JP2005296738A - 水素透過膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非Pd系の代替材料では、水素固溶に伴う体積膨張により大きく変形を生じ、しばしば水素透過膜自体が割れ、破壊に至る。
【解決手段】 一側表面に接する不純物を含む改質ガス中の水素を透過させ、他側表面から選択的に放出させる水素透過膜の製造方法において、水素固溶量がPdよりも大きいPd及びPd合金以外の金属からなる水素透過膜本体Cを形成し、水素透過膜本体Cの一側表面の一部に、水素透過性能を有する水素解離・再結合触媒Aを被覆させると共に、水素透過膜1の他側表面の少なくとも一部に水素透過性能及び水素解離・再結合触媒の機能を有する被覆層A’を形成させ、水素透過膜1の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して水素透過膜本体Cの割れを抑制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非Pd系の水素透過膜及びその製造方法に関するものである。
都市ガス、天然ガス、石油等を一次エネルギーとして水素を製造するメンブレンリフォーマーでは、都市ガス等を改質器及び水素精製器として機能するメンブレンリフォーマーに導き、改質ガスを生成させた後、改質ガスに含まれる水素ガスのみが水素透過膜を透過する現象を利用し、水素を精製して取り出している。
このようなメンブレンリフォーマー用の水素透過膜には、改質器内の高温環境での安定性或いはCOやCO2等の不純物を含む改質ガスに対する水素透過性能の安定性の観点から、パラジウム(Pd)やPd合金からなるPd系材料が用いられている。
しかしながら、Pdは金(Au)よりも希少な貴金属であり、非常に高価かつ入手困難な材料である。このようなPd系材料を用いて製品化されているメンブレンリフォーマーは、水素透過膜を用いない従前の改質器に比べ、装置構成は簡素化されるものの、コストの面からは必ずしも優位にはたつていない。このため、Pd系材料に代わる新たな水素透過膜の材料として、水素固溶量がPdよりも1桁程度大きいタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)或いは、水素吸蔵合金(MH)等が多々提案されている(例えば特許文献1)。これらは、従来材であるPdやPd合金と同程度或いはそれ以上の水素透過性能を有する材料となり得る。
ここで、水素透過膜による水素透過機構は、図6に示すように透過膜Gの表裏両面間における水素ガスの圧力差(膜中に固溶した水素の濃度差)を駆動力として、高圧側から膜G中に水素分子H2が原子状に解離・固溶し、低圧側へ拡散・再結合して再び水素分子H2となつて放出される、というものである。
高圧側に供給される改質ガス中には水素だけでなく未反応の炭化水素ガス(CH4)やCO、CO2等の不純物ガスが含まれるが、これらは原子サイズ等の制約から水素透過膜中へは固溶しない。このため、水素透過膜の低圧側からは、理論上純度100%の水素ガスのみが放出される。このような機構であるため、水素透過膜の材料としては、水素固溶度及び水素拡散係数が高いほど適しているといえ、また、水素透過膜の膜厚が薄いほど高い水素透過速度が実現できることが判る。
このような水素透過膜の製作方法としては、(1)圧延による箔化、(2)多孔質の支持体(基板)上への直接成膜(めっき、イオンプレーティング、スパッタリング等)等の方法が実施されている。
現在までに水素透過膜の材料として実用化されているのはPd系材料のみであるが、この材料は他材料と比較して非常に高い水素解離及び再結合の触媒作用を有し、また、内部での水素拡散も速いため、水素透過膜の材料として好適であるといえる。しかし、Pd系材料は非常に高価な材料であり、また、水素固溶量がさほど大きくないことが弱点である。このような背景から、Pdと比較してより安価で水素固溶度に優れる材料であるタンタル(Ta)やニオブ(Nb)或いは、水素吸蔵合金(MH)等が代替材料として有望視されている。
特開2001−170460公報
しかしながら、上記タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、水素吸蔵合金(MH)等の代替材料では、水素固溶に伴う体積膨張により大きく変形を生じ、しばしば水素透過膜自体が割れ、破壊に至る、という技術的課題を有している。
