JP4772561B2 - メタノール改質触媒、シフト触媒、メタノール改質触媒の製造方法およびシフト触媒の製造方法 - Google Patents

メタノール改質触媒、シフト触媒、メタノール改質触媒の製造方法およびシフト触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化水素系燃料の改質触媒、CO濃度低減のための水性シフト反応用のシフト触媒、あるいは液体燃料合成用の反応等に用いることが可能な触媒に用いられる、メタノール改質触媒、シフト触媒、メタノール改質触媒の製造方法およびシフト触媒の製造方法に関する。
Cu系触媒は、アルコール系燃料と水蒸気を反応させて水素を取り出す改質用触媒や、改質ガス中のCOを水蒸気と反応させてCO濃度を低減させるシフト反応用触媒などに広く用いられている。一般に、Cu系触媒は、粒径の小さな金属Cu粒子を、熱的および化学的に安定なセラミックス基材上に担持して用いられる。金属Cu粒子をセラミックス基材上に担持させる方法として、例えば溶液法や還元析出法などが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−278656号公報
溶液法によりセラミックス基材上に触媒を後付けして作製したものは、触媒活性は非常に高いが熱的安定性に乏しく、さらに酸化により大きく触媒性能が低下することが知られている。したがって、これらCu系触媒は、使用場所において水素ボンベ等を用意して直前に還元処理を行う場合があり、また温度の制御、酸素の混入防止など多くの注意を払わなければならなかった。これは主として、重なり合って存在する金属Cu粒子どうしが、酸化や熱的変動によって合体や粒成長を起こし、触媒比表面積が小さくなって、結果的に触媒活性が低下することが原因である。上記したように、従来のCu系触媒は、非常に活性ではあるが温度や酸素の影響を受けやすく、使用直前に還元処理を施さなければならないとともに、厳密な温度並びに雰囲気の管理が必要である。
一方、還元析出法により金属Cu粒子を表面に析出させた触媒は、耐久性には優れるが、触媒活性の点ではさらに向上が望まれている。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、使用直前での還元処理や、酸素との接触を遮断する処理を施す必要がなく、触媒性能が高く、かつ熱的および化学的に安定な、メタノール改質触媒、シフト触媒、メタノール改質触媒の製造方法およびシフト触媒の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のメタノール改質触媒は、酸化物担体と、前記酸化物担体の表面から、隣接および積層させることなく表面に点在する孤立した状態で析出し、かつ前記酸化物担体に界面が結合されて担持され、少なくとも析出部の最外殻がCu酸化物で構成される微粒子とを具備することを特徴とする。また、本発明のシフト触媒は、酸化物担体と、前記酸化物担体の表面から、隣接および積層させることなく表面に点在する孤立した状態で析出し、かつ前記酸化物担体に界面が結合されて担持され、少なくとも析出部の最外殻がCu酸化物で構成される微粒子とを具備することを特徴とする。
これらの触媒によれば、触媒として機能する微粒子の少なくとも析出部の最外殻をCu酸化物で構成して、使用直前において還元処理等を施さずに使用することができ、高い触媒性能を発揮することができる。
本発明のメタノール改質触媒の製造方法は、Cu酸化物と、前記Cu酸化物と固溶体もしくはスピネル型複合酸化物を形成する金属酸化物とからなる触媒前駆体を、350〜1000℃の温度範囲で還元し、前記触媒前駆体の内部より金属Cu粒子を析出させる還元処理工程と、前記析出した金属Cu粒子の少なくとも表面を、室温から350℃の温度範囲の酸化雰囲気中で酸化する酸化処理工程とを具備することを特徴とする。また、本発明のシフト触媒の製造方法は、Cu酸化物と、前記Cu酸化物と固溶体もしくはスピネル型複合酸化物を形成する金属酸化物とからなる触媒前駆体を、350〜1000℃の温度範囲で還元し、前記触媒前駆体の内部より金属Cu粒子を析出させる還元処理工程と、前記析出した金属Cu粒子の少なくとも表面を、室温から350℃の温度範囲の酸化雰囲気中で酸化する酸化処理工程とを具備することを特徴とする。
これらの触媒の製造方法によれば、酸化処理工程において、析出した金属Cu粒子の少なくとも表面を酸化することで、触媒として使用する直前に還元処理等を施さずに使用することができ、高い触媒性能を発揮することができる触媒部材を製造することができる。
本発明によれば、使用直前での還元処理や、酸素との接触を遮断する処理を施す必要がなく、触媒性能が高く、かつ熱的および化学的に安定な、メタノール改質触媒、シフト触媒、メタノール改質触媒の製造方法およびシフト触媒の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る触媒部材10の断面を模式的に示した図である。図2は、触媒部材10の表面近傍のCu濃度分布50を示す図である。
