JP2004111145A - 固体酸化物形燃料電池用単セル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解質層として固体酸化物薄膜を用いるときでも、優れた耐熱衝撃性を有する固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池、及びガス透過性及び発電性能が良好であり、界面抵抗が抑制される構造を簡便に形成できる固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法を提供すること。
【解決手段】固体電解質層を上部電極層と下部電極層で狭持した積層構造をなし、固体電解質層が緻密構造部を有し、この緻密構造部に、固体電解質材料及び/又は電極材料の略独立な柱状粒より構成されたバッファ部を配設して成る固体酸化物形燃料電池用単セルである。
緻密構造部及び/又は電極層と上記バッファ部とを、スパッタ法、蒸着法、エアロゾルデポジション法、イオンプレーティング法、イオンクラスタ法及びレーザービームアブレーション法などによって連続して形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】固体電解質層を上部電極層と下部電極層で狭持した積層構造をなし、固体電解質層が緻密構造部を有し、この緻密構造部に、固体電解質材料及び/又は電極材料の略独立な柱状粒より構成されたバッファ部を配設して成る固体酸化物形燃料電池用単セルである。
緻密構造部及び/又は電極層と上記バッファ部とを、スパッタ法、蒸着法、エアロゾルデポジション法、イオンプレーティング法、イオンクラスタ法及びレーザービームアブレーション法などによって連続して形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池用単セル、固体酸化物形燃料電池(SOFC)及び固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法に係り、更に詳細には、多層構造による界面抵抗の増加を抑制し、耐熱衝撃性及び電池性能を向上させた固体酸化物形燃料電池用単セル、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、化学エネルギーを電気化学的な反応により電気エネルギーに変換する装置である。固体酸化物形燃料電池(SOFC)の場合、燃料極、固体電解質及び空気極の各層を互いに積層した3層を燃料電池の発電部とし、外部から燃料極には水素、炭化水素等の燃料ガスを供給し、空気極には空気等の酸化剤ガスを供給して電気を発生させる。
【0003】
ここで、固体電解質は、酸素イオンの導電体であり、その導電率の向上にはその膜厚をより薄くすることが望ましい。また、固体電解質はガスの隔壁としての機能を果たす必要があるため、その性状はより緻密であることが要求される。
空気極は、酸素分子を酸素イオンに変換する触媒機能を有する必要があり、また酸化に強く、酸化剤ガスを透過し、電気伝導度が高いことが望ましい。
燃料極は、水素分子をプロトンに変換する触媒機能を有する必要があり、また還元に強く、燃料ガスを透過し、電気伝導度が高いことが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、緻密な固体電解質層を形成した場合、形成時の膜応力が大きくなる。このため、従来のSOFCにおいては、基板と固体電解質層の熱膨張率の差や形成後の固体電解質層の膜応力に起因して、高温時や昇降温時にクラックが発生したり、固体電解質層と基板、又は固体電解質層と電極層の界面で剥離が発生するという問題点があった。
特に、自動車等の移動体に搭載するSOFCでは、起動停止が迅速且つ頻繁に行われるため、熱耐久性、耐熱衝撃性を向上させる上で、固体電解質層のクラック、固体電解質層と基板、又は固体電解質層と電極層の界面での剥離、及び固体電解質層の割れを防止することが極めて重要となる。
【0005】
また、熱耐久性、耐熱衝撃性の向上のためには、固体電解質が熱応力の緩和機構を有することが望ましい。しかし、この応力緩和のために疎の固体電解質を形成した場合、燃料極側からの燃料ガスの透過が問題となる。このような透過が発生した場合、水素分圧の低下に伴い燃料極側の酸素分圧が上昇し、酸素分圧差が低下することから燃料電池の起電力が低下する。また、固体電解質を透過した燃料ガスと酸化剤ガスが空気極で反応し、反応物が生成される可能性がある。
