JP4576848B2 - 燃料電池および燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池および燃料電池の製造方法に関する。
従来から、様々な構造の燃料電池が提案されている。例えば、下記特許文献1には、プロトン伝導性を有する電解質層のアノード側に、水素透過性を有するパラジウム系金属膜を配設した燃料電池が開示されている。このような燃料電池として、例えば、金属薄膜である水素透過性金属層上に、セラミックスなどの固体電解質層を成膜し、その膜上のカソード電極を薄く、かつ、均一に成膜することによって単セルを製造し、この単セルと集電体としてのセパレータとを積層して構成することができる。こうした燃料電池の製造には、様々な成膜方法が用いられている。例えば、レーザアブレーション法を用いて、高温条件下で水素透過性金属層上に緻密な固体電解質層を成膜し、それをチャンバ内部から取り出して、スパッタ法などの一般的な成膜方法を用いてカソード電極の成膜を行なう。
特開平5−299105号公報
しかしながら、こうした方法で製造した燃料電池では、水素透過性金属層とカソード電極との間で短絡が生じるという問題があった。これは、高温条件下で水素透過性金属層上に固体電解質層を成膜したものを取り出す際に冷却され、熱膨張差に起因した欠損が固体電解質層に発生するためである。こうした固体電解質層上の欠損箇所に、カソード電極の成膜過程において電極用材料が入り込み、水素透過性金属層とカソード電極との間が短絡する結果、燃料電池の電池性能が低下していた。
本発明は、こうした問題の少なくとも一部を解決し、水素透過性金属層とカソード電極との間の短絡を抑制する燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池は、上記課題の少なくとも一部を解決するため、以下の手法を採った。すなわち、水素透過性金属を含有する水素透過性金属層と、該水素透過性金属上に積層されると共にプロトン伝導性を有する電解質層とからなる電解質膜と、該電解質層における該水素透過性金属層が積層された面と反対側の面に積層される電極とを有する燃料電池であって、前記電解質層と前記電極との間に、プロトン伝導性を有し、かつ、電子導電性を有する保護層を設けたことを要旨としている。
本発明の燃料電池によれば、水素透過性金属層上に形成した電解質層と電極との間に、保護層を形成する。この保護層を構成する材料は、電解質層にピンホールやクラックなどの微細孔が存在する場合には、その微細孔に入り込み、水素透過性金属層と保護層とを接続する。つまり、電解質層の微細孔に電極の電極材が入り込むことはない。したがって、水素透過性金属層と電極とが直接接触するのを防止することができる。また、保護層は、プロトンに対する伝導性を有するため、電解質層の機能を妨げることはない。
上記の構成を有する燃料電池の保護層は、電極よりも電気抵抗が大きく、かつ、前記電解質層よりも電気抵抗が小さい層であるものとすることができる。
かかる燃料電池によれば、電解質層の微細孔に入り込んだ材料は、電極に比べ電気抵抗が大きい材料であるため、水素透過性金属層と電極との短絡を抑制することができる。また、保護層は電極に比べ電気抵抗が大きい材料であれば良いため、保護層を形成する材料の選択の幅を広げることができる。
上記の構成を有する燃料電池において、プロトン伝導性を有する保護層は、電極に比べ電気抵抗が大きい材料であればどのような材料でも良いが、特に、WO3またはCeO2からなる金属酸化物の層とすることができる。
かかる燃料電池によれば、電解質層のプロトン伝導性を損なうことがない。加えて、こうした材料により保護層を形成することで、電解質層の形成に比べて、成膜条件を緩和することができる。
上記の構成を有する燃料電池の保護層の膜厚は、少なくとも前記電解質層の膜厚の1/10よりも厚いものとすることができる。かかる燃料電池によれば、保護層の厚みを電解質層の1/10よりも厚くすることで、水素透過性金属層と電極との短絡を抑制することができる。
本発明の燃料電池の製造方法は、燃料電池の製造方法であって、(a)前記水素透過性金属を含有する水素透過性金属層を準備する工程と、(b)前記水素透過性金属層上にプロトン伝導性を有する電解質層を成膜する工程と、(c)前記電解質層上に、プロトン伝導性を有し、かつ、電子導電性を有する保護層を成膜する工程と、(d)前記保護層上に電極を成膜する工程とを備えるものとすることができる。
