JP2003297623A - 六方晶フェライト焼結体の製造方法 - Google Patents

六方晶フェライト焼結体の製造方法

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JP2003297623A
JP2003297623A JP2002096941A JP2002096941A JP2003297623A JP 2003297623 A JP2003297623 A JP 2003297623A JP 2002096941 A JP2002096941 A JP 2002096941A JP 2002096941 A JP2002096941 A JP 2002096941A JP 2003297623 A JP2003297623 A JP 2003297623A
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coercive force
sintered
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Katsumi Saito
勝美 斎藤
Hitoshi Taguchi
仁 田口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残留磁束密度を実質的に低下させることな
く、また、Coの添加量を増加させることなく、フェラ
イト焼結磁石の保磁力を向上させる。 【解決手段】 Fe、元素A(Sr、BaおよびPbの
1種以上)、元素R(希土類元素およびBiの1種以
上)、元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnの1
種以上)を含有し、A1-xx(Fe12-yyz19にお
いて0<x≦0.4、1<x/yz<2、1≦z≦1.
3であり、さらに、PCa=100Ca/(A+R+Fe
+M+Ca+Si)としたとき、6.5≦7.5z−P
Ca≦7.2である焼結体を製造するに際し、焼結工程に
おいて、降温過程の少なくとも1000℃超かつ焼結温
度以下の温度範囲内に、降温速度が5℃/min超である高
速降温域を温度幅50℃以上にわたって設ける六方晶フ
ェライト焼結体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、マグネトプランバ
イト型六方晶フェライト焼結磁石等の六方晶フェライト
焼結体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】酸化物永久磁石材料としては、六方晶系
のマグネトプランバイト型(M型)のSrフェライトま
たはBaフェライトが主に用いられており、これらは焼
結磁石やボンディッド磁石として利用されている。 【0003】本発明者らは、例えば特開平11−154
604号公報において、従来のM型フェライト焼結磁石
では達成不可能であった高い残留磁束密度と高い保磁力
とを有するフェライト焼結磁石を提案している。このフ
ェライト焼結磁石は、少なくともSr、LaおよびCo
を含有し、六方晶M型フェライトの主相を有するもので
ある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】焼結磁石は、原料粉末
を成形して焼成することにより製造される。原料粉末の
粒径を小さくすると、焼結体の結晶粒径を小さくするで
きるため、保磁力が向上する。しかし、原料粉末の粒径
を小さくすると、磁場中成形の際の粒子の配向度が低下
するため、残留磁束密度が低下し、また、成形性も悪化
するという問題がある。また、上記特開平11−154
604号公報に示されるように、LaおよびCoを含有
させることにより、フェライト焼結磁石の保磁力および
残留磁束密度を著しく向上させることができるが、Co
は高価であるためコストアップを招く。 【0005】このような事情から、保磁力および残留磁
束密度が共に高いフェライト焼結磁石を低コストで製造
することは困難であった。 【0006】また、フェライト焼結磁石をモータに適用
した場合、磁石の比抵抗が低いと渦電流損失が大きくな
り、モータの発熱が大きくなってしまう。しかし、フェ
ライト焼結磁石の比抵抗を向上させる簡易な手段は知ら
れていない。 【0007】本発明は、残留磁束密度を実質的に低下さ
せることなく、また、Coの添加量を増加させることな
く、フェライト焼結磁石の保磁力を向上させることを目
的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)の本発明により達成される。 (1) Fe、元素A(Aは、Sr、BaおよびPbか
ら選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類
元素およびBiから選択される少なくとも1種)、元素
M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される
少なくとも1種)を含有する六方晶フェライト焼結体を
製造する方法であって、前記六方晶フェライト焼結体に