更に、固体電解質層と電極層の熱膨張率の差を緩和することを目的として、固体電解質層と電極層の界面に、両方の材料の混合層を作りこむ手法や、熱膨張率が中間の材料を作りこむ手法などが公知である。これらのように固体電解質を多層構造にした場合、層間の界面数が増加し、この界面がイオン導電の抵抗となる。この界面抵抗の増加は、燃料電池の内部抵抗の増加を引き起こし、結果として端子電圧の低下を引き起こす。なお、ここで「界面抵抗」とは、固体電解質層間の界面、又は固体電解質層と電極層の界面での抵抗を意味し、粒界抵抗や反応抵抗なども含む。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題や知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固体電解質層として固体酸化物薄膜を用いるときでも、優れた耐熱衝撃性を有する固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
また、本発明の目的とするところは、ガス透過性及び発電性能が良好であり、界面抵抗が抑制される構造を簡便に形成できる固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、固体電解質層の緻密構造部と電極層との間隙にバッファ部を介在させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固体酸化物形燃料電池用単セルについて詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
また、説明の便宜上、電極層など各層の一方の面を「上面」、他の面を「下面」などと記載するが、これらは等価な要素であり、相互に置換した構成も本発明の範囲に含まれるのは言うまでもない。
【0009】
上述の如く、本発明の固体酸化物形燃料電池(以下「SOFC」と記載する)用単セルは、固体電解質層を上部電極層と下部電極層で狭持した積層構造を有する。また、上記固体電解質層は、柱状粒及び/又は微結晶、さらに非晶質や多結晶、もしくは単結晶で構成された緻密構造部を有する。
このような緻密構造部とすることで内部の結晶結合力が強まる。特に、柱状粒で構成されるときは、柱状粒同士が密着し結晶配向を示す場合がある。また、緻密構造部は単結晶で構成される場合もある。
【0010】
また、緻密構造部は、ガスを透過させない隔膜としての機能を果たすが、発電効率向上の観点からは、できる限り薄いことが望ましい。
このため、本発明の単セルは、緻密構造部の上面及び/又は下面に、バッファ部を設けて成る。言い換えれば、バッファ部を固体電解質層の緻密構造部と電極層との界面に配設して成る。
ここで、バッファ部は、柱状粒(柱状構造を有する結晶粒)が略層厚方向に林立した構造である。柱状粒は、緻密構造部の延在方向に対して90°±45°であればよく、より望ましくは90°±30°、特に望ましくは90°±10°であることがよい。各柱状粒は、応力を緩和できる限り、隣接する柱状粒とつながっていてもよいし、バッファ部の厚さより短い柱状粒が混在していてもよい。
また、各柱状粒自体は結晶結合力が強く、独立した柱状粒間は柱状粒内より弱い。各柱状粒は微結晶から構成される場合や単結晶から構成される場合があり、結晶配向性を示すこともある。各柱状粒は緻密構造部近傍又は電極層近傍から層厚方向に徐々に太くなる場合や、層厚方向に一定の太さである場合がある。柱状粒間にある空隙により、層厚方向に隣接した層の熱膨張に差異が生じた場合には、その空隙により応力を吸収できる。
【0011】
これより、固体電解質層を薄く緻密化した場合でも、電解質層にクラックが発生せず、固体電解質層と基板の界面又は電極層の界面での剥離、及び固体電解質層の割れが発生しない構造となる。また、クラックや剥離の防止に伴い、熱耐久性や耐熱衝撃性が向上するので、起動停止が迅速且つ頻繁に行われるSOFC、特に自動車等の移動体に搭載されるSOFCとして非常に好適に利用できる。
【0012】
また、上記バッファ部は、固体電解質材料で形成しても、電極材料で形成してもよく、これら材料の略独立な柱状粒より構成される。言い換えれば、固体電解質層は、緻密構造部単層でもよいし、また緻密構造部とバッファ部の積層構造としてもよい。
バッファ部を構成する柱状粒の間隔により、バッファ部の上面及び/又は下面に存在する電極層や緻密構造部の熱膨張係数の差に起因する熱応力が緩和される。また、柱状粒間の空隙によりバッファ部が疎になるため、発電に必要な触媒反応が起きる三相界面への酸素ガス分子や燃料ガス分子が効率良く拡散される。更に、緻密構造部とバッファ部を連続的に形成するときは、界面抵抗の増加が抑制され、粒界抵抗及び蓄電容量が低下する。
【0013】
具体的には、例えば、電極層となる支持基板上に、バッファ部、緻密構造部及びバッファ部をこの順に、全て固体電解質材料で構成した固体電解質層を配設できる。また、緻密構造部の上部及び下部に配設する電極層の双方又はいずれか一方の一部又は全部にバッファ部を設けることもできる。更に、かかるバッファ部を固体電解質材料と電極材料との積層構造としたり、これら材料を混合して構成することもできる。
