JP5110249B2 - 炭化水素を分解する触媒、該触媒を用いた炭化水素の分解方法及び水素の製造方法、並びに発電システム - Google Patents

炭化水素を分解する触媒、該触媒を用いた炭化水素の分解方法及び水素の製造方法、並びに発電システム Download PDF

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Description

本発明は、炭化水素を分解する触媒として、より安価であり、炭化水素、殊に、Cはもちろん、C以上の炭化水素の分解・除去に対して優れた触媒活性を示し、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有する触媒の提供を目的とする。
また、本発明は、炭化水素と水蒸気とを混合し反応させる炭化水素分解反応において、炭化水素原料中に微量に含まれる窒素と炭化水素分解反応後に生成される水素から副生が懸念されるアンモニアを低減することができる触媒の提供を目的とする。
また、本発明は、前記触媒を用いることによって、効果的に炭化水素を分解・除去するとともに、水素を製造することを目的とする。
近年、地球環境の問題より新エネルギーの早期実用化技術が脚光を浴びている。その手段の一つとして燃料電池が注目されている。この燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであって、エネルギーの利用効率が高いという特徴を有しており、民生用、産業用あるいは自動車用等として、実用化研究が積極的になされている。この燃料電池には使用する電解質の種類に応じて、リン酸型(PEFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等のタイプが知られている。
都市ガス13A、LPG,灯油、ガソリン、ナフサ等の炭化水素含有燃料を改質して水素を主成分とする改質ガスを得る方法として、SR(スチーム改質)、POX(部分酸化)、SR+POX(オートサーマル)等の技術がある。このような改質技術の中、高い水素濃度の改質ガスを得られることから、SRのコージェネレーションへの適用検討に最も力点が置かれている。
スチーム改質(SR)は以下の反応式によって行われる。
2n+2 + nHO → nCO + (2n+1)H
CO + HO → CO + H
一般に、この反応は600℃〜800℃で行われ、S/C(水蒸気/炭素比:Steam/Carbon比)が2.0〜3.5付近で行われる。この反応は吸熱反応であり、温度が高い程、反応を促進することができる。
一般に燃料電池システムでは、脱硫器を用いて燃料中の硫黄分をほぼ完全に除去し炭化水素の分解を行って水素を主成分とした改質ガスを得、該改質ガスを燃料電池セルスタックに導く工程を経る。このような従来法では、改質触媒により炭化水素類の改質を行っているが、長時間にわたって運転する間に改質触媒の性能が低下する。特に、脱硫器をスリップした極微量の硫黄分などにより、改質触媒が被毒され触媒活性が低下してしまう。加えて、C以上の炭化水素を燃料として用いた場合、燃料中の炭化水素が熱分解を起こして、カーボン析出したり、縮重合物が生成したりして、改質触媒の性能を低下させる可能性がある。また、一般に、燃料電池システムのうちPAFC、PEFCの改質触媒は一般的にビーズ状等の成型物として用いられる。この場合、コーキングがビーズ内部で発生すると甚だしい場合は触媒が破裂、粉化して反応管の閉塞を招いてしまう。
SOFCの場合、炭化水素の改質は燃料極上で内部改質するのが一般的である。しかし、燃料にC以上の炭化水素が含まれていると、配管や燃料極で炭素を生成し、これが電気化学反応を阻害して電池性能を劣化させてしまう。
都市ガス、LPG、灯油、ガソリン、ナフサ等の燃料にはC以外の炭化水素、すなわち、C以上の炭化水素が含まれる。例えば、都市ガス13Aでは、メタン:88.5%、エタン:4.6%、プロパン:5.4%、ブタン:1.5%程度であり、主成分であるメタンに加えて炭素数C〜Cの炭化水素が11.5%も含まれている。C以上の炭化水素は容易に熱分解を起こして、カーボン析出をする。そのため、これらの炭化水素含有燃料を燃料電池の燃料とするためには、スチーム改質を行う前段階でC以上の炭化水素を分解・除去することによって、効率的に水素が得られるとともに、触媒活性の劣化を抑制させることも可能となる。
現在、スチーム改質触媒における活性金属種として、卑金属系ではNi、Co、Fe等が用いられ、貴金属系ではPt、Rh、Ru、Ir、Pd等が用いられている。このうち、触媒活性の高さから、Ni、Ruの金属元素を担持した触媒が主に使用されている。
卑金属系元素のNiでは比較的炭素析出を起こしやすいため、水蒸気を理論組成よりも過剰に添加した水蒸気/炭素比が高い条件下で使用する必要があり、運転操作が複雑になる他、水蒸気原単位が増加して経済的でない。さらにシステムの連続運転可能条件が狭められ、これを全うするために高価な制御システムが必要になるばかりでなく、システム全体が非常に複雑になるため、製造コストとメンテナンスの面において経済的ではない。
また、貴金属系元素Ru等では、水蒸気/炭素比が低い条件下でも炭素析出を起こしにくいが、原料中に含まれる硫黄分によって、容易に硫化被毒されて触媒活性が短時間で劣化してしまう。硫化被毒された触媒上には炭素析出が極めて起こり易く、硫黄被毒が炭素析出の引き金になる欠点を持っている。また、貴金属が高価であることから、これを用いた燃料電池システムの値段は非常に高価になってしまい、燃料電池システムのより一層の普及を妨げる要因となりうる。
これらのことから、脱硫したC以上の炭化水素を含有する原料に水蒸気を添加して炭化水素を分解するシステムでは、該反応を前段(低温部)と後段(高温部)の2段階とし、炭化水素を分解する触媒を充填した前段反応器(低温部)で主にC以上の炭化水素を分解除去した後、後段反応器(高温部)でさらに該前段で得られたCを主成分とする炭化水素を分解反応するシステムが望まれている。さらに、炭化水素を分解する触媒としては、より安価であり、機能面では優れたC以上の炭化水素を分解除去する触媒活性を示し、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有する触媒が望まれている。
また、炭化水素と水蒸気とを混合し反応させる炭化水素分解反応における燃料には、都市ガス、LPG等を用いるが、これらの燃料には種類によって含有量は異なるが、微量ながら窒素が含まれている。この窒素とスチーム改質反応によって生成された水素とがNi、Fe又はRu等の活性金属を有する触媒上で反応しアンモニアが副生されてしまうという問題が注目されている(N+3H→2NH)。アンモニアが含まれている改質ガスを燃料電池セルスタックに供給した場合、電極に使用されている白金触媒金属が被毒され、発電性能の低下、最悪の場合には、触媒機能が失活するという大きな問題がある。
従来、α−アルミナや酸化マグネシウム、酸化チタンなどの担体に、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケルなどを触媒活性金属として担持した触媒が、炭化水素分解用触媒として報告されている(特許文献1、2など)。また、Niを含有するハイドロタルサイト化合物を前駆体として炭化水素分解用触媒を製造することが知られている。(特許文献3、4など)
特開2001−146406号公報 特表2000−503624号公報 特開2003−135967号公報 特開平6−015172号公報
前記特許文献1の技術は、α―アルミナを担体に、Ruを活性金属種として灯油等のC2以上の炭化水素を含む燃料の水蒸気改質にて水素の製造方法を示している。しかし、Ru系触媒は原料中に含まれる硫黄分によって硫化し、その硫化によりコーキングが促され触媒活性を失ってしまうと考えられる。
また、前記特許文献2、3の技術は、Niを含有するハイドロタルサイト化合物を前駆体として得られた炭化水素分解用触媒であるが、触媒自体の強度については考慮されていない。
前記特許文献4の技術は、ニッケルを活性金属とした水蒸気改質触媒にCuを添加し、アンモニアの生成を防ぐという触媒であるが、Cuを添加することにより水蒸気改質触媒として性能が低くなってしまう恐れがある。
そこで、本発明は、炭化水素を分解する触媒として、より安価であり、炭化水素、殊に、C以上の炭化水素の分解・除去に対し優れた触媒活性を示し、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有する触媒の提供を目的とする。
また、本発明は、炭化水素と水蒸気とを混合し反応させる炭化水素分解反応において、炭化水素原料中に微量に含まれる窒素と炭化水素分解反応後に生成される水素から副生が懸念されるアンモニアを低減することができる触媒の提供を目的とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、マグネシウム、アルミニウム、ニッケルを構成元素とし、且つ、Siを含有する炭化水素を分解する触媒であり、金属ニッケルの含有量が炭化水素を分解する触媒に対して0.1〜40wt%であり、前記Siの含有量がSi換算で0.001〜20wt%であり、金属ニッケル微粒子の平均粒子径が1〜20nmであって金属ニッケルの含有量が前記触媒を構成する全金属イオンの合計モル数に対するモル比で0.0007〜0.342であることを特徴とする炭化水素を分解する触媒である(本発明1)。
また、本発明は、本発明1記載の炭化水素を分解する触媒であって、Cl及びNの各含有量が500ppm以下であって、S含有量が600ppm以下であることを特徴とする炭化水素を除去する触媒である(本発明)。
また、本発明1又は2に記載の炭化水素を分解する触媒に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持することを特徴とするアンモニア副生を抑制した炭化水素を分解する触媒である。(本発明
また、本発明記載の金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの平均粒子径は0.5〜50nmであり、且つ、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの含有量は、前記炭化水素を分解する触媒に含まれる金属ニッケルに対して金属換算で0.025〜10wt%であることを特徴とするアンモニア副生を抑制した炭化水素を分解する触媒である。(本発明
また、本発明は、炭化水素を含有する原料に水蒸気を添加して炭化水素を分解する方法において、反応温度が250〜850℃であってスチームとカーボンのモル比(S/C)が1.0〜6.0の条件下で、炭化水素を含有する原料、水蒸気及び前記本発明1乃至のいずれかの炭化水素を分解する触媒を接触させることを特徴とする炭化水素の分解方法である(本発明)。
また、本発明は、脱硫したC1以上の炭化水素を含有する原料に水蒸気を添加して炭化水素を分解する方法において、該反応を低温部と高温部との2段階にするとともに、低温部において主にC2以上の炭化水素を分解・除去してC1を主成分とする炭化水素とした後、高温部において前記低温部で得られたC1を主成分とする炭化水素を分解反応する炭化水素を分解する方法において、前記低温部及び/又は高温部の少なくとも一方において、本発明1乃至のいずれかの炭化水素を分解する触媒を用いることを特徴とする炭化水素の分解方法である(本発明)。
また、本発明は、本発明の炭化水素を分解する方法において、低温部の反応温度が250〜650℃であってスチームとカーボンのモル比(S/C)が1.0〜6.0であり、高温部の反応温度が300〜850℃であってS/Cが1.0〜6.0であることを特徴とする炭化水素の分解方法である(本発明)。
また、本発明は、本発明乃至のいずれかの炭化水素を分解する方法において、炭化水素を分解して水素を製造することを特徴とする水素の製造方法である(本発明)。
また、本発明は、本発明の水素の製造方法によって得られた水素を用いることを特徴とする発電システムである(本発明)。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、Siを添加して焼成することで非常に強固な焼結体となり、その結果、スチーム改質反応中にコーキングが起こったとしても、触媒成形体が破裂、粉化することなく優れた触媒活性を維持することができる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、炭化水素を分解する触媒中に含まれる不純物成分がCl、Nであれば500ppm以下、Sであれば600ppm以下まで低減しているので、優れた触媒活性を発現することができる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、金属ニッケルが非常に微細な粒子の状態で担持されているため、活性金属種である金属ニッケルの炭化水素及び水蒸気に接触する面積が増大し、優れた触媒活性を有するとともに、低水蒸気条件下においてスチーム改質を行ってもコーキングを抑制することができる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、炭化水素と水蒸気とを混合し反応させる炭化水素分解反応において、窒素含有炭化水素を燃料として用いた場合に副生が懸念されるアンモニアを抑制することができる。
また、本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持することで、副生されるアンモニアをより一層抑制することができる。
さらに、マグネシウムを多量に多孔質担体が含んでいるため耐硫黄被毒性に極めて優れており、耐久性の面でも優れた触媒活性を有する。
