JP4332724B2 - オートサーマルリフォーミング触媒及びその製造方法、並びに該オートサーマルリフォーミング触媒を用いた水素の製造方法 - Google Patents

オートサーマルリフォーミング触媒及びその製造方法、並びに該オートサーマルリフォーミング触媒を用いた水素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、メタンを主成分とする低級炭化水素と水蒸気と空気とを混合して反応させるオートサーマルリフォーミングにおいて、触媒活性成分である金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子を担持させることにより優れた触媒活性を有すると共に、空気導入に伴い懸念されるアンモニアの副生を抑制することができるオートサーマルリフォーミング触媒の提供を目的とする。
また、本発明は、前記オートサーマルリフォーミング触媒に金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持させることにより、幅広い温度範囲でアンモニアの副生を劇的に低減することができるオートサーマルリフォーミング触媒の提供を目的とする。
さらには、本発明は、メタンを主成分とした低級炭化水素などの原料ガスと水蒸気と空気から水素を製造するオートサーマルリフォーミング触媒において、優れた耐性を兼ね添えるオートサーマルリフォーミング触媒の提供を目的とする。
メタンを主成分とする低級炭化水素などの原料ガスを改質して水素を主成分とする改質ガスを得る技術として、水蒸気リフォーミング(SR)、部分酸化(POX)、水蒸気リフォーミング(SR)と部分酸化(POX)との併用反応(オートサーマルリフォーミング)などの技術がある。
前記水蒸気リフォーミング(SR)は水素を最も高い効率で得られる反応方法ではあるものの、反応時に大きな吸熱反応を伴うため外部加熱に多くのエネルギーが必要であり、システムの起動に長時間が掛かるなどの問題がある。一方、部分酸化(POX)では内部加熱状態を実現できそれほどエネルギーを用いることなく反応場温度を高温にすることができるものの、得られる水素濃度はかなり低く効率が悪い。これに対し、水蒸気リフォーミング(SR)(CH+HO→3H+CO)と部分酸化(POX)(CH+1/2O→2H+CO)を併用するオートサーマルリフォーミング(ATR)では、メタンを主成分とする低級炭化水素などの原料に水蒸気と空気を供給して、吸熱反応である水蒸気リフォーミング(SR)と発熱反応である部分酸化(POX)を併発させることにより、水蒸気リフォーミング(SR)には劣るもののかなり効率よく水素を取り出すことができ、しかも反応熱のバランスをとることができるのでシステムの起動時間を大幅に短縮できるので、定置型家庭用燃料電池などのDSS(Daily start−up shut−down)に適用が期待されている。
現在、オートサーマルリフォーミング触媒としては、活性金属元素が卑金属系ではニッケル、銅、鉄、コバルト、バナジウム又はチタン等が用いられ、貴金属系では白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム又はパラジウム等が用いられている。このうち、触媒活性の高さから、ニッケル、鉄、ルテニウムの金属元素を担持した触媒が主に市販されている。卑金属系元素は比較的炭素析出を起こしやすいため、水蒸気を理論組成よりも過剰に添加した水蒸気/炭素比が高い条件下で使用する必要がある。また貴金属系元素では、低水蒸気/炭素比の条件でも炭素析出を起こしにくいが触媒が高価であることから、これを用いた燃料電池システムの値段は非常に高価になってしまい、燃料電池システムのより一層の普及を妨げる要因となりうる。
また、オートサーマルリフォーミング反応を燃料電池システムで行う場合、酸素供給原料として一般に空気を導入するので、水蒸気リフォーミング反応によって生成された水素と空気中の窒素がニッケル、鉄、ルテニウム等の活性金属を有する触媒上で反応しアンモニアが副生されてしまうという問題が注目されている(N+3H→2NH)。アンモニアが含まれている改質ガスを定置型家庭用燃料電池などの燃料電池セルスタックに供給した場合、電極に使用されている白金触媒金属が被毒され、発電性能の低下や、最悪の場合には、触媒機能が失活するという大きな問題がある。
これらのことから、オートサーマルリフォーミング触媒として、安価な卑金属系であるニッケルや鉄などの触媒金属を用いた触媒であって、機能面では、低水蒸気/炭素比でも炭素析出(コーキング)が抑制されると共に、高活性である触媒であり、しかも、空気を導入してもアンモニアの副生を抑制できる触媒が望まれている。
従来、α−アルミナや酸化マグネシウム、酸化チタンなどの担体に、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケルなどを触媒活性金属として担持し、オートサーマルリフォーミング触媒として報告されている(特許文献1至5)。
特開2003−284949号公報 特開2002−336702号公報 特開2002−336701号公報 特開2001−276623号公報 特開2000−84410号公報
前記特許文献1及び2では触媒活性金属として、ロジウムを用いているためオートサーマルリフォーミング時に懸念されるアンモニア副生の問題は無いが、貴金属の中でも最も高価なロジウムを用いているため非常に高価なものとなってしまう。
特許文献3至5では触媒活性金属として比較的安価であるルテニウムを使用しているが、ルテニウム触媒金属上でオートサーマルリフォーミング時にアンモニアが大量に副生するため、アンモニア除去を行わなければ燃料電池システムに用いることができない。
触媒活性成分としてニッケル等の卑金属を用いるとコーキングを起こし易いことが一般に知られている。特許文献2至3ではオートサーマルリフォーミング反応時に起こる炭素析出を抑制するために触媒活性成分として高価であるルテニウムやロジウムを用いているため非常に高価なものになってしまう。
安価な触媒活性成分の卑金属系であるニッケル及び/又は鉄を用いたオートサーマルリフォーミング触媒において、オートサーマルリフォーミング時に空気を導入することによって懸念されるアンモニアの副生を低減することができるオートサーマルリフォーミング触媒は未だ得られてない。
メタンを主成分とした低級炭化水素ガスと水蒸気と空気からオートサーマルリフォーミング反応によって水素を製造するオートサーマルリフォーミング触媒において、低水蒸気下においても耐コーキング性に優れた触媒は未だ得られてない。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、マグネシウム及びアルミニウムとともに金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子を含有するオートサーマルリフォーミング触媒であって、前記金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の平均粒子径が1〜20nmであって金属ニッケル及び/又は金属鉄の含有量がオートサーマルリフォーミング触媒に対して0.15〜60wt%であり、かつ、ニッケル及び/又は鉄の含有量がマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び/又は鉄の合計モル数に対して、0.001〜0.52であることを特徴とするアンモニア副生を抑制できるオートサーマルリフォーミング触媒である(本発明1)。
また、本発明は、マグネシウムとアルミニウムとニッケル及び/又は鉄からなる層状複水水酸化物粒子を、加熱焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、該酸化物粒子粉末を加熱還元して酸化物粒子粉末中のニッケル及び/又は鉄を金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子にして得られることを特徴とするアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒である(本発明2)。
また、本発明は、マグネシウム及びアルミニウムからなる層状複水水酸化物芯粒子と、該層状複水水酸化物芯粒子の表面にマグネシウムとアルミニウムとニッケル及び/又は鉄からなる層状複水水酸化物層を形成した層状複水水酸化物型粒子粉末を、加熱焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、該酸化物粒子粉末を加熱還元して酸化物粒子粉末中のニッケル及び/又は鉄を金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子にして得られることを特徴とするアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒である(本発明3)。