本発明者等は、Pd系材料の代替材料を水素透過膜の主材料として用いながら、水素固溶量及び固溶速度を適当に抑制させることにより、十分な水素透過性能を確保しながら、水素固溶に起因する割れの問題を回避できる優れた構造体からなる水素透過膜が得られることに着目し、水素透過膜及びその製造方法を提案するものである。
具体的には、水素透過膜本体の両方の表面に水素解離・再結合触媒膜を特定のパターン状にするなどして少なくとも部分的に被覆することにより、材料の水素固溶の分布及び固溶速度を制御し、体積膨張量及び膨張速度を割れが生じない程度に抑える構造とするものである。
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1の発明は、一側表面に接する不純物を含む改質ガス中の水素を透過させ、他側表面から選択的に放出させる水素透過膜において、前記水素透過膜1が、Pd及びPd合金以外の金属からなる水素透過膜本体Cと、水素透過膜1の一側表面に部分的に被覆され、水素透過性能を有する水素解離・再結合触媒Aと、水素透過膜1の他側表面に少なくとも部分的に被覆され、水素透過性能及び水素解離・再結合触媒の機能を有する被覆層A’とを備え、水素透過膜1の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して水素透過膜本体Cの割れを抑制することを特徴とする水素透過膜である。
請求項2の発明は、前記水素解離・再結合触媒Aが、点、直線、曲線若しくは幾何学的模様形状の単独又はこれらの複数を組み合わせたパターン形状をなしていることを特徴とする請求項1の水素透過膜である。
請求項3の発明は、前記水素透過膜1の一側表面の水素解離・再結合触媒Aによつて被覆されていない部分が、酸化防止の機能を有する物質Bによつて被覆されていることを特徴とする請求項1又は2の水素透過膜である。
請求項4の発明は、一側表面に接する不純物を含む改質ガス中の水素を透過させ、他側表面から選択的に放出させる水素透過膜の製造方法において、Pd及びPd合金以外の金属からなる水素透過膜本体Cを形成し、該水素透過膜本体Cの一側表面の一部に、水素透過性能を有する水素解離・再結合触媒Aを被覆手段Dによつて被覆させると共に、水素透過膜1の他側表面の少なくとも一部に水素透過性能及び水素解離・再結合触媒の機能を有する被覆層A’を形成させ、水素透過膜1の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して水素透過膜本体Cの割れを抑制するようにすることを特徴とする水素透過膜の製造方法である。
請求項5に係る発明は、前記水素解離・再結合触媒Aの被覆手段Dが、真空蒸着、スパッタリング、分子線エピタキシー法、めっき又はCVDの内のいずれかであることを特徴とする請求項4の水素透過膜の製造方法である。
請求項1又は4に係る発明によれば、Pd及びPd合金以外の金属、つまり非Pd系材料で水素透過膜本体とし、水素透過膜の一側表面の一部に、水素透過性能を有する水素解離・再結合触媒を被覆させると共に、水素透過膜の他側表面に少なくとも部分的に水素透過性能及び水素解離・再結合触媒の機能を有する被覆層を形成させた状態となし、水素透過膜本体の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して水素透過膜本体の割れを抑制させる水素透過膜を得る。非Pd系材料としては、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、水素吸蔵合金(MH)等が好適であり、水素解離・再結合触媒及び被覆層の材料としては、Pd又はPd合金つまりPd系材料が好適である。
すなわち、水素透過膜本体に、Pd系材料よりもはるかに入手容易かつ安価で、Pd系材料と同程度或いはそれ以上の水素透過性能を有し得る材料を用いながら、水素透過膜の一側表面の一部に形成した状態の水素解離・再結合触媒の部分から水素を解離させ、水素透過膜の他側表面の少なくとも一部に形成した状態の被覆層の部分から水素を再結合させ、水素透過膜本体の水素固溶量を抑制させる。これにより、水素透過膜本体の水素固溶の分布及び固溶速度を制御する機能を得、体積膨張量及び膨張速度を割れが生じない程度に抑え、水素透過膜本体の水素固溶に起因する割れを抑制することが可能になるという著効が得られる。水素透過膜の一側表面の一部の水素解離・再結合触媒の層部分から解離する水素量に対し、水素透過膜の他側表面の少なくとも一部に形成した被覆層の部分から再結合する水素量を常に同等に得ることが可能となる割合(面積比)で水素解離・再結合触媒及び被覆層を形成し、水素透過膜本体の水素固溶の分布及び固溶速度を制御すれば、水素透過膜本体の割れを抑制することが可能である。