なお、バッファ部の厚さは、バッファ部が固体電解質材料で構成されるときは、全固体電解質層の厚さの10〜1000%であることが望ましく、電極材料で構成されるときは、全固体電解質層の厚さの10〜5000%であることが望ましい。また、バッファ部又は緻密構造部は多層構造であってもよい。
【0014】
更に、上記バッファ部は、層厚方向且つ上記固体電解質層の緻密構造部に近づくにつれて、連続的に緻密化されて成ることが好ましい。
この場合は、SOFC用単セルの界面抵抗をより低減できる。また、これに伴って端子電圧を向上でき、高効率なSOFCに用い得る。
【0015】
なお、緻密構造部は、太さ0.00001〜0.001μm、アスペクト比が0.0001〜0.1の柱状粒や、平均径0.00001〜0.001μmの微結晶などで構成されることが望ましい。また、バッファ部は、太さ0.01〜1μm、アスペクト比が0.0001〜0.1の柱状粒で構成されることが好ましい。
代表的には、固体電解質層の厚さが1〜50μm、緻密構造部及びバッファ部を太さ0.05〜1μmの柱状粒で連続的に構成することができる。バッファ部の厚さは、要求される耐熱衝撃特性、基板や電極層や固体電解質層の熱膨張係数やヤング率などの膜特性、更に発電三層(上部電極層、固体電解質層及び下部電極層)の構成に依存するが、固体電解質層全体の厚さの10〜80%であることが望ましい。
【0016】
また、固体電解質層には、酸素イオン伝導性などを有する従来公知の材料、例えば酸化ネオジウム(Nd2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、イットリア(Y2O3)及び酸化ガドリニウム(Gd2O3)などを固溶した安定化ジルコニアや、セリア(CeO2)系固溶体、酸化ビスマス及びLaGaO3などを使用することができるが、これに限定されるものではない。
上部電極層及び下部電極層については、いずれか一方をいわゆる燃料極層、他方を空気極層として用いることができ、場合によっては両極層を同一材料で形成することも可能である。
代表的には、燃料極材料として、公知のニッケル、ニッケルサーメット及び白金などを使用することができ、空気極材料として、例えばLa1−xSrxMnO3、La1−xSrxCoO3などのペロブスカイト型酸化物を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0017】
なお、上記単セルは、層厚方向にスタック化したり層厚方向に対して垂直方向に複数個連結することができる。また、固体電解質層と電極層との間にシリコン基板などを介在させることができ、このときは固体電解質層などに加わる熱応力や機械的応力が緩和され、単セル構造を補強できる。
【0018】
本発明の固体酸化物形燃料電池は、上述のSOFC用単セルを用いて成る。これより、強度に優れ、且つガス拡散性が良好で、強度信頼性と発電効率とが両立した燃料電池となる。
【0019】
次に、本発明のSOFC用単セルの製造方法について説明する。
かかる製造方法では、上述の単セルを製造する際に、上記固体電解質層の緻密構造部及び/又は電極層(上部電極層、下部電極層)と上記バッファ部とを、PVD法によって連続的に形成する。言い換えれば、バッファ部とこれに接する緻密構造部や電極層を、同一チェンバー内で種々の成膜法を共用しながら切り替えることにより連続的な層変化を形成することができる。
このときは、例えばスクリーン印刷法などで必要な1200〜1700℃の高温焼成が不要となるので、金属製支持基板を使用して単セルを作製できる。また、スタック化組み立て加工が容易になり、また、燃料電池スタックを製造するときは量産性が良好となる。更に、得られた単セルを用いて、熱衝撃や機械的振動などで割れや破損が生じにくい燃料電池スタックを製造することができる。
かかるPVD法としては、具体的には、スパッタ法、蒸着法、エアロゾルデポジション法、イオンプレーティング法、イオンクラスタ法又はレーザービームアブレーション法、及びこれらの任意の組合せに係る成膜法が使用できる。
【0020】
また、これらの方法で固体電解質層や電極層を形成するに際して、その構造をバッファ部から緻密構造部に連続的に変化させるには、例えば基板温度を低温から高温へと変化させる方法、成膜圧力を低圧から高圧へと変化させる方法、基板バイアスを低電圧から高電圧に変化させる方法、原料を蒸発又はプラズマ化するパワーを低出力から高出力に変化させる方法などがある。
