JP2008080234A - 複合多層構造の水素透過膜とその製造方法 - Google Patents

複合多層構造の水素透過膜とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄く圧延されてもピンホールがなく、高純度水素の透過分離性能が良く、水素脆性しない安価な水素透過膜を提供する。
【解決手段】複合多層構造の水素透過膜1は、上から、PdまたはPd合金の金属触媒層53、水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくいMoからなる第二金属層49、水素固溶量が大きいTiからなる第三金属層50、水素透過性能の高いTaからなる第一金属層48、第三金属層50、第二金属層49、第三金属層50、第一金属層48、第三金属層50、第二金属層49、金属触媒層53の順で積層された構造を有し、第一金属層48、第二金属層49、第三金属層50からなる複合コア積層体52を拡散接合と圧延により作成し、その両面に金属触媒層53を形成してなるものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、メタンガスなどの炭化水素と水蒸気とを混合し、高温にて改質処理した後、生成した混合ガスの中から水素ガスのみを透過分離して、高純度の水素ガスを生成する複合多層構造の水素透過膜とその製造方法に関するものである。
従来、この種の水素透過膜は、選択的に水素のみを透過させるPd又はPdに重量比率で23%のAgを含有する合金等の単一層のものが知られている。また、セラミック多孔質支持体表面にPd合金膜をメッキ法により形成しているものもある(特許文献1参照)。
また、サンドイッチ構造を有する複合多層構造の水素透過膜として、水素透過性能の高い金属膜の両面にPd膜又はPd合金膜を配してなるものもある(特許文献2参照)。
まず、Pd又はPdに重量比率で23%のAgを含有する合金を水素透過膜として使用されている水素分離法について簡単に述べる。
通常、水素透過膜はPd又はPd合金を薄膜状に圧延加工して使用する。例えばPd膜又はPd合金膜で円筒状のチューブを作り、その一端を密封溶接してチューブの外側に加圧された原料水素ガスを供給し、一定温度まで加熱するとチューブ表面に接触している水素分子は原子状に解離し、Pdと固溶体を形成してPd膜内に取り込まれる。
取り込まれた水素原子はチューブ内外の水素分圧差により、圧力が高いチューブの外側から低い内側へ拡散し、その内側表面で再度水素分子となる。メタンやメタノールから水蒸気改質により作り出される改質ガスに含有する水素以外の不純物はPdと反応しないためチューブの外側に残存し、これにより水素が精製される。
Pdのみの水素透過膜では水素脆性による劣化が課題であり、合金化して使用される。すでに、23%Agや40%CuとのPd合金が良く知られており、Pd合金膜だけの単一管を用いた水素精製装置は実用化されている。しかし、用いられている管の膜厚は強度を保つために80μm以上と厚くなり、水素透過量が少なく、且つ高価であるとの問題点を有していた。
図7は、特許文献1に記載された従来のセラミック多孔質支持体表面にPd合金膜をメッキ法により形成した水素透過膜の一例を示すものである。図7に示すように、水素分離体1は、円筒状のセラミックで出来た多孔質基体2と、その外側で被処理面となる多孔質基体の表面2aにPdおよびPd等の水素分離能を有する金属3を無電解メッキにより形成した水素分離膜4とで構成され、多孔質基体2の小孔5の径が水素分離膜4の厚み以下でかつ1μm以上である。
ここで水素分離膜4が外面部を形成する円筒状の水素分離体1についてその動作を説明する。
まず、円筒状の水素分離体1の外側に加圧された原料水素ガスを供給し、そして一定温度まで加熱すると多孔質基体2表面の水素分離膜4に接触している水素分子は原子状に解離し、Pdと固溶体を形成してPd膜内、すなわち水素分離膜4に取り込まれる。
取り込まれた水素原子は水素分離膜4内外の水素分圧差により、圧力が高い水素分離膜4の外側から低い内側へ拡散し、その内側表面で再度水素分子となる。その後、多孔質体の表面2aから円筒状の多孔質基体2の小孔5内を流れる。改質水素ガスに含有されている多くの不純物はPdと反応しないため水素分離体1の外側に残存し、これにより水素が精製される。
しかしながら従来のセラミックから成る多孔質基体外表面にPd膜或いはPd合金膜をメッキ法により形成する方法では、構造体としての機械的強度を高めることが出来、1〜5μm程度の薄膜であり一定量の水素分離能を確保できるが、多孔質支持体の孔径を透過量に影響を及ぼさない程度に小さなものを選定しても、メッキ処理においてメッキ厚みのばらつきが生じ、Pd合金膜が薄くなる部分にはピンホールが残り、漏れを解消することは困難である。
よって、水蒸気改質の結果生成する改質水素ガスに不純物があると、膜を透過し分離して得られる水素ガスの純度も不純物の濃度に比例して悪くなり、例えばPd合金膜の厚さ5μmでは純度99.9%程度で、50ppm以上の一酸化炭素が混入するため、透過したガスを固体高分子膜の燃料電池に供給して使用することはできなかった。また、長時間使用すると水素脆性によって強度が低下し、特にピンホール部の劣化が促進され破壊が生じやすいといった問題が残る。