また、本発明は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム原料とアルミニウム塩水溶液とニッケル塩水溶液及び/又は鉄塩水溶液を混合し、pH値が7.0〜14.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を50℃〜300℃の温度範囲で熟成してマグネシウムとアルミニウムとニッケル及び/又は鉄からなる層状複水水酸化物粒子を生成後、濾別、水洗し、得られた層状複水水酸化物粒子粉末を400℃〜1500℃の温度範囲で加熱焼成し酸化物粒子粉末を得、次いで、該酸化物粒子粉末を還元雰囲気下、650℃〜1100℃の温度範囲で加熱還元することを特徴とする本発明1又は2のアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒の製造方法である(本発明4)。
また、本発明は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム原料とアルミニウム塩水溶液を混合し、pH値が7.0〜14.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を50℃〜300℃の温度範囲で熟成してマグネシウムとアルミニウムからなる層状複水水酸化物芯粒子を生成させ、次いで、該層状複水水酸化物芯粒子を含む水性懸濁液に、該芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、合計モル数が0.04〜0.5となる割合のマグネシウムとアルミニウムとニッケル及び/又は鉄を含有するマグネシウム原料とアルミニウム塩水溶液とニッケル塩水溶液及び/又は鉄塩水溶液を添加した後、pH値が9.0〜14.0の範囲、温度が40℃〜300℃の範囲で熟成して、前記芯粒子表面に層状複水水酸化物層を被覆形成させる成長反応を行った後、濾別、水洗し、得られた層状複水水酸化物粒子粉末を400℃〜1500℃の温度範囲で加熱焼成し酸化物粒子粉末を得、次いで、該酸化物粒子粉末を還元雰囲気下、650℃〜1100℃の温度範囲で加熱還元することを特徴とする本発明1又は3のアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒の製造方法である(本発明5)。
また、本発明は、前記オートサーマルリフォーミング触媒に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持することを特徴とするアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒である(本発明6)。
また、本発明は、前記本発明6の金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの平均粒子径は0.5〜50nmであり、且つ、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの含有量は前記オートサーマルリフォーミング触媒に含まれる金属ニッケル及び/又は金属鉄に対して、金属換算で0.025〜10wt%であることを特徴とするアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒である(本発明7)。
また、本発明は、低級炭化水素を主体としたガスと水蒸気と空気とを触媒存在下において混合接触反応させて水素を得るオートサーマルリフォーミング反応において、前記触媒として本発明1、2、3、6及び7のいずれかに記載のオートサーマルリフォーミング触媒を用いた水素の製造方法である(本発明8)。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング(ATR)用触媒は、吸熱反応である水蒸気リフォーミング(SR)と発熱反応である部分酸化(POX)とを併発させることにより反応熱バランスをとることができるので迅速なDSSが可能であり、空気を導入することによって懸念されるアンモニアの副生も抑制されるので、CO除去後に直接水素を含む改質混合ガスを燃料電池に供給することができる。
また、金属ニッケルが非常に微細な微粒子で高分散して存在していることにより、低水蒸気条件下においてオートサーマルリフォーミングを行ってもコーキングしにくい。さらにマグネシウムを多量に多孔質担体が含んでおり耐硫黄被毒性に極めて優れているので、耐久性にも優れており長時間の使用であっても優れた特性を維持することができる。
さらに、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒は、メタンなどの低級炭化水素ガスを水蒸気改質(SR)、部分酸化(POX)などの炭化水素分解用触媒、また二酸化炭素改質触媒として用いることもできる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒について述べる。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒の金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の平均粒子径は20nm以下であり、オートサーマルリフォーミングによる水素製造に最適でアンモニアの副生を低減できる。平均粒子径が20nmを超える金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子を有する触媒ではアンモニアの副生量が多く、メタンを主成分とする低級炭化水素ガスと水蒸気と空気を混合して水素を製造するオートサーマル反応には適していない。さらに、20nmを超える金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子を有する触媒では耐コーキング性が著しく低下する。好ましくは18nm以下、より好ましくは15nm以下である。平均粒子径の下限値は0.5nm程度である。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒のニッケル金属及び/又は鉄金属の含有量は、該触媒に対して0.15〜60wt%である。ニッケル金属及び/又は鉄金属の含有量が0.15wt%未満の場合には低級炭化水素の転化率が低下する。60wt%を超える場合には、金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の粒子サイズが20nmを超え、アンモニアの副生の抑制効果が低く、また耐コーキング性が低下してしまう。好ましくは0.18〜40wt%である。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒のニッケル金属の含有量は、触媒に含まれるマグネシウム、アルミニウム及びニッケルの合計モル数に対するモル比(Ni/(Mg+Al+Ni))で示した場合0.001〜0.52である。前記モル比が0.52を越える場合には、金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の平均粒子径が20nmを超えるため、アンモニア副生の抑制効果が低く、また耐コーキング性が低下する。好ましくは0.001〜0.50、より好ましくは0.0012〜0.45である。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒の鉄金属の含有量は、触媒に含まれるマグネシウム、アルミニウム及び鉄の合計モル数に対するモル比(Fe/(Mg+Al+Fe))で示した場合0.001〜0.52である。前記モル比が0.52を越える場合には、金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の平均粒子径が20nmを超えるため、アンモニア副生の抑制効果が低く、また耐コーキング性が低下する。好ましくは0.001〜0.50、より好ましくは0.0012〜0.45である。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒がニッケル金属と鉄金属とを併用した場合、ニッケル金属と鉄金属の含有量は、触媒に含まれるマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び鉄の合計モル数に対するモル比((Ni+Fe)/(Mg+Al+Ni+Fe))で示した場合0.001〜0.52が好ましく、より好ましくは0.001〜0.50、さらにより好ましくは0.0012〜0.45である。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒において、ニッケル金属及び/又は鉄金属は、オートサーマルリフォーミング触媒を構成する粒子全体に存在してもよく、より好ましくは、オートサーマルリフォーミング触媒を構成する粒子の粒子表面近傍に存在することが好ましい。