例えば、スパッタ法を利用した場合の層構造は、基板温度と成膜圧力に依存することが知られている(J.A.Thornton:J.Vac.Sci.T.,11(1974)666)。即ち、成膜圧力が低い場合(0.1〜1Pa)又は基板温度が高い場合(500〜700℃)に緻密構造部が形成できる。これは、前者の場合はガスによる散乱に起因するスパッタ原子のエネルギー損失が少ないため、後者の場合はスパッタ原子が熱エネルギーを吸収するため、表面に沈着したスパッタ原子が表面拡散し、結果として緻密化する。
従って、成膜条件を適宜設定することにより、緻密構造部やバッファ部を任意に形成でき、その成膜条件を連続的に変化させることにより、連続的に遷移層を形成できる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
燃料極層として機能するNiO−YSZサーメット基板上に、固体電解質層としてイオン導電性を有するイットリア安定化ジルコニア(YSZ)をスパッタ成膜し、更に空気極となるペロブスカイト型酸化物を形成して固体酸化物形燃料電池用単セルを得た。具体的には、以下の▲1▼〜▲4▼工程により製造した。
▲1▼室温においてガス圧を10Paとして独立した柱状粒で構成されたバッファ部(柱状構造層)を1μm形成した。
▲2▼その後、基板温度を次第に上げ、ガス圧を1Paまで低下させ、緻密構造部を2μm形成した。
▲3▼バッファ部の形成条件に徐々に戻し、再度バッファ部を1μm形成した。
▲4▼このバッファ部の上面に空気極となるペロブスカイト型酸化物を形成した。
これらのプロセスにより、固体電解質層がバッファ部〜緻密構造部〜バッファ部の3層で構成される固体酸化物形燃料電池用単セルを形成した。この単セルの断面図を図1に示す。
【0023】
(実施例2)
実施例1の▲1▼〜▲3▼工程を繰り返して、燃料極上にバッファ部と緻密構造部の積層構造層を形成し、最後に空気極となるペロブスカイト型酸化物を形成した。これにより積層構造を有する固体電解質層から成る固体酸化物形燃料電池を形成した。この単セルの断面図を図2に示す。
【0024】
(実施例3)
図3に示すように、緻密構造部の上面に設けたバッファ部を空気極材料で作製した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例の固体酸化物形燃料電池用単セルを形成した。
即ち、まず、燃料極基板上にYSZの緻密構造部とバッファ部(独立柱状粒層)を実施例1と同様の条件にて成膜した。そして緻密構造部の成膜終了前に、空気極材料であるペロブスカイト型酸化物のスパッタを開始し、遷移層を共スパッタで形成し、またそれと同時に基板温度を下げた。その後、YSZのスパッタを終了し、バッファ部を有する空気極を形成した。
これらのプロセスにより、固体電解質層がバッファ部と緻密構造部の2層で構成され、空気極がバッファ部を有する固体酸化物形燃料電池用単セルを形成した。
【0025】
(参考例1)
図4及び図5に、スパッタによって形成したYSZの緻密構造部の電子顕微鏡による断面写真を示す。基板として、窒化珪素をCVDによって堆積したシリコン基板を用いている。図4は700℃の基板加熱を行った場合の写真であり、図5は700℃の基板加熱を行いながら基板バイアスを印加した場合の写真である。
図4及び図5より、緻密な薄膜が得られていることがわかる。
【0026】
(参考例2)
図6に独立した柱状粒で構成されたバッファ部の断面図を示す。室温において、ガス圧を10Paに設定して形成した。図6より、疎なバッファ部が得られていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、固体電解質層の緻密構造部と電極層との間隙にバッファ部を介在させることとしたため、固体電解質層として固体酸化物薄膜を用いるときでも、優れた耐熱衝撃性を有する固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池、及びガス透過性及び発電性能が良好であり、界面抵抗が抑制される構造を簡便に形成できる固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層固体電解質を有する固体酸化物形燃料電池用単セルの断面図である。
【図2】多層周期構造の固体電解質を有する固体酸化物形燃料電池用単セルの断面図である。
【図3】一端の柱状構造層が空気極として機能する固体酸化物形燃料電池用単セルの断面図である。