本発明の製造方法によれば、電解質層上に微細孔が発生する場合、保護層の成膜工程で、その微細孔にはプロトン伝導性を有する材料が微細孔に入り込む。したがって、水素透過性金属層と電極とが直接接触するのを防止することができる。
上記の構成を有する燃料電池の製造方法の前記工程(c)は、前記工程(b)における電解質層の成膜時の温度条件よりも低い温度条件にて成膜する工程であるものとしても良い。
かかる製造方法によれば、電解質層の成膜時の温度条件よりも、低い温度条件にて保護層を成膜する。したがって、水素透過性金属層上に成膜した電解質層を更なる高温に晒すことがないため、電解質層の微細孔(欠損)の発生を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて次の順序で説明する。
A.燃料電池の構造:
B.MEAの製造方法:
A.燃料電池の構造:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池を構成する単セルの概略構成を示す断面模式図である。本実施例の燃料電池は、燃料ガス中から水素を分離する水素分離膜を備えた水素分離膜型燃料電池であり、図1に示す単セル10を複数積層し、両端から締結力を与えることで複数の単セル10を直列に接続したスタック構造をしている。なお、本実施例の燃料電池は、アノードガスとカソードガスとが直行して流れる直行流型であるが、説明を簡単にするため、平行流型として図示している。
図1に示すように、この単セル10は、主に、燃料電池での電気化学反応に使用する燃料ガスや酸化ガスの流路となるガスセパレータ60,70、電解質膜と電極とを備えたMEA100(Membrane-Electrode Assembly)等からなり、ガスセパレータ60,70でMEA100を両側から挟みこんで形成されている。なお、図示は省略するが、スタック構造の内部温度を調整するために、各単セル間に、または所定数の単セルを積層する毎に、燃料電池を冷却する冷媒の通過する冷媒流路を設けるものとしても良い。
ガスセパレータ60,70は、カーボンや金属などの導電性材料で形成され、燃料ガス,酸化ガスを透過させない緻密質体で構成されている。ガスセパレータ60の表面には燃料ガスを単セル10内部に導く燃料ガス流路65を形成する凹凸形状が、ガスセパレータ70の表面には酸化ガスを単セル10内部に導く酸化ガス流路75を形成する凹凸形状が、それぞれ形成されている。
こうしたガスセパレータ60,70の流路の内、燃料ガス流路65には、燃料ガスとしての炭化水素系燃料を改質して得られる水素リッチガスが、酸化ガス流路75には、酸化ガスとしての空気が、それぞれ供給される。ガスセパレータ60,70は、供給された水素リッチガス中の水素と空気中の酸素との電気化学反応にて発生する電気を集電する機能を有している。
MEA100は、水素分離膜としての水素透過性金属層20,電解質層30,プロトン・電子混合伝導体層50,カソード電極40等から構成されている。つまり、電解質層30とカソード電極40との間に形成されたプロトン・電子混合伝導体層50は、特許請求の範囲の「保護層」に該当する。
水素透過性金属層20は、水素透過性を有する金属からなる層であり、例えば、パラジウム(Pd),Pd合金等により形成することができる。水素透過性金属層20は、燃料ガス流路65を介して供給される水素リッチガスの内、水素リッチガスに含有する水素のみを選択的に透過させる。本実施例では、この水素透過性金属層20は、水素分離膜としての機能に加え、水素のイオン(プロトン)化を活性する触媒機能およびアノード電極としての機能を有する。
電解質層30は、プロトン伝導性を有する固体電解質からなり、電気的な絶縁性を有する層である。電解質層30には、例えば、固体酸化物であるBaCeO3、SrCeO3系のペロブスカイト、パイロクロア等を用いることができる。こうした電解質層30は、緻密な水素透過性金属層20上に薄膜として成膜される。したがって、薄膜化により、膜抵抗を低減することができる。
プロトン・電子混合伝導体層50は、プロトンおよび電子の伝導性を有し、カソード電極40に比べ電気抵抗が大きく、電解質層30に比べて電気抵抗が小さい金属酸化物からなる層である。つまり、プロトン・電子混合伝導体層50は、電気的に絶縁ではないが、その導電性の程度はカソード電極40に比べ著しく低い。このプロトン・電子混合伝導体層50には、酸化タングステン系(WO3)や酸化セリウム系(CeO2)など金属酸化物を用いることができる。こうした材料からなるプロトン・電子混合伝導体層50は、電解質層30の膜厚の1/10程度の膜厚を有している。なお、このプロトン・電子混合伝導体層50は、電解質層30に比べてプロトンの伝導性が高い層である。