脱硫したC以上の炭化水素を含有する原料に水蒸気を添加して炭化水素を分解するシステムにおいて、該反応を前段(低温部)と後段(高温部)の2段階とし、炭化水素を分解する触媒を充填した前段反応器(低温部)で主にC以上の炭化水素を分解除去してCを主成分とするガスとした後、後段反応器(高温部)でさらに該前段反応ガスのC主成分ガスを分解反応することにより、後段(高温部)においてコーキングによる触媒活性の劣化を大幅に抑制することが可能となり、改質触媒の長寿命化を促すことができる。ここでいうC以上の炭化水素を除去するということは、C以上の炭化水素がメタン、水素、CO、CO等に変えられ、その結果としてC以上の炭化水素が除去されることを意味する。
さらに、本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、炭化水素ガスをオートサーマルリフォーミング(ATR)、部分酸化(POX)などの炭化水素分解用触媒、また二酸化炭素改質触媒として用いることもできる。
水素を用いて発電するシステムは、PAFC,PEFC,SOFC、マイクロガスタービン又は自動車等の燃料電池システムを指し、さらには自動車等の内燃機関の燃料としての利用も可能である。
先ず、本発明に係る炭化水素を分解する触媒について述べる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、マグネシウム及びアルミニウムからなる複合酸化物に金属ニッケル微粒子が存在し、且つ、Siを含有するものである。
さらに、本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を含有するものである。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒のSiの含有量は0.001〜20wt%である。0.001wt%未満の場合には十分な焼結性が得られず、その結果、優れた強度と耐久性を得ることが出来ない。また20wt%を超える場合には金属ニッケルと反応してしまい触媒活性が低下する。Siの含有量を前記範囲とすることによって、後述する評価方法によって測定した触媒の強度が、Si無添加では5〜30kgに対して、15〜60kg程度にすることができる。好ましくは0.01〜20wt%、より好ましくは0.05〜18wt%、さらに好ましくは0.1〜15wt%である。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒の金属ニッケルの含有量は、該触媒に対して0.10〜40wt%である。金属ニッケルの含有量が0.10wt%未満の場合には炭化水素の転化率が低下する。40wt%を超える場合には、金属ニッケル微粒子の粒子サイズが20nmを超え、耐コーキング性が低下する。好ましくは0.18〜38wt%である。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒の金属ニッケル微粒子の平均粒子径は20nm以下が好ましく、炭化水素の分解反応に最適、且つ、優れた触媒活性を有する。平均粒子径が20nmを超える金属ニッケル微粒子を有する触媒では、炭化水素を含有する燃料と水蒸気とを混合して炭化水素の分解反応を行う際に、炭化水素の転化率が低下してしまう。より好ましくは18nm以下、更により好ましくは15nm以下である。平均粒子径の下限値は1nm程度である。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒の金属ニッケルの含有量は、該触媒に含まれるマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及びSi等の合計モル数に対するモル比(Ni/全金属イオン)で示した場合0.0007〜0.342であることが好ましい。前記モル比が0.342を超える場合には、金属ニッケル微粒子の平均粒子径が20nmを超えるため、炭化水素の転化率が低下し、さらに耐コーキング性も低下する。より好ましくは0.001〜0.34、さらに好ましくは0.0015〜0.34である。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒において、金属ニッケルは、炭化水素を分解する触媒を構成する粒子の表面近傍に存在することが好ましい。また、本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、造粒して成形体の状態で用いることが好ましく、金属ニッケルが前記成形体の表面近傍に存在させてもよい。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒のマグネシウムとアルミニウムとの比率は特に限定されないが、アルミニウムに対してマグネシウムが多いほど好ましく、マグネシウムとアルミニウムのモル比はMg:Al=4:1〜1.5:1が好ましく、より好ましくは2.5:1〜1.6:1である。い。マグネシウムが前記範囲を超える場合には十分な強度を有する成形体を容易に得ることが困難となり、前記範囲未満の場合には多孔質担体としての特性が得られ難くなる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒の触媒中に含まれる不純物成分は、Cl、Nはそれぞれ500ppm以下、Sは600ppm以下であれば本発明の目的とする触媒活性が得られるが、より高い触媒活性を必要とする場合には、Cl、Nがそれぞれ100ppm以下、Sが100ppm以下であることが好ましい。より好ましくはCl、Nがそれぞれ95ppm以下、Sが20ppm以下である。さらに好ましくはSが1ppm以下、さらにより好ましくはSが0.8ppm以下である。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、さらに、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム及びチタンから選ばれる一種以上または二種以上の金属微粒子を担持してもよい。前記金属微粒子の平均粒子径は50nm以下であり、平均粒子径が50nmを越える金属微粒子を有する触媒はアンモニア抑制効果をより向上させることが困難である。好ましくは35nm以下であり、より好ましくは30nm以下である。平均粒子径の下限値は0.5nm程度である。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒に担持する金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム及びチタンから選ばれる一種または二種以上の金属微粒子の含有量は、前記炭化水素を分解する触媒に含まれる金属ニッケルに対して金属換算で0.025〜10wt%が好ましい。0.025wt%未満の場合には、さらに添加する元素によるアンモニア抑制効果が十分に得られない。10wt%以上を超える場合には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの平均粒子径が50nmを越えることとなり、アンモニア抑制効果をより向上させることが困難である。より好ましくは0.03wt%〜10wt%である。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は造粒して成形体の状態で用いることが好ましく、前記金属微粒子が前記成形体の表面近傍に存在することが好ましい。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒の比表面積は7〜320m/gである。7m/g未満では高い空間速度において転化率が低下してしまう。320m/gを超える場合は触媒前駆体である複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)の工業的な大量生産が困難となる。好ましくは20〜280m/gである。
次に、本発明に係る炭化水素を分解する触媒の製造方法について述べる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、前駆体である複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子粉末)を製造した後、400〜1600℃の温度範囲で加熱焼成して多孔質の酸化物粒子粉末とし、次いで、700〜1100℃の温度範囲で加熱還元して得ることができる。
本発明における複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子粉末)は、下記一段階反応又は二段階反応(多段階反応)によって得ることができる。
即ち、本発明における複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液、マグネシウム原料、アルミニウム塩水溶液、ニッケル原料及びSi原料を混合し、pH値が7.0〜13.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を30〜300℃の温度範囲で熟成してマグネシウムとアルミニウムとニッケル及びSiからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を生成後、濾別、洗浄、乾燥して得ることができる(一段階反応)。
マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの塩としては硝酸塩など水溶性のものであれば特に限定しない。
マグネシウム原料としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム等を用いることができる。
アルミニウム原料としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、塩基性アンモニウムアルミニウム等を用いることができる。
ニッケル塩原料としては、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、安息香酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、ギ酸ニッケル、クエン酸ニッケル、硫酸ニッケル二アンモニウム等を用いることができる。
Si塩原料としては、ケイ酸ナトリウムなどを用いることができる。
pHが7.0未満では所望の複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)が生成しない。好ましくはpH8.0〜13.0である。
熟成温度が30℃未満では複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)が320m/gを超え、工業的な生産が困難となる。300℃を超えた場合、複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)以外に大きな水酸化アルミニウム粒子や水酸化酸化アルミニウム粒子が混在するようになり、触媒活性金属微粒子のシンタリングが促進され、所望の特性を持った触媒体が得られない。好ましくは50〜250℃、より好ましくは60〜250℃である。
熟成時間は特に限定されるものではないが、複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子))として十分に粒成長する時間は必要である。具体的には1〜80時間、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜18時間である。1時間未満では複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)としての粒成長が不十分である。80時間を超えると工業的ではない。
また、本発明における複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム原料とアルミニウム塩水溶液を混合し、pH値が7.0〜13.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を50〜300℃の温度範囲で熟成して複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を生成し、次いで、該複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を含む水懸濁液に、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、合計モル数が0.05〜0.5となる割合のマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及びSiを含有する水溶液を添加した後、pH値が9.0〜13.0の範囲、温度が40〜300℃の範囲で熟成して、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面に新たに添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及びSiをトポタクティックに被覆形成する成長反応を行い濾別、洗浄、乾燥して得ることができる(多段階反応)。
多段階反応における芯粒子に対する成長反応分のモル数が0.05未満の場合には、炭化水素の転化率が低くなり本発明の効果が得られない。0.5を超える場合には、金属ニッケル微粒子の平均粒子径が20nmを超えてしまい炭化水素の転化率が低下し、さらには耐コーキング性が低下する。好ましくは0.10〜0.45、より好ましくは0.12〜0.4である。