図1に示すように、触媒部材10は、酸化物担体20と、この酸化物担体20の表面から析出し、かつ酸化物担体20に担持され、少なくとも析出部の最外殻がCu酸化物で構成される微粒子30とから構成されている。ここで、微粒子30が酸化物担体20から析出し、担持された状態とは、酸化物担体20と微粒子30との界面が整合性よく結合されている状態をいう。
また、触媒部材10は、Cu酸化物と、このCu酸化物と固溶体もしくはスピネル型複合酸化物を形成する酸化物とからなる触媒前駆体を、350〜1000℃の温度範囲で還元し、触媒前駆体の内部より金属Cu粒子を析出させ、続いて、析出したCu粒子の少なくとも表面を、室温から350℃の温度範囲の酸化雰囲気中で酸化して形成される。
ここで、酸化物担体20は、上記した触媒前駆体を還元して、その表面に、少なくとも表面にCu酸化物を有する微粒子30を担持した基材であり、微粒子30は、少なくとも析出した金属Cu粒子の表面、すなわち少なくとも析出した金属Cu粒子の最外殻が酸化された金属Cu粒子である。この微粒子30の表面のCu酸化物は、CuOもしくはCuOで構成されている。なお、微粒子30の内部組成においてはこの限りではなく、芯部にCuが残存していてもよい。また、微粒子30の全体がCuOもしくはCuOのCu酸化物で構成されていてもよい。
触媒前駆体を構成する、Cu酸化物と固溶体もしくはスピネル型複合酸化物を形成する酸化物は、CuOよりも還元されにくい金属酸化物が用いられる。この金属酸化物として、具体的には、例えばAl、MnO、Cr、MgOなどが用いられ、触媒前駆体は、CuO−Al系、CuO−MnO系、CuO−Cr系あるいはCuO−MgO系などの材料から形成されるが、これらの組み合わせに限られるものではない。
微粒子30の平均粒径は、酸化処理が施された後の最終的な状態において、5〜200nmであることが好ましい。微粒子30の平均粒径をこの範囲としたのは、本発明で用いている還元析出法では、粒径が5nmより小さいサイズの粒子を作製することが困難であり、一方、平均粒径が200nmを超えるサイズの粒子は触媒としての機能に劣るからである。なお、微粒子30の平均粒径は、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM;Field Emission-Scanning Electron Microscope)写真による表面観察による微粒子30の粒径測定により得られた値である。
また、微粒子30の析出部の触媒比表面積が0.5〜5m/gであり、各微粒子30が孤立して析出していることが好ましい。ここで、触媒比表面積とは、上記した平均粒径を有する1g当りの微粒子30の析出部が占める面積である。また、各微粒子30が孤立して析出しているとは、図1に示すように、各微粒子30が隣接、積層されることなく、各微粒子30どうしが所定の間隔をおいて、酸化物担体20から析出し、担持された状態、すなわち各微粒子30の析出部が酸化物担体20の表面に点在した状態をいう。本発明に係る触媒比表面積は、一般に用いられる触媒部材に比して1桁から2桁小さい値となっている。この本発明に係る触媒比表面積の範囲としたのは、各微粒子30が積層されることなく析出する1層からなる触媒層を表面部のみに形成する本発明に係る形成方法では、触媒比表面積が5m/gを超えように作製することが困難であるからである。一方、触媒比表面積が0.5m/gを下回る場合には、触媒としての効果そのものが弱くなるためである。
また、図2に示すように、微粒子30を析出した酸化物担体20の表面層において、微粒子30との界面に向かってCu濃度が減少している。これは、触媒粒子である微粒子30がCuを酸化物担体20内部より表面に析出させて形成されるために生じ、通常の溶液法等で作製した触媒には見られない様相である。なお、図2に示したCu濃度分布50は、高分解能透過電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope、JEM−2100F(日本電子データム(株)))に付属のエネルギー分散型X線分光法(EDS;Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)による分析により測定したものであり、上記した触媒前駆体のいずれの組成の場合においても同様の傾向が得られた。
ここで、触媒部材10の製造方法について説明する。
まず、上記した触媒前駆体を作製する材料である、CuOと各金属酸化物とを所定の混合比で混合する。続いて、この混合した混合部材を焼結して、固溶体もしくはスピネル型の複合酸化物(例えば、CuX、X=Al、Mn、Cr)からなる触媒前駆体を作製する。ここで、焼結体である触媒前駆体中にCuO粒子もしくはCuO粒子が残留すると、還元によりこの残留Cu酸化物は、大きなCu粒子を形成して残存するため、触媒としての性能を発揮できないので好ましくない。そこで、CuOと各金属酸化物との混合比は、焼結体である触媒前駆体中にCuO粒子もしくはCuO粒子を残留させないように設定される。このCuOと各金属酸化物との混合比の設定において、Cu酸化物がもう一方の金属酸化物中に完全に固溶するように混合部材を組成するか、混合部材において、等モル比または金属酸化物のモル比が大きい金属酸化物リッチとなるように混合部材を組成するのが好ましい。