カソード電極40は、プロトン・電子混合伝導体層50上に成膜された金属からなる層であり、例えば、Pd等により形成することができる。このカソード電極40は、電気化学反応を促進する触媒活性を有する貴金属により形成することができる。なお、電気化学反応を促進するため、白金(Pt)等の触媒層を設けるものとしても良い。
こうした4つの層からなるMEA100は、後述する製造方法により一体で成形され、ガスセパレータ60,70と共に燃料電池の単セル10を構成する。この単セル10を直列に複数積層し、エンドプレートにて挟持することで燃料電池スタックが形成される。燃料電池スタックには、反応ガスを供給する通路が設けられており、高圧タンクに貯留された水素リッチガスやコンプレッサを介した空気が通路に供給される。こうした反応ガスは、エンドプレート、通路を介して、各単セル10に十分に供給される。
外部から単セル10に供給された水素リッチガスは、燃料ガス流路65を介してMEA100に到達する。到達した水素リッチガスは、MEA100を構成する水素透過性金属層20を介して、プロトンと電子に分離する。プロトンは、電解質層30,プロトン・電子混合伝導体層50内を経てカソード電極40側へ移動し、電子は、ガスセパレータ60,70からなる外部回路(図示なし)を通って、カソード電極40側へ移動する。
他方、外部から単セル10に供給された空気は、酸化ガス流路75を介してMEA100に到達する。到達した空気中の酸素は、MEA100を構成するカソード電極40側で、移動してきたプロトンと電子と反応する。こうした一連の電気化学反応により発電する燃料電池から取り出す電流、つまり、燃料電池の性能は、外部回路を通る電子により左右される。例えば、電子が外部回路を介して移動せず、水素透過性金属層20からカソード電極40へ直接移動する(つまり、短絡する)場合には、燃料電池の性能は低下する。
図2は、本実施例のMEA100部分の断面模式図である。MEA100は、水素透過性金属層20上に電解質層30,プロトン・電子混合伝導体層50,カソード電極40を順に積層した構造であり、各層を構成する材料等は上述の通りである。図示するように、このMEA100の電解質層30には、欠損30aが存在する。この欠損30aは、クラックやピンホールといった電解質層の成膜過程で発生した微細孔である。
こうした欠損30aの存在する電解質層30上にプロトン・電子混合伝導体層50を成膜する場合、プロトン・電子混合伝導体層50を形成する材料は、欠損30aに入り込み、水素透過性金属層20とプロトン・電子混合伝導体層50とを電気的に接続する。このプロトン・電子混合伝導体層50の材料は、上述の通り、カソード電極40の電極材料に比べ電気抵抗の大きい材料である。したがって、水素透過性金属層20から、欠損30a部分,プロトン・電子混合伝導体層50を介してカソード電極40へ移動する電子はほとんどない。
つまり、電解質層とカソード電極の間にプロトン・電子混合伝導体層50を設けない従来のMEAでは、欠損が存在する電解質層上にカソード電極を成膜する際に、導電性の高い金属の電極材料が欠損に入り込み、水素透過性金属層とカソード電極との間で短絡が発生する。これに対し、本実施例では、電解質層30の欠損30aに電極材料が入り込むことはなく、水素透過性金属層とカソード電極とは直接接触することがない。欠損30aには導電性の低い材料が入り込むため、プロトン・電子混合伝導体層50を介した電子の移動はほとんどない。本実施例では、従来のカソード電極が欠損に入り込む場合に比べて1/100程度に導電性を抑えることができる。換言すると、ほぼ絶縁状態とすることができる。したがって、電解質層30の欠損に起因する短絡を抑制することができ、燃料電池の性能の低下を抑制することができる。
一般に、膜厚が厚いものは電子の導電性を低く抑えることができるが、膜厚を厚くすることで、プロトンの伝導性をも低下させる。本実施例では、電子の移動の抵抗となるプロトン・電子混合伝導体層50の厚みを、電解質層30の膜厚の1/10程度の薄膜としているため、プロトンの伝導性を損なうことなく、電子の移動を抑制することができる。なお、プロトン・電子混合電解質層50の厚みは、電解質層の厚みの10%から25%程度の範囲とすることが好ましい。かかる厚みのプロトン・電子電解質層50であれば、MEA100全体の膜厚に与える影響はほとんどない。
