応器M1は、通路構成部材2の通路壁面に、原料ガスを含水素ガスに改質する改質触媒6が塗布してあり、より望ましい構成として、凹凸(フィンF1)の表面にも、原料ガスを含水素ガスに改質する改質触媒を塗布することができる。
この場合、膜反応器M1における通路構成部材2は、その内部に、改質触媒6の加熱源となる高温ガスの流路5が形成してある。この流路5は、内部表面に燃焼触媒が塗布してあり、燃料と空気を供給して混合燃焼させ、その燃焼ガス(高温ガス)を改質触媒6の加熱源にしている。
上記の構成を備えた膜反応器M1は、例えば炭化水素系の原料(燃料)を気化して原料ガスとして、ガス通路3に原料ガスを供給し、原料ガスを改質触媒6により含水素ガス(改質ガス)に改質すると共に、この含水素ガスを一方向に流しながら、水素分離膜1によって含水素ガスから水素ガスを分離する。
このとき、凹凸の無いガス通路では、含水素ガスの流れが層流になるので、下流側になるほど水素分離膜1の表層での水素分圧が低下して、水素分離膜における水素透過速度が低下するという問題点があった。これにより、含水素ガスが、充分な量の水素ガスを含んだままで排出されることになる。
これに対して、当該膜反応器M1は、通路構成部材2の通路壁面に、複数のフィンF1による凹凸が設けてあるので、ガス通路3における含水素ガスの流れが混合されて、水素分離膜1の表層での水素分圧を高めることができる。これにより、ガス通路3の通路壁面から膜表層側に至る間で水素ガス濃度の分布を均一にして、水素分離膜1において高い水素透過速度を得ることができ、含水素ガスからの水素ガスの分離効率を向上させる。
図15は、本発明の膜反応器による水素透過量と、従来の膜反応器の水素透過量とを比較するグラフである。本発明の膜反応器は、ガス通路における凹凸により含水素ガスの混合が充分に行われ(混合促進構造)、他方、従来の膜反応器は、含水素ガスの流れに水素の濃度勾配が生じている(混合構造なし)。その結果、本発明の膜反応器は、従来の膜反応器に比べて水素透過量が26%向上した。
また、この実施形態の膜反応器M1では、通路構成部材2の通路壁面における凹凸をフィンF1により形成し、複数のフィンF1を含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向に所定間隔で配列したので、含水素ガスの攪拌がより促進され、しかも、流れ方向に隣接するフィン群同士を流れを横切る方向にずらせた配置にしたので、流れの経路がより複雑になって含水素ガスの攪拌機能をより一層高めることができる。
さらに、通路構成部材の通路壁面に改質触媒を設けた膜反応器では、例えば通路壁面に凹凸が無いと、先述の如く水素分離膜の表層での水素分圧や水素透過速度が低下するのに伴って、改質触媒近傍では含水素ガスが平衡組成に近くなり、改質触媒近傍での非平衡反応が抑制される。これに対して、この実施形態の膜反応器M1では、通路壁面に凹凸を設けたことにより、水素分離膜1の表層での水素分圧や水素透過速度が高まるので、改質触媒6の近傍での水素濃度が低下し、非平衡反応を促進させることができる。
図2は、本発明の膜反応器の他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M2において、水素分離膜1は、多孔質製の支持板7により支持してある。また、水素分離膜1の他方側(上側)には、第2の通路構成部材8が配置してあり、水素分離膜1と第2の通路構成部材8との間には、水素分離膜1により分離した水素ガスのガス通路9が形成してある。さらに、この実施形態では、通路構成部材2の通路壁面における凹凸が、先の実施形態と同様に配列した複数のフィンF1と、複数の突起体4A,4Bにより形成してある。
突起体4A,4Bは、その材料がとくに限定されないが、フィンF1と同様に、通路構成部材2と同じ材料(例えばステンレス)を用いることができる。図示例の突起体4A,4Bは、フィンF1の高さよりも小さい高さの矩形断面を有する直方体形状を成し、含水素ガスの流れ方向に隣接するフィンF1同士の間に設けたもの(4A)と、含水素ガスの流れを横切る方向に隣接するフィンF1同士の間に設けたもの(4B)とがあり、これらの表面にも改質触媒6を塗布することができる。
上記の膜反応器M2にあっても、先の実施形態のもの(図1参照)と同様の作用及び効果が得られるうえに、凹凸を構成する複数の突起体4A,4Bを採用したことから、ガス通路3における含水素ガスの攪拌がより一層促進されることとなる。しかも、当該膜反応器M2では、図2(c)に示すように、突起体4A,4Bによる含水素ガスの剥離流が通路壁面に再付着することで、局所熱伝達率が増加する効果が得られ、これにより伝熱性能が向上し、改質触媒6による改質効率のさらなる向上を実現する。