続いて、作製された触媒前駆体を、例えば、水素雰囲気中において温度を上げて還元し、固溶体もしくはスピネル型構造をもつ複合酸化物の内部から表面に金属Cu粒子を析出させる(還元処理工程)。
ここで、還元温度は350〜1000℃の範囲が好ましい。この還元温度範囲において、特に、CuO−MgO系のように完全に固溶体を形成する場合あるいはCuO−Cr系のスピネル型複合酸化物を形成する場合には、還元温度を600〜1000℃とするのが好ましい。また、CuO−Al系あるいはCuO−MnO系のスピネル型複合酸化物を形成する場合には、還元温度を350〜800℃とするのが好ましい。この範囲に還元温度を設定するのが好ましいのは、その範囲よりも低い温度で還元した場合には、Cu粒子が析出せず、触媒として機能させることができず、その範囲よりも高い温度で還元した場合には、還元析出した粒子が必要以上に粒成長し、触媒としての高い性能を発揮できないことがあるからである。
続いて、還元処理されたCu粒子を担持した酸化物担体20を、大気において、室温から350℃の温度範囲において酸化処理し、すくなくとも酸化物担体20の表面から析出した析出部のCu粒子の最外殻を酸化する(酸化処理工程)。この結果、析出部のCu粒子の最外殻には、Cu酸化物であるCuOもしくはCuOが形成され、微粒子30が形成される。
ここで、室温〜350℃の範囲に酸化温度を設定するのが好ましいのは、酸化温度が350℃を超える場合には、酸化したCu粒子の成長が顕著になり、隣接粒子どうしが合体、変形してしまう可能性があるからである。また、室温以上と設定しているのは通常室温より低くても酸素を有する大気であれば問題はないが、冷却設備を設ける必要性がないことから定めているものである。
上記した製造方法の各工程を経て製造された触媒部材10は、熱的および化学的に安定性の高いものとなる。
(実施例)
以下の実施例において本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1;還元温度)
ここでは、上記した還元温度の範囲が好適であることを、図3および図4を参照して説明する。
図3は、CuO−MgO系固溶体の水素雰囲気での還元処理における熱重量減少の挙動を示す図である。図4は、CuO−Al系スピネル型複合酸化物(CuAl)の水素雰囲気での還元処理における熱重量減少の挙動を示す図である。なお、CuO−MgO系固溶体またはCuO−Al系スピネル型複合酸化物の重量の減少は、Cu粒子の還元析出を意味する。また、熱重量の測定は、熱重量分析装置(TG;Thermogravimetry、TGD−9600(真空理工))に水素を導入して実施した。
図3および図4に示すように、CuO−MgO系の場合は1段で、CuO−Al系のようなスピネル型複合酸化物の場合には2段で還元が進行することがわかった。スピネル型複合酸化物の場合、Cuを吐き出す毎に基材部の主構成相がCuAlOからAlへと変化する。還元温度は、重量の減少が始まる温度以上に設定することが好ましく、CuO−MgO系固溶体の場合には600℃以上、CuO−Al系スピネル型複合酸化物の場合には350℃以上に還元温度を設定するのが好ましいことがわかる。また、上記した温度より低い温度では、双方においてCu粒子が析出せず、触媒として機能させることができない。なお、特開2005−103468において、CuO−MgO系の場合には、Al3+、Cr3+、Sc3+など3価の陽イオンを極微量添加することによってCu粒子の析出が促進されることが開示されており、これらの陽イオンを添加してCu粒子の析出の促進を図ってもよい。一方、1000℃を超える高温での還元は、還元析出した粒子が必要以上に粒成長することがあった。この還元析出した粒子が必要以上に粒成長すると、触媒としての高い性能を発揮できないことがあるので好ましくない。
なお、図には示していないが、CuO−MnO系の場合は、還元温度が150〜350℃の間で還元による重量の減少を生じたが、実際に触媒部材を使用する温度が300℃前後であることを考慮すると、350℃以上で還元処理を施すことが好ましい。また、CuO−Cr系の場合は、還元温度が600℃あたりで大きな重量の減少を生じたため、それ以上の温度で還元することが好ましい。また、CuO−MnO系およびCuO−Cr系の場合においても、前述したように1000℃を超える高温での還元は、還元析出した粒子が必要以上に粒成長することがあったので好ましくない。
上記したように、還元温度を350〜1000℃の範囲で、使用する触媒前駆体の組成に基づいて適宜に設定することが好ましいことが明らかになった。
なお、還元処理は、水素雰囲気で施されることに限定されるものではなく、例えば、不活性ガス中でカーボンなどの還元性物質と同時に熱処理する方法で施されてもよい。また、スピネル型複合酸化物系の場合は、還元後において少なくとも酸化物担体20の表面にスピネル型複合酸化物相を残存しない状態に形成してもよい。これによって、より活性な触媒性能が得られる。
次に、還元温度、酸化温度、触媒比表面積、微粒子30の平均粒径などを本発明に係る所定の範囲に設定することで、熱的および化学的に安定性の高い触媒部材が得られ、さらに、触媒として優れた機能を発揮することができることを、実施例2〜実施例6および比較例1〜比較例4において説明する。
(実施例2)