なお、水素透過膜の一側表面の一部に形成した状態の水素解離・再結合触媒の部分から水素を解離させ、かつ、水素透過膜の他側表面の少なくとも一部に形成した被覆層の部分から水素を再結合させ、水素透過膜本体の水素固溶量を抑制させるため、水素透過膜本体の水素固溶量は水素解離・再結合触媒及び被覆層の面積によつて制御することができる。従つて、水素解離・再結合触媒及び被覆層は、可及的に薄く形成することができる。
図1〜図5は、本発明に係る水素透過膜の1実施の形態を示す。水素透過膜1は、図2(a),(b)及び図4に示すように水素透過膜本体Cと、水素透過膜本体Cの一側表面に部分的に被覆した水素解離・再結合触媒Aと、水素透過膜本体Cの他側表面に少なくとも部分的に被覆した被覆層A’とを有する。この水素透過膜1は、改質器に組み込まれ、一側表面に接する不純物を含む改質ガス中の水素を透過させ、他側表面から水素を選択的に放出させる。
水素透過膜本体Cは、単位体積当たりの水素固溶量がPdよりも大きいPd及びPd合金(Pd系材料)以外の金属元素(非Pd系材料)からなる均一厚さの例えば板状体である。具体的には、水素透過膜本体Cはタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、水素吸蔵合金(MH)等のPd系材料に対する代替材料からなる。水素透過膜本体Cは、圧延による箔化によつて形成可能であるが、多孔質の支持体(基板)の一側表面上に被覆層A’を成膜手段(真空蒸着、スパッタリング、分子線エピタキシー法、めっき又はCVD(気相化学成長法))によつて薄膜をなすように形成した後、同様の成膜手段によつて形成することも勿論可能である。Ta、Nb、V、MH等の非Pd系透過膜材料は、水素固溶度と水素拡散係数に関係する水素透過性能に関しては、Pd系材料を上回るが、水素解離・再結合の機能には乏しい。従つて、水素解離・再結合の機能を補うためには、Pd系材料による部分的な被覆が必要になる。
この水素透過膜本体Cの一側表面に、部分的に水素解離・再結合触媒Aを被覆させ、水素解離・再結合触媒Aの均一厚さの層を形成する。水素透過膜本体Cの一側表面は、炭化水素ガス(CH4)やCO、CO2等の不純物ガスを含む改質ガスが供給される高圧側に接することになる面である。
水素解離・再結合触媒Aは、マスクEを用いて次のように水素透過膜本体Cの一側表面に形成することができる。水素透過膜本体Cは、図1に示すように成膜源Dに一側表面を対向配置させ、かつ、水素透過膜本体Cの一側表面に密着又は近接させて、板状のマスクEを配置する。成膜源Dは、各種の成膜手段の成膜源とすることができ、真空蒸着の場合は蒸発源、CVD(気相化学成長法)の場合は雰囲気中の原料ガス、MBE(分子線エピタキシー法)又はスパッタリングの場合はターゲット、めっきの場合はめっき液である。水素解離・再結合触媒Aは、水素透過膜本体Cよりも優れた水素解離・再結合触媒の機能を有する材料であり、具体的にはPd系材料からなり、酸化防止機能を併有する。
マスクEは、数nm〜数十μmの大きさの細かなパターンで多数の空隙Eaが形成されており、この空隙Eaと同じ形状で水素解離・再結合触媒Aが水素透過膜本体Cの一側表面に成膜される。空隙Eaは、図1(b)では点(円形)をなしているが、直線、曲線若しくは幾何学的模様形状の単独又はこれらの複数を組み合わせたパターン形状を与え、触媒Aを形成することができる。
図3(a)には、マスクEが格子模様をなし、水素透過膜本体Cが格子模様をなして残るものを示し、図3(b)には、マスクEが市松模様をなし、水素透過膜本体Cが市松模様をなして残るものを示し、図3(c)には、マスクEが亀甲模様をなし、水素透過膜本体Cが亀甲模様をなして残るものを示す。
水素透過膜本体Cと成膜源Dとの間にマスクEを挟んだ状態から成膜源Dを作用させ、水素透過膜本体Cの一側表面に水素解離・再結合触媒Aの成膜を行う。成膜源Dからの材料(Pd)は、マスクEの多数の空隙Eaを通じ、水素透過膜本体Cの一側表面にパターンをなして部分的に付着する。これにより、水素透過膜本体Cの全面ではなく、特定の部分だけが空隙Eaに応じた所定の面積率で触媒Aによつて覆われる。