B.MEAの製造方法:
以下に、単セル10の製造方法として、水素透過性金属層20,電解質層30,プロトン・電子混合伝導体層50,カソード電極40からなるMEA100の製造工程を説明する。図3は、MEA100の製造工程を示す工程図である。
MEA100の製造においては、MEA100の構造基材となる水素透過性金属層20を準備する(ステップS300)。本実施例では、この水素透過性金属層20として、Pd合金材料を用いている。
続いて、水素透過性金属層20の表面に、電解質層30を成膜する(ステップS310)。この電解質層30の成膜方法には、例えば、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、ゾルゲル法などの種々の成膜方法を用いることができる。本実施例では、PVD方法の一種であるレーザアブレーション法により、水素透過性金属層20上に固体酸化物であるペロブスカイト膜を成膜し、電解質層30を形成する。
レーザアブレーション法は、成膜材料となるペロブスカイトにレーザ照射を行ない、水素透過性金属層20上にペロブスカイトを結晶化させることで緻密な膜を形成する。この結晶化には、高温条件が必要であり、水素透過性金属層20の基材自体も加熱している。本実施例では、約500℃程度の高温でペロブスカイト膜を成膜している。
続いて、ステップS310で水素透過性金属層20上に電解質層30を形成した素材を取り出し、スパッタ法により素材の電解質層30上に、プロトン・電子混合伝導体層50を成膜する(ステップS320)。スパッタ法は、真空中の雰囲気下でArイオンなどを、ターゲット材料にぶつけ、そこから放出された原子を基板上に付着させて薄膜を作る一般的な成膜方法である。この方法を用いることで、レーザアブレーション法に比べ、全体のエネルギ効率が良く、比較的早く薄膜を形成することができる。なお、スパッタ法に限らず、上述の電解質層30の成膜と同様、種々の方法を用いることができる。
このプロトン・電子混合伝導体層50に、金属酸化物材料としての酸化セリウム(CeO2)を用いている。この酸化セリウム(CeO2)をターゲット材料として、電解質層30上に酸化セリウムを放出して薄膜を成膜する。こうしたプロトン・電子混合伝導体層50は、約200℃から400℃程度の温度条件の下で結晶化することができる。
ステップS320の成膜工程では、例えば、ステップS310で形成した電解質層30に欠損部分(微細孔)が存在する場合には、その微細孔にも、プロトン・電子混合伝導体層50の材料が入り込み、プロトン・電子混合伝導体層50と水素透過性金属層20とを欠損部分で電気的に接続した形でプロトン・電子混合伝導体層50を形成する。
一般に、電解質膜の欠損は、電解質膜上に膜(通常は電極)を形成する場合の温度条件として基材の冷却が必要な場合、例えば電解質膜上の膜を電解質層とは別の方法で形成するため基材を取り出す場合など、高温基材の冷却工程が伴う場合に発生する可能性が高い。これは、電解質膜上の膜と電解質膜との物性(熱膨張率)の違いによるものである。本実施例では、こうした電解質層30上に発生した欠損には、上述の金属酸化物材料が入り込んでいる。
こうして形成されたプロトン・電子混合伝導体層50上にカソード電極40を成膜し(ステップS330)、MEA100を完成させる。この成膜方法は、上述のスパッタ法を用いているが、種々の方法を用いることができる。
ステップS330では、カソード電極40の材料となるPdをプロトン・電子混合伝導体層50上に放出して成膜する。これにより、プロトン・電子混合伝導体層50上に薄く均一な膜を生成している。
こうした一連の製造工程を経て、図2に示したMEA100は完成し、MEA100をガスセパレータ60,70で挟み込んだ単セル10を複数積層することで燃料電池が形成される。
以上の製造方法にて形成された単セル10では、製造工程で電解質層30に欠損があっても、カソード電極40に比べて電気抵抗の大きいプロトン・電子混合伝導体層50が欠損部分に入り込むため、ほとんど電子を通さず、欠損部分での短絡の抑制に効果を奏する。