多段階反応時の成長反応におけるpH値が9.0未満の場合には、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケルが被覆層を形成せず分離して混在するようになり、本発明の目的とする触媒が得られない。pH値が13.0を超える場合には、アルミニウムの溶出が多過ぎて目的とする組成物が得られ難くなる。好ましくは9.0〜12.5、より好ましくは9.5〜12.0である。
多段階反応時の成長反応における反応温度が40℃未満の場合には、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケルが被覆層を形成せず分離して混在するようになり、本発明の目的とする触媒が得られない。300℃を超えた場合、複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)以外に大きな水酸化アルミニウム粒子や酸化アルミニウム粒子が混在するようになり、触媒活性金属微粒子のシンタリングが促進され、所望の特性を持った触媒体が得られない。好ましくは60〜250℃である。
多段階反応時の成長反応における熟成時間は特に限定されるものではないが、1〜80時間、好ましくは3〜24時間、より好ましくは5〜18時間である。1時間未満では成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケルが複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)表面に十分な被覆層を形成しない。80時間を超える成長反応は工業的ではない。
前記洗浄は、NaOH、NHOH又はNaCO等のアルカリ水溶液による第一段階と、純水などによる第二段階とによって行われる。前記アルカリ水溶液の濃度は0.1N〜10Nが好ましく、濾別した複合水酸化物粒子粉末1kgに対して、10〜100l用いて薬液洗浄を行うことが好ましい。
アルカリ水溶液の濃度が0.1N未満の場合では、Cl、S、N等の不純物を十分に除去することが困難となる。また、10Nを超える場合は、複合水酸化物粒子粉末中に含まれるマグネシウムやアルミニウムが溶出することがある。好ましくは0.1〜9.5Nであり、さらに好ましくは0.5〜9.0Nである。
また、用いるアルカリ水溶液の使用量が10l/kg未満の場合は不純物を十分に取り除くことが困難となる。100l/kgを超える場合ではマグネシウムやアルミニウムが溶出することがある。好ましくは15〜100l、さらに好ましくは15〜95lである。
前記洗浄工程において、使用するアルカリ水溶液の温度は特に制限されないが、温水である方が好ましい。好ましくは30℃〜90℃、さらに好ましくは50℃〜80℃である。
アルカリ水溶液による洗浄後は、常法に従って純水などによる洗浄を行えばよい。
洗浄後は、常法に従って、乾燥すればよい。
本発明における炭化水素分解用触媒の前駆体である複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)の平均板面径は0.05〜0.4μmが好ましい。平均板面径が0.05μm未満の場合には、濾別・水洗が困難となり工業的な生産が困難であり、0.4μmを超える場合には、触媒成形体を作製することが困難である。より好ましくは0.1〜0.3μmである。
本発明における複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)の結晶子サイズD006は0.001〜0.08μmが好ましい。結晶子サイズD006が0.001μm未満の場合には、水性懸濁液の粘度が非常に高く工業的な生産が難しく、0.08μmを超える場合には、触媒成形体を作製するのが困難である。より好ましくは0.002〜0.07μmである。
本発明における複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)の比表面積値は3.0〜300m/gが好ましい。比表面積値が3.0m/g未満の場合には、触媒成形体を作製するのが困難であり、300m/gを超える場合には、水性懸濁液の粘度が非常に高く、また濾別・水洗が困難となり工業的に生産が困難である。より好ましくは5.0〜250m/gである。
本発明における複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)のSiの含有量は、複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)全体に対して0.001〜10wt%が好ましい。0.001wt%未満の場合には十分な焼結性が得られない。10wt%を超える場合はSiとニッケルが反応して触媒性能を低下させてしまう。より好ましくは0.01〜8wt%、さらに好ましくは0.05〜5wt%である。
本発明における複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)のニッケル含有量は、複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)全体に対して0.0057〜26.463wt%が好ましく、より好ましくは0.01〜20wt%である。また、複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)のニッケル含有量のモル数は複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)に含まれるマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及びSiの合計モル数に対する比Ni/(全金属イオン)が0.001〜0.32が好ましく、より好ましくは0.0015〜0.30である。
本発明における複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)のマグネシウムとアルミニウムとの比率は特に限定されないが、マグネシウムとアルミニウムのモル比はMg:Al=4:1〜1.5:1がより好ましく、更に好ましくはMg:Al=2.5:1〜1.6:1である。
本発明における酸化物粒子粉末は、前記複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を400℃〜1600℃で焼成することにより得られる。複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)の焼成温度が400℃未満の場合には、多孔質体酸化物粒子を得ることができない。1600℃を超える場合には、多孔質体担体としての特性が低下する。好ましくは450〜1500℃、より好ましくは500〜1400℃である。焼成雰囲気は酸素、空気、また窒素、アルゴンなどの不活性ガスでも良い。
本発明における酸化物粒子粉末の焼成時間は特に限定しないが、例えば、0.5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。焼成時間が48時間を越えると工業的とは言い難い。より好ましくは1〜10時間である。
本発明における複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を焼成後に得られる酸化物粒子粉末のニッケル含有量は、酸化物粒子粉末全体に対して0.10〜40wt%が好ましく、より好ましくは0.18〜35wt%である。また、酸化物粒子粉末のニッケル含有量のモル数及び全金属イオンに対する比率は、複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)のモル数及びモル比率とほぼ同程度である。
本発明における酸化物粒子粉末は多孔質体であり、平均板面径は0.05〜0.4μmが好ましく、比表面積値は7.0〜320m/gが好ましい。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、前記酸化物粒子粉末を700℃〜1100℃の範囲で還元処理することにより得られる。酸化物粒子粉末の還元温度が700℃未満の場合には、ニッケルが金属化しないので本発明の目的とする触媒活性が得られない。1100℃を超える場合にはニッケルのシンタリングが進み金属ニッケル微粒子の粒子サイズが大きくなるため低温における低級炭化水素の転化率が低下し、さらに耐コーキング性も低下する。好ましくは700〜1000℃、より好ましくは700〜950℃である。
還元時の雰囲気は、水素を含んだガスなど還元雰囲気であれば特に限定されない。
還元処理の時間は特に限定されないが0.5〜24時間が望ましい。24時間を越えると工業的にメリットが見出せない。好ましくは1〜10時間である。
上記のようにして得られた粉末状の触媒は、使用する各用途に合わせて成形しても良い。形状やサイズは特に限定しないが、例えば球状や円柱状、管状、ハニカム体への塗布などの形状でも良い。通常、球状や円柱状、管状の形状を持つ触媒体の場合のサイズは0.1〜30mm程度が好適である。条件によっては有機物や無機物などの各種バインダーを添加することで成形体の強度や細孔分布密度を調整しても良い。なお、本発明においては熱処理前に造粒・成形してもよい。
また、複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を焼成して複合酸化物を得、次いで、該複合酸化物をアニオンを含有する水溶液によって水和して複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を得る方法が知られている。本発明においては、下記製造方法によってニッケルを担持しても良い。ニッケルを担持した複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)は、前記と同様にして、必要により加熱焼成を行った後、加熱還元すればよい。
即ち、マグネシウム及びアルミニウム、Siからなる複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を製造し、成形、焼成して多孔質酸化物成形体とした後、次いで、ニッケルを含む溶液に含浸させることにより、成形体の表面近傍にニッケルを含む複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子相)を再生させる方法を用いて担持し、必要により加熱焼成を行った後、加熱還元すればよい。
また、前記多段階反応による製造法に従って粒子表面にニッケルが存在する複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を得て、成形、焼成して多孔質酸化物成形体とし、さらにニッケルを含む溶液に含浸させることにより、成形体の表面近傍にニッケル、また成形体の表面近傍にニッケルを含む複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子相)を再生させる方法を用いて担持し、必要により加熱焼成を行った後、加熱還元すればよい。
また、本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、前駆体である層状複水酸化物粒子粉末を製造した後、400〜1500℃の温度範囲で加熱焼成して多孔質酸化物粒子粉末とし金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種あるいは二種以上の元素を担持後、250℃〜650℃の温度範囲で加熱焼成後、次いで、650〜1100℃の温度範囲で加熱還元して得ることができる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒において、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持する方法としては、前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)あるいは多孔質酸化物粒子粉末又はそれらの成形体に、通常の沈殿法、加熱含浸法、常温含浸法、真空含浸法、平衡吸着法、蒸発乾固法、競争吸着法、イオン交換、スプレー法、塗布法などにより行うことができる。この際、有機物バインダーを添加しても良い。また複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を合成する際に、共存させ複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)に含有させても良い。
また別に、多孔質酸化物粒子粉末及び成形体を金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を含む溶液に含浸させることにより、多孔質酸化物粉末あるいは成形体の表面に金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を含む複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)相を再生させる方法を用いて担持しても良い。
本発明における金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持させた多孔質酸化物粒子粉末あるいは成形体は250℃〜600℃の温度範囲で焼成することが好ましい。250℃未満であると塩分解が不十分であり、600℃を越える場合にはシンタリングが進行し、アンモニア副生の抑制効果の低下を招いてしまう。焼成雰囲気は酸素、空気、また窒素、アルゴンなどの不活性ガスでも良い。