水素解離・再結合触媒Aの成膜を行つた後、水素透過膜本体Cを取り出せば、図2(a)に示すように、水素透過膜本体Cの一側表面に水素解離・再結合触媒Aがパターンをなして部分的に付着した状態の水素透過膜1が得られる。マスクEは、水素解離・再結合触媒Aの層を形成した後に除去しても良いが、水素透過膜本体Cの一側表面に予め接合させ、水素解離・再結合触媒Aを形成した後に必要に応じてマスクE上に形成された水素解離・再結合触媒Aを回収しても良い。水素透過膜本体Cの一側表面に予め接合させるときのマスクEは、酸化防止の機能を有する材料であるニッケル、クロム、ステンレス鋼、シリカ等によつて作製する。
但し、水素解離・再結合触媒Aを形成した後にマスクEを除去するときは、図2(b)に示すように、水素透過膜本体Cの水素解離・再結合触媒Aが形成されずに露出する部分となる一側表面に酸化防止の機能を有する物質Bによるコーティングを別途に施すことが望まれる。この場合、水素透過膜本体Cの一側表面の水素解離・再結合触媒Aによつて被覆されていない部分が、酸化防止の機能を有する物質Bによつて被覆されるので、水素解離・再結合触媒Aによる被覆部分を含む水素透過膜本体Cの一側全表面の酸化が防止される。この物質Bは、マスクEと同一でよく、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、シリカ等の水素解離・再結合機能が水素解離・再結合触媒Aよりも劣る材料である。水素を含む改質ガス中に水素透過膜本体Cを酸化又は被毒する成分が含まれていない場合には、物質B又はマスクEによる被覆は不要である。
また、水素透過膜1の他側表面には、被覆層A’を少なくとも部分的に被覆させる。被覆層A’は、水素透過膜本体C中に原子状に解離・固溶し、低圧側へ拡散する水素原子Hを再結合させて再び水素分子H2として放出させる触媒機能を有する。このため、被覆
層A’は、水素解離・再結合触媒Aと同じ材料つまりPd系材料からなり、水素透過膜1の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して水素透過膜本体Cの割れを抑制する水素解離・再結合触媒Aの機能の発揮が可能となるように、水素透過膜1の他側表面の一部又は全部に水素解離・再結合触媒Aの形成に用いたものと同様の成膜手段によつて被覆させる。水素解離・再結合触媒Aと同じ材料からなる被覆層A’を形成すれば、水素透過膜1の他側の表面における再結合の機能が向上するので、水素解離・再結合触媒Aの面積を大きく確保することが可能になると共に、表裏両面間における水素ガスの圧力差を大きく確保することなく、水素透過膜1内を水素が透過する。但し、被覆層A’に接する気体には酸化又は被毒する成分が含まれていないので、水素透過膜1の他側表面の一部にのみ被覆層A’を形成する場合であつても、物質B又はマスクEによる被覆は不要である。
この水素透過膜1を改質器に組み込み、水素解離・再結合触媒Aを形成した一側表面を高圧側として、COやCO2等の不純物を含む改質ガスを導入すれば、表裏両面間における水素ガスの圧力差を駆動力として、改質ガスに含まれる水素ガスのみが水素透過膜1を透過し、水素を精製して取り出すことができる。
その際、水素解離・再結合触媒Aが成膜されずに水素透過膜本体Cが露出する一側部分又は物質Bの層の部分では、水素解離機能が良好に得られないため、水素透過膜本体Cに水素がほとんど固溶しない。マスクEを固着させ、物質Bの層を実質的に形成する場合もほぼ同様である。
一方、水素解離・再結合触媒Aが成膜されて露出する部分では、水素解離機能が適当に得られ、水素解離・再結合触媒Aの材料に固有の単位体積当たりの水素固溶量及び固溶速度が得られる。しかも、この水素固溶量及び固溶速度は、水素透過膜本体Cが備える単位体積当たりの水素固溶量及び固溶速度に比して同程度或いはそれ以下として得られる。
かくして、この非Pd系の水素透過膜1は、一側表面の内の一部となる水素解離・再結合触媒Aで被覆されている領域しか水素透過に実質的に寄与しないため、水素透過膜1の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して、水素透過膜1の全体では水素が固溶する量及び速度を適度に低減することが可能である。この水素固溶量及び固溶速度の全体的な低減は、水素解離・再結合触媒A及び被覆層A’の層を極薄く形成した状態でも可能である。