【図4】緻密構造部を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】緻密構造部を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】バッファ部(柱状構造層)を示す電子顕微鏡写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池用単セル、固体酸化物形燃料電池(SOFC)及び固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法に係り、更に詳細には、多層構造による界面抵抗の増加を抑制し、耐熱衝撃性及び電池性能を向上させた固体酸化物形燃料電池用単セル、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、化学エネルギーを電気化学的な反応により電気エネルギーに変換する装置である。固体酸化物形燃料電池(SOFC)の場合、燃料極、固体電解質及び空気極の各層を互いに積層した3層を燃料電池の発電部とし、外部から燃料極には水素、炭化水素等の燃料ガスを供給し、空気極には空気等の酸化剤ガスを供給して電気を発生させる。
【0003】
ここで、固体電解質は、酸素イオンの導電体であり、その導電率の向上にはその膜厚をより薄くすることが望ましい。また、固体電解質はガスの隔壁としての機能を果たす必要があるため、その性状はより緻密であることが要求される。
空気極は、酸素分子を酸素イオンに変換する触媒機能を有する必要があり、また酸化に強く、酸化剤ガスを透過し、電気伝導度が高いことが望ましい。
燃料極は、水素分子をプロトンに変換する触媒機能を有する必要があり、また還元に強く、燃料ガスを透過し、電気伝導度が高いことが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、緻密な固体電解質層を形成した場合、形成時の膜応力が大きくなる。このため、従来のSOFCにおいては、基板と固体電解質層の熱膨張率の差や形成後の固体電解質層の膜応力に起因して、高温時や昇降温時にクラックが発生したり、固体電解質層と基板、又は固体電解質層と電極層の界面で剥離が発生するという問題点があった。
特に、自動車等の移動体に搭載するSOFCでは、起動停止が迅速且つ頻繁に行われるため、熱耐久性、耐熱衝撃性を向上させる上で、固体電解質層のクラック、固体電解質層と基板、又は固体電解質層と電極層の界面での剥離、及び固体電解質層の割れを防止することが極めて重要となる。
【0005】
また、熱耐久性、耐熱衝撃性の向上のためには、固体電解質が熱応力の緩和機構を有することが望ましい。しかし、この応力緩和のために疎の固体電解質を形成した場合、燃料極側からの燃料ガスの透過が問題となる。このような透過が発生した場合、水素分圧の低下に伴い燃料極側の酸素分圧が上昇し、酸素分圧差が低下することから燃料電池の起電力が低下する。また、固体電解質を透過した燃料ガスと酸化剤ガスが空気極で反応し、反応物が生成される可能性がある。
更に、固体電解質層と電極層の熱膨張率の差を緩和することを目的として、固体電解質層と電極層の界面に、両方の材料の混合層を作りこむ手法や、熱膨張率が中間の材料を作りこむ手法などが公知である。これらのように固体電解質を多層構造にした場合、層間の界面数が増加し、この界面がイオン導電の抵抗となる。この界面抵抗の増加は、燃料電池の内部抵抗の増加を引き起こし、結果として端子電圧の低下を引き起こす。なお、ここで「界面抵抗」とは、固体電解質層間の界面、又は固体電解質層と電極層の界面での抵抗を意味し、粒界抵抗や反応抵抗なども含む。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題や知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固体電解質層として固体酸化物薄膜を用いるときでも、優れた耐熱衝撃性を有する固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
また、本発明の目的とするところは、ガス透過性及び発電性能が良好であり、界面抵抗が抑制される構造を簡便に形成できる固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、固体電解質層の緻密構造部と電極層との間隙にバッファ部を介在させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固体酸化物形燃料電池用単セルについて詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
また、説明の便宜上、電極層など各層の一方の面を「上面」、他の面を「下面」などと記載するが、これらは等価な要素であり、相互に置換した構成も本発明の範囲に含まれるのは言うまでもない。
【0009】
上述の如く、本発明の固体酸化物形燃料電池(以下「SOFC」と記載する)用単セルは、固体電解質層を上部電極層と下部電極層で狭持した積層構造を有する。また、上記固体電解質層は、柱状粒及び/又は微結晶、さらに非晶質や多結晶、もしくは単結晶で構成された緻密構造部を有する。
