JP2008307530A - 水素分離膜 - Google Patents

水素分離膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2008307530A
JP2008307530A JP2008123256A JP2008123256A JP2008307530A JP 2008307530 A JP2008307530 A JP 2008307530A JP 2008123256 A JP2008123256 A JP 2008123256A JP 2008123256 A JP2008123256 A JP 2008123256A JP 2008307530 A JP2008307530 A JP 2008307530A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal layer
palladium
hydrogen
separation membrane
intermediate layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008123256A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruki Eguchi
晴樹 江口
Hidemi Ukai
英實 鵜飼
Misako Uchida
美佐子 内田
Koki Yoshizawa
廣喜 吉澤
Natsuki Yoneyama
夏樹 米山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Corp filed Critical IHI Corp
Priority to JP2008123256A priority Critical patent/JP2008307530A/ja
Publication of JP2008307530A publication Critical patent/JP2008307530A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】水素透過性能を低下させることなく、かつ、優れた耐水素脆化性を有する水素分離膜を提供する。
【解決手段】水素透過性を有する第1金属層2と、パラジウム(Pd)を含む第2金属層4と、上記第1金属層2と上記第2金属層4との間に位置する中間層3とを備える水素分離膜であって、上記中間層3は、上記パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値である主金属物質を含む形成材料からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素分離膜に関するものであり、特に水素透過性を有する第1金属層とパラジウム(Pd)を含む第2金属層との間に中間層を備える水素分離膜に関する。
従来から、水素ガスを燃料として用いる燃料電池が知られている。このような燃料電池においては高純度の水素を供給する必要があることから、水素分離膜を用いて混合ガス中から水素ガスのみを選択的に分離している。
一般的に水素分離膜は、例えばバナジウム(V)を含む金属材料からなるベース金属層と、ベース金属層の両側面に被覆されると共にパラジウム(Pd)を含む金材材料からなる被覆金属層とを備えている(特許文献1参照)。
このような水素分離膜では、水素分離膜の一方側においてパラジウムの触媒作用によって混合ガスに含まれる水素分子が分離し、分離した水素分子すなわち水素原子のみが被覆金属層に拡散する。そして、被覆金属層に拡散した水素原子が、さらにベース金属層に拡散し、他方側の被覆金属層の触媒作用によって再結合することによって、水素分離膜の他方側から水素ガスとして放出される。つまり、水素分離膜によれば、水素ガスのみが水素分離膜を透過することができるため、この結果、混合ガスから水素ガスのみが選択的に分離される。
ところで、水素分離膜においては、バナジウム(V)とパラジウム(Pd)との相互拡散によってパラジウム(Pd)が減少し、水素分離効率が低下するという問題を有している。
このような問題点に対して、特許文献2及び3には、ベース金属層と被覆金属層と間にパラジウムの拡散を抑制することを目的とする中間層を備える水素分離膜が提案されている。
具体的には、特許文献2には、酸化珪素(SiO2)等の水素不透過性のセラミックス材料からなる中間層を備える水素分離膜が開示されている。
また、特許文献3には、ニッケル(Ni)あるいはコバルト(Co)を含む形成材料からなる中間層を備える水素分離膜が開示されている。
特開平11−276866号公報 特開平7−185277号公報 特許第3867539号公報 「深井有、田中一英、内田裕久、水素と金属:次世代への材料学、内田老鶴堂、1998年」
しかしながら、特許文献2に開示された水素分離膜は、中間層が水素不透過性のセラミックス材料から形成されているため、水素透過率が減少し、水素透過性能が低下するという問題がある。
また、非特許文献1に示されているように、コバルト(Co)は、水素吸蔵合金の実験から水素脆化が起こることが知られている。また、ニッケル(Ni)についても、機械的強度試験から水素脆化が起こることが知られている。このため、特許文献3に開示された水素分離膜は、長時間の使用に耐えられないという問題がある。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、水素透過性能を低下させることなく、かつ、優れた耐水素脆化性を有する水素分離膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、水素透過性を有する第1金属層と、パラジウム(Pd)を含む第2金属層と、上記第1金属層と上記第2金属層との間に位置する中間層とを備える水素分離膜であって、上記中間層は、上記パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値である主金属物質を含む形成材料からなることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、中間層が、パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値である主金属物質を含む形成材料によって形成される。