図8は特許文献2に記載された従来のサンドウィッチ構造を有する複合多層構造の水素透過膜の斜視図である。図8に示すように、水素透過膜6は水素透過性能の高い金属膜7とその両側に配置されたPd膜又はPd合金膜8とから構成されている。
このサンドウィッチ構造を有する水素透過膜6は以下に示す(1)と(2)のような形態で作製される。
(1)水素透過性能の高い金属膜7とPd膜又はPd合金膜8を真空中でドライエッチングして表面の不純物及び酸化物層を除去する。エッチングには不活性ガスイオンによるイオン衝撃等により行うことができる。その後、真空を保持したまま水素透過性能の高い金属膜の両面にPd膜又はPd膜を配置して真空中で圧延する。
(2)水素透過性能の高い金属膜7の両面にPd膜又はPd合金膜8を配置して真空中で加熱することにより不純物及び酸化物層を除去する。真空中での加熱にはホットプレス等の手法が適用できる。その後圧延する。
このようにして作成されたサンドウィッチ構造の水素透過膜の取り付け方法と作用を説明する。
取り付け方法としてはステンレスの板に穴を開けその穴を覆うように水素透過膜をステンレス板の周囲で溶接するか、面積効率を高めるためには通常図9で示すように、円筒状の多孔質体9の外層10に水素透過膜6を巻きつけて、合わせ部11をニッケルろうや銅ろう12で溶接することにより円筒状のチューブを作る。
つぎに、その一端を密封溶接して、チューブの外側に加圧された原料水素ガスを供給する。一定温度まで加熱するとチューブ表面に接触している水素分子は原子状に解離し、Pdと固溶体を形成してPd膜内に取り込まれる。取り込まれた水素原子はチューブ内外の水素分圧差により、水素分圧が高いチューブの外側から水素透過性能の高い金属膜を抜け水素分圧の低い内側へすばやく拡散し、その内側のPd膜表面で再度水素分子となる。改質水素ガスに含有されている多くの不純物はPdと反応しないためチューブの外側に残存し、これにより水素が精製される。
このように作成されたサンドウィッチ構造を有する水素透過膜6は、芯材に水素の拡散係数が大きく水素透過性能が高い金属7が使用されているので、Pd合金単一管を用いたものより水素透過性能が高いものが得られる。また、水素透過性能の高い金属膜の両面にPd膜又は合金膜を配してなるので、表面に酸化被膜層が生成することも無く、且つ積層構造であるのでピンホールのない緻密な複合多層構造の複合多層構造の水素透過膜が得られる。
しかし、Pd膜又はPd合金膜を均一に配しても、水素脆性が特に弱いとされる水素透過性の高い金属膜の水素脆性を防止するのは困難で、水素透過操作を幾度となく繰り返すと水素脆性により物性が低下する。
また、特許文献2の様な、V(バナジウム)ベース層の両面にPd(パラジウム)被覆層が形成された水素透過膜では、実用温度条件でVとPdとの相互拡散が進み、Vが表面の触媒層であるPdに移動し、さらにPdの外表面に析出し、酸化しやすいVは酸化膜を形成することになり、水素分子を原子化して解離する触媒能を喪失し水素透過性能が低下してしまうという問題があった。
上記問題点を解決する方法として、特許文献3では、水素透過性能を担う相と耐水素脆化を担う相との複合相で、Niを固溶したNbTi相(水素透過性相)とNbを固溶したNbTi相(耐水素脆化性相)との複相合金での水素透過膜が開示されている。
また、特許文献4では、Vベース層とPd被覆層との間にSiO中間層を介在させた水素透過膜が開示され、さらに、特許文献5ではVA族元素を含む金属ベース層と、この金属ベース層の2つの面のうちの少なくとも一方に形成され、Ni(ニッケル)とCo(コバルト)とのうちから選択された元素を含む金属中間層と、この金属中間層の2つの面のうち、金属ベース層が形成されていない面に形成され、Pd(パラジウム)を含む金属被覆層とを備える水素透過膜が開示されている。
特開2000−317282号公報 特開平11−276866号公報 特開2005−232491号公報 特開平7−185277号公報 特開2003−112020号公報
しかしながら、上記の特許文献3に示されるような、水素透過性能を担う相と耐水素脆化を担う相との複合相で、Nbを固溶したNbTi相(水素透過性相)とNiを固溶したNiTi相(耐水素脆化性相)との複相合金での水素透過膜では合金の延性が乏しく、アーク溶解で合金を作成した後、薄く圧延することが非常に困難であり0.2mm以上の厚みが限界で、薄く圧延して水素透過量を大きくすることはできず材料価格も高くなる課題がある。
また、特許文献4で示されるような、Vベース層とPd被覆層との間にSiO中間層を介在させた水素透過膜では、VとPdとの間の拡散を低減させることはできるが、SiOなどのセラミック中間層は、水素透過性能が非常に悪いという問題があった。
これはセラミック中間層が分子状態の水素のみを透過させるためであり、水素がセラミック中間層を透過する前には、一旦再結合し、透過した後には、再度解離する工程を必要とする為水素透過性能が低くなる。さらに、セラミックと金属とを接合する場合には、製造が比較的困難であるとともに、熱膨張率の相違により水素透過膜に割れ等が発生し易いという問題もある。