実施例2では、CuO粉末とAl粉末を等モル秤量して混合し、直径が21mm、長さが4mmのペレット状にプレス成形して、大気炉を用いて1150℃の温度で2時間焼結して焼結体を作製した。
(1)得られた焼結体の組成をX線回折装置にて同定した。
(2)また、焼結体を粗く粉砕し、200μmメッシュの篩にかけ、通過したものを除外して試料とした。この試料を石英反応管内において、水素気流中400℃の温度で10分間還元処理をした。還元処理の際の昇温速度は15℃/minとした。還元処理後、試料を一旦大気中に取り出し自然酸化させた後、大気炉に入れて300℃の温度で30分間酸化処理を行った。
ここで、メタノール改質試験について図5を参照して説明する。図5は、メタノール改質試験の試験装置70を示す図である。
改質反応器71内には、上記した酸化処理された試料2gが充填されている。改質燃料として、メタノール(CHOH)50cc/minに対し水(HO)100cc/minの割合で混合された混合液を用いた。この改質燃料におけるスチーム・カーボン比S/Cは2である。この改質燃料は、シリンジポンプ72により、温度が150℃に設定された気化器73に液送されて気化され、気化された改質燃料は、改質器71に導入された。改質後の混合ガスは、冷却トラップ槽74にて液体成分を取り除き、ガスクロマトグラフィ75にて分析した。なお、改質器の温度は200〜350℃で変化させた。配管は、すべてステンレス製とし、この配管には気化したガスが凝縮しないようにテープヒータを巻いて150℃の温度に加熱した。
試験終了後、Nガスにて配管をパージした。配管ラインは開放系で、試験後ゆっくりとエアが後段から進入する構成になっているので、触媒である試料の酸化が起こる。その後、再びラインをパージし、上記した工程と同様の工程で再度改質試験を実施した。これらの改質試験を5回繰り返したのち、試料の組織をSEMにて観察した。また、試験終了後に、1l/min程度でNガスによるパージを行い、改質試験後の試料の重量変化を測定した。
(3)また、上記した試料の酸化処理の前後における試料表面の結合状態をX線光電子分光分析装置(XPS;X-ray Photoelectron Spectroscopy)にて、組織をSEMにて観察した。また、ガス吸着法により、試料に含まれる触媒粒子(微粒子30)の触媒比表面積を測定した。
次に、測定結果について説明する。
X線回折試験の結果から、還元処理前の焼結体の組成は、ほぼCuAl(微量のCuAlOを含む)であった。
これを水素雰囲気で400℃の温度で還元した試料は、金属Cuと思われる赤紫系統の色をなしており、大気中に取り出しても若干の発熱はあったが特に性状に変化はなかった。この状態で少なくとも24時間放置した後にX線回折を測定した結果、金属Cuをメインピークに持ち、CuAlOと微量のAlが検出された。また、少なくとも焼結体の表層部にCuAlは存在していなかった。
また、XPSによる表層部の結合状態の分析では、CuO層の存在が確認された。一方、図1に示したように、試料の表面部には、各金属Cu粒子どうしが所定の間隔をおいて析出し、担持された状態、すなわち各金属Cu粒子の析出部が基材の表層部に点在した状態であり、各金属Cu粒子が隣接、凝集および積層される様子は見られなかった。この還元処理後に析出した各金属Cu粒子の平均粒径は50nm程度であった。また、この状態におけるガス吸着法による触媒比表面積は、1.8m/gであった。
この試料を300℃で酸化したものにおいては、CuOのピークが観察され、CuおよびCuOがすべてCuOに酸化されているのがわかった。なお、基材部の組成は酸化前と同じ、CuAlOとAlであった。一方、触媒となるCuO粒子(微粒子30)の大きさは、酸化により若干体積が増加し、平均粒径で60〜80nm程度となっていた。また、析出したCuO粒子は、完全な球状ではなく、表面に微細な凹凸を有する特徴的な組織をしていた。この状態でのガス吸着法により測定された触媒比表面積は4.6m/gであった。
次に、メタノール改質試験の結果について図6および図7を参照して説明する。
図6は、メタノール転化率を示す図であり、図7は、メタノール改質によって生成したガスの組成を示す図である。なお、図6には、還元処理によって金属Cu粒子を析出させ、その後に酸化処理を施さない試料を用いたときの結果も比較のために示している。また、メタノール転化率とは、投入したエタノールに対して、他の成分に変わったエタノールの割合を示す値である。
図6に示すように、酸化処理を施した試料の方が、高いメタノール転化率が得られた。また、このメタノール転化率は、その後試料が再び酸化したとしても下がることなく、繰り返し同じ性能を示すことがわかった。
また、図7に示すように、酸化処理を施した試料を用いたときのメタノール改質によって生成したガスの組成は、測定したすべての温度域(200〜350℃)において、ほぼ75%の水素と25%のCOであり、COとCHはほぼ0%であった。
また、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものと変化が無く、SEMによる観察においても、特に微粒子30の脱離等の様子は観察されなかった。