おいて、A、R、Fe、Mおよび酸素(O)の原子比を 式I A1-xx(Fe12-yyz19 で表したとき、 0<x≦0.4、 1<x/yz<2、 1≦z≦1.3 であり、さらに、CaおよびSiを含有し、 式II 100Ca/(A+R+Fe+M+Ca+Si) で表されるCaの原子百分率をPCaとしたとき、 6.5≦7.5z−PCa≦7.2 であり、焼結工程において、降温過程の少なくとも10
00℃超かつ焼結温度以下の温度範囲内に、降温速度が
5℃/min超である高速降温域を温度幅50℃以上にわた
って設ける六方晶フェライト焼結体の製造方法。 【0009】 【作用および効果】本発明では、フェライト焼結磁石を
製造するに際し、焼結時の降温過程の特定の温度範囲
に、降温速度の速い高速降温域を設ける。これにより、
残留磁束密度を実質的に低下させることなく保磁力を向
上させることができる。 【0010】降温速度を本発明に基づいて制御した場
合、保磁力が向上すると共に磁石の比抵抗が増大する。
したがって、本発明によって製造された磁石を例えばモ
ータに適用した場合、渦電流損失が小さくなるため発熱
を少なくできる。 【0011】本発明は、M型、W型、X型、Y型、Z型
等の各種六方晶フェライト焼結磁石の製造において有効
であるが、上記元素Mおよび上記元素Rを含有する六方
晶M型フェライト焼結磁石の製造において特に有効であ
る。すなわち、この組成の磁石の製造に本発明を適用し
たときに、保磁力向上率が特に高くなると共に、比抵抗
向上率も特に高くなる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下では、Fe、元素A(Aは、
Sr、BaおよびPbから選択される少なくとも1
種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択さ
れる少なくとも1種)および元素M(Mは、Co、M
n、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)を
含有する六方晶マグネトプランバイト型フェライト焼結
磁石の製造に本発明を適用する場合を例に挙げて、説明
する。 【0013】製造方法 本発明の製造方法は、原料粉末の成形体を焼結して焼結
磁石を得る焼結工程を有する。本発明では、焼結工程の
降温過程において、降温速度の速い高速降温域を設ける
ことにより、焼結磁石の保磁力を向上させる。 【0014】本発明において、高速降温域における降温
速度は、5℃/min超、好ましくは10℃/min以上、より
好ましくは15℃/min以上である。高速降温域における
降温速度が遅すぎると、本発明の効果が実現しない。 【0015】焼結工程における温度変化パターンを、図
1に模式的に示す。図1に示す焼結工程は、昇温過程、
安定温度域および降温過程から構成される。なお、本発
明は、安定温度域を設けずに昇温過程と降温過程とから
なる焼結工程にも適用できる。図1における降温過程
は、上記高速降温域と、降温速度が高速降温域より遅い
通常降温域とから構成される。T1およびT2は、それ
ぞれ高速降温域の開始温度および終了温度である。 【0016】次に、高速降温域が満足すべき条件につい
て説明する。本発明では、降温過程の1000℃超かつ
焼結温度以下の温度範囲内に、上記高速降温域を温度幅
50℃以上、好ましくは温度幅100℃以上、さらに好
ましくは上記温度範囲の全域にわたって設ける。本発明
における焼結温度とは、焼結時の最高温度または安定温
度域の温度(安定温度)である。 【0017】なお、高速降温域における降温速度の上限
は特にないが、好ましくは100℃/min以下、より好ま
しくは50℃/min以下とする。降温速度をさらに速くし
ても保磁力がさらに向上するわけではなく、また、降温
速度を著しく速くするためには炉の改造が必要であり、
コストアップを招く。 【0018】高速降温域が上記した条件を満足する限
り、T1およびT2の具体的値は特に限定されない。例
えば、T2は室温であってもよく、また、T1が、焼結
温度(最高温度または安定温度)T0と同じであっても
よい。 【0019】焼結工程における条件は、温度変化パター
ン以外は特に限定されず、従来の条件と同様であってよ
い。例えば、焼結温度(最高温度または安定温度)は、
好ましくは1150〜1250℃、より好ましくは11
60〜1230℃とし、この温度範囲に保持する時間ま
たは安定温度に保持する時間(安定時間)は、好ましく
は0.5〜3時間である。焼結工程は、通常、空気中で
行えばよいが、酸素分圧を制御した雰囲気中で行っても
よい。 【0020】次に、本発明の製造方法における、焼結工
程以外の各種条件等について説明する。 【0021】成形対象の原料粉末は、六方晶マグネトプ
ランバイト型(M型)フェライト相を有するものであれ
ば特に限定されない。原料粉末は、例えば、いわゆる仮
焼によって固相反応により製造してもよく、共沈法や水
熱合成法などにより製造してもよい。以降では、主とし
て仮焼工程を設ける場合について説明する。 【0022】まず、出発原料を混合した後、仮焼し、仮
焼体を得る。この仮焼体を解砕ないし粉砕して粉末化
し、上記原料粉末を得る。そして、この原料粉末を成形
した後、焼成する。 【0023】出発原料としては、フェライト構成元素
(Fe、元素A、元素R、元素M等)の1種を含有する
化合物、またはこれらの2種以上を含有する化合物を用