また、特許文献5は、VA族元素を含む金属ベース層と、この金属ベース層の2つの面のうちの少なくとも一方に形成され、Ni(ニッケル)とCo(コバルト)とのうちから選択された元素を含む金属中間層と、この金属中間層の2つの面のうち、金属ベース層が形成されていない面に形成され、Pd(パラジウム)を含む金属被覆層とを備える水素を選択的に透過させる水素透過膜であるが、先のセラミック中間層に比べると密着性もよく水素透過性能も良く、相互拡散も小さくなり水素透過性能の劣化も抑制できる。
しかし、拡散係数が大きくても水素の固溶度が低いニッケルまたはコバルトの中間層が透過膜に形成すると、その部分での水素透過性能は極端に低下してしまう課題があった。また、VA族元素を含む金属ベース層となる金属は水素の介在で水素化物をつくり体積膨張を繰り返す為に水素脆性により物性が劣化する課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、メタンガスなどを水蒸気改質処理した後の混合ガスの中から水素ガスのみを透過分離して高純度の水素ガスを生成するピンホールがなく、水素の透過分離性能が良く、水素脆性しない安価な複合多層構造の水素透過膜とその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の複合多層構造の水素透過膜は、水素透過性能の高い第一金属層と、水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属層とが、水素固溶量が大きく融点が前記第一金属層と前記第二金属層の金属に比べて低い第三金属層を介して拡散接合され、前記第一金属層と前記第二金属層と前記第三金属層とがそれぞれ少なくとも二層以上となる積層体を構成し、その積層体両面にPdの金属触媒層を形成してなる複合多層構造の水素透過膜である。
また、本発明の複合多層構造の水素透過膜の製造方法は、水素透過性能の高いベース金属からなる第一金属板と水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属板とを、間に水素固溶量が大きく融点が低い第三金属板を介在させて交互に、且つそれぞれが少なくとも二層以上となるように積層し積層品とする積層工程と、前記積層品の上下面にPdまたはPd合金からなる金属触媒板を積層形成する金属触媒付積層品形成工程と、前記金属触媒付積層品を熱と圧力により拡散接合し拡散接合品とする拡散接合工程と、前記拡散接合品を所定の厚みにまで圧延し複合コア積層体とする圧延工程とを有するのである。
これによって、水素透過性能の高い第一金属層と、水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属層とが、水素固溶量が大きく融点が前記第一金属層と前記第二金属層の金属に比べて低い第三金属層を介して拡散接合されることにより、第二金属層の水素固容量を高めることで水素透過量を低下させること無く耐水素脆性の高い合金化層が形成し、第一金属層の水素脆性を抑制すると共に、ベース金属の金属触媒層までの相互拡散が抑制される。
また、複合多層構造の水素透過膜の両表面にのみ、高価なPdを使用するだけであり、ピンホールがない薄くて安価な水素透過膜となる。
本発明の複合多層構造の水素透過膜とその製造方法は、水素透過性能の高い第一金属層と、水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属層とが、水素固溶量が大きく融点が前記第一金属層と前記第二金属層の金属に比べて低い第三金属層を介して拡散接合されることにより、第二金属層の水素固容量を高めることで水素透過量を低下させること無く耐水素脆性の高い合金化層が形成し、第一金属層の水素脆性を抑制すると共に、ベース金属の金属触媒層までの相互拡散が抑制される。
また、複合多層構造の水素透過膜の両表面にのみ、高価なPdを使用するだけであり、ピンホールがない薄くて安価な水素透過膜となる。
また、第一金属層が、体心立方構造を有する高融点の遷移金属であるTa、Nb、V、Ta合金、Nb合金、V合金のいずれかである場合は、基本的に水素透過量が大きな水素透過膜となり、第二金属層がMo、Cr、Wのいずれかである場合は、Mo、Cr、Wは水素とは金属水素化物を作り難い金属であり水素脆性に対して強く第一金属層の水素脆性を抑制する働きを有する。
また、第三金属層がTi、Zr、Hfのいずれかである場合は、第一金属層と第二金属層とは直接には拡散接合し難いが、第三金属層が介在することで容易に第一金属層と第二金属壮途を拡散接合するばかりか、水素固容量が大きいので、第二金属層に拡散することで第二金属層の固容量を大きくし、水素透過量を高めることができる。
また、第一金属層と第二金属層と第三金属層とがそれぞれ少なくとも二層以上となる積層体を構成することで、均一に積層されるために安定した水素脆性効果を発揮させることが出来る。
また、二層以上の複数枚の積層体となることで、極薄膜状態で構造分断される為、体積膨張による歪が少なくなり、水素脆性による物性の低下がさらに抑制される。
さらに、拡散接合と圧延による薄膜の製法を取り入れることで水素透過膜としてピンホールの少ないものとなり、追加熱処理を圧延後に行うことで、薄く圧延が可能でありながら完璧な合金化層により耐水素脆性効果がより発揮されることになる。
