JP4470699B2 - 水素透過膜、該水素透過膜の製造方法および該水素透過膜を備える装置 - Google Patents
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Description
バナジウム(V)を含む金属ベース層と、
パラジウム(Pd)を含む金属被覆層と、
前記金属ベース層と前記金属被覆層との間に形成された水素透過性金属から成る層であって、前記金属ベース層との接触面を含むベース層近傍領域における前記水素透過性金属の金属粒径に比べて、前記ベース層近傍領域以外の領域における前記水素透過性金属の金属粒径の方が、小さく形成されている中間層と
を備えることを要旨とする。
(a)バナジウム(V)を含む金属ベース層を用意する工程と、
(b)前記金属ベース層上に、水素透過性金属から成る中間層を形成する工程と、
(c)前記中間層上に、パラジウム(Pd)を含む金属被覆層を形成する工程と、
を備え、
前記(b)工程は、
(b−1)前記金属ベース層上に、前記水素透過性金属から成る大粒径中間層を形成する工程と、
(b−2)前記大粒径中間層の上に、前記水素透過性金属から成る層であって、該層を構成する金属結晶の平均粒径が前記大粒径中間層よりも小さい小粒径中間層を形成する工程と
を備えることを要旨とする。
前記(b−2)工程は、前記(b−1)工程に比べて、成膜時に成膜材料である前記水素透過性金属が有するエネルギがより少ない低エネルギ条件下において、前記水素透過性金属から成る層を形成することとしても良い。
前記(b−2)工程は、前記大粒径中間層上に、成膜材料である前記水素透過性金属を用いて成膜する動作を、断続的に繰り返す工程としても良い。
前記(b−1)工程は、前記金属ベース層上に前記水素透過性金属から成る層を形成した後に、該層にエネルギを与えて、該層を構成する金属結晶を大型化させる工程を含むこととしても良い。
前記中間層を構成する前記水素透過性金属は、前記金属ベース層を構成する金属および前記金属被覆層を構成する金属よりも、金属拡散を起こし難い水素透過性金属であることとしても良い。
A.水素透過膜の構造:
B.水素透過膜の製造方法:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.水素透過膜を用いた装置:
F.変形例:
図1は、本発明の第1実施例である水素透過膜10の構成の概略を表わす断面模式図である。水素透過膜10は、金属ベース層12と、金属ベース層の両面上に形成される中間層13と、各々の中間層13上に形成される金属被覆層16と、を備えている。ここで、中間層13は、金属ベース層12との接触面側に設けられた大粒径中間層14と、金属被覆層16との接触面側に設けられた小粒径中間層15との2つの層によって構成されている。すなわち、水素透過膜10は、全体では、7層構造を有している。
図2は、水素透過膜10の製造方法を表わす工程図である。水素透過膜10を製造する際には、まず、金属ベース層12となるVを含有する金属層を用意する(ステップS100)。このステップS100では、用意した金属ベース層12の表面をアルカリ溶液でエッチングして、表面に形成された酸化膜等の不純物の除去を行なっている。
第2実施例の水素透過膜は、図1に示した第1実施例の水素透過膜10と同様の構成を有しているが、製造方法が異なっている。図3は、第2実施例の水素透過膜の製造方法を表わす工程図である。なお、以下の説明では、第2実施例の水素透過膜においても、対応する部分において、第1実施例の水素透過膜10と同じ参照番号を付すこととする。
第3実施例の水素透過膜も、図1に示した第1実施例の水素透過膜10と同様の構成を有しているが、製造方法が異なっている。図4は、第3実施例の水素透過膜の製造方法を表わす工程図である。なお、以下の説明では、第3実施例の水素透過膜においても、対応する部分において、第1実施例の水素透過膜10と同じ参照番号を付すこととする。
E−1.水素抽出装置:
図5は、実施例の水素透過膜10(第1実施例ないし第3実施例では、水素透過膜の構成は同様であるため、以下、これらを合わせて水素透過膜10とする)を利用した水素抽出装置20の構成を表わす断面模式図である。水素抽出装置20は、複数の水素透過膜10を積層した構造を有しており、図5では、水素透過膜10の積層に関わる構成についてのみ示している。水素抽出装置20では、積層される各水素透過膜10間に、水素透過膜10の外周部と接合する支持部22が配設されており、支持部22によって各水素透過膜10間に所定の空間が形成されている。支持部22は、水素透過膜10との接合が可能であって充分な剛性を有していればよい。例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料により形成することで、金属層である水素透過膜10と容易に接合可能となる。
図6は、実施例の水素透過膜10を利用した燃料電池の構成の一例を表わす断面模式図である。図6は、単セル30を表わしているが、燃料電池は、この単セル30を複数積層することによって形成される。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
既述したように、小粒径中間層15を構成する金属結晶の粒径は、大粒径中間層14を構成する金属結晶の粒径よりも小さければよいが、小粒径中間層15全体で金属結晶の粒径が均一である必要はない。例えば、大粒径中間層14から、金属被覆層16との接触面に向かって、小粒径中間層15を構成する金属結晶の粒径が徐々に小さくなる構成も可能である。小粒径中間層15全体で金属結晶の粒径が均一であれば、粒界にかかる応力も均一に分散されて特に望ましい。しかしながら、中間層13において、大粒径中間層14よりも粒径の小さい金属結晶で構成される層を金属被覆層16側に設けるならば、金属粒径は必ずしも均一でなくても、金属被覆層16との接触面近傍で中間層13の変形を抑える同様の効果が得られる。
第1ないし第3実施例では、中間層13をTaにより構成したが、Taに代えてニオブ(Nb)により構成しても良い。これら5族金属は優れた水素透過性能を有するため、5族金属によって中間層13を構成すれば、中間層を設けることに起因する水素透過膜の性能低下を防止できる。また、Nbも、Taと同様に、VやPdに比べて融点の高い金属であるため、中間層13の構成金属を、金属ベース層12や金属被覆層16の構成金属よりも高融点とすることができ、金属拡散を抑える効果を高めることができる。