いればよい。元素Aを含む出発原料には、ストック時の
安定性が良好であることから、水酸化物または炭酸塩を
用いることが好ましい。このほか、焼結助剤として、S
i化合物および/またはCa化合物が用いられる。Si
化合物としてはSiO2が好ましく、Ca化合物として
はCaCO3が好ましい。Si化合物のSiO2換算での
添加量は、出発原料全体の0.1〜2質量%程度とすれ
ばよく、Ca化合物のCaCO3換算での添加量は、磁
石中におけるCaの原子百分率が後述する限定範囲内と
なるように決定すればよい。Si化合物および/または
Ca化合物の添加量が少なすぎると焼結が不完全になり
やすく、添加量が多すぎると磁石特性が低下しやすい。 【0024】出発原料には、酸化物粉末、または焼成に
より酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝
酸塩等の粉末を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定
されないが、通常、0.1〜2μm程度とすることが好
ましい。特に酸化鉄は微細粉末を用いることが好まし
く、具体的には一次粒子の平均粒径が好ましくは1μm
以下、より好ましくは0.5μm以下のものを用いる。 【0025】仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中
で行えばよい。仮焼条件は特に限定されないが、通常、
安定温度は1000〜1350℃、安定時間は1秒間〜
10時間、より好ましくは1秒間〜3時間とすればよ
い。仮焼体は、実質的にマグネトプランバイト型のフェ
ライト構造をもち、その一次粒子の平均粒径は、好まし
くは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ま
しくは0.1〜1μm、最も好ましくは0.1〜0.5
μmである。平均粒径は走査型電子顕微鏡により測定す
ることができる。 【0026】出発原料化合物は、仮焼前にすべてを混合
する必要はなく、各化合物の一部または全部を仮焼後に
添加する構成としてもよい。特に、焼結助剤として用い
るSi化合物およびCa化合物は、一部、好ましくは全
部を、仮焼後に添加することが好ましい。 【0027】焼結助剤以外の化合物、すなわち、Fe、
元素A、元素Rまたは元素Mを含有する化合物の少なく
とも一部を仮焼後に添加する方法を、本明細書では後添
加法と呼ぶ。この後添加法では、まず、少なくとも前記
元素Aを含有する六方晶フェライトを主相とする仮焼体
を製造する。次いで、この仮焼体を粉砕した後、または
粉砕時に、後添加する化合物(後添加物)を仮焼体に添
加し、その後、成形し、焼結する。元素Rおよび元素M
から選択される1種または2種以上の元素、好ましくは
元素Rおよび元素Mの両方が後添加物に含有されるよう
に、後添加する化合物を選択すれば、複数のキュリー温
度をもつ磁石を得ることができ、その結果、高磁気特性
が得られる。 【0028】後添加物の量は、仮焼体の好ましくは1〜
100体積%、より好ましくは5〜70体積%、さらに
好ましくは10〜50体積%である。元素Rを含有する
化合物としてはR酸化物を用いることができるが、R酸
化物は水に対する溶解度が比較的大きいため、湿式成形
の際に流出してしまうなどの問題がある。また、吸湿性
もあるため、秤量誤差の原因になりやすい。そのため、
R化合物としては炭酸塩または水酸化物が好ましい。そ
のほかの元素の後添加物は、酸化物、または焼成により
酸化物となる化合物、例えば炭酸塩や水酸化物として添
加すればよい。 【0029】後添加物の添加時期は、仮焼後かつ焼結前
であればよいが、好ましくは、次に説明する粉砕時に添
加する。ただし、仮焼体ではなく、共沈法や水熱合成法
などにより製造され、少なくとも前記元素Aを含有する
六方晶フェライトを主相とする粒子に後添加物を添加し
てもよい。 【0030】元素Rまたは元素Mについては、磁石中に
含まれる全量の好ましくは30%以上、より好ましくは
50%以上が、後添加物として添加されることが望まし
い。そのほかの元素については、後添加物として添加さ
れる量は特に限定されない。なお、後添加物の平均粒径
は、0.1〜2μm程度であることが好ましい。 【0031】ここで、後添加物の添加量について、具体
的に説明する。例えば、 Sr:La:Fe:Co=0.8:0.2:11.8:
0.2 である焼結磁石の製造を目的とする場合、原料配合時に
は Sr:Fe=0.8:9.6(=1:12) の割合で混合して仮焼し、得られた仮焼体に、 La:Fe:Co=0.2:2.2:0.2 である後添加物を添加して焼成することにより、上記し
た目的組成の焼結磁石が得られる。また、例えば、 Sr:Fe=0.8:11.8(=1:14.75) の割合で混合して仮焼し(このとき仮焼体はM型Srフ
ェライトとα−Fe23との2相状態となる)、得られ
た仮焼体に La:Co=0.2:0.2 である後添加物を添加して焼成することによっても、上
記した目的組成の焼結磁石が得られる。 【0032】後添加法により製造された焼結磁石が複数
のキュリー温度をもつ理由は明確ではないが、次のよう
に考えられる。焼結時には、M型フェライト相を有する
仮焼体粒子と後添加物との反応が生じるが、その過程で