すなわち、水素透過膜1の全体では、水素透過膜1の他側の表面から、水素透過膜本体Cの実際の水素固溶・透過速度と同等又はそれ以上に被覆層A’によつて水素を再結合させて放出可能とさせれば、一側表面の水素解離・再結合触媒Aが成膜されていない部分の大きさに応じて水素固溶量及び固溶速度を低下させながら、水素透過を行わせ得る。非Pd系材料からなる水素透過膜本体Cでは、多くの水素解離・再結合触媒Aの存在によつて水素の固溶量及び固溶速度が全体的に均一になるように制御された状態になり、水素の固溶に伴う体積膨張ひいては変形が制御・抑制される。これにより、上述した水素透過機構によつて低圧側へ水素分子H2を選択的に放出させながら、水素透過膜1自体が割れ、破壊に至ることが長期にわたり良好に防止される。水素解離・再結合触媒A及び被覆層A’は、水素透過膜本体Cの割れを防止可能な範囲で、可及的に大面積率で形成し、水素透過性能を十分に確保することが望ましい。
ところで、このような水素透過膜1の水素解離・再結合触媒Aは、マスクEを使用することなく製造することも可能である。例えば、水素透過膜本体Cの一側表面の全体を水素解離・再結合触媒Aによつてコーティングした後、一部の水素解離・再結合触媒Aを例えばレーザアブレーション等によつて除去すれば、図2(a)に示すものと同様の構造の水素透過膜1が得られる。勿論、一部の水素解離・再結合触媒Aを例えばレーザアブレーション等によつて除去したときは、除去した部分に酸化防止のコーティングを施すこともできる。また、水素透過膜本体Cの一側表面の全体を水素解離・再結合触媒Aによつてコーティングした後、水素解離・再結合触媒Aの一部を被覆するように酸化防止のコーティングを施すことで水素透過膜1を形成することもできる。
水素透過膜本体Cの一側表面の全体を水素解離・再結合触媒Aによつてコーティングした後、全面に形成した水素解離・再結合触媒Aの一部に物質Bによる酸化防止のコーティングを施した水素透過膜1は、図4に示すように、水素解離・再結合触媒Aの一側表面の一部に物質Bによるパターン化された酸化防止膜を有する構造体になる。図4に示す水素透過膜1も、水素透過膜1の一側表面には、水素透過性能を有する水素解離・再結合触媒Aを部分的に被覆させた状態にある。この水素透過膜1においても、図2に示すものと同様に、水素透過膜1の一側表面の一部をなして露出する水素解離・再結合触媒Aから水素が解離・固溶される。
本発明に係る水素透過膜1の効果を確認するために、Taからなる水素透過膜本体の両側表面全体にPdを厚さ0.1μmでコーティングした水素透過膜試料1a(従来品)と、Taからなる水素透過膜本体Cの両側表面にPdからなる水素解離・再結合触媒Aを40メッシュサイズの格子パターン(図3(a)に示す格子模様)で厚さ0.1μmでコーティングした水素透過膜試料1b(本発明品)との2通りのTa箔を用意し、図5に示す試験装置によつて各水素透過膜試料1a,1bについての水素透過試験を行つた。
試験装置は、加熱炉10に設置した反応容器11の内部に水素透過膜試料1a又は1bのいずれか一方を交換可能に設置するようになつている。反応容器11内の水素透過膜試料1a又は1bの一側に区画される一次側(高圧側)は、水素を所定圧で供給する水素ボンベ19に接続すると共に、オイルミストを除去するためにオイルミストトラップ12及びロータリポンプ13を順次に接続している。P1は、反応容器11内の一次側圧力を検出する圧力計である。また、反応容器11内の水素透過膜試料1a又は1bの他側に区画される二次側(低圧側)は、ニードルバルブ14を介してリザーバタンク15に接続している。P2は、反応容器11内の二次側圧力を検出する圧力計である。
リザーバタンク15は、恒温槽16に収容し、ヒータ17によつて加熱可能な構造としてある。ニードルバルブ14を閉じ、リザーバタンク15内の圧力を圧力計P3によつて検出することにより、二次側つまりニードルバルブ14よりも下流のリザーバタンク15側(図5上で破線で囲む範囲)の水素量ひいては水素透過膜試料1a又は1bを透過した水素量を測定することができる。
この試験装置を用い、加熱炉10によつて反応容器11の内部の試験温度を所定温度(改質器の実用温度である500℃)に維持させて、各水素透過膜試料1a,1bについて個別に水素ガスを透過させた。但し、水素透過膜1a,1bの一側(高圧側)の水素圧は0.2MPaとし、他側(低圧側)の水素圧はニードルバルブ14によつて0.1MPaに保持した。