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同じ条件にて焼結体を作製した。また、実施例2で示した(2)の測定において、還元処理温度を900℃で実施した以外は、実施例2で示した(1)〜(3)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。
次に、測定結果について説明する。
還元後の試料の構成相は、金属Cuをメインピークとし、残りがAlとなっていた。これは還元温度が600℃あたりからCuAlOがCuを吐き出す挙動が始まり、800℃ぐらいで完了するとみられ、前述した熱重量分析結果(図4)とも一致している。
また、酸化処理後の試料は、CuOとAlの複合材となっていた。また、微粒子30である、CuおよびCuO粒子の粒径が、実施例2の酸化処理後における粒径よりも大きくなっていたが、粒径の大きなものでも100nm程度であり、平均粒径は80〜90nm程度であった。また、微粒子30の析出の様子を観察すると、実施例2の場合と同様に、試料の表面部には、各微粒子30どうしが所定の間隔をおいて析出し、担持された状態、すなわち各微粒子30の析出部が基材の表層部に点在した状態であり、各微粒子30が隣接、凝集および積層される様子は見られなかった。この状態でのガス吸着法により測定された触媒比表面積は3.2m/gであった。
また、メタノール改質試験の結果は、実施例2の場合と同様であり、酸化処理を施した試料の方が、高いメタノール転化率が得られた。また、このメタノール転化率は、その後試料が再び酸化したとしても下がることなく、繰り返し同じ性能を示すことがわかった。また、実施例2の場合と比較しても、メタノール転化率に差異はほとんどなく、同等の性能を示した。また、メタノール改質によって生成したガスの組成に関しても、実施例2の場合と同様の結果が得られ、CHやCOの生成はほとんど無かった。
また、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものと変化が無く、SEMによる観察においても、特に微粒子30の脱離等の様子は観察されなかった。
なお、触媒性能に大きな問題は無いが、還元処理を実施例2の場合よりも高温で行ったため、触媒粒子の粒径が大きくなっており、実施例2の場合よりも隣接粒子どうしの間隔は小さくなっている。
(実施例4)
実施例4では、CuO粉末とMnO粉末をモル比で1:2になるように秤量して混合し、直径が21mm、長さが4mmのペレット状にプレス成形して、大気炉を用いて700℃の温度で2時間焼結して焼結体を作製した。
また、実施例2で示した(2)の測定において、酸化処理を常温で24時間大気中に放置して施した以外は、実施例2で示した(1)〜(3)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。
次に、測定結果について説明する。
X線回折試験の結果から、還元処理前の焼結体の組成は、Cu1.4Mn1.6およびMnであった。
これを還元して得られた試料は、金属Cuをメインピークとし、基材部はすべてMnOになっていた。すなわち、少なくとも基材の表層部は、MnOで構成されていたということである。この試料の組織は、CuO−Al系の試料に見られたものとは若干異なり、表面に孔の開いたような大きな凹凸が観察された。これは、酸素が抜けた跡と考えられる。
また、酸化処理後の試料は、CuO粒子を担持したMnO複合材であった。この試料を大気中に放置し、ゆっくりと酸化を進行させた結果、XPSによる表面結合状態の分析から、微粒子30の最外殻にCuOが形成されていることが確認された。この状態での触媒比表面積は、5.0m/gであった。また、微粒子30の平均粒径は、50〜60nm程度であった。
この試料におけるメタノール改質試験結果は、実施例2および実施例3に示したCuO−Al系の試料と同様であったが、さらに25〜50℃低い温度にて高いメタノール転化率(250℃程度で転化率95%)が得られた。これらは、市販のCu−Zn系触媒の性能に匹敵する。メタノール改質によって生成したガスの組成は、ほぼ75%がHで残りの25%がCOであった。少なくとも温度が300℃までは、CHは0%、COは1%を切る値であった。また、繰り返しの使用においても安定した性能を示した。
さらに、組織上でも触媒粒子の存在が分かりにくい状態ではあったが、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものと変化が無く、SEMによる観察においても、特に微粒子30の脱離等の様子は観察されなかった。
(実施例5)
実施例5では、CuO粉末とCr粉末をモル比で等量になるように秤量して混合し、直径が21mm、長さが4mmのペレット状にプレス成形して、大気炉を用いて1150℃の温度で2時間焼結して焼結体を作製した。
また、実施例2で示した(2)の測定において、還元処理温度を700℃で実施した以外は、実施例2で示した(1)〜(3)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。
次に、測定結果について説明する。
X線回折試験の結果から、還元処理前の焼結体の構成相はCuCrであった。