このような緻密構造部とすることで内部の結晶結合力が強まる。特に、柱状粒で構成されるときは、柱状粒同士が密着し結晶配向を示す場合がある。また、緻密構造部は単結晶で構成される場合もある。
【0010】
また、緻密構造部は、ガスを透過させない隔膜としての機能を果たすが、発電効率向上の観点からは、できる限り薄いことが望ましい。
このため、本発明の単セルは、緻密構造部の上面及び/又は下面に、バッファ部を設けて成る。言い換えれば、バッファ部を固体電解質層の緻密構造部と電極層との界面に配設して成る。
ここで、バッファ部は、柱状粒(柱状構造を有する結晶粒)が略層厚方向に林立した構造である。柱状粒は、緻密構造部の延在方向に対して90°±45°であればよく、より望ましくは90°±30°、特に望ましくは90°±10°であることがよい。各柱状粒は、応力を緩和できる限り、隣接する柱状粒とつながっていてもよいし、バッファ部の厚さより短い柱状粒が混在していてもよい。
また、各柱状粒自体は結晶結合力が強く、独立した柱状粒間は柱状粒内より弱い。各柱状粒は微結晶から構成される場合や単結晶から構成される場合があり、結晶配向性を示すこともある。各柱状粒は緻密構造部近傍又は電極層近傍から層厚方向に徐々に太くなる場合や、層厚方向に一定の太さである場合がある。柱状粒間にある空隙により、層厚方向に隣接した層の熱膨張に差異が生じた場合には、その空隙により応力を吸収できる。
【0011】
これより、固体電解質層を薄く緻密化した場合でも、電解質層にクラックが発生せず、固体電解質層と基板の界面又は電極層の界面での剥離、及び固体電解質層の割れが発生しない構造となる。また、クラックや剥離の防止に伴い、熱耐久性や耐熱衝撃性が向上するので、起動停止が迅速且つ頻繁に行われるSOFC、特に自動車等の移動体に搭載されるSOFCとして非常に好適に利用できる。
【0012】
また、上記バッファ部は、固体電解質材料で形成しても、電極材料で形成してもよく、これら材料の略独立な柱状粒より構成される。言い換えれば、固体電解質層は、緻密構造部単層でもよいし、また緻密構造部とバッファ部の積層構造としてもよい。
バッファ部を構成する柱状粒の間隔により、バッファ部の上面及び/又は下面に存在する電極層や緻密構造部の熱膨張係数の差に起因する熱応力が緩和される。また、柱状粒間の空隙によりバッファ部が疎になるため、発電に必要な触媒反応が起きる三相界面への酸素ガス分子や燃料ガス分子が効率良く拡散される。更に、緻密構造部とバッファ部を連続的に形成するときは、界面抵抗の増加が抑制され、粒界抵抗及び蓄電容量が低下する。
【0013】
具体的には、例えば、電極層となる支持基板上に、バッファ部、緻密構造部及びバッファ部をこの順に、全て固体電解質材料で構成した固体電解質層を配設できる。また、緻密構造部の上部及び下部に配設する電極層の双方又はいずれか一方の一部又は全部にバッファ部を設けることもできる。更に、かかるバッファ部を固体電解質材料と電極材料との積層構造としたり、これら材料を混合して構成することもできる。
なお、バッファ部の厚さは、バッファ部が固体電解質材料で構成されるときは、全固体電解質層の厚さの10〜1000%であることが望ましく、電極材料で構成されるときは、全固体電解質層の厚さの10〜5000%であることが望ましい。また、バッファ部又は緻密構造部は多層構造であってもよい。
【0014】
更に、上記バッファ部は、層厚方向且つ上記固体電解質層の緻密構造部に近づくにつれて、連続的に緻密化されて成ることが好ましい。
この場合は、SOFC用単セルの界面抵抗をより低減できる。また、これに伴って端子電圧を向上でき、高効率なSOFCに用い得る。
【0015】
なお、緻密構造部は、太さ0.00001〜0.001μm、アスペクト比が0.0001〜0.1の柱状粒や、平均径0.00001〜0.001μmの微結晶などで構成されることが望ましい。また、バッファ部は、太さ0.01〜1μm、アスペクト比が0.0001〜0.1の柱状粒で構成されることが好ましい。
代表的には、固体電解質層の厚さが1〜50μm、緻密構造部及びバッファ部を太さ0.05〜1μmの柱状粒で連続的に構成することができる。バッファ部の厚さは、要求される耐熱衝撃特性、基板や電極層や固体電解質層の熱膨張係数やヤング率などの膜特性、更に発電三層(上部電極層、固体電解質層及び下部電極層)の構成に依存するが、固体電解質層全体の厚さの10〜80%であることが望ましい。
【0016】