請求項1に記載の複合多層構造の水素透過膜の発明は、水素透過性能の高い第一金属層と、水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属層とが、水素固溶量が大きく融点が前記第一金属層と前記第二金属層の金属に比べて低い第三金属層を介して拡散接合され、前記第一金属層と前記第二金属層と前記第三金属層とがそれぞれ少なくとも二層以上となる積層体を構成し、その積層体両面にPdの金属触媒層を形成してなるものであり、第一金属層が第二金属層で保護され、水素脆性が抑制され、また、第二金属層は水素固容量の大きな第三金属層の金属の拡散により固容量が大きくなり水素透過量を低下させることなく、圧延されても多層のためピンホールがなく、高純度水素の透過分離性能が良く、高性能な水素透過量を維持できる。
また、請求項2に記載の複合多層構造の水素透過膜の発明は、請求項1に記載の発明における積層体の最上下層に、第二金属層が位置するように構成されたものであり、最上下層がPdの金属触媒層とは拡散し難い第二金属層が形成されることで第一金属層と金属触媒層との相互拡散が抑制され、表面層の触媒機能を安定して維持し、金属触媒層の表面にベース金属層が析出することが抑制され、長期信頼性を確保することができる。
また、請求項3に記載の複合多層構造の水素透過膜の発明は、請求項1または2に記載の発明において、第一金属層の金属元素数に対し第二金属層の金属元素比率が1%から30%になるように配分したものであり、1%以下のものでは、耐水素脆性の効果が乏しく、30%以上では水素透過性能が極端に低下する。
また、請求項4に記載の複合多層構造の水素透過膜の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明における第一金属層が、体心立方構造を有する高融点の遷移金属であるTa、Nb、V、Ta合金、Nb合金、V合金のいずれかであり、Ta、Nb、Vは、水素拡散係数が高いだけでなく水素固溶度も大きく、水素透過性能として特に優れている金属であり、複合多層構造の水素透過膜としての性能を高めることができ、水素生成装置に応用したときには、さらに小さな面積で対応が可能で装置自体の大きさをよりコンパクトなものにできる。
また、請求項5に記載の複合多層構造の水素透過膜の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明における第二金属層が、Pdと低い固溶限を有するMo、Cr、Wのいずれかであり、Mo、Cr、Wは水素との金属水素化物を作らないので水素脆性しにくい金属であり、融点が高く合成を有し、さらに圧延し易い金属であることから、拡散接合し、圧延をして薄膜化を必要とする水素透過膜には有効である。
また、請求項6に記載の複合多層構造の水素透過膜の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明における第三金属層が、Ti、Zr、Hfのいずれかであり、Ti、Zr、Hfは比較的拡散接合しやすい金属で、低温での拡散接合を可能にするもので、第二金属層に積極的に拡散することで第二金属層の水素固容量を高め、水素透過量を大きくするばかりか、比較的汎用性があり安価である。
また、請求項7に記載の複合多層構造の水素透過膜の製造方法の発明は、水素透過性能の高いベース金属からなる第一金属板と水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属板とを、間に水素固溶量が大きく融点が低い第三金属板を介在させて交互に、且つそれぞれが少なくとも二層以上となるように積層し積層品とする積層工程と、前記積層品の上下面にPdまたはPd合金からなる金属触媒板を積層形成する金属触媒付積層品形成工程と、前記金属触媒付積層品を熱と圧力により拡散接合し拡散接合品とする拡散接合工程と、前記拡散接合品を所定の厚みにまで圧延し複合コア積層体とする圧延工程とを有するものであり、Pdの金属触媒層を拡散接合工程にて他の金属層と同時に積層することで工程を簡易にし、安価な水素透過膜を形成する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における複合多層構造の水素透過膜が組み込まれた水素生成分離装置の概略構成図である。図2は同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の拡大断面図である。図3は同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の製造に用いる金属板体を拡散接合する拡散接合装置の概略断面構成図である。図4は同実施の形態の拡散接合装置のプレス部材を示す拡大断面図である。図5は同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の製造に用いる圧延機の圧延加工状態における断面図である。図6は同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の製造工程を示す工程図である。
図1において、水素生成分離装置22は、炭化水素ガスと水蒸気とを300℃以上且つ1550℃以下の高温で反応させて水素混合ガスを生成させる反応室25と、反応室25で生成された混合ガス中の水素ガスだけを透過する複合多層構造の水素透過膜21と、複合多層構造の水素透過膜21を通過して高純度の水素ガスとして分離され介在する分離室26とからなるもので、反応室25と分離室26とは複合多層構造の水素透過膜21によって二つの独立する部屋として分割するように構成されている。