このような本発明においては、中間層の形成エネルギが負の値であるためパラジウム(Pd)が中間層に拡散した場合においても中間層は安定とされる。
また、本発明においては、上記主金属物質は、チタン(Ti)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)であるという構成を採用する。
また、本発明においては、上記中間層は、上記主金属物質以外にパラジウム(Pd)を含んでなるという構成を採用する。
さらに、上記中間層における上記パラジウム(Pd)の濃度は、10.0原子%以上20.0原子%以下であるという構成を採用する。
このようにパラジウム(Pd)を含んでなることにより、中間層のパラジウム拡散防止機能が一層高まる。
また、本発明においては、上記第1金属層が膜状体であり、上記第1金属層の両面側の各々に対して上記第2金属層及び中間層を備えるという構成を採用する。
本発明によれば、中間層の形成エネルギが負の値であるためパラジウム(Pd)が中間層に拡散した場合においても中間層は安定とされる。
このように、本発明によれば、セラミックス材料等の水素不透過性の材料を用いることなく、かつ、パラジウム(Pd)の拡散を安定して抑制することが可能となる。
したがって、本発明によれば、水素透過性能が低下することなく、かつ、優れた耐水素脆化性を有するものとなる。
また、特に中間層が主金属物質以外にパラジウム(Pd)を含んで構成されていれば、中間層のパラジウム拡散防止機能が一層高まることにより、水素分離膜の水素透過機能が長寿命化し、水素分離膜を長時間使用することが可能になる。
以下、図面を参照して、本発明に係る水素分離膜の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態の水素分離膜の構成を模式的に示した側断面図である。この図に示すように、本実施形態の水素分離膜1は、ベース金属層2(第1金属層)と、中間層3と、被覆金属層4(第2金属層)とから構成されている。
ベース金属層2は、水素透過性を有する膜状体の金属層であり、水素拡散速度の速い、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)あるいはタンタル(Ta)を主成分とするものである。
なお、ベース金属層2の形成材料は、上述のバナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)単体であっても良いし、これらの金属を主成分とする合金であっても良い。
中間層3は、ベース金属層2の両面側の各々に成膜される金属層であり、水素透過性を有するものである。この中間層3は、パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値である主金属物質を含む形成材料からなるものであり、チタン(Ti)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)を含む形成材料からなるものである。
すなわち、チタン(Ti)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)は、パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値である主金属物質となるものである。
また、中間層3の形成材料は、上記主金属物質以外にパラジウム(Pd)を含んでいるのが好ましい。このようにパラジウム(Pd)を含んでなることにより、中間層3のパラジウム拡散防止機能が一層高まり、したがって水素分離膜1の水素透過機能の長寿命化が図られるからである。
また、上記中間層3にパラジウム(Pd)を含有させる場合、該中間層における上記パラジウム(Pd)の濃度は、5.0原子%以上40.0原子%以下であるのが好ましく、10.0原子%以上20.0原子%以下であるのがより好ましく、後述する実験結果に示すように、12.5原子%であるのが特に好ましい。パラジウム(Pd)の濃度が10.0原子%未満、特に5.0原子%では、パラジウム(Pd)を配合することによる効果が十分に発揮されず、20.0原子%を超えると、パラジウム(Pd)の割合が高くなることで中間層3が被覆金属層4に近い性状になり、中間層3としての機能が良好に発揮されなくなるおそれがあるからである。特に、以上40.0原子%を超えると、中間層3は相対的に主金属物質の量が少なくなり、被覆金属層4のパラジウム(Pd)がベース金属層2側に拡散してしまうのを抑制する効果が低下してしまうため、好ましくない。
なお、上記中間層3の形成材料には、上記主金属物質、及びパラジウム以外に、不純物が形成材料全体に対して例えば10原子%以下含まれることが許容される。すなわち、中間層3の形成材料として主金属物質及び/又はパラジウム(Pd)と、10原子%以下の不純物との合金を用いることができる。
なお、上記10原子%以下という値は、いわゆるヴェガード(Vegard)の法則に基づくものであり、中間層3が主金属物質の性質に支配されて機能することが可能な値である。