なお、上記の実施形態では、含水素ガスの流れ方向に隣接するフィンF1同士の間に設けた突起体4Aと、流れを横切る方向に隣接するフィンF1同士の間に設けた突起体4Bを例示したが、いずれかを選択的に設けることもできる。
図3は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M3は、通路構成部材2の通路壁面自体を多数の傾斜面により凹凸形状に形成すると共に、含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向の両方向に凹部2Aと凸部2Bを交互に配置している。
上記の膜反応器M3は、先の各実施形態と同様の作用及び効果が得られるうえに、傾斜面により凹凸を形成し且つ凹部2Aと凸部2Bを交互に配置したことから、図3(b)に示すように、含水素ガスの流れ方向(図の左右方向)においては、S1〜S4で示すいずれの位置でもガス通路の断面積がほぼ一定となる。これにより、水素分離膜1に対する圧力変動を抑制することができ、同水素分離膜1の耐久性向上に貢献することができる。
図4は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M4は、通路構成部材2の通路壁面自体を多数の傾斜面により凹凸形状に形成すると共に、含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向の両方向に凹部2Aと凸部2Bを交互に配置し、さらに、通路構成部材2の通路壁面に、複数のフィンF2を配列している。
上記のフィンF2は、例えば通路構成部材2と同じ材料(例えばステンレス)で形成され、含水素ガスの流れ方向において、凹部2Aと凸部2Bのピッチよりも小さい長さを有すると共に、凸部2Aの高さよりも大きい高さ寸法を有しており、含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向の両方向に配列してある。
上記の膜反応器M4は、図3に示す実施形態のものと同様の作用及び効果が得られるうえに、多数のフィンF2を設けたことにより、伝熱性能が向上する効果があると共に、改質触媒6による改質効率のさらなる向上を実現する。
図5は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M5は、通路構成部材2の通路壁面自体を多数の傾斜面により凹凸形状に形成すると共に、含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向の両方向に凹部2Aと凸部2Bを交互に配置し、さらに、通路構成部材2の通路壁面に、図2に示す実施形態と同様の複数のフィンF1、及び複数の突起体4A,4Bを配列している。
上記の膜反応器M5は、先の実施形態のものと同様の作用及び効果が得られるうえに、傾斜面により形成した凹部2A及び凸部2B、多数のフィンF1並びに多数の突起体4A,4Bにより、ガス通路3における含水素ガスをより複雑な流れにして攪拌促進効果のさらなる向上を実現する。
図6は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。
図示の膜反応器M6は、水素分離膜が、金属製の多孔質材から成る支持板11とともに水素分離体13を構成する水素分離金属膜12であり、また、通路構成部材が、水素分離体13を間にして組み合わされて同水素分離体13の両側にガス通路G1,G2を形成する一方及び他方の金属製筐体C1,C2のうちの一方の金属製筐体C1である。
そして、膜反応器M6は、通路構成部材である一方の筐体C1において、水素分離膜である水素分離金属膜12に対向する通路壁面に、複数の突起体4により含水素ガスの流れ方向に配列した凹凸が形成してある。
そしてさらに、膜反応器M6は、水素分離金属膜12支持板11と水素分離金属膜12の間に、拡散接合による層間接合部と層間非接合部を設けると共に、水素分離金属膜の全周を一方及び他方の筐体C1,C2で挟持して水素分離金属膜12及び両筐体C1,C2を接合したものとなっている。この接合は、例えば溶融接合や拡散接合等である。
支持体11は、例えばステンレス製であると共に、平均孔径が数十μm程度の多孔質材であって、図示例の場合は一定の厚さを有する矩形状を成している。そして、支持板11は、表面の縁部全周に、層間接合部として、水素分離金属膜12との合金化を促進する合金化促進部14を一定の幅で有すると共に、表面における合金化促進部14以外の中央部分に、層間非接合部として、水素分離金属膜との合金化を阻止する合金化阻止部15を有している。