反応室25は、上部に連結開口部27を有するステンレス鋼板からなる矩形状の反応容器28であり、連結開口部27の全周は外側に向かって張り出すフランジ29が形成されている。
また、反応室25の壁面30には、水素生成分離装置22の外部と連通し燃料を供給する供給口31と、改質処理後の残渣ガスを排出する排出口32を有している。供給口31と排出口32とはできるだけ遠く離れるように配置され、反応室25の供給口31と排出口32との間の空間には連通のニッケルフォームからなる改質触媒33が挿入されており、反応室25の下部には反応室25を加熱する加熱手段34が配置されている。
分離室26は、下方に連結開口部35を有するステンレス製の分離容器36からなり、連結開口部35の周囲には反応室25のフランジ29に対応するように外側に向かって張り出すフランジ37が形成されてある。
また、分離室26の外郭部38の側面には水素生成分離装置22の外部と連通する水蒸気等のスイーブガスを導入する導入口39と、生成された水素を吐出する吐出口40とを有している。
複合多層構造の水素透過膜21は、分離室26のフランジ37と反応室25のフランジ29との合わせ目に位置し、フランジ29とフランジ37とに設置されたガスケット41とガスケット42とを介し、フランジ29とフランジ37の外側の複数のボルト43とナット44により締め付けて固定したものである。
また、連結開口部27と連結開口部35とを覆うように貼り付けた複合多層構造の水素透過膜21の変形を最小限に抑えるために、複合多層構造の水素透過膜21とフランジ29とフランジ37の突出部45とで支持される様にステンレス多孔質材のスペーサ46を介在させている。
また、反応室25は分離室26より圧力が高くなるように、排出口32の下流に圧力調整弁47を設置して圧力調整が可能となっている。
なお、ガスケット41とガスケット42は、軟鋼や銅製の金属物でも良いが、複合多層構造の水素透過膜21への傷つき等の影響を考慮すると、よりフレキシブルなグラファイトを使用するのが良い。今回使用したガスケット材は、高純度化処理した黒鉛(日本カーボン社、ニカフィルム、FL−300SH)を使用した。
スペーサ46に使用する多孔質性のステンレス材としては、SUS316材でできたメッシュ状のフィルター材を使用した。
図2において、複合多層構造の水素透過膜21は、水素透過性能の高いベース金属としてTa(タンタル)からなる第一金属層48と、水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくいMo(モリブデン)である第二金属層49と、水素固溶量が大きいTi(チタン)である第三金属層50とが積層してなり、最上下層がMo(モリブデン)である第二金属層49となる複合コア積層体52を有し、複合コア積層体52の両面にはPdまたはPd合金とからなる金属触媒層53が形成してなる複合多層構造を有するものである。
ここで、第二金属層49のMoと第三金属層50のTiとは直に接するように積層しており、また、第一金属層48のTaと第二金属層49のMoとの間に、第三金属層50のTiを介在させてなる積層体52である。
また、第一金属層48のTaを第二金属層49のMoと第三金属層50のTiとの合金形成層で挟むサンドイッチ体54とし、そのサンドイッチ体54を二層有する複合コア積層体52を、複合多層構造の水素透過膜21に用いた。
この複合多層構造の水素透過膜21は総厚みが50μmであり、第一金属層48のTa金属元素数に対し第二金属層49のMo金属元素比率が3.5%となるように配分した。
よって、今回の実施の形態1で示す水素透過膜21の各金属層の元板厚と枚数は、第一金属層48のTaが500μm厚を2枚、第二金属層49のMoが10μm厚を3枚、第三金属層50のTiが10μm厚を4枚、を複合コア積層体52として順次積層したものを用いた。さらに、上下面には50μmの金属触媒層53のPdを積層させたものである。
次に本発明の実施の形態1の複合多層構造の水素透過膜21の製造方法について図3から図7を参考にして説明する。
図3において、拡散接合装置23は、真空チャンバー61と高温拡散炉62と油圧プレス63とで構成されている。
真空チャンバー61は、ステンレス製の上チャンバー64、下チャンバー65と、油回転ポンプと油拡散ポンプとを真空排気方式として用いた真空ポンプ66とから構成され、連結部67のピン68の脱着により上チャンバー64と下チャンバー65とは上下に開閉可能となる。
高温拡散炉62は、前面で開放可能な構造(図示せず)のセラミック製の断熱壁69で囲まれた中に、耐熱性の高いカンタル製のヒータ70が埋め込まれてあり、電源及び制御装置71により高温拡散炉62内の温度をコントロールできる。
高温拡散炉62内には下ステージ72があり、下ステージ72上にプレス部材73を設置することで、上ステージ74を油圧プレス63により下降させ、プレス部材73に圧力を加えることができる。
上ステージ74の駆動軸75は断熱壁69と上チャンバー64を貫通し、油圧プレス63に連結されており、駆動軸75と上チャンバー64との交差部76はベローズ等を応用した駆動可能気密機構により真空チャンバー61内と外部との間を完全シールしている。