既述した第1ないし第3実施例の水素透過膜では、水素透過膜を、水素透過性を有する金属薄膜の自立膜としたが、ガス透過性を有する多孔質基材上に水素透過性金属を担持させることにより水素透過膜を形成してもよい。すなわち、金属被覆層、中間層、金属ベース層、中間層、金属被覆層の順で積層された金属層を、層上の多孔質体の上に順次形成し、水素透過膜としてもよい。このように多孔質基材上に担持された水素透過膜は、例えば、図5に示した水素抽出装置において、実施例の水素透過膜10に代えて用いることができる。
12…金属ベース層
13…中間層
14…大粒径中間層
15…小粒径中間層
16…金属被覆層
20…水素抽出装置
22…支持部
24…水素含有ガス路
26…パージガス路
30…単セル
31…MEA
32…電解質層
34…カソード電極
36,37…ガスセパレータ
38…単セル内燃料ガス流路
39…単セル内酸化ガス流路
Claims (14)
- 水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
バナジウム(V)を含む金属ベース層と、
パラジウム(Pd)を含む金属被覆層と、
前記金属ベース層と前記金属被覆層との間に形成された水素透過性金属から成る層であって、前記金属ベース層との接触面を含むベース層近傍領域における前記水素透過性金属の金属粒径に比べて、前記ベース層近傍領域以外の領域における前記水素透過性金属の金属粒径の方が、小さく形成されている中間層と
を備える水素透過膜。 - 請求項1記載の水素透過膜であって、
前記中間層を構成する前記水素透過性金属は、前記金属ベース層を構成する金属および前記金属被覆層を構成する金属よりも、金属拡散を起こし難い水素透過性金属である
水素透過膜。 - 請求項2記載の水素透過膜であって、
前記中間層を構成する前記水素透過性金属は、前記金属ベース層および前記金属被覆層を構成する金属よりも、融点が高い水素透過性金属である
水素透過膜。 - 請求項3記載の水素透過膜であって、
前記中間層を構成する前記水素透過性金属は、タンタル(Ta)または(Nb)を含有する水素透過性金属である
水素透過膜。 - 水素を選択的に透過させる水素透過膜の製造方法であって、
(a)バナジウム(V)を含む金属ベース層を用意する工程と、
(b)前記金属ベース層上に、水素透過性金属から成る中間層を形成する工程と、
(c)前記中間層上に、パラジウム(Pd)を含む金属被覆層を形成する工程と、
を備え、
前記(b)工程は、
(b−1)前記金属ベース層上に、前記水素透過性金属から成る大粒径中間層を形成する工程と、
(b−2)前記大粒径中間層の上に、前記水素透過性金属から成る層であって、該層を構成する金属結晶の平均粒径が前記大粒径中間層よりも小さい小粒径中間層を形成する工程と
を備える水素透過膜の製造方法。 - 請求項5記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記(b−2)工程は、前記(b−1)工程に比べて、成膜時に成膜材料である前記水素透過性金属が有するエネルギがより少ない低エネルギ条件下において、前記水素透過性金属から成る層を形成する
水素透過膜の製造方法。 - 請求項6記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記(b)工程は、PVDまたはCVDにより前記中間層を形成する
水素透過膜の製造方法。 - 請求項5記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記(b−2)工程は、前記大粒径中間層上に、成膜材料である前記水素透過性金属を用いて成膜する動作を、断続的に繰り返す工程である
水素透過膜の製造方法。 - 請求項5記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記(b−1)工程は、前記金属ベース層上に前記水素透過性金属から成る層を形成した後に、該層にエネルギを与えて、該層を構成する金属結晶を大型化させる工程を含む
水素透過膜の製造方法。 - 請求項5ないし9いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記中間層を構成する前記水素透過性金属は、前記金属ベース層を構成する金属および前記金属被覆層を構成する金属よりも、金属拡散を起こし難い水素透過性金属である
水素透過膜の製造方法。 - 請求項10記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記中間層を構成する前記水素透過性金属は、前記金属ベース層および前記金属被覆層を構成する金属よりも、融点が高い水素透過性金属である
水素透過膜の製造方法。 - 請求項11記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記中間層を構成する前記水素透過性金属は、タンタル(Ta)または(Nb)を含有する水素透過性金属である
水素透過膜の製造方法。 - 燃料電池であって、
プロトン伝導性を有する電解質層と、該電解質層の少なくとも一方の面上に形成された水素透過膜と、を備える電解質膜と、
前記電解質膜の一方の面に対して、酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス供給部と、
前記電解質膜の他方の面に対して、水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
を備え、
前記水素透過膜は、請求項1ないし4いずれか記載の水素透過膜である
燃料電池。 - 水素を含有する水素含有気体から水素を抽出する水素抽出装置であって、
請求項1ないし4いずれか記載の水素透過膜と、
前記水素透過膜の第1の面上に形成され、前記水素含有気体が通過する水素含有気体流路と、
前記水素透過膜の第2の面上に形成され、前記水素透過膜を透過して前記水素含有気体から抽出された水素が通過する抽出水素流路と
を備える水素抽出装置。
水素抽出装置。
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JP2004323127A JP4470699B2 (ja) | 2004-11-08 | 2004-11-08 | 水素透過膜、該水素透過膜の製造方法および該水素透過膜を備える装置 |
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2004
- 2004-11-08 JP JP2004323127A patent/JP4470699B2/ja active Active
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