ここで、合金化促進部14は、当該支持体11が金属製であるから、支持体11の表面そのものである。他方、合金化阻止部14は、SiO2、Al2O3及びZrO2などの耐熱性無機酸化物の膜であって、めっきなどのCVD法、真空蒸着やスパッタリングなどのPVD法若しくは塗布などによって支持体11の表面に形成してある。この合金化阻止部14は、図6(b)の拡大図にも示すように、水素分離金属膜12の厚さT1よりも小さい厚さT2を有しており、これにより薄い水素分離金属膜12の形状を維持すると共に、良好な水素透過性能を確保するものとなっている。
また、水素分離金属膜12は、少なくとも表層がパラジウム又はパラジウム合金製の薄膜であって、その全周が支持体11からはみ出すように、支持体11よりも一回り大きい矩形状を成している。
一方及び他方の筐体C1,C2は、上下に組み合わされて箱型の筐体を形成するものであって、一方の筐体C1は、水素分離体13との間に含水素ガスのガス通路G1を形成すると共に、ガス供給口16Aとガス排出口16Bを備えている。
他方の筐体C2は、水素分離体13との間に水素ガスのガス通路G2を形成すると共に、スイープガス供給口8Aと水素ガス排出口8Bを備えており、水素分離体13を透過した水素ガスをスイープガス(水素ガス)とともに外部に排出するようになっている。
また、他方の筐体C2は、その枠部内側に、支持板11の厚さに対応した段差部19を全周にわたって有している。これにより、両筐体C1,C2は、一方及び他方の筐体C1,C2で水素分離体13の支持板11をがたつき無く強固に挟持し、支持板11からはみ出した水素分離金属膜12の全周を挟持することとなる。
上記の膜反応器M6は、その製造過程において、支持板11の表面に水素分離金属膜(水素分離膜)12を重ねて400〜700℃の比較的低い温度で圧着することで水素分離体13を形成する。このとき、水素分離体13では、金属製の支持板11の表面そのものである合金化促進部14と水素分離金属膜とが接触して合金化が生じ、この部分が拡散接合された層間接合部になる一方で、耐熱無機酸化物製の膜である合金化阻止部15により支持板11と水素分離金属膜12との接触が阻止されて合金化も起こらず、この部分が層間非接合部となって水素ガスの透過を可能にする。
その後、膜反応器M6は、上記の水素分離体13を間にして一方の筐体(通路構成部材)C1及び他方の筐体C2を組み合わせると同時に、支持板11からはみ出した水素分離金属膜12の全周を両筐体C1,C2で挟持し、この際、水素分子金属膜12と金属製の筐体C1,C2とを接触させて合金化を生じさせることにより、特別なシール材等を用いることなく筐体C1,C2同士を拡散接合する。
上記の膜反応器M6は、先の実施形態と同様に、原料ガスをガス通路G1に供給し、同ガス通路G1において、原料ガスを含水素ガス(改質ガス)に改質すると共に、含水素ガス中の水素ガスのみを水素分離体13の層間非接合部を通して混合ガス通路G2に透過させ、この水素ガスをスイープガスで外部に押出して適宜の手段に回収する。
この際、膜反応器M6は、先の各実施形態と同様に、一方の筐体C1側のガス通路G1において、凹凸構造により含水素ガスの充分な攪拌機能を得ることができ、水素ガスの分離効率が高いものとなる。
また、膜反応器M6は、自身で形状を維持できない厚さの水素分離金属膜12すなわち水素透過性能が良好な厚さの水素分離金属膜12を多孔質材から成る支持体11で良好に支持しており、支持体11の表面を薄い水素分離金属膜12で覆うと共に、表面の微細な孔を塞ぐことがないので、支持板11の表面の孔の閉鎖による実質的な水素透過面積の減少が生じることもなく、充分な水素透過量を得ることができる。
そして、膜反応器M6は、水素分離金属膜12と両筐体C1,C2とを同じく合金化により拡散接合しているので、混合ガスや水素ガスが筐体C1,C2間に介在する水素分離金属膜12を通して外部に漏れることも無い。このように、当該膜反応器M6は、水素分離体13においても筐体C1,C2を含む全体構造においても簡単な構造で非常に高いガスシール性を有している。
図7は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M7において、水素分離体23を構成する支持板21は、先の実施形態の支持板11が金属製の多孔質材から成るものであったのに対して、セラミックス等の耐熱無機酸化物製の多孔質材で形成してある。この支持板21は、少なくとも表面の縁部全周に合金化促進部24を有すると共に、その内側に合金化阻止部25を有している。
ここで、上記の合金化促進部24は、支持板21の表面に、めっきなどのCVD法、真空蒸着やスパッタリングなどのPVD法、及び塗布などの手段により形成した金属膜である。また、上記の合金化阻止部25は、セラミックスなどの耐熱性無機酸化物製の多孔質材である。