これを水素雰囲気で700℃の温度で還元した試料は、金属Cuと思われる赤紫系統の色をなしており、実際にX線回折では金属CuとCuCrO成分が検出された。ここで、少なくともX線回折にて検知される表面部に、CuCrは存在していないことが確認された。また、組織は、図1に示したように、試料の表面部には、各金属Cu粒子どうしが所定の間隔をおいて析出し、担持された状態、すなわち各金属Cu粒子の析出部が基材の表層部に点在した状態であり、各金属Cu粒子が隣接、凝集および積層される様子は見られなかった。この還元処理後に析出した各金属Cu粒子の平均粒径は80nm程度であった。
また、酸化処理後の試料は、CuOのピークが観察され、少なくとも表面部のCuはすべてCuOになっていることがわかった。この状態での触媒比表面積は、1.8m/gであった。また、微粒子30の平均粒径は、80nm程度であった。
この試料におけるメタノール改質試験結果において、メタノール転化率は、温度が250℃で50%が得られた。また、メタノール改質によって生成したガスの組成は、CuO−Al系の試料と同様に、ほぼ75%がHで残りの25%がCOであり、微量のCOが含まれていた。この傾向は繰り返しの試験を行っても変化しなかった。
また、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものと変化が無く、SEMによる観察においても、特に微粒子30の脱離等の様子は観察されなかった。
(実施例6)
実施例6では、CuO粉末とMgO粉末を、CuOが15wt%になるように混合し、直径が21mm、厚さが4mmのペレット状にプレス成形して、大気炉を用いて1200℃の温度で5時間焼結して焼結体を作製した。
また、実施例2で示した(2)の測定において、還元処理の温度を1000℃で実施した以外は、実施例2で示した(1)〜(3)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。
次に、測定結果について説明する。
X線回折試験の結果から、還元処理前の焼結体の組成はMgOであった。また、CuOは完全にMgO中に固溶していた。
この固溶体を1000℃で還元処理した結果、表面にCu粒子が析出し、MgOを基材とする複合材が得られた。試料の表面部には、各金属Cu粒子どうしが所定の間隔をおいて析出し、担持された状態、すなわち各金属Cu粒子の析出部が基材の表層部に点在した状態であり、各金属Cu粒子が隣接、凝集および積層される様子は見られなかった。還元後、この試料を大気中に取り出したところ、XPSによる表面分析の結果から、CuOがCu粒子の最外郭部に形成されていることが明らかになった。この還元処理後に析出した各金属Cu粒子の平均粒径は30nm程度であった。この状態での触媒比表面積は、0.8m/g程度であった。このように触媒比表面積が小さいのは、CuO成分を残存させずに完全にMgO中に固溶させるために、CuOの含有率を15wt%程度とし、仕込み量としてのCu量を調整しているためである。
また、酸化処理後の試料は、CuOのピークが観察され、少なくとも表面部のCuはCuOとなっていた。酸化後も各CuO粒子は合体および凝集することなく、所定の間隔をおいて点在していた。この状態での微粒子30の平均粒径は50nm程度で、触媒比表面積は1.2m/g程度であった。
この試料におけるメタノール改質試験結果において、メタノール転化率は、温度が250℃で50%が得られた。還元処理後の触媒重量当りのCu析出量がスピネル型複合酸化物の場合に比べ半分ほどであったため、触媒の活性の点ではやや低い値となった。なお、この析出量に関しては焼結体作製時に、微量の添加物、例えばAl等を添加することにより、触媒比表面積とともに触媒の活性を向上させることが可能である。また、メタノール改質によって生成したガスの組成は、CuO−Al系の試料と同様に、ほぼ75%がHで残りの25%がCOであり、微量のCOが含まれていた。この傾向は繰り返しの試験を行っても変化しなかった。
また、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものと変化が無く、SEMによる観察においても、特に微粒子30の脱離等の様子は観察されなかった。
(比較例1)
比較例1では、実施例2と同じ条件にて焼結体を作製した。また、実施例2で示した(2)の測定において、還元処理温度を300℃で実施した以外は、実施例2で示した(1)〜(3)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。
次に、測定結果について説明する。
スピネル型複合酸化物であるCuAlを主成分とする焼結体を、300℃の温度で還元処理を実施しても、金属Cu粒子の析出は見られなかった。これは、図4に示したように、温度が300℃ではまだ還元による重量の減少が認められないため、すなわち、焼結体の表面にCu粒子がほとんど析出する状態ではないためである。
また、酸化処理を施した試料を用いてメタノール改質試験を実施したが、ほとんど改質反応が起こらなかった。この状態での触媒比表面積の測定においても、ほとんど吸着を示さず、触媒比表面積は、0m/gに近い値であった。
(比較例2)