La濃度およびCo濃度が高いM型フェライト部分と、
これらの濃度が低いM型フェライト部分とが生じると考
えられる。すなわち、後添加物中のLaやCoが、焼結
時に仮焼体粒子の中心に向かって拡散していくとする
と、焼結後の結晶粒中におけるLaやCoの濃度は、中
心部よりも表層部で高くなりやすいと考えられる。キュ
リー温度はLaやCoの置換量、特にLaの置換量に依
存するため、複数のキュリー温度の存在は、結晶粒中に
おけるLaやCoの濃度分布の存在を反映していると考
えられる。 【0033】次に、成形およびその前工程である粉砕に
ついて説明する。 【0034】原料粉末の成形には、乾式成形法を用いて
も湿式成形法を用いてもよく、いずれの場合でも本発明
の効果は実現する。ただし、より高い磁気特性が得られ
る点では、湿式成形法を利用することが好ましい。湿式
成形では、原料粉末と、分散媒としての水と、分散剤と
を含む成形用スラリーを用いることが好ましい。なお、
分散剤の効果をより高くするためには、湿式成形工程の
前に湿式粉砕工程を設けることが好ましい。また、原料
粉末として仮焼体粉末を用いる場合、仮焼体は一般に顆
粒から構成されるので、仮焼体の粗粉砕ないし解砕のた
めに、湿式粉砕工程の前に乾式粗粉砕工程を設けること
が好ましい。なお、共沈法や水熱合成法などにより原料
粉末を製造した場合には、通常、乾式粗粉砕工程は設け
ず、湿式粉砕工程も必須ではないが、配向度をより高く
するためには湿式粉砕工程を設けることが好ましい。以
下では、仮焼体粉末を原料粉末として用い、乾式粗粉砕
工程および湿式粉砕工程を設ける場合について説明す
る。 【0035】乾式粗粉砕工程では、通常、BET比表面
積が2〜10倍程度となるまで粉砕する。粉砕後におい
て、平均粒径は好ましくは0.1〜1μm程度、BET
比表面積は好ましくは4〜10m2/g程度である。粉砕手
段は特に限定されず、例えば乾式振動ミル、乾式アトラ
イター(媒体攪拌型ミル)、乾式ボールミル等が使用で
きるが、特に乾式振動ミルを用いることが好ましい。粉
砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。な
お、仮焼後に一部の出発原料を添加する場合には、この
乾式粗粉砕工程において添加することが好ましい。Si
2と、焼成によりCaOとなるCaCO3とは、それぞ
れの少なくとも一部をこの乾式粗粉砕工程またはこれに
続く湿式粉砕工程において添加することが好ましい。 【0036】乾式粗粉砕には、仮焼体粒子に結晶歪を導
入して保磁力HcBを小さくする効果もある。保磁力の低
下により粒子の凝集が抑制され、分散性が向上する。ま
た、軟磁性化することにより、配向度も向上する。軟磁
性化された粒子は、後の焼結工程において本来の硬磁性
に戻る。 【0037】乾式粗粉砕の後、粉砕された粒子と水とを
含む粉砕用スラリーを調製し、これを用いて湿式粉砕を
行う。粉砕用スラリー中の原料粉末の含有量は、10〜
70質量%程度であることが好ましい。湿式粉砕に用い
る粉砕手段は特に限定されないが、通常、ボールミル、
アトライター、振動ミル等を用いることが好ましい。粉
砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。 【0038】湿式粉砕後、粉砕用スラリーを濃縮して成
形用スラリーを調製する。濃縮は、遠心分離などによっ
て行えばよい。成形用スラリー中の原料粉末の含有量
は、60〜90質量%程度であることが好ましい。 【0039】湿式成形工程では、成形用スラリーを用い
て磁場中成形を行う。成形圧力は10〜50MPa程度、
印加磁場強度は0.5〜1.5T程度とすればよい。 【0040】成形用のスラリーに非水系の分散媒を用い
ると高配向度が得られるが、環境への負荷を軽減するた
めには水系分散媒を用いることが好ましい。そして、水
系分散媒を用いることによる配向度の低下を補うため
に、成形用スラリー中に分散剤を存在させることが好ま
しい。この場合に用いる分散剤は、水酸基およびカルボ
キシル基を有する有機化合物であるか、その中和塩であ
るか、そのラクトンであるか、ヒロドキシメチルカルボ
ニル基を有する有機化合物であるか、酸として解離し得
るエノール型水酸基を有する有機化合物であるか、その
中和塩であることが好ましい。このような分散剤は、例
えば特開平11−214208号公報に記載されてい
る。 【0041】なお、非水系の分散媒を用いる場合には、
例えば特開平6−53064号公報に記載されているよ
うに、トルエンやキシレンのような有機溶媒に、例えば
オレイン酸のような界面活性剤を添加して、分散媒とす
る。このような分散媒を用いることにより、分散しにく
いサブミクロンサイズのフェライト粒子を用いた場合で
も最高で98%程度の高い磁気的配向度を得ることが可
能である。 【0042】湿式成形後、成形体を乾燥させ、次いで、
空気中または窒素中において好ましくは100〜500
℃の温度に加熱する脱脂処理を施すことにより、添加し
た分散剤を十分に分解除去する。乾燥と上記脱脂処理と
は連続して行えばよいが、成形体を十分に乾燥させない
まま急激に加熱すると、成形体にクラックが発生してし
まうので、室温から100℃程度まではゆっくりと昇温
し、この温度範囲において十分に乾燥させることが好ま