図4において、プレス部材73は、SUS316Lのステンレス鋼材の平板を一定寸法に切断した上加圧用平板治具77a、下加圧用平板治具77bを定置に固定する2本の支持ボルト78a,78bで構成されている。
上下の加圧用平板治具77a,77bの間には、第一金属板79と第二金属板80と第三金属板81と金属触媒板83とを、上から、金属触媒板83、第二金属板80、第三金属板81、第一金属板79、第三金属板81、第二金属板80、第三金属板81、第一金属板79、第三金属板81、第二金属板80、金属触媒板83の順に、上下に重ねた金属触媒付積層品84がセットされている。
さらに、金属触媒付積層品84の両面と加圧用平板治具77a,77bとの間に、熱によるガスの発生がなく、加圧により弾性変形し、金属触媒付積層品84の面と加圧用平板治具77a,77bとの拡散接合処理後の離型性が良い剥離性シート85a,85bを介在させている。
この剥離性シート85a,85bの材質としては、1000℃以上で高純度化処理したシリカ繊維の不織布(アドバンテック東洋社、シリカ繊維ろ紙、QR−100)や、約2000℃で高純度化処理した黒鉛(日本カーボン社、ニカフィルム、FL−300SH)や、同じく約2000℃で高純度化処理した炭素繊維のフェルト(日本カーボン社、カーボロン、GF−20−2F)が使用できる。
図5において、圧延機20は、機械部86のモータ87の動力源により所定のスピードで回転する上ロール88、下ロール89と、上下ロール88,89の間隔を調整する調整ハンドル90とからなるもので、徐々に調整ハンドル90で上下ロール88,89の間隔を被圧延物91の厚みより小さく設定しながら、被圧延物91を繰り返し圧延することで所定の厚みにまで薄くするものである。
次に、本実施の形態の金属触媒付積層品84を拡散接合で貼り付け水素透過膜21とするまでの製造方法と、拡散接合工程時の作用について、図6の工程図を参照にして説明する。
本実施の形態の複合多層構造の水素透過膜21を製造するには、まず、水素透過性能の高いベース金属である厚さ500μmのTaの第一金属板79と、水素固溶度が小さく金属水素化物を作りにくい厚さ10μmのMoの第二金属板80と、水素固溶度が大きい厚さ10μmのTiの第三金属板81と、厚さ50μmのPdの金属触媒板とを用意し、前処理工程にて、それぞれの洗浄・脱脂・エッチング等を行う。
次に、第二金属板80と第三金属板81とを積層しプレ積層体とし、そのプレ積層体の第三金属板81面側と接するように第一金属板79の両側からセットしてサンドイッチ板を構成する。次にサンドイッチ板を第三金属板81の10μmのTi板を挟んで貼り合せ、複層サンドイッチ板となる積層体を構成し、さらに金属触媒層53となる50μmのPd板を上下より積層し金属触媒付積層品84とし、下加圧用平板治具77bに剥離性シート85bとして高純度化処理したカーボン繊維のフェルトを置き、その上に金属触媒付積層品84をセットする。
さらに、その上から、同じ剥離性シート85aと上加圧用平板治具77aとを順次置き、支持ボルト78a,78bで軽く締め付け、プレス部材73として準備する。
次に、拡散接合工程で、拡散接合装置23の真空チャンバー61を連結部67のピン68を外し、上チャンバー64を上方に移動させ、真空チャンバー61を開放する。次に、高温拡散炉62の断熱壁69を開放し、中の油圧プレス63の下ステージ72の上に準備したプレス部材73を定位置にセットし、断熱壁69を閉じ、真空チャンバー61を定位置に戻し連結部67をピン68により固定することで真空チャンバー61を密閉する。
次に、真空ポンプ66を稼動させ、真空チャンバー61内の真空度を10−5Pa以下に下げ、ヒータ電源を入れ、制御装置71で900℃に上昇させる。上昇を確認した上で、油圧プレス63を駆動し上ステージ74を下降させプレス部材73に約0.1MPaの圧力が加わるように加圧し、900℃で2時間放置する。
その後、ヒータ電源を切り、炉冷にて50℃まで冷却することにより拡散接合工程は終了となり一次拡散接合品が得られる。
プレス部材73が加圧されると、加圧により弾性変形する高純度化処理した炭素繊維のフェルトからなる剥離性シート85a,85bは変形しながらも金属触媒付積層品84である第一金属板79と第二金属板80と第三金属板81と金属触媒板83を均一に密着させ、各金属板表面の接合界面が全面にて密着することにより拡散接合が円滑に行われることとなる。
次に、50℃にまで冷却した後、二段式圧延機20で拡散接合で作成した1170μmの拡散接合品を50μmにまでロール圧延する圧延工程に入る。
圧延工程としては、被圧延品である拡散接合品の厚みより、2%から3%の圧縮比となるように設定し、上下ロール88,89の隙間を繰り返し通すことにより圧延する。このとき圧延方向は一定として行うことで積層品のひずみを小さくする工夫をしないと剥がれや変形を生じることとなる。
なお、この圧延作業は、各金属層界面に生じていた非常に薄い酸化被膜を破壊し水素透過性能の低下を防止する効果がある。
次に、適度な大きさに切断して、追加熱処理工程に入る。追加熱処理は薄膜化された状態であり、さほど高い温度と長い時間は必要でなく最適な条件として600℃で1時間が適当である。
以上により、複合コア積層体52を芯材とする複合多層構造の水素透過膜21が得られ、その膜を水素生成分離装置22の所定の位置に取り付ける。