また、固体電解質層には、酸素イオン伝導性などを有する従来公知の材料、例えば酸化ネオジウム(Nd2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、イットリア(Y2O3)及び酸化ガドリニウム(Gd2O3)などを固溶した安定化ジルコニアや、セリア(CeO2)系固溶体、酸化ビスマス及びLaGaO3などを使用することができるが、これに限定されるものではない。
上部電極層及び下部電極層については、いずれか一方をいわゆる燃料極層、他方を空気極層として用いることができ、場合によっては両極層を同一材料で形成することも可能である。
代表的には、燃料極材料として、公知のニッケル、ニッケルサーメット及び白金などを使用することができ、空気極材料として、例えばLa1−xSrxMnO3、La1−xSrxCoO3などのペロブスカイト型酸化物を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0017】
なお、上記単セルは、層厚方向にスタック化したり層厚方向に対して垂直方向に複数個連結することができる。また、固体電解質層と電極層との間にシリコン基板などを介在させることができ、このときは固体電解質層などに加わる熱応力や機械的応力が緩和され、単セル構造を補強できる。
【0018】
本発明の固体酸化物形燃料電池は、上述のSOFC用単セルを用いて成る。これより、強度に優れ、且つガス拡散性が良好で、強度信頼性と発電効率とが両立した燃料電池となる。
【0019】
次に、本発明のSOFC用単セルの製造方法について説明する。
かかる製造方法では、上述の単セルを製造する際に、上記固体電解質層の緻密構造部及び/又は電極層(上部電極層、下部電極層)と上記バッファ部とを、PVD法によって連続的に形成する。言い換えれば、バッファ部とこれに接する緻密構造部や電極層を、同一チェンバー内で種々の成膜法を共用しながら切り替えることにより連続的な層変化を形成することができる。
このときは、例えばスクリーン印刷法などで必要な1200〜1700℃の高温焼成が不要となるので、金属製支持基板を使用して単セルを作製できる。また、スタック化組み立て加工が容易になり、また、燃料電池スタックを製造するときは量産性が良好となる。更に、得られた単セルを用いて、熱衝撃や機械的振動などで割れや破損が生じにくい燃料電池スタックを製造することができる。
かかるPVD法としては、具体的には、スパッタ法、蒸着法、エアロゾルデポジション法、イオンプレーティング法、イオンクラスタ法又はレーザービームアブレーション法、及びこれらの任意の組合せに係る成膜法が使用できる。
【0020】
また、これらの方法で固体電解質層や電極層を形成するに際して、その構造をバッファ部から緻密構造部に連続的に変化させるには、例えば基板温度を低温から高温へと変化させる方法、成膜圧力を低圧から高圧へと変化させる方法、基板バイアスを低電圧から高電圧に変化させる方法、原料を蒸発又はプラズマ化するパワーを低出力から高出力に変化させる方法などがある。
例えば、スパッタ法を利用した場合の層構造は、基板温度と成膜圧力に依存することが知られている(J.A.Thornton:J.Vac.Sci.T.,11(1974)666)。即ち、成膜圧力が低い場合(0.1〜1Pa)又は基板温度が高い場合(500〜700℃)に緻密構造部が形成できる。これは、前者の場合はガスによる散乱に起因するスパッタ原子のエネルギー損失が少ないため、後者の場合はスパッタ原子が熱エネルギーを吸収するため、表面に沈着したスパッタ原子が表面拡散し、結果として緻密化する。
従って、成膜条件を適宜設定することにより、緻密構造部やバッファ部を任意に形成でき、その成膜条件を連続的に変化させることにより、連続的に遷移層を形成できる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
燃料極層として機能するNiO−YSZサーメット基板上に、固体電解質層としてイオン導電性を有するイットリア安定化ジルコニア(YSZ)をスパッタ成膜し、更に空気極となるペロブスカイト型酸化物を形成して固体酸化物形燃料電池用単セルを得た。具体的には、以下の▲1▼〜▲4▼工程により製造した。
▲1▼室温においてガス圧を10Paとして独立した柱状粒で構成されたバッファ部(柱状構造層)を1μm形成した。
▲2▼その後、基板温度を次第に上げ、ガス圧を1Paまで低下させ、緻密構造部を2μm形成した。
▲3▼バッファ部の形成条件に徐々に戻し、再度バッファ部を1μm形成した。
▲4▼このバッファ部の上面に空気極となるペロブスカイト型酸化物を形成した。
これらのプロセスにより、固体電解質層がバッファ部〜緻密構造部〜バッファ部の3層で構成される固体酸化物形燃料電池用単セルを形成した。この単セルの断面図を図1に示す。
【0023】
(実施例2)