上記の支持板21は、表面全体に金属膜である合金化促進部14を形成した後、その表面に、合金化阻止部25を嵌め込むための凹部を研削加工等により形成し、その凹部に合金化阻止部25を嵌合して、合金化促進部24の表面と合金化阻止部25の表面を同一面状に形成している。このように支持板21の表面を平坦化することで、薄い水素分離金属膜12の形状を維持し得ると共に、良好な水素透過性能を確保することができる。
そして、水素分離体23は、上記支持板21の表面に水素分離金属膜12を重合することで、支持板21の合金化促進部24と水素分離金属膜12とを接触させ、双方を合金化により拡散接合してこれを層間接合部とし、また、支持板21の合金化阻止部25と水素分離金属膜12との接合を阻止してこれを層間非接合部とする。
さらに、上記の水素分離体23は、先の実施形態と同様に、一方及び他方の金属製筐体C1,C2の間に収容すると共に、両筐体C1,C2で水素分離金属膜12の縁部全周を挟持し、水素分離金属膜12と両筐体とを合金化により拡散接合させて、膜反応器M7を構成する。
このような膜反応器M7にあっても、一方の筐体(通路構成部材)C1側のガス通路G1において、その凹凸構造により、先の実施形態と同様の作用及び効果が得られるうえに、支持板21における合金化促進部24が、水素分離金属膜12と筺体との接合部よりも内側となって高いガスシール性を確保して、先の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
図8は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の各実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M8において、図8(a)に示す水素分離体33を構成する支持板31は、金属製の多孔質材から成るものであって、少なくとも表面の縁部全周に、合金化促進部34を有すると共に、その内側に、セラミックス等の耐熱無機酸化物から成る合金化阻止部35を有している。
上記の支持板31は、表面に合金化阻止部35を多孔質体粒子表面にCVD法、PVD法で形成している。このように支持板31の粒子表面を合金化阻止部とすることで、薄い水素分離金属膜12の形状を維持し得ると共に、良好な水素透過性能を確保することができる。
そして、水素分離体33は、上記支持板31の表面に水素分離金属膜12を重合することで、支持板31の表面そのものである合金化促進部34と水素分離金属膜12とを接触させ、双方を合金化により拡散接合してこれを層間接合部とし、また、支持板31の合金化阻止部35と水素分離金属膜12との接合を阻止してこれを層間非接合部とする。
さらに、上記の水素分離体33は、先の実施形態と同様に、一方及び他方の金属製筐体C1,C2の間に収容すると共に、両筐体C1,C2で水素分離金属膜12の縁部全周を挟持することとなるが、この実施形態では、水素分離金属膜12と筐体C1,C2との接合部において、水素分離膜12の端面を含む表裏縁部全周に金属膜による合金化促進部34Aが設けてあると共に、両筐体C1,C2の接合面にも金属膜による合金化促進部34B,34Cが設けてある。
これにより、上記の水素分離体33は、水素分離金属膜12と両筐体C1,C2とを合金化により拡散接合させて、膜反応器M8を構成する。このような膜反応器M8にあっても、一方の筐体(通路構成部材)C1側のガス通路G1において、その凹凸構造により、先の実施形態と同様の作用及び効果が得られるうえに、支持板31における合金化促進部34が、水素分離金属膜12と筺体C1,C2との接合部よりも内側となって高いガスシール性を確保し、先の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
そして、上記の水素分離体33は、水素分離金属膜12に設けた合金化促進部34A,筐体C1,C2に設けた合金化促進部34B,34Cにより、ガスシール性のさらなる向上を実現することができ、扱うガスの高圧化にも容易に対処することができる。この構成の場合、水素分離金属膜12と筐体C1,C2との接合部に設けた合金化促進部34A〜34Cはいずれかを選択的に用いることもできる。
図9は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態における水素分離体を説明する図である。なお、先の各実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の水素分離体43は、水素分離金属膜12を金属製多孔質材から成る支持板41で支持して成るものであって、さらに、一対の枠部材61,62により保持してある。枠部材61,62は、当該水素分離体43を挟持する一方及び他方の筐体(図7及び図8参照)の夫々の一部を構成するものであって、より具体的には、両筐体の互いの接合部分の一部を夫々構成するものである。