試験の結果、Pdを40メッシュサイズの格子パターンで1.0μmコーティングした水素透過膜試料1b(本発明品)では、水素解離・再結合触媒A及び被覆層A’に変化はみられず、水素透過膜本体Cに割れも認められなかつた。一方、Pdを表面全体に同じ厚さでコーティングした水素透過膜試料1a(従来品)は、水素固溶による体積膨張によつて水素透過膜本体が粉々に破壊された。
本発明の1実施の形態に係る水素透過膜の製造方法の概略を示し、図1(a)は水素解離・再結合触媒の成膜状態を断面で示し、図1(b)は水素解離・再結合触媒を成膜した水素透過膜の表面を示す図。 同じく水素透過膜を示し、図2(a)は水素透過膜本体の一側表面の一部に水素解離・再結合触媒を被覆した水素透過膜を示す断面図、図2(b)は水素透過膜本体の一側表面の水素解離・再結合触媒が形成されない部分に酸化防止の機能を有する物質を被覆した水素透過膜を示す断面図。 同じくマスクの構造例を示し、図3(a)は格子模様のマスクを用いた水素透過膜を示す図、図3(b)は市松模様のマスクを用いた水素透過膜を示す図、図3(c)は亀甲模様のマスクを用いた水素透過膜を示す図。 同じく水素透過膜の他の構造例を示す断面図。 同じく試験装置を示す概略図。 水素透過膜による水素透過機構の説明図。
符号の説明
1:水素透過膜
A:水素解離・再結合触媒
A’:被覆層
B:物質
C:水素透過膜本体
D:成膜源(被覆手段)
E:マスク
Ea:空隙

Claims (5)

  1. 一側表面に接する不純物を含む改質ガス中の水素を透過させ、他側表面から選択的に放出させる水素透過膜において、前記水素透過膜(1)が、Pd及びPd合金以外の金属からなる水素透過膜本体(C)と、水素透過膜(1)の一側表面に部分的に被覆され、水素透過性能を有する水素解離・再結合触媒(A)と、水素透過膜(1)の他側表面に少なくとも部分的に被覆され、水素透過性能及び水素解離・再結合触媒の機能を有する被覆層(A’)とを備え、水素透過膜(1)の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して水素透過膜本体(C)の割れを抑制することを特徴とする水素透過膜。
  2. 前記水素解離・再結合触媒(A)が、点、直線、曲線若しくは幾何学的模様形状の単独又はこれらの複数を組み合わせたパターン形状をなしていることを特徴とする請求項1の水素透過膜。
  3. 前記水素透過膜(1)の一側表面の水素解離・再結合触媒(A)によつて被覆されていない部分が、酸化防止の機能を有する物質(B)によつて被覆されていることを特徴とする請求項1又は2の水素透過膜。
  4. 一側表面に接する不純物を含む改質ガス中の水素を透過させ、他側表面から選択的に放出させる水素透過膜の製造方法において、Pd及びPd合金以外の金属からなる水素透過膜本体(C)を形成し、該水素透過膜本体(C)の一側表面の一部に、水素透過性能を有する水素解離・再結合触媒(A)を被覆手段(D)によつて被覆させると共に、水素透過膜(1)の他側表面の少なくとも一部に水素透過性能及び水素解離・再結合触媒の機能を有する被覆層(A’)を形成させ、水素透過膜(1)の一側表面から解離・固溶させる水素量を制御して水素透過膜本体(C)の割れを抑制するようにすることを特徴とする水素透過膜の製造方法。
  5. 前記水素解離・再結合触媒(A)の被覆手段(D)が、真空蒸着、スパッタリング、分子線エピタキシー法、めっき又はCVDの内のいずれかであることを特徴とする請求項4の水素透過膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008289970A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 水素透過膜およびその製造方法
JP2016187787A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 東京瓦斯株式会社 水素分離膜及びアンモニアの生成方法
CN115650160A (zh) * 2022-11-05 2023-01-31 北京东方红升新能源应用技术研究院有限公司 一种氨分解制氢与板式膜反应器集成用于制备高纯氢的装置

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