実施例1の▲1▼〜▲3▼工程を繰り返して、燃料極上にバッファ部と緻密構造部の積層構造層を形成し、最後に空気極となるペロブスカイト型酸化物を形成した。これにより積層構造を有する固体電解質層から成る固体酸化物形燃料電池を形成した。この単セルの断面図を図2に示す。
【0024】
(実施例3)
図3に示すように、緻密構造部の上面に設けたバッファ部を空気極材料で作製した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例の固体酸化物形燃料電池用単セルを形成した。
即ち、まず、燃料極基板上にYSZの緻密構造部とバッファ部(独立柱状粒層)を実施例1と同様の条件にて成膜した。そして緻密構造部の成膜終了前に、空気極材料であるペロブスカイト型酸化物のスパッタを開始し、遷移層を共スパッタで形成し、またそれと同時に基板温度を下げた。その後、YSZのスパッタを終了し、バッファ部を有する空気極を形成した。
これらのプロセスにより、固体電解質層がバッファ部と緻密構造部の2層で構成され、空気極がバッファ部を有する固体酸化物形燃料電池用単セルを形成した。
【0025】
(参考例1)
図4及び図5に、スパッタによって形成したYSZの緻密構造部の電子顕微鏡による断面写真を示す。基板として、窒化珪素をCVDによって堆積したシリコン基板を用いている。図4は700℃の基板加熱を行った場合の写真であり、図5は700℃の基板加熱を行いながら基板バイアスを印加した場合の写真である。
図4及び図5より、緻密な薄膜が得られていることがわかる。
【0026】
(参考例2)
図6に独立した柱状粒で構成されたバッファ部の断面図を示す。室温において、ガス圧を10Paに設定して形成した。図6より、疎なバッファ部が得られていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、固体電解質層の緻密構造部と電極層との間隙にバッファ部を介在させることとしたため、固体電解質層として固体酸化物薄膜を用いるときでも、優れた耐熱衝撃性を有する固体酸化物形燃料電池用単セル及び固体酸化物形燃料電池、及びガス透過性及び発電性能が良好であり、界面抵抗が抑制される構造を簡便に形成できる固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層固体電解質を有する固体酸化物形燃料電池用単セルの断面図である。
【図2】多層周期構造の固体電解質を有する固体酸化物形燃料電池用単セルの断面図である。
【図3】一端の柱状構造層が空気極として機能する固体酸化物形燃料電池用単セルの断面図である。
【図4】緻密構造部を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】緻密構造部を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】バッファ部(柱状構造層)を示す電子顕微鏡写真である。
Claims (5)
- 固体電解質層を上部電極層と下部電極層で狭持した積層構造を有する固体酸化物形燃料電池用単セルにおいて、
上記固体電解質層が柱状粒及び/又は微結晶、さらに非晶質や多結晶、もしくは単結晶で構成された緻密構造部を有し、この緻密構造部の上面及び/又は下面に、固体電解質材料及び/又は電極材料の略独立な柱状粒より構成されたバッファ部を配設して成ることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用単セル。 - 上記バッファ部が、層厚方向且つ上記固体電解質層の緻密構造部に近づくにつれて、連続的に緻密化されて成ることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用単セル。
- 上記バッファ部が、太さ0.001〜1.0μm、アスペクト比0.0001〜0.1である柱状粒より構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用単セル。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用単セルを用いて成ることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法であって、
上記緻密構造部及び/又は電極層と上記バッファ部とを、スパッタ法、蒸着法、エアロゾルデポジション法、イオンプレーティング法、イオンクラスタ法及びレーザービームアブレーション法から成る群より選ばれた少なくとも1種のPVD法によって連続して形成することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法。
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