ヴェガード(Vegard)の法則は、「新版 金属工学入門 西川精一、アグネ技術センター、2001」や「金属物理−材料科学の基礎− 藤田英一、アグネ技術センター、2001」に記載されているように、2元系の合金M−Xを考えるとき、Xが低濃度(10原子%以下)の場合、M−Xの格子定数はXの濃度に比例して変換することを示している。したがって、ヴェガード(Vegard)の法則によれば、合金M−Xは、Xが低濃度(10原子%以下)の場合に安定して存在し、Mの性質が発揮されるものになると言える。
そして、上記不純物としては、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)が挙げられる。なお、主金属物質としてハフニウム(Hf)を用いる場合には、ジルコニウム(Zr)を不純物として用いることもできる。
被覆金属層4は、ベース金属層2と反対側の中間層3の片面に成膜される金属層であり、パラジウム(Pd)を主成分とするものである。
なお、被覆金属層4の形成材料は、上述のパラジウム(Pd)単体であっても良いし、パラジウム(Pd)を主成分とする合金であっても良い。
このように本実施形態の水素分離膜1は、中間層3がベース金属層2と被覆金属層4との間に介在して配置され、ベース金属層2の両面側の各々に対して被覆金属層4と中間層3とを備えている。
このような本実施形態の水素分離膜1においては、水素分離膜1の一方側の面が混合ガスに晒されると、一方側の面の被覆金属層4aによって混合ガス中の水素成分のみが水素分離膜1の内部に取り込まれる。
より詳細には、一方側の面の被覆金属層4aにおいて、パラジウム(Pd)の触媒作用によって混合ガス中の水素分子が2つの水素原子に分離され、当該水素原子が被覆金属層4aに拡散することによって水素成分のみが水素分離膜1の内部に取り込まれる。
一方側の面の被覆金属層4aに拡散した水素原子は、被覆金属層4a、一方側の面の中間層3a、ベース金属層2、他方側の面の中間層3b、他方側の面の被覆金属層4bの順に拡散し、他方側の面の被覆金属層4bにおいて、パラジウム(Pd)の触媒作用によって再結合され、水素分子(水素ガス)として水素分離膜1の外部に放出される。
このように本実施形態の水素分離膜1によれば、水素のみがベース金属層2、中間層3及び被覆金属層4を透過することができるため、この結果、混合ガスから水素ガスのみが選択的に分離される。
そして、本実施形態の水素分離膜1においては、中間層3が、形成エネルギが負の値の値である主金属物質を含む形成材料から形成されている。このため、被覆金属層4を形成するパラジウム(Pd)の一部が中間層3に拡散した場合であっても、中間層3は安定なものとなる。つまり、中間層3が水素脆化を起こす虞がなく、中間層3を長時間に亘って使用することが可能となる。
以上のように、本実施形態の水素分離膜1によれば、中間層3にセラミックス材料等の水素不透過性の材料を用いることなく、かつ、中間層3にてパラジウム(Pd)の拡散を安定して抑制することが可能となる。
したがって、本実施形態の水素分離膜1によれば、水素透過性能が低下することなく、かつ、優れた耐水素脆化性を有するものとなる。
次に、図2を参照して、中間層3に含まれる主金属物質の具体例について説明する。
図2は、複数の金属物質の形成エネルギを算出した結果を示すグラフである。
なお、形成エネルギΔE(M14Pd)は、「C.Wolverton, V.Ozolins and M.Asta, Phys. Rev. B. 69(2004)art. No. 144109」に記載されているように、下式(1)によって算出することができる。下式(1)において、E(M14Pd)が合金M14Pdの全エネルギ(eV)を示し、Ecry(M)が結晶Mの1原子あたりの全エネルギ(eV/atom)を示している。
ΔE(M14Pd
=(1/16)[E(M14Pd)−14・Ecry(M)−2・E(Pd)]
…(1)
式(1)から算出された形成エネルギを示す図2から分かるように、パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが(−0.5[eV/atom])以下である主金属物質は、チタン(Ti)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)となり、したがってこれらを好適に用いることができることが分かった。
図3は、本実施形態の水素分離膜1の製造方法を示すフローチャートである。
この図に示すように、本実施形態の水素分離膜1は、ベース金属層2を形成する工程(ステップS1)と、中間層3を形成する工程(ステップS2)と、被覆金属層4を形成する工程(ステップS3)とを有している。
ベース金属層2の形成する工程(ステップS1)では、例えば、バナジウム(V)あるいはバナジウム(V)を含む合金を形成材料として、当該形成材料を圧延処理することにより、ベース金属層2を形成する。
中間層3を形成する工程(ステップS2)では、例えば、チタン(Ti)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)のうちの一種あるいは複数種と、Pd(Pd)とを含む合金を形成材料として、当該形成材料をメッキ法あるいはスパッタリング法にてベース金属層2の両面に成膜することにより、中間層3を形成する。
被覆金属層4を形成する工程(ステップS3)では、例えば、パラジウム(Pd)あるいはパラジウム(Pd)を含む合金を形成材料として、当該形成材料をメッキ法あるいはスパッタリング法にて中間層3上に成膜することにより、被覆金属層4を形成する。
そして、これらのベース金属層2を形成する工程(ステップS1)と、中間層3を形成する工程(ステップS2)と、被覆金属層4を形成する工程(ステップS3)とを順に行うことにより、本実施形態の水素分離膜1を製造する。