また、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒は造粒して成形体の状態で用いることが好ましく、ニッケル金属及び/又は鉄金属が前記成形体の表面近傍に存在することが好ましい。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒は、さらに、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム及びチタンから選ばれる一種以上または二種以上の金属微粒子を担持してもよい。前記金属微粒子の平均粒子径は50nm以下であり、平均粒子径が50nmを越える金属微粒子を有する触媒はアンモニア副生の抑制効果を十分に発揮しない。好ましくは35nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。平均粒子径の下限値は0.5nm程度である。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒に担持する金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム及びチタンから選ばれる一種または二種以上の金属微粒子の含有量は、ニッケル金属及び/又は鉄金属に対して金属換算で0.025〜10wt%が好ましい。0.025wt%未満の場合には、さらに添加する元素によるアンモニア副生の抑制効果が十分に得られない。10wt%以上を超える場合には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの平均粒子径が50nmを越える場合、アンモニア副生の抑制効果を十分に発揮しない。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒は造粒して成形体の状態で用いることが好ましく、前記金などの金属微粒子が前記成形体の表面近傍に存在することが好ましい。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒のマグネシウムとアルミニウムとの比率は特に限定されないが、アルミニウムに対してマグネシウムが多い方が好ましく、マグネシウムとアルミニウムのモル比はMg:Al=5:1〜1:1が好ましい。マグネシウムが前記範囲を越える場合には十分な強度を有する成形体を容易に得ることが困難となり、前記範囲未満の場合には多孔質担体としての特性が得られ難くなる。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒のBET比表面積値は7〜320m/gが好ましい。7m/g未満では高い空間速度において転化率が低下してしまう。320m/gを超える場合は触媒前駆体である複合水酸化物の工業的な生産が困難となる。より好ましくは20〜280m/gである。
次に、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒の製造方法について述べる。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒は、前駆体である層状複水水酸化物粒子粉末を製造した後、400〜1500℃の温度範囲で加熱焼成して多孔質酸化物粒子粉末とし、必要により250℃〜650℃の温度範囲で加熱焼成し、次いで、650〜1100℃の温度範囲で加熱還元して得ることができる。
本発明における層状複水水酸化物粒子粉末は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム原料、アルミニウム塩水溶液、ニッケル塩水溶液及び/又は鉄水溶液を混合し、pH値が7.0〜14.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を50〜300℃の温度範囲で熟成して層状複水水酸化物を行うことで得られる。マグネシウム原料としては、硝酸塩などの水溶性塩類の他、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなども使用できる。
マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、鉄の塩としては硝酸塩など水溶性のものであれば特に限定しない。
マグネシウム原料としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム等を用いることができる。
アルミニウム原料としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、塩基性アンモニウムアルミニウム等を用いることができる。
ニッケル塩原料としては、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、安息香酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、ギ酸ニッケル、クエン酸ニッケル、硫酸ニッケル二アンモニウム等を用いることができる。
鉄塩原料としては酸化鉄、水酸化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、塩化鉄、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸鉄アンモニウム、塩基性酢酸鉄等を用いることができる。
pHが7.0未満では所望の層状複水水酸化物粒子が生成しない。好ましくはpH8.0〜14.0である。
熟成温度が50℃未満では層状複水水酸化物粒子が320m/gを超え、工業的な生産が困難となる。300℃を超えた場合、層状複水水酸化物粒子以外に大きな水酸化アルミニウム粒子や水酸化酸化アルミニウム粒子が混在するようになり、触媒活性金属微粒子のシンタリングが促進され、所望の特性を持った触媒が得られない。好ましくは60〜250℃である。
熟成時間は特に限定されるものではないが、層状複水水酸化物粒子として十分に粒成長する時間は必要である。具体的には1〜80時間、好ましくは、1〜24時間、より好ましくは、2〜18時間である。1時間未満では層状複水水酸化物粒子としての粒成長が不十分である。80時間を超えると工業的ではない。
また、本発明における層状複水水酸化物粒子粉末は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム原料とアルミニウム塩水溶液を混合し、pH値が7.0〜14.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を50〜300℃の温度範囲で熟成して層状複水水酸化物芯粒子を生成し、次いで、該層状複水水酸化物芯粒子を含む水懸濁液に、前記層状複水水酸化物芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、合計モル数が0.04〜0.52となる割合のマグネシウム、アルミニウム、ニッケル金属及び/又は鉄金属を含有するマグネシウム塩水溶液、アルミニウム塩水溶液及びニッケル塩水溶液あるいは鉄水溶液を添加した後、pH値が9.0〜14.0の範囲、温度が40〜300℃の範囲で熟成して、前記層状複水水酸化物芯粒子の粒子表面に新たに添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び/又は鉄をトポタクティックに被覆形成する成長反応を行うことで得られる。
芯粒子に対する成長反応分のモル数が0.04未満の場合には、低級炭化水素の転化率が低くなり本発明の効果が得られない。0.52を超える場合には、金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の平均粒子径が20nmを超えてしまいアンモニア副生を抑制する効果が低下し、さらには耐コーキング性が低下する。好ましくは0.1〜0.45、より好ましくは0.12〜0.4である。
成長反応におけるpH値が9.0未満の場合には、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び/又は鉄が被覆層を形成せず分離して混在するようになり、本発明の目的とする触媒が得られない。pH値が14.0を超える場合には、アルミニウムの溶出が多過ぎて目的とする組成物が得られ難くなる。好ましくは9.0〜12.5、より好ましくは9.5〜12.0である。
成長反応における反応温度が40℃未満の場合には、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び/又は鉄が被覆層を形成せず分離して混在するようになり、本発明の目的とする触媒が得られない。300℃を超えた場合、層状複水水酸化物粒子以外に大きな水酸化アルミニウム粒子や水酸化酸化アルミニウム粒子が混在するようになり、触媒活性金属微粒子のシンタリングが促進され、所望の特性を持った触媒が得られない。好ましくは60〜250℃である。
成長反応における熟成時間は特に限定されるものではないが、1〜80時間、好ましくは、3〜24時間、より好ましくは、5〜18時間である。1時間未満では成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び/又は鉄が層状複水水酸化物芯粒子表面に十分な被覆層を形成しない。80時間を超える成長反応は工業的ではない。
なお、ニッケル原料に微量含まれる不純物としてのコバルトが本発明に係る触媒に含有されても何ら問題はない。
本発明におけるオートサーマルリフォーミング触媒の前駆体である層状複水水酸化物粒子粉末の平均板面径は0.05〜0.4μmが好ましい。平均板面径が0.05μm未満の場合には、濾別・水洗に困難となり工業的な生産が困難であり、0.4μmを超える場合には、触媒成形体を作製することが困難である。
本発明におけるオートサーマルリフォーミング触媒の前駆体である層状複水水酸化物粒子粉末の結晶子サイズD006は0.001〜0.08μmが好ましい。結晶子サイズD006が0.001μm未満の場合には、水性懸濁液の粘度が非常に高く工業的な生産が難しく、0.08μmを超える場合には、触媒成形体を作製するのが困難である。より好ましくは0.002〜0.07μmである。