両枠部材61,62のうち、含水素ガスのガス通路側(図12中で上側)となる一方の枠部材61は、複数(八個)の小開口部61aを整列配置した開口部群Hを所定間隔で備えている。また、含水素ガスから分離した水素ガスのガス通路側(図12中で下側)となる他方の枠部材62は、一方の枠部材61の全開口部群Hを含む大きさの大開口部62aを備えている。
そして、図示の水素分離体43は、水素分離金属膜12の全周を両筐体の枠部材61,62で挟持し、他方の枠部材62の大開口部62aの外周に沿って、水素分離金属膜12及び両枠部材61,62を溶接により接合(接合部65)した構成になっている。
上記の水素分離体43を備えた膜反応器では、枠部材61,62が筺体の一部として組み込まれるため、水素分離体の両面側のガス通路間の良好なシール性を確保することができる。また、水素分離体43は、水素分離金属膜12及び支持板41が、枠部材61,62により機械的強度が確保されるので、きわめて薄い水素分離金属膜12を採用しているにも係らず、膜反応器の製造過程において非常に容易に取り扱うことができる。また、水素分離体43は、図示例のように多数の小開口部61aを有する枠部材61を採用したことで、製造時において水素分離金属膜12の損傷を防止し得るという効果がある。
図10は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態における水素分離体を説明する図である。なお、先の各実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の水素分離体53は、水素分離金属膜12を金属製多孔質材から成る支持板51で支持して成るものであって、さらに、枠部材63により保持してある。枠部材63は、当該水素分離体53を間にして組み合わされる一方及び他方の筐体(図7及び図8参照)のうちの一方の筐体の一部を構成するものであって、より具体的には、他方の筐体との接合部分の一部を構成するものである。この枠部材63は、複数(四個)の開口部63aを所定間隔で備えている。
そして、図示の水素分離体53は、水素分離金属膜12の全周を枠部材63と支持板51で挟持し、枠部材62の各開口部63aの外周に沿って、水素分離金属膜12及び枠部材63を接合(接合部65)した構成になっている。
上記の水素分離体53を備えた膜反応器は、水素分離金属膜12の面積が支持板51の面積よりも小さい場合にも好適である。また、筐体の一部を構成する枠部材61〜63を採用した構成では、各枠部材61〜63の夫々の開口部61a〜63aの大きさに合わせた水素分離金属膜12を用いると、同金属膜の強度が維持しやすい。また、複数の開口部61a〜63aを同時に覆う水素分離金属膜12を用いると、開口部61a〜63a間の桟部の下側部分での水素透過も期待できるため、金属膜の実質的な表面積を大きく確保し得るという利点がある。
図11及び図12は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の各実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M10は、水素分離金属膜12を金属製多孔質材から成る支持板11で支持して成る水素分離体13と、水素分離体13を間にして組み合わされる一方及び他方の金属製筐体C1,C2とを一組立体Aとして、これを二組備えている。
各組立体Aは、水素分離体13と一方の筐体C1との間に含水素ガスのガス通路G1を形成すると共に、水素分離体13と他方の筐体C2との間に含水素ガスから分離した水素ガスのガス通路G2を形成している。
また、含水素ガスのガス通路G1において、筐体C1の通路壁面には、先の各実施形態で説明した凹凸が形成してある。さらに、同筐体C1の通路壁面及び凹凸の表面の少なくとも一方には、原料ガスを含水素ガスに改質する改質触媒が設けてある。
膜反応器M10は、図12に示すように、両組立体A,Aの構成が線対称となるように、両組立体の一方の筐体C1,C1同士、すなわち含水素ガスのガス通路G1を形成する筐体C1,C1同士を接合している。そして、膜反応器M10は、接合する両筐体C1,C1の間に、原料ガスを含水素ガスに改質する改質触媒の加熱源となる高温ガスの流路5を形成している。図12に示す構造では、紙面に垂直な方向に含水素ガス、水素ガス及び高温ガスが流通することとなる。
上記構成を備えた膜反応器M10は、先の各実施形態と同等の効果が得られるうえに、断面中央部に高温ガスの流路5が設けてあって、同中央部に熱が供給されることから、当該装置からの熱の逃げが少なく、両側の筐体C1,C1の改質触媒に対して効率良く熱を供給することができる。また、膜反応器M10は、高温ガスの流路5の両側に位置する各組立体A,Aの温度をほぼ同一にすることができるので、当該装置の温度制御が容易であり、これにより水素ガスの生成量の制御も容易になるうえに、装置の耐久性が向上するなどの効果がある。