上記のようにして得られた粉末状の触媒は、使用する各用途に合わせて成形しても良い。形状やサイズは特に限定しないが、例えば球状や円柱状、管状、ハニカム体への塗布などの形状でも良い。通常、球状や円柱状、管状の形状を持つ触媒体の場合のサイズは0.1〜30mm程度が適する。条件によっては有機物や無機物などの各種バインダーを添加することで成形体の強度や細孔分布密度を調整しても良い。なお、本発明においては熱処理前に造粒・成形してもよい。
次に、本発明に係る炭化水素分解用触媒を用いた炭化水素の分解方法、水素の製造方法について述べる。
本発明に係る炭化水素を分解する方法は、反応温度が250〜850℃であり、水蒸気と炭化水素とのモル比(S/C)が1.0〜6.0であり、空間速度(GHSV)が100〜1,000,000h−1である条件下で、C以上の炭化水素を含有する原料ガス、水蒸気を本発明に係る炭化水素を分解する触媒を接触させる。
反応温度が250℃未満の場合には低級炭化水素の転化率が低く、長時間に渡り反応を行うとコーキングが起こりやすくなり、終には触媒特性が失活することもある。650℃までの反応温度で炭化水素の転化率が高い反応とすることができるが、850℃の温度までは本発明の目的とする効果を得ることができる。850℃を超える場合にはメタンなどの低級炭化水素が分解してしまう。好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜550℃である。
水蒸気と炭化水素のモル比S/Cが1.0未満の場合には耐コーキング性が低下する。またS/Cが6.0を超える場合には水素製造に多量の水蒸気を必要としコストがかさみ現実的ではない。好ましくは1.5〜6.0、より好ましくは1.8〜5.0である。
なお、空間速度(GHSV)は200〜1,000,000h−1が好ましく、より好ましくは500〜1,000,000h−1、更により好ましくは1,000〜100,000h−1ある。
本発明に係るC以上の炭化水素の分解反応ガスの分解あるいは改質方法は、反応温度が300〜850℃であり、水蒸気と炭化水素とのモル比(S/C)が1.0〜6.0であり、空間速度(GHSV)が100〜1,000,000h−1である条件下で、C以上の炭化水素の分解反応ガスに水蒸気を添加して水素を製造する方法である。
反応温度が300℃未満の場合には低級炭化水素の転化率が低く、長時間に渡り反応を行うとコーキングが起こりやすくなり終には触媒特性が失活することもある。850℃を超える場合には活性金属がシンタリングを起こしやすくなり触媒特性が失活することもある。好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜700℃である。
水蒸気と炭化水素のモル比S/Cが1.0未満の場合には耐コーキング性が低下する。またS/Cが6.0を超える場合には水素製造に多量の水蒸気を必要としコストがかさみ現実的ではない。好ましくは1.5〜6.0、より好ましくは1.8〜5.0である。
なお、空間速度(GHSV)は200〜1,000,000h−1が好ましく、より好ましくは500〜1,000,000h−1が好ましく、更により好ましくは1,000〜100,000h−1ある。
また、本発明においては、炭化水素を分解する反応を低温部と高温部との2段階に分けてもよい。本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、低温部及び/又は高温部に用いることができる。
炭化水素を分解する反応を低温部と高温部との2段階にした場合、低温部では反応温度が250〜650℃が好ましく、より好ましくは300〜600℃であって、スチームとカーボンのモル比(S/C)は1.0〜6.0が好ましく、より好ましくは1.5〜6.0であり、高温部では反応温度が300〜850℃好ましく、より好ましくは300〜700℃であって、S/Cが1.0〜6.0が好ましく、より好ましくは1.5〜6.0である。
なお、空間速度(GHSV)は、低温部、高温部のいずれにおいても、100〜1,000,000h−1、好ましくは200〜1,000,000h−1、より好ましくは250〜100,000h−1である。
本発明に使用する炭化水素は特に制限はなく、種々の炭化水素が使用できる。例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、エチレン、プロピレン、ブテン等不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等芳香族炭化水素及びこれらの混合物が上げられる。工業的に使用できる好適な原料としては、都市ガス13A、天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、軽油、ナフサ等である。
本発明に使用する炭化水素が灯油、ガソリン、軽油等の室温において液状であるものは気化器を用いて気化させて用いることができる。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、オートサーマルリフォーミング反応で起動した後にスチーム改質に切り替わった場合でも、さらには長時間スチーム改質を行った場合でも十分な触媒活性、耐久性、耐コーキング性、耐硫黄被毒性を発揮でき、SS(start−up shut−down)を導入した燃料電池システムにおいて最適な触媒である。
<作用>
本発明に係る炭化水素を分解する触媒が、優れた触媒活性、耐コーキング性、高強度及び耐硫黄被毒性を有する理由は未だ明らかではないが、本発明者は次のように推定している。
本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、Siを添加することで焼結性が上がり、触媒粒子または触媒成形体内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することない十分な強度を保持でき、高い触媒活性を維持することができる。
さらに、前記製造法に由来して、金属ニッケルが平均粒径1〜20nmという微細な状態で存在するので触媒活性が高い。殊に、金属ニッケル粒子が触媒を構成する粒子の表面近傍又は造粒して得られる触媒成型体の表面近傍のいずれかに担持している場合には、炭化水素分解反応において炭化水素ガスを効率良くニッケルと接触させることができ、より優れた触媒活性を有するものである。
また、前記のとおり、本発明にかかる炭化水素を分解する触媒は、高い触媒活性を有するので、低スチーム下においても耐コーキング性に優れ高い触媒活性を示すことができる。
さらに、洗浄により触媒中に含まれる不純物を除去することにより、活性金属種であるニッケルの活性点が増加し優れた触媒活性を有する。
また、本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、洗浄を行うことで触媒中に含まれるS、Cl、N等の不純物を低減していること、さらにマグネシウムを多量に多孔質担体が含んでいることから耐硫黄被毒性に極めて優れており、耐久性の面でも優れた触媒活性を有する。
また、本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持することで、副生されるアンモニアをより一層抑制することができる。
本発明に係る脱硫したC以上の炭化水素を含有する原料に水蒸気を添加して炭化水素を分解するシステムにおいて、該反応を前段(低温部)と後段(高温部)の2段階とし、炭化水素を分解する触媒を充填した前段反応器(低温部)で主にC以上の炭化水素を分解除去後、後段反応器(高温部)でさらに該前段反応ガスのC主成分ガスを分解反応することにより、後段(高温部)においてC以上の炭化水素が供給されることがないため、コーキングによる触媒活性の劣化を大幅に抑制することが可能となり、改質触媒の長寿命化を促すことができる。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)の板面径は、「電子顕微鏡写真TEM1200EX(日本電子株式会社製)」(加速電圧:100kV)を使用し、測定した数値の平均値で示したものである。
複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)のD006(粒子の厚み)は、「X線回折装置RINT−2500(理学電機(株)製)」(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:300mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.020°、走査速度:2°/min、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.50mm)を使用し、複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)のD006結晶面の回折ピーク曲線から、シェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)の同定はX線回折測定で行った。X線回折測定は、前記X線回折装置を使用し、回折角2θが3〜80°で測定した。
金属ニッケル並びに金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの粒子の大きさは、電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示したものである。また10nmを超える金属微粒子の大きさは、「X線回折装置RINT−2500(理学電機(株)製)」(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:300mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.020°、走査速度:2°/min、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.50mm)を使用し、シェラーの式を用いて微粒子の大きさを計算で求めた。このX線回折装置より求めた金属ニッケル並びに金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの粒子サイズは、電子顕微鏡写真より求めたものと同じであった。
触媒を構成するマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Si、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの含有量は、該触媒を酸で溶解し、「プラズマ発光分光分析装置 SPS4000(セイコー電子工業(株))」で測定して求めた。
複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)中のN、Clの含有量の測定にはイオンクロマトグラフ法を用いて測定した。
BET比表面積値は、窒素によるB.E.T.法により測定した。
複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)中のSの含有量及びスチーム改質反応時に析出した炭素の量は、触媒反応前後の触媒体の炭素量をカーボン・サルファー測定装置で測定し求めた。
触媒成形体の強度測定には、デジタルフォースゲージを用い100個の平均から値を求めた。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
実施例1 <炭化水素を分解する触媒の調製>
MgSO・7HO 221.8gとAl(SO・8HO 72.93gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 310ml(14mol/L濃度)に、NaCO 24.12gとNaSiO 6.104gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、80℃で6時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは8.3であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 18.48gとNiSO・6HO 65.71gとAl(SO・8HO 6.078gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを11.5にし、さらに95℃で3時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、55℃に温めた1N−NaOHを前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して25l用いて洗浄後、水洗することで層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.250であった。
ここに得た層状複水酸化物粒子の平均板面径は0.215μmであり、結晶子サイズD006は0.042μmであり、BETは78.2m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1370℃、8時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末(ビーズ状)とした後、880℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において2時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は20.39wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.156(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは1nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は1.952wt%であり、Total−Sは0.5ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は38kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