本発明におけるオートサーマルリフォーミング触媒の前駆体である層状複水水酸化物粒子粉末の比表面積値は3.0〜300m/gが好ましい。比表面積値が5.0m/g未満の場合には、触媒成形体を作製するのが困難であり、300m/gを超える場合には、水性懸濁液の粘度が非常に高く、また濾別水洗に難があり工業的に生産が困難である。より好ましくは5.0〜250m/gである。
本発明における層状複水水酸化物粒子粉末のニッケル及び/又は鉄の含有量は、層状複水水酸化物粒子粉末全体に対して0.15〜30wt%が好ましく、より好ましくは0.15〜25wt%である。また、層状複水水酸化物粒子粉末のニッケル及び/又は鉄の含有量は層状複水水酸化物粒子粉末に含まれるマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び/又は鉄の合計モル数に対するモル比で、NiまたはFe/(Mg+Al+NiまたはFe)が0.001〜0.25が好ましく、より好ましくは0.0012〜0.15であり、更により好ましくは0.005〜0.08である。
本発明における層状複水水酸化物粒子粉末のマグネシウムとアルミニウムとの比率は特に限定されないが、マグネシウムとアルミニウムのモル比はMg:Al=5:1〜1:1がより好ましい。
本発明における多孔質酸化物粒子粉末は、前記層状複水水酸化物粒子粉末を400℃〜1500℃で焼成することにより得られる。層状複水水酸化物粒子粉末の焼成温度が400℃未満の場合には、多孔質体酸化物粒子を得ることができない。1500℃を超える場合には、多孔質体担体としての特性が低下する。好ましくは450〜1500℃、より好ましくは500〜1500℃である。焼成雰囲気は酸素、空気、また窒素、アルゴンなどの不活性ガスでも良い。
本発明における多孔質酸化物粒子粉末の焼成時間は特に限定しないが0.5〜24時間が望ましい。24時間を越えると工業的とは言い難い。好ましくは1〜10時間である。
本発明における層状腹水水酸化物粒子粉末を焼成後に得られる多孔質酸化物粒子粉末のニッケル及び/又は鉄の含有量は、多孔質酸化物粒子粉末全体に対して0.15〜60wt%が好ましく、より好ましくは0.18〜40wt%である。また、多孔質酸化物粒子粉末のニッケル及び/又は鉄の含有量のモル比は、層状複水水酸化物粒子粉末の比率とほぼ同程度である。
本発明における多孔質酸化物粒子粉末の平均板面径は0.05〜0.4μmが好ましく、比表面積値は7.0〜320m/gが好ましい。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒は前記多孔質酸化物粒子粉末を650℃〜1100℃の範囲で還元処理することにより得られる。多孔質酸化物粒子粉末の還元温度が650℃未満の場合には、ニッケル及び/又は鉄が金属化しないので本発明の目的とする触媒活性が得られない。1100℃を超える場合にはニッケル及び/又は鉄のシンタリングが進み金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の粒子サイズが大きくなるためアンモニア副生を抑制する効果が低下し、さらに耐コーキング性も低下する。好ましくは700〜950℃である。還元時の雰囲気は、水素を含んだガスなど還元雰囲気であれば特に限定されない。熱処理の時間は特に限定しないが0.5〜24時間が望ましい。24時間を越えると工業的にメリットが見出せない。好ましくは、1〜10時間である。
また、本発明6に係るオートサーマルリフォーミング触媒は、前駆体である層状複水水酸化物粒子粉末を製造した後、400〜1500℃の温度範囲で加熱焼成して多孔質酸化物粒子粉末とし金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種あるいは二種以上の元素を担持後、250℃〜650℃の温度範囲で加熱焼成後、次いで、650〜1100℃の温度範囲で加熱還元して得ることができる。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持する方法としては、前記層状複水水酸化物粒子あるいは多孔質酸化物粒子粉末及び成形体に、通常の沈殿法、加熱含浸法、常温含浸法、真空含浸法、平衡吸着法、蒸発乾固法、競争吸着法、イオン交換、スプレー法、塗布法などにより行うことができる。この際、有機物バインダーを添加しても良い。また層状複水水酸化物粒子を合成する際に、共存させ層状複水水酸化物粒子に含有させても良い。
また別に、多孔質酸化物粒子粉末及び成形体を金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を含む溶液に含浸させることにより、多孔質酸化物粉末あるいは成形体の表面に金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を含む層状複水水酸化物粒子相を再生させる方法を用いて担持しても良い。
本発明に係る金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持させた多孔質酸化物粒子粉末あるいは成形体は250℃〜600℃の温度範囲で焼成することが好ましい。250℃未満であると塩分解が不十分であり、600℃を越える場合にはシンタリングが進行し、アンモニア副生の抑制効果の低下を招いてしまう。焼成雰囲気は酸素、空気、また窒素、アルゴンなどの不活性ガスでも良い。
上記のようにして得られた粉末状の触媒は、使用する各用途に合わせて成形しても良い。形状やサイズは特に限定しないが、例えば球状や円柱状、管状、ハニカム体への塗布などの形状でも良い。通常、球状や円柱状、管状の形状を持つ成形体の場合のサイズは0.1〜30mm程度が適する。条件によっては有機物や無機物などの各種バインダーを添加することで成形体の強度や細孔分布密度を調整しても良い。なお、本発明においては熱処理前に造粒・成形してもよい。
次に、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒を用いた水素の製造方法について述べる。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒を用いた水素の製造方法は、反応温度が400〜1000℃であり、水蒸気と炭化水素とのモル比(S/C)が0.5〜10.0であり、空気と炭素のモル比が0.05〜5であり、空間速度(GHSV)が500〜500,000h−1である条件下で、メタンを主成分とする低級炭化水素ガス、水蒸気及び空気を本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒を接触させる。上記条件で反応させることによって0.04〜15Nm/hの水素が製造できる。
反応温度が400℃未満の場合には低級炭化水素の転化率が低く、長時間に渡り反応を行うとコーキングが起こりやすくなり終には触媒特性が失活することもある。1000℃を超える場合にはメタンなどの低級炭化水素が分解してしまう。好ましくは550〜900℃、より好ましくは660〜870℃である。
水蒸気と炭化水素のモル比S/Cが0.5未満の場合には耐コーキング性が低下する。またS/Cが10を超える場合には水素製造に多量の水蒸気を必要としコストがかさみ現実的ではない。好ましくは0.5〜6、より好ましくは0.5〜4.5である。
空気と炭化水素のモル比が0.05未満では部分酸化による発熱反応が起こらず、4を超える場合には、酸化雰囲気になってしまい触媒が劣化してしまう。
なお、空間速度(GHSV)は800〜300,000h−1が好ましく、より好ましくは1,000〜200,000h−1ある。
水素製造に用いる低級炭化水素ガスとしては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜4である炭化水素が好ましい。このようなものには、例えば、メタンの他に、エタン、プロパン、ブタンなどが包含される。
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒は、オートサーマルリフォーミング反応で起動した後に水蒸気リフォーミング反応に切り替わった場合でも、十分な触媒活性、耐久性、耐コーキング性、耐硫黄被毒性を発揮でき、DSSを導入した燃料電池システムにおいて最適な触媒である。
<作用>
本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒がオートサーマルリフォーミング時に空気を導入することによって懸念されるアンモニアの副生を低減できる理由は未だ明らかではないが、本発明者は次のように推定している。
本発明のオートサーマルリフォーミング触媒のニッケル金属及び/又は鉄金属が従来にないほど微細な1〜20nmという粒子であるため、これら触媒活性金属の窒素吸着力が弱く、結果としてアンモニアの副生量が低下したと考えている。
また、本発明においては、ニッケル金属及び/又は鉄金属をオートサーマルリフォーミング触媒を構成する粒子の表面近傍又は粒子を造粒して得られる触媒成形体の表面近傍のいずれかに担持させることによって、より優れた触媒活性を有するものである。ニッケル金属及び/又は鉄金属が前記部位に存在することによって、原料ガス(炭化水素など)と効果的に接触することができ、金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子が有する機能を十分に発揮できたことによるものと本発明者は推定している。