図13は、本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の各実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の膜反応器M9は、先の各実施形態が平板型であったのに対して、筒型を成すものとなっている。すなわち、膜反応器M9は、その中心から、内側に燃焼ガスの流路5を有する円筒状の通路構成部材2、円筒状の支持体7により支持された水素分離膜1、及び円筒状の外殻40を同心状に配置している。
膜反応器M9は、通路構成部材2と水素分離膜1との間に、含水素ガスのガス通路3を形成すると共に、水素分離膜1と外殻40との間に、分離した水素ガスのガス通路9を形成している。
そして、膜反応器M9は、通路構成部材2において水素分離膜1に対向する通路壁面(外周面)に、含水素ガスの流れ方向(軸線方向)及び流れを横切る方向(円周方向)の両方向に、多数のフィンF2及び突起体4を配列している。
上記の膜反応器M9は、先の実施形態と同様に、含水素ガスの攪拌機能を高めて水素ガスの分離効率を向上させることができ、このほか、平板型のものに比べて比較的作製が容易という利点がある。
図14は、本発明の膜反応器を用いた自動車用パワートレインの燃料供給装置を説明する図である。
図示の燃料供給装置は、内燃機関50に燃料としての水素ガスを供給するもので、水素分離膜1、含水素ガスのガス通路3、水素ガスのガス通路9及び高温ガス(燃焼ガス)の流路5を備えた膜反応器Mを備えている。
また、燃料供給装置は、蒸発器54と、蒸発器54に対する第1燃料噴射弁51と、高温ガス(燃焼ガス)の流路5に対する第2燃料噴射弁52を備えると共に、第1及び第2の燃料噴射弁51,52を制御するコントロールユニット55を備えている。
この燃料供給装置は、コントロールユニット55からの制御信号により、含水素ガス(改質ガス)となる燃料と水を第1燃料噴射弁51から蒸発器54に供給し、蒸発器54において、燃焼触媒を設けた流路5から供給される高温ガス(燃焼ガス)との熱交換により燃料を気化する。
気化された燃料は、原料ガスとして膜反応器Mのガス通路3に導入され、流路5に流通する燃焼ガスとの熱交換を行うことで、ガス通路3に設けた改質触媒により、原料ガスを含水素ガス(改質ガス)に改質する。この含水素ガス中の水素ガスは、水素分離膜1により選択透過され、水素ガスのガス通路9を経た後、内燃機関50に対して燃料又は燃料の一部として供給される。
ここで、水素分離膜1により透過されなかった排気ガスは、高温ガスとして膜反応器Mの流路5に導入され、改質反応の加熱源に供される。この流路5には、第2燃料噴射弁52により燃料を供給することが可能であり、高温ガスの流路5の温度上昇が必要な場合、コントロールユニット55からの制御信号により燃焼噴射を行う。
本発明の膜反応器は、先の各実施形態で説明したように、含水素ガスの攪拌機能が高くて、水素ガスの分離効率が良好であることから、同膜反応器を用いた上記の自動車用パワートレインの燃料供給装置やパワートレインの排気処理装置への燃料供給装置においても、同様の効果をもたらすこととなり、内燃機関に対する充分な水素ガスの供給源になる。
本発明の膜反応器は、その構成が上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の細部を適宜変更することが可能である。また、上記の各実施形態では、ガス通路に改質触媒を設け、原料ガスを含水素ガスに改質しつつ水素ガスを分離する場合を説明したが、予め改質した含水素ガスをガス通路に導入するものであっても良い。
本発明の膜反応器の一実施形態を説明する斜視図である。 本発明の膜反応器の他の実施形態を説明する断面図(a)、斜視図(b)及 び突起体付近でのガスの流れを示す断面図(c)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する平面図(a)、及び図a 中のA−A線矢視に基づく断面図(b)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する平面図(a)、及び断面 図(b)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する断面図(a)、及び拡大断面図(b)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する断面図(a)及び要部の 