以上、図面を参照しながら本発明に係る水素分離膜の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、中間層3を形成する形成材料に含まれる主金属物質として、チタン(Ti)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)を挙げて説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値である金属物質であれば、上記主金属物質として用いることができる。
また、上記中間層3の形成材料における上記主金属物質としては、上述したようにパラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値であるものを用いたが、中でも、パラジウム(Pd)が拡散することによって格子定数が減少するものを用いるのが好ましい。
このような主金属物質を中間層3の形成材料として用いれば、被覆金属層4を形成するパラジウム(Pd)の一部が中間層3に拡散することによって、中間層3の格子定数が減少し、これによって中間層3におけるパラジウム(Pd)の拡散を抑制することができる。つまり、上記の水素分離膜1においては、中間層3に被覆金属層4のパラジウム(Pd)の一部が拡散した後には、パラジウム(Pd)の拡散を一層抑制し、被覆金属層4の減少を抑制することができる。
図4は、複数の金属物質に対してパラジウム(Pd)を拡散させた場合における、各金属物質の格子定数の変化をシミュレーションした結果を示すものである。なお、本シミュレーションにおいては、平面波基底と擬ポテンシャル法とに基づく第一原理分子動力学法を用いてパラジウム(Pd)が拡散された各金属物質の格子定数を計算した。また、本シミュレーションにおいては、上記複数の金属物質として、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)を用い、これらの金属物質に対して6.25原子%のパラジウム原子を拡散させた。
この結果、ジルコニウム(Zr)とハフニウム(Hf)が、顕著に格子定数が減少することが認められた。
なお、上記シミュレーションにおける格子定数の計算手法の正当性を確かめるため、上記シミュレーションで用いるパラジウム(Pd)を拡散させる前の格子定数を同様の計算手法にて計算し、この値を実験によって求めた格子定数の実験値(文献値)と比較した。
この結果を図5に示す。
図5に示すように、シミュレーションの計算手法による格子定数は、文献による実験値と比較して全て小さくなった。これは第一原理分子動力学法に使用している密度汎関数法による近似の特徴である。最も実験値に近い計算値を示したものはモリブデンの結晶(bcc)であり、実験値との誤差は−0.63%であった。また、実験値と比較して最も誤差が大きいものは鉄の結晶(bcc)であり、実験値と比較して−5.57%の誤差があった。したがって、上記シミュレーションの計算手法は、約−5.6%の精度で保証することができ、十分に信頼性のある計算手法である。
図6は、複数の金属物質の形成エネルギを算出した結果を示すグラフである。
なお、形成エネルギΔE(M15Pd)は、「C.Wolverton, V.Ozolins and M.Asta, Phys. Rev. B. 69(2004)art. No. 144109」に記載されているように、下式(2)によって算出することができる。下式(2)において、E(M15Pd)が合金M15Pdの全エネルギ(eV)を示し、Ecrys(M)が結晶Mの1原子あたりの全エネルギ(eV/atom)を示している。
ΔE(M15Pd
=(1/16)[E(M15Pd)−15・Ecry(M)−Ecrys(Pd)]
…(2)
この結果、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)の形成エネルギが顕著に負の値を示した。
図5及び図6から分かるように、パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値でありかつ格子定数が減少する主金属物質としては、ジルコニウム(Zr)あるいはハフニウム(Hf)がある。したがって、これらジルコニウム(Zr)あるいはハフニウム(Hf)が、主金属物質として特に好適に用いられる。
また、上記実施形態においては、ベース金属層3の両面側の各々に中間層3及び被覆金属層4を備える構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ベース金属層3の一方側のみに中間層3及び金属層4を備える構成とすることもできる。
このような場合には、中間層3及び金属層4が形成された側の面が混合ガス側に配置され、取り込まれた水素が原子状態でベース金属層2から他方側に放出される。
また、例えば、中間層3とベース金属層2との間に異なる層を介在させる構成を採用することも可能である。
(実験例)
上記の解析結果を実証するため、水素分離膜を作製してその水素透過量を測定した。
水素分離膜については、以下のようにして作製した。
まず、厚さ100μmのバナジウム製の箔(ベース金属層)にマグネトロンスパッタを用いて中間層を形成し、その後、パラジウムからなる被膜金属層を形成した。作製した中間層は、ジルコニウム単体、ハフニウム単体、チタン単体、中間層なし、ジルコニウムとパラジウムとからなる合金、チタンとパラジウムとからなる合金、ハフニウムとパラジウムとからなる合金の7種類とした。
これら7種類の水素分離膜について、400℃、0.3MPa/0.1MPaの条件下で長時間水素透過試験を行った。得られた結果を図7に示す。なお、図7中においては、前記中間層として、ジルコニウム単体を「Zr」で示し、ハフニウム単体を「Hf」で示し、チタン単体を「Ti」で示し、中間層なしを「なし」で示し、ジルコニウムとパラジウムとからなる合金を「Zr+α」で示し、チタンとパラジウムとからなる合金を「Ti+α」で示し、ハフニウムとパラジウムとからなる合金を「Hf+α」で示している。