さらに窒素の吸着をほとんどしない金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンを担持することにより、ニッケル及び/又は鉄の触媒活性金属表面の一部がこれら添加元素に覆われて、幅広い温度範囲でアンモニアの副生が極限にまで低減できたものと推定される。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
層状複水水酸化物粒子粉末の板面径は、「電子顕微鏡写真TEM1200EX(日本電子株式会社製)」(加速電圧:100kV)を使用し、測定した数値の平均値で示したものである。
層状複水水酸化物粒子粉末のD006(粒子の厚み)は、「X線回折装置RINT−2500(理学電機(株)製)」(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:300mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.020°、走査速度:2°/min、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.50mm)を使用し、層状複水水酸化物粒子のD006結晶面の回折ピーク曲線から、シェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
層状複水水酸化物粒子粉末の同定はX線回折測定で行った。X線回折測定は、前記X線回折装置を使用し、回折角2θが3〜80°で測定した。
金属ニッケルや鉄、並びに金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの粒子の大きさは、電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示したものである。また10nmを超える金属微粒子の大きさは、「X線回折装置RINT−2500(理学電機(株)製)」(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:300mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.020°、走査速度:2°/min、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.50mm)を使用し、シェラーの式を用いて微粒子の大きさを計算で求めた。このX線回折装置より求めた金属ニッケルや鉄、並びに金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの粒子サイズは、電子顕微鏡写真より求めたものと同じであった。
触媒を構成するマグネシウム、アルミニウム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの含有量は、該触媒を酸で溶解し、「プラズマ発光分光分析装置 SPS4000(セイコー電子工業(株))」で測定して求めた。
BET比表面積値は、窒素によるB.E.T.法により測定した。
オートサーマルリフォーミング反応時に析出した炭素の量は、触媒反応前後の触媒の炭素量をカーボン・サルファー測定装置で測定し求めた。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
<オートサーマル用触媒の調整>
<実施例1>
MgSO・7HO 353.5gとAl(SO・8HO 116.3gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 879ml(14mol/L濃度)に、NaCO 109.7gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、98℃で20時間熟成を行って層状複水水酸化物芯粒子を得た。このときの反応溶液のpHは13.8であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 3.523gとNiSO・6HO 9.524gとAl(SO・8HO 2.452gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを12.4にし、さらに250℃で12時間熟成し、前記層状複水水酸化物芯粒子表面にトポタクティックに成長させ、層状複水水酸化物粒子を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム及びニッケルの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.041であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.382μmであり、結晶子サイズD006は0.0681μmであり、BETは5.4m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。900℃、22時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、850℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において2時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は2.45wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.018(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは3nmであった。なお、金属ニッケル粒子は、粒子表面近傍にのみ存在するものと推定される。
<オートサーマル用触媒を用いた水素製造反応>
オートサーマル用触媒の評価は、触媒を直径20mmのステンレス製反応管に20〜50g充填して触媒管を作った。
この触媒管(反応器)に対して、原料ガスとして都市ガス13A、空気、水蒸気を、反応圧力0.5MPa、反応温度400℃〜1000℃、空間速度を10000h−1として流通させた。この時の水蒸気/炭素比は3.0、空気/炭素比は2.5、また水蒸気/炭素比は3.0、空気/炭素比は0.5、また水蒸気/炭素比は1.5、空気/炭素比は3.0、また水蒸気/炭素比は1.5、空気/炭素比は0.5である。
なお、表中に示したメタン転化率は、下記式より算出されたものである。
メタン転化率(%)=(1−出口メタン濃度/入口メタン濃度)×100
前記反応結果を表1乃至4に示す。表1はGHSVが10000h−1、反応温度が700℃、1atmの条件下において、反応時間及び水蒸気/炭化水素比(S/C)、空気/炭素比(Air/C)とメタン転化率との関係を示す。
表2は、反応温度700℃、1atmの条件下において、触媒量が40gであって、水蒸気/炭化水素比(S/C)が3.0、空気/炭素(Air/C)が2.5のときの空間速度と水素製造量の関係を示す。
表3は、反応温度700℃、1atmの条件下において、水蒸気/炭化水素(S/C)が3.0、空気/炭素(Air/C)が2.5のときの反応時間と触媒活性測定前後の炭素析出量の関係を示す。
表4は、水蒸気/炭素(S/C)が3.0、空気/炭素(Air/C)が2.5のときの反応温度とアンモニア生成量との関係を示す。
<実施例2>
MgSO・7HO 128.3gとAl(SO・8HO 50.64gとNiSO・6HO 202.61gを水で溶解させ1500mlとした。別にNaOH247.0ml(14mol/L濃度)に、NaCO 15.45gを溶解させた500ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、60℃で8時間熟成を行って層状複水水酸化物粒子を得た。このときの反応溶液のpH9.1であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.052μmであり、結晶子サイズD006は0.0021μmであり、BETは248.2m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。950℃、8時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、810℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において2時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は58.87wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.514(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは19nmであった。
<実施例3>