断面図(b)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する要部の断面図である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する断面図(a)及び分解状 態で示す断面図(b)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態における水素分離体の平面図(a)及び断面図(b)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態における水素分離体の平面図(a)及び断面図(b)である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する分解斜視図である。 図14に示す膜反応器の断面図である。 本発明の膜反応器のさらに他の実施形態を説明する断面図(a)及び図a中のB−B線矢視に基づく断面図((b)である。 本発明の膜反応器を用いた自動車用パワートレインの燃料供給装置を説明するブロック図である。 本発明の膜反応器と従来の膜反応器の水素透過量を説明するグラフである。
符号の説明
1 水素分離膜
2 通路構成部材
2A 凹部
2B 凸部
3 含水素ガスのガス通路
4 4A 4B 突起体(凹凸)
5 高温ガスの流路
6 改質触媒
7 支持板
11 21 31 支持板
12 水素分離金属膜(水素分離膜)
13 23 33 水素分離体
14 24 34 合金化促進部(層間接合部)
15 25 35 合金化阻止部(層間非接合部)
34A〜34C 合金化促進部
41 51 支持板
43 53 水素分離体
61〜63 枠部材
A 組立体
F1 F2 フィン(凹凸)
G1 含水素ガスのガス通路
G2 水素ガスのガス通路
C1 一方の筐体(通路構成部材)
C2 他方の筐体
M M1〜M10 膜反応器

Claims (23)

  1. 水素分離膜と通路構成部材との間にガス通路を形成すると共に、ガス通路に、水素分離膜の面に沿う方向に含水素ガスを流して、水素分離膜により含水素ガス中の水素を分離する膜反応器であって、
    通路構成部材における水素分離膜に対向する通路壁面に、含水素ガスの流れ方向に配列した凹凸を設けたことを特徴とする膜反応器。
  2. 通路構成部材の通路壁面における凹凸が、含水素ガスの流れ方向を長手方向とするフィンにより形成してあり、複数のフィンを含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向に所定間隔で配列していると共に、流れ方向に隣接するフィン群同士を流れを横切る方向にずらせてあることを特徴とする請求項1に記載の膜反応器。
  3. 通路構成部材の通路壁面における凹凸が、突起体により形成してあり、複数の突起体を含水素ガスの流れ方向に隣接するフィン同士の間に設けたことを特徴とする請求項2に記載の膜反応器。
  4. 通路構成部材の通路壁面における凹凸が、突起体により形成してあり、複数の突起体を含水素ガスの流れを横切る方向に隣接するフィン同士の間に設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の膜反応器。
  5. 通路構成部材の通路壁面自体を多数の傾斜面により凹凸形状に形成すると共に、含水素ガスの流れ方向及び流れを横切る方向の両方向に凹部と凸部を交互に配置したことを特徴とする請求項1に記載の膜反応器。
  6. 通路構成部材の通路壁面に、凹部と凸部のピッチよりも小さい長さの複数のフィンを配列したことを特徴とする請求項5に記載の膜反応器。
  7. 通路構成部材の通路壁面に、フィンよりも小さい突起体を配列したことを特徴とする請求項6に記載の膜反応器。
  8. 通路構成部材の通路壁面に、原料ガスを含水素ガスに改質する改質触媒を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜反応器。
  9. 凹凸の表面に、原料ガスを含水素ガスに改質する改質触媒を設けたことを特徴とする請求項8に記載の膜反応器。
  10. 通路構成部材が、改質触媒の加熱源となる高温ガスの流路を備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の膜反応器。
  11. 水素分離膜が、金属製の多孔質材から成る支持板とともに水素分離体を構成する水素分離金属膜であり、
    通路構成部材が、水素分離体を間にして組み合わされて同水素分離体の両側にガス通路を形成する一方及び他方の金属製筐体のうちの一方の金属製筐体であって、