しい。脱脂処理後、前記した条件で焼結し、フェライト
焼結磁石を得る。 【0043】なお、前記成形体をクラッシャー等を用い
て解砕し、ふるい等により平均粒径が100〜700μ
m程度となるように分級して磁場配向顆粒を得、これを
乾式磁場成形した後、焼結することにより磁石を得ても
よい。 【0044】焼結磁石 本発明は、六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェ
ライトを主相として有し、Fe、元素A(Aは、Sr、
BaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素
R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なく
とも1種)および元素M(Mは、Co、Mn、Niおよ
びZnから選択される少なくとも1種)を含有するフェ
ライト焼結磁石の製造に適用される。なお、本明細書に
おいて希土類元素とは、Y、Scおよびランタノイドで
ある。 【0045】本発明により製造される磁石中において、
A、R、FeおよびMの原子比は、 式I A1-xx(Fe12-yyz19 で表すことができる。上記式Iにおけるx、yおよびz
は、 0<x≦0.4、 1<x/yz<2、 1≦z≦1.3 によって限定される範囲内とし、好ましくは 0.1≦x≦0.3、 1.2≦x/yz≦1.8、 1≦z≦1.06 によって限定される範囲内とする。この組成の磁石を製
造する際に前記高速降温域を設ければ、前記高速降温域
を設けない場合に比べ保磁力を向上させることができ、
かつ、保磁力自体も十分に高くなる。 【0046】上記組成とする理由を、より詳細に説明す
る。本発明の保磁力向上効果を発現させるためには、元
素Rを含有している必要がある。ただし、上記式Iにお
いてxが大きすぎると、六方晶フェライト中に元素Rが
置換固溶できずに保磁力および飽和磁化が低下するとと
もに、本発明による保磁力向上効果が低くなる。x/y
zが小さすぎても大きすぎても、本発明による保磁力向
上効果が低くなる。また、x/yzが大きいと、保磁力
自体が低くなる。元素Mが2価イオンであって、かつ元
素Rが3価イオンである場合、価数平衡の点でx/yz
=1とすることが一般的であるが、本発明では1<x/
yzとすることにより保磁力向上効果を実現する。zが
上記限定範囲を下回ると、本発明による保磁力向上効果
が低くなる。一方、zが上記限定範囲を上回ると、α−
Fe23相または元素Mを含む非磁性スピネルフェライ
ト相が増えるため、飽和磁化が低くなってしまう。 【0047】本発明により製造されるフェライト焼結磁
石中において、焼結助剤として添加されるCaCO3
由来するCaは、 式II 100Ca/(A+R+Fe+M+Ca+Si) で表されるCaの原子百分率をPCaとしたとき、 6.5≦7.5z−PCa≦7.2、好ましくは 6.6≦7.5z−PCa≦7 となる範囲で含有される必要がある。7.5z−PCa
小さすぎると、本発明による保磁力向上効果が低くな
る。一方、7.5z−PCaが大きすぎると残留磁束密度
が低くなる。すなわち本発明では、磁石中のCa含有量
を、前記式Iにおけるzとの関係に基づいて制御するこ
とにより、焼結工程での降温速度制御による保磁力向上
を実現できる。 【0048】組成を表わす上記式Iにおいて、酸素
(O)の原子数は19となっているが、これは、Mがす
べて2価、Rがすべて3価であって、かつx=y、z=
1のときの酸素の化学量論組成比を示したものである。
MおよびRの種類やx、y、zの値によって、酸素の原
子数は異なってくる。また、例えば焼成雰囲気が還元性
雰囲気の場合は、酸素の欠損(ベイカンシー)ができる
可能性がある。さらに、FeはM型フェライト中におい
ては通常3価で存在するが、これが2価などに変化する
可能性もある。また、Co等の元素Mも価数が変化する
可能性があり、これらにより金属元素に対する酸素の比
率は変化する。本明細書では、Rの種類やx、y、zの
値によらず酸素の原子数を19と表示してあるが、実際
の酸素の原子数は、これから多少偏倚した値であってよ
い。 【0049】磁石組成は、蛍光X線定量分析などにより
測定することができる。また、上記主相の存在は、X線
回折や電子線回折などにより確認できる。 【0050】磁石の飽和磁化および保磁力を高くするた
めには、元素AとしてSrおよびCaの少なくとも1種
を用いることが好ましく、特にSrを用いることが好ま
しい。A中においてSr+Caの占める割合、特にSr
の占める割合は、好ましくは51原子%以上、より好ま
しくは70原子%以上、さらに好ましくは100原子%
である。元素A中のSrの比率が低すぎると、飽和磁化
向上と保磁力の著しい向上とを共に得ることができなく
なる。 【0051】元素Rとしては、好ましくはランタノイド
の少なくとも1種、より好ましくは軽希土類の少なくと
も1種、さらに好ましくはLa、NdおよびPrの少な
くとも1種を用い、特にLaを必ず用いることが好まし
い。R中においてLaの占める割合は、好ましくは40
原子%以上、より好ましくは70原子%以上であり、飽
和磁化向上のためにはRとしてLaだけを用いることが
最も好ましい。これは、六方晶M型フェライトに対する
固溶限界量を比較すると、Laが最も多いためである。