Mg(NO・6HO 192.3gとAl(NO・9HO 70.34gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH302。0ml(14mol/L濃度)に、NaCO 102.7gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、90℃で8時間熟成を行って層状複水水酸化物芯粒子を得た。このときの反応溶液のpHは9.2であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、Mg(NO・6HO 68.32gとFe(SO・9HO 1.078gとAl(NO・9HO 19.99gとを溶かした500mlのマグネシウム塩と鉄塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを13.8にし、さらに120℃で2時間熟成し、前記層状複水水酸化物芯粒子表面にトポタクティックに成長させ、層状複水水酸化物粒子を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム及び鉄の合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.333であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.218μmであり、結晶子サイズD006は0.028μmであり、BETは75.0m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1000℃、10時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、770℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において4時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中の鉄の含有量は0.172wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.0022(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは1nmであった。
<実施例4>
MgCl・6HO 227.3gとAlCl・9HO 32.14gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH360ml(14mol/L濃度)に、NaCO 93.16gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、80℃で4時間熟成を行って層状複水水酸化物芯粒子を得た。このときの反応溶液のpHは13.9であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgCl・6HO 9.022gとNiCl・6HO 8.511gとFe(SO・9HO 9.978gとAlCl・9HO 2.963gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを12.4にし、さらに95℃で2時間熟成し、前記層状複水水酸化物芯粒子表面にトポタクティックに成長させ、層状複水水酸化物粒子を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム及びニッケルの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.083であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.312μmであり、結晶子サイズD006は0.009μmであり、BETは110.1m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。この成形体を420℃、2時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、900℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において0.5時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は2.081wt%(Ni/(Mg+Al+Ni+Fe)=0.021(モル比))であり、鉄の含有量は0.99wt%(Fe/(Mg+Al+Ni+Fe)=0.015(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは4nmであり、金属鉄微粒子の大きさは2nmであった。
<実施例5>
MgSO・7HO 238.2gとAl(SO・8HO 87.06gとを水で溶解させ1500mlとした。別にNaOH 590ml(14mol/L濃度)に、NaCO 26.57gを溶解させた500ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、80℃で4時間熟成を行って層状複水水酸化物粒子を得た。このときの反応溶液のpH10.2であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.195μmであり、結晶子サイズD006は0.021μmであり、BETは98.2m/gであった。
ここで得た層状複水水酸化物粒子を直径3mmの球形状ビーズとした。この成形体を800℃、4時間空気中にて焼成した。この成形体を1M硝酸ニッケル水溶液に浸漬した後、濾別、水洗、乾燥後に950℃、12時間空気中で焼成し、820℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において3.0時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は1.606wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.016(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは9nmであった。
<実施例6>
Mg(NO・6HO 93.81gとAl(NO・8HO 34.31gとFe(SO・9HO 113.1gとK[PdCl] 0.113gを純水で溶解させ1500mlとした。別にNaOH 567.0ml(14mol/L濃度)に、NaCO 13.07gを溶解させた500ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、95℃で10時間熟成を行って層状複水水酸化物粒子を得た。このときの反応溶液のpH11.8であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.272μmであり、結晶子サイズD006は0.042μmであり、BETは51.4m/gであった。
ここで得た層状複水水酸化物粒子を直径3mmの球形状ビーズとした。この成形体を720℃、5時間空気中にて焼成し、800℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において1.0時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中の鉄の含有量は32.91wt%(Fe/(Mg+Al+Fe)=0.268(モル比))であり、金属鉄微粒子の大きさは3nmであった。得られた触媒中のパラジウムの含有量は0.031wt%であり、金属パラジウム微粒子の大きさは1nmであった。
<実施例7>
MgCl・6HO 133.2gとAlCl・6HO 28.24gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH 315ml(14mol/L濃度)に、NaCO 91.55gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、95℃で8時間熟成を行って層状複水水酸化物芯粒子を得た。このときの反応溶液のpHは11.7であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgCl・6HO 9.571gとNiCl・6HO 21.97gとAlCl・6HO 2.273gとMnCl・4HO 0.201gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩とマンガン塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを11.1にし、さらに210℃で6時間熟成し、前記層状複水水酸化物芯粒子表面にトポタクティックに成長させ、層状複水水酸化物粒子を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム及びニッケルの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.125であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.295μmであり、結晶子サイズD006は0.052μmであり、BETは20.2m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。1250℃、24時間空気中にて焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、920℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において3時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は6.051wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.045(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは8nmであった。得られた触媒中のマンガンの含有量は9.8wt%であり、金属マンガン微粒子の大きさは48nmであった。