比較例2では、実施例2と同じ条件にて焼結体を作製した。また、実施例2で示した(2)の測定において、酸化処理の温度を400℃で実施した以外は、実施例2で示した(1)〜(3)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。
次に、測定結果について説明する。
酸化処理の温度を400℃としたことによって、隣接する微粒子30どうしの合体およびそれに伴う微粒子30の変形が認められた。微粒子30のうち粒径の大きいものは200nmを超え、平均粒径は150nm程度であった。この傾向は、もともと析出させた金属Cu粒子の粒径が大きく、隣接する金属Cu粒子どうしの間隔が狭い場合により顕著となった。微粒子30の合体や成長は、触媒比表面積のさらなる低下を引き起こし、触媒性能も悪化する傾向にある。この状態での触媒比表面積は0.8m/g程度であった。
実際に、このようにして作製した試料のメタノール改質試験を行うと、金属Cu粒子そのものを触媒として使用する場合(酸素雰囲気中で酸化処理を施さない場合)に比べて、メタノール転化率が高温側にシフトする(温度250℃でメタノール転化率20%程度)、触媒活性の低下が認められた。
また、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものと変化が無く、SEMによる観察においても、特に微粒子30の脱離等の様子は観察されなかった。
(比較例3)
比較例3では、CuO粉末とAl粉末をモル比で2:1になるように秤量して混合し、直径が21mm、長さが4mmのペレット状にプレス成形して、大気炉を用いて1150℃の温度で2時間焼結して焼結体を作製した。また、実施例2で示した(1)〜(3)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。
次に、測定結果について説明する。
X線回折試験の結果から、還元処理前の焼結体にはCuOが多く含まれ、焼結体は、Al中に固溶できずに焼結体中に残留しているCuOとCuAlの混相からなることが確認された。
この試料を還元したところ、通常CuAlの還元時における重量の減少は350℃以上(図4参照)で起こるが、200℃以前から減少が始まるのが観察された。
還元後の構成相は、実施例2の場合と同様に、主成分であるCu、CuAlO、Alであったが、組織に違いが見られ、粒径が1μmを超える金属Cu粒子の存在が確認された。この金属Cu粒子は、もともと焼結体中に残留したCuO粒子(粒径が数μm)が還元されてできたもので、Al中に一旦固溶した後に析出したものとは異なって、不均一な組織を形成していた。これを300℃で酸化させたものは小さな粒子が減少し大きい粒子はさらに大きく成長していた。粒径が50nmより小さな粒子はほとんど存在しなかった。この状態における触媒比表面積は低く、0.1m/g程度であった。
また、メタノール改質試験の結果から、改質触媒としての性能は低く、温度が250℃におけるメタノール転化率は30%程度であった。
また、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものと変化が無く、SEMによる観察においても、特に微粒子30の脱離等の様子は観察されなかった。
(比較例4)
比較例4では、γ−Alをベースとする球状多孔体(直径約3mm)に、共沈法によりCu酸化物粒子を付着担持させ触媒粒子を作製した。
また、実施例2で示した(2)の測定において、この触媒粒子2gを改質反応器71に入れ、水素気流中200℃の温度で10分間還元処理を施した以外は、実施例2で示した(2)の測定を実施例2と同じ測定条件で実施した。なお、本比較例において、ガス吸着法により、触媒粒子の触媒比表面積を測定する際、還元処理したものを一旦大気中に取り出すと、急激な発熱反応のため発火し触媒の状態が変化する恐れがあるため、還元処理による金属Cu粒子の析出は、化学吸着装置セル内で行い、加熱脱気した後に続けて吸着量を測定した。
次に、測定結果について説明する。
還元直後の試料の触媒比表面積は、150m/g程度であった。また、還元直後における触媒粒子の平均粒径は、数nm〜10nm程度で、触媒粒子は、幾重にも堆積して存在していた。
メタノール改質試験の結果から、改質性能は、上記した還元析出法で作製したどの試料よりも活性で、メタノール転化率が低温側にシフトしていた(温度250℃でメタノール転化率100%)。しかしながら、初回の改質性能は優れていたが、一旦大気に触れた後、再度同じ温度条件でメタノール改質試験を実施すると、そのメタノール転化率は10%程度低下した。これは大気の混入により酸化が進行し、微細構造を有していた触媒粒子の一部が凝集を引き起こし、触媒比表面積の低下が生じためと考えられる。実際に、メタノール改質試験を繰り返し実施するごとに、触媒比表面積は低下し、改質性能が低下するのが確認された。このことからも、一般的に溶液法等でセラミックス担体に後付けで触媒をコーティングする方法では、触媒の扱いが難しく、酸素の混入を完全に避けるような措置を施さなければならないことがわかる。
また、試験後に高速で強制パージしたのちに測定した試料の重量は、試験前のものより重量が減少し、換算の結果、付着させた触媒粒子の50%程度が脱離したことがわかった。