以上のように構成された複合多層構造の水素透過膜21を取り付けた水素生成分離装置22について、以下にその動作を説明する。
反応室25が加熱手段34の作動により500〜800℃に加熱され、水素生成分離装置22の反応室25に供給口31より炭化水素のメタンと水蒸気を供給すると、連通Niフォームの改質触媒33の界面で、(化1)のように、メタンは水蒸気により酸化され、水蒸気は還元される反応による水素と二酸化炭素の生成に加えて、水素透過膜21のPd金属触媒層52との接触による触媒作用により反応が促進され水素が生成される。
Figure 2008080234
生成された水素は、水素透過膜21の金属触媒層53のPd触媒により、水素分子が水素原子に解離され、複合多層構造の水素透過膜21内に固溶される。金属触媒層53の表面層は100%のPd濃度層であり触媒能力は非常に高く維持されている。
固溶された水素原子は、反応室25と分離室26との水素濃度差により分離室26側に流れ、Pd金属触媒層53を通過した後、MoとTiとTaとが緻密に積層した複合コア積層体52とを流れ、再び分離室26側の金属触媒層53のPd触媒により水素原子から水素分子に結合され、水素ガスとして分離室26に流入する。
このとき、複合多層構造の水素透過膜21のベース部は水素透過性能の高いTaであり水素原子の拡散は非常に速やかに行われ、水素脆性しやすい金属であっても両側から比較的水素脆性に強いMo層でできた第二金属層49が保護するので水素脆性は抑制され、通常水素を通し難いMoは水素固溶量の多いTiの固溶により水素透過量が改善されている。
さらに、分離室26側の金属触媒層53は100%濃度のPd触媒となっているので水素原子から水素分子への結合も速やかに行われるものである。
また、従来例の様に表面が触媒層のPd金属で中心部がTa等のベース金属単層だけであれば、500℃〜800℃の長時間における加熱により、PdとTaとの相互拡散が徐々に起こり、Pd層の表面にTaが析出することとなり、表面層にTaの酸化被膜を形成することで水素透過膜が極端に劣化することとなる。また、Ta金属は比較的水素脆性しやすい金属であり、装置の運転と停止による温度変化で水素脆性により強度が劣化し膜として自立できなくなり破壊してしまうこととなる。
しかし、本実施の形態であれば、Mo層がベース金属のTa層の水素脆性を保護する為長期において水素脆性が抑制される。
なお、Moは金属水素化物を作りにくい金属であり、TaとPdとの相互拡散の抑制効果があり、Ta元素がPd被覆層の表面に析出するのを抑制するばかりか、Ta層の中にMoが拡散することにより、Taの水素脆性を抑制する効果を持つものである。
次に、反応室25に残ったその他の混合ガスは排出口32側の下流に流れて同様の反応により水素ガスを生成して同様に水素透過膜21を通じて分離室26に流入する。
つまり、供給口31から排出口32へ流れる時に、順次複合多層構造の水素透過膜21を通して水素が反応室25より流れ出す為、下流になっても流通ガスの水素ガス濃度が平衡状態に達しないので(化1)の水素ガス化の反応は円滑に行われ、排出口32近傍では流通ガスの大部分が二酸化炭素となり排出される。
通常ならば下流になるに従い流通ガスの水素割合が増加して平衡状態に達し、それ以上に反応しなくなるが、反応室25の中においては水素ガスが分離室26に移動する為、反応は継続して行われる。
この説明から分かるように、金属触媒層53を構成するPdは、水素の解離・再結合を促進させる触媒機能を有するとともに、水素を透過させる機能を有している。また、改質金属で第二金属層49を構成するMoとベース金属で第一金属層48を構成するTaとは、水素を透過させる機能を有しており、Taの水素透過性能は、Pdの水素透過性能よりもかなり優れている。
本実施の形態では、導入口39より水蒸気等のスリーブガスが分離室26内に導入され分離室26内を流れる為、複合多層構造の水素透過膜21のスペーサ46部に滞留した水素を洗い流す為、金属触媒層53のPd層近傍の水素濃度は高くなることは無く、常に圧力分圧差が生じており、円滑な水素の拡散移動が反応室25と分離室26で行われる。
また、本実施の形態では、ベース金属の第一金属層48としてTaを採用したが、水素透過係数の高い金属板であれば適用できるものであり、特に遷移金属であるTa、Nb、V、とそれらの合金が効果的であり、Taに限定するものではない。
また、本実施の形態では、剥離性シート85a,85bの材質として、約2000℃で高純度化処理した炭素繊維のフェルト(日本カーボン社、カーボロン、GF−20−2F)を使用したが、1000℃以上で高純度化処理したシリカ繊維の不織布(アドバンテック東洋社、シリカ繊維ろ紙、QR−100)を使用すると、表面の緻密性の面で適切な接合界面への圧力が加わり良好であり、また約2000℃で高純度化処理した黒鉛(日本カーボン社、ニカフィルム、FL−300SH)も同じ効果を有し、熱によるガスの発生が無く、加圧により弾性変形し、第一金属板79や第二金属板80や金属触媒板83、及び加圧用平板治具77a,77bとの剥離性が良好な素材であれば可能であり、炭素繊維のフェルトに限定するものではない。
また、第二金属層49の水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属としてMoを用いたが、汎用性のあるその他の金属としてCr、Wを使用しても良い。ただ、延展性のよい金属としてはMoが最も優れている。