<実施例8>
Mg(NO・6HO 144.9gとAl(NO・6HO 35.75gとNi(NO・6HO 136.3gとを水で溶解させ1500mlとした。別にNaOH225ml(14mol/L濃度)に、NaCO 10.91gを溶解させた500ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、60℃で1時間熟成を行って層状複水水酸化物粒子を得た。このときの反応溶液のpH10.1であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.295μmであり、結晶子サイズD006は0.052μmであり、BETは20.2m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。この成形体を1050℃、1時間空気中にて焼成した後、純水に溶解したCuC・0.5HO溶液中に浸漬して銅塩水溶液を成形体表面から成形体表層部に含浸させることによりマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び銅を含む層状複水水酸化物相をさせ酸化物とその周縁部に層状複水水酸化物を有する成形体を得、550℃で10時間焼成した。その後、660℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において10時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は49.18wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.412(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは4nmであった。得られた触媒中の銅の含有量は3.5wt%であり、金属銅微粒子の大きさは18nmであった。
<実施例9>
MgSO・7HO 201.6gとAl(SO・8HO 99.45gとを水で溶解させ1000mlとした。別にNaOH633ml(14mol/L濃度)に、NaCO 104.5gを溶解させた1000ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、120℃で5時間熟成を行って層状複水水酸化物芯粒子を得た。このときの反応溶液のpHは12.1であった。
次いで、このアルカリ性懸濁液に、MgSO・7HO 25.85gとNiSO・6HO 33.08gとAl(SO・8HO 10.22gとを溶かした500mlのマグネシウム塩とニッケル塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、反応溶液のpHを11.8にし、さらに185℃で8時間熟成し、前記層状複水水酸化物芯粒子表面にトポタクティックに成長させ、層状複水水酸化物粒子を得た。なお、成長反応時に添加したマグネシウム、アルミニウム及びニッケルの合計モル数は、芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、0.222であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.351μmであり、結晶子サイズD006は0.055μmであり、BETは13.2m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を成形して、直径3mmの球形体ビーズとした。この成形体を680℃で12時間焼成後に、純水に[Pt(CN)]・3HOとMn(NO・6HOを溶解した混合溶液を用いて、スプレー法にて白金を担持した。担持後、380℃、4時間空気中にて焼成し、760℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において3時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は10.93wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.084(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは12nmであった。得られた触媒中の白金の含有量は0.5wt%であり、金属白金微粒子の大きさは4nmであった。得られた触媒中のマンガンの含有量は1.3wt%であり、金属マンガン微粒子の大きさは5nmであった。
<実施例10>
MgCl・6HO 68.27gとAlCl・6HO 18.14gとNiCl・6HO 23.54gを水で溶解させ1500mlとした。別にNaOH 166ml(14mol/L濃度)に、NaCO 5.537gを溶解させた500ml溶液を加えて全量2000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、78℃で24時間熟成を行って層状複水水酸化物粒子を得た。このときの反応溶液のpH12.6であった。ここに得た層状複水水酸化物粒子の平均板面径は0.173μmであり、結晶子サイズD006は0.031μmであり、BETは142.4m/gであった。
ここに得た層状複水水酸化物粒子を850℃で0.5時間焼成後蒸発皿に入れ、純水に溶解したK[PdCl]とCu(CHCOO)・HO溶液を滴下し、100℃のホットプレート上にて水分を蒸発させた。ここで得たパラジウムを担持した多孔質酸化物粉末を直径3mmの球形状ビーズに成形後、470℃、8時間空気中にて焼成し、1080℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において1.0時間還元処理を行い、オートサーマルリフォーミング触媒を得た。得られた触媒中のニッケルの含有量は23.26wt%(Ni/(Mg+Al+Ni)=0.179(モル比))であり、金属ニッケル微粒子の大きさは14nmであった。得られた触媒中のパラジウムの含有量は0.1wt%であり、金属パラジウム微粒子の大きさは2nmであった。得られた触媒中の銅の含有量は0.4wt%であり、金属銅微粒子の大きさは4nmであった。
<実施例11>
実施例1で得た焼成後の直径3mmビーズに、純水に溶解したHAuCl・4HO 0.002gをスプレー法にてAuを担持した。担持後、255℃、1.0時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの含有量と粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中の金の含有量は0.05wt%であり、金属金微粒子の大きさは1nmであった。
<実施例12>
実施例1で得た焼成後の直径3mmビーズに、純水に溶解したAgNO 0.003gをスプレー法にてAgを担持した。担持後、270℃、6.0時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの含有量と粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中の銀の含有量は0.1wt%であり、金属銀微粒子の大きさは1nmであった。
<実施例13>
実施例1で得た焼成後の直径3mmビーズに、純水に溶解したRhCl・3HO 0.228gをスプレー法にてRhを担持した。担持後、550℃、8.0時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの含有量と粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中のロジウムの含有量は0.1wt%であり、金属ロジウム微粒子の大きさは10nmであった。
<実施例14>
実施例1で得た焼成後の直径3mmビーズに、純水に溶解したIrCl 0.069gをスプレー法にてIrを担持した。担持後、340℃、4.0時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの含有量と粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中のイリジウムの含有量は0.1wt%であり、金属イリジウム微粒子の大きさは7nmであった。
<実施例15>
実施例1で得た多孔質酸化物粉末に、ReCl 0.04gを純水に溶解した溶液を滴下し、100℃のホットプレート上にて水分を蒸発させた。ここで得たレニウムを担持した多孔質酸化物粉末を直径3mmの球形状ビーズに成形後、455℃、10時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの含有量と粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中のレニウムの含有量は1.2wt%であり、金属レニウム微粒子の大きさは3nmであった。