    支持板と水素分離金属膜の間に、拡散接合による層間接合部と層間非接合部を設けると共に、水素分離金属膜の全周を一方及び他方の筐体で挟持して水素分離金属膜及び両筐体を接合したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の膜反応器。
  12. 支持板が、少なくとも表面の縁部全周に、層間接合部として、水素分離金属膜との合金化を促進する合金化促進部を有すると共に、表面の合金化促進部以外の部分に、層間非接合部として、水素分離金属膜との合金化を阻止する合金化阻止部を有しており、支持板からはみ出した水素分離金属膜の全周を両筐体で挟持したことを特徴とする請求項11に記載の膜反応器。
  13. 支持板における合金化阻止部が、耐熱無機酸化物製の膜から成り、合金化阻止部の厚さが水素分離金属膜の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項12に記載の膜反応器。
  14. 支持板における合金化阻止部が、耐熱無機酸化物製の多孔質材から成り、支持板の表面と合金化阻止部の表面を同一面状に形成したことを特徴とする請求項12に記載の膜反応器。
  15. 水素分離膜が、耐熱無機酸化物製の多孔質材から成る支持板とともに水素分離体を構成する水素分離金属膜であり、
    通路構成部材が、水素分離体を間にして組み合わされて同水素分離体の両側にガス通路を形成する一方及び他方の金属製筐体のうちの一方の金属製筐体であって、
    支持板と水素分離金属膜の間に、拡散接合による層間接合部と層間非接合部を設けると共に、水素分離金属膜の全周を一方及び他方の筐体で挟持して水素分離金属膜及び両筐体を接合し、支持板が、少なくとも表面の縁部全周に、層間接合部として、水素分離金属膜との合金化を促進する合金化促進部を有すると共に、この合金化促進部が、支持板の表面に形成した金属膜であることを特徴とする膜反応器。
  16. 支持板における合金化促進部が、水素分離金属膜と筺体との接合部よりも内側に設けてあることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の膜反応器。
  17. 水素分離金属膜と筐体との接合部において、水素分離金属膜の端面を含む縁部全周に合金化促進部が設けてあることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の膜反応器。
  18. 水素分離金属膜と筐体との接合部において、筐体に合金化促進部が設けてあることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の膜反応器。
  19. 一方及び他方の筐体が、その一部を構成する枠部材を夫々備え、水素分離金属膜の全周を両筐体の枠部材で挟持して水素分離金属膜及び両枠部材を接合したことを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載の膜反応器。
  20. 水素分離膜が、多孔質材から成る支持板とともに水素分離体を構成する水素分離金属膜であり、
    通路構成部材が、水素分離体を間にして組み合わされて同水素分離体の両側にガス通路を形成する一方及び他方の金属製筐体のうちの一方の金属製筐体であって、
    一方の筐体が、その一部を構成する枠部材を備え、
    支持板と水素分離金属膜の間に、拡散接合による層間接合部と層間非接合部を設けると共に、水素分離金属膜の全周を一方の筐体の枠部材と水素分離体の支持板とで挟持して水素分離金属膜、枠部材及び支持板を接合したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の膜反応器。
  21. 水素分離体と一方及び他方の金属製筐体とを一組立体としてこれを二組備え、両組立体の通路構成部材を構成する一方の筐体同士を接合すると共に、接合する両筐体の間に、改質触媒加熱用の高温ガスの流路を形成したことを特徴とする請求項11〜20のいずれか1項に記載の膜反応器。
  22. 水素分離金属膜を多孔質材から成る支持板で支持して成る水素分離体と、水素分離体を間にして組み合わされる一方及び他方の金属製筐体と一組立体としてこれを二組備え、各組立体において、水素分離体と一方の筐体との間に含水素ガスのガス通路を形成すると共に、水素分離体と他方の筐体との間に含水素ガスから分離した水素ガスのガス通路を形成し、両組立体の一方の筐体同士を接合すると共に、接合する両筐体の間に、原料ガスを含水素ガスに改質する改質触媒の加熱源となる高温ガスの流路を形成したことを特徴とする膜反応器。
  23. 自動車用パワートレインの燃料供給装置に用いたことを特徴とする請求項1〜22のいれか1項に記載の膜反応器。
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