したがって、R中のLaの割合が低すぎるとRの固溶量
を多くすることができず、その結果、元素Mの固溶量も
多くすることができなくなり、磁気特性向上効果が小さ
くなってしまう。なお、Biを併用すれば、仮焼温度お
よび焼結温度を低くすることができるので、生産上有利
である。 【0052】元素Mとしては、少なくともCoおよびZ
nの1種以上、特にCoを必ず用いることが好ましい。
M中においてCoの占める割合は、好ましくは10原子
%以上、より好ましくは20原子%以上である。M中に
おけるCoの割合が低すぎると、保磁力向上が不十分と
なる。 【0053】磁石には、B23が含まれていてもよい。
23を含むことにより仮焼温度および焼結温度を低く
することができるので、生産上有利である。B23の含
有量は、磁石粉末全体の0.5質量%以下であることが
好ましい。B23含有量が多すぎると、飽和磁化が低く
なってしまう。 【0054】磁石粉末中には、Na、KおよびRbの少
なくとも1種が含まれていてもよい。これらをそれぞれ
Na2O、K2OおよびRb2Oに換算したとき、これら
の含有量の合計は、磁石粉末全体の3質量%以下である
ことが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁
化が低くなってしまう。これらの元素をMIで表わした
とき、フェライト中においてMIは例えば Sr1.3-2aaI a-0.3Fe11.70.319 の形で含有される。なお、この場合、0.3<a≦0.
5であることが好ましい。aが大きすぎると、飽和磁化
が低くなってしまう他、焼成時に元素MIが多量に蒸発
してしまうという問題が生じる。 【0055】また、これらのほか、例えばGa、In、
Li、Mg、Cu、Ti、Zr、Ge、Sn、V、N
b、Ta、Sb、As、W、Mo等が酸化物として含有
されていてもよい。これらの含有量は、化学量論組成の
酸化物に換算して、それぞれ酸化ガリウム5質量%以
下、酸化インジウム3質量%以下、酸化リチウム1質量
%以下、酸化マグネシウム3質量%以下、酸化銅3質量
%以下、酸化チタン3質量%以下、酸化ジルコニウム3
質量%以下、酸化ゲルマニウム3質量%以下、酸化スズ
3質量%以下、酸化バナジウム3質量%以下、酸化ニオ
ブ3質量%以下、酸化タンタル3質量%以下、酸化アン
チモン3質量%以下、酸化砒素3質量%以下、酸化タン
グステン3質量%以下、酸化モリブデン3質量%以下で
あることが好ましい。 【0056】本発明により製造される磁石は、少なくと
も2つの異なるキュリー温度を有するものであってもよ
い。この場合、これらのキュリー温度が400℃〜48
0℃の範囲に存在し、かつこれらの差の絶対値が5℃以
上であることが好ましい。Coを含有する場合において
このように複数のキュリー温度をもつ構造とすること
で、角形性Hk/HcJが著しく改善されると共に、高価
なCoやRの含有量を少なくすることが可能になる。こ
のような磁石は、前記した後添加法により製造すること
ができる。 【0057】磁石の平均結晶粒径は、好ましくは2μm
以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは
0.5〜1.0μmであるが、本発明では平均結晶粒径
が1μmを超えていても、十分に高い保磁力が得られ
る。結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定すること
ができる。 【0058】本発明により製造されるフェライト焼結磁
石では、高保磁力かつ高飽和磁化が実現する。そのた
め、これらの元素を含有しない従来のフェライト焼結磁
石と同一形状であれば、発生する磁束密度を増やすこと
ができるため、モータに適用した場合には高トルク化等
を実現でき、スピーカーやヘッドホンに適用した場合に
は磁気回路の強化によりリニアリティーのよい音質が得
られるなど、応用製品の高性能化に寄与できる。また、
従来のフェライト焼結磁石と同じ機能でよいとすれば、
磁石の大きさ(厚さ)を小さく(薄く)できるので、小
型軽量化(薄型化)に寄与できる。また、従来は界磁用
の磁石を巻線式の電磁石としていたようなモータにおい
ても、これをフェライト焼結磁石で置き換えることが可
能となり、軽量化、生産工程の短縮、低価格化に寄与で
きる。さらに、保磁力(HcJ)の温度特性に優れている
ため、従来はフェライト焼結磁石の低温減磁(永久減
磁)の危険のあった低温環境でも使用可能となり、特に
寒冷地、上空域などで使用される製品の信頼性を著しく
高めることができる。 【0059】本発明により製造された磁石は所定の形状
に加工され、下記に示すような幅広い用途に使用され
る。 【0060】例えば、フュエルポンプ用、パワーウイン
ド用、ABS用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリ
ング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ド
アロック用、電動ミラー用等の自動車用モータ;FDD
スピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッ
ド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTR
カメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、V
TRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジ
カセ等キャプスタン用、CD、LD、MDスピンドル
用、CD、LD、MDローディング用、CD、LD光ピ
ックアップ用等のOA、AV機器用モータ;エアコンコ
ンプレッサー用、冷蔵庫コンプレッサー用、電動工具駆
動用、扇風機用、電子レンジファン用、電子レンジプレ
ート回転用、ミキサ駆動用、ドライヤーファン用、シェ
ーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータ;
ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器
テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用
モータ;その他、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッ
ドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発
生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ
用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセン
サ、マグネットラッチ等に使用できる。 【0061】 【実施例】実施例1(図3:パターンA) 以下の手順で焼結磁石サンプルを作製した。 【0062】まず、出発原料としてSrCO3およびF
23を用い、これらをモル比で SrCO3:Fe23=0.8:4.8 となるように秤量し、湿式アトライタで粉砕して混合し
た。得られた混合物をロータリーキルンにより空気中で
仮焼して、仮焼体を得た。仮焼温度は1250℃、仮焼
時間は3時間とした。 【0063】この仮焼体を振動ミルで解砕した後、後添
加物としてSiO2、CaCO3、酸化鉄(Fe23)、
水酸化ランタン{La(OH)3}および酸化コバルト
(Co34とCoOとの混合物)を添加し、さらに分散
剤としてソルビトールを添加し、水を媒体として湿式ア
トライタで粉砕して混合することにより、スラリーとし
た。なお、ソルビトールの添加量は原料粉末(出発原料
+後添加物)全体に対し0.6質量%とした。SiO2
の添加量は、サンプル中における含有量が0.6質量%
となるように決定し、CaCO3の添加量は、前記した
Caの原子百分率PCaが表1に示す値となるように決定
した。また、酸化鉄、水酸化ランタンおよび酸化コバル
トの添加量は、 式I A1-xx(Fe12-yyz19 で表される最終組成においてyz、x/yzおよびzが
表1に示す値となるように決定した。 【0064】次いで、固形分濃度が約76%となるよう
に上記スラリーを脱水濃縮して、成形用スラリーを得
た。 【0065】次いで、成形用スラリーを脱水しながら圧
縮成形し、直径30mm、高さ18mmの成形体を得た。な
お、圧縮成形の際には、加圧方向に平行な1Tの磁場を
印加した。 【0066】この成形体を空気中において100〜50
0℃に加熱して十分に脱脂し、次いで、空気中において
焼結した後、室温まで降温し、焼結磁石サンプルを得
た。 【0067】焼結の際の温度変化パターンは、図2に示
す基準パターンまたは図3に示すパターンAとした。こ
れらのパターンにおいてT0は、焼結温度(安定温度)
である。この実施例ではT0を1220℃とし、安定時
間は1時間とした。パターンAにおいて、T1は、高速
降温域の開始温度であり、降温速度が5℃/minから15
℃/minに変化する温度である。また、T2は、高速降温
域の終了温度であり、降温速度が15℃/minから再び5
℃/minに変化する温度である。パターンAにおけるT1
は1100℃、T2は900℃とした。 【0068】得られたサンプルの保磁力(HcJ)および
残留磁束密度(Br)を、室温においてB−Hトレーサ
で測定した。各サンプルのHcJおよびBrと、各サンプ
ルのHcJおよびBrから、基準パターンで焼結したとき
のHcJおよびBrをそれぞれ減じた値(△HcJおよび△
Br)を、表1に示す。 【0069】 【表1】 【0070】表1から、1≦zかつ6.5≦7.5z−
Caのときに保磁力が著しく向上することがわかる。 【0071】表1に示すサンプルの一部について、内部
から2mm×2mm×10mmの角柱を切り出し、これについ
て、成形時の磁場印加方向(磁化容易軸方向)の比抵抗
と、これに直交する方向(磁化困難軸方向)の比抵抗と
を測定した。これらの結果を表2に示す。 【0072】 【表2】 【0073】表2から、本発明にしたがって作製したサ
ンプルでは、保磁力の向上と共に比抵抗が向上すること
がわかる。一方、本発明における限定範囲を外れる組成
をもつサンプルNo.101では、高速降温域を設けたこ
とにより、保磁力および比抵抗のいずれもが低下してい
る。 【0074】実施例2(図3:パターンA) 表3に示す組成となるように原料粉末を混合したほかは