上記した結果から、本発明の還元温度、酸化温度、触媒比表面積、微粒子30の平均粒径などを本発明に係る所定の範囲に設定することで、熱的および化学的に安定性の高い触媒部材が得られ、さらに、触媒として優れた機能を発揮できることが明らかとなった。
また、本発明における酸化温度の範囲が室温を含んでいるため、例えば、還元処理した状態で移送することも可能であり、さらに水素ガス等によって再度還元処理を施してから触媒として使用する必要がない。また、還元処理した触媒材料と酸素との接触を遮断する処理を施す必要もない。このため、使用方法が容易であり、さらに酸化が起こる環境でも安定して安全に使用することができる。
また、実施例1と比較例3との比較から、改質性能を向上させるためには、CuOと各金属酸化物との混合比は、焼結体である触媒前駆体中にCuO粒子もしくはCuO粒子を残留させないように設定されることが必要であることが明らかとなり、本発明の混合比である等モル比または金属酸化物のモル比が大きい金属酸化物リッチとなるように組成するのが好適であることが明らかになった。
なお、上記した実施例および比較例の改質試験において、変成シフト反応(改質ガスと水蒸気の反応)に伴う試験も試みたが、上記した結果と同様な結果が得られた。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、本発明の触媒部材は、上記説明した改質触媒としての使用に限らず、例えばメタノール合成用の触媒などにも適用できる。
本発明の一実施の形態に係る触媒部材の断面を模式的に示した図。 触媒部材の表面近傍のCu濃度分布を示す図。 CuO−MgO系固溶体の水素雰囲気での還元処理における熱重量減少の挙動を示す図。 CuO−Al系スピネル型複合酸化物(CuAl)の水素雰囲気での還元処理における熱重量減少の挙動を示す図。 メタノール改質試験の試験装置を示す図。 メタノール転化率を示す図。 メタノール改質によって生成したガスの組成を示す図。
符号の説明
10…触媒部材、20…酸化物担体、30…微粒子。

Claims (12)

  1. 酸化物担体と、
    前記酸化物担体の表面から、隣接および積層させることなく表面に点在する孤立した状態で析出し、かつ前記酸化物担体に界面が結合されて担持され、少なくとも析出部の最外殻がCu酸化物で構成される微粒子と
    を具備することを特徴とするメタノール改質触媒
  2. 前記Cu酸化物が、CuOまたはCuOであることを特徴とする請求項1記載のメタノール改質触媒
  3. 前記微粒子の平均粒径が5〜200nm、触媒として作用する前記微粒子の析出部の触媒比表面積が0.5〜5m/gであることを特徴とする請求項1または2記載のメタノール改質触媒
  4. 酸化物担体と、
    前記酸化物担体の表面から、隣接および積層させることなく表面に点在する孤立した状態で析出し、かつ前記酸化物担体に界面が結合されて担持され、少なくとも析出部の最外殻がCu酸化物で構成される微粒子と
    を具備することを特徴とするシフト触媒。
  5. 前記Cu酸化物が、CuOまたはCu Oであることを特徴とする請求項4記載のシフト触媒。
  6. 前記微粒子の平均粒径が5〜200nm、触媒として作用する前記微粒子の析出部の触媒比表面積が0.5〜5m /gであることを特徴とする請求項4または5記載のシフト触媒。
  7. Cu酸化物と、前記Cu酸化物と固溶体もしくはスピネル型複合酸化物を形成する金属酸化物とからなる触媒前駆体を、350〜1000℃の温度範囲で還元し、前記触媒前駆体の内部より金属Cu粒子を析出させる還元処理工程と、
    前記析出した金属Cu粒子の少なくとも表面を、室温から350℃の温度範囲の酸化雰囲気中で酸化する酸化処理工程と
    を具備することを特徴とするメタノール改質触媒の製造方法。
  8. 前記金属酸化物が、Al、Cr、Mn、Mgのうち少なくとも一つからなる酸化物により構成されていることを特徴とする請求項7記載のメタノール改質触媒の製造方法。
  9. 前記触媒前駆体が、前記Cu酸化物と前記金属酸化物とを等モル比または前記金属酸化物のモル比が大きい比率で混合した混合部材を焼結して形成されていることを特徴とする請求項7または8記載のメタノール改質触媒の製造方法。
  10. Cu酸化物と、前記Cu酸化物と固溶体もしくはスピネル型複合酸化物を形成する金属酸化物とからなる触媒前駆体を、350〜1000℃の温度範囲で還元し、前記触媒前駆体の内部より金属Cu粒子を析出させる還元処理工程と、
    前記析出した金属Cu粒子の少なくとも表面を、室温から350℃の温度範囲の酸化雰囲気中で酸化する酸化処理工程と
    を具備することを特徴とするシフト触媒の製造方法。
  11. 前記金属酸化物が、Al、Cr、Mn、Mgのうち少なくとも一つからなる酸化物により構成されていることを特徴とする請求項10記載のシフト触媒の製造方法。
  12. 前記触媒前駆体が、前記Cu酸化物と前記金属酸化物とを等モル比または前記金属酸化物のモル比が大きい比率で混合した混合部材を焼結して形成されていることを特徴とする請求項10または11記載のシフト触媒の製造方法。
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