また、図7においては、ハフニウム単体「Hf」と、ハフニウムとパラジウムとからなる合金「Hf+α」とを、同じ記号(△)で示しているが、縦軸である水素透過量がほぼゼロとなっている方の記号(△)で示されるものが、ハフニウム単体を示している。
図7に示したように、ジルコニウム単体(Zr)、ハフニウム単体(Hf)、チタン単体(Ti)では、被膜金属層のパラジウムがベース金属層のバナジウムに拡散することで、酸化防止のパラジウムがなくなってしまい、これによって水素透過量がほとんどゼロとなった。また、中間層なしの場合では、50時間経過後急激に水素透過量の低下がみられた。
一方、ジルコニウムとパラジウムとからなる合金(Zr+α)、チタンとパラジウムとからなる合金(Ti+α)、ハフニウムとパラジウムとからなる合金(Hf+α)については、中間層がパラジウム拡散防止の機能を発揮するため、一定の水素透過量が期待できることが分かった。
本発明の一実施形態に係る水素分離膜を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態に係る水素分離膜の中間層を形成する主金属物質に適した材料について説明するための、形成エネルギの算出結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る水素分離膜の製造方法を説明するためのフローチャートである。 本発明に係る水素分離膜の中間層を形成する主金属物質に適した材料について説明するための、格子定数のシミュレーション結果を示す図である。 図4のシミュレーションに用いた計算手法の信頼性を示すための比較値である。 本発明に係る水素分離膜の中間層を形成する主金属物質に適した材料について説明するための形成エネルギの算出結果を示す図である。 長時間水素透過試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1……水素分離膜、2……ベース金属層(第1金属層)、3(3a,3b)……中間層、4(4a,4b)……被覆金属層(第2金属層)

Claims (5)

  1. 水素透過性を有する第1金属層と、パラジウム(Pd)を含む第2金属層と、上記第1金属層と上記第2金属層との間に位置する中間層とを備える水素分離膜であって、
    上記中間層は、上記パラジウム(Pd)が拡散することによって形成エネルギが負の値である主金属物質を含む形成材料からなることを特徴とする水素分離膜。
  2. 上記主金属物質は、チタン(Ti)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)であることを特徴とする請求項1記載の水素分離膜。
  3. 上記中間層は、上記主金属物質以外にパラジウム(Pd)を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素分離膜。
  4. 上記中間層における上記パラジウム(Pd)の濃度は、10.0原子%以上20.0原子%以下であることを特徴とする請求項3記載の水素分離膜。
  5. 上記第1金属層が膜状体であり、上記第1金属層の両面側の各々に対して上記第2金属層及び中間層を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素分離膜。
JP2008123256A 2007-05-15 2008-05-09 水素分離膜 Pending JP2008307530A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008123256A JP2008307530A (ja) 2007-05-15 2008-05-09 水素分離膜

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007129033 2007-05-15
JP2008123256A JP2008307530A (ja) 2007-05-15 2008-05-09 水素分離膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008307530A true JP2008307530A (ja) 2008-12-25

Family

ID=40235627

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008123256A Pending JP2008307530A (ja) 2007-05-15 2008-05-09 水素分離膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008307530A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005279536A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Toyota Motor Corp 水素透過膜
JP2005289652A (ja) * 2004-03-09 2005-10-20 Nippon Oil Corp 水素の製造方法および反応管
JP2006035063A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Toyota Motor Corp 水素透過膜