<炭化水素を分解する触媒を用いた反応>
炭化水素を分解する触媒の性能評価は、触媒を直径20mmのステンレス製反応管に20〜50g充填して触媒管を作った。
この触媒管(反応器)に対して、原料ガス及び水蒸気を、反応圧力0.5MPa、反応温度300℃〜600℃、空間速度を50000h−1として流通させた。この時の水蒸気/炭素比は1.5又は、水蒸気/炭素比は3.0である。なお、C以上の炭化水素を含有する原料ガスとして原料ガスにはプロパン、ブタン、都市ガス(13A)を用いて反応を行った。
以上の炭化水素はメタン、CO、CO、Hとして分解されるため、触媒性能の評価には下記式に示した原料ガス転化率(触媒性能評価に用いた原料ガスの転化率)、及びCn転化率(全炭化水素転化率)を用いた。また、都市ガス(13A)を用いた場合、原料ガス中に含まれるC以上の炭化水素(エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等)の転化率を13A転化率として算出した。
例)原料ガスにプロパンを用いた場合
原料ガス転化率=100×(CO+CO+CH+C)/(CO+CO+CH+C+C
Cn転化率(全炭化水素転化率)
=(CO+CO)/(CO+CO+CH+C+C
炭化水素を分解する触媒の粉体特性を表1に、前記反応結果を表2乃至7に示す。
表1中の強度については、炭化水素を分解する触媒を1000℃で5時間焼成したサンプルを用いて、100個の平均から算出した。
表2及び3には、GHSVが50000h−1、水蒸気/炭素(S/C)が3.0、反応時間が24hの反応条件における、反応温度(300℃〜600℃)とC以上の炭化水素(プロパン、ブタン、都市ガス13A)の転化率との関係を示す。
表4には、原料ガスとしてプロパンを用い、GHSVが50000h−1、反応温度が700℃、水蒸気/炭素(S/C)が1.5及び3.0の場合における、反応時間とメタン転化率との関係を示す。
表5には、原料ガスとしてプロパンを用い、GHSVが50000h−1、反応温度が700℃、水蒸気/炭素(S/C)が1.5の反応条件における、反応時間と触媒活性測定前後の炭素析出量及び反応後の触媒成形体の強度との関係を示す。
表6には、低温部及び高温部に実施例1の触媒を用い、低温部にてC2以上の炭化水素を分解後、高温部にて前記低温部で得られたC1を主成分とする炭化水素を分解反応した結果を示す。
低温部では、GHSVが50000h−1、水蒸気/炭素(S/C)が3.0の場合、反応温度が500℃の条件にて反応を行い、高温部では反応温度700℃における反応時間と触媒活性測定前後の炭素析出量及び反応後の触媒成形体の強度の関係を示す。表6−1には原料ガスとしてプロパンを、表6−2にはブタンを、表6−3には都市ガス(13A)を用いた結果を示した。なお、C以上の炭化水素を含有する原料ガスとしてプロパン、ブタン、都市ガス13Aを用いて反応を行った。
表7−1には、原料ガスとして都市ガス13Aを用い、GHSVが50000h−1、反応温度が400〜700℃、水蒸気/炭素(S/C)が3.0の場合における、転化率とアンモニア生成量を示す。また、表7−2には、原料ガスの都市ガスに窒素を20%添加したガスを用い、GHSVが50000h−1、反応温度が400〜700℃、水蒸気/炭素(S/C)が3.0の場合における、転化率とアンモニア生成量を示す。
実施例2
MgCl・6HO 82.08gとAlCl・6HO 27.08gとNiCl・6HO 87.68gとNaSiO 23.821gを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 241.2ml(14mol/L濃度)に、NaCO 16.64gを溶解させた1500ml溶液を加えて全量2500mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩とニッケル塩との混合溶液を加え、95℃で10時間熟成を行って複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは9.5であった。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、18℃に温めた1N−NHを前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して34l用いて洗浄後、水洗することで層状複水酸化物粒子を得た。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.053μmであり、結晶子サイズD006は0.008μmであり、BETは228.6m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1150℃、10時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、720℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において8時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は39.99wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.314(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは4nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は9.911wt%であり、Total−Clは89ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は41kgであった。
実施例3
MgCl・6HO 161.3gとAlCl・6HO 38.32gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 355.3ml(14mol/L濃度)に、NaCO 26.04gとNaSiO 2.451gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、55℃で2時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは7.5であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgCl・6HO 17.01gとNiCl・6HO 0.389gとAlCl・6HO 4.04gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを9.3にし、さらに154℃で16時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、85℃に温めた0.2N−NH前記層状複水酸化物粒子)1kgに対して12l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.111であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.094μmであり、結晶子サイズD006は0.012μmであり、BETは178.3m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。412℃、5時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、910℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において4時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は0.183wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.0013(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは3nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は1.046wt%であり、Total−Clは73ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は32kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例4
MgSO・7HO 167.8gとAl(SO・8HO 61.32gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 126.4ml(14mol/L濃度)に、NaCO 22.69gとNaSiO 13.09gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、64℃で9時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは7.1であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 35.69gとNiSO・6HO 42.29gとAl(SO・8HO 13.04gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを7.2にし、さらに65℃で4時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、74℃に温めた9.7N−NaOH水溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して98l用いて洗浄後、水洗することで層状複水酸化物粒子を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.333であった。
ここに得た層状複水酸化物粒子の平均板面径は0.052μmであり、結晶子サイズD006は0.002μmであり、BETは298.1m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。738℃、3時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、1050℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において3時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は15.39wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.115(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは12nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は4.913wt%であり、Total−Sは0.2ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は25kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例5
MgSO・7HO 116.5gとAl(SO・8HO 44.21gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 191.2ml(14mol/L濃度)に、NaCO 18.71gとNaSiO 0.865gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、162℃で4時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは8.4であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 45.38gとNiSO・6HO 74.48gとAl(SO・8HO 17.22gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを9.8にし、さらに85℃で23時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、65℃に温めた4.1N−NaOHと2.2N−NaCOの混合溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して42l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.448であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.302μmであり、結晶子サイズD006は0.052μmであり、BETは48.1m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。890℃、6時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、850℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において4時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は29.59wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.236(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは5nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は0.352wt%であり、Total−Sは0.3ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は33kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例6