実施例1と同様にして、焼結磁石サンプルを作製した。
これらのサンプルについて、実施例1と同様にしてHcJ
を測定し、△HcJを求めた。結果を表3に示す。なお、
表3には、表1に示すサンプルの一部も記載してある。 【0075】 【表3】 【0076】表3から、1≦zであれば、zの値によら
ず6.5≦7.5z−PCa≦7.2のときに保磁力が向
上することがわかる。 【0077】実施例3(図3:パターンA) 表4に示す組成となるように原料粉末を混合したほかは
実施例1と同様にして、焼結磁石サンプルを作製した。
これらのサンプルについて、実施例1と同様にしてHcJ
を測定し、△HcJを求めた。結果を表4に示す。なお、
表4には、表1に示すサンプルの一部も記載してある。 【0078】 【表4】【0079】表4から、x、x/yzおよびzを本発明
で限定する範囲内の値とすることにより、保磁力が向上
することがわかる。 【0080】実施例4(図4:パターンB) 焼結工程における温度変化パターンを図4に示すパター
ンBとし、サンプル組成を実施例3のサンプルNo.30
8と同じとしたほかは実施例1と同様にして、焼結磁石
サンプルを作製した。パターンBにおいてT1は、高速
降温域の開始温度であり、降温速度が5℃/minから△T
(℃/min)に変化する温度である。各サンプルにおける
T1および△Tを、表5に示す。なお、パターンBで
は、高速降温域は室温まで続く。パターンBにおけるT
0は1220℃とした。 【0081】これらのサンプルについて、実施例3と同
様にしてHcJを測定し、△HcJを求めた。結果を表5に
示す。なお、T1=0℃のとき、パターンBは図2に示
す基準パターンと一致する。表5に示す△HcJは、各サ
ンプルのHcJから基準パターンで焼結したときのHcJを
減じた値である。 【0082】 【表5】 【0083】表5から、本発明にしたがって高速降温域
を設けることにより、保磁力が向上することがわかる。 【0084】なお、表5に示すサンプルのうち本発明に
より製造されたものでは、高速高温域を設けることによ
るBrの低下は認められなかった。 【0085】実施例5(図4:パターンB) 焼結工程における温度変化パターンを図4に示すパター
ンBとし、サンプル組成を実施例3のサンプルNo.30
8と同じとしたほかは実施例1と同様にして、焼結磁石
サンプルを作製した。各サンプルにおけるT1および△
Tを、表6に示す。パターンBにおけるT0は1220
℃とした。 【0086】これらのサンプルについて、実施例3と同
様にしてHcJを測定し、△HcJを求めた。結果を表6に
示す。なお、△T=5℃/minのとき、パターンBは図2
に示す基準パターンと一致する。表6に示す△HcJは、
各サンプルのHcJから基準パターンで焼結したときのH
cJを減じた値である。 【0087】 【表6】 【0088】表6から、本発明にしたがって高速降温域
を設けることにより、保磁力が向上することがわかる。 【0089】なお、表6に示すサンプルのうち本発明に
より製造されたものでは、高速高温域を設けることによ
るBrの低下は認められなかった。
【図面の簡単な説明】 【図1】焼結工程に高速降温域を設けた場合の温度変化
パターンを説明するためのグラフである。 【図2】従来の焼結工程の温度変化パターンを説明する
ためのグラフである。 【図3】実施例における焼結工程の温度変化パターンを
説明するためのグラフである。 【図4】実施例における焼結工程の温度変化パターンを
説明するためのグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K018 AD09 BA18 DA21 DA29 KA44 5E040 AB03 AB09 BD01 CA01 HB03 HB17 NN01 NN06 NN18 5E062 CC05 CD01 CG02 CG03

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 Fe、元素A(Aは、Sr、Baおよび
    Pbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、
    希土類元素およびBiから選択される少なくとも1
    種)、元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから
    選択される少なくとも1種)を含有する六方晶フェライ
    ト焼結体を製造する方法であって、 前記六方晶フェライト焼結体において、A、R、Fe、
    Mおよび酸素(O)の原子比を 式I A1-xx(Fe12-yyz19 で表したとき、 0<x≦0.4、 1<x/yz<2、 1≦z≦1.3 であり、 さらに、CaおよびSiを含有し、 式II 100Ca/(A+R+Fe+M+Ca+Si) で表されるCaの原子百分率をPCaとしたとき、 6.5≦7.5z−PCa≦7.2 であり、 焼結工程において、降温過程の少なくとも1000℃超
    かつ焼結温度以下の温度範囲内に、降温速度が5℃/min
    超である高速降温域を温度幅50℃以上にわたって設け
    る六方晶フェライト焼結体の製造方法。
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