JP2008080234A (ja) * 2006-09-27 2008-04-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 複合多層構造の水素透過膜とその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005289652A (ja) * 2004-03-09 2005-10-20 Nippon Oil Corp 水素の製造方法および反応管
JP2005279536A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Toyota Motor Corp 水素透過膜
JP2006035063A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Toyota Motor Corp 水素透過膜
JP2008080234A (ja) * 2006-09-27 2008-04-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 複合多層構造の水素透過膜とその製造方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CSNC200902272037; 機械工学便覧改訂第6版 第5編第1章p5-2, 19790322, 社団法人 日本機械学会 *
JPN6012057884; 機械工学便覧改訂第6版 第5編第1章p5-2, 19790322, 社団法人 日本機械学会 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008055295A (ja) 水素分離膜
KR101290942B1 (ko) 수소 분리ㆍ정제용 복합상 합금 및 그 제작 방법, 그리고수소 분리ㆍ정제용 금속막 및 그 제작 방법
Choi et al. High‐performance silver cathode surface treated with scandia‐stabilized zirconia nanoparticles for intermediate temperature solid oxide fuel cells
Yamaura et al. Effect of surface coating element on hydrogen permeability of melt-spun Ni40Nb20Ta5Zr30Co5 amorphous alloy
Li et al. Changes in microstructure, ductility and hydrogen permeability of Nb–(Ti, Hf) Ni alloy membranes by the substitution of Ti by Hf
JP2019005684A (ja) 水素分離装置及び水素分離システム
JPWO2011152369A1 (ja) 水素分離合金及びその製造方法
JP3749953B1 (ja) 複相水素透過合金および水素透過合金膜
US20140140920A1 (en) Vanadium-based hydrogen permeation alloy for membrane, method of manufacturing the same, and method of using the membrane
JP2006035063A (ja) 水素透過膜
JP2008307530A (ja) 水素分離膜
Miyamoto et al. Effect of adhesion of metals on deterioration of Pd and Pd alloy membranes
JP4772561B2 (ja) メタノール改質触媒、シフト触媒、メタノール改質触媒の製造方法およびシフト触媒の製造方法
JP2006000722A (ja) 水素透過合金膜及びその製造方法
WO2020171165A1 (ja) コアシェル複合体及びその製造方法
JP3882089B1 (ja) 結晶質複相水素透過合金および水素透過合金膜
JP2004174373A (ja) 水素透過合金膜、水素透過用部材及びその製造方法
Panichkin et al. Estimation of the influence of the composition and thickness of catalytic layers on hydrogen permeability of tantalum membranes
Alimov et al. Substitutional VePd alloys for the membranes permeable to hydrogen: hydrogen solubility at 150e400 C
JP2009291742A (ja) 水素透過部材及びこれを用いた水素生成反応器
JP4178143B2 (ja) 水素分離膜及びその製造方法
JP2008272605A (ja) 水素透過膜およびその製造方法
Panichkin et al. Hydrogen Permeability through Composite Asymmetric Nb Membranes with Metal Barrier Layers
JP2008108685A (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用セパレータおよび燃料電池
AU2022268645A1 (en) Interconnect for solid oxide cell (soc)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121009

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121211