また、水素固溶量が大きい第三金属層50としてTiを採用したが、同様な効果をもつ金属としてはIVA族の遷移金属元素の中からZr、Hfを用いた物でも良い。
また、第二金属層のMoの第一金属層48のTa元素に対する比率は3.5%としたが、1%以下では水素脆性効果がなく、30%以上では水素透過量が減少するものであり、1%から30%に相当する積層体とした物でも、水素脆性効果と水素透過性能とを維持するもので3.5%に限定するものではない。
また、本実施の形態では、金属触媒層53の形成方法をPd金属板を使用し、複合コア積層体52の上下に拡散接合で同時に形成する方法を紹介したが、複合コア積層体のみを形成した後で、金属触媒層形成工程として、真空蒸着、スパッタリング法、イオンプレーティング法のいずれかを用いても良い。
また、追加熱処理工程を切断工程の後で行うようにしたが、追加熱処理を行ってから所定の寸法に切断しても一向に差し支えない。
以上説明したように、本実施の形態の複合多層構造の水素透過膜21とその製造方法は、ベース金属の第一金属層48は水素脆性に強い第二金属層49で強化され、第二金属層49は第三金属層50で水素固溶量を大きくすることにより水素透過性能を維持する水素透過膜を得る。また、Pdの触媒金属層53と第一金属層48との間にはPdとは拡散し難い第二金属層49が形成されており第一金属層48と触媒金属層53との相互拡散が抑制され表面層の触媒機能を維持し、水素脆性が抑制され、多層であり薄く圧延されてもピンホールがなく、高純度水素の透過分離性能が良く、高性能な水素透過量を有する膜を提供することができる。
以上のように、本発明にかかる複合多層構造の水素透過膜は、水素透過膜を使用する燃料電池分野だけでなく、ガスクロマトグラフ分析用の水素発生器や半導体製造工場での表面改質に使用される水素発生装置に利用されるばかりか、中間物質として水素を発生させる反応を有する反応釜の促進用にも利用でき、それら水素生成装置等の機器を安価に作るのにも有効に利用できる。
本発明の実施の形態1における複合多層構造の水素透過膜が組み込まれた水素生成分離装置の概略構成図 同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の拡大断面図 同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の製造に使用する金属板体を拡散接合する拡散接合装置を示す概略断面構成図 同実施の形態の拡散接合装置のプレス部材を示す拡大断面図 同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の製造に使用する圧延機の圧延加工状態における断面図 同実施の形態の複合多層構造の水素透過膜の製造工程を示す工程図 従来の水素透過膜の拡大断面図 従来の水素透過膜の斜視図 従来の水素透過膜を使用したチューブの斜視図
符号の説明
21 水素透過膜
48 第一金属層
49 第二金属層
50 第三金属層
52 複合コア積層体
53 金属触媒層
79 第一金属板
80 第二金属板
81 第三金属板
83 金属触媒板
84 金属触媒付積層品

Claims (7)

  1. 水素透過性能の高い第一金属層と、水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属層とが、水素固溶量が大きく融点が前記第一金属層と前記第二金属層の金属に比べて低い第三金属層を介して拡散接合され、前記第一金属層と前記第二金属層と前記第三金属層とがそれぞれ少なくとも二層以上となる積層体を構成し、その積層体両面にPdの金属触媒層を形成してなる複合多層構造の水素透過膜。
  2. 積層体の最上下層に、第二金属層が位置するように構成された請求項1に記載の複合多層構造の水素透過膜。
  3. 第一金属層の金属元素数に対し第二金属層の金属元素比率が1%から30%になるように配分した請求項1または2に記載の複合多層構造の水素透過膜。
  4. 第一金属層が、体心立方構造を有する高融点の遷移金属であるTa、Nb、V、Ta合金、Nb合金、V合金のいずれかである請求項1から3のいずれか一項に記載の複合多層構造の水素透過膜。
  5. 第二金属層が、Pdと低い固溶限を有するMo、Cr、Wのいずれかである請求項1から4のいずれか一項に記載の複合多層構造の水素透過膜。
  6. 第三金属層が、Ti、Zr、Hfのいずれかである請求項1から5のいずれか一項に記載の複合多層構造の水素透過膜。
  7. 水素透過性能の高いベース金属からなる第一金属板と水素固溶量が小さく金属水素化物を作りにくい第二金属板とを、間に水素固溶量が大きく融点が低い第三金属板を介在させて交互に、且つそれぞれが少なくとも二層以上となるように積層し積層品とする積層工程と、前記積層品の上下面にPdまたはPd合金からなる金属触媒板を積層形成する金属触媒付積層品形成工程と、前記金属触媒付積層品を熱と圧力により拡散接合し拡散接合品とする拡散接合工程と、前記拡散接合品を所定の厚みにまで圧延し複合コア積層体とする圧延工程とを有する複合多層構造の水素透過膜の製造方法。
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