MgCl・6HO 43.83gとAlCl・6HO 8.974gとNiCl・6HO 3.459gを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 328.1ml(14mol/L濃度)に、NaCO 5.516gとNaSiO 14.07gを溶解させた1500ml溶液を加えて全量2500mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩とニッケル塩との混合溶液を加え、78℃で22時間熟成を行って複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは11.8であった。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、48℃に温めた2.2N−NaOHと0.1N−NHの混合溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して21l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.281μmであり、結晶子サイズD006は0.048μmであり、BETは68.1m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1250℃、1時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、780℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において9時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は5.260wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.035(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは19nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は19.51wt%であり、Total−Clは91ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は28kgであった。
実施例7
Mg(NO・6HO 235.1gとAl(NO・9HO 78.15gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 537.8ml(14mol/L濃度)に、NaCO 35.77gとNaSiO 47.31gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、132℃で1時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは12.1であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、Mg(NO・6HO 21.86gとNi(NO・6HO 45.08gとAl(NO・9HO 7.271gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを12.4にし、さらに95℃で8時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、37℃に温めた6.8N−NaOHと4.5N−NHの混合溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して62l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.333であった。ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.324μmであり、結晶子サイズD006は0.068μmであり、BETは114.4m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1530℃、4.5時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、950℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において6時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は10.89wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.078(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは2nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は13.03wt%であり、Total−Nは88ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は37kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例8
MgSO・7HO 167.2gとAl(SO・8HO 43.41gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 299.4ml(14mol/L濃度)に、NaCO 14.74gとNaSiO 3.684gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、84℃で8時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは8.8であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 18.84gとNiSO・6HO 4.231gとAl(SO・8HO 4.891gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを9.3にし、さらに93℃で7時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、29℃に温めた7.2N−NHと2.4N−NaCOの混合溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して37l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.143であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.113μmであり、結晶子サイズD006は0.021μmであり、BETは114.4m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。950℃、6時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、1000℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において3時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は2.231wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.016(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは1nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は2.002wt%であり、Total−Sは0.2ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は40kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例9
MgCl・6HO 98.95gとAlCl・6HO 20.26gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 537.2ml(14mol/L濃度)に、NaCO 14.49gとNaSiO 16.73gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、65℃で6時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは12.5であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgCl・6HO 16.16gとNiCl・6HO 70.16gとAlCl・6HO 3.309gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを12.7にし、さらに238℃で11時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、45℃に温めた4.6N−NHを前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して45l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.215であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.398μmであり、結晶子サイズD006は0.079μmであり、BETは3.1m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。550℃、23時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、810℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において2.5時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は32.58wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.251(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは16nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は7.087wt%であり、Total−Clは68ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は38kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例10
MgCl・6HO 69.09gとAlCl・6HO 14.14gとNiCl・6HO 0.545gを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 329.2ml(14mol/L濃度)に、NaCO 8.695gとNaSiO 17.166gを溶解させた1500ml溶液を加えて全量2500mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩とニッケル塩との混合溶液を加え、71℃で15時間熟成を行って複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは10.4であった。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、58℃に温めた3.2N−NaOHを前記層状複水酸化物粒子1kgに対して76l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.152μmであり、結晶子サイズD006は0.038μmであり、BETは82.5m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1050℃、9時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、970℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において1時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は0.579wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.004(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは8nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は16.63wt%であり、Total−Clは82ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は35kgであった。