<実施例16>
実施例1で得た多孔質酸化物粉末に、Cr(NO・9HO 0.589gを純水に溶解した溶液を滴下し、100℃のホットプレート上にて水分を蒸発させた。ここで得たクロムを担持した多孔質酸化物粉末を直径3mmの球形状ビーズに成形後、280℃、3時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの含有量と粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中のクロムの含有量は3.6wt%であり、金属クロム微粒子の大きさは25nmであった。
<実施例17>
実施例1で得た多孔質酸化物粉末に、VCl 0.164gを純水に溶解した溶液を滴下し、100℃のホットプレート上にて水分を蒸発させた。ここで得たバナジウムを担持した多孔質酸化物粉末を直径3mmの球形状ビーズに成形後、260℃、7時間空気中にて焼成し、実施例1と同様の条件で還元処理を行った。触媒中のニッケルの含有量と粒子径は実施例1の値と同様であった。得られた触媒中のバナジウムの含有量は2.5wt%であり、金属バナジウム微粒子の大きさは18nmであった。
<比較例1>
α−アルミナ粉末を2.5mmの球形状ビーズとして、1150℃で12時間空気中にて焼成した。これにNi(NO・6HO 212.2gを純水に溶解させた1000mlの溶液をスプレーで塗布し、乾燥後、660℃で6時間空気中にて焼成した。さらに水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において830℃で9時間還元処理を行った。得られた触媒中のニッケルの含有量は10.2wt%(Ni/α−Al+Ni=0.256)であり、金属ニッケル微粒子の大きさは52nmであった。
<比較例2>
α−アルミナ粉末を蒸発皿に入れ、純水に溶解したRuCl・nHOを滴下し、100℃のホットプレート上にて水分を蒸発させた。ここで得たルテニウムを担持したα−アルミナ粉末を直径3mmの球形状ビーズに成形後、400℃、2時間空気中にて焼成し、620℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において1.5時間還元処理を行った。得られた触媒中のルテニウムの含有量は6.7wt%(Ru/(α−Al+Ru)=0.104(モル比))であり、金属ルテニウム微粒子の大きさは32nmであった。
<比較例3>
α−アルミナ粉末を蒸発皿に入れ、純水に溶解したFe(SO・9HO滴下し、100℃のホットプレート上にて水分を蒸発させた。ここで得た鉄を担持したα−アルミナ粉末を直径3mmの球場ビーズに成形後、350℃、8時間空気中にて焼成し、770℃にて水素/アルゴン体積比が20/80のガス気流中において7.5時間還元処理を行った。得られた触媒中の鉄の含有量は28.2wt%(Fe/α−Al+Fe)=0.713(モル比)であり、金属鉄微粒子の大きさは68nmであった。
Figure 0004332724
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表1から明らかなとおり、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒を用いた場合、メタン転化率が93%以上と高く、しかも、長時間の反応においても高いメタン転化率を維持している。
表2から明らかなとおり、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒を用いた場合、空間速度が200000h−1であってもメタン転化率が85%以上と高い転化率を有しているとともに、多量の水素を製造できるものである。
表3から明らかなとおり、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒を用いた場合、メタン転化率が93%以上と高く、しかも、炭素析出量が2.0%と炭素の析出を抑制できるものである。
表4から明らかなとおり、本発明に係るオートサーマルリフォーミング触媒を用いた場合、メタン転化率が85%以上と高く、しかも、アンモニアの副生が20ppmと低く、アンモニアの副生が抑制されている。
本発明は、メタンを主成分とする低級炭化水素と水蒸気と空気を混合反応するオートサーマルリフォーミングにおいて、触媒活性成分であるニッケル金属及び/又は鉄金属が従来にない微粒子の状態で担持されていることにより、優れた触媒活性を有すると共にアンモニアの副生を抑制することができる。また、低水蒸気下においても耐コーキング性に優れたオートサーマルリフォーミング触媒であり、低級炭化水素ガスから水素を高い転化率で、短時間に大量に、しかも長時間に渡り製造することができる。
さらに、前記オートサーマルリフォーミング触媒に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウムから選ばれる一種または二種以上の元素を添加することにより、アンモニアの生成を幅広い温度域で極限までに低減することができる。

Claims (5)

  1. マグネシウム及びアルミニウムとともに金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子を含有するオートサーマルリフォーミング触媒であって、該触媒はマグネシウム及びアルミニウムからなる層状複水水酸化物芯粒子と、該層状複水水酸化物芯粒子の表面にマグネシウムとアルミニウムとニッケル及び/又は鉄からなる層状複水水酸化物層を形成した層状複水水酸化物型粒子粉末を、加熱焼成して酸化物粒子粉末を得、次いで、該酸化物粒子粉末を加熱還元して酸化物粒子粉末中のニッケル及び/又は鉄を金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子にして得られる触媒であり、前記金属ニッケル微粒子及び/又は金属鉄微粒子の平均粒子径が1〜20nmであって金属ニッケル及び/又は金属鉄の含有量がオートサーマルリフォーミング触媒に対して0.15〜60wt%であり、かつ、ニッケル及び/又は鉄の含有量がマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及び/又は鉄の合計モル数に対して、0.001〜0.52であることを特徴とするアンモニア副生を抑制できるオートサーマルリフォーミング触媒。
  2. アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム原料とアルミニウム塩水溶液を混合し、pH値が7.0〜14.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を50℃〜300℃の温度範囲で熟成してマグネシウムとアルミニウムからなる層状複水水酸化物芯粒子を生成させ、次いで、該層状複水水酸化物芯粒子を含む水性懸濁液に、該芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、合計モル数が0.04〜0.5となる割合のマグネシウムとアルミニウムとニッケル及び/又は鉄を含有するマグネシウム原料とアルミニウム塩水溶液とニッケル塩水溶液及び/又は鉄塩水溶液を添加した後、pH値が9.0〜14.0の範囲、温度が40℃〜300℃の範囲で熟成して、前記芯粒子表面に層状複水水酸化物層を被覆形成させる成長反応を行った後、濾別、水洗し、得られた層状複水水酸化物粒子粉末を400℃〜1500℃の温度範囲で加熱焼成し酸化物粒子粉末を得、次いで、該酸化物粒子粉末を還元雰囲気下、650℃〜1100℃の温度範囲で加熱還元することを特徴とする請求項記載のアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒の製造方法。
  3. 請求項記載のオートサーマルリフォーミング触媒に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の元素を担持することを特徴とするアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒。
  4. 前記請求項記載の金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの平均粒子径は0.5〜50nmであり、且つ、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの含有量は前記オートサーマルリフォーミング触媒に含まれる金属ニッケル及び/又は金属鉄に対して、金属換算で0.025〜10wt%であることを特徴とするアンモニア副生を抑制したオートサーマルリフォーミング触媒。
  5. 低級炭化水素を主体としたガスと水蒸気と空気とを触媒存在下において混合接触反応させて水素を得るオートサーマルリフォーミング反応において、前記触媒として請求項1、3及び4のいずれかに記載のオートサーマルリフォーミング触媒を用いた水素の製造方法。
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