一般に、絶縁性の高いセラミックのプロトン伝導体層を成膜する場合には、結晶化のために1000℃近くの高温工程が必要となる。かかる高温条件の下では、水素透過性金属が膨張し、冷却工程でのクラックの発生頻度が高くなる。本実施例では、プロトン・電子混合伝導体層50の成膜温度は、約200℃から400℃程度であり、電解質層30の成膜温度よりも低温で行なうことができる。つまり、電解質層30を成膜した水素透過性金属層20の基材を更なる高温に加熱する必要がない。したがって、電解質層30の欠損の発生自体も抑制することができる。
なお、水素透過性金属層とカソード電極との短絡の抑制には、短絡箇所に絶縁性の材料による保護膜を設けることも考えられる。この場合には、電解質層表面上の全面に一旦、保護層を設け、その後、短絡箇所以外であって不所望な保護膜を除去するか、あるいは、保護膜の成膜の際にマスキング等の処理が必要となる。これに対して本実施例のプロトン・電子混合伝導体層50は、電子のみならずプロトンの伝導性も低い絶縁性材料の保護膜とは異なり、プロトン伝導性を有する材料である。したがって、不要な絶縁材料を除去する工程は必要ない。
また、本実施例のプロトン・電子混合伝導体層50には、酸化セリウム(CeO2)を用いているが、カソード電極40の材料よりも電気抵抗が大きいものであれば、短絡の抑制に効果を奏する。つまり、電解質層30とカソード電極40とのインターフェイスとして、プロトン伝導性を有する材料であれば、許容範囲内の電子の導電性を有していても使用することができる。したがって、電子の絶縁性を要求される電解質層30よりも、プロトン伝導性の高い材料や、成膜条件が比較的緩やかな材料を選択することができ、材料選択の幅を広げることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の一実施例としての燃料電池を構成する単セルの概略構成を示す断面模式図である。 本実施例のMEA部分の断面模式図である。 MEAの製造工程を表わす工程図である。
符号の説明
10...単セル
20...水素透過性金属層
30...電解質層
30a...欠損
40...カソード電極
50...プロトン・電子混合伝導体層
60,70...ガスセパレータ
65...燃料ガス流路
75...酸化ガス流路
100...MEA

Claims (6)

  1. 水素透過性金属を含有する水素透過性金属層と、該水素透過性金属上に積層されると共にプロトン伝導性を有する電解質層とからなる電解質膜と、該電解質層における該水素透過性金属層が積層された面と反対側の面に積層される電極とを有する燃料電池であって、
    前記電解質層と前記電極との間に、プロトン伝導性を有し、かつ、電子導電性を有する保護層を設け
    前記保護層は、前記電極よりも電気抵抗が大きい層である、燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池であって、
    前記保護層は、前記電極よりも電気抵抗が大きく、かつ、前記電解質層よりも電気抵抗が小さい層である燃料電池。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池であって、
    前記保護層は、WO3またはCeO2からなる金属酸化物の層である燃料電池。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記保護層の膜厚は、少なくとも前記電解質層の膜厚の1/10よりも厚い燃料電池。
  5. 燃料電池の製造方法であって、
    (a)前記水素透過性金属を含有する水素透過性金属層を準備する工程と、
    (b)前記水素透過性金属層上にプロトン伝導性を有する電解質層を成膜する工程と、
    (c)前記電解質層上に、プロトン伝導性を有し、かつ、電子導電性を有する保護層を成膜する工程と、
    (d)前記保護層上に電極を成膜する工程と
    を備え
    前記工程(c)において、前記保護層は、前記電極よりも電気抵抗が大きい層である、燃料電池の製造方法。
  6. 請求項5に記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記工程(c)は、前記工程(b)における電解質層の成膜時の温度条件よりも低い温度条件にて成膜する工程である燃料電池の製造方法。
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