実施例11
Mg(NO・6HO 170.9gとAl(NO・9HO 50.02gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 170.0ml(14mol/L濃度)に、NaCO 27.82gとNaSiO 0.106gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、85℃で7時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは11.8であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、Mg(NO・6HO 69.44gとNi(NO・6HO 25.20gとAl(NO・9HO 20.30gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを11.5にし、さらに95℃で8時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、24℃に温めた3.5N−NaOHの混合溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して34l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケルの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.333であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.176μmであり、結晶子サイズD006は0.043μmであり、BETは168.4m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1220℃、11時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、810℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において2時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は8.201wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.062(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは3nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は0.042wt%であり、Total−Nは324ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は24kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例12
MgSO・7HO 116.3gとAl(SO・8HO 36.99gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 421ml(14mol/L濃度)に、NaCO 11.52gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、63℃で18時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは12.4であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 2.329gとNiSO・6HO 24.04gとAl(SO・8HO 0.741gとNaSiO 0.004gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを12.2にし、さらに125℃で8時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、52℃に温めた2.5N−NaOHと1.4N−NaCOの混合溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して18l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.143であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.302μmであり、結晶子サイズD006は0.064μmであり、BETは18.4m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1150℃、21時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、920℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において1時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は16.43wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.126(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは4nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は0.003wt%であり、Total−Sは186ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は18kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例13
MgSO・7HO 168.7gとAl(SO・8HO 79.25gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 323.0ml(14mol/L濃度)に、NaCO 24.98gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、118℃で11時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは10.8であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 5.515gとNiSO・6HO 84.05gとAl(SO・8HO 2.591gとNaSiO 13.01gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを10.6にし、さらに157℃で6時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)の粒子表面にトポタクティックに成長させた。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、38℃に温めた7.2N−NaCOの混合溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して11l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.313であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.335μmであり、結晶子サイズD006は0.049μmであり、BETは35.7m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1240℃、16時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、830℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において6時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は27.83wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.218(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは2nmであった。
得られた触媒中のSiの含有量は4.441wt%であり、Total−Sは547ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は32kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
実施例14
MgSO・7HO 53.53gとAl(SO・8HO 17.60gとNiSO・6HO 19.03gとK[PdCl] 0.005gを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 120.0ml(14mol/L濃度)に、NaCO 5.373gとNaSiO 7.072gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩、アルミニウム塩、ニッケル塩及びパラジウム塩の混合溶液を加え、65℃で16時間熟成を行って複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは11.1であった。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Si、Pdからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、55℃に温めた1.5N−NaOH溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して18l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.155μmであり、結晶子サイズD006は0.037μmであり、BETは112.3m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1150℃、8時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、820℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において3時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は23.19wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si+Pd)=0.172(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは12nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は8.879wt%であり、Total−Sは122ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は24kgであった。得られた触媒中の金属ニッケルに対してパラジウムの含有量は0.031wt%であり、金属パラジウム微粒子の大きさは5nmであった。
実施例15
Mg(NO・6HO 299.1gとAl(NO・6HO 104.2gとNi(NO・6HO 48.47gとを水で溶解させ1500mlとした。別にNaOH 228ml(14mol/L濃度)に、NaCO 42.12gとNaSiO 13.56gを溶解させた500ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩、アルミニウム塩及びニッケル塩の混合溶液を加え、75℃で5時間熟成を行って複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは10.8であった。
得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、Siからなる複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を含む反応溶液を濾別分離し、45℃に温めた2.4N−NaOH溶液を前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して24l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。
ここに得た層状複水酸化物粒子の平均板面径は0.232μmであり、結晶子サイズD006は0.048μmであり、BETは31.2m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。この成形体を950℃、1時間空気中にて焼成し酸化物の成形体とした。別に、純水にMn(NO・HOを溶解してマンガン塩水溶液とした溶液中に、得られた酸化物の成形体を浸漬してマンガン塩水溶液を成形体表面から成形体表層部に含浸させることによりマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及びマンガンを含む層状複水酸化物相を再構築させて、酸化物とその周縁部が層状複水酸化物である成形体を得、450℃で2時間焼成した。その後、820℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において5時間還元処理を行い、炭化水素分解用触媒を得た。
得られた触媒中のニッケルの含有量は11.02wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si+Mn)=0.083(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは8nmであった。得られた触媒中のSiの含有量は3.537wt%であり、Total−Nは82ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は31kgであった。得られた触媒中の金属ニッケルに対してマンガンの含有量は5.032wt%であり、金属マンガン微粒子の大きさは25nmであった。
実施例16
実施例1で得た酸化物粒子粉末のビーズ状成形体に、K[Pt(CN)]・3HO 1.169gを純水に溶解した溶液をスプレー法にてPtを担持した。担持後、315℃、2時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中の金属ニッケルの含有量は20.25wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.156(モル比))であった。得られた触媒中の金属ニッケルに対してPtの含有量は3.621wt%であり、金属Pt微粒子の大きさは3nmであった。
実施例17
実施例1で得た酸化物粒子粉末のビーズ状成形体に、RhCl・3HO 3.676gとCu(NO・3HO 3.236gを純水に溶解した溶液を滴下し、100℃のホットプレート上にて水分を蒸発させた。ここで得たロジウムと銅を担持した球形状ビーズを、320℃、5時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中の金属ニッケルの含有量は19.77wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.154(モル比))であった。得られた触媒中の金属ニッケルに対してロジウムの含有量は9.821wt%であり、金属ロジウム微粒子の大きさは22nmであった。得られた触媒中の金属ニッケルに対して銅の含有量は5.824wt%であり、金属銅微粒子の大きさは28nmであった。
実施例18
実施例1で得た酸化物粒子粉末のビーズ状成形体に、AgNO 1.911gとVCl 0.054gを純水に溶解した溶液をスプレー法にてAgとVを担持した。担持後、355℃、2時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中の金属ニッケルの含有量は20.01wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Si)=0.155(モル比))であった。得られた触媒中の金属ニッケルに対してAgの含有量は8.235wt%であり、金属Ag微粒子の大きさは15nmであった。得られた触媒中の金属ニッケルに対してバナジウムの含有量は0.121wt%であり、金属バナジウム微粒子の大きさは21nmであった。
比較例1
MgSO・7HO 57.36gとAl(SO・8HO 19.51gとを水で溶解させ1000mlとした。別に、NaOH 391.2ml(14mol/L濃度)に、NaCO 6.498gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、98℃で2時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは11.2であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 5.221gとNiSO・6HO 9.604gとAl(SO・8HO 1.776gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを11.9にし、さらに125℃で11時間熟成し、前記複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)表面にトポタクティックに成長させた。得られたマグネシウム、アルミニウム、ニッケルからなる反応溶液を濾別分離し、38℃に温めた3.1N−NaOHを前記複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)1kgに対して41l用いて洗浄後、水洗することで複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケルの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.187であった。ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.093μmであり、結晶子サイズD006は0.034μmであり、BETは127.3m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1015℃、22時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、830℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において6時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は12.28wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.091(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは9nmであった。Total−Sは0.7ppmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は11kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子全体に存在するものと推定される。
比較例2
MgSO・7HO 108.2gとAl(SO・8HO 42.69gとNiSO・6HO 27.69gを水で溶解させ1000mlとした。別に、NaOH 88ml(14mol/L濃度)に、NaCO 13.03gを溶解させた1500ml溶液を加えて全量2500mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩とニッケル塩との混合溶液を加え、71℃で3時間熟成を行って複合水酸化物芯粒子(層状複水酸化物芯粒子)を得た。このときの反応溶液のpHは9.1であった。
ここに得た複合水酸化物粒子(層状複水酸化物粒子)の平均板面径は0.042μmであり、結晶子サイズD006は0.012μmであり、BETは128.63m/gであった。
ここに得た複合水酸化物粒子粉末(層状複水酸化物粒子粉末)を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1090℃、4時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末とした後、820℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において8時間還元処理を行い、炭化水素を分解する触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は18.84wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.146(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは4nmであった。Total−Sは1063ppm直径3mmの球形体ビーズの平均強度は9kgであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
比較例3
α−アルミナ粉末を2.5mmの球形状ビーズとして、1150℃で10時間空気中にて焼成した。これにNi(NO・6HO 212.2gを純水に溶解させた1000mlの溶液をスプレーで塗布し、乾燥後、660℃で6時間空気中にて焼成した。さらに水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において800℃で9時間還元処理を行った。得られた触媒中のニッケルの含有量は10.21wt%(Ni/(Al+Ni)=0.09)であり、金属ニッケル微粒子の大きさは48nmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は7kgであった。Total−Nは126ppmであった。
比較例4
α−アルミナ粉末を2.5mmの球形状ビーズとして、1200℃で5時間空気中にて焼成した。これにRuCl 212.2gを純水に溶解させた1000mlの溶液をスプレーで塗布し、乾燥後、580℃で5時間空気中にて焼成した。さらに水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において540℃で3時間還元処理を行った。得られた触媒中のルテニウムの含有量は9.015wt%(Ru/α−Al+Ru=0.048)であり、金属ルテニウム微粒子の大きさは15nmであった。直径3mmの球形体ビーズの平均強度は8kgであった。Total−Clは315ppmであった。
Figure 0005110249
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本発明に係る炭化水素を分解する触媒は、より安価であり、炭化水素、殊に、C以上の炭化水素を分解・除去に対し優れた触媒活性を示し、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有するので、炭化水素分解用触媒又は水素製造用触媒として好適である。

Claims (9)

  1. マグネシウム、アルミニウム、ニッケルを構成元素とし、且つ、Siを含有する炭化水素を分解する触媒であり、金属ニッケルの含有量が炭化水素を分解する触媒に対して0.1〜40wt%であり、前記Siの含有量がSi換算で0.001〜20wt%であり、金属ニッケル微粒子の平均粒子径が1〜20nmであって金属ニッケルの含有量が前記触媒を構成する全金属イオンの合計モル数に対するモル比で0.0007〜0.342であることを特徴とする炭化水素を分解する触媒。
  2. 請求項記載の炭化水素を分解する触媒であって、Cl及びNの各含有量が500ppm以下であって、S含有量が600ppm以下であることを特徴とする炭化水素を分解する触媒。
  3. 請求項1又は2記載の炭化水素を分解する触媒に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持することを特徴とする炭化水素を分解する触媒。
  4. 前記請求項記載の金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの平均粒子径は0.5〜50nmであり、且つ、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの含有量は、前記炭化水素を分解する触媒に含まれる金属ニッケルに対して金属換算で0.025〜10wt%であることを特徴とする炭化水素を分解する触媒。
  5. 炭化水素を含有する原料に水蒸気を添加して炭化水素を分解する方法において、反応温度が250〜850℃であってスチームとカーボンのモル比(S/C)が1.0〜6.0の条件下で、炭化水素を含有する原料、水蒸気及び前記請求項1乃至のいずれかに記載の炭化水素を分解する触媒を接触させることを特徴とする炭化水素の分解方法。
  6. 脱硫したC1以上の炭化水素を含有する原料に水蒸気を添加して炭化水素を分解する方法において、該反応を低温部と高温部との2段階にするとともに、低温部において主にC2以上の炭化水素を分解・除去してC1を主成分とする炭化水素とした後、高温部において前記低温部で得られたC1を主成分とする炭化水素を分解反応する炭化水素を分解する方法において、前記低温部及び/又は高温部の少なくとも一方において、請求項1乃至のいずれかに記載の炭化水素を分解する触媒を用いることを特徴とする炭化水素の分解方法。
  7. 請求項記載の炭化水素を分解する方法において、低温部の反応温度が250〜650℃であってスチームとカーボンのモル比(S/C)が1.0〜6.0であり、高温部の反応温度が300〜850℃であってS/Cが1.0〜6.0であることを特徴とする炭化水素の分解方法。
  8. 請求項乃至のいずれかに記載の炭化水素を分解する方法において、炭化水素を分解して水素を製造することを特徴とする水素の製造方法。
  9. 請求項記載の水素の製造方法によって得られた水素を用いることを特